JP2006188475A - コア8型構造を有するo−結合型糖アミノ酸誘導体およびその製造方法 - Google Patents

コア8型構造を有するo−結合型糖アミノ酸誘導体およびその製造方法 Download PDF

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JP2006188475A
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義昭 中原
Hironobu Hojo
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Abstract

【課題】コア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体とその前駆体、およびその化学合成法の提供。
【解決手段】構造式(1,2)で示される、コア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体、および、水酸基がベンジル基で保護されたガラクトースと、N−アセチルガラクトサミン残基にベンジリデン基が置換されている単糖類のアジド誘導体とを縮合させる等を行い、さらに、アセチル化し、加水分解して合成する方法。
Figure 2006188475

(式中、Bnはベンジル基等を、Phはフェニル基等を、表す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、糖鎖機能の解明に有用なコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体およびその化学合成法に関するものである。
天然に存在するタンパク質の半数以上は、糖鎖が結合した糖タンパク質として存在すると言われている。この糖鎖はタンパク質の構造や物理化学的性質を保持する役割の他に、糖タンパク質が他の生体分子との相互作用の中で、正しくその機能を果たすためのシグナルあるいは機能制御の役割を担っているものと考えられている。糖タンパク質の糖鎖は、主にアスパラギン残基の側鎖アミド上に糖鎖が結合するN−結合型糖鎖と、セリンやトレオニンの側鎖水酸基に糖鎖が結合するO−結合型糖鎖に大別される。後者はアミノ酸水酸基とαグリコシド結合したN−アセチルガラクトサミンを共通とし、さらに生合成過程において糖残基付加がなされ、大きな糖鎖へと変換されるが、付加する糖残基、結合位置、グリコシド結合様式(立体配置)によって基本分岐構造がコア1−8型に分類される。
O−結合型糖鎖をもつ典型的な糖タンパク質としてムチンが知られている。ムチンは400−1000kDaにおよぶ巨大な分子量をもつ糖タンパク質であり、その大分子量の大半は糖鎖に由来する。タンパク質部分には、8アミノ酸残基からなる繰り返し配列を基本骨格とするMUC5ACをはじめ、169アミノ酸の繰り返しを持つMUC6まで、さまざまな長さの基本構造が知られる。ヒトムチンでは10数種のMUC構造の存在が報告されている。これらの配列には多くのトレオニン残基とセリン残基が含まれており、その大部分に前記O−結合型糖鎖が結合して糖鎖クラスターを呈している。ムチンにおけるこれらの構造は高い親水性を保持するものであることから、粘膜の乾燥からの保護や、病原性微生物からの保護、さらに機械的な損傷からの保護のためにその役割があるものと考えられている。粘膜表面に存在するムチンばかりでなく、例えば乳汁などに分泌されるムチンも、多くは組織や個体の保護を目的として存在しているものと思われている。
一方、ムチンあるいはムチン様糖タンパク質が、ガン化や悪性化を生じた細胞から発現される場合、ムチン自身の発現量の変化とともに、その結合している糖鎖構造に大きな変化が現れることが知られている。発現する糖鎖は正常細胞のそれと異なり不完全なものであったり、糖鎖の伸長に関わる糖転移酵素の異常な発現により、長大なN−アセチルがラクトサミン繰返し構造が付加したものであったりする。これらは腫瘍マーカーとして免疫学的な診断の基盤となっている。異常糖鎖の発現は診断のみでなく、免疫に着目した療法やワクチンの開発につながるものとして注目されている。クラスター状で存在する糖鎖の構造は均質なものではなく、いくつかのコア構造に属する糖鎖群の混在したものである。
したがって、糖鎖機能を応用する新しい生体制御技術の開発をめざすには、先ず糖鎖構造の定性的および定量的な変化を的確にとらえる方法を確立することが必須の要件となる。
現在我が国でもマススペクトルを活用した糖タンパク質の構造解析法が種々研究されている。それは糖タンパク質試料の分子量を知るばかりでなく、糖鎖の構成および結合様式までを明らかにすることを目的としている。これらの研究を遂行する上で確定した糖鎖構造をもつ均一な標準試料の安定的な入手は不可欠である。しかしながら、極微量にしか得られない天然の糖タンパク質試料に、これを求めることは困難である。そのため、糖タンパク質試料の化学合成による調製が大いに期待されている。糖タンパク質の化学合成法は構造解析のための試料を提供するばかりでなく、糖鎖機能を応用するワクチン開発などの技術につながるため、その化学合成法の確立は重要である。
ところで、糖タンパク質の固相反応による化学合成においては、糖鎖の水酸基のO−アシル化を回避するために、水酸基を保護しておくことが好ましい。該保護基の形成方法として、アセチル化合物を用いる方法が一般的であるが、最終段階での脱アセチル化に、ナトリウムメトキシドなどの塩基を使用すると、ペプチド中で立体中心のエピメリ化やセリン、トレオニン残基側鎖のβ解離などが起きることが懸念される。
また、水酸基を保護するためにベンジルエーテルへと変換することも提案されているが、そのo−ベンジル基は、中性条件下での加水分解により除去できるが、システインやメチオニンなどのアミノ酸残基を含む糖ペプチドの場合には、脱硫反応を招く恐れがある。(非特許文献1)
さらに、糖鎖の水酸基の保護基が、ベンジル化合物とベンジリデン化合物の場合には、糖のグリコキシド結合の化学的安定性を損なわない酸条件で、それらを除去でき、ペプチド合成に要する側鎖官能基脱保護条件と同調できることが、本発明者らにより明らかにされている。(非特許文献2など)
このように、保護基には、一長一短があり、糖鎖ペプチド合成を効率的に行なうには、糖鎖の保護基の選択が重要である。
2003 Forum: Carbohydrates Coming of Age p257-p273 Tetrahedron Lett., 1997, 38, 7211-7214
本発明は、ヒト慢性喘息患者の気道ムチンより発見された非常に稀な糖鎖構造を有する新規化合物、すなわち、新規なコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体の提供と、ペプチドの固相合成の際の、該糖アミノ酸誘導体からの保護基の除去が安定的に可能な該誘導体の化学合成法を提供するものである。
第一の本発明は、構造式(1、2)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつN−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体、である。
Figure 2006188475

(式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、Acはアセチル基を、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
第二の本発明は、構造式(13,15)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつ2−アジドガラクトース残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体、である。
Figure 2006188475

(式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
第三の本発明は、[5]構造式(13,15)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつ2−アジドガラクトース残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体のアジド基をアミノ基に変換し、さらにアセチル化して、構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体を合成し、
Figure 2006188475

