JP2006194606A - エンドトキシン活性の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
リムルステスト試薬を促進または妨害するような物質が混在する試料においても、正確にかつ迅速にエンドトキシンの活性を測定する方法の提供する。
【解決手段】
リムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法において、試料液中に界面活性剤を添加した後、界面活性剤を除去し、リムルステストにて測定することを特徴とするエンドトキシン活性の測定方法。
【選択図】 なし
リムルステスト試薬を促進または妨害するような物質が混在する試料においても、正確にかつ迅速にエンドトキシンの活性を測定する方法の提供する。
【解決手段】
リムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法において、試料液中に界面活性剤を添加した後、界面活性剤を除去し、リムルステストにて測定することを特徴とするエンドトキシン活性の測定方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、細菌内毒素であるエンドトキシン活性の測定方法に関するものであり、詳しくは、エンドトキシンをカブトガニ血球抽出液由来成分をもって定量する方法であるリムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法に関するものである。
エンドトキシンとは、グラム陰性菌の細胞外膜に存在するリポ多糖体であり、発熱や炎症さらにはショック死などの毒作用を引き起こす性質から、注射用薬剤などの医薬品類、医療用具や透析液においては、生菌数とともに重要な管理項目となっている。
エンドトキシン活性を測定する方法としては、ウサギ発熱性試験、鶏胚致死試験、ラジオイムノアッセイ、エンザイムイムノアッセイおよびガスマススペクトル等があるが、最も鋭敏、簡便かつ迅速な方法として、カブトガニ血球抽出物由来成分(カブトガニの血球を凝集しないように集めて、水を加え、細胞内容物を抽出したもの。Limulus Amebocyte Lysate 、以下、LALと略す。)を利用したリムルステストが挙げられる。リムルステストとは、LALにエンドトキシンを加えると凝固反応が生じる性質を応用した試験法で、1988年には日本薬局方にエンドトキシン試験法として収載されている。
リムルステストには、ゲル化法(ゲル化転倒法)、比濁法(比濁時間分析法)および合成基質法(比色法)の3方式が現在広く実施されている。
ゲル化法は、LALと試料を混合し、37℃の温度で60分間反応させた後、180°転倒させ、ゲル化を判定する半定量法である。比濁法は、LALと試料を混合し、37℃での温度反応中の透過光量変化を観測して割り出されるゲル化時間からエンドトキシンを定量する方法である。合成基質法は、LALとエンドトキシンの反応によって活性化される酵素により分解して色素を遊離する合成基質を用い、遊離色素量からエンドトキシンを定量する方法である。
従来、上記のそれぞれの手法に対し、各種試薬(例えば、生化学工業製「エンドスペシー」や和光純薬製「リムルス−ES−Test−Wako」等)が既に市販され、広く一般に使用されている。
しかしながら、リムルステストは、エンドトキシンのミセル構造に影響を受けるし、ある種の金属塩はリムルス反応自体に影響を及ぼす。これらのリムルステストへの影響として、促進的に働く場合、すなわち、実際のエンドトキシン活性よりも、見かけ上、活性が多くなってしまう場合と、阻害的に働く場合、すなわち、実際のエンドトキシン活性よりも、見かけ上、活性が少なくなってしまう場合がある。例えば、リムルステストに阻害的に働く物質が試料に混入している場合には、エンドトキシンの毒性は保持されているにも関わらず、リムルステストではエンドトキシンが検出されないことがあり得るため、医薬品や医療用具などの安全性を保証することができない。したがって、このようにリムルステスト妨害物質が混入している場合には、それらの影響を排除してからリムルステストに供することが重要である。
リムルステスト妨害物質として、例えば、最近では医療用具等の滅菌方法として放射線照射を用いることが多く、この放射線滅菌により医薬品や医療用具の容器や構成基材の分解物が試料中に溶出することがあり、そのような分解溶出物がリムルステスト妨害物質になることがある。
このようなリムルステストを妨害する物質については、その解決策がいくつか提示されている。具体的に、リムルステストを妨害する物質が混入している試料を、阻害作用が失われる濃度にまで必要に応じて加熱しながら希釈して測定する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、試料中のエンドトキシンも希釈されるため、試料中のエンドトキシン量が少ないとリムルステストの感度以下になって検出不能になること、希釈を繰り返すと希釈に使用した容器にエンドトキシンが吸着して、正確な値が得られなくなる危険性がある。
