以下、本発明の電気泳動表示用分散液およびその製造方法、ならびに電気泳動表示用マイクロカプセルおよびシートについて、詳細にかつ具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの説明に限定されることなく、下記の例示以外にも、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜変更して実施することができ、いずれも本発明の範囲内に包含される。
まず、本発明の電気泳動表示用分散液は、分散媒中に電気泳動粒子と非電気泳動粒子を含有する。
<電気泳動粒子>
本発明において、「電気泳動粒子」とは、分散液中で電気泳動性を有する固体粒子、つまり分散液中で正または負の大きい電荷を有し、外部電場に応答して前記分散液中を移動する平均的な距離が後述する非電気泳動粒子に比べて非常に大きい固体粒子を意味する。本発明においては、かかる平均的な移動距離は、後述する実施例に記載した方法で測定された電気泳動移動度(以下、単に「移動度」ということがある。)で表すものとする。具体的には、電気泳動粒子とは、電気泳動移動度が1.2×10-6cm2V-1sec-1以上である固体粒子を意味する。電気泳動粒子の移動度は、その下限が好ましくは1.5×10-6cm2V-1sec-1、より好ましくは2.0×10-6cm2V-1sec-1であり、また、その上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは5.0×10-6cm2V-1sec-1である。
電気泳動粒子として、分散液中で電気泳動性を有しない固体粒子を用いる場合には、従来公知の方法で電気泳動性を付与すればよい。電気泳動粒子を構成する固体粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、顔料粒子が用いられる。あるいは、染料で着色したポリマー粒子や顔料を含有させたポリマー粒子を用いてもよい。これらの固体粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの固体粒子のうち、顔料粒子が好ましい。
電気泳動粒子を構成する固体粒子に用いる顔料粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、白色系では、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、亜鉛華などの無機顔料;黄色系では、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、クロムイエロー、黄鉛などの無機顔料や、ファーストイエローなどの不溶性アゾ化合物類、クロモフタルイエローなどの縮合アゾ化合物類、ベンズイミダゾロンアゾイエローなどのアゾ錯塩類、フラバンスイエローなどの縮合多環類、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、ニトロ化合物、ピグメントイエローなどの有機顔料;橙色系では、モリブデートオレンジなどの無機顔料や、ベンズイミダゾロンアゾオレンジなどのアゾ錯塩類、ベリノンオレンジなどの縮合多環類などの有機顔料;赤色系では、ベンガラ、カドミウムレッドなどの無機顔料や、マダレーキなどの染色レーキ類、レーキレッドなどの溶解性アゾ化合物類、ナフトールレッドなどの不溶性アゾ化合物類、クロモフタルスカーレッドなどの縮合アゾ化合物類、チオインジゴボルドーなどの縮合多環類、シンカシヤレッドY、ホスタパームレッドなどのキナクリドン顔料、パーマネントレッド、ファーストスローレッドなどのアゾ系顔料などの有機顔料;紫色系では、マンガンバイオレットなどの無機顔料や、ローダミンレーキなどの染色レーキ類、ジオキサジンバイオレットなどの縮合多環類などの有機顔料;青色系では、紺青、群青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの無機顔料や、フタロシアニンブルーなどのフタロシアニン類、インダンスレンブルーなどのインダンスレン類、アルカリブルーなどの有機顔料;緑色系では、エメラルドグリーン、クロームグリーン、酸化クロム、ビリジアンなどの無機顔料や、ニッケルアゾイエローなどのアゾ錯塩類、ピグメントグリーン、ナフトールグリーンなどのニトロソ化合物類、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン類などの有機顔料;黒色系では、カーボンブラック、チタンブラック、鉄黒などの無機顔料や、アニリンブラックなどの有機顔料;などから構成される粒子が挙げられる。これらの顔料粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの顔料粒子のうち、酸化チタンなどの白色系の顔料粒子や、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色系の顔料粒子が好ましい。
なお、酸化チタンの微粒子を用いる場合、その種類は、特に限定されるものではなく、一般に白色系の顔料として用いられるものであれば、例えば、ルチル型またはアナターゼ型のいずれでもよいが、酸化チタンの光触媒活性による着色剤の退色などを考えた場合、光触媒活性の低いルチル型であることが好ましく、さらに光触媒活性を低減させるために、Si処理、Al処理、Si−Al処理、Zn−Al処理などを施した酸化チタンであれば、より好ましい。
電気泳動粒子を構成する固体粒子にポリマー粒子を用いる場合、その構成ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、ポリハロゲン化オレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、メラミン系ポリマー、尿素系ポリマーなどが挙げられる。ここで、「ポリマー」とは、ホモポリマーだけでなく、少量の共重合可能な他のモノマーを共重合させたコポリマーを含むものとする。これらのポリマー粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのポリマー粒子を着色する染料としては、特に限定されるものではないが、例えば、下記の分散媒に添加しうる染料として列挙した下記の染料が挙げられる。また、これらのポリマー粒子に含有させる顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記の電気泳動粒子を構成する固体粒子に用いる顔料として列挙した上記の顔料が挙げられる。
分散液中における電気泳動粒子の濃度(分散液の質量に対する粒子の質量%)は、その下限が好ましくは1質量%、より好ましくは2質量%、さらに好ましくは5質量%であり、また、その上限が好ましくは25質量%、より好ましくは23質量%、さらに好ましくは20質量%である。電気泳動粒子の濃度が1質量%未満であると、充分な色度が得られず、コントラストが低下して、表示が不鮮明になることがある。逆に、電気泳動粒子の濃度が25質量%を超えると、分散液の粘度が高くなり、分散処理が困難になることや、表示のために電圧を印加した部分で、電気泳動粒子の凝集が生じて、その応答速度(表示応答性)が低下することがある。
電気泳動粒子の粒子径(体積平均粒子径)は、特に限定されるものではないが、その下限が好ましくは0.1μm、より好ましくは0.2μm、また、その上限が好ましくは5μm、より好ましくは3μmである。粒子径が0.1μm未満であると、充分な色度が得られず、コントラストが低下して、表示が不鮮明になることがある。逆に、粒子径が5μmを超えると、粒子自体の着色度を必要以上に高くする必要があり、顔料などの使用量が増大することや、表示のために電圧を印加した部分で、電気泳動粒子の速やかな移動が困難となり、その応答速度(表示応答性)が低下することがある。
電気泳動粒子は、電気泳動表示用分散液に用いる分散媒に、そのまま分散させてもよいが、その表面にカップリング剤を反応させたり、その表面をポリマーで被覆したりして、表面処理を行ってから分散させてもよい。この場合、電気泳動粒子を構成する固体粒子が顔料粒子であって、前記顔料粒子がカップリング剤またはポリマーで表面処理されていることが好ましい。なお、本発明では、このように表面処理された電気泳動粒子を単に電気泳動粒子と呼ぶことがある。
表面処理された電気泳動粒子は、電気泳動粒子として単離してもよいし、電気泳動表示液に用いる分散媒と同じ種類の分散媒を表面処理に用いた場合には、表面処理した後に得られた分散液を、そのままで、あるいは適宜分散媒を添加して充分に混合するなどしてから、電気泳動表示用分散液の製造に用いればよい。なお、電気泳動粒子を単離するには、例えば、表面処理した後に得られた分散液を遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを電気泳動粒子として回収すればよい。さらに、こうして得られた電気泳動粒子を分散媒に再分散し、遠心分離し、そして沈降物のみを回収するという操作を少なくとも1回、好ましくは複数回、より好ましくは3回またはそれ以上行って、電気泳動粒子を洗浄してもよい。遠心分離の条件は、使用する機器に応じて適宜設定すればよく、特に限定されることはないが、微細な粉体の分散液を遠心分離して沈降した粉体を回収する際に用いられる通常の条件、例えば、10,000Gで15〜30分間を用いればよい。
<カップリング剤>
電気泳動粒子の表面に反応させるカップリング剤としては、帯電性基を有するカップリング剤や長鎖アルキル基を有するカップリング剤、あるいは、帯電性基と長鎖アルキル基を有するカップリング剤を用いることができる。帯電性基を有するカップリング剤を用いれば、電気泳動粒子の帯電性を高めて、表示のために電圧を印加した部分で、電気泳動粒子の速やかな移動が容易になり、その応答速度(表示応答性)が高くなるという効果が得られ、長鎖アルキル基を有するカップリング剤を用いれば、電気泳動粒子の分散媒中への分散性が向上するという効果が得られる。帯電性基を有するカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、ジアミノシラン、N−アミノエチル−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリアミノプロピル−トリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリ(2−メトキシエトキシ)シラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキシエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルクロロシラン、ジメチルビニルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルクロロジシラン、トリフェニルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシランヘキサメチルジシラザン、イソプロピルトリ(n−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのカップリング剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長鎖アルキル基を有するカップリング剤としては、例えば、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルドデシルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピネートなどが挙げられる。これらのカップリング剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのカップリング剤のうち、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルドデシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、ヘキサデシルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどが好ましい。
帯電性基と長鎖アルキル基を有するカップリング剤としては、例えば、オクタデシルジメチル−3−(トリメトキシリル)プロピルアンモニウムクロライド、ドデカフルオロオクチルトリクロロシラン、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピル(ジオクチルスルフェート)チタネートなどが挙げられる。これらのカップリング剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのカップリング剤のうち、オクタデシルジメチル−3−(トリメトキシリル)プロピルアンモニウムクロライド、ドデカフルオロオクチルトリクロロシランなどが好ましい。
電気泳動粒子の表面にカップリング剤を反応させる方法としては、例えば、超音波浴槽内に分散媒と電気泳動粒子とカップリング剤を仕込み、攪拌しながら超音波分散する方法や、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドグラインドミルなどの分散装置を用いて分散する方法、Vブレンダーなどで分散媒と電気泳動粒子を強制攪拌しながら、カップリング剤を乾燥空気や窒素ガスで噴霧する乾式法、分散媒に電気泳動粒子を適当に分散させてスラリー状にしたところにカップリング剤を添加する湿式法、予め加温した分散媒と電気泳動粒子を激しく攪拌しながらカップリング剤をスプレーするスプレー法などが挙げられる。
<被覆ポリマー>
電気泳動粒子の表面をポリマーで被覆すれば、電気泳動粒子の分散媒中への分散性および耐湿性が向上するという効果が得られる。電気泳動粒子の表面を被覆するポリマーとしては、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、ポリハロゲン化オレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、メラミン系ポリマー、尿素系ポリマーなどが挙げられる。ここで、「ポリマー」とは、ホモポリマーだけでなく、少量の共重合可能な他のモノマーを共重合させたコポリマーを含むものとする。これらのポリマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
