JP2006189279A - クロマトグラフ質量分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 SIM測定を行う際に、定量計算の基礎とするターゲットイオンを複数設定すると1種のイオン当たりのモニタ時間が短くなって検出感度が低下する。
【解決手段】 GC分析開始時点ではSIM測定でターゲットイオンT1、T2、T3のみを検出し(a)、その結果によりマスクロマトグラムをリアルタイムで作成する。ターゲットイオンT1のピークが出現し始めたならば、そのターゲットイオンT1を同定するための同定イオンD11、D12、D13の検出を開始し(b)、その同定イオンの検出結果を利用してターゲットイオンT1が目的化合物に由来するものか否かを確認する。ピークが現れているターゲットイオンに対する同定イオンのみを検出するので、1MS周期内で検出するイオン種の数を減らすことができ、ターゲットイオンのモニタ時間tdを長く確保できる。
【選択図】 図3
【解決手段】 GC分析開始時点ではSIM測定でターゲットイオンT1、T2、T3のみを検出し(a)、その結果によりマスクロマトグラムをリアルタイムで作成する。ターゲットイオンT1のピークが出現し始めたならば、そのターゲットイオンT1を同定するための同定イオンD11、D12、D13の検出を開始し(b)、その同定イオンの検出結果を利用してターゲットイオンT1が目的化合物に由来するものか否かを確認する。ピークが現れているターゲットイオンに対する同定イオンのみを検出するので、1MS周期内で検出するイオン種の数を減らすことができ、ターゲットイオンのモニタ時間tdを長く確保できる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)や液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)などのクロマトグラフ質量分析装置に関し、更に詳しくは、SIM(Selected Ion Monitering:選択イオンモニタリング)測定を行うクロマトグラフ質量分析装置に関する。
近年、ガスクロマトグラフ(GC)と質量分析計(MS)とを組み合わせたガスクロマトグラフ質量分析装置(GC/MS)は、環境測定、有機化合物分析、各種プロセスのモニタリングなど様々な分野で幅広く使用されている。GC/MSを用いた測定方法としては、いわゆるスキャン測定法と、SIM測定法とが知られている。
スキャン測定法では、質量分析装置において所定の質量数範囲内で分析対象のイオンの質量数を走査し、その質量数範囲に含まれる全てのイオンを検出する。したがって、未知試料の定性分析等、分析対象成分の質量数が不明である場合に特に有用である。一方、SIM測定法では、予め指定された1乃至複数の特定の質量数を有するイオンのみを選択的に時分割で検出する。したがって、分析対象の物質が既知で、その物質の定量分析を高感度で以て行う場合に有用である(例えば特許文献1など参照)。
試料に含まれる或る化合物の定量分析を行う場合、一般的には、定量の基礎とするピーク(ターゲットイオンのピーク)としてはできるだけ信号強度の大きなピークを選定することが望ましい。但し、そのターゲットイオンのピークだけではそのピークが確かに目的化合物のものであるか否かの確認が難しい場合がある。そうした場合には、ターゲットイオンのピークの他に、その化合物を特徴付ける他のイオンのピーク(参照イオン又は同定イオンのピーク)を選定し、その同定イオンのピークのピーク強度とターゲットイオンのピークのピーク強度との相対比率により、ターゲットイオンのピークが目的化合物のものであることの確認、つまり同定が行われる。さらに、或る1つのターゲットイオンのピークの同定を正確に行うには、同定イオンが1種類では不十分な場合が多く、1つのターゲットイオンに対し2種乃至3種程度(或いはそれ以上)の同定イオンが用いられることもある。
このような場合には、SIM測定ではあっても、分析開始時点からターゲットイオンの選択的検出のみを連続的に行っているわけではなく、ターゲットイオンの検出と、1乃至複数の同定イオンの検出とを時分割で実行することになる。一例として、ターゲットイオンT1の質量数がm1、このターゲットイオンT1を同定するための3種の同定イオンD11、D12、D13の質量数がm2、m3、m4である場合について、測定のタイミング(a)と質量数選択のための質量走査パターン(b)との概略を図6に示す。