(式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。Acはアセチル基を表す。)
[6]ついで、該アセトアミド糖アミノ酸誘導体(19,20)を脱アリル化して、構造式(1、2)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつN−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法、である。
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。)
第四の本発明は、
[1]構造式(3)で示される、すべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護された単糖類と、構造式(4)で示される、2−アジドガラクトース残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換し、かつシリル基を有する単糖類のアジド誘導体とを縮合させて、構造式(9)で示される二糖類のアジド誘導体を合成し、
Figure 2006188475

(式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、TBDPSはtert-ブチルジフェニルシリル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Bn、PhおよびTBDPSは前記と同じである。)
[2]ついで、該二糖類のアジド誘導体(9)を脱シリル化して、構造式(11)で示さ
れる、二糖類のヘミアセタール誘導体を合成し、
Figure 2006188475

(式中、PhおよびBnは前記と同じである。)
[3]ついで、該ヘミアセタール誘導体(11)をフッ素化して、構造式(12)で示される、二糖類のフッ素誘導体を合成し、
Figure 2006188475

(式中、PhおよびBnは前記と同じである。
[4]ついで、該フッ素誘導体(12)と、構造式(5,6)で示される、アミノ酸誘導体とを縮合させ、構造式(13,15)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体を合成し、
Figure 2006188475

(式中、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。)
[5]ついで、該アジド糖アミノ酸誘導体(13,15)のアジド基をアミノ基に変換し、さらにアセチル化して、構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体を合成し、
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph,Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。Acはアセチル基を表す。)
[6]ついで、該アセトアミド糖アミノ酸誘導体(19,20)を脱アリル化して、構造式(1、2)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつN−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法、である。
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Ac、FmocおよびRは前記と同じである。)
第五の本発明は、
[1]構造式(3)で示される、水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護された単糖類と、構造式(7,8)で示される、2−アジドガラクトース残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換した単糖類のアジド誘導体とを縮合させて、構造式(13,15)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体を合成し、
Figure 2006188475

(式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。)
[2]ついで、該アジド糖アミノ酸誘導体(13,15)のアジド基をアミノ基に変換し、さらにアセチル化して、構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体を合成し、
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。Acはアセチル基を表す。)
[3]ついで、該アセトアミド糖アミノ酸誘導体(19,20)を加水分解して、構造式(1、2)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつN−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法、である。
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Ac、FmocおよびRは前記と同じである。)
本発明の新規なコア8型糖タンパク質の糖鎖は、糖ペプチドの生理的作用効果を解明するための試料として有用であり、これを用いて、糖ペプチドを固相合成する際に、副反応の生起が少ない利点がある。また、本発明の化学合成法により、天然には稀有な糖鎖を好収率で製造することができる。
第一の本発明のコア8型の基本構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体は、構造式(1、2)で示されるように、該糖アミノ酸誘導体の水酸基の全てが、4位が炭素数1〜4のアルキル基またはアルコシ基で置換されていてもよいベンジル基(以後、単にベンジル基とも称す)で保護され、かつ、N−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に、炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよいO−ベンジリデン基(以後、単にベンジリデン基とも称す)が付加した糖アミノ酸誘導体である。
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Ac、FmocおよびRは前記と同じである。)
該糖アミノ酸誘導体の水酸基の保護基であるアルキル基またはアルコキシ基含有ベンジル基のアルキル基はメチル基であること、アルコキシ基はメトキシ基であることが好ましい。また、N−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に付加しているアルキル基またはアルコキシ基含有ベンジリデン基のアルキル基はメチル基であること、アルコキシ基はメトキシ基であることが好ましい。特に好ましいのは、前者はベンジル基であり、後者はベンジリデン基である。
このような、コア8型構造ゆえに、本願発明の該糖アミノ酸誘導体は、Fmoc法による糖ペプチドの固相合成のための鍵中間体として有用であり、糖のグリコシド結合の化学的安定性を損なわない酸条件で保護基の除去が可能で、ペプチド合成に要する側鎖官能基脱保護条件と同調できる。
本発明のコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(1、2)およびその他のコア8型構造を有するO−結合型糖質の構造は、質量分析および核磁気共鳴分光法により決定される。また、化合物の性状は、比旋光度およびRf値によって特徴づけられる。
第二の本発明のコア8型の基本構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体は、構造式(13,15)で示されるように、該糖アミノ酸誘導体の水酸基の全てが、4位が炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよいベンジル基で保護され、かつ2−アジドガラクトース残基の4および6位に、炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基で置換されていてもよいO−ベンジリデン基が付加した糖タンパク質の前駆体である。
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。)
該アジド糖アミノ酸誘導体の水酸基を保護するアルキル基またはアルコキシ基含有ベンジル基のアルキル基またはアルコキシ基はメチル基またはメトキシ基であることが好ましい。また、2−アジドガラクトース残基に付加しているアルキル基またはアルコキシ基含有ベンジリデン基のアルキル基またはアルコキシ基はメチル基またはメトキシ基であることが好ましい。特に好ましいのは、前者はベンジル基であり、後者はベンジリデン基である。
このような、コア8型構造ゆえに、本願発明の該アジド糖アミノ酸誘導体は、Fmoc法による糖ペプチドの固相合成のための鍵中間体として有用であって、糖のグリコシド結合の化学的安定性を損なわない酸条件で保護基の除去が可能で、ペプチド合成に要する側鎖官能基脱保護条件と同調できる該アミノ酸誘導体の前駆体として好適である。
第三の本発明は、コア8型の基本構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体の製造方法であるが、その2工程は、第四の本発明のコア8型の基本構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体の製造方法における、第五工程および第六工程と同じなので、ここでは、一括して、第四の発明の製造方法について説明する。
第四の本発明のコア8型の基本構造を有し、ガラクトース残基のすべての水酸基が、ベンジル基で保護され、N−アセチルガラクトサミン残基の4位および6位に、o−ベンジリデン基が置換した、O−結合型糖アミノ酸誘導体(1,2)は、
[工程1]構造式(3)で示される、ガラクトース残基のすべての水酸基が、ベンジル基で保護された単糖類と、構造式(4)で示される、アジド基とtert−ブチルジフェニルシリル基を有し、2−アジドガラクトース残基の4位および6位に、o−ベンジリデン基が置換した単糖類との縮合による、構造式(9)で示される二糖類のアジド誘導体の合成、
[工程2]該二糖類のアジド誘導体(9)の脱シリル化による構造式(11)で示される糖ヘミアセタール誘導体の合成、
[工程3]該糖ヘミアセタール誘導体(11)のフッ素化による構造式(12)で示される該二糖類のフッ素含有ヘミアセタール誘導体の合成,
[工程4]該フッ素含有ヘミアセタール誘導体(12)と構造式(5,6)で示されるアミノ酸誘導体との縮合により構造式(13,15)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体の合成、
[工程5]該アジド糖アミノ酸誘導体(13,15)のアミノ基への変換(アジド基の還元)とアセチル化による構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体の合成,および
[工程6]該アセトアミド糖アミノ酸誘導体(19.20)を加水分解して構造式(1、2)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体の合成を経て合成される。
前記の合成方法を具体的に説明する。
[工程1]
構造式(3)で示される単糖類を、ジクロロメタン溶媒中、Cp2ZrCl2-AgClO4を反応プロモーターとして、構造式(4)で示される単糖類と縮合すると構造式(9)で示される二糖類のアジド誘導体が收率73モル%で得られた。反応プロモーターとしてCp2ZrCl2-AgOTf、 Cp2HfCl2-AgClO4、Cp2HfCl2-AgOTf、Sn(OTf)2なども使用できる。
Figure 2006188475

