JP2006204401A - 手首用血圧計の締付構造 - Google Patents

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茂 堂埜
Akihiko Saito
亮彦 斎藤
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Abstract

【課題】 小型・低コストで、血圧を測定する前である事前密着時に手首部に対する締付力が一定となる手首用血圧計の締付構造を提供する。
【解決手段】 被測定者の手首や腕に装着されて被測定者の血流を圧迫するカフ帯と、カフ帯に取り付けられて被測定者の血圧を測定する血圧測定部と、測定された血圧値を表示する血圧表示部と、を備える手首用血圧計の締付構造において、カフ帯は、膨張により手首部の血流を圧迫する空気袋帯と、空気袋帯とを膨張させ血流を圧迫する前に前記空気袋帯を事前密着させるための締付帯と、前記締付帯により事前密着させられた後に空気袋帯および締付帯の外周を包囲して空気袋帯の膨張による血流圧迫力を外部に逃がさないための締結帯と、を有してなり、前記締付帯は締付帯の全体又は一部がバネ状の形状記憶合金により構成されて、形状記憶合金の加熱による変形によって、前記締付帯が被測定者の手首に密着される。
【選択図】図1

Description

本発明は、手首部に巻き付けられるカフ帯に、血圧測定部と血圧表示部とが一体的に取り付けられている手首用血圧計の締付構造に関するものである。
従来より、実開平10−127588号公報や実開平6−114015号公報に、手首部に巻き付けられるカフ帯(圧迫帯)に、血圧測定部と血圧表示部とからなる血圧計本体が一体的に取り付けられている手首用血圧計の構造が開示されている。この種の手首用血圧計では、まず、空気袋帯により手首等の血流を圧迫する前に、カフ帯を手首等に事前密着する(手首を圧迫することなく密着する)ことが必要となる。この後に、カフ帯を膨張させて手首に圧力を加えることにより、血圧を測定している。
ここで、事前密着するために、実開平10−127588号公報では、剛性のある帯に血圧計本体を取り付ける構造となっている。この構造だと、カフ帯を折りたたむことができないために、収納が不便となり、小型化ができないという問題があった。また、実開平6−114015号公報では、フレキシブルな帯に血圧計本体を取り付ける構造となっている。この構造だと、測定者がこの帯を自分の手首等に取り付けるために、締付時の状態が一定とならなかった。このために、初期の締付力にばらつきが生じて、血圧の測定値に誤差を生じるおそれがあった。また、特開2002―48053には、空気袋帯の代わりに形状記憶合金を用いて、計測者の手首を圧迫する構造が開示されている。しかし、この構造では、形状記憶合金の線材をメッシュ状に形成したものを用いている。このために、高価な形状記憶合金を多量に用いることになり、コストアップになるおそれがあった。
実開平10−127588号公報 実開平6−114015号公報 特開2002−48053号公報
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、小型・低コストで、初期の締付力が一定となる手首用血圧計の締付構造を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の手首用血圧計の締付構造は、被測定者の手首部に装着されて被測定者の血流を圧迫するカフ帯と、カフ帯に取り付けられて被測定者の血圧を測定する血圧測定部と、測定された血圧値を表示する血圧表示部と、を備える手首用血圧計の締付構造において、カフ帯は、膨張により手首部の血流を圧迫する空気袋帯と、空気袋帯とを膨張させ血流を圧迫する前に前記空気袋帯を事前密着させるための締付帯と、前記締付帯により事前密着させられた後に空気袋帯および締付帯の外周を包囲して空気袋帯の膨張による血流圧迫力を外部に逃がさないための締結帯と、を有してなり、前記締付帯は締付帯の全体又は一部がバネ状の形状記憶合金により構成されて、形状記憶合金の加熱による変形によって、前記締付帯が被測定者の手首に密着されることを特徴としている。
本発明の手首用血圧計の締付構造にあっては、形状記憶合金の加熱による変形によって、締付帯が被測定者の手首部に密着されるので、初期の締付力が一定とすることができる。また、締付帯がバネ状の形状記憶合金により構成されているので、カフ帯を薄型にすることができ、小型化することができる。さらに、締付帯のみがバネ状の形状記憶合金により構成されているので、高価な形状記憶の使用量を低減できて、低コスト化が可能となる。
(実施形態1)
実施形態1の手首用血圧計の締付構造の構成を図1〜3に基づいて説明する。この手首用血圧計2は、図1〜3に示すように、血圧計本体とカフ帯とからなっている。血圧計本体は、カフ帯からの信号を受けて、血圧値を得るために演算処理をする血圧測定部2と、これを表示する血圧表示部3とを備えている。また、カフ帯は、被計測者の手首部1に装着するためのものであり、空気袋帯4、締付帯5及び締結帯6、7とからなっている。
空気袋帯4は、袋を備えていて、この袋の内部に空気が圧送されて膨張することにより手首部1の血流を圧迫した後に、徐々に空気が抜かれて、最高血圧と最低血圧とが測定されることになる。このために、空気袋帯4は、カフ帯の中では内側に取り付けられている。
