JP2006204032A - 電圧変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スイッチング素子群に適切な通過パワー制限をかけることで、その能力を最大限に発揮できるDC/DCコンバータを提供する。
【解決手段】 本発明のDC/DCコンバータ(12)の一次側は二次電池(11)に接続され、二次側は燃料電池(13)とトラクションモータ(14)とに並列接続されている。DC/DCコンバータ(12)は、二次電池(11)の放電時には、二次電池(11)の出力電圧を昇圧してトラクションモータ(14)に供給する一方で、二次電池(11)の充電時には、燃料電池(13)の出力電圧又はトラクションインバータ(14)が回生した直流電圧を降圧して二次電池(11)を充電するスイッチング素子群(Tr1〜Tr4)と、二次電池(11)の放電時と充電時とでスイッチング素子群(Tr1〜Tr4)の通過電力の上限値を変更する制御装置(16)を備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は電圧変換装置に関し、特に、双方向DC/DCコンバータに関する。
近年、環境に配慮した自動車として、電気自動車(Electric Vehicle)が実用化されている。電気自動車の電気系統には、例えば、直流電力を蓄電する蓄電装置と、直流電圧を交流電圧に変換するトラクションインバータと、トラクションインバータから供給される交流電力によって駆動されるトラクションモータと、力行走行時には蓄電装置の出力電圧を昇圧してトラクションインバータに直流電力を供給する一方で、回生制動時にはトラクションインバータが回生した直流電圧を降圧して蓄電装置を充電する双方向コンバータとが配設される(特許文献1参照)。
特開2003−333835号
しかし、インバータとして用いられているIPM(Intelligent Power Module)は、IPMをインバータとして用いる場合に熱損失が大きくなるスイッチング素子の温度を検出できるように温度センサが配置されているため、このIPMをDC/DCコンバータとして用いる場合、トラクションモータ(負荷)による力行走行時(蓄電装置の放電時)と回生制動時(蓄電装置の充電時)とでは、スイッチング素子群を流れる電流経路が異なるため、温度センサが示す温度は必ずしも熱損失が大きくなるスイッチング素子の温度を検出しているとは限らない。従って、力行走行時と回生制動時とで、スイッチング素子群にかける通過パワー制限を同様にすると、適切な通過パワー制限をかけることが出来なくなり、DC/DCコンバータとしての能力を最大限に発揮することができない。また、例えば、高温となっているスイッチング素子を十分に保護できず、DC/DCコンバータが故障する虞もある。
そこで、本発明はスイッチング素子群に適切な通過パワー制限をかけることで、その能力を最大限に発揮できる電圧変換装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の電圧変換装置は、一次側の入出力端子は第1の直流電源に接続され、二次側の入出力端子は第2の直流電源と電力回生可能な電力負荷とに並列接続される電圧変換装置であって、第1の直流電源の放電時には、第1の直流電源の出力電圧を昇圧して電力負荷に供給する一方で、第1の直流電源の充電時には、第2の直流電源の出力電圧又は電力負荷が回生した直流電圧を降圧して第1の直流電源を充電するスイッチング素子群と、第1の直流電源の放電時と充電時とでスイッチング素子群の通過電力の上限値を変更する制御装置とを備える。第1の直流電源の放電時と充電時とで、スイッチング素子の通過電力の上限値を最適化することで、電圧変換装置の能力を最大限に発揮できる。
ここで、上述のスイッチング素子群は、上アーム側に配設されたスイッチング素子と、下アーム側に配設されたスイッチング素子とから成るHブリッジ回路を構成してもよい。本発明の電圧変換装置はインバータとしてもDC/DCコンバータとしても使用可能である。
本発明の電圧変換装置は、上アーム側に配設されたスイッチング素子又は下アーム側に配設されたスイッチング素子の何れか一方の温度を検出する温度検出手段を更に備え、制御装置は温度検出手段が検出したスイッチング素子の温度に基づいて他のスイッチング素子の温度を推定し、スイッチング素子群の通過電力の上限値を変更してもよい。かかる構成により、全てのスイッチング素子に温度センサを設置しなくても、電圧変換装置の適切な温度管理が可能になる。