特に、電気泳動粒子の表面をラジカル重合により形成されるポリマーで被覆する場合には、反応性基を有する重合性モノマー、帯電性基を有する重合性モノマー、長鎖アルキル基を有する重合性モノマー、その他の重合性モノマーを用いることができる。
反応性基を有する重合性モノマーとしては、例えば、下記式:
などで示されるアジリジン基を有する重合性モノマー;2−ビニル−2−オキサゾリジン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリジン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリジン、2−ビニル−4−エチル−2−オキサゾリジン、2−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリジン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリジン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリジン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリジン、2−イソプロペニル−4−エチル−2−オキサゾリジン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリジン、2−イソプロペニル−4,5−ジメチル−2−オキサゾリジンなどのオキサゾリジン基を有する重合性モノマー;アクリル酸アミド、メタクリル酸アミド;N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド、N−ヒドロキシイソブチルアクリルアミド、N−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシシクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシブチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシイソブチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリルアミドなどのN−ヒドロキシアルキルアミド基を有する重合性モノマー;下記式:
などで示されるエポキシ基を有する重合性モノマー;下記式:
などで示されるチオエポキシ基(エピスルフィド基)を有する重合性モノマー;下記式:
などで示されるイソシアナト基を有する重合性モノマー;などが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
帯電性を有する重合性モノマーとしては、例えば、クロルスチレン、スチレンスルホン酸、アクリル酸、アクリル酸トリフルオロエチレン、アクリル酸ニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸トリフルオロエチレン、メタクリル酸ニトリル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸tert−ブチルアミノエチル、アクリ酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸クロロヒドロキシプロピル、メタクリル酸クロロヒドロキシプロピル、アクリル酸トリクロロエチル、メタクリル酸トリクロロエチルなどが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
長鎖アルキル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸ノナデシル、アクリル酸アラキル、アクリル酸ベヘニル、アクリル酸ヘプタシル、アクリル酸ノナシル、アクリル酸ドテリアシル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸ノナデシル、メタクリル酸アラキル、メタクリル酸ベヘニル、メタクリル酸ヘプタシル、メタクリル酸ノナシル、メタクリル酸ドデリアシルなどが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
その他の重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレンなどのスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチルなどが挙げられる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
電気泳動粒子の表面をポリマーで被覆する方法としては、例えば、適当な溶媒に電気泳動粒子を構成する固体粒子を分散させた状態で、上記のような重合性モノマーを懸濁重合させる方法などが挙げられる。この場合、懸濁重合に先立って、固体粒子の表面を上記のようなカップリング剤で処理しておけば、固体粒子の表面で重合性モノマーを効率よく反応させることができるので好ましい。
<非電気泳動粒子>
本発明において、「非電気泳動粒子」とは、分散液中で電気泳動性を有しない固体粒子、つまり分散液中で電荷を有しないか、あるいは正または負の小さい電荷を有するが、外部電場に応答して前記分散液中を実質的に移動しないか、あるいは前記分散液中を移動したとしても、その平均的な移動距離が前述した電気泳動粒子に比べて非常に小さく、分散液中における分散性が高い固体粒子を意味する。本発明においては、かかる平均的な移動距離は、後述する実施例に記載した方法で測定された電気泳動移動度(以下、単に「移動度」ということがある。)で表すものとする。具体的には、非電気泳動粒子とは、電気泳動移動度が1.2×10-6cm2V-1sec-1未満である固体粒子を意味する。非電気泳動粒子の移動度は、好ましくは1.0×10-6cm2V-1sec-1未満であり、より好ましくは0.0×10-6cm2V-1sec-1である。
非電気泳動粒子として、分散液中で電気泳動性を有する固体粒子を用いる場合には、従来公知の方法で電気泳動性を除去すればよい。非電気泳動粒子は、分散液中において、電気泳動粒子と光学的特性または色調が異なっていることが望ましい。非電気泳動粒子を構成する固体粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、顔料粒子が用いられる。あるいは、染料で着色したポリマー粒子や顔料を含有させたポリマー粒子を用いてもよい。これらの固体粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの固体粒子のうち、顔料粒子が好ましい。
非電気泳動粒子を構成する固体粒子に用いる顔料粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記の電気泳動粒子を構成する固体粒子に用いる顔料として列挙した上記の顔料が挙げられる。これらの顔料粒子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの顔料粒子のうち、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色系の顔料粒子や、フタロシアニンブルーなどの青色系の顔料粒子が好ましい。なお、顔料粒子自体が分散媒中で帯電性を示す場合は、顔料粒子表面をポリマーで被覆するか、あるいは上記のようなポリマー粒子化などの方法により、帯電性を制御すればよい。
非電気泳動粒子を構成する固体粒子にポリマー粒子を用いる場合、その構成ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、上記の電気泳動粒子を構成する固体粒子にポリマー粒子を用いる場合に関連して列挙した上記のポリマーが挙げられる。これらのポリマー粒子を着色する染料としては、特に限定されるものではないが、例えば、黄色系染料として、オイルイエロー3G(オリエント化学社製)などのアゾ化合物類;橙色系染料として、ファーストオレンジG(BASF社製)などのアゾ化合物類;青色系染料として、マクロレックスブルーRR(バイエル社製)などのアントラキノン類;緑色系染料として、スミプラストグリーンG(住友化学社製)などのアントラキノン類;茶色系染料として、オイルブラウンGR(オリエント化学社製)などのアゾ化合物類;赤色系染料として、オイルレッド5303(有本化学社製)およびオイルレッド5B(オリエント化学社製)などのアゾ化合物類;紫色系染料として、オイルバイオレット#730(オリエント化学社製)などのアントラキノン類;黒色系染料として、スーダンブラックX60(BASF社製)などのアゾ化合物や、アントラキノン系のマクロレックスブルーFR(バイエル社製)とアゾ系のオイルレッドXO(カントー化学社製)の混合物が挙げられる。これらの染料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、これらのポリマー粒子に含有させる顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば、上記の電気泳動粒子を構成する固体粒子に用いる顔料として列挙した上記の顔料が挙げられる。
電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比は、その下限が好ましくは0.02以上、より好ましくは0.04以上、さらに好ましくは0.1以上であり、また、その上限が5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下である。質量比が0.02未満であると、電気泳動粒子の割合が多すぎて、表示のために電圧を印加した部分で、電気泳動粒子の凝集が生じて、その応答速度(表示応答性)が低下することや、コントラストが低下して、表示が不鮮明になることがある。逆に、質量比が5を超えると、非電気泳動粒子の割合が多すぎて、電気泳動粒子の移動が困難になることや、やはりコントラストが低下して、表示が不鮮明になることがある。
非電気泳動粒子の粒子径(体積平均粒子径)は、特に限定されるものではないが、その下限が好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上であり、また、その上限が好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。粒子径が0.1μm未満であると、コントラストが低下して、表示が不鮮明にあることがある。逆に、粒子径が5μmを超えると、粒子自体の着色度を必要以上に高くする必要があり、顔料などの使用量が増大することや、表示のために電圧を印加した部分で、電気泳動粒子の速やかな移動が困難となり、その応答速度(表示応答性)が低下することがある。
非電気泳動粒子は、分散液中における分散性を高めるために、数平均分子量2,000以上のポリマーをグラフトさせた固体粒子であることが重要である。なお、本発明において、「ポリマーをグラフトさせた」とは、予め通常の重合反応によって、固体粒子の表面官能基と反応し得る反応性基を有するポリマーを合成しておき、得られたポリマーの前記反応性基を固体粒子の前記表面官能基と反応させて、前記ポリマーを前記固体粒子の表面に付加することを意味する。このような方法は、ポリマーグラフト処理とも呼ばれ、反応条件を選択することによってポリマーの分子量を調整することが容易であり、また、付加すべきポリマーで固体粒子を直接処理するので、非常に効率よく処理することができるという利点を有する。
これに対して、いわゆるグラフト重合処理は、固体粒子の表面を、重合性基(例えば、ビニル基)を有するカップリング剤で処理した後、重合性モノマーを添加して、前記カップリング剤の重合性基と反応させることにより、前記固体粒子の表面に成長反応によりポリマーを生成さる方法である。グラフト重合処理は、本発明に用いるポリマーグラフト処理とは本質的に異なる方法であり、固体粒子の表面に存在する重合性基が立体障害によって重合性モノマーと反応する(接触する)確率が非常に低く、分子量の大きいポリマーを生成することができず、また、固体粒子の表面以外における重合性モノマー同士の反応が先行して、遊離のポリマーが多く生成するという問題点を有する。
<ポリマーグラフト処理>
一般に、顔料粒子などの固体粒子の表面には、ヒドロキシ基、カルボキシ基、キノン型酸素、アミノ基、ハロゲン基などの表面官能基が存在することが知られており、前記表面官能基と反応し得る反応性基を有する反応性ポリマーを固体粒子の前記表面官能基に反応させることにより、前記固体粒子の表面に前記反応性ポリマーを付加する(グラフトさせる)ことができる。
ポリマーグラフト処理に用いるポリマー、すなわち非電気泳動粒子を構成する固体粒子にグラフトするポリマーは、数平均分子量が2,000以上であり、かつ前記固体粒子の表面官能基と反応し得る反応性基を有する反応性ポリマーであれば、特に限定されるものではない。このような反応性ポリマーとしては、例えば、エポキシ基、チオエポキシ基(エピスルフィド基)、アジリジン基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシアルキルアミド基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基、トリクロロシリル基、イソシアナト基およびヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種の反応性基を有する、例えば、ポリオレフィン系ポリマー、ポリハロゲン化オレフィン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー、エポキシ系ポリマー、メラミン系ポリマー、尿素系ポリマーなどが挙げられる。ここで、「ポリマー」とは、ホモポリマーだけでなく、少量の共重合可能な他のモノマーを共重合させたコポリマーを含むものとする。これらの反応性ポリマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
ポリマーグラフト処理に用いる反応性ポリマーを得る方法としては、例えば、(1)上記のような反応性基を有する重合性モノマー(以下「モノマーA」という)を、単独または2種以上を併用して、あるいは必要に応じて他の重合性モノマー(以下「モノマーB」という)と共に、重合させる方法;(2)上記のような反応性基を有する化合物(以下「化合物C」という)を、化合物Cと反応し得る官能基を有するポリマー(以下「ポリマーD」という)に反応させて、上記のような反応性基をポリマーDに導入する方法;(3)上記のような反応性基以外の官能基を有するポリマー(以下「ポリマーE」という)を、従来公知の方法を用いて、上記のような反応性基を有する反応性ポリマーに変換する方法などが挙げられる。これらの方法のうち、反応工程が少なく、調製が比較的容易である点で、方法(1)が好ましい。