また、締付帯5は、空気袋帯4を事前密着させるためのもので、環状の構造をしている。ここで、事前密着とは、血圧測定のために空気袋帯4が血流を圧迫する前に、圧迫することなく手首部1に密着することをいう。つまり、事前密着状態では、カフ帯は、手首部1に密着してはいるが、圧迫していない状態となっている。この状態にばらつきがあると、被測定者の血圧値が正確に測定されなくなることがある。このために、図3に示すように、締付帯5の内部には、形状記憶合金(例えば、TiNi合金)のバネ8が具備されている(なお、図3では、締付帯5に内包されているバネ8のみを図示し、空気袋帯4、締結帯6、7は、図示していない。)。この形状記憶合金のバネ8は、室温では収縮した形状となり、高温(例えば、60℃以上)では伸張した形状となるようにセッティングされている。このバネ8の両端には、電極9、9が取り付けられていて、血圧測定部2に内蔵されている電源10から電流が通電されて、自己発熱するようになっている。また、バネ8の近傍には、温度センサ(例えば、サーミスタやダイオード)11が取り付けられていて、バネ8の温度を測定して、通電電流を制御できるようになっている。この締付帯5は、カフ帯の中では、空気袋帯4の外側に取り付けられている。
また、締結帯6、7は、左右一対の帯状のものであり、事前密着した後に、空気袋帯4および締付帯5の外周を包囲して空気袋帯4の膨張による血流圧迫力を外部に逃がさないためためのものである。このために、内側面には、面ファスナー12が取り付けられていて、カフ帯を外側から、固定できる構造になっている。締結帯6、7は、カフ帯の中では、最外側に取り付けられている。
以下に、この手首用血圧計を手首部1に締め付けて、血圧を計測する手順について説明する。まず、被測定者は、形状記憶合金のバネ8が低温で伸張している状態で、締付帯5を手首部1にカフ帯をはめ込む。そして、血圧測定部2の締付スイッチ15をONして、形状記憶合金のバネ8に電極9、9を通じて、電源10から電流を通電させて、バネ8を加熱させる。こうすることにより、形状記憶合金の温度を上昇させることにより、熱弾性マルテンサイト変態を誘起させて、バネ8を収縮させた形状とさせる。こうすることにより、締付帯5が手首部1に、事前密着するようになる。このとき、前述したように、バネ8の近傍に取り付けられている温度センサ11が、バネ8の温度を検知して、形状記憶合金が形状所定の温度以上にならないように制御している。例えば、温度センサ11からの電気信号によって、バネ8に通電する電流をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅制御)することにより、形状記憶合金が所定温度以上となる場合には、電流の実効値を小さくする制御をしている。このため、形状記憶合金は、高温となって熱弾性マルテンサイト変態をしても、その収縮量が所定値となるように制御される。この結果として、締付帯5は、手首部1に密着するものの押圧しない事前密着の状態に保持される。この事前密着の状態では、形状記憶合金の加熱到達温度を一定となるように制御されているので、事前密着の状態も一定となり、手首部1への密着度合を一定とすることができる。
この後、被測定者は、左側の締結帯6の面ファスナー12を右側の締結帯7の表面に密着させることで、締結帯6、7を締付帯5の外側に装着させる。さらに、血圧測定部2の測定スイッチ16をONさせると、空気袋帯4に内蔵されている袋に空気が圧送されて、血流を圧迫することによって血圧が測定される。そして、血圧の測定後には、空気が抜かれた状態となり、測定者は、面ファスナー12を外すことにより、締結帯6、7を分離する。さらに、外力を加えることにより、形状記憶合金のバネ8を伸張させて締付帯5の径を広げて、手首用血圧計を手首部1から取り外す。
本実施形態の手首用血圧計の締付構造では、形状記憶合金の加熱による変形によって、締付帯が被測定者の手首に密着されるので、初期の締付力を一定とすることができる。このため、締付帯がバネ状の形状記憶合金により構成されているので、カフ帯を薄型にすることができ、小型化することができる。また、締付帯のみ形状記憶合金のバネにより構成されているので、高価な形状記憶合金の使用量を低減できて、低コスト化することが可能となる。
さらに、形状記憶合金に電流を通電することにより加熱するので、ヒーター等の別途の加熱装置が不要となり、締付帯の構造を簡略化でき、低価格および小型化を実現することができる。
加えて、締付帯の近傍に温度センサを有してなり、締付帯が被測定者の手首への事前密着時の密着力を前記温度センサから信号により制御するので、被測定者の手首への事前密着の状態を一定にすることができ、血圧の測定精度を向上することができる。
ここで、本実施形態の他の手首用血圧計の締付構造の構成として、血圧をセンシングするため血圧測定部に備えられている圧力計からの信号により、空気袋帯の被測定者の手首部への事前密着時の密着力を制御するものがあげられる。こうすることにより、空気袋帯の被測定者の手首部への事前密着時の密着力を一定とすることが可能となり、血圧の測定精度をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態の別の他の手首用血圧計の締付構造の構成として、形状記憶合金を内蔵する締付帯を形状記憶合金の変形にあわせて伸縮可能な構造とすることができる。この締付帯の具体的な素材としては、メッシュやニットのような編目構造を有するもの、ゴムやエラストマー等のような弾性体、あるいはベローズのような機械的に伸縮可能なものがあげられる。こうすることにより、締付帯が前記形状記憶合金の変形にあわせて伸縮可能となるので、締付帯の外側の表面がしわにならなくなる。このために、外観の見栄えが良くなるとともに、血圧の測定時の加圧状態を一定にすることが可能となる。