また、制御装置は、第1の直流電源の充電時よりも放電時の方がスイッチング素子群の通過電力の上限値の制限開始温度が高くなるように、或いは通過電力の上限値の制限レートが小さくなるように制御してもよい。本発明の電圧変換装置を車両に搭載した場合、バッテリアシストが制限されることによるモータ出力低下を抑制して、ドライバビリティを向上させることができる。
また、制御装置は、温度検出手段が検出したスイッチング素子の温度に基づいて、スイッチング素子群の通過電力の上限値の制限開始温度又は通過電力の上限値の制限レートを変更してもよい。
本発明によれば、電圧変換装置の能力を最大限に発揮できる。また、電圧変換装置の故障を抑制できる。
以下、各図を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
図1は本実施形態の燃料電池電気自動車10の電気系統の主要構成を示している。燃料電池電気自動車10は、二次電池(第1の直流電源)11、DC/DCコンバータ(電圧変換装置)12、燃料電池(第2の直流電源)13、トラクションインバータ14、トラクションモータ15、及び制御装置16を備えて構成されている。トラクションモータ15は電力回生可能な電力負荷である。二次電池11は、ブレーキ回生時の回生エネルギー貯蔵源、車両の加速又は減速に伴う負荷変動時のエネルギーバッファとして機能する。二次電池11としては、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池等の蓄電装置が好適である。尚、二次電池11に替えて、キャパシタ等の蓄電装置をDC/DCコンバータ12の1次側に接続してもよい。
燃料電池13は、複数のセルを直列に接続したスタック構造を備えた発電装置である。燃料電池13としては、固体高分子電解質型の燃料電池が望ましい。高分子電解質型の燃料電池は、常温で起動できるために起動時間が短い、常温で高い電流密度が得られる、低負荷運転が可能、小型軽量化が可能といったメリットがあり、車両搭載用の燃料電池として優れた特性を備えている。但し、固体高分子電解質型燃料電池に限らず、アルカリ性電解質型燃料電池、酸性電解質型燃料電池、溶融塩電解質型燃料電池、固体電解質型燃料電池、リン酸型燃料電池なども利用できる。
DC/DCコンバータ(双方向DC/DCコンバータ)12は、その1次側において二次電池11に接続する一方、その2次側においてトラクションインバータ14と燃料電池13のそれぞれに並列接続している。DC/DCコンバータ12は、燃料電池電気自動車10がトラクションモータ15により力行走行するときには、二次電池11の出力電圧を昇圧してトラクションインバータ14に直流電力を供給する一方、燃料電池電気自動車10がトラクションモータ15により回生制動するときには、回生した直流電圧を降圧して二次電池11を充電する。DC/DCコンバータ12は、燃料電池13の余剰発電力を蓄電するために燃料電池13の出力電圧を降圧して二次電池11を充電する機能も有する。DC/DCコンバータ12における電力変換(スイッチング制御)は制御装置16によって制御される。トラクションインバータ14は、二次電池11又は燃料電池13のうち何れか一方又は両者から供給される直流電力を交流電力(例えば、三相交流)に変換する。トラクションインバータ14は、例えば、6個のパワートランジスタで構成される3相ブリッジ回路を備えており、パワートランジスタのスイッチング作用によって直流電力を交流電力に変換し、トラクションモータ15に供給している。パワートランジスタの制御は制御装置16によって行われる。トラクションインバータ14は、制御装置16からの要求指示に応答してトラクションモータ15の出力トルク及び回転数を所望の値に調整するために必要な三相交流電流の振幅及び周波数を調整し、トラクションモータ15に供給する。トラクションモータ15は、車両走行の推進力を得るための電動モータであり、例えば、三相同期モータによって構成されている。
