JP2006192667A - 金属被覆用積層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 フッ素系樹脂フィルムを薄層化することによって、従来技術に比べて経済的利点をもたらすことができる金属被覆用積層フィルムを提供する。
【解決手段】 金属表面に積層して用いる金属被覆用積層フィルムにおいて、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層を有し、その上に、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層を有し、その上に、フッ素樹脂からなる層を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属被覆用積層フィルムに関し、特に、防汚性を有し、各層を薄層とすることができる金属被覆用積層フィルムに関する。
樹脂フィルムによって被覆された金属板は、金属表面を傷から保護したり、金属表面に意匠性を付与したりするために用いられるもので、家電製品外装、鋼製家具、エレベータ内装、ドア、ユニットバスの壁、天井等の建物内装材等として幅広く利用されている。
かかる金属板として、特許文献1には、無機系防錆剤を添加した防錆接着剤を用いて合成樹脂フィルムを貼合した金属板が記載されている。また、特許文献2には、特定の融点を有する高分子量熱可塑性ポリエステルまたは高分子量熱可塑性ポリエステルエーテルを主成分とする接着層によって、PETフィルム上に設けた金属薄膜層と、金属板とを熱接着させてなる被覆金属板が記載されている。また、特許文献3には、紫外線吸収型アクリル系樹脂を主成分とした組成物からなる接着層によって、金属板とプラスチックフィルムを積層した被覆金属板が記載されている。
特開昭52−134686号公報 特開昭58−183248号公報 特開平8−290525号公報
樹脂フィルムによって被覆された金属板において、防汚性が要求される場合、この防汚性を付与する方法として、金属板の表面を、フッ素系樹脂を最外層とする積層フィルムで被覆することが考えられる。そして、フッ素系樹脂は一般に高価であるので、フッ素系樹脂層はできるだけ薄くすることが要求される。
しかし、特許文献1〜3のように、接着剤を用いてプレス成形によって樹脂を積層する方法では、フィルムを積層する際の作業性の観点から、フィルムにある程度のコシが必要とされるため、フッ素系樹脂層には、ある程度の膜厚が必要とされ、経済的に樹脂被覆金属板を作成できないという問題点がある。さらに、フィルムを貼り合わせる工程が必要であるので、作業性および経済性が悪いという問題点もある。
そこで、本発明は、フッ素系樹脂フィルムを薄層化することによって、従来技術に比べて経済的利点をもたらすことができる金属被覆用積層フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、フッ素系樹脂フィルムを、特定の材料からなる層と共押出して積層することによって、上記課題を解決することができることを見出し、以下の発明を完成した。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第一の本発明は、金属(10)表面に積層して用いる金属被覆用積層フィルムにおいて、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層(50)を有し、その上に、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層(30)を有し、その上に、フッ素樹脂からなる層(20)を有することを特徴とする金属被覆用積層フィルムである。
ここで「無延伸」とは意図して延伸操作を付与しないことであり、例えば、押出し製膜時にキャスティングロールによる引き取りで発生する配向等が存在しないということまでを意味するものではない。
第二の本発明は、金属(10)表面に積層して用いる金属被覆用積層フィルムにおいて、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層(50)を有し、その上に、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層(30)を有し、その上に、フッ素樹脂からなる層(20)を有し、その上に、剥離可能な樹脂層(60)を有することを特徴とする金属被覆用積層フィルム(100)である。
前記フッ素樹脂は、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体またはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体であることが好ましい。
製膜時における、前記ポリエステル系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算の重量平均分子量は、65000〜140000の範囲にあることが好ましい。
前記ポリエステル系樹脂からなる無延伸層(50)を形成する樹脂は、結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂を含み、示差走査熱量測定により、JIS−K7121に準じて、加熱温度10℃/分で測定した一次昇温時に明確な結晶融解に起因する吸熱ピークを示し、その結晶融解熱量(ΔHm(J/g))が、10〜60であることが好ましい。
前記金属被覆用積層フィルム(100)は、共押出により成形されていることが好ましい。
第三の本発明は、前記金属被覆用積層フィルム(100)を貼り付けた樹脂被覆金属板(110)である。