(式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、TBDPSはtert-ブチルジフェニルシリル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Bn、PhおよびTBDPSは前記と同じである。)
[工程2]
生成混合物から分離した構造式(9)で示される単糖類のアジド誘導体を、テトラヒドロフラン中、プロトン源としての酢酸の存在下、n-Bu4NFで処理して脱シリル化反応を行ない、構造式(11)で示される二糖類のヘミアセタール誘導体を收率91モル%で得た。
Figure 2006188475

(式中、BnおよびPhは前記と同じである。)
[工程3]
構造式(11)で示される二糖類のヘミアセタール誘導体を、テトラヒドロフラン中、三フッ化ジエチルアミノイオウEt2NSF3(DAST)と反応させ、構造式(12)で示される二糖類のフッ素誘導体をアノマー混合物として得た。ここで、DASTの代わりに、三フッ化モルホリノイオウ等も使用することができる。αアノマー(收率66モル%)とβアノマー(収率22モル%)はクロマトグラフィによって分離できるが、次の反応[工程4]においては,いずれのアノマーも同程度の反応性を示した。
Figure 2006188475

(式中、BnおよびPhは前記と同じである。)
[工程4]
構造式(12)で示される二糖類のフッ素誘導体を、構造式(5,6)で示されるアミノ酸誘導体と、Cp2ZrCl2-AgClO4を用いて縮合し、構造式(13,15)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アジド誘導体を、それぞれ収率62モル%(R=水素原子)または52モル%(R=メチル基)で得た。構造式(13,15)で示される、コア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体は新規化合物である。
Figure 2006188475

(式中、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。)
[工程5]
該縮合反応生成物から分離精製した、構造式(13,15)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体を、ジクロロメタン中、亜鉛末と酢酸によりアジド基をアミノ基に変換後、直ちに無水酢酸でアセチル化して、構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体を、それぞれ收率88モル%(R=水素原子)または92モル%(R=メチル基)で得た。
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。Acはアセチル基を表す。)
[工程6]
構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体は、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(ジメドン)存在下にテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム[Pd(Ph3P)4]を触媒としてアリルエステルが選択的に切断され、構造式(1、2)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を定量的に与えた。
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Ac、FmocおよびRは前記と同じである。)
第五の本発明のコア8型の基本構造を有し、ガラクトース残基のすべての水酸基が、ベンジル基で保護され、N−アセチルガラクトサミン残基の4位および6位に、o−ベンジリデン基が置換した、O−結合型糖アミノ酸誘導体(1,2)は、
[工程7]構造式(3)で示される、ガラクトース残基のすべての水酸基が、ベンジル基で保護された単糖類と、構造式(7,8)で示されるアジド基とtert−ブチルジフェニルシリル基を有し、2−アジドガラクトース残基の4位および6位に、o−ベンジリデン基が置換した単糖類との縮合による、構造式(13、15)で示される、コア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体の合成、
[工程8]該誘導体(13、15)のアミノ基への変換(アジド基の還元)とアセチル化による構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体の合成、および、
[工程9]該アジド糖アミノ酸誘導体(19,20)を加水分解して構造式(1)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体の合成を経て合成される。
なお、工程8および工程9は、第四の本発明の工程5および工程6と同じである。
第五の本発明の工程7〜工程9のうち、工程8および工程9は、第四の本発明の工程5および工程6と同じなので、工程7のみを具体的に説明する。
[工程7]
構造式(3)で示される単糖類は、ジクロロメタン溶媒中、Cp2ZrCl2-AgClO4を反応プロモーターとして、構造式(7,8)で示される単糖類と縮合すると構造式(13,15)で示される二糖類のアジド誘導体が、それぞれ收率62モル%(R=水素原子)または63モル%(R=メチル基)で得られた。反応プロモーターとしてCp2ZrCl2-AgOTf、 Cp2HfCl2-AgClO4、Cp2HfCl2-AgOTf、Sn(OTf)2なども使用できる。
Figure 2006188475