方法(1)に用いることができるモノマーAとしては、例えば、下記式:
(ただし、これらの式中、R1は水素またはメチル基を表し、nは0または1〜20の整数である)などで示されるエポキシ基を含有する重合性モノマー;
(ただし、これらの式中、R1は水素またはメチル基を表し、nは0または1〜20の整数である)などで示されるチオエポキシ基(エピスルフィド基)を含有する重合性モノマー;
などで示されるアジリジン基を含有する重合性モノマー;2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4,5−ジメチル−2−オキサゾリンなどのオキサゾリン基を含有する重合性モノマー;N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド、N−ヒドロキシイソブチルアクリルアミド、N−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシシクロヘキシルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシブチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシイソブチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシ−2−エチルヘキシルメタクリルアミド、N−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリルアミドなどのN−ヒドロキシアルキルアミド基を含有する重合性モノマー;γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどのジアルコキシシリル基を有する重合性モノマー;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシエトキシプロピルトリメトキシシラン(γ−トリメトキシシリルプロピル−β−メタクリロキシエチルエーテルともいう。)などのトリアルコキシシリル基を有する重合性モノマー;ビニルトリクロルシランなどのトリクロロシリル基を有する重合性モノマー;2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレートなどのイソシアナト基を有する重合性モノマー;アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、2−ヒドロキシプロパン(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ‐2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ‐3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ‐3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2−ビス(2−ヒドロキシ‐3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)エタン、1,2−ビス(2−ヒドロキシ‐3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシ‐3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)プロパン、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ‐3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)‐3,5−ジブロモフェニル]プロパン、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基を有する重合性モノマー;など挙げることができる。これらの重合性モノマーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
方法(1)において必要に応じて用いることができるモノマーBとしては、モノマーAと共重合するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレンなどのスチレン系モノマー;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリルなどのアクリル酸またはメタアクリル酸系モノマー;エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。これらのモノマーBは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
方法(1)によって反応性基を有する反応性ポリマーを得るには、モノマーAを、単独または2種以上を併用して、あるいは必要に応じてモノマーBと共に、従来公知の重合方法、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、沈殿重合法、溶液重合法などによって重合すればよい。
方法(2)に用いることができる化合物Cとしては、例えば、上記反応性基の1種を2個以上有する化合物(以下「化合物C−1」という)、前記反応性基の2種以上を有する化合物(以下「化合物C−2」という)、上記反応性基の1種以上と上記反応性基以外の官能基を有する化合物(以下「化合物C−3」という)などを挙げることができる。ここで、「上記反応性基以外の官能基」とは、エポキシ基、チオエポキシ基(エピスルフィド基)、アジリジン基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシアルキルアミド基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基、トリクロロシリル基、イソシアナト基およびヒドロキシ基以外の官能基であって、かつ後述のポリマーDに含まれる官能基と反応し得るものであり、例えば、アミノ基、カルボキシ基、ビニル基、ハロゲン基などが挙げられる。
方法(2)におけるポリマーDとは、化合物C(例えば、化合物C−1、化合物C−2、化合物C−3)と反応し得る官能基を有するビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリエーテルなどが挙げられる。化合物Cと反応し得る官能基としては、例えば、ヒドロキシ基(フェノール性ヒドロキシ基を含む)、カルボキシ基、キノン基、アミノ基、エポキシ基などを挙げることができる。これらの官能基を有するポリマーDは、ラジカル重合、重縮合などの従来公知の重合手段で容易に得ることができる。
方法(2)によって反応性基を有する反応性ポリマーを得るには、化合物CとポリマーDを前記反応性基の少なくとも1個が未反応で残存する条件を選択して反応させればよい。
方法(3)におけるポリマーEとは、エポキシ基、チオエポキシ基(エピスルフィド基)、アジリジン基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシアルキルアミド基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基、トリクロロシリル基、イソシアナト基またはヒドロキシ基に変換し得る官能基、例えば、ビニル基、カルボキシ基、クロロヒドリン基、グリコール基などを有するポリマーである。これらのポリマーEは、従来公知の方法により、容易にエポキシ基、チオエポキシ基(エピスルフィド基)、アジリジン基、オキサゾリン基、N−ヒドロキシアルキルアミド基、ジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基、トリクロロシリル基、イソシアナト基および/またはヒドロキシ基を有する反応性ポリマーに変換することができる。
ポリマーグラフト処理に用いる反応性ポリマーは、分散液に用いる分散媒に対して親和性を有することが好ましい。このようなポリマーをグラフトさせた固体粒子である非電気泳動粒子は、分散液中で実質的に電気泳動せず、前記分散液中で実質的に均一分散していることが望ましいからである。なお、反応性ポリマーが分散媒に対して親和性を有するかどうかは、反応性ポリマーの分散媒に対する溶解性を測定すれば判定できる。本発明において、「分散媒に対して親和性を有する」とは、分散媒100gに対して反応性ポリマーが1g以上、好ましくは5g以上、より好ましくは10g以上溶解することを意味する。
ポリマーグラフト処理に用いる反応性ポリマーは、上記のように比較的広範囲な数平均分子量を有するものを用いることができる。なお、本発明において、「数平均分子量」とは、ゲル浸透クロマトグラフ/多角度レーザー光散乱検出器(GPC−MALLS)により測定して得られた値を意味する。反応性ポリマーの数平均分子量は、その下限が2,000、好ましくは2,500、より好ましくは3,000、さらに好ましくは5,000であり、また、その上限は特に限定されるものではないが、通常、1,000,000程度で充分であり、好ましくは500,000、より好ましくは200,000、さらに好ましくは100,000である。反応性ポリマーの数平均分子量が2,000未満であると、分散液中における非電気泳動粒子の分散安定性が低下することがある。逆に、反応性ポリマーの数平均分子量が必要以上に大きくなると、ポリマーの取り扱いが困難であることや、固体粒子に対するポリマーの反応性が低下することがある。
ポリマーグラフト処理に用いる反応性ポリマーが1分子あたりに有する反応性基の数は、1分子あたりの平均数として、少なくとも1個であればよいが、その上限は好ましくは5個程度、より好ましくは3個程度である。
ポリマーグラフト処理は、例えば、分散媒に固体粒子と反応性ポリマーを配合し、加熱下で分散処理を行えばよい。ポリマーグラフト処理に用いる分散媒としては、固体粒子や反応性ポリマーの種類などに応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、分散液に用いる分散媒と同じ種類の分散媒を用いることが好ましい。このような分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、分散液に用いる分散媒として列挙した下記の分散媒が挙げられる。
固体粒子に対する反応性ポリマーの配合割合は、反応性ポリマーの種類などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、その下限が、固体粒子100質量部に対して、好ましくは5質量部、より好ましくは20質量部であり、また、その上限が、固体粒子100質量部に対して、好ましくは100質量部、より好ましくは80質量部である。反応性ポリマーの配合割合が5質量部未満であると、固体粒子に充分な量のポリマーをグラフトさせることができず、分散液中における非電気泳動粒子の分散安定性が低下することがある。逆に、反応性ポリマーの配合割合が100質量部を超えると、固体粒子にグラフトするポリマー量が多くなり、固体粒子本来の特性を損ない、コントラストが低下して、表示が不鮮明になることがある。
分散処理に際しての加熱温度は、固体粒子や反応性ポリマーの種類などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、その下限が好ましくは50℃、より好ましくは80℃、さらに好ましくは100℃であり、また、その上限が好ましくは250℃、より好ましくは220℃、さらに好ましくは200℃である。
分散処理は、例えば、固体粒子に適当な剪断応力を加えながら、加熱下で固体粒子と反応性ポリマーを攪拌混合すればよい。
ポリマーグラフト処理された固体粒子は、非電気泳動粒子として単離してもよいし、電気泳動表示用分散液に用いる分散媒と同じ種類の分散媒をポリマーグラフト処理に用いた場合には、ポリマーグラフト処理した後に得られた分散液を、そのままで、あるいは適宜分散媒を添加して充分に混合するなどしてから、電気泳動表示用分散液の製造に用いればよい。なお、非電気泳動粒子を単離するには、例えば、ポリマーグラフト処理した後に得られた分散液を遠心分離し、上澄み液は捨てて沈降物のみを非電気泳動粒子として回収すればよい。さらに、こうして得られた非電気泳動粒子を分散媒に再分散し、遠心分離し、そして沈降物のみを回収するという操作を少なくとも1回、好ましくは複数回、より好ましくは3回またはそれ以上行って、非電気泳動粒子を洗浄してもよい。遠心分離の条件は、非電気泳動粒子に応じて適宜設定すればよく、特に限定されることはない。
<分散媒>
電気泳動粒子および非電気泳動粒子を分散させる分散媒としては、従来から電気泳動表示装置用分散液に用いられている分散媒であれば、特に限定されるものではないが、好ましくは有機溶媒が用いられる。
分散液に用いる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、混合キシレン、エチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼン、フェニルキシリルエタンなどのベンゼン系炭化水素などの芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−デカンなどのパラフィン系炭化水素、アイソパー(Isopar、エクソン化学社製)などのイソパラフィン系炭化水素、1−オクテン、1−デセンなどのオレフィン系炭化水素、シクロヘキサン、デカリンなどのナフテン系炭化水素などの脂肪族炭化水素類;ケロシン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、工業ガソリン、コールタールナフサ、石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油や石炭由来の炭化水素混合物;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロフルオロエタン、テトラブロモエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、テトラフルオロジヨードエタン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレン、クロロブタン、クロロシクロヘキサン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードメタン、ジヨードメタン、ヨードホルムなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルシリコンオイル、メチルフェニルシリコンオイルなどのシリコンオイル類;ハイドロフルオロエーテルなどのフッ素系溶剤;などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機溶媒のうち、沸点および引火点が高く、毒性もほとんどないことから、ヘキシルベンゼン、ドデシルベンゼンなどの長鎖アルキルベンゼン、フェニルキシリルエタンなどが好ましい。