また、他の方法としては、既に市販のエンドトキシン吸着体を用い、エンドトキシンを吸着させ洗浄した後に脱離させる方法があるが、この方法では、試料の吸着時には酸性・低イオン強度の条件下に、脱離時にはアルカリ条件下に調整する必要があり、コンタミネーションの問題や作業効率が良くないという問題があった。
さらに、従来のこのような解決方法は、リムルス反応を妨害する物質についてのみしか適用できない。すなわち、エンドトキシンのミセル構造を変化させるような物質については、適用が不可能であった。例えば、リムルス反応は、エンドトキシンミセルの大きさによってその反応の活性が異なってくる。エンドトキシンミセル内に入り込んで、その大きさを変えるような化合物の場合、エンドトキシンのミセル構造自体が変わっているため、前記の希釈法によっても解決することができない。また、前記のエンドトキシン吸着体を用いても、妨害物質がエンドトキシンミセル内に入り込んでいる場合は、これを取り除くことができないので、解決することができない。
すなわち、リムルステストを妨害するような物質に対しての満足できるような解決策は、これまで提示されていなかった。
特開平02−143164号公報
そこで本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を直視し、リムルステストを促進または阻害するような物質が混入する試料においても、正確にエンドトキシンの活性を測定することができる方法を提供することにある。
本発明は、以下に記す簡単な前処理を施すことにより、正確にエンドトキシンの活性を測定できるところに特徴を有するものである。
(1)リムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法において、試料液中に界面活性剤を添加した後、該界面活性剤を除去し、リムルステストにて測定することを特徴とするエンドトキシン活性の測定方法。
(2)リムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法において、試料液中に界面活性剤を添加した後、超音波処理を行い、次いで該界面活性剤を除去し、リムルステストにて測定することを特徴とするエンドトキシン活性の測定方法。
(3)濾過により界面活性剤を除去することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(4)界面活性剤を添加した後の試料液中の界面活性剤濃度が、0.1重量%以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(5)界面活性剤を添加し、除去した後の試料液中の界面活性剤濃度が、0.01重量%未満であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(6)界面活性剤が陰イオン系の界面活性剤であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(7)界面活性剤がデオキシコール酸ナトリウムであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(8)比濁法によってエンドトキシン活性を測定することを特徴とする上記(1)〜(7)記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(1)リムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法において、試料液中に界面活性剤を添加した後、該界面活性剤を除去し、リムルステストにて測定することを特徴とするエンドトキシン活性の測定方法。
(2)リムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法において、試料液中に界面活性剤を添加した後、超音波処理を行い、次いで該界面活性剤を除去し、リムルステストにて測定することを特徴とするエンドトキシン活性の測定方法。
(3)濾過により界面活性剤を除去することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(4)界面活性剤を添加した後の試料液中の界面活性剤濃度が、0.1重量%以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(5)界面活性剤を添加し、除去した後の試料液中の界面活性剤濃度が、0.01重量%未満であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(6)界面活性剤が陰イオン系の界面活性剤であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(7)界面活性剤がデオキシコール酸ナトリウムであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