(式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を表す。)
Figure 2006188475

(式中、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を示す。)
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。)
次に、実施例により本発明をより詳細に説明する。本発明は、実施例により限定されるものではない。
構造解析(同定)は質量分析によって行い、また、立体配置を含む構造解析は核磁気共鳴吸収スペクトルによって行なった。
なお、質量分析は、Per Septive社製のVoyager-DE PRCを用い、2,5−ジヒドロキシ安息香酸をマトリックスとする条件で測定した。
Rf値は、シリカゲルをガラス板に塗布したプレートを用い、溶離剤としては、各例のかっこ内に示した混合溶媒を用いて測定した。
核磁気共鳴分光分析は、日本電子社製のSEOL AL400を用い、各例のかっこ内に示した溶媒と、内部標準としてテトラメチルシランを用いて測定した。
比旋光度は、日本分光社製のDIP-370(旋光計)を用い、波長589nm、セル長1dm、濃度1g/cm3、温度20±3℃の条件で測定した。
[実施例1]
[工程1: 構造式(9)で示される二糖類の合成: tert-ブチルジフェニルシリル 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノシドの合成]
無水ジクロロメタン(20 ml)中で、構造式(4)で示される単糖類(置換基はベンジリデン基)(505mg, 0.95mmol)、 Cp2ZrCl2(416mg, 1.42mmol)、 AgClO4 (295mg, 1.42mmol)および乾燥した粉末モレキュラーシーブス4A (3g)の混合物をアルゴン雰囲気下、−15℃にて1時間撹拌した。次に構造式(3)で示される単糖類(保護基はベンジル基)(759mg, 1.43mmol)のジクロロメタン (20ml)溶液を,前記混合物中にカヌラを用いて注入した。反応生成物を−15℃から室温まで徐々に昇温し、14時間撹拌した。重曹水を加えて反応を止め、反応生成物をクロロホルムで希釈したのち、セライトを通してろ過した。ろ液を分液ロートに移し、有機層を重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤をろ別したのち、減圧濃縮して残った粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィによって精製し、トルエン−酢酸エチル混合液(9:1)で溶出して、構造式(9)で示される二糖類のアジド誘導体(保護基はベンジル基、置換基はベンジル基:以下同じ) (730mg, 73mol%)と、副生物として該二糖類アジド誘導体の立体異性体 (196mg, 20mol%)を得た。
[構造式(9)で示される二糖類のアジド誘導体の物性値と同定値]
比旋光度: [α]D+35.9° (c 1)。
Rf値: 0.41 (9:1トルエン-酢酸エチル)。
核磁気共鳴分光スペクトル: 1H-NMR (CDCl3): δ 7.79-7.77 (m, 2H Ar), 7.73-7.71 m, 2H Ar), 7.52-7.49 (m, 2H Ar), 7.42-7.10 (m, 27H, Ar), 7.09-7.02 (m, 2H, Ar), 5.41 [s, 1H, PhCH(O-)2], 5.17 (d, 1H, J=2.2 Hz, H-1b), 4.93 (d, 1H, J=11.5 Hz, -CH2Ph), 4.85 (d, 1H, J=11.8 Hz, -CH2Ph), 4.71 (d, 1H, J=11.7 Hz, -CH2Ph), 4.56 (d, 1H, J=11.5 Hz, -CH2Ph), 4.54 (d, 1H, J=12.0 Hz, -CH2Ph), 4.50 (d, 1H, J=11.7 Hz, -CH2Ph), 4.43 (brs, 2H, -CH2Ph), 4.40 (d, 1H, J=7.8 Hz, H-1a), 4.12-4.06 (m, 4H, H-4a, H-2b, H-3b, H-5b), 4.02 (dd, 1H, J=7.8, 10.5 Hz, H-2a), 3.92 (brs, 1H, H-4b), 3.87 (dd, 1H, J=1.2, 12.2 Hz, H-6a), 3.77 (dd, 1H, J=1.7, 12.2 Hz, H-6a), 3.54 (dd, 1H, J=6.9, 10.0 Hz, H-6b), 3.50 (dd, 1H, J=3.4, 10.5 Hz, H-3a), 3.44 (dd, 1H, J=5.8, 10.0 Hz, H-6b), 2.75 (brs, 1H, H-5a), 1.13 (s, 9H, t-Bu)。
分子式: C63H67N3O10Si: (計算値)C, 71.77; H, 6.41; N, 3.99。 (実測値)C, 71.74; H, 6.51; N, 3.87。
[工程2: 構造式(11)で示される二糖類のヘミアセタール誘導体の合成; 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-D-ガラクトピラノースの合成]
構造式(9)で示される二糖類のアジド誘導体 (497 mg, 0.46 mmol)と酢酸(0.28 ml, 4.60 mmol) を、蒸留したテトラヒドロフラン(20 ml)に溶解し、1モルの n-Bu4NF/テトラヒドロフラン (2.76 ml, 2.76 mmol)を加えて室温で一夜撹拌したのち、減圧濃縮した。残渣をクロロホルムで抽出し、水および飽和食塩水で順次洗浄したのち、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤をろ別したのち、減圧濃縮して、残った粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィによって精製し、トルエン−酢酸エチル(3:2)で溶出して、構造式(11)で示される二糖類のヘミアセタール誘導体 (351 mg, 91mol%)を得た。
[構造式(11)で示される二糖類のヘミアセタール誘導体の物性値と同定値]:
Rf値: 0.21 (4:1トルエン-酢酸エチル)。
核磁気共鳴: 1H-NMR (CDCl3): δ 7.49-7.46 (m, 3H, Ar), 7.48-7.20 (m, 14H, Ar), 7.19-7.05 (m, 8H, Ar), 5.49 and 5.46 [2s, 1H, PhCH(O-)2], 5.42 and 5.28 (2d, 1H, J=3.2 and 2.2 Hz, H-1b), 5.20 (brs, 0.5H, H-1aa)。
分子式: C47H49N3O10: (計算値)C, 69.19; H, 6.05; N, 5.15。 (実測値) C, 69.16; H, 6.07; N, 4.96。
[工程3: 構造式(12)で示される二糖類のフッ素誘導体の合成; 2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アジド-4,6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-α および β-D-ガラクトピラノシル フルロリドの合成]
構造式(11)で示される二糖類のヘミアセタール誘導体 (273 mg, 0.35 mmol) を、蒸留したテトラヒドロフラン(10 ml) の溶液とし、氷浴で冷却、撹拌しつつEt2NSF3(0.19 ml, 1.41 mmol)を加えた。反応液を40分間撹拌したのち、少量のメタノールを加えて反応を止め、溶媒を溜去した。残渣を酢酸エチルで抽出し、水および飽和食塩水で順次洗浄したのち、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤をろ別したのち、減圧濃縮して残った粗生成物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィによって精製し、トルエン−酢酸エチル(4:1)で溶出して構造式(12)で示される二糖類のフッ素誘導体のαアノマー (195 mg, 66mol%) と βアノマー (65 mg 22mol%)を得た。
[構造式(12)で示される二糖類のフッ素誘導体のαアノマーの物性値と同定値]
比旋光度: [α]D+68.6° (c 1)。
Rf値: 0.65 (4:1トルエン-酢酸エチル)。
核磁気共鳴: 1H-NMR (CDCl3): δ 7.49-7.46 (m, 2H, Ar), 7.36-7.25 (m, 19H, Ar), 7.19-7.07 (m, 4H, Ar), 5.77 (dd, 1H, J=2.4, 52.7 Hz, H-1a), 5.47 [s, 1H, PhCH(O-)2], 5.28 (d, 1H, J=2.3 Hz, H-1b), 4.95 (d, 1H, J=11.4 Hz, -CH2Ph), 4.82 (d, 1H, J=11.3 Hz, -CH2Ph), 4.69(d, 1H, J=11.3 Hz, -CH2Ph), 4.59 (brs, 2H, -CH2Ph), 4.57 (d, 1H, J=11.5 Hz, -CH2Ph), 4.50-4.43 (m, 3H, -CH2Ph, H-4a), 4.26 (dd, 1H, J=1.4, 12.7 Hz, H-6a), 4.19 (dd, 1H, J=2.7, 9.5 Hz, H-3a), 4.17-4.06 (m, 4H, H-2a, H-2b, H-3b, H-5b), 4.00-3.97 (m, 2H, H-4b, H-6a), 3.75 (brs, 1H, H-5a), 3.60 (dd, 1H, J=6.4, 9.5 Hz, H-6b), 3.52 (dd, 1H, J=6.3, 9.5 Hz, H-6b)。