本発明の金属被覆用積層フィルムによれば、積層フィルムを特定の材料からなる層によって構成し、接着剤を用いないで共押出により各層を積層することができる。また、接着剤を用いないで、共押出により積層することで、積層フィルムの耐久性および耐熱性を向上させることができると共に、積層フィルムの各層を薄層化して、経済性を向上させることができる。また、貼り合わせ工程を不要とすることにより、作業性、経済性を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、それぞれ図面を参照しつつ説明する。
図1に、本発明の金属被覆用積層フィルム100を示す。本発明の金属被覆用積層フィルム100は、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30、フッ素樹脂からなる層20を有している。ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50におけるテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30が積層された面とは反対の面に、金属板10が接着され、樹脂被覆金属板110が形成される。
本発明の金属被覆用積層フィルム100によって被覆する金属板10としては、熱延鋼板、冷延鋼板、溶融亜鉛メッキ鋼板、電気亜鉛メッキ鋼板、スズメッキ鋼板、ステンレス鋼板等の各種鋼板や、アルミニウム板を使用することができる。これらは、通常の化成処理を施した後に使用してもよい。金属板10の厚さは、樹脂被覆金属板の用途等により異なるが、0.1〜10mmの範囲で選ぶことができる。
フッ素樹脂からなる層20とは、フッ素樹脂を主成分として含む層をいう。ここで、主成分として含むとは、層全体の質量を基準として(100質量%)、そのものが50質量%以上であることをいい、好ましくは、70質量%以上であることをいい、より好ましくは90質量%以上であることをいい、適宜、他の物質を含有していてもよいことをいう。他の物質として、例えば、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂等を用いることができる(本明細書における「主成分として含む」について、以下同様である。)。
フッ素樹脂からなる層20には、その性質を損なわない程度に、各種の添加剤を適量添加してもよい。添加剤としては、燐系・フェノール系などの各種酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、核剤、金属不活化剤、残留重合触媒不活化剤、造核剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、難燃剤、充填材など、樹脂材料に一般的に用いられているものを挙げることができる。
フッ素樹脂としては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。代表的なものとして、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン−ポリビニリデンフルオロエチレン共重合体(PVdF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフロライド共重合体(THV)等、これらの共重合体、混合体を用いることができる。中でも、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が、防汚性、機械的特性、加工性等の点から好ましい。
エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)は、市販品として容易に入手でき、例えば、アフロンCOP(旭硝子社製)、Tefzel(デュポン社製)、ネオフロンETFE(ダイキン工業社製)等を入手することができる。また、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)は、市販品として容易に入手でき、例えば、ネオフロンFEP(ダイキン工業社製)、テフロン(登録商標)FEP(三井・デュポンフロロケミカル社製)、ダイニオンFEP(ダイニオン社製)等を入手することができる。
フッ素樹脂からなる層20の厚さとしては、強度の点から、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。また、本発明の金属被覆用積層フィルムにおいては、共押出成形によって、フッ素樹脂からなる層20を薄層にすることが可能であり、フッ素樹脂からなる層20の厚さは、経済性の点から10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
本発明の積層フィルム100で金属10を被覆して、防汚性を有する樹脂被覆金属板110が作製される。この樹脂被覆金属板110を実際に使用する際に、後に説明する剥離可能な樹脂層60が剥離される。この時、樹脂被覆金属板110の最外層はフッ素樹脂からなる層20であり、この層は、樹脂被覆金属板110に防汚性を付与する役割を有する。
ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50とは、ポリエステル系樹脂を主成分として含む層をいう。ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50には、その性質を損なわない程度に、各種の添加剤を適量添加してもよい。添加剤としては、フッ素樹脂からなる層20に添加することができる上記した添加剤と同様のものを用いることができる。
ポリエステル系樹脂としては、特に限定されず、各種のものを用いることができる。代表的なものとして、エチレングリコールや、プロピレングリコール、ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール等から選ばれる一または複数のアルコール成分、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸等から選ばれる一または複数の酸成分、からなる重合体、またはポリ乳酸、あるいはこれらの重合体のブレンド体を用いることができる。