分散液に用いる分散媒には、必要に応じて、染料、分散剤、電荷制御剤、粘性調整剤などを添加してもよい。
<分散剤>
分散剤は、例えば、電気泳動粒子および非電気泳動粒子の分散安定性をさらに向上させる目的で用いられる。分散媒に添加しうる分散剤としては、通常、分散媒中における粒子の分散を補助するために用いることのできる分散剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば、分散媒に溶解可能なアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ソルビタンセスキオレートなどのソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤、ブロック型ポリマーおよびグラフト型ポリマーなどの分散剤や、各種カップリング剤などが挙げられる。これらの分散剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
分散剤を用いる場合、その使用量は、特に限定されるものではないが、通常、分散媒100質量部に対して、その下限が好ましくは0.1質量部、より好ましくは0.2質量部、さらに好ましくは0.5質量部であり、また、その上限が好ましくは10質量部、より好ましくは8質量部、さらに好ましくは5質量部である。分散剤の使用量が0.1質量部未満であると、粒子を分散させる効果が小さいことがある。逆に、分散剤の使用量が10質量部を超えると、粒子を分散させる効果が飽和すると共に、必要以上に分散剤を用いることなり、製造コストが上昇することになる。
<粘性調整剤>
粘性調整剤は、例えば、電気泳動粒子および非電気泳動粒子の沈降を防止する目的で用いられる。分散媒に添加しうる粘性調整剤としては、ディスパロン101(楠本化成社製)などの植物油重合系化合物、ディスパロン3350(楠本化成社製)などのポリエーテル・エステル型界面活性剤、ディスパロン305(楠本化成社製)などの水添ひまし油系化合物、ディスパロン6500(楠本化成社製)などの脂肪族アマイドワックス系、ベントン760(エレメンティス社製)の有機変性スメクタントなどが挙げられる。これらの粘性調整剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
粘性調整剤を用いる場合、その使用量は、特に限定されるものではないが、通常、分散媒100質量部に対して、その下限が好ましくは0.01質量部、より好ましくは0.05質量部、さらに好ましくは0.1質量部であり、また、その上限が好ましくは10質量部、より好ましくは5質量部、さらに好ましくは1質量部である。粘性調整剤の使用量が0.01質量部未満であると、粘性を調整する効果が少ないことがある。逆に、粘性調整剤の使用量が10質量部を超えると、分散液の粘性が高くなりすぎることがある。
<電気泳動表示用分散液の製造>
本発明の電気泳動表示用分散液は、分散媒中に電気泳動粒子と非電気泳動粒子を分散させることにより製造される。
電気泳動粒子は、前述したように、固体粒子をそのまま用いてもよいし、固体粒子をカップリング剤またはポリマーで表面処理したものを用いてもよい。電気泳動粒子を構成する固体粒子およびその表面処理の方法については、前述したとおりである。電気泳動粒子は、単離して粉体状で用いてもよいし、所定の分散媒中に前記電気泳動粒子を含有する分散液として用いてもよい。後者の場合、分散液は、主として電気泳動粒子と分散媒を含有する混合物を意味し、粘度の低い液体状から粘度の高いスラリー状までのいかなる形態であってもよい。かかる分散液に用いる分散媒は、電気泳動表示用分散液に用いる分散媒と同じ種類の分散媒であることが好ましい。
非電気泳動粒子は、前述したように、固体粒子に数平均分子量2,000以上のポリマーをグラフトさせることにより調製される。非電気泳動粒子を構成する固体粒子およびそのポリマーグラフト処理については、前述したとおりである。
分散媒中に電気泳動粒子と非電気泳動粒子を分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、予め調製した電気泳動粒子と予め調製した非電気泳動粒子を所定の分散媒に各々添加した後、分散処理を行って製造する方法、所定の分散媒中に電気泳動粒子を含有する分散液を予め調製したおき、この分散液に予め調製した非電気泳動粒子を添加した後、分散処理を行って製造する方法、所定の分散媒中に非電気泳動粒子を含有する分散液を予め調製しておき、この分散液に予め調製した電気泳動粒子を添加した後、分散処理を行って製造する方法、所定の分散媒中に電気泳動粒子を含有する分散液と、所定の分散媒中に非電気泳動粒子を含有する分散液を予め調製しておき、両方の分散液を充分に混合して製造する方法などが挙げられる。なお、分散処理または混合は、従来公知のいかなる手段を用いて行ってもよく、特に限定されるものではないが、例えば、機械的な攪拌、振盪、超音波照射などを利用することが挙げられる。
かくして得られた電気泳動表示用分散液は、好ましくはマイクロカプセル型電気泳動表示装置に用いられる。この場合、従来公知の方法を用いて、例えば、カプセル殻体に電気泳動表示用分散液を内包させて電気泳動表示用マイクロカプセルとし、これを含む層を基材シート上に形成して電気泳動表示用シートを得た後、これに別の基材シートを貼着すればよい。
<カプセル殻体>
本発明の電気泳動表示用マイクロカプセルは、カプセル殻体に上記のような電気泳動表示用分散液を内包してなる。なお、以下では、電気泳動表示用マイクロカプセルを単にマイクロカプセルということがある。
マイクロカプセルを構成するカプセル殻体は、従来公知のマイクロカプセルにおけるカプセル殻体と同様の材料を用いて形成することができる。例えば、マイクロカプセルをコアセルベーション法で製造する場合は、ゼラチンなどの等電点を有する化合物やポリエチレンイミンなどのカチオン性化合物と、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、デンプンのフタル酸エステル、ポリアクリル酸などのアニオン性化合物との組合せが好適である。マイクロカプセルをIn−situ重合法で製造する場合は、メラミン−ホルマリン樹脂(メラミン−ホルマリンプレポリマー)、ラジカル重合性モノマーなどが好適である。マイクロカプセルを界面重合法で製造する場合は、ポリアミン、グリコール、多価フェノールなどの親水性モノマーと、多塩基酸ハライド、多価イソシアナートなどの疎水性モノマーとの組合せが好適であり、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素などからなるカプセル殻体が形成される。
カプセル殻体を製造する際に架橋剤を用いれば、耐久性に優れたカプセル殻体を有するマイクロカプセルを得ることができる。架橋剤としては、例えば、ホルマリンやグリオキサールなどのアルデヒド化合物、尿素やチオ尿素などの尿素化合物、メラミンやメチロール化メラミンなどのメラミン化合物、多官能性エポキシ化合物、多官能性オキサゾリン化合物、水分散型イソシアナート化合物、エチレンジアミンやポリエチレンイミンなどの多価アミン化合物などが挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
<マイクロカプセル>
マイクロカプセルの形状は、特に限定されるものではないが、球形などの粒子状であることが好ましい。マイクロカプセルが粒子状である場合、その粒子径(体積平均粒子径)は、その下限が好ましくは20μm、より好ましくは30μmであり、また、その上限が好ましくは200μm、より好ましくは150μmである。粒子径が20μm未満であると、電気泳動表示装置に用いた場合に、表示部分において充分な表示濃度が得られず、表示特性が低下することがある。逆に、粒子径が200μmを超えると、マイクロカプセルの機械的強度が不充分となり、マイクロカプセルの割れが多くなることがある。
マイクロカプセルを構成するカプセル殻体の厚みは、特に限定されるものではないが、その下限が好ましくは0.1μm、より好ましくは0.5μmであり、また、その上限が好ましくは5μm、より好ましくは3μmである。カプセル殻体の厚みが0.1μm未満であると、マイクロカプセルの機械的強度が不充分となり、マイクロカプセルの割れが多くなることがある。逆に、カプセル殻体の厚みが5μmを超えると、マイクロカプセルの透明性が低下して、表示が不鮮明になることや、マイクロカプセルの柔軟性が低下して、基材シートに対する密着性が不充分となることがある。
マイクロカプセルの粒度分布は、特に限定されるものではないが、最大ピーク粒子径(マイクロカプセルの体積を基準とした粒子径頻度分布における最大ピークに対応する粒子径)を中心として、その前後、前記最大ピーク粒子径の40%に相当する粒子径長さの粒子径範囲に、好ましくは80体積%以上、より好ましくは85体積%以上のマイクロカプセルが存在する粒径分布である。前記粒子径範囲に80体積%未満のマイクロカプセルが存在するような粒度分布であると、マイクロカプセルを分散させた塗工液を調製して、基材シートに塗工した場合に、マイクロカプセルが一層に塗布されずに、部分的に二層以上の多層となることがある。
<マイクロカプセルの製造>
マイクロカプセルは、従来公知の製造法により得ることができる。マイクロカプセルの製造法としては、特に限定されるものではないが、例えば、コアセルベーション法(相分離法)、液中乾燥法、融解分解冷却法、スプレードライング法、パンコーティング法、気中懸濁液被覆法、粉床法などのいわゆる界面沈積法や、界面重合法、In−situ重合法、液中硬化被膜(被覆)法(オリフィス法)、界面反応法(無機化学反応法)などのいわゆる界面反応法が挙げられる。これらの製造法のうち、コアセルベーション法、In−situ重合法、界面重合法、液中乾燥法、融解分解冷却法が好ましい。これらの製造法におけるマイクロカプセル化工程では、カプセル殻体に内包される芯物質として、前述した、分散媒中に電気泳動粒子と非電気泳動粒子を含有する電気泳動表示用分散液が用いられる。このような方法を用いれば、カプセル殻体に前記分散液を内包してなるマイクロカプセルを極めて容易に得ることができる。
マイクロカプセル化工程を行うにあたっては、通常、液状物質(この場合、上記のような電気泳動表示用分散液)などを芯物質としての状態(例えば、液滴状の形態)にする必要があるが、その方法は、特に限定されるものではなく、気相中で噴霧や滴下などを行ったり、オリフィスなどを用いたりして液滴状にしてもよいし、水系媒体または非水系媒体中で分散させることにより液滴状にしてもよい。
例えば、液状物質を分散させる水系媒体としては、特に限定されるものではないが、水や、水と親水性溶剤(例えば、アルコール、ケトン、エステル、グリコールなど)の混合液、水に水溶性高分子(例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ゼラチン、アラビアゴムなど)を溶解させた溶液、水に界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤など)を添加した溶液、あるいは、これらの水系媒体を混合した溶液などを用いることができる。また、液状物質を水系媒体に分散させる量は、液状物質や水系媒体の種類や組成に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
マイクロカプセル化工程におけるカプセル殻体原料の使用量も、液状物質や必要に応じて用いる水系媒体の種類や組成に応じて、適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
マイクロカプセル化工程を行う際には、カプセル殻体原料や液状物質などの他にも、また、必要に応じて用いる水系媒体や非水系媒体の他にも、適宜他の成分を用いてもよい。
通常、マイクロカプセル化工程によりマイクロカプセルを調製した後、必要に応じてマイクロカプセルを濾過などにより単離する。例えば、液状物質を水系媒体などに分散させてマイクロカプセル化工程を行った場合は、マイクロカプセル調製後、吸引濾過や自然濾過によりマイクロカプセルを水系媒体などから分離する。単離後は、通常、従来公知の方法により、所望の粒径分布になるように、マイクロカプセルを分級することが好ましい。また、不純物を除去し、製品品質を向上させるために、得られたマイクロカプセルを洗浄する操作を行うことも好ましい。
かくして得られた電気泳動表示用マイクロカプセルは、マイクロカプセル型電気泳動表示装置に用いられる。この場合、例えば、マイクロカプセルを含む層を基材シート上に形成して電気泳動表示用シートを得た後、これに別の基材シートを貼着すればよい。
本発明の電気泳動表示用シートは、基材フィルム上に導電層を形成してなる基材シートの前記導電層上に上記のような電気泳動表示用マイクロカプセルを含む層を形成してなる。なお、以下では、電気泳動表示用シートを単にシートということがある。
<塗工液>
基材シート上にマイクロカプセルを含む層を形成するには、マイクロカプセルを分散させた塗工液を調製し、これを基材シートに塗工する。
塗工液中におけるマイクロカプセルの含有量は、特に限定されるものではないが、その下限が好ましくは20質量%、より好ましくは30質量%であり、また、その上限が好ましくは70質量%、より好ましくは60質量%である。マイクロカプセルの含有量が20質量%未満であると、乾燥が不充分になることや、塗工膜に隙間が多くできて均一性が低下することがある。逆に、マイクロカプセルの含有量が70質量%を超えると、塗工液が凝集しやすく、塗工液の流動性が低下するので、塗工が困難になることがある。
塗工液には、マイクロカプセルの他に、分散剤、粘性調整剤、防腐剤、消泡剤などを添加することができる。マイクロカプセルと基材シートの接合力が不足する場合には、バインダーを使用することができる。
<バインダー>