分子式: C47H48FN3O9: (計算値) C, 69.02; H, 5.92; N, 5.14。 (実測値)C, 69.02; H, 6.01; N, 4.60。
[構造式(12)で示される二糖類のフッ素誘導体のβアノマーの物性値と同定値]
比旋光度: [α]D +58.9° (c 1)。
Rf値: 0.45 (4:1トルエン-酢酸エチル)。
核磁気共鳴: 1H-NMR (CDCl3): δ 7.52-7.49 (m, 2H, Ar), 7.37-7.23 (m, 19H, Ar), 7.18-7.05 (m, 4H, Ar), 5.50 [s, 1H, PhCH(O-)2], 5.21 (d, 1H, J=3.4 Hz, H-1b), 4.95 (d, 1H, J=11.4 Hz, -CH2Ph), 4.91 (dd, 1H, J=7.6, 52.5 Hz, H-1a), 4.84 (d, 1H, J=11.5 Hz, -CH2Ph), 4.71 (d, 1H, J=11.7 Hz, -CH2Ph), 4.58 (d, 1H, J=10.5 Hz, -CH2Ph), 4.57 (brs, 2H, -CH2Ph), 4.46 (brs, 2H, -CH2Ph), 4.32 (dd, 1H, J= 1.4, 12.6 Hz, H-6a), 4.26 (br, 1H, H-4a), 4.11-3.99 (m, 5H, H-2a, H-6a, H-2b, H-3b, H-5b), 3.94 (brd, 1H, J=1.5 Hz, H-4b), 3.67 (dd, 1H, J=2.9, 10.5 Hz, H-3a), 3.60 (dd, 1H, J=7.1, 9.7 Hz, H-6b), 3.44 (dd, 1H, J=5.4, 9.7 Hz, H-6b), 3.33 (brs, 1H, H-5a)。
分子式: (計算値) C47H48FN3O9・0.3H2O: C, 68.57; H, 5.95; N, 5.10。(実測値) C, 68.42; H, 5.91; N, 5.00。
[工程4: 構造式(13)で示される0−結合型アジド糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アジド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-セリン アリルエステルの合成]
構造式(5)で示されるアミノ酸誘導体(R=水素原子)(45 mg, 0.12 mmol)、Cp2ZrCl2(36 mg, 0.12 mmol)、AgClO4 (26 mg, 0.12 mmol)、および乾燥した粉末モレキュラーシーブス4A (0.2 g)を、無水ジクロロメタン (3 ml)中、アルゴン雰囲気下−15℃にて1時間撹拌した. 次に構造式(12)で示されるフッ素誘導体 (68 mg, 0.08 mmol)の無水ジクロロメタン(1 ml)溶液を、カヌラを用いて加えた。反応混合物を−15℃、 室温で16時間撹拌したのち、重曹水を加えて反応を止めた。反応生成物をクロロホルムで希釈したのち、セライトを通してろ過した。ろ液を分液ロートに移し、有機層を重曹水、水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤をろ別し、減圧濃縮して残った粗生成物をトルエン中、バイオビーズSx3カラムを通してゲルをろ過した。縮合生成物画分を集め、さらにシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィによって精製した。トルエン−酢酸エチル(4:1)で溶出して、構造式(13)で示される0−結合型アジド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)(60 mg, 62mol%)と、副生物としての立体異性体 (15 mg, 16mol%)を得た。
[構造式(13)で示される0−結合型アジド糖アミノ酸誘導体の物性値と同定値]
比旋光度: [α]D+101.9° (c 1)。
Rf値: 0.40 (4:1 トルエン-酢酸エチル)。
核磁気共鳴: 1H-NMR (CDCl3): δ 7.76-7.72 (m, 2H, Ar), 7.58-7.54 (m, 2H, Ar), 7.49-7.46 (m, 2H, Ar), 7.40-7.22 (m, 21H, Ar), 7.18-7.08 (m, 6H, Ar), 5.91 (d, 1H, J=7.3 Hz, -NH), 5.88 (m, 1H, -CH=CH2), 5.38 [s, 1H, PhCH(O-)2], 5.32 (brd, J=17.1 Hz, -CH=CH2), 5.25-5.23 (m, 2H, -CH=CH2, H-1b), 4.99 (d, 1H, J=3.2 Hz, H-1a), 4.93 (d, 1H, J=11.2 Hz, -CH2Ph), 4.82 (d, 1H, J=12.0 Hz, -CH2Ph), 4.70 (d, 1H, J=11.7 Hz, -CH2Ph), 4.66 (m, 2H, -CH2CH=CH2), 4.59 (brs, 2H, -CH2Ph), 4.55-4.45 (m, 3H, -CH2Ph x 2, Ser-αH), 4.42 (d, 1H, J=12.0 Hz, -CH2Ph), 4.38-4.29 (m, 3H, -OCH2CHAr2), 4.22-4.05 (m, 6H, Ser-βH, H-3a, H-4a, H-6a, H-2b, H-5b), 3.98-3.94 (m, 3H, H-2a, H-4b, Ser-βH), 3.86 (brd, 1H, J=12.2 Hz, H-6a), 3.64-3.52 (m, 3H, H-5a, H-6b x 2)。
分子式: C68H68N4O14: (計算値) C, 70.09; H, 5.88; N, 4.81。(実測値)C, 70.17; H, 5.95; N, 4.23。
[工程4’: 構造式(15)で示される0−結合型アジド糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アジド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-トレオニン アリルエステルの合成]
工程4と同様に、構造式(6)で示されるアミノ酸誘導体(R=メチル基) (116 mg, 0.36 mmol)と、構造式(12)で示される二糖類のフッ素誘導体 (200 mg, 0.24 mmol)の縮合反応を、Cp2ZrCl2(105 mg, 0.36 mmol)、AgClO4 (74 mg, 0.36 mmol)、乾燥した粉末モレキュラーシーブス4A (0.4 g)を用いてジクロロメタン中で行った。粗生成物をトルエン中、バイオビーズSx3カラム、続いてシリカゲル上でのクロマトグラフィによって精製した。トルエン−酢酸エチル(4:1)で溶出して、構造式(15)で示される0−結合型アジド糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)(149 mg, 52mol%)と、副生物としての立体異性体 (50 mg, 17mol%)を得た。
[構造式(15)で示される0−結合型アジド糖アミノ酸誘導体の物性値と同定値]
比旋光度: [α]D +91.4° (c 1)。
Rf値: 0.47 (4:1トルエン−酢酸エチル)。
核磁気共鳴: 1H-NMR (CDCl3): δ 7.76-7.74 (m, 2H, Ar), 7.60-7.59 (m, 2H, Ar), 7.49-7.47 (m, 2H, Ar), 7.38-7.20 (m, 21H, Ar), 7.19-6.99 (m, 6H, Ar), 5.91 (m, 1H, -CH=CH2), 5.82 (d, 1H, J=7.3 Hz, -NH), 5.43 [s, 1H, PhCH(O-)2], 5.33 (dd, 1H, J=1.2, 17.1 Hz, -CH=CH2), 5.28 (d, 1H, J=2.4 Hz, H-1b), 5.24 (brd, 1H, J=10.2 Hz, -CH=CH2), 5.05 (d, 1H, J=3.4 Hz, H-1a), 4.92 (d, 1H, J=11.5 Hz, -CH2Ph), 4.82 (d, 1H, J=11.7 Hz, -CH2Ph), 4.74-4.62 (m, 3H, -CH2Ph, -CH2CH=CH2), 4.59 (brs, 2H, -CH2Ph), 4.54 (d, 1H, J=11.4 Hz, -CH2Ph), 4.47-4.36 (m, 7H, H-4a, -CH2Ph, -OCH2CHAr2, Thr-αH, Thr-βH), 4.28 (dd, 1H, J=7.4, 10.3 Hz, -OCH2CHAr2), 4.23-4.06 (m, 5H, H-3a, H-6a, H-2b, H-3b, H-5b), 4.02-3.96 (m, 3H, H-2a, H-6a, H-4b), 3.63 (brs, 1H, H-5a), 3.59 (dd, 1H, J=6.6, 9.6 Hz, H-6b), 3.50 (dd, 1H, J=6.6, 9.3 Hz, H-6b), 1.25 (d, 3H, J=6.6 Hz, Thr-γH)。
分子式: C69H70N4O14: (計算値) C, 70.27; H, 5.98; N, 4.75。(実測値) C, 70.08; H, 6.05; N, 4.47。
[工程5: 構造式(19)で示される0−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-セリン アリルエステルの合成]