製膜時における、前記ポリエステル系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算の重量平均分子量は、65000〜140000の範囲にあることが好ましく、75000〜120000の範囲にあることがさらに好ましい。
分子量が低すぎる場合は、以下に説明するように樹脂被覆金属板として湿熱環境中で使用された場合の耐久性が充分なものとならず好ましくない。また、分子量が高すぎる場合は、樹脂原料自体の分子量として、さらに高分子量のものが必要であり、これは一般的・継続的に得られるものではないためコスト高となり好ましくない。また、このような高分子量の樹脂原料が得られたとしても、シートに製膜した時点では耐久性向上効果は飽和するのみでなく、製膜時の所要エネルギーが多くなり好ましくない。
一般的に、ポリエステル系樹脂を湿熱環境で使用した場合に、ポリエステル系樹脂が劣化する主な原因は、加水分解であると考えられている。加水分解が進行すると、フィルムの脆化が進行し、機械的強度が低下して、フィルムを折り曲げると割れる状態になる。樹脂被覆金属板の場合においては、フィルム層にクラックが発生したり、フィルム層の剥落等が生じたりして、外観上著しく意匠性を損なうと同時に、フィルムによる金属表面の防蝕効果も得られなくなる。
この加水分解による劣化は、ポリエステル鎖中のエステル結合部分で発生するものであり、分子量の低下をもたらす。また、フィルムの割れ等の機械的強度の低下は、分子量がある一定値を下回った所で顕著に起こり始める。よって、製膜時において既に分子量が低いものは、短期間の湿熱環境での使用により、分子量がある一定値を下回るので、機械的強度の低下を生じる。これに対して、製膜時において、分子量が高い場合は、湿熱環境で使用しても、機械的強度の低下を生ずるまでに長期間を要することになる。このように、湿熱環境で使用すれば、加水分解によって分子量が低下するものの、製膜時における分子量が高いものほど、一定期間が経過した後の分子量も高く、機械的強度を維持していることがわかる。従って、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層を耐湿熱性のよい製膜シートとするためには、上記した範囲のある程度高い分子量のポリエステル系樹脂を使用する必要がある。
ポリエステル系樹脂の分子量の低下を防ぐために、以下の方策が考えられる。
製膜設備の面におけるものとしては、
(1)分子量低下を抑制するため、スクリューデザインを最適化する。
(2)適正な位置にベント装置を取り付けて、成形時の加水分解を低減する。
(3)滞留時間が必要以上に長くならないようにする。
(4)原料の乾燥工程を工夫して、吸湿水分の影響を低減する。
等の方策が挙げられる。
またポリエステル系樹脂からなる無延伸層の配合面からは、
(1)着色顔料として、熱触媒作用や加水分解促進作用のあるものは使用しない。
(2)熱触媒作用や加水分解促進作用のある着色顔料を使用する場合は、触媒活性を封止する。
(3)滑剤を添加して、成形機内においてポリエステル分子が機械的に切断されるのを低減する。
(4)滑剤を添加して、剪断による発熱を低減する。
(5)加水分解防止剤を添加する。
等の方策が挙げられる。
本発明のポリエステル系樹脂としては、結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂(以下において「PBT」と記すことがある。)をブレンドしたものを、好ましく用いることができる。
この理由としては、
(1)押出グレードとして初期分子量の比較的高いグレードが揃っていること、
(2)ポリエチレンテレフタレート系樹脂よりも加水分解反応速度が小さいこと(「ポリ(1、4−ブチレンテレフタレート)の熱および加水分解特性」、繊維学会誌、vol.43、No.7(1987)、東レ株式会社繊維研究所 田中三千彦氏、参照)、
(3)結晶性樹脂であるが結晶領域の弾性率がポリエチレンテレフタレート系樹脂より低く、結晶部のフレキシビリティーが高いため、比較的結晶性が高い状態で金属板に被覆されても、良好な加工性を示すこと、
(4)融点(Tm)が従来の軟質PVCシートをラミネートする時の金属板表面温度と同程度か、やや低い温度である点から、軟質PVCシートのラミネートに用いてきた設備をそのまま適用できること、等を挙げることができる。
結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂としては、酸成分としてテレフタル酸、アルコール成分として1、4-ブタンジオールのみを用いた、いわゆるホモ・ポリブチレンテレフタレートを、好適に用いることができる。また、ラミネート時の金属板表面温度を、さらに下げたい場合等の理由から、酸成分の一部をイソフタル酸で置換したポリブチレンテレフタレートを用いることもできる。
ブレンド比(質量比)は、「20〜80」:「80〜20」(「結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂」:「非晶性または低結晶性のポリエステル系樹脂」)であることが、以下の利点を発揮することができる点から好ましい。