塗工液に配合するバインダーは、特に限定されるものではないが、例えば、有機系バインダーなどが挙げられる。有機系バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂系、ポリエステル樹脂系、フッ素樹脂系、アルキド樹脂系、アミノ樹脂系、ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、ポリアミド樹脂系、ポリウレタン樹脂系、不飽和ポリエステル樹脂系、フェノール樹脂系、ポリオレフィン樹脂系、シリコーン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、キシレン樹脂系、ケトン樹脂系、ロジン変性マレイン酸樹脂系、液状ポリブタジエン、クマロン樹脂などの合成樹脂系バインダー;エチレン−プロピレン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどの天然または合成のゴム系バインダー;セラック、ロジン(松脂)、エステルガム、硬化ロジン、脱色セラック、白セラックなどの天然樹脂系バインダー;硝酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、酢酸セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの熱可塑性または熱硬化性の高分子系バインダーなどを挙げることができる。なお、合成樹脂系バインダーとしては、可塑性(熱可塑性)のバインダーであってもよいし、アクリル系、メタクリル系、エポキシ系などの硬化性(熱硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性、湿気硬化性、これらの併用などを含む)のバインダーであってもよい。これらの有機系バインダーは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
バインダーの形態としては、特に限定されるものではないが、溶剤可溶型、水溶性型、エマルション型、分散型(水/有機溶剤などの任意の溶剤)などを挙げることができる。
水溶性型のバインダーとしては、例えば、水溶性アルキド樹脂、水溶性アクリル変性アルキド樹脂、水溶性オイルフリーアルキド樹脂(水溶性ポリエステル樹脂)、水溶性アクリル樹脂、水溶性エポキシエステル樹脂、水溶性メラミン樹脂などを挙げることができる。
エマルション型のバインダーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル共重合ディスパージョン、酢酸ビニル樹脂エマルション、酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルション、アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、スチレン−アクリル酸エステル(共)重合樹脂エマルション、エポキシ樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション、アクリル−シリコーンエマルション、フッ素樹脂エマルションなどを挙げることができる。
<基材シート>
本発明の電気泳動表示用シートにおいて、基材シートは、基材フィルム上に導電層を形成してなるものであって、前記導電層上にマイクロカプセルを担持する機能を果たす。基材シートの材料は、電気泳動表示用シートの使用目的や用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではない。また、電気泳動表示用シートに用いるので、透明性と導電性を備えていることが必要である。それゆえ、基材シートとしては、通常、透明なプラスチックフィルムの表面に導電層を形成してなる透明導電性フィルムが用いられる。基材シートは、透過率が80%以上、表面電気抵抗が1,000Ω以下であることが好ましい。透過率が80%未満であると、コントラストが低下して、表示が不鮮明になることがある。また、表面電気抵抗が1,000Ωを超えると、表示のために電圧を印加した部分で、電気泳動粒子の速やかな移動が困難となり、その応答速度(表示応答性)が低下することがある。
基材シートを構成する基材フィルムの材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂のうち、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。基材フィルムの厚みは、特に限定されるものではないが、20μm以上、200μm以下が好ましい。厚みが20μm未満であると、シワが発生しやすくなることがある。逆に、厚みが200μmを超えると、ロール状に巻回したときなどに巻き径が大きくなって取り扱いが困難になることがある。
基材フィルム上に形成する導電層の材料としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化亜鉛、金属微粒子などの無機導電性物質、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチオフェンなどの有機導電性物質などが挙げられる。
基材フィルム上に導電層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、真空蒸着、スパッタリングなどのドライコーティング法、導電性物質の分散液や溶液を塗布するウェットコーティング法などが挙げられる。
<接着層>
基材シートには、マイクロカプセルを含む層を形成する導電層の表面に薄膜の接着層を設けてもよい。基材シートに接着層を設ければ、マイクロカプセルを基材シートに効率的に担持させることができる。また、基材シートに担持されたマイクロカプセルが脱落しにくくなり、マイクロカプセルが単層を形成して緻密に担持されやすいという利点もある。
接着層の材料としては、マイクロカプセルを構成するカプセル殻体の材料に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、オキサゾリン系樹脂、PVP系樹脂、ポリオキシアルキレン系樹脂、セルロース系樹脂などの水溶性もしくは水分散性またはエマルション系の樹脂を用いることができる。接着層の形成は、通常のコーティング技術を用いて行うことができる。
<塗工装置>
マイクロカプセルを分散させた塗工液を基材シートに塗工する装置としては、通常のマイクロカプセルの塗工技術に利用されている塗工装置を用いることができる。基本的な塗工方式として、キスコート方式を採用する塗工装置が好ましい。
キスコート方式では、連続走行する基材シートに対して、塗工液が付着した塗工ロールを回転させながら接触させ、塗工ロールから基材シートに塗工液を移行させて、塗工液を基材シートに塗工する。このとき、基材シートが塗工ロールと接触する位置では、基材シートのうち塗工ロールの接触面と反対側の面が開放されており、通常のロールコーターやグラビアコーターなどにおける加圧ロールまたはバックアップロールが存在しない。
基材シートは、塗工ロールに軽く当てる程度の圧力で接触させられている。具体的には、基材シートに対して、塗工ロールとの接触位置の上流側および下流側にガイドロールを配置しておく。ガイドロール同士の接線方向に沿って直線的に走行する基材シートが、塗工ロールで少し撓ませられるように変形する。基材シートの撓み変形による圧力が、基材シートと塗工ロールの間に作用する。
キスコート方式の塗工装置では、基材シートの走行方向と塗工ロールの回転方向を、同じ方向に設定することもできるし、逆方向に設定することもできる。同じ方向で速度差をつけておくこともできる。
塗工ロールの回転方向を、基材シートの走行方向に対して逆方向に設定しておく塗工技術をリバースコート方式と呼ぶ。リバースコート方式では、塗工ロールに付着した塗工液は、基材シートとの接点で基材シートに転写される。この接点では、基材シートと塗工ロールとは軽く接しているだけなので、マイクロカプセルに過大な圧力が加わることはない。また、接点においては、塗工液が基材シート塗工ロールの両方から引っ張られて適度な剪断応力が加わるため、塗工液が基材シートに均一に転写される。
塗工ロールの回転方向が基材シートの走行方向と同じ場合は、リバースコート方式ではないが、キスコート方式である限り、前記した塗工ロールと基材シートの接点で、基材シートと塗工ロールとは軽く接しているだけなので、マイクロカプセルに過大な圧力が加わることはない。
塗工ロールの周速と基材シートの走行速度とに適切な差をつけておくと、その速度差によって、塗工液が基材シート上で引き伸ばされて薄く均一な塗工層が形成されやすくなる。
塗工速度、すなわち基材シートの走行速度は、塗工後の乾燥条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、0.1m/分以上、10m/分以下であることが好ましい。走行速度が0.1m/分未満であると、生産性が悪くなり、走行速度が10m/分を超えると、塗工液が乾燥不良となってブロッキングを起こしやすくなることがある。
基材シートに塗工された塗工液の厚みは、塗工液に含まれるマイクロカプセルの粒子径などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、湿潤状態で1μm以上、300μm以下、乾燥後の厚みで10μm以上、100μm以下であることが好ましい。塗工液の厚みは、乾燥後の厚みで、マイクロカプセルの粒子径に対して、1.0倍以上、3.0倍以下に設定するのが好ましい。
キスコート方式の塗工装置では、塗工ロールを塗工作業中に基材シートに対して近づけたり離したり移動できるように配置しておける。このようにして塗工ロールと基材シートの間隔を調整すれば、塗工厚みを正確に調整することができる。塗工ロールを基材シートから完全に離した状態にすると、基材シートの長さ方向に断続的に塗工液を塗工することができる。
<電気泳動表示用シート>
本発明の電気泳動表示用シートは、基材シート上にマイクロカプセル層が形成されている。さらに、マイクロカプセル層には、再剥離フィルムが貼着されている場合がある。用途や目的によっては、塗工ロールや塗工条件の設定を適宜組み合わせて、マイクロカプセルを離散的または稠密的に担持させたり、単層または複層に担持させたりすることができる。
マイクロカプセルは、実質的に単層で実質的に稠密的に担持させることができる。ここで、「実質的に単層」とは、基材シートの厚み方向では、マイクロカプセルが一個だけが担持され、複数個が重なり合った状態になっていないことを意味する。ただし、目的とする機能に支障がなければ、隣り合うマイクロカプセルの一部がわずかに重なっている程度は構わない。また、「実質的に稠密的」とは、基材シートの面方向では、マイクロカプセル同士が隙間なく最密充填状態で担持されていることを意味する。このとき、マイクロカプセルの平面外形によっては、隣接するマイクロカプセルとの間に局部的な空間が生じることは構わない。また、目的とする機能に支障がなければ、厳密な最密充填状態でなくてもよい場合もある。
マイクロカプセル層の厚みは、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。マイクロカプセルを稠密的に担持させることが望ましい用途では、マイクロカプセル層の厚みを10μm以上、100μm以下の範囲内に設定することが好ましい。厚みがこの範囲を外れると、マイクロカプセルを電気泳動表示装置に用いた場合の表示品質が劣化することがある。
かくして得られた電気泳動表示用シートは、マイクロカプセル型電気泳動表示装置に用いられる。この場合、例えば、シートが巻回ロールの形態であれば、これを巻解し、所定の大きさに切断して、そのまま、あるいは再剥離フィルムが貼着されていれば、これを剥離して、シートのマイクロカプセルを含む層に対向するように別の基材シートを貼着すればよい。このとき、別の基材シートに、アモルファスシリコンやポリシリコンを用いた薄膜トランジスタまたは有機分子を用いた有機トランジスタからなるドライバ層を設けておけば、表示の制御を行うことができる。あるいは、ドライバ層を設けずに、外部装置によって書き換えを行ってもよい。表示を制御する手段については、電気泳動表示装置の用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。
かくして得られた電気泳動表示装置は、例えば、電気泳動粒子を構成する固体粒子が白色系の顔料粒子であり、非電気泳動粒子を構成する固体粒子が黒色系の顔料粒子である場合には、最初の表示は灰色であるが、電極間に電圧を印加すると、電気泳動粒子が一方の電極方向に移動して白表示または黒表示となるが、電圧の極性を逆にすると、電気泳動粒子が他方の電極方向に移動するので、前記白表示または黒表示が反転して黒表示または白表示となる。再び極性を逆にして、電圧をごく短時間印加すると、表示が灰色に戻る。あるいは、黒表示または白表示のまま電圧を印加せずに放置すれば、前記表示を長時間維持して記録することもできる。文字、数字、記号、図形などのデータを表示または記録するには、例えば、装置の裏側に位置する電極を所定の基準電位(例えば、0V)とし、装置の表側に位置する電極にドライバ層を設けて、表示面の各位置で前記データの色(この場合、黒または白)に対応して前記基準電位に対して正電位または負電位とすればよい。このような動作原理に基づく電気泳動表示装置は、例えば、フレキシブルで書き換え可能な非発光型表示デバイスである電子ペーパーとしての応用が期待される。
以下、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度、電気泳動表示装置のコントラストは、以下のようにして測定した。
<電気泳動移動度>
電極間隔300μmのセルに電気泳動表示用分散液を注入し、対向する電極間に直流電圧50Vを印加した場合に、光学顕微鏡を用いて、電気泳動粒子および非電気泳動粒子の泳動状態をビデオキャプチャー付きのパーソナルコンピューターに取り込み、セル断面の中央部の一定間隔(100μm)を泳動するのに要した時間をパーソナルコンピューターに取り込んだ動画で解析し、次式によって電気泳動移動度を求めた。
<非電気泳動粒子の分散安定性>
非電気泳動粒子の分散液を非電気泳動粒子の濃度が10質量%になるようにドデシルベンゼンで希釈し、充分に混合した後、容量50mLのサンプルビンに入れ、24時間静置して、以下のような基準で分散安定性を評価した。
◎:分散安定性が良好で、粒子の沈降が認められない
○:分散安定性が良好であるが、わずかに粒子の沈降が認められる
△:透明な上澄みはないが、かなりの粒子が沈降しているか、あるいは、粒子の沈降が認められないが、液上部に粒子が浮上して層を形成している。
×:透明な上澄みが認められ、大半の粒子が沈降している。