制御装置16は、車速やアクセル開度(加速要求)等に基づいて、システム全体の要求電力(車両走行電力と補機電力の総和)を求める。次いで、燃料電池13と二次電池11の出力電力の配分を決定し、燃料電池13の発電量が目標電力に一致するように、燃料電池13への反応ガス供給量を調整するとともに、DC/DCコンバータ12を制御して燃料電池13の運転ポイント(出力電圧、出力電流)を調整する。更に、制御装置16は、アクセル開度に応じて目標車速が得られるようにトラクションインバータ14を制御し、トラクションモータ15の回転数及び回転トルクを調整する。
図2は、DC/DCコンバータ12の回路構成を示している。DC/DCコンバータ12は、上アーム側に配設されたNPNトランジスタTr1,Tr3と、下アーム側に配設されたNPNトランジスタTr2,Tr4から成るHブリッジ回路を備えている。各NPNトランジスタTr1〜Tr4のエミッタ−コレクタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1〜D4が接続されている。NPNトランジスタTr1とTr2との接続点と、NPNトランジスタTr3とTr4との接続点との間には、インダクタンスLが接続されている。DC/DCコンバータ12は、インバータとして使用することが可能なIPMである。説明の便宜上、スイッチング素子としてのNPNトランジスタTr1〜Tr4は4個しか示していないが、実際には6個配置されている。Hブリッジ回路の下アーム側には、NPNトランジスタTr2,Tr4の温度を検出するための温度センサS1,S2が配置されている。NPNトランジスタTr2,Tr4は、DC/DCコンバータ12をインバータとして使用するときに、最も熱損失が大きいスイッチング素子であるため、温度センサS1,S2は下アーム側に設置されている。温度センサS1,S2の検出温度は制御装置16に出力される。制御装置16は、各スイッチング素子のスイッチング制御を行って、DC/DCコンバータ12における電力変換を制御するとともに、温度センサS1,S2の検出温度に基づいて、NPNトランジスタTr1,Tr3の温度を推定し、各スイッチング素子の通過パワーを制限する。温度センサS1,S2の検出温度が所定の閾値温度を超えると、スイッチング素子が破損しないように、制御装置16はDC/DCコンバータ12の自己保護を実施する。
DC/DCコンバータ12の1次側の入出力端子は、二次電池11に接続されている。二次電池11から出力される直流電圧は、コンデンサC1によって平滑化されてDC/DCコンバータ12に供給される。一方、DC/DCコンバータ12の2次側の入出力端子は、二次側17に接続されている。二次側17は、上述した燃料電池13、トラクションインバータ14、及びトラクションモータ15を総称している。二次側17から出力される直流電圧は、コンデンサC2によって平滑化されてDC/DCコンバータ12に供給される。
燃料電池電気自動車10が燃料電池13だけでなく、二次電池11からも電力の供給を受けて力行走行するときは、図中の一点鎖線に示すように、NPNトランジスタTr1,Tr4を経由して電流が流れる。1次側の電圧よりも2次側の電圧の方が高いため、力行走行時では、NPNトランジスタTr1の熱損失よりもNPNトランジスタTr4の熱損失の方が大きく、NPNトランジスタTr4の温度がスイッチング素子の中でも最高温度を示す。NPNトランジスタTr4の温度は、温度センサS2によって直接検出することが可能であるため、温度センサS2の検出温度に基づいてスイッチング素子の通過パワーを制限すればよい。但し、力行走行中にスイッチング素子の通過パワー制限を厳しく実施する(通過パワー制限の開始温度を低めに設定する、或いは通過パワー制限の制限レートを大きくする)と、バッテリアシスト量が制限されるので、モータ出力が低下し、ドライバビリティに影響を与えてしまう。そこで、力行走行中におけるスイッチング素子の通過パワー制限は緩やかに実施する(通過パワー制限の開始温度を高めに設定する、或いは通過パワー制限の制限レートを小さくする)のが好ましい。ここで、通過パワー制限の制限レートとは、スイッチング素子の通過電力の上限値の低下度合(或いは低下幅)をいう。