このようにブレンドする利点は、結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂のみを用いた場合に比べて、非結晶性のポリエステル系樹脂等をブレンドした場合では、結晶融解熱量(ΔHm)が小さくなるため、ラミネート前の金属板表面温度を比較的低く設定しても強固な接着力が得られるからである。さらに、非結晶性、あるいは低結晶性のポリエステル系樹脂をブレンドすることで、結晶化速度を適度に遅くすることができ、また、ガラス転移温度(Tg)を上昇させることができることから、押出し製膜時に結晶性の低い状態のシートを得ることが可能となり、その結果、結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂の融点以下の比較的低温でのラミネートが可能となるからである。
ポリエステル系樹脂として、結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂と非結晶性あるいは低結晶性のポリエステル系樹脂のブレンドを用いた場合、このポリエステル系樹脂からなる無延伸層を形成する樹脂は、示差走査熱量測定により、JIS−K7121に準じて、加熱温度10℃/分で測定した一次昇温時に明確な結晶融解に起因する吸熱ピークを示し、その結晶融解熱量(ΔHm(J/g))は、10〜60であることが好ましい。
示差走査熱量測定は、具体的には、パーキンソンエルマー製DSC−7を用いて、試料10mgをJIS−7121「プラスチックの転移温度測定方法・融解温度の求め方」に準じて、加熱速度10℃/分で測定して、一次昇温時の結晶融解熱量を求めた。
結晶融解熱量が小さすぎると、非結晶性樹脂、あるいは低結晶性樹脂のブレンド比率が高くなり、耐沸騰水浸漬試験に合格することが難しくなる。また、結晶融解熱量が大きすぎるポリエステル系樹脂は、一般的に入手しづらい。
ここで、結晶融解に起因する吸熱ピークが、「明確」であるとは、このピークが10J/g以上の結晶融解に起因するピークであることをいう。
結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂にブレンドする非結晶性、あるいは低結晶性のポリエステル系樹脂としては、原料の安定供給性や生産量が多いことから低コスト化が図られているイ−ストマンケミカル社の「イースター・6763」や、それに類する樹脂を用いることが好ましい。ただし、これに限定されるものではなく、ネオペンチルグリコール共重合PETで結晶性を示さないものや、特殊な冷却条件では融点を示すものの、一般的には非結晶性樹脂として取り扱うことが可能なイ−ストマンケミカル社の「PCTG・5445」等を用いてもよい。
添加剤により、ポリエステル系樹脂の製膜時における分子量低下を抑制し、本発明の範囲の分子量のポリエステル系樹脂を得ることができる。このような添加剤としては、カルボジイミド化合物を挙げることができる。該カルボジイミド化合物は押出し製膜時に成型機内において、ポリエステル系樹脂の加水分解を抑制し、結果として本発明の請求の範囲の分子量を有するポリエステル系樹脂からなる無延伸層50を得易くなる効果を表す。カルボジイミド化合物としては、下記一般式の基本構造を有するものが挙げられる。
(化1)
−(N=C=N−R−)n−
(上記式において、nは1以上の整数を示す。Rは、炭化水素基であり、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれでもよい。)
カルボジイミド化合物の具体例としては、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、および、これらの単量体が挙げられる。該カルボジイミド化合物は、単独、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
カルボジイミド化合物は、ポリエステル系樹脂を100質量部として、0.1〜5.0質量部添加するのが好ましい。添加量が少なすぎる場合は、耐加水分解性改良効果が充分でなく好ましくない。また、添加量が多すぎる場合は、分子量低下を抑制する効果が飽和すると同時に、押出し製膜性に各種問題が生じるおそれがあるのと、製膜後のシートに関してもカルボジイミド化合物のブリードアウトによる外観不良や機械物性の低下を起こし易く好ましくない。また、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50の配合コストが高価なものとなり好ましくない。
加水分解防止作用を有する添加剤としては、多官能のエポキシ基を有するブロック共重合体やグラフト共重合体等がある。これに関しても、ポリエステル系樹脂が必要とする耐湿熱性以外の性能(表面硬度・耐折り曲げ加工性等)を悪化させない範囲で適量添加することができる。これらの添加剤によりポリエステル系樹脂の加水分解性が改善されること自体は公知である。
ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50には、顔料が添加されていることが好ましい。顔料を添加する目的は、下地の金属板10の隠蔽、意匠性の付与などである。ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50に添加される顔料は、なるべくポリエステル系樹脂の重合触媒として作用しないものを選ぶ必要がある。白系の着色では酸化チタン顔料を使用する必要があり、この場合はルチル系酸化チタンで表面処理が充分行われているものを選ぶ必要がある。アナターゼ型酸化チタンは、表面処理の剥離を生じやすく好ましくない。
酸化チタン系の顔料で着色する場合、および、着色顔料を添加し有彩色に着色する場合においては、分子量の低下等のポリエステル系樹脂の劣化を促進するような顔料種は使用しない方が好ましい。また、このようなポリエスル系樹脂の劣化を促進するような顔料種をどうしても使用する必要がある場合は、カルボジイミド化合物を添加することが好ましい。
ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50の厚さとしては、フィルムの加工性、機械的特性等の観点から、50〜300μmが好ましく、100〜200μmがさらに好ましい。