この例では、ターゲットイオンT1の検出に引き続いて同定イオンD11、D12、D13を順番に検出し、この合計4種のイオンを1つの組として、それぞれのイオンに対応する質量数m1、m2、m3、m4を順次選択的に且つ繰り返し検出する。各イオンに対するモニタ時間(デュエルタイム)tdは同一であり、4種のイオンを全てモニタする期間を1MS周期として、分析の開始時点から終了時点まで上記MS周期を繰り返す。質量分析装置が四重極質量フィルタによりイオン選択を行うものである場合には、図6(b)に示すような質量走査パターンに応じて四重極質量フィルタに印加する電圧を走査する。
図6はターゲットイオンが1種類のみの場合の例であるが、多くの場合、試料に含まれる複数の化合物を同時に分析するために複数のターゲットイオンが設定され、各ターゲットイオン毎にそれぞれ同定イオンが設定される。図7はターゲットイオンが3種であり、各ターゲットイオンT1、T2、T3に対してそれぞれ3種ずつの同定イオンが設定される場合の、1MS周期内の測定タイミングを示す図である。この場合には、1MS周期の期間tc内に12種のイオンを検出する必要があるため、1種のイオンに対するモニタ時間tdは1MS周期の期間tcの略1/12になる。
各イオンの検出感度を高くするには、各イオンのモニタ時間tdをできるだけ長く設定することが望ましい。しかしながら、クロマトグラムのピークトップを逃すことなく質量分析を行うためにはMS周期の期間tcを余り長くすることはできない。そのため、特に上述したようにターゲットイオンを複数設定しようとすると、各イオンのモニタ時間tdを短くせざえるを得ず、イオンの検出感度が低下してしまうという問題がある。
なお、GC/ MSのみならず、液体クロマトグラフ(LC)と質量分析計(MS)とを組み合わせた液体クロマトグラフ質量分析装置でも同様の問題が生じる。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、SIM測定によりターゲットイオンと同定イオンの選択的検出を行う場合に、ターゲットイオンの検出感度を改善することができるクロマトグラフ質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明は、試料中の目的化合物について定量計算の基礎とするターゲットイオンとそれを同定するための同定イオンとを定めておき、クロマトグラフにより成分分離された試料に対し質量分析装置により前記ターゲットイオン及び同定イオンをそれぞれ選択的に検出する、SIM測定を実行するクロマトグラフ質量分析装置において、
a)SIM測定により前記ターゲットイオンを選択的に検出した検出結果に基づいてクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、
b)該クロマトグラムにおいて前記ターゲットイオンのピークが出現しているか否かを判定するピーク検出手段と、
c)前記ターゲットイオンのピークが出現していると判定されたときに、前記ターゲットイオンの選択的検出と時分割で該ターゲットイオンを同定するための同定イオンの選択的検出を実行するようにし、前記ターゲットイオンのピークが出現していないと判定されたときには前記同定イオンの選択的検出を実行しないように、SIM測定による各イオンの測定タイミングを制御する分析制御手段と、
を備えることを特徴としている。
a)SIM測定により前記ターゲットイオンを選択的に検出した検出結果に基づいてクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、
b)該クロマトグラムにおいて前記ターゲットイオンのピークが出現しているか否かを判定するピーク検出手段と、
c)前記ターゲットイオンのピークが出現していると判定されたときに、前記ターゲットイオンの選択的検出と時分割で該ターゲットイオンを同定するための同定イオンの選択的検出を実行するようにし、前記ターゲットイオンのピークが出現していないと判定されたときには前記同定イオンの選択的検出を実行しないように、SIM測定による各イオンの測定タイミングを制御する分析制御手段と、
を備えることを特徴としている。