(8)比濁法によってエンドトキシン活性を測定することを特徴とする上記(1)〜(7)記載のエンドトキシン活性の測定方法。
本発明を用いることにより、リムルステストを促進または阻害するような物質が混入する試料においても、正確にエンドトキシンの活性を測定することができる。
本発明のエンドトキシン活性の測定方法は、リムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法において、試料液中に界面活性剤を添加した後、該界面活性剤を除去し、リムルステストにて測定することを特徴とするものである。
本発明でいう試料液とは、エンドトキシン活性測定の対象となる液であれば、特に限定されるものではなく、医薬品などを溶解させた溶液や分散液、医療用具からの抽出液や人工腎臓などに含まれている充填液などが挙げられる。
試料は、無菌的かつパイロジェンフリー(エンドトキシンフリー)下で採取する。ポリプロピレン製容器や軟質ガラス製容器はエンドトキシンを吸着するといわれており、試料と長期にわたって接触させることは避けた方がよく、250℃以上の温度で乾熱処理したパイレックス(登録商標)等の硬質ガラスからなる容器を用いることが好ましい。また、パイロジェンフリーのポリスチレン容器も好適に使用することができる。
採取した試料液をリムルステスト試薬に所定量分注するが、試料液をリムルステスト試薬に添加する前に、本発明の前処理を実施し、リムルステスト阻害物質を除去することでエンドトキシン活性測定を正確に実施することができる。
ここで、次の式1に従って算出される回収率が50%〜200%の範囲に収まる場合、エンドトキシン活性測定が成立すると日本薬局方に記載されており、本発明でいうところの、正確も、上記範囲に収まる場合を指す。
回収率(%)= (試料液中に添加したエンドトキシン活性)/(水中に添加したエンドトキシン活性)×100 ・・・・・(式1)
本発明でいうところのリムルステスト妨害物質とは、リムルステストに対して促進的に働く物質でも、阻害的に働く物質でも良く、リムルス反応自体に影響を与える物質でも良いし、エンドトキシンのミセル構造に影響を与えるものでも良い。
回収率(%)= (試料液中に添加したエンドトキシン活性)/(水中に添加したエンドトキシン活性)×100 ・・・・・(式1)
本発明でいうところのリムルステスト妨害物質とは、リムルステストに対して促進的に働く物質でも、阻害的に働く物質でも良く、リムルス反応自体に影響を与える物質でも良いし、エンドトキシンのミセル構造に影響を与えるものでも良い。
本発明のエンドトキシン活性の測定方法では、これらのいずれにおいても、エンドトキシン活性測定を正確に実施することができるが、エンドトキシンのミセル構造に影響を与える妨害物質の場合に、特に好適に用いることができる。エンドトキシン水溶液のリムルステストによるエンドトキシン活性が経時的に低下していく場合、リムルス反応を阻害する物質であれば、経時的な活性の低下は観測されないため、エンドトキシンのミセル構造に影響を与える物質が混在している可能性が高い。
本発明のエンドトキシン活性の測定方法は、エンドトキシンのミセルを壊し、単量体にすることで、エンドトキシンのミセル構造に影響を与えていた妨害物質、例えば、ミセル内部などに入り込んでミセル構造を変化させると考えられるような妨害物質を効率的に除去することができる。その後、単量体を再びミセルに戻すことにより、エンドトキシン活性を正確に測定することができると考えられる。
具体的な方法としては、界面活性剤を試料液中に添加することにより、試料液中のエンドトキシンのエンドトキシンミセル構造を壊す。先ず、パイロジェンフリーであることが確認された注射用水に界面活性剤を溶解した界面活性剤溶液を作製し、その界面活性剤溶液を測定対象の試料液中にクリーンベンチ下で添加する。
本発明で用いられる界面活性剤とは、界面活性作用を有する物質であれば良く、陰イオン性の界面活性剤、陽イオン性の界面活性剤、両性イオンの界面活性剤やノニオン性界面活性剤が挙げられる。エンドトキシンをミセルから単量体にする効率性の良さから、陰イオン性の界面活性剤を使用することが好ましい。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウムのようなアルキル硫酸や
1105418842312_0.htm
、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の芳香族系硫酸塩、コール酸塩やデオキシコール酸塩の様な胆汁酸塩や、それ以外にもラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウロイルサルコシンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ノニルフェノキシカルボン酸、高級脂肪酸などが挙げられる。この中でも入手の容易さなどの点からコール酸ナトリウムやデオキシコール酸ナトリウムを使用することができる。また、界面活性剤は異なる2種類以上のものを併用添加してもかまわない。