また、このポリエステル系樹脂からなる無延伸層50は、積層フィルムにコシを与える役割を有する。これにより、本発明の積層フィルム100を金属10に貼り合わせる際の作業性が向上する。
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30とは、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体を主成分として含む層である。テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30には、その性質を損なわない程度に、各種の添加剤を適量添加してもよい。添加剤としては、フッ素樹脂からなる層20に添加することができる上記した添加剤と同様のものを用いることができる。
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体の共重合比(質量比)は、柔軟性および接着性の点から、「30〜50」:「10〜30」:「30〜50」(「テトラフルオロエチレン」:「ヘキサフルオロプロピレン」:「ビニリデンフルオライド」)であることが好ましく、「35〜45」:「15〜25」:「35〜45」(「テトラフルオロエチレン」:「ヘキサフルオロプロピレン」:「ビニリデンフルオライド」)であることがさらに好ましい。
テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30の厚さとしては、接着強度および加工性等の点から、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがさらに好ましい。また、本発明の金属被覆用積層フィルムにおいては、共押出成形によって、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30を薄層にすることが可能であり、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30の厚さは、経済性の点から10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。
剥離可能な樹脂層60とは、フッ素樹脂からなる層20の上に積層され、フッ素樹脂からなる層20の表面を保護する役割を有する。例えば、本発明の金属被覆用積層フィルム100によって被覆された樹脂被覆金属板110を、保存、移動等する際には、剥離可能な樹脂層60が積層されたままの状態にしておき、フッ素樹脂からなる層20を保護することができる。そして、実際に使用する時に、剥離可能な樹脂層60を剥離することで、表面に汚れや傷がない樹脂被覆金属板110を得ることができる。
ここで、「剥離可能」とは、剥離可能な樹脂層60を、フッ素樹脂からなる層20から容易に剥離することができ、フッ素樹脂からなる層20の表面(剥離面)に、剥離可能な樹脂層60が残らないで、剥離することができることをいう。
剥離可能な樹脂層60を形成する樹脂は、フッ素樹脂と共押出することによって、積層可能なものであれば、特に限定されず、各種のものを用いることができる。代表的なものとしては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等を挙げることができ、共押出加工性、機械的特定等の観点からポリエチレン樹脂を用いることが好ましい。また、剥離可能な樹脂層60は、これらの樹脂を主成分として含むものである。
剥離可能な樹脂層60には、その性質を損なわない程度に、各種の添加剤を適量添加してもよい。添加剤としては、フッ素樹脂からなる層20に添加することができる上記した添加剤と同様のものを用いることができる。
剥離可能な樹脂層60の厚さとしては、フィルムの機械的特性、フッ素樹脂からなる層20との共押出加工性、積層フィルムのコシ等の観点から、3〜30μmの範囲であることが好ましく、5〜15μmの範囲であることがさらに好ましい。
本発明の金属被覆用積層フィルムは、共押出により成形されていることが好ましい。共押出成形においては、剥離可能な樹脂層60を形成する樹脂、フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体およびポリエステル系樹脂のそれぞれに対応する四台の押出機を使用して、これらの四種類の樹脂材料を、一体に組み合わせてなる押出ダイに導いて、ダイ内部またはダイ開口部にて接着させて単一押出製品である積層フィルムとする。
また、剥離可能な樹脂層60を形成する樹脂、フッ素樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体を共押出により積層しつつ、この積層フィルムを押出すと同時に、積層フィルムのテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層側を、ポリエステル系樹脂からなる層上に連続的に圧着して熱ラミネートすることにより、積層フィルムとすることもできる。
このような共押出成形によって、フッ素樹脂からなる層20を特定の材料からなる層と積層することができる。また、共押出成形においては、接着剤を用いていないので、積層フィルムの耐久性および耐熱性を向上させることができる。また、剥離可能な樹脂層60およびポリエステル系樹脂からなる層50を厚くし、フッ素樹脂からなる層20およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30を薄くすることによって、積層フィルムにコシを与えると共に、高価なフッ素樹脂およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体の使用量を減らすことができ、経済的に有利な積層フィルムとすることができる。また、各層の貼りあわせ工程が不要であるので、作業性、経済性を向上させることができる。