クロマトグラフ質量分析装置の場合、試料に含まれる複数の成分はクロマトグラフ(例えばガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフなど)により時間的に分離されるので、検出対象として複数のターゲットイオンが設定された場合でも、或る1つのターゲットイオンが出現しているときには他のターゲットイオンは出現していないのが一般的である。本発明に係るクロマトグラフ質量分析装置では、或るターゲットイオンが出現しているときに、分析制御手段は、そのターゲットイオンの選択的検出と時分割でそのターゲットイオンを同定するための同定イオンの選択的検出を実行するべくSIM測定による各イオンの測定タイミングを決定するが、ピークが現れていない他のターゲットイオンを同定するための同定イオンの選択的検出は実行しない。即ち、従来は、ターゲットイオンの出現の有無に拘わらず全ての同定イオンを常に検出していたのに対し、本発明では、同定対象であるターゲットイオンが出現していないときにはその同定イオンの検出自体を実行しない。
したがって、複数のターゲットイオンが同時に出現しないという前提の下では、SIM測定による1回のMS周期の中で不要である同定イオンの検出に要する時間を減らした分をターゲットイオンの検出や必要な同定イオンの検出の時間に割り当てることができる。それによって、ターゲットイオンや必要な同定イオンのモニタ時間を従来よりも長く確保することができ、検出感度を向上させることができる。また、検出感度の向上を図る代わりに1回のMS周期の期間を短縮して単位時間当たりのMS周期の繰り返し回数を増加させることにより、クロマトグラムの時間分解能が向上し、短時間だけ出現するような成分も確実に捉えることができる。
なお、同定イオンの検出はターゲットイオンの同定のみを目的としているから、同定対象のターゲットイオンが出現している期間中に、最低限1回だけ同定イオンの検出を実行すればよい。その際には、ターゲットイオンの信号強度はできるだけ大きいほうが好ましいから、本発明の一態様として、前記ピーク検出手段は前記クロマトグラムにおいてターゲットイオンのピークのピークトップ付近であることを検出し、前記分析制御手段はその検出結果に応じて1回のみ前記同定イオンの選択的検出を実行する構成としてもよい。
この構成によれば、ターゲットイオンのピークが出現している期間中の大部分においてターゲットイオンの検出のみを実行すればよいため、ターゲットイオンのモニタ時間をさらに一層長くすることができる。
また、上記理由により、同定イオンの検出の精度はターゲットイオンの検出精度よりも低くてもよい場合が多い。そこで、本発明に係るクロマトグラフ質量分析装置では、前記分析制御手段は、前記ターゲットイオンの選択的検出と時分割で前記同定イオンの選択的検出を実行する際に、同定イオンのモニタ時間をターゲットイオンのモニタ時間よりも短く設定する構成としてもよい。
この構成によれば、同定イオンのモニタ時間を短くした分をターゲットイオンのモニタ時間に割り当てることができるため、ターゲットイオンのモニタ時間をさらに一層長くすることができる。
本発明の一実施例であるGC/MSについて図面を参照しながら説明する。図1は本実施例によるGC/MSの要部のブロック構成図である。
GC部10では、カラムオーブン14により適度の温度に加熱されるカラム15の入口に試料気化室11が設けられ、その試料気化室11にはキャリアガス流路13を通して所定流量でキャリアガス(典型的にはHeガス)が供給されカラム15へと流れ込む。その状態でマイクロシリンジ12により試料気化室11内に少量の液体試料が注入されると、液体試料は即座に気化しキャリアガス流に乗ってカラム15内に送られる。カラム15を通過する間に試料ガス中の各成分は時間的に分離されてその出口に到達し、インターフェイス部20においてヒータ22により加熱される試料導入管21を通ってMS部30のイオン化室31に導入される。
MS部30において、イオン化室31に導入された試料分子又は原子は例えば熱電子との接触によってイオン化される。発生したイオンはイオン化室31の外側に引き出され、イオンレンズ32により収束されて4本のロッド電極から構成される四重極質量フィルタ33の長軸方向の空間に導入される。四重極質量フィルタ33には四重極電源部46から直流電圧と高周波電圧とを重畳した電圧が印加され、その印加電圧に応じた質量数(質量m/電荷z)を有するイオンのみがその長軸方向の空間を通過し、イオン検出器34に到達して検出される。イオン化室31、イオンレンズ32、四重極質量フィルタ33、及びイオン検出器34は、図示しない真空ポンプにより真空吸引される真空容器35内に配設されている。
