JP2006026404A - 生体素材よりウイルス活性を除去する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レイノルズ数が2000に等しいか、又はそれ以下の非乱流条件下で、高圧流体を不活性化処理しようとする生体素材などが入っている容器内に導入し、その素材に存在しているウイルスを不活性化せしめる。
本発明の方法により、無毒性の高圧流体を使用して、医療物品或いは材料などに存在する可能性のあるウイルスを不活性化せしめ、その他の毒性又は癌を引き起こす可能性のある添加剤を加える必要がない。又、本発明の方法は、比較的低い温度条件下で行われるので、特に生物活性を有するタンパク質など熱に不安定な素材のウイルス不活性化処理に適用される。
【選択図】なし
Description
又、通常、常用されている高温、或いは高圧殺菌方法は、熱に不安定の素材には適用しがたい。そこで低温条件下で殺菌可能の方法が求められている。
本発明の別の目的は、簡単にウイルス活性を除去する方法を提供するものである。
本発明の又一つの目的は、比較的低い温度条件下で、ウイルス活性を除去する方法を提供するものである。
本発明のいま一つの目的は、熱に不安定な素材に対して適用して殺菌を行い、そのウイルス活性を除去する方法を提供するものである。
本発明の更に一つの目的は、敏感な蛋白質素材に適した殺菌を行い、そのウイルス活性を除去する方法を提供するものである。
通常、いわゆる「臨界流体(critical fluid)」とは、温度と圧力がそれぞれ臨界温度、又は、臨界温度を超え、臨界圧力又は臨界圧力を超える臨界状態にある流体を指すものである。別に、いわゆる「近臨界流体(near critical fluid)」とは、その温度と圧力がそれぞれ臨界温度又は臨界温度に近く、臨界圧力又は臨界圧力に近い状態にある流体である。本発明において、「高圧流体」とは超臨界流体と液体流体を含み、「超臨界流体(supercrilica fluid, SCFと略す)」とは、温度と圧力がそれぞれ臨界温度、近臨界温度又は臨界温度を超えた状態および臨界圧力、近臨界圧力又は臨界圧力を超えた状態にある臨界、近臨界と超臨界流体を指す。同様にして、本発明において、いわゆる「超臨界二酸化炭素」とは、その温度と圧力がそれぞれ臨界温度(31.1℃)、近臨界温度又は臨界温度を超え、同時に臨界圧力、近臨界圧力又は臨界圧力を超えた臨界、近臨界および超臨界の二酸化炭素を指す。
ST細胞株(ATCC CRL−1746由来)−第114世代、コロナウイルス属の感染性胃腸炎ウイルス(Transmissible gastroenteritis virus,略称 TGEV)の台湾野外分離株(TF I)を材料に用いて試験を行った。
ウイルス力価TCID50が108/mlのTGEVを解凍後、8%(W/V、無菌蒸留水を用いて調製)のゼラチン溶液を等量加え、ガラス製の小瓶に均一に分注し、ゼラチンが凝固した後、密封し4℃で使用する迄保存する。
次に、レイノルズ数が2000の非乱流条件下、表1に記載の処理条件で超臨界二酸化炭素を、サンプル1g当たり300gの比率で導入した。
最後に、上記の実験方法により重複試験を行い、実施条件(1)〜(3)と対照例(1)において、それぞれのTCID50値を得て、そのウイルス含量を測定し、ウイルス力価を記録して、下記の式により幾何平均値(GM)を求めた。
MARC−104細胞株、ブタ生殖呼吸系症候群ウイルス(Porcine reproductive and respiratory syndrome virus,PRRSV MD006株と略す)を材料に使用して試験した。
ウイルス力価TCID50が107.5/mlのPRRSVを解凍した後、8%(W/V、無菌蒸留水を用いて調製)のゼラチン溶液を等量加え、ガラス製小瓶に均一に分注し、ゼラチンが凝固した後、密封し4℃の下で使用する迄保存する。
次に、レイノルズ数が2000の非乱流条件下、表2に記載の処理条件で超臨界二酸化炭素を、サンプル1g当たり300gの比率で導入した。
最後に、上記の実験方法により試験を重複し、実施条件(4)〜(6)と対照例(2)について、それぞれTCID50値を得て、そのウイル含量を測定し、ウイルス力価を記録して、下記の式により幾何平均値(GM)を求めた:
Vero細胞株、日本脳炎ウイルス(Japan encephalitis virus, JEVと略す)株を使用して試験した。
ウイルス力価TCID50が107.1/mlのJEVを解凍した後、8%(W/V、無菌蒸留水を用いて調製)のゼラチン溶液を等量加え、ガラス製小瓶に均一に分注し、ゼラチンが凝固した後、密封し4℃の下で使用する迄保存する。
次に、レイノルズ数が2000の非乱流条件下、表3に記載の処理条件で、超臨界二酸化炭素をサンプル1g当たり300gの比率で導入した。
最後に、上記の実験方法を用い、重複試験し、実施条件(7)〜(9)と対照例(3)についてそれぞれTCID50値を得て、そのウイルス含量を測定し、ウイルス力価を記録して、下記の式により幾何平均値(GM)を求めた。
RK細胞株、仮性狂犬病ウイルス(Pseudorabies virus, PRVと略す)台湾野外分離株を材料に用いて試験した。
ウイルス力価TCID50が106.3/mlのPRVを解凍した後、8%(W/V、無菌蒸留水を用いて調製)のゼラチン溶液を等量加え、ガラス製小瓶に均一に分注し、ゼラチンが凝固した後、密封し4℃の下で使用する迄保存する。
次に、レイノルズ数が2000の非乱流条件下、下記の表4に記載の処理条件下で、超臨界二酸化炭素をサンプル1g当たり300g導入した。
最後に、上記の試験方法を用い、重複試験し、実施条件(10)〜(12)と対照例(4)〜(5)について、それぞれTCID50値を得て、そのウイルス含量を測定し、ウイルス力価を記録して、下記の式により幾何平均値(GM)を求めた。
材料:
MARC−104細胞株、ブタ生殖呼吸系症候群ウイルス(Porcine reproductive and respiratory syndrome virus, PRRSV MD006株)とブタ感染性胃腸炎ウイルス(Porcine Transmissible gastroenteritis virus (TGEV))の抗体血清などを材料に用いて測定した。
ウイルス力価TCID50が107.5/mlのPRRSVを解凍した後(20m1)、等量の8%(W/V、無菌蒸留水を用いて調製)のゼラチン溶液(20m1)を加え、更に、1mlのブタ感染性胃腸炎ウイルスの抗体血清を加え、均一に混合した後、ガラス製小瓶に均一に分注し、ゼラチンが凝固した後、密封し4℃で使用する迄保存する。