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、ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の芳香族系硫酸塩、コール酸塩やデオキシコール酸塩の様な胆汁酸塩や、それ以外にもラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウロイルサルコシンナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ノニルフェノキシカルボン酸、高級脂肪酸などが挙げられる。この中でも入手の容易さなどの点からコール酸ナトリウムやデオキシコール酸ナトリウムを使用することができる。また、界面活性剤は異なる2種類以上のものを併用添加してもかまわない。
ここで、添加する界面活性剤の量は、試料液中の界面活性剤濃度が0.1重量%以上となるように選択される。これは、界面活性剤濃度が0.1重量%程度であれば、エンドトキシンは完全に単量体にならならないが、ミセル構造は乱されるため、ミセル内部に入り込んだ物質などは、ある程度、取り除けるものと考えられる。界面活性剤濃度を上げることで、ミセル構造から単量体にすることができ、単量体にすることで妨害物質を完全に取り除くことができる。ミセル構造から単量体にする界面活性剤の濃度は、界面活性剤の種類によって異なるが、1重量%以上であることが好ましい。また、単量体になると、それ以上の界面活性剤を添加しても効果はなく、むしろ界面活性剤の除去に時間がかかるなど、作業効率が低下するため、添加濃度は10重量%以下が好ましい。
また、このとき、ミセル構造を効率的に壊すために、界面活性剤を添加した後、超音波を照射することは、有効な手段である。ここでいう超音波とは、一般的に“可聴周波以上の周波数音波”、すなわち“16kHz以上の音波“と定義されているものである。
本発明で用いられる超音波処理は、特に制限されるものではないが、水槽内に超音波発信器を備えた市販の超音波処理器を使用することができる。例えば、試料溶液の入った容器を水槽中にいれ、超音波処理を行うことによって達成することができる。
超音波処理時間は、短すぎるとエンドトキシンのミセル構造の破壊が不十分となるため、超音波処理の効果が十分に発現できない。また、処理時間が長すぎると試料溶液の温度が上昇するため、エンドトキシンの活性が低下する可能性がある。好適な処理時間は超音波発生装置の出力により変動するが、一般実験向けの卓上超音波発生装置であれば10分から2時間程度が好ましい。
また、試料溶液を入れる容器については、この超音波処理の振動を試料に与えるために極端に厚みのある容器ではなく1〜3mm厚さの容器で硬質ガラスかポリスチレン製等の容器が好適に使用できる。
試料液中に添加された界面活性剤は、次いで、好ましくは膜等の濾過材を用い濾過することよって除去することができる。濾過材としては、妨害物質の分子量がエンドトキシン単量体よりも小さい場合、エンドトキシン単量体と妨害物質および界面活性剤を分けることのできる孔径の濾過材を選択すればよい。このとき、界面活性剤と妨害物質は同時に除去される。なお、エンドトキシン単量体の分子量は、5000〜2万と考えられており、界面活性剤で単量体にした場合には、これに界面活性剤と結合した分子量となる。したがってこの場合、濾過材の分画分子量は2万以下が好ましい。分画分子量とは、分画曲線から阻止率が90%の分子量をいう。
界面活性剤を取り除くことで、エンドトキシンは自己集合し、ミセル構造が再構築される。
妨害物質がエンドトキシン単量体よりも大きい場合、エンドトキシン単量体と妨害物質を分けることができる孔径の濾過材を選択し、妨害物質を取り除いた後、エンドトキシン単量体と界面活性剤をわけることができる孔径の濾過材によって、界面活性剤を除去すればよい。濾過材の分画分子量は4万以上が好ましい。
また、ここでいう濾過は、全濾過でなくとも良く、透析も含む。
なお、界面活性剤の種類にもよるが、一般的には界面活性剤の濃度はは0.01重量%未満になれば、リムルス反応を阻害することもなく、エンドトキシンもミセル構造を再構築することができる。
濾過材としては、エンドトキシンを吸着するような素材は好ましくない。例えば、疎水性基材だけで構成された濾過材は、エンドトキシンと疎水性相互作用による吸着の危険性がある。
濾過材としては、エンドトキシンを吸着するような素材は好ましくない。例えば、疎水性基材だけで構成された濾過材は、エンドトキシンと疎水性相互作用による吸着の危険性がある。
本発明において、上記の処理を施した試料液について、次にリムルステストでエンドトキシン活性を測定する。