<コントラスト>
電気泳動表示装置の対向する電極間に直流電圧15Vを0.4秒間印加して測定する。電気泳動表示装置の一方の電極に正または負の電圧を交互に印加した場合の色調の高い方(白表示)および色調の低い方(黒表示または青表示)の反射率を、それぞれ、マクベス分光光度濃度計(製品名Spectro Eye、Gretag Macbeth社製)を用いて測定し、次式によってコントラストを求めた。
なお、色調の高い方(白表示)および色調の低い方(黒表示または青表示)の反射率は、極性を切り替えて電圧を印加することにより別々に測定し、各反射率は電気泳動表示装置の片面全体について測定した平均値とする。
<100時間静置後のコントラスト>
初期コントラストを測定した電気泳動表示装置を室温で100時間静置し、できる限り衝撃を与えないように、電気泳動表示装置の対向する電極間に直流電圧15Vを0.4秒間印加して測定する。電圧の印加は、正または負の電圧をそれぞれ1回のみ印加し、上記のコントラストの測定と同様にして反射率を測定し、コントラストを求めた。
100時間静置後のコントラストを測定することにより、非電気泳動粒子の分散安定性が電気泳動表示装置のコントラストに与える影響を評価した。
実施例1
<電気泳動粒子の調製>
攪拌羽根を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、酸化チタン(製品名タイペークCR90、石原産業(株)製)20g、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(製品名KBM903、信越化学工業(株)製)0.2g、メタノール79.5gを仕込み、55℃の超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行った。
このセパラブルフラスコを90℃の温水槽に移し、溶剤を留去し、粉体状となった酸化チタンをフラスコから取り出し、バットに移した後、乾燥機中、150℃で熱処理を5時間行った。
熱処理された酸化チタンをメタノール150gに分散させ、遠心沈降器で遠心分離し、酸化チタンを洗浄する操作を3回行った後、100℃で乾燥させた。
洗浄処理された酸化チタン20g、チタネート系カップリング剤(製品名プレンアクトKR−TTS、味の素(株)製)0.5g、ドデシルベンゼン79.5gを仕込み、55℃の超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行って、電気泳動粒子となるカップリング剤で表面処理された酸化チタンの分散液100gを得た。
この分散液に含まれる電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は0.33μmであった。
<非電気泳動粒子の調製>
攪拌羽根、温度計、冷却管を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸グリシジル(組成比65:25:10)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量5,300)5g、カーボンブラック(製品名MA−100R、三菱化学(株)製)20g、ドデシルベンゼン75gを仕込み、さらに直径1mmのSUS製ビーズ1,000gを仕込んだ。
回転数300rpmで攪拌しながら、160℃で2時間反応させてポリマーグラフト処理を行った。処理後、さらにドデシルベンゼン100gを添加し、充分に混合した。その後、SUS製ビーズを分離して、非電気泳動粒子となるポリマーグラフト処理されたカーボンブラック(ここでは、カーボンブラックの表面に存在するカルボキシ基にアクリル系ポリマーのエポキシ基を反応させた。)の分散液192gを得た。
この分散液に含まれる非電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は0.18μmであった。また、この分散液における非電気泳動粒子の分散安定性を評価したところ、非電気泳動粒子の沈降は全く認められなかった。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、上で得られた電気泳動粒子の分散液25g、上で得られた非電気泳動粒子の分散液5g、ドデシルベンゼン70gを仕込み、充分に混合して、電気泳動粒子の濃度が5質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が0.1である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が2.5×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.5×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
実施例2
<電気泳動粒子の調製>
攪拌羽根を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、酸化チタン(製品名タイペークCR90、石原産業(株)製)20g、オクタデシルトリエトキシシラン(製品名LS6970、信越化学工業(株)製)0.8g、メタノール79.5g、25%アンモニア水0.5gを仕込み、55℃の超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行った。
このセパラブルフラスコを90℃の温水槽に移し、溶剤を留去し、粉体状となった酸化チタンをフラスコから取り出し、バットに移した後、乾燥機中、150℃で熱処理を5時間行った。
熱処理された酸化チタンをメタノール150gに分散させ、遠心沈降器で遠心分離して、酸化チタンを洗浄する操作を3回行った後、100℃で乾燥させた。
洗浄処理された酸化チタン20gをドデシルベンゼン80gに添加し、超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行って、電気泳動粒子となるカップリング剤で表面処理された酸化チタンの分散液100gを得た。
この分散液に含まれる電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は0.30μmであった。
<非電気泳動粒子の調製>
実施例1の非電気泳動粒子の調製において、ポリマーグラフト処理に用いるアクリル系ポリマー(数平均分子量5,300)5gに代えて同じモノマー組成比のアクリル系ポリマー(数平均分子量118,200)5gを用い、カーボンブラック20gに代えてC.I. Pigment Blue22(製品名Ind Blue GCD、BASF社製)20gを用い、SUS製ビーズ100gに代えて直径1mmのジルコニア製ビーズ300gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非電気泳動粒子となるポリマーグラフト処理されたC.I. Pigment Blue22(ここでは、C.I. Pigment Blue22の表面に存在するアミノ基にアクリル系ポリマーのエポキシ基を反応させた。)の分散液190gを得た。
この分散液に含まれる非電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は0.21μmであった。また、この分散液における非電気泳動粒子の分散安定性を評価したところ、非電気泳動粒子の沈降は全く認められなかった。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、上で得られた電気泳動粒子の分散液37.5g、上で得られた非電気泳動粒子の分散液20g、ドデシルベンゼン42.5gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、電気泳動粒子の濃度が7.5質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が0.27である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が2.2×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.9×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
実施例3
<電気泳動粒子の調製>
攪拌羽根、温度計、冷却管を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(製品名KBM503、信越化学工業(株)製)(組成比65:25:10)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量18,100)5gを溶解したヘキサン75gを入れ、酸化チタン(タイペークCR90、石原産業(株)製)20gを添加し、27℃の超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行った。
このセパラブルフラスコを80℃の温水槽に移し、溶剤を留去し、粉体状となった酸化チタンをフラスコから取り出し、バットに移した後、乾燥機中、150℃で熱処理を5時間行った。
熱処理された酸化チタンをヘキサン100gに分散させ、遠心沈降器で遠心分離して、酸化チタンを洗浄する操作を3回行った後、100℃で乾燥させた。
洗浄処理された酸化チタン20gをドデシルベンゼン80gに添加し、超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行って、電気泳動粒子となるポリマーグラフト処理された酸化チタン(ここでは、酸化チタンの表面に存在するヒドロキシ基にアクリル系ポリマーのシリル基を反応させた。)の分散液100gを得た。
この分散液に含まれる電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は0.29μmであった。
<非電気泳動粒子の調製>
攪拌羽根、温度計、冷却管を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、2−イソプロペニル−2−オキサゾリジン、メタクリル酸メチル(組成比5:95)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量5,800)5g、カーボンブラック(製品名MA−100R、三菱化学(株)製)30g、メタクリル酸メチル65gを仕込み、さらに直径1mmのジルコニア製ビーズ300gを仕込んだ。
回転数300rpmで攪拌しながら、150℃で2時間反応させてポリマーグラフト処理を行った。処理後、さらにメタクリル酸メチル50gを添加し、充分に混合した。その後、ジルコニア製ビーズを分離して、ポリマーグラフト処理されたカーボンブラックの分散液を得た。
このポリマーグラフト処理されたカーボンブラックの分散液33.3g、メタクリル酸メチル51.7g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、トリメタクリル酸トリメチルプロピル10gを充分に混合し、さらに開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル2.5gを添加し、溶解させて、モノマー組成物を調製した。
このモノマー組成物を、予め調製しておいた0.5%ポリオキシエチレンノニルヘニル硫酸アンモニウム水溶液400gに添加し、TKホモミキサー(特殊機化工製)を用いて、1,200ppmで5分間攪拌し、懸濁液を得た。
この懸濁液を、攪拌羽根、温度計、冷却管を備えた容量500mLのセパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、75℃で5時間反応を行って、黒色ポリマー粒子化されたカーボンブラックの分散液を得た。
この黒色ポリマー粒子の分散液を遠心沈降器で遠心分離して、黒色ポリマー粒子を得た。この黒色ポリマー粒子を水250gに分散させ、遠心沈降器で遠心分離し、黒色ポリマー粒子を洗浄する操作を2回行った後、メタノール150gに分散させ、前記と同様にして洗浄する操作を2回行った後、100℃で乾燥させた。
攪拌羽根を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、2−イソシアナトエチルメタクリレート(組成比65:25:10)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量7,100)5gを溶解したヘキサン100gを入れ、洗浄処理された黒色ポリマー粒子50gを添加し、フラスコを27℃の超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行った。
このセパラブルフラスコを80℃の温水槽に移し、溶剤を留去し、粉体状となった黒色ポリマー粒子をフラスコから取り出し、バットに移した後、乾燥機中、150℃で熱処理を5時間行った。
熱処理された黒色ポリマー粒子をヘキサン100gに分散させ、遠心沈降器で遠心分離し、黒色ポリマー粒子を洗浄する操作を3回行った後、100℃で乾燥させた。
洗浄処理された黒色ポリマー粒子20gをドデシルベンゼン80gに添加し、超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行って、非電気泳動粒子となるポリマーグラフト処理された黒色ポリマー粒子(ここでは、黒色ポリマー粒子の表面に存在するヒドロキシ基にアクリル系ポリマーのイソシアナト基を反応させた。)の分散液100gを得た。
この分散液に含まれる非電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は1.3μmであった。また、この分散液を容量50mLのサンプルビンに入れ、24時間静置して、分散安定性を評価したところ、非電気泳動粒子の沈降は全く認められなかった。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、上で得られた電気泳動粒子の分散液15.5g、上で得られた非電気泳動粒子の分散液62g、ドデシルベンゼン22.5gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、電気泳動粒子の濃度が3.1質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が4である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が3.0×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.6×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