構造式(13)で示される0−結合型アジド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)(56mg, 48mol)と酢酸(39l, 0.68mmol)をジクロロメタン(1ml)に溶解し,粉末亜鉛(195mg, 2.98mmol)を加えて、3時間室温で撹拌した。反応混合物をセライトを通してろ過し、ろ液をトルエンとともに減圧濃縮した。残渣をメタノール(3ml)-ジクロロメタン(2ml)に溶かし、無水酢酸(69l, 0.68mmol)を加えて1時間室温で撹拌したのち、ふたたび減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出し、重曹水、水、飽和食塩水にて順次洗浄した。無水硫酸ナトリウム上で乾燥後、溶媒を溜去し粗生成物を得た。シリカゲルクロマトグラフィにより精製し、トルエン−酢酸エチル(1:1) で溶出して、構造式(19)で示される0−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)(50mg, 88mol%)を得た。
[構造式(19)で示される0−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体の物性値と同定値]
比旋光度: [α]D=+92.3° (c 1)。
Rf値: 0.43 (1:1 toluene-EtOAc)。
核磁気共鳴: 1H-NMR (CDCl3): δ 7.76 (brd, 2H, J=7.3 Hz, Ar), 7.57 (m, 2H, Ar), 7.47 (m, 2H, Ar), 7.39 (brt, 2H, J=7.3 Hz, Ar), 7.31-7.11 (m, 25H, Ar), 5.89-5.85 (m, 2H, -CH=CH2, -NH), 5.33 (brd, 1H, J=17.6 Hz, -CH=CH2), 5.28 (brd, 1H, J=11.2 Hz, -CH=CH2), 5.24 [s, 1H, PhCH(O-)2], 5.04 (d, 1H, J=2.9 Hz, H-1b), 5.02 (d, 1H, J=3.0 Hz, H-1a), 3.59 (brs, 1H, H-5a), 3.52 (brt, J=7.5 Hz, H-6b), 3.30 (dd, 1H, J=4.1, 9.8 Hz, H-6b), 1.85 (s, 3H, Ac)。
分子式: (計算値)C70H72N2O15・0.5H2O: C, 70.63; H, 6.18; N, 2.35。(実測値) C, 70.53; H, 6.09; N, 2.31。
[工程5’: 構造式(20)で示される0−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-トレオニン アリルエステルの合成]
工程5と同様に、構造式(15)で示される0−結合型アジド糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)(137mg, 0.12mmol)を粉末亜鉛と酢酸で還元後、メタノール中で無水酢酸でアセチル化して構造式(20)で示される0−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)(128mg, 92mol%)を得た。
[構造式(20)で示され0−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体の物性値と同定値]
比旋光度: [α]D +87.9° (c 1.2)。
Rf値: 0.47 (1:1 トルエン−酢酸エチル)。
核磁気共鳴: 1H-NMR (CDCl3): δ 7.75-7.73 (m, 2H, Ar), 7.59-7.54 (m, 2H, Ar), 7.47-7.45 (m, 3H, Ar), 7.38-7.23 (m, 24H, Ar), 7.20-7.11 (m, 2H, Ar), 5.94 (d, 1H, J=8.8 Hz, -NH), 5.87 (m, 1H, -CH=CH2), 5.59 (d, 1H, J=9.8 Hz, -NH), 5.33 (brd, 1H, J=17.3 Hz, -CH=CH2), 5.28 (brd, 1H, J=10.5 Hz, -CH=CH2), 5.22 [s, 1H, PhCH(O-)2], 5.06 (d, 1H, J=3.2 Hz, H-1b), 5.01 (d, 1H, J=3.2 Hz, H-1a), 3.80 (brs, 1H, H-4b), 3.59 (brs, 1H, H-5a), 3.50 (brt, 1H, J=7.6 Hz, H-6b), 3.30 (dd, 1H, J=4.1, 9.6 Hz, H-6b), 1.99 (s, 3H, Ac), 1.25 (d, 3H, J=4.8 Hz, Thr-αH)。
分子式: (計算値)C71H74N2O15・0.5H2O: C, 70.81; H, 6.28; N, 2.33。(実測値)C, 70.67; H, 6.29; N, 2.18。
[工程6: 構造式(1)で示されるO−結合型糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-セリンの合成]
構造式(19)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)(62mg, 52mol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(6 mg, 5mol)、および5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(146mg, 1.04mmol)を、蒸留したテトラヒドロフラン(1ml)中、アルゴン雰囲気で1.5時間室温にて撹拌した。反応生成物を減圧濃縮したのち、シリカゲル上で精製した。クロロホルム−メタノール−酢酸(38:2:1)で溶出された生成物を、さらにバイオビーズSX3カラムを用いたゲルろ過で精製した。トルエン―酢酸エチル(1:1)で展開し、構造式(1)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(R=水素原子) (60mg)を定量的收率で得た。
[構造式(1)で示されるO−結合型糖アミノ酸誘導体の物性値と同定値]
比旋光度: [α]D=+127.7° (c 1.1)。
Rf値: 0.29 (9:1 CHCl3-MeOH)。
核磁気共鳴: 1H-NMR (DMSO-d6): δ 7.99 (brd, 2H, J=7.6 Hz, Ar), 7.72-7.69 (m, 3H, Ar, AcNH), 7.43-7.20 (m, 29H, Ar), 7.12 (d, 1H, J=9.5 Hz, Ser-NH), 5.36 [s, 1H, PhCH(O-)2], 5.22 (d, 1H, J=2.9 Hz, H-1b), 4.81 (d, 1H, J=3.5 Hz, H-1a), 4.78 (d, 1H, J=11.2 Hz, -CH2Ph), 4.73 (d, 1H, J=11.9 Hz, -CH2Ph), 4.69 (d, 1H, J=11.9 Hz, -CH2Ph), 4.61 (d, 1H, J=11.7 Hz, -CH2Ph), 4.57 (d, 1H, J=11.7 Hz, -CH2Ph), 4.51 (d, 1H, J=12.2 Hz, -CH2Ph), 4.45 (d, 1H, J=11.2 Hz, -CH2Ph), 4.43 (d, 1H, J=12.0 Hz, -CH2Ph), 4.39-4.34 (m, 2H, Ser-βH, -OCH2CHAr2), 4.30-4.22 (m, 4H, -OCH2CHAr2, -OCH2CHAr2, Ser-αH, H-2a), 4.05-3.78 (m, 9H, Ser-βH, H-3a, H-4a, H-6a x 2, H-2b, H-3b, H-4b, H-5b), 3.66 (brs, 1H, H-5a), 3.51 (m, 2H, H-6b x2), 1.80 (s, 3H, Ac)。
分子式: C67H68N2O15・0.5H2O: (計算値) C, 69.96; H, 6.04; N, 2.44。(実測値)C, 69.76; H, 5.98; N, 2.31。
[工程6’: 構造式(2)で示されるO−結合型糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-トレオニンの合成]
工程6と同様に、構造式(20)で示されるアセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)(262mg, 0.22mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(26mg, 22mol)、および5,5-ジメチル-1,3-シクロヘキサンジオン(617mg, 4.40mmol)を用い、テトラヒドロフラン(10 ml)中で脱アリル反応を行った。工程6と同様に精製し、構造式(2)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)(252mg)を定量的收率で得た。
[構造式(2)で示されるO−結合型糖アミノ酸誘導体の物性値と同定値]
比旋光度: [α]D=+106.5° (c 1.1)。
Rf値: 0.36 (9:1 CHCl3-MeOH)。
核磁気共鳴: 1H-NMR (CDCl3): δ 7.90-7.88 (m, 2H, Ar), 7.75-7.73 (m, 2H, Ar), 7.68-7.67 (m, 1H, Ar), 7.54-7.16 (m, 28H, Ar), 5.20 (d, 1H, J=2.0 Hz, H-1b), 5.15 [s, 1H, PhCH(O-)2], 4.78 (d, 1H, J=3.7 Hz, H-1a), 1.77 (s, 3H, Ac), 1.14 (d, 3H, J=6.3 Hz, Thr-γH)。
分子式: C68H70N2O15.0.5H2O: (計算値)C, 70.15; H, 6.15; N, 2.41。(実測値)C, 70.13; H, 6.07; N, 2.32。
(実施例2)