また、積層フィルムにおいて、上下に位置している剥離可能な樹脂層60およびポリエステル系樹脂からなる層50を厚くし、中間に位置しているフッ素樹脂からなる層20およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30を薄くすることで、全体としてバランスがとれた積層フィルムとすることができ、積層フィルムの製造工程において、フィルムに反りが生じない。これにより、積層フィルムを金属10に貼り付ける作業が容易となる。
積層フィルム100のポリエステル系樹脂からなる無延伸層50におけるテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30が積層された面とは反対の面に、接着剤を介して、金属10が貼り付けられる。接着剤は、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50側に塗布してもよいし、金属10に塗布してもよい。これにより、樹脂被覆金属板110が作製される。ここで用いる接着剤としては、ポリエステル系、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系等の接着剤を用いることができ、従来のPVC鋼板のラミネート技術を用いる方法により金属に積層する。
樹脂被覆金属板110は、これを保存する時には、剥離可能な樹脂層60を、フッ素樹脂からなる層20の表面に有している。この剥離可能な樹脂層60は、フッ素樹脂からなる層20を汚れおよび傷から保護するためのものであり、実際の使用に際して、適宜、剥離される。従って、本発明の金属被覆用積層フィルムは、実際の使用に際しては、金属10上において、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層50を有し、その上に、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層30を有し、その上に、フッ素樹脂からなる層20を有しており、防汚性を有するフッ素樹脂からなる層20を最外層に有している。
<1> 評価用試料の作製
以下の実施例1〜4および比較例1〜7において、それぞれに示す層構成、積層条件にて目的とする金属被覆用積層フィルム(一部は単層フィルム)を得た。
(実施例1)
以下の樹脂を使用し、口金温度315℃で、3層マルチマニホールドダイにより共押出成形を行い、各層が以下に示す厚みを有する積層フィルムを得た。
第1層:エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体 フルオンETFE C−88AXP(旭硝子社製) 5μm
第2層:テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体 THV220G(ダイニオン社製) 2.5μm
第3層:ポリエステル系樹脂(無延伸) PBT(ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製))40質量%、およびPETG(イースターPETG・6763(イーストマン・ケミカル・カンパニー社製))60質量%の混合樹脂 (混合樹脂全体の質量を100質量部として、酸化チタン系の白色顔料が20質量部添加されている。) 50μm
(実施例2)
以下の樹脂を使用し、口金温度315℃で、4層マルチマニホールドダイにより共押出成形を行い、各層が以下に示す厚みを有する積層フィルムを得た。
第1層:ポリエチレン樹脂 HY540(日本ポリエチレン社製) 15μm
第2層:エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体 フルオンETFE C−88AXP(旭硝子社製) 2.5μm
第3層:テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体 THV220G(ダイニオン社製) 2.5μm
第4層:ポリエステル系樹脂(無延伸) PBT(ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製))40質量%、およびPETG(イースターPETG・6763(イーストマン・ケミカル・カンパニー社製))60質量%の混合樹脂 (混合樹脂全体の質量を100質量部として、酸化チタン系の白色顔料が20質量部添加されている。) 50μm
(実施例3)
以下の樹脂を使用し、口金温度320℃で、3層マルチマニホールドダイにより共押出成形を行い、各層が以下に示す厚みを有する積層フィルムを得た。
第1層:テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体 ネオフロンFEP NP100(ダイキン工業社製) 5μm
第2層:テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体 THV220G(ダイニオン社製) 2.5μm
第3層:ポリエステル系樹脂(無延伸) PBT(ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製))40質量%、およびPETG(イースターPETG・6763(イーストマン・ケミカル・カンパニー社製))60質量%の混合樹脂 (混合樹脂全体の質量を100質量部として、酸化チタン系の白色顔料が20質量部添加されている。) 50μm
(実施例4)
以下の樹脂を使用し、口金温度320℃で、4層マルチマニホールドダイにより共押出成形を行い、各層が以下に示す厚みを有する積層フィルムを得た。
第1層:ポリエチレン樹脂 HY540(日本ポリエチレン社製) 15μm