実施例4
<非電気泳動粒子の調製>
実施例3の黒色ポリマー粒子の調製において、カーボンブラック30gに代えてC.I. Pigment Blue22(製品名Ind Blue GCD、BASF社製)30gを用い、2−イソプロペニル−2−オキサゾリジン、メタクリル酸メチル(組成比5:95)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量5,800)5gに代えて、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル(組成比5:95)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量6,500)5gを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、青色ポリマー粒子を得た。
次いで、実施例3の黒色ポリマー粒子のポリマーグラフト処理において、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、2−イソシアナトエチルメタクリレート(組成比65:25:10)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量7,100)5gに代えて、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、2−イソシアナトエチルメタクリレート(組成比80:15:5)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量37,800)5gを用いたこと以外は、実施例3と同様にして、ポリマーグラフト処理された青色ポリマー粒子を得た。
洗浄処理された青色ポリマー粒子20gをドデシルベンゼン80gに添加し、超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行って、非電気泳動粒子となるポリマーグラフト処理された青色ポリマー粒子(ここでは、青色ポリマー粒子の表面に存在するヒドロキシ基にアクリル系ポリマーのイソシアナト基を反応させた。)の分散液100gを得た。
この分散液に含まれる非電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は5.1μmであった。また、この分散液における非電気泳動粒子の分散安定性を評価したところ、非電気泳動粒子の沈降は全く認められなかった。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、実施例3で得られた電気泳動粒子の分散液50g、上で得られた非電気泳動粒子の分散液50g、ドデシルベンゼン25gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、電気泳動粒子の濃度が10質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が1である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が3.0×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.8×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
実施例5
<電気泳動粒子の調製>
実施例1の電気泳動粒子の調製において、3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.2gに代えてγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(製品名KBM503、信越化学工業(株)製)0.2gを用いること以外は、実施例1と同様にして、カップリング剤処理された酸化チタンを得た。
このカップリング剤処理された酸化チタン30g、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル15g、トリメタクリル酸トリメチルプロピル10gを充分に混合し、さらに開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル2.5gを添加し、溶解させて、モノマー組成物を調製した。
このモノマー組成物を、予め調製しておいた0.5%ポリオキシエチレンノニルヘニル硫酸アンモニウム水溶液400gに添加し、TKホモミキサー(特殊機化工製)を用いて、1,200ppmで5分間攪拌し、懸濁液を得た。
この懸濁液を、攪拌羽根、温度計、冷却管を備えた容量500mLのセパラブルフラスコに仕込み、窒素雰囲気下、75℃で5時間反応を行って、白色ポリマー粒子化された酸化チタンの分散液を得た。
この白色ポリマー粒子の分散液を遠心沈降器で遠心分離して、白色ポリマー粒子を得た。この白色ポリマー粒子を水250gに分散させ、遠心沈降器で遠心分離し、白色ポリマー粒子を洗浄する操作を2回行った後、メタノール150gに分散させ、前記と同様にして洗浄する操作を2回行った後、100℃で乾燥させた。
攪拌羽根を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、2−イソシアナトエチルメタクリレート(組成比65:25:10)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量5,500)5gを溶解したヘキサン100gを入れ、洗浄処理された白色ポリマー粒子50gを添加し、フラスコを27℃の超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行った。
このセパラブルフラスコを80℃の温水槽に移し、溶剤を留去し、粉体状となった白色ポリマー粒子をフラスコから取り出し、バットに移した後、乾燥機中、150℃で熱処理を5時間行った。
熱処理された白色ポリマー粒子をヘキサン100gに分散させ、遠心沈降器で遠心分離し、白色ポリマー粒子を洗浄する操作を3回行った後、100℃で乾燥させた。
洗浄処理された白色ポリマー粒子40gをドデシルベンゼン60gに添加し、超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行って、非電気泳動粒子となるポリマーグラフト処理された白色ポリマー粒子(ここでは、白色ポリマー粒子の表面に存在するヒドロキシ基にアクリル系ポリマーのイソシアナト基を反応させた。)の分散液100gを得た。
この分散液に含まれる電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は1.4μmであった。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、上で得られた電気泳動粒子の分散液37.5g、実施例1で得られた非電気泳動粒子の分散液7.5g、ドデシルベンゼン55gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、電気泳動粒子の濃度が15質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が0.05である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が2.8×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.5×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
実施例6
<電気泳動粒子の調製>
実施例3の電気泳動粒子の調製において、ポリマーグラフト処理に用いるアクリル系ポリマー(数平均分子量18,100)5gに代えて同じモノマー組成比のアクリル系ポリマー(数平均分子量5,500)5gを用い、また、非電気泳動粒子の調製において、ポリマー粒子化のモノマー組成を、メタクリル酸メチル51.7g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、トリメタクリル酸トリメチルプロピル10gに代えて、メタクリル酸メチル36.7g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル15g、トリメタクリル酸トリメチルプロピル10gとすること以外は、実施例3と同様にして、電気泳動粒子となる黒色ポリマー粒子の分散液100gを得た。
この分散液に含まれる電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は1.3μmであった。
<非電気泳動粒子の調製>
実施例5の電気泳動粒子の調製において、ポリマー粒子化のモノマー組成を、メタクリル酸メチル40g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル15g、トリメタクリル酸トリメチルプロピル10gに代えて、メタクリル酸メチル55g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル5g、トリメタクリル酸トリメチルプロピル10gとし、ポリマーグラフト処理に用いるアクリル系ポリマー(数平均分子量5,500)5gに代えて同じモノマー組成比のアクリル系ポリマー(数平均分子量37,800)5gを用いること以外は、実施例5と同様にして、非電気泳動粒子となるポリマーグラフト処理された白色ポリマー粒子(ここでは、白色ポリマー粒子の表面に存在するヒドロキシ基にアクリル系ポリマーのイソシアナト基を反応させた。)の分散液100gを得た。
この分散液に含まれる非電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は1.4μmであった。また、この分散液における非電気泳動粒子の分散安定性を評価したところ、非電気泳動粒子の沈降は全く認められなかった。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、上で得られた電気泳動粒子の分散液25g、上で得られた非電気泳動粒子の分散液6.25g、ドデシルベンゼン68.75gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、電気泳動粒子の濃度が5質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が0.5である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が2.7×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.8×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
比較例1
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、アントラキノン系青色染料(製品名オイルブルーF、中央合成(株)製)1g、酸化チタン(製品名タイペークCR90、石原産業(株)製)10g、チタネート系カップリング剤(製品名プレンアクトKR−TTS、味の素(株)製)0.5g、ドデシルベンゼン70gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、着色された分散媒中に1種類の電気泳動粒子(濃度9質量%)を含有するが、非電気泳動粒子を含有しない電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、電気泳動移動度が2.6×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示した。
比較例2
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、黒色のベンゾグアナミン粒子(製品名エポスター、(株)日本触媒製)8g、酸化チタン(製品名タイペークPC−3、石原産業(株)製)3g、チタネート系カップリング剤(製品名プレンアクトKR−TTS、味の素(株)製)0.5g、アルミニウム系カップリング剤(製品名プレンアクトAL−M、味の素(株)製)0.3g、ドデシルベンゼン70gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、無着色の分散媒中に2種類の電気泳動粒子(濃度9.8質量%、ベンゾグアナミン粒子/酸化チタンの質量比=2.7)を含有するが、非電気泳動粒子を含有しない電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる2種類の電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、ベンゾグアナミン粒子からなる黒色の電気泳動粒子は、電気泳動移動度が2.6×10-6cm2V-1sec-1であり、正帯電粒子の電気泳動性を示したのに対し、酸化チタン粒子からなる白色の電気泳動粒子は、電気泳動移動度が2.5×10-6cm2V-1sec-1であり、負帯電粒子の電気泳動性を示した。
比較例3
<非電気泳動粒子の調製>
実施例1の非電気泳動粒子の調製において、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、2−イソシアナトエチルメタクリレート(組成比65:25:10)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量5,300)5gに代えて、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、2−イソシアナトエチルメタクリレート(組成比65:25:10)からなるアクリル系ポリマー(数平均分子量800)5gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非電気泳動粒子となるポリマーグラフト処理されたカーボンブラックの分散液181gを得た。