[工程7: 構造式(13)で示されるO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アジド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-セリン アリルエステルの合成]
工程4に倣い、構造式(3)で示される単糖類(保護基はベンジル基) (82mg, 0.15mmol)と、構造式(7)で示される単糖類(置換基はベンジリデン基、R=水素原子) (152mg, 0.24mmol)の縮合反応を、Cp2ZrCl2 (67mg, 0.23mmol)、AgClO4(94mg, 0.45mmol)、乾燥した粉末モレキュラーシーブス4A (0.5g)を用いてジクロロメタン中で行った。粗生成物をトルエン中、バイオビーズSx3カラム、続いてシリカゲル上でのクロマトグラフィによって精製した。トルエン−酢酸エチル(4:1)で溶出して、構造式(13)で示されるO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体(保護基はベンジル基、置換基はベンジリデン基、R=水素原子:以下同様) (108mg, 62mol%)と、副生物として、その立体異性体 (17mg, 10mol%)を得た。
構造式(13)で示されるO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)の同定は、前記の工程4で得られた構造式(13)で示されるO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)の同定と同様に行った。
[工程7’: 構造式(15)で示されるO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アジド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-トレオニン アリルエステルの合成]
工程4’に倣い、構造式(3)で示される単糖類(保護基はベンジル基) (60mg, 0.11mmol)と、構造式(8)で示される単糖類(置換基はベンジリデン基、R=メチル基)(90mg, 0.14mmol)の縮合反応を、Cp2ZrCl2(48mg, 0.16mmol)、AgClO4(69mg, 0.16mmol)、乾燥した粉末モレキュラーシーブス4A(0.5g)を用いてジクロロメタン中で行った。粗生成物をトルエン中、バイオビーズSx3カラム、続いてシリカゲル上でのクロマトグラフィによって精製した。トルエン−酢酸エチル(4:1)で溶出して構造式(15)で示されるO−結合型糖アジド誘導体(保護基はベンジル基、置換基はベンジリデン基、R=メチル基:以下同様)(82mg, 63mol%)と、副生物としての立体異性体 (10mg, 8mol%)を得た。
構造式(15)で示されるO−結合型糖アジド誘導体(R=メチル基)の同定は、前記の工程4’で得られた構造式(13)で示されるO−結合型糖アジド誘導体(R=メチル基)の同定と同様に行った。
[工程8: 構造式(19)で示されるO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-セリンの合成]
工程7の生成物である構造式(13)で示されるO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)を用いて、工程5と全く同様な方法と条件で、アジド基のアミノ基への変換と、アセチル化を行い、構造式(19)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)を合成し、全く同様な結果を得た。構造式(19)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)の同定は、前記の工程5で得られた構造式(19)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)の同定と同様に行った。
[工程8’: 構造式(20)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-トレオニル アリルエステルの合成]
工程7’の生成物である構造式(15)で示されるO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)を用いて、工程5’と全く同様な方法と条件で、アジド基のアミノ基への変換と、アセチル化を行い、構造式(20)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)を合成し、全く同様な結果を得た。構造式(20)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)の同定は、前記の工程5’で得られた構造式(20)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)の同定と同様に行った。
[工程9: 構造式(1)で示されるO−結合型糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-セリンの合成]
工程8の生成物である構造式(19)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)を用いて、工程6と全く同様な方法と条件で、加水分解を行い、構造式(1)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)を合成した。全く同様な結果を得た。構造式(1)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)の同定は、前記の工程6で得られた構造式(1)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(R=水素原子)の同定と同様に行った。
[工程9’: 構造式(2)で示されるO−結合型糖アミノ酸誘導体の合成; N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2,3,4,6-テトラ-O-ベンジル-α-D-ガラクトピラノシル-(1→3)-2-アセトアミド-4,6-ベンジリデン-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシル]-L-トレオニンの合成]
工程8’の生成物である構造式(20)で示されるO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)を用いて、工程6’と全く同様な方法と条件で、加水分解を行い、構造式(2)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)を合成し、全く同様な結果を得た。構造式(2)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)の同定は、前記の工程6’で得られた構造式(2)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(R=メチル基)の同定と同様に行った。
(参考例1)
本発明の構造式(1、2)で示されるコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体の活用例を以下に説明する。
[糖ペプチド誘導体の固相合成]
構造式(1)で示されるO−結合型糖アミノ酸誘導体は、以下のごとく固相合成によって糖ペプチド誘導体に導くことができる。本例では、気道ムチンであるMUC5ACの繰り返し配列に、該型糖アミノ酸誘導体を糖鎖ビルディングブロックとして導入した。同配列はC-末端アミノ酸がプロリンであり、Fmoc法固相合成を実行するとジケトピペラジン生成によるジペプチドの脱落がおこり、收率の極端な低下を招くことが知られている。そこで坂本らによって開発された方法を採用し、この望まぬ副反応を抑えた。
市販の樹脂「Fmoc-Pro-CLEAR-Acid Resin」(31mg, 9μmol) を出発原料に用い、フィルターおよび三方コックつきのポリプロピレンチューブ中で、以下の固相合成を行った。反応試薬の注入、該樹脂の洗浄は全てマニュアル操作で行い、撹拌にはヴォルテックス型撹拌装置を用いた。20%ピペリジン/1-メチル-2-ピロリジノン(NMP: 2ml)を該樹脂に加え、2分間撹拌した。ろ過後、さらに同ピペリジン溶液(2.5ml)と3分間撹拌して完全に脱Fmocを行った。NMP (2.5ml)で6回洗浄したのち、テトラヒドロフラン(THF: 2.5ml)に懸濁し、N-トリイソプロピルオキシカルボニル-L-アラニンペンタフルオロフェニルエステル(Tsoc-Ala-OPfp: 21mg, 45μmol)を加え、15分間撹拌した。ろ過後、再びTHF中で同量のTsoc-Ala-OPfpと15分間反応した。NMP (2.5ml)で洗浄したのち、10%無水酢酸−5%ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)/NMF(2.5ml)と5分間撹拌して樹脂上の未反応アミノ基にキャッピングを施した。
次に、該樹脂をNMP (2.5ml)とジクロロメタン(2.5ml)で順次洗浄し、構造式(1)で示される二糖類と、フルオロ-N,N,N’,N’-テトラメチルホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TFFH)より調製した、構造式(21)で示される酸フルオリドのジクロロメタン(2.5ml)溶液を加え、さらに1Mテトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)/テトラヒドロフラン(5μl)およびDIEA (5μl)を加えて、60分間撹拌した。ろ過後順次ジクロロメタンとNMPで洗浄し、上記と同様無水酢酸によるN-キャッピングを行い、再びNMPで洗浄した。
Figure 2006188475