次に、レイノルズ数が2000の非乱流条件下、表5に記載の処理条件下で、サンプル1g当たり300gの比率で超臨界二酸化炭素を導入した。
最後に、TGEV中和抗体検定方法により、OIEの規定に従い、先にサンプルを100μlとり、2倍で連続希釈(2−1〜2−12)した後、等量の100μlのウイルス力価が、100TCID50のTGEVを1時間作用せしめ、更に、混合液をすでに平面状に成長した細胞株に移し、5日後に中和抗体力価を判定した。
材料:
RK細胞株、仮性狂犬病ウイルス(Pseudorabies virus; PRV)台湾野外分離株とブタ感染性胃腸炎ウイルスの抗体血清などを材料に用いて測定した。実施方法;
ウイルス力価TCID50が108/mlのPRVを解凍した後(20m1)、等量の8%(W/V、無菌蒸留水を用いて調製)のゼラチンを含む溶液(20m1)を加え、更に、1mlのブタ感染性胃腸炎ウイルスの抗体血清を加え、均一に混合した後、ガラス製小瓶に均一に分注し、ゼラチンが凝固した後、密封し4℃の下で用いる迄保存する,
しかる後、サンプルを回収し、遠心分離を行い、上澄液を取り、リード−ムウンチ法を用い、96穴プレートによりRK細胞株について、PRV TCID50を検定し、6回重複試験を行い、その細胞のCPEの有無により、ウイルス活性の存否を決定し、更に、リード−ムウンチ法を用いてサンプル中のウイルス力価を計算した。
最後に、TGEV検定方法により、OIEの規定に従い、まず、サンプルを2倍連続希樟(2−1〜2−12)した後、等量の100 TCID50 TGEVを加え1時間作用せしめた後、その混合液をすでに平面状に成長した細胞株に移し、5日後に力価を判定した。
Claims (21)
- 生体素材よりウイルス活性を除去する方法において、レイノルズ数が2000に等しいか、又はそれ以下の非乱流条件下で、不活性化処理しようとするウイルスを含み、かつ生物活性を有する生体素材などが入っている容器内に高圧流体を導入し、ウイルスを不活性化させる工程を含むことを特徴とする、生体素材よりウイルス活性を除去する方法。
- 前記高圧流体に用いられた流体が、二酸化炭素、水、プロパン、キセノン、一酸化二窒素、水素と塩素からなる群より選ばれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記高圧流体が、超臨界二酸化炭素であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
- 前記高圧流体が、液体二酸化炭素であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 不活性化処理しようとする素材lg当たりにつき、前記超臨界二酸化炭素を100〜500gの範囲で導入することを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 不活性化処理しようとする素材1g当たりにつき、前記超臨界二酸化炭素を300gで導入することを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記超臨界二酸化炭素の圧力が60〜240barの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記超臨界二酸化炭素の圧力が100〜200barの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記超臨界二酸化炭素の圧力が150〜190barの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記超臨界二酸化炭素の圧力が160barであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記超臨界二酸化炭素の温度が40〜80℃の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記超臨界二酸化炭素の温度が40〜60℃の範囲であることを特徴とする請求項11に記載の方法。
- 前記超臨界二酸化炭素の濃度が40〜50℃の範囲であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
- 前記高圧流体が共溶媒を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記共溶媒が有機溶剤であることを特徴とする請求項14に記載の方法。
- 前記有機溶剤は、アセトン、ヘキサン、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、酢酸エチルエステル、メタノール、エタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサン、トリクロロメタン、ジクロロエタン、ピリジン、ジエチルエーテル、ニトロメタンとアニソールなどからなる群より選ばれることを特徴とする請求項15に記載の方法。
- 前記高圧流体が微生物抑制剤を更に含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 前記微生物抑制剤が、過酢酸、過酸化水素、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、o−フタルアルデヒド、ヨードとエタノールからなる群より選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
- 前記ウイルスとして、コロナウイルス、ブタ生殖呼吸系症候群ウイルス、日本脳炎ウイルスまたは仮性狂犬病ウイルスを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記生体素材が生物活性を有する素材であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記生物活性を有する素材が蛋白質、ペプチド、核酸、血小板、生物活性分子又は血液因子であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
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