第2層:テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体 ネオフロンFEP NP100(ダイキン工業社製) 2.5μm
第3層:テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体 THV220G(ダイニオン社製) 2.5μm
第4層:ポリエステル系樹脂(無延伸) PBT(ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製))40質量%、およびPETG(イースターPETG・6763(イーストマン・ケミカル・カンパニー社製))60質量%の混合樹脂 (混合樹脂全体の質量を100質量部として、酸化チタン系の白色顔料が20質量部添加されている。) 50μm
(比較例1)
以下の樹脂を使用し、接着剤として、ポリエステル系接着剤 タケラック A310 100質量部に、タケネート A3 5質量部(三井武田ケミカル社製)をブレンドしたものを用いて、ドライラミネートにより積層して、各層が以下に示す厚みを有する積層フィルムを得た。
第1層:エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体 フルオンETFE C−88AXP(旭硝子社製) 25μm
第2層:ポリエステル系樹脂(延伸) ダイアホイル S100−50(三菱化学ポリエステルフィルム社製) 50μm
(比較例2)
以下の樹脂を使用し、接着剤として、ポリエステル系接着剤 タケラック A310 100質量部に、タケネート A3 5質量部(三井武田ケミカル社製)をブレンドしたものを用いて、ドライラミネートにより積層して、各層が以下に示す厚みを有する積層フィルムを得た。
第1層:エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体 フルオンETFE C−88AXP(旭硝子社製) 5μm
第2層:ポリエステル系樹脂(延伸) ダイアホイル S100−50(三菱化学ポリエステルフィルム社製) 50μm
(比較例3)
ポリエステル系樹脂(無延伸) PBT(ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製))40質量%、およびPETG(イースターPETG・6763(イーストマン・ケミカル・カンパニー社製))60質量%の混合樹脂 (混合樹脂全体の質量を100質量部として、酸化チタン系の白色顔料が20質量部添加されている。)からなる50μmの単層フィルムを作製した。
(比較例4)
以下の樹脂を使用し、接着剤として、ポリエステル系接着剤 タケラック A310 100質量部に、タケネート A3 5質量部(三井武田ケミカル社製)をブレンドしたものを用いて、ドライラミネートにより積層して、各層が以下に示す厚みを有する積層フィルムを得た。
第1層:エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体 フルオンETFE C−88AXP(旭硝子社製) 25μm
第2層:ポリエステル系樹脂(無延伸) PBT(ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製))40質量%、およびPETG(イースターPETG・6763(イーストマン・ケミカル・カンパニー社製))60質量%の混合樹脂 (混合樹脂全体の質量を100質量部として、酸化チタン系の白色顔料が20質量部添加されている。) 50μm
(比較例5)
以下の樹脂を使用し、接着剤として、ポリエステル系接着剤 タケラック A310 100質量部に、タケネート A3 5質量部(三井武田ケミカル社製)をブレンドしたものを用いて、ドライラミネートにより積層して、各層が以下に示す厚みを有する積層フィルムを得た。
第1層:テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体 ネオフロンFEP NP100(ダイキン工業社製) 25μm
第2層:ポリエステル系樹脂(無延伸) PBT(ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製))40質量%、およびPETG(イースターPETG・6763(イーストマン・ケミカル・カンパニー社製))60質量%の混合樹脂 (混合樹脂全体の質量を100質量部として、酸化チタン系の白色顔料が20質量部添加されている。) 50μm
(比較例6)
以下の樹脂を使用し、接着剤として、ポリエステル系接着剤 タケラック A310 100質量部に、タケネート A3 5質量部(三井武田ケミカル社製)をブレンドしたものを用いて、ドライラミネートにより積層して、各層が以下に示す厚みを有する積層フィルムを得た。
第1層:テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体 ネオフロンFEP NP100(ダイキン工業社製) 5μm
第2層:ポリエステル系樹脂(無延伸) PBT(ノバデュラン5020S(三菱エンジニアリングプラスチック社製))40質量%、およびPETG(イースターPETG・6763(イーストマン・ケミカル・カンパニー社製))60質量%の混合樹脂 (混合樹脂全体の質量を100質量部として、酸化チタン系の白色顔料が20質量部添加されている。) 50μm
<2> 金属被覆用積層フィルムの評価項目
上記作製した金属被覆用積層フィルムを、以下の評価項目によって評価した。評価結果をまとめて表1に示す。
(1)押出加工性
○:共押出により安定にフィルムを得ることができる。
×:共押出時に層間で剥離してしまい安定して巻き取れない。
(2)層間接着性
○:層間剥離が生じない。
×:巻き取り時等に層間剥離が生じる。
(3)加工中の傷入り