イオン検出器34による検出信号はA/D変換器45によりデジタルデータに変換されてデータ処理部42に送られる。データ処理部42は所定の演算処理を行うことによりマススペクトル、マスクロマトグラム、或いはトータルイオンクロマトグラムを作成し、さらに定量分析や定性分析などを実行する。四重極電源部46を含め、GC部10、インターフェイス部20及びMS部30を構成する各ブロックの動作は、制御部41により統括的に制御される。制御部41やデータ処理部42は、操作部43や表示部44が付設されたパーソナルコンピュータ40上で所定の制御・処理プログラムを実行することによりそれぞれの機能が達成される。
本実施例のGC/MSでは、制御部41の制御の下にMS部30でスキャン測定を行うことも可能であるが、特にMS部30でSIM測定を実行する際の制御及びデータ処理動作に特徴を有している。その点について図2、図3を参照して説明する。図2及び図3は、本実施例のGC/MSにおけるSIM測定の制御動作を説明するための波形図及びタイミング図である。
ここでは一例として、SIM測定を利用して試料に含まれる3種の化合物に対応した質量数が既知であるターゲットイオンT1、T2、T3を分析するものとし、ターゲットイオンT1を同定するために3種の同定イオンD11、D12、D13、ターゲットイオンT2を同定するために3種の同定イオンD21、D22、D23、ターゲットイオンT3を同定するために3種の同定イオンD31、D32、D33を用いるものとする。したがって、MS部30で検出対象とするイオンの種類は全部で12種類である。ターゲットイオンや同定イオンの質量数は、分析開始前にユーザーにより操作部43から入力される。
GC分析の開始時点では、制御部41は3種のターゲットイオンT1、T2、T3のみのSIM測定を行うように四重極電源部46を制御する。即ち、図3(a)に示すように、1MS周期の期間tcを略3等分してそれぞれを各ターゲットイオンT1、T2、T3のモニタ時間tdに割り当てる。そして、GC部10のカラム15から流出して来てイオン化室31でイオン化された試料イオンに対し、上記MS周期を繰り返すことでターゲットイオンT1、T2、T3を選択的に且つ時分割で検出する。したがって、データ処理部42には、GC分析開始時点からの時間経過に伴って、ターゲットイオンT1の質量数に対する検出データ、ターゲットイオンT2の質量数に対する検出データ、及びターゲットイオンT3の質量数に対する検出データが次々と送られて来る。
こうした検出データに基づいてデータ処理部42は、各ターゲットイオンT1、T2、T3毎にそれぞれマスクロマトグラムをリアルタイムで作成する。カラム15から流出する試料ガス中にターゲットイオンの元となる成分が存在しない場合にはマスクロマトグラムの信号強度はほぼゼロ(又はベースライン)を維持するが、図2(a)に示すように或る時点でターゲットイオンT1の元となる成分が流出し始めると、それに対応するマスクロマトグラムの信号強度は上昇し始める。データ処理部42はマスクロマトグラムの信号強度を常に閾値thと比較し、信号強度が閾値thを超えたときにターゲットイオンT1に対するピークの開始点であると判断してT1切替え信号を“L”→“H”に反転させる。さらに時間が経過してターゲットイオンT1に対するピークのピークトップを過ぎて信号強度が下降し始め、信号強度が閾値thを下回るとピークが終了したと判断してT1切替え信号を再び“H”→“L”に反転させる。これにより、T1切替え信号は図2(b)に示すような波形となる。
また、他のターゲットイオンT2、T3についても上記と同様のデータ処理をそれぞれ独立に行い、これによって、図2(c)及び(d)に示すように、マスクロマトグラム上でそれぞれのピークが出現している期間でT2切替え信号及びT3切替え信号が“H”となる。これらT1、T2、T3切替え信号はリアルタイムで制御部41に入力され、制御部41はこれら切替え信号のレベルに応じてSIM測定の制御、つまり四重極電源部46及びデータ処理部42に与える制御信号を変更する。
即ち、いずれの切替え信号も“L”である場合、具体的にはGC分析開始時点から暫くの間は、図3(a)に示したように、1MS周期の期間tcを略3等分してその各期間を3つのターゲットイオンT1、T2、T3のモニタ時間tdに割り当てる。その後、T1切替え信号が“L”→“H”になると、図3(b)に示したように、1MS周期の期間tcを略6等分してその各期間を、ターゲットイオンT1とそれを同定するための3つの同定イオンD11、D12、D13、ターゲットイオンT2、T3のモニタ時間tdにそれぞれ割り当てる。つまり、ターゲットイオンT1のピークが出現している期間には、そのターゲットイオンT1を同定するための同定イオンD11、D12、D13の検出を実行する。この同定イオンD11、D12、D13の検出結果を利用してターゲットイオンT1が目的化合物に由来するものであるか否かを確認する。