リムルステストの方法としては、ゲル化転倒法、比濁法および比色法等、現在実施されている方式のいずれも使用可能であり、既知の方法で測定でき特に限定されない。リムルステスト試薬は、和光純薬製「リムルス−ES−Test−Wako」や生化学工業製「エンドスペシー」など市販のものを使うことができる。測定試料を所定量分注しリムルステスト試薬に添加した後、試薬と試料をよく攪拌し速やかに測定を開始するが、攪拌後の放置が長いと試料とリムルス試薬との反応が進み正確な測定ができなくなるので、数十秒内で開始することが望ましい。当然のことながら、これらの処理はクリーンベンチなど、無菌かつパイロジェンフリー下で実施する。
1.リムルステスト妨害物質の混入したエンドトキシンの調製
中空糸型人工腎臓である東レ株式会社製「トレスルホンBS−1.6UL」(登録商標)の血液側充填液を抜き出し、これにエンドトキシン標準品(日本薬局方標準品10000EU/バイアル)を、注射用水(日本薬局方注射用水:大塚製薬、以下同じ)に溶解したものを順次パイロジェンフリーの注射用水で希釈し、0.12EU/mlの濃度に調整した溶液と1:1(容量比)でポリスチレン製テストチューブ2054(ファルコン社製)にて混合して、エンドトキシンの活性が0.06EU/mlである試料液を調製した。
中空糸型人工腎臓である東レ株式会社製「トレスルホンBS−1.6UL」(登録商標)の血液側充填液を抜き出し、これにエンドトキシン標準品(日本薬局方標準品10000EU/バイアル)を、注射用水(日本薬局方注射用水:大塚製薬、以下同じ)に溶解したものを順次パイロジェンフリーの注射用水で希釈し、0.12EU/mlの濃度に調整した溶液と1:1(容量比)でポリスチレン製テストチューブ2054(ファルコン社製)にて混合して、エンドトキシンの活性が0.06EU/mlである試料液を調製した。
上記試料液を調整後、速やかにリムルステスト用チューブ(透析液用リムルス試薬0.2ml用:和光純薬)に0.2ml添加し、卓上ラボミキサーにて5秒間撹拌して試薬を溶解後、速やか(10秒以内)にトキシノメーター(ET―301:和光純薬)にセットし、比濁法にてエンドトキシン活性の測定を行った。リムルステストによるエンドトキシンの活性は、0.06EU/mlであった。コントロールとして、エンドトキシン標準品を、パイロジェンフリーの注射用水に溶解したものを順次パイロジェンフリーの注射用水で希釈し、エンドトキシンの活性が0.06EU/mlである試料液を調製した。リムルステストによるエンドトキシン活性は、0.06EU/mlであった。
上記の試料液およびコントロールの試料液を調製後5日間室温にて放置し、同様にトキシノメーターでエンドトキシン活性を測定した。その結果、試料液は、リムルステストによるエンドトキシンの活性は0.006EU/mlであったが、コントロールの試料液は0.06EU/mlであった。調製直後にエンドトキシン添加量と測定値が一致するが、時間をおくことで、リムルステストによるエンドトキシン活性が低下することから、リムルス反応に影響を及ぼした結果ではなく、エンドトキシンのミセル構造が変わり、見かけ上、エンドトキシン活性が低下したものと考えられる。
[実施例1]
上記1.で作成したエンドトキシンの試料液0.8ml対し、陰イオン系の界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(1級試薬:和光純薬、以下SDSと略す)のパイロジェンフリーな10重量%水溶液を0.2ml添加した。その後、“ウルトラザルト”D20(ザルトリウス社)に該溶液を入れ、約0.1mlまで濾過濃縮した。その後、パイロジェンフリーの注射用水10mlを添加し、同様に約0.1mlまで濾過濃縮した。注射用水の添加をさらに2回、同様に添加し、濾過濃縮を繰り返した。この後、総液量を0.8mlになるように、注射用水を添加した。
上記1.で作成したエンドトキシンの試料液0.8ml対し、陰イオン系の界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(1級試薬:和光純薬、以下SDSと略す)のパイロジェンフリーな10重量%水溶液を0.2ml添加した。その後、“ウルトラザルト”D20(ザルトリウス社)に該溶液を入れ、約0.1mlまで濾過濃縮した。その後、パイロジェンフリーの注射用水10mlを添加し、同様に約0.1mlまで濾過濃縮した。注射用水の添加をさらに2回、同様に添加し、濾過濃縮を繰り返した。この後、総液量を0.8mlになるように、注射用水を添加した。
上記試料を速やかに、上記1.記載の方法と同様にして、エンドトキシン活性の測定を行った。その結果、エンドトキシンの活性は0.05EU/mlまで活性を回復することができた。一方、コントロールの試料液について同様の操作を行った結果、エンドトキシンの活性は0.06EU/mlと変わらなかった。
[実施例2]
実施例1と同様に、上記1.で作成した試料液0.8ml対し、パイロジェンフリーな10重量%SDS水溶液を0.2ml添加した。SDS溶液を添加した試料液を卓上ラボミキサー(NS−8:井内盛栄堂)で5秒間攪拌した後、超音波処理器(B2210J−MTH:BRANSON、出力90W)でテストチューブごと90分間超音波処理を行った。