(実施形態2)
実施形態2の手首用血圧計の締付構造の構成を図4、5に基づいて説明する。この手首用血圧計の締付構造の構成は、実施形態1のものとほぼ同じであるが、以下の点で構成が異なる。まず、図4、5に示すように、形状記憶合金のバネ8を内蔵している締付帯5の血圧測定部2の付近の表面に係合部である凸状の複数の第1フック13が具備されている(なお、本実施形態においても、手首用血圧計の締付構造には空気袋帯4、締結帯6、7が含まれているが、図4、5ではこれらは図示していない。)。また、血圧測定部2に、被係合部である第2フック14が具備されている。そして、第2フック14は、第1フック13と係合して締付帯5を係止して、カフ帯を被測定者の手首部1に仮止めする機能を有している。一方で、この第1フック13と第2フック14との係止の力は弱いものであるので、外力を加えることにより、第2フック14と第1フック13との係合は解放されることになる。
この手首用血圧計を締め付けて血圧を計測する手順も、実施形態1のものとほぼ同じである。ただし、締付帯5を事前密着する手順と、血圧測定後に締付帯5を取り外す手順は異なるので、この点について以下に説明する。まず、被測定者は、形状記憶合金のバネ8が低温で伸張している状態で、締付帯5を手首部1の外側にカフ帯をはめ込んで、締付スイッチ15をONし、バネ8を加熱させる。ここで、形状記憶合金が高温となって熱弾性マルテンサイト変態によりバネ8の形状が収縮して、手首部1に事前密着するときに、第1フック13は、第2フック14を乗り越えながら、締付帯5全体として収縮していく。そして、形状記憶合金8が所定の温度になり、所定の長さに収縮した後に、バネ8への通電を停止させる。この状態で、形状記憶合金の形状記憶合金の温度が低下しても、第1フック13は第2フック14によって引っ掛かって係止されるので、外力が加わることがない限り、締付帯5が伸張することはない。したがって、形状記憶合金への通電をしなくても、事前密着状態が変動するおそれはない。一方、血圧の測定が終了して、締付帯5を手首から取り外す際には、第1フック13と第2フック14との係止の力は強くないので、外力を加えることによって、容易に係止を解放することができる。つまり、実施形態1とほぼ同様の外力を加えることによって、締付帯5の径を広げて、取り外すことが可能となる。
本実施形態の手首用血圧計の締付構造では、締付帯の表面に複数の係合部を有してなり、血圧測定部、血圧表示部、またはカフ帯の表面に被係合部を有してなり、係合部と被係合部とを係合させて前記締付帯を係止させることによりカフ帯を被測定者の手首部に仮止めをした後に、形状記憶合金を加熱して変形させることによって事前密着させることを特徴としているので、形状記憶合金を加熱して一度収縮した後には、加熱を維持することが不要となる。このために、加熱のためのエネルギー(電力)を少なくすることができる。
(実施形態3)
実施形態3の手首用血圧計の締付構造の構成を図6、7に基づいて説明する。この手首用血圧計の締付構造の構成は、実施形態1のものとほぼ同様であるが、図6、7に示すように、カフ帯を構成する締結帯の一部が、締付帯5の該当部分と一体化したものであることが異なっている。つまり、締結帯単独としては、面ファスナー12を備える左側の一部分6’のみが具備されていて、他の締結帯の部分は、締付帯5がこれを兼ねる構造となっている。したがって、本実施形態の手首用血圧計の締付構造の構成では、締付帯5の一部が実施形態1での締結帯の機能を有している。
この手首用血圧計を締め付けて血圧を計測する手順も、実施形態1のものとほぼ同じであるので、ここでは説明を省略する。また、締結帯ではなく、空気袋帯の一部又は全体を、締付帯の該当部分と一体化することもできる。
本実施形態の手首用血圧計の締付構造では、カフ帯を構成する空気袋帯もしくは締結帯の一部又は全部が、締付帯の該当部分と一体化したものであるので、空気袋帯および締結帯とを一体化することができ、部品点数を低減して構造を簡易化することが可能となる。
実施形態1の手首用血圧計の斜視図で、(a)は形状記憶合金が伸張している斜視図で、(b)は形状記憶合金が収縮している斜視図である。 実施形態1の手首用血圧計の断面図で、(a)は形状記憶合金が伸張している断面図で、(b)は形状記憶合金が収縮している断面図である。 実施形態1の手首用血圧計の形状記憶合金を示す断面図で、(a)は形状記憶合金が伸張している断面図で、(b)は形状記憶合金が収縮している断面図である。 実施形態2の手首用血圧計の斜視図で、(a)は形状記憶合金が伸張している斜視図で、(b)は形状記憶合金が収縮している斜視図である。 実施形態2の手首用血圧計の断面図で、(a)は形状記憶合金が伸張している断面図で、(b)は形状記憶合金が収縮している断面図である。 実施形態3の手首用血圧計の斜視図で、(a)は形状記憶合金が伸張している斜視図で、(b)は形状記憶合金が収縮している斜視図である。 実施形態3の手首用血圧計の断面図で、(a)は形状記憶合金が伸張している断面図で、(b)は形状記憶合金が収縮している断面図である。
符号の説明
1 手首部
2 血圧測定部
3 血圧表示部
4 空気袋帯
5 締付帯
6、6’締結帯(左側)
7 締結帯(右側)
8 バネ(形状記憶合金)
9 電極
10 電源
11 温度センサ
12 面ファスナー
13 第1フック
14 第2フック
15 締付スイッチ
16 測定ステッチ