この分散液に含まれる非電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は0.54μmであった。また、この分散液における非電気泳動粒子の分散安定性を評価したところ、透明な上澄みはないが、非電気泳動粒子の沈降が認められた。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、実施例1で得られた電気泳動粒子の分散液25g、上で得られた非電気泳動粒子の分散液5g、ドデシルベンゼン70gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、電気泳動粒子の濃度が5質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が0.1である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が2.3×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.4×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
比較例4
<非電気泳動粒子の調製>
実施例2の電気泳動粒子の調製において、酸化チタン20gに代えてカーボンブラック(製品名MA−100R、三菱化学(株)製)20gを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、非電気泳動粒子となるカップリング剤処理されたカーボンブラックの分散液100gを得た。
この分散液に含まれる非電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は0.67μmであった。また、この分散液における非電気泳動粒子の分散安定性を評価したところ、透明な上澄みが若干認められ、非電気泳動粒子の沈降も多く認められた。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、実施例1で得られた電気泳動粒子の分散液25g、上で得られた非電気泳動粒子の分散液2.5g、ドデシルベンゼン72.5gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、電気泳動粒子の濃度が5質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が0.1である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が2.4×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.5×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
比較例5
<非電気泳動粒子の調製>
実施例1の電気泳動粒子の調製において、酸化チタン20gに代えてシリカ粒子(製品名シーホスターKE−P30、平均粒子径:0.34μm、(株)日本触媒製)20gを用い、3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.2gに代えてγ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(製品名KBM503、信越化学工業(株)製)0.8gを用いること以外は、実施例1と同様にして、カップリング剤処理されたシリカ粒子を得た。
攪拌羽根、温度計、冷却管を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、カップリング剤処理されたシリカ粒子40g、メタクリル酸シクロヘキシル10g、アクリル酸2−エチルヘキシル6g、2,2−アゾビスイソブチロニトリル1g、ドデシルベンゼン160gを仕込み、攪拌しながら窒素雰囲気下、70℃で5時間グラフト重合を行った。この重合液を遠心沈降器で遠心分離し、グラフト重合処理されたカーボンブラックを取り出し、アセトン150gに再分散させ、再び遠心沈降器で遠心分離する洗浄操作を3回行った後、50℃で乾燥させた。
容量200mLの三角フラスコに、グラフト重合処理されたシリカ粒子20g、予め水酸化ナトリウム3gを溶解した水/メタノール(1/1)溶液100gを仕込み、超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)中でシリカ粒子を溶解させた。
上澄み液を除去し、三角フラスコの底部に残った極少量の不溶物(シリカ粒子にグラフト重合されたポリマーと考えられる。)にテトラヒドロフラン(THF)10mLを添加すると簡単に溶解した。この溶液を用いて、ポリマーの分子量をゲル浸透クロマトグラフ/多角度レーザー光散乱検出器(GPC−MALLS)で測定したところ、その数平均分子量は1,200であった。
グラフト重合処理されたシリカ粒子20g、ドデシルベンゼン80gを仕込み、55℃の超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行って、非電気泳動粒子となるグラフト重合処理されたシリカ粒子の分散液100gを得た。
この分散液に含まれる非電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は0.41μmであった。また、この分散液における非電気泳動粒子の分散安定性を評価したところ、透明な上澄みはないが、非電気泳動粒子の沈降が認められた。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、実施例6で得られた電気泳動粒子の分散液25g、上で得られた非電気泳動粒子の分散液2.5g、ドデシルベンゼン72.5gを仕込み、充分に混合した後、超音波処理を60分間行って、電気泳動粒子の濃度が5質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が0.1である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が2.5×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.5×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
比較例6
<非電気泳動粒子の調製>
攪拌羽根を備えた容量300mLのセパラブルフラスコに、架橋型スチレン−アクリル系中空粒子(製品名SX866A、JSR(株)製)20g、チタネート系カップリング剤(製品名プレンアクトKR−TTS、味の素(株)製)0.5g、ドデシルベンゼン79.5gを仕込み、フラスコを55℃の超音波浴槽(製品名BRANSON5210、ヤマト科学(株)製)に入れ、攪拌しながら超音波分散処理を2時間行って、非電気泳動粒子となる架橋型スチレン−アクリル系中空粒子の分散液100gを得た。
この分散液に含まれる電気泳動粒子の粒子径を動的光散乱式粒度分布測定装置(製品名LB−500、(株)堀場製作所製)で測定したところ、その体積平均粒子径は0.30μmであった。また、この分散液における非電気泳動粒子の分散安定性を評価したところ、沈降は全く認められず、液下部は透明な状態ではないが、液上部に非電気泳動粒子が浮上して層を形成していた。
<電気泳動表示用分散液の調製>
容量150mLのマヨネーズビンに、実施例6で得られた電気泳動粒子の分散液25g、上で得られた非電気泳動粒子の分散液12.5g、ドデシルベンゼン62.5gを仕込み、充分に混合した後、超音波分散処理を60分間行って、電気泳動粒子の濃度が5質量%、電気泳動粒子に対する非電気泳動粒子の質量比が0.5である電気泳動表示用分散液を得た。
この電気泳動表示用分散液に含まれる電気泳動粒子および非電気泳動粒子の電気泳動移動度を測定したところ、電気泳動粒子は、移動度が2.4×10-6cm2V-1sec-1であり、良好な電気泳動性を示したのに対し、非電気泳動粒子は、移動度が0.4×10-6cm2V-1sec-1であり、実質的に電気泳動しないことが確認された。
実施例7〜12、比較例7〜12
本実施例および本比較例では、実施例1〜6、比較例1〜6で得られた電気泳動表示用分散液を用いて、それぞれ、電気泳動表示用マイクロカプセルを調製した。
<電気泳動表示用マクロカプセルの調製>
容量300mLのビーカーに、水60g、アラビアゴム5.5g、ゼラチン5.5gを仕込み、溶解させた後、43℃に保持した。この溶液を高速分散機(製品名ROBOMICS、特殊機化工業(株)製)で攪拌しながら、55℃の電気泳動表示用分散液105gを添加した後、攪拌速度を徐々に上げ、1,000〜1,500rpmで10分間攪拌して、懸濁液を得た。
この懸濁液を43℃の温水150mLで希釈しながら、攪拌速度を徐々に下げ、500rpmで3分間攪拌した。
この懸濁液を容量500mLのセパラブルフラスコに移し、さらに43℃の温水150mLを添加した。次いで、10%酢酸水溶液11mLを15分間かけて定量添加した後、10℃以下に冷却し、この温度で1時間保持した。
その後、37%ホルマリン3mLを添加し、25℃まで昇温し、この温度で5時間熟成を行って、アラビアゴムとゼラチンからなるカプセル殻体に電気泳動表示用分散液を内包してなる電気泳動表示用マイクロカプセルの分散液を得た。
<電気泳動表示用マイクロカプセルの粒子径>
得られた分散液に含まれる電気泳動表示用マイクロカプセルの粒子径をレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(製品名LA−910、(株)堀場製作所製)で測定した。その結果を表1、2に示す。
実施例13〜18、比較例13〜18
本実施例および本比較例では、実施例7〜12、比較例7〜12で得られた電気泳動表示用マイクロカプセルを用いて、それぞれ、電気泳動表示用シートを調製し、さらに電気泳動表示装置を作成した。
<電気泳動表示用シートの調製>
実施例7〜12、比較例7〜12で得られた電気泳動表示用マイクロカプセルの分散液を吸引濾過して、マイクロカプセル含有量50%〜60%のマイクロカプセルペーストを得た。このマイクロカプセルペーストに、固形分換算でマイクロカプセル40質量%、バインダー4質量%、水56質量%の組成比となるように、バインダー(製品名ポリメントSK1000(濃度38質量%)、(株)日本触媒製)および水を添加し、充分に混合して、それぞれ、電気泳動表示用マイクロカプセルを含有する塗工液を得た。
これらの塗工液の粘度をクレブス粘度計(製品名KU−1、ブルックフィールド社製)で測定したところ、実施例7〜12で得られた電気泳動表示用マイクロカプセルを含有する塗工液の粘度は57〜75KUであり、比較例7〜12で得られた電気泳動表示用マイクロカプセルを含有する塗工液の粘度は63〜70KUであった。
これらの塗工液を、マイクログラビアコーターを用いて、厚さ125μm、幅30cm×長さ200mの透明導電性フィルム(製品名東レハイビームTN02、東レ(株)製)の導電層上に塗工速度1m/分で10分間塗工して、それぞれ、透明導電性フィルムの導電層上に電気泳動表示用マイクロカプセルを含む層を形成してなる電気泳動表示用シートを得た。なお、マイクロカプセル層の厚みは、膜厚計(製品名ダイヤルシックネスゲージ、(株)尾崎製作所製)で測定した。その結果を表1、2に示す。
<電気泳動表示用装置の作成>
実施例13〜18、比較例13〜18で得られた電気泳動表示用シートを、マイクロカプセル層が形成されていない端部(1cm×3cm)を含むように5cm×3cmにカットした。他方、厚さ75μmの透明導電性フィルム(製品名東レハイビームTN02、東レ(株)製)を4cm×4cmにカットした。電気泳動表示用シートのマイクロカプセル層と透明導電性フィルムの導電層が接触し、かつ電気泳動表示用シート端部の導電層と透明導電性フィルムの導電層が接触しないように、電気泳動表示用シートと透明導電性フィルムを配置し(表示面の寸法は3cm×4cm)、両者をラミネートすることにより、それぞれ、対向電極を有する電気泳動表示装置を作成した。
得られた電気泳動表示装置の対向する電極間に直流電圧15Vを0.4秒間印加し、コントラストを測定した。また、100時間静置後のコントラストも測定した。その結果を表1、2に示す。
表1および2から明らかなように、本発明例である実施例13〜18の電気泳動表示装置(それぞれ、実施例1〜6の電気泳動表示用分散液およびそれを用いた実施例7〜12の電気泳動表示用シートを用いて作成されている。)は、分散媒中に電気泳動粒子と非電気泳動粒子を含有し、非電気泳動粒子として所定範囲内の数平均分子量を有するポリマーをグラフトさせた固体粒子を用いているので、比較例13〜18の電気泳動表示装置(それぞれ、比較例1〜6の電気泳動表示用分散液およびそれを用いた比較例7〜12の電気泳動表示用シートを用いて作成されている。)に比べて、初期段階および100時間静置後のいずれにおいても、高いコンントラストおよび白表示の反射率を示した。このことから、本発明の電気泳動表示用分散液、それを用いた電気泳動表示用マイクロカプセルおよびシートは、表示の鮮明性と安定性に優れた電気泳動表示装置を与えることがわかる。
なお、比較例13の電気泳動表示装置は、非電気泳動粒子を用いずに染料を用いているので、染料の汚染により、白表示の反射率が低く、コントラストが低下する。比較例14の電気泳動表示装置は、初期のコントラストは良いが、非電気泳動粒子を用いずに2種類の電気泳動粒子を用いているので、100時間静置後に一方の電気泳動粒子である黒色ポリマー粒子に他方の電気泳動粒子である酸化チタン粒子が付着して凝集し、電圧印加1回目は電気泳動粒子が充分に泳動せず、コントラストが低下する。比較例15の電気泳動表示装置は、初期のコントラストは良いが、非電気泳動粒子として所定範囲外の数平均分子量を有するポリマーをグラフトさせたカーボンブラックを用いているので、100時間静置後に非電気泳動粒子が沈降して電気泳動粒子の泳動を妨害し、コントラストが低下する。比較例16の電気泳動表示装置は、非電気泳動粒子としてカップリング剤で表面処理されたカーボンブラックを用いているので、非電気泳動粒子の分散安定性が不充分で、非電気泳動粒子がマイクロカブセルのカプセル殻体に付着し、白表示の反射率が低く、コントラストを低下させ、また、100時間静置後に非電気泳動粒子が沈降して電気泳動粒子の泳動を妨害し、コントラストが低下する。比較例17の電気泳動表示装置は、非電気泳動粒子としてグラフト重合処理されたシリカ粒子を用いているので、白表示の反射率が低く、コントラストが低下し、また、100時間静置後に非電気泳動粒子が沈降して電気泳動粒子の泳動を妨害し、コントラストが低下する。比較例18の電気泳動表示装置は、非電気泳動粒子として中空粒子を用いているので、白表示の反射率が低く、コントラストが低下し、また、100時間静置後に非電気泳動粒子が浮上して層を形成し、電気泳動粒子が表示面に現れにくくなり、コントラストが低下する。