そして時間が経過してターゲットイオンT1のピークが無くなると、再び1MS周期の期間tc内で3種のターゲットイオンT1、T2、T3の検出のみを実行し、同定イオンの検出を中止する。次にターゲットイオンT2の元となる成分がカラム15から流出し始め、T2切替え信号が“L”→“H”になると、図3(c)に示したように、1MS周期の期間tcを略6等分してその各期間を、ターゲットイオンT1、ターゲットイオンT2とそれを同定するための3つの同定イオンD21、D22、D23、ターゲットイオンT3のモニタ時間tdにそれぞれ割り当てる。つまり、ターゲットイオンT2のピークが出現している期間には、そのターゲットイオンT2を同定するための同定イオンD21、D22、D23の検出を実行する。この同定イオンD21、D22、D23の検出結果を利用してターゲットイオンT2が目的化合物に由来するものであるか否かを確認する。
さらに時間が経過してターゲットイオンT2のピークが無くなると、再び1MS周期の期間tc内でターゲットイオンT1、T2、T3の検出のみを実行し、同定イオンの検出を中止する。次にターゲットイオンT3の元となる成分がカラム15から流出し始め、T3切替え信号が“L”→“H”になると、図3(d)に示したように、1MS周期の期間tcを略6等分してその各期間を、ターゲットイオンT1、ターゲットイオンT2、ターゲットイオンT3とそれを同定するための3つの同定イオンD31、D32、D33のモニタ時間tdにそれぞれ割り当てる。つまり、ターゲットイオンT3のピークが出現している期間には、そのターゲットイオンT3を同定するための同定イオンD31、D32、D33の検出を実行する。この同定イオンD31、D32、D33の検出結果を利用してターゲットイオンT3が目的化合物に由来するものであるか否かを確認する。
従来、図7に示したように1種のイオン当たりモニタ時間tdは1MS周期の期間tcを略12等分した期間しかなかったのに対し、本実施例のGC/MSでは、或るターゲットイオンが現れているときの1種のイオン当たりのモニタ時間tdは1MS周期の期間tcを略6等分した期間となる。したがって、1MS周期の期間tcが同一であるとすると、従来よりも1種のイオン当たりのモニタ時間tcを2倍に長くすることができ、その分だけイオン検出器34に到達するイオン量を増加させて検出感度を上げることができる。
また、1種のイオン当たりのモニタ時間tdを2倍にする代わりに、モニタ時間td自体は従来と同じにしてMS周期tcの期間を従来の1/2に短縮し、単位時間当たりのMS周期の繰り返し回数を2倍にするようにしてもよい。このようにすることによって、検出感度は従来と同一であるものの、マスクロマトグラムの時間分解能が向上し、鋭いピークであってもそのピークトップを確実に捉えることができるようになる。
なお、ターゲットイオンのピークの有無に応じてイオンのモニタ時間tdを変えた場合には、それに応じて検出データによる信号強度を調整することにより、その切替え点でマスクロマトグラムの曲線の連続性が維持されるようにする。
次に上記実施例のGC/MSの変形例について、図4、図5を参照して説明する。図4は第1の変形例であるGC/MSにおけるSIM測定の制御動作を説明するための波形図、図5は第2の変形例であるGC/MSにおけるSIM測定の制御動作を説明するためのタイミング図である。これらの変形例は、図1に示した上記実施例の構成において、制御部41及びデータ処理部42の動作(実際には制御・処理プログラム)が異なるだけであり、基本的な構成は同じである。
上述の如く同定イオンの測定はターゲットイオンの同定を目的としているため、ターゲットイオンがマスクロマトグラムのピークとして検出されている時間範囲の全てにおいて同定イオンを何度も繰り返し測定する必要があるわけではない。実用的にはターゲットイオンのピークが出現している期間中に1回だけ同定イオンの測定を行っても十分である。そこで、上記実施例においてマスクロマトグラムでターゲットイオンのピークが出現している期間に切替え信号を“H”としていた代わりに、この第1の変形例では、データ処理部42は図4に示すようにターゲットイオンのピークトップ付近を検出し同定イオン測定指示信号を生成する。この指示信号を受けた制御部41は、その直後の1MS周期内においてのみ同定イオンのモニタ時間を設定する。これにより、或るターゲットイオンのピークが出現している期間の大部分において、ターゲットイオンのモニタ時間を上記実施例よりも一層長く確保することが可能となり、検出感度をさらに改善することができる。