Claims (6)

  1. 被測定者の手首部に装着されて被測定者の血流を圧迫するカフ帯と、カフ帯に取り付けられて被測定者の血圧を測定する血圧測定部と、測定された血圧値を表示する血圧表示部と、を備える手首用血圧計の締付構造において、
    カフ帯は、膨張により手首部の血流を圧迫する空気袋帯と、前記空気袋帯を膨張させ血流を圧迫する前に前記空気袋帯を事前密着させるための締付帯と、前記締付帯により事前密着させられた後に空気袋帯および締付帯の外周を包囲して空気袋帯の膨張による血流圧迫力を外部に逃がさないための締結帯と、を有してなり、
    前記締付帯は締付帯の全体又は一部がバネ状の形状記憶合金により構成されて、形状記憶合金の加熱による変形によって、前記締付帯が被測定者の手首部に密着されることを特徴とする手首用血圧計の締付構造。
  2. 形状記憶合金に電流を通電することにより形状記憶合金を加熱することを特徴とする請求項1記載の手首用血圧計の締付構造。
  3. 締付帯の表面に複数の係合部を有してなり、血圧測定部、血圧表示部、またはカフ帯に被係合部を有してなり、係合部と被係合部とを係合させて締付帯を係止させることによりカフ帯を測定者の手首に仮止めをした後に、形状記憶合金を加熱して変形させることによって事前密着させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の手首用血圧計の締付構造。
  4. 被測定者の血圧をセンシングする圧力計からの信号により、空気袋帯の被測定者の手首への事前密着時の密着力を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の手首用血圧計の締付構造。
  5. 締付帯が形状記憶合金の変形にあわせて伸縮可能な構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の手首用血圧計の締付構造。
  6. カフ帯を構成する空気袋帯もしくは締結帯の一部又は全部が、締付帯の該当部分と一体化したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の手首用血圧計の締付構造。

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