一方、燃料電池電気自動車10が回生制動するときは、図中の二点鎖線に示すように、NPNトランジスタTr3,Tr2を経由して電流が流れる。1次側の電圧よりも2次側の電圧の方が高いため、回生制動時では、NPNトランジスタTr2の熱損失よりもNPNトランジスタTr3の熱損失の方が大きく、NPNトランジスタTr3の温度がスイッチング素子の中でも最高温度を示す。ところが、温度センサS1はNPNトランジスタTr2の温度を検出することはできても、NPNトランジスタTr3の温度を検出することはできない。その理由は上述したように、温度センサS1,S2の設置箇所は、DC/DCコンバータ12をインバータとして用いたときに素子温度が最高となるスイッチング素子の温度を検出できるように選定されているためである。そこで、制御装置16は、温度センサS1の検出温度を基にNPNトランジスタTr3の温度を推定し、スイッチング素子の通過パワー制限を厳しく実施する。より具体的には、NPNトランジスタTr3の温度は温度センサS1が示す検出温度よりも高いことを考慮して、通過パワー制限を実施する閾値温度を低めに設定する。閾値温度をどの程度に設定するかは、NPNトランジスタTr3の温度とNPNトランジスタTr2の温度の相関を事前に計測しておき、NPNトランジスタTr3が過熱されない程度にするのがよい。
尚、回生制動時におけるスイッチング素子の通過パワー制限を厳しく実施すると、二次電池11に蓄えることのできる回生電力量は低減するものの、油圧ブレーキの踏み込み量に応じた減速力は得られるので、ドライバビリティに影響を与えることはない。
本実施形態によれば力行走行時と回生制動時におけるスイッチング素子の通過パワー制限を最適化できるため、DC/DCコンバータ12の能力を最大限に発揮できる。また、全てのスイッチング素子に温度センサを設置しなくても、一部のスイッチング素子の温度から他のスイッチング素子の温度を推定し、通過パワー制限を実施するので、適切な温度管理が可能になる。また、力行走行時におけるスイッチング素子の通過パワー制限を緩やかに実施することで、ドライバビリティに与える影響を低減できる。
本実施形態の燃料電池電気自動車の電気系統の主要構成図である。 本実施形態の双方向DC/DCコンバータの回路図である。
符号の説明
10…燃料電池電気自動車 11…二次電池 12…DC/DCコンバータ 13…燃料電池 14…トラクションインバータ 15…トラクションモータ 16…制御装置 17…二次側 Tr1〜Tr4…トランジスタ D1〜D4…ダイオード L…インダクタンス S1〜S2…温度センサ

Claims (5)

  1. 一次側の入出力端子は第1の直流電源に接続され、二次側の入出力端子は第2の直流電源と電力回生可能な電力負荷とに並列接続される電圧変換装置であって、前記第1の直流電源の放電時には、前記第1の直流電源の出力電圧を昇圧して前記電力負荷に供給する一方で、前記第1の直流電源の充電時には、前記第2の直流電源の出力電圧又は前記電力負荷が回生した直流電圧を降圧して前記第1の直流電源を充電するスイッチング素子群と、前記第1の直流電源の放電時と充電時とで前記スイッチング素子群の通過電力の上限値を変更する制御装置とを備える、電圧変換装置。
  2. 請求項1に記載の電圧変換装置であって、前記スイッチング素子群は、上アーム側に配設されたスイッチング素子と、下アーム側に配設されたスイッチング素子とから成るHブリッジ回路を構成している、電圧変換装置。
  3. 請求項2に記載の電圧変換装置であって、前記上アーム側に配設されたスイッチング素子又は前記下アーム側に配設されたスイッチング素子の何れか一方の温度を検出する温度検出手段を更に備え、前記制御装置は、前記温度検出手段が検出した前記スイッチング素子の温度に基づいて、他のスイッチング素子の温度を推定し、前記スイッチング素子群の通過電力の上限値を変更する、電圧変換装置。
  4. 請求項1に記載の電圧変換装置であって、前記制御装置は、前記第1の直流電源の充電時よりも放電時の方が前記スイッチング素子群の通過電力の上限値の制限開始温度が高くなるように、或いは通過電力の上限値の制限レートが小さくなるように制御する、電圧変換装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の電圧変換装置であって、前記制御装置は、前記温度検出手段が検出した前記スイッチング素子の温度に基づいて、前記スイッチング素子群の通過電力の上限値の制限開始温度又は通過電力の上限値の制限レートを変更する、電圧変換装置。
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