実施例1と同様に、上記1.で作成した試料液0.8ml対し、パイロジェンフリーな10重量%SDS水溶液を0.2ml添加した。SDS溶液を添加した試料液を卓上ラボミキサー(NS−8:井内盛栄堂)で5秒間攪拌した後、超音波処理器(B2210J−MTH:BRANSON、出力90W)でテストチューブごと90分間超音波処理を行った。
超音波処理後、実施例1と同様にウルトラザルト“D20”による処理を行った後、エンドトキシン活性の測定を行った。その結果、エンドトキシンの活性は0.06EU/mlまで活性を回復することができた。この試料液をさらに5日間室温放置しても、エンドトキシンの活性は0.06EU/mlで低下することはなかった。一方、コントロールの試料液について同様の操作を行った結果、エンドトキシンの活性は0.06EU/mlと変わらなかった。
[比較例1]
実施例2と同様に、上記1.で作成した試料液に0.8ml対し、パイロジェンフリーな10重量%SDS水溶液を0.2ml添加し、超音波処理を90分間行った。ウルトラザルト“D20”による処理を行わずに、エンドトキシン活性の測定を行った。その結果、添加直後にリムルス試薬がゲル化し、測定不能となった。これはSDSがリムルス反応に影響を与えたためであると考えられる。
実施例2と同様に、上記1.で作成した試料液に0.8ml対し、パイロジェンフリーな10重量%SDS水溶液を0.2ml添加し、超音波処理を90分間行った。ウルトラザルト“D20”による処理を行わずに、エンドトキシン活性の測定を行った。その結果、添加直後にリムルス試薬がゲル化し、測定不能となった。これはSDSがリムルス反応に影響を与えたためであると考えられる。
[比較例2]
上記1.で作成した試料液に1mlにSDSを添加せずに、実施例1と同様に、ウルトラザルト“D20”による処理を行った後、エンドトキシン活性の測定を行った。その結果、エンドトキシンの活性は0.007EU/mlと活性の回復はほとんど見られなかった。
上記1.で作成した試料液に1mlにSDSを添加せずに、実施例1と同様に、ウルトラザルト“D20”による処理を行った後、エンドトキシン活性の測定を行った。その結果、エンドトキシンの活性は0.007EU/mlと活性の回復はほとんど見られなかった。
リムルステストを促進または阻害するような物質が混入する試料においても、正確にエンドトキシンの活性を測定することができる。
Claims (8)
- リムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法において、試料液中に界面活性剤を添加した後、該界面活性剤を除去し、リムルステストにて測定することを特徴とするエンドトキシン活性の測定方法。
- リムルステストによるエンドトキシン活性の測定方法において、試料液中に界面活性剤を添加した後、超音波処理を行い、次いで該界面活性剤を除去し、リムルステストにて測定することを特徴とするエンドトキシン活性の測定方法。
- 濾過により界面活性剤を除去することを特徴とする請求項1または2に記載のエンドトキシン活性の測定方法。
- 界面活性剤を添加した後の試料液中の界面活性剤濃度が、0.1重量%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
- 界面活性剤を添加し、除去した後の試料液中の界面活性剤濃度が、0.01重量%未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
- 界面活性剤が陰イオン系の界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
- 界面活性剤がデオキシコール酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
- 比濁法によってエンドトキシン活性を測定することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエンドトキシン活性の測定方法。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012029171A1 (ja) * | 2010-09-03 | 2012-03-08 | 興和株式会社 | 生物由来の生理活性物質の測定方法 |
JP2017519208A (ja) * | 2014-06-12 | 2017-07-13 | ヒグロス インベスト ゲーエムベーハー | 溶液中の内毒素の脱マスキングの方法 |
US10585086B2 (en) | 2014-06-12 | 2020-03-10 | Hyglos Invest Gmbh | Unmasking endotoxins in solution |
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2005
- 2005-01-11 JP JP2005003719A patent/JP2006194606A/ja active Pending
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