○:フッ素樹脂からなる層に傷が生じない。
△:フッ素樹脂からなる層に傷が生じる。
(4)金属板への貼り合わせ
亜鉛めっき鋼板(厚み0.45mm)に、乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度になるように、ポリエステル系接着剤(ソニーケミカル社製 SC611)を塗布し、この鋼板の塗布面をその表面温度が235℃になるように、熱風加熱炉および赤外線ヒーターにより乾燥・加熱した。その後、ロールラミネータ−を用いて、鋼板における接着剤の塗布面を本発明の積層フィルムにより被覆し、自然空冷冷却することで、本発明の積層フィルムによって被覆された樹脂被覆鋼板を作製した。
上記によって、作製した樹脂被覆鋼板について、以下の基準により、貼り合わせについて評価した。
◎:しわを生じないで貼り合わせることができ、鋼板との密着性が非常に良い。
○:しわを生じないで貼り合わせることができ、鋼板との密着性が良い。
×:しわが生じている。または、鋼板との密着性が悪い。
(5)表面防汚性
油性フェルトペンで表面に文字を書き、60秒後に水で表面をふき取った際のインクの残り具合から、以下の基準により判断した。
○:きれいにふき取ることができる。
×:ほとんどふき取れず、インクが残る。
(6)経済性
金属被覆用積層フィルムの製造にかかるコストを評価した。
◎:コストが全くかからない。
○:コストがほとんどかからない。
×:コストがかかる。
Figure 2006192667
表1からわかるように、本発明の金属被覆用積層フィルムは、「加工中の傷入り」以外のいずれの評価項目においても良好な結果を示した(実施例1〜4)。また、「加工中の傷入り」に関しては、剥離可能な樹脂層を有する積層フィルムにおいては、フッ素樹脂からなる層が保護されており、傷が生じなかった(実施例2、3)。
これに対して、フッ素樹脂からなる層の厚みが大きい場合は、高価なフッ素系樹脂を多量に使用しているので、経済性が劣っていた(比較例1、4、5)。また、薄層のフッ素樹脂からなる層をドライラミネートする場合は、フィルムにシワがよってしまい、「層間接着性」は劣ったものとなり、貼り合わせ作業が困難であり、経済性が劣ったものとなった(比較例2、6)。また、フッ素樹脂として、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を用いた場合は、接着性が悪く、「層間接着性」が劣っていた(比較例5、6)。この場合、フッ素樹脂層とポリエステル系樹脂層との接着力が弱く、金属への積層時にシワ入りが発生した。また、ポリエステル系樹脂からなる単層フィルムを用いた場合は、表面防汚性が劣っていた(比較例3)。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う金属被覆用積層フィルムおよび樹脂被覆金属板もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
金属上に張り合わせた、本発明の金属被覆用積層フィルムの構成を示す概念図である。
符号の説明
100 金属被覆用積層フィルム
110 樹脂被覆金属板
10 金属板
20 フッ素樹脂からなる層
30 テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドからなる層
50 ポリエステル系樹脂からなる無延伸層
60 剥離可能な樹脂層

Claims (7)

  1. 金属表面に積層して用いる金属被覆用積層フィルムにおいて、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層を有し、その上に、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層を有し、その上に、フッ素樹脂からなる層を有することを特徴とする金属被覆用積層フィルム。
  2. 金属表面に積層して用いる金属被覆用積層フィルムにおいて、ポリエステル系樹脂からなる無延伸層を有し、その上に、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体からなる層を有し、その上に、フッ素樹脂からなる層を有し、その上に、剥離可能な樹脂層を有することを特徴とする金属被覆用積層フィルム。
  3. 前記フッ素樹脂が、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体またはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体である、請求項1または2に記載の金属被覆用積層フィルム。
  4. 製膜時における、前記ポリエステル系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算の重量平均分子量が、65000〜140000の範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の金属被覆用積層フィルム。
  5. 前記ポリエステル系樹脂からなる無延伸層を形成する樹脂が、結晶性のポリブチレンテレフタレート系樹脂を含み、示差走査熱量測定により、JIS−K7121に準じて、加熱温度10℃/分で測定した一次昇温時に明確な結晶融解に起因する吸熱ピークを示し、その結晶融解熱量(ΔHm(J/g))が、10〜60である、請求項1〜4のいずれかに記載の金属被覆用積層フィルム。
  6. 共押出により成形された、請求項1〜5のいずれかに記載の金属被覆用積層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の金属被覆用積層フィルムを貼り付けた樹脂被覆金属板。
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