また、上記実施例では、同定イオンの測定を実行するMS周期内においてターゲットイオンのモニタ時間と同定イオンのモニタ時間とをほぼ等しく設定しているが、ターゲットイオンの同定のためにはターゲットイオンのピークの信号強度と同定イオンのピークの信号強度との相対比率さえ分かればよい。したがって、同定イオンのピークの信号強度の精度はそれほど高くなくてもよい。そこで、第2の変形例では、図5に示すように、同定イオンの測定を実行するMS周期内において、同定イオンのモニタ時間td’をターゲットイオンのモニタ時間tdよりも短く設定する。同定イオンのモニタ時間td’は、上記のようにターゲットイオンの同定を行う上で精度上支障のない範囲でできるだけ短く決めればよい。これにより、同定イオンの検出を行うMS周期においても上記実施例に比べてターゲットイオンのモニタ時間tdを長くすることができるので、ターゲットイオンの検出感度を改善することができる。
なお、上記実施例や変形例は本発明の一例であって、本願発明の主旨の範囲で適宜の変更や修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
10…GC部
11…試料気化室
12…マイクロシリンジ
13…キャリアガス流路
14…カラムオーブン
15…カラム
20…インターフェイス部
21…試料導入管
22…ヒータ
30…MS部
31…イオン化室
32…イオンレンズ
33…四重極質量フィルタ
34…イオン検出器
35…真空容器
40…パーソナルコンピュータ
41…制御部
42…データ処理部
43…操作部
44…表示部
45…A/D変換器
46…四重極電源部
11…試料気化室
12…マイクロシリンジ
13…キャリアガス流路
14…カラムオーブン
15…カラム
20…インターフェイス部
21…試料導入管
22…ヒータ
30…MS部
31…イオン化室
32…イオンレンズ
33…四重極質量フィルタ
34…イオン検出器
35…真空容器
40…パーソナルコンピュータ
41…制御部
42…データ処理部
43…操作部
44…表示部
45…A/D変換器
46…四重極電源部
Claims (3)
- 試料中の目的化合物について定量計算の基礎とするターゲットイオンとそれを同定するための同定イオンとを定めておき、クロマトグラフにより成分分離された試料に対し質量分析装置により前記ターゲットイオン及び同定イオンをそれぞれ選択的に検出する、SIM測定を実行するクロマトグラフ質量分析装置において、
a)SIM測定により前記ターゲットイオンを選択的に検出した検出結果に基づいてクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成手段と、
b)該クロマトグラムにおいて前記ターゲットイオンのピークが出現しているか否かを判定するピーク検出手段と、
c)前記ターゲットイオンのピークが出現していると判定されたときに、前記ターゲットイオンの選択的検出と時分割で該ターゲットイオンを同定するための同定イオンの選択的検出を実行するようにし、前記ターゲットイオンのピークが出現していないと判定されたときには前記同定イオンの選択的検出を実行しないように、SIM測定による各イオンの測定タイミングを制御する分析制御手段と、
備えることを特徴とするクロマトグラフ質量分析装置。 - 前記ピーク検出手段は前記クロマトグラムにおいてターゲットイオンのピークのピークトップ付近であることを検出し、前記分析制御手段はその検出結果に応じて1回のみ前記同定イオンの選択的検出を実行することを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
- 前記分析制御手段は、前記ターゲットイオンの選択的検出と時分割で前記同定イオンの選択的検出を実行する際に、同定イオンのモニタ時間をターゲットイオンのモニタ時間よりも短く設定することを特徴とする請求項1に記載のクロマトグラフ質量分析装置。
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