(式中、Bn、Ph、FmocおよびAcは前記と同じである。)
なお、前記の構造式(21)で示される酸フルオロリドのジクロロメタン(2.5ml)溶液は、構造式(1)で示されたO−結合型糖アミノ酸誘導体(23 mg, 20μmol)、TFFH(5 mg, 20μmol)、DIEA(4.7μl, 36μmol)を無水ジメチルホルムアミド(DMF: 2.5ml)溶液とし、室温で1時間撹拌し、その後、減圧濃縮してDMFを溜去し、残渣を無水ジクロロメタン(2.5ml)に溶解した溶液であり、この溶液をそのまま反応に用いた。
引き続き、20%ピペリジン/NMP (2ml)で5分ろ過後、さらに同量のピペリジンと15分間撹拌して脱Fmocを行った。 (2.5ml)で1分間ずつ6回洗浄を繰り返し、ろ過した樹脂にN-9-フルオレニルメトキシカルボニル-O3-t-ブチルトレオニン[Fmoc-Thr(But)-OH: 40mg, 0.1mmol]、0.45M O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート/NMP溶液(HBTU: 200μl, 0.09mmol)、DIEA (24μl, 0.18mmol)、NMP (1.25ml)を加え、30分間室温で、さらに50℃に加熱して30分間撹拌した。NMP (2.5 ml)、50%メタノール/ジクロロメタン(2.5ml)、NMP (2.5ml)で洗浄したのち、無水酢酸でキャッピングを施した。同様の操作で脱Fmocをしたのち、Fmoc-Thr(But)-OH (40 mg, 0.1mmol)、N-9-フルオレニルメトキシカルボニル-O3-t-ブチルセリン[Fmoc-Ser(But)-OH: 39mg, 0.1mmol]を導入した。
つぎに構造式(2)で示されるO−結合型糖アミノ酸誘導体 (23 mg, 0.02mmol)を0.45M HBTU/NMP (40μl, 18μmol)、DIEA (5 μl, 0.036mmol)、NMP (2.5ml)とともに加え、30分間室温で、さらに50℃に加熱して30分間撹拌した。一連の洗浄操作ののち、キャッピング、脱Fmocを行い、最後のアミノ酸であるFmoc-Thr(But)-OH(40mg, 0.1mmol)を導入した。以上一連の固相合成においてはアミノ酸および糖アミノ酸ビルディングブロックとの縮合後に、樹脂サンプルのニンヒドリンテストによる目視的な反応進行のモニタリングを行っている。
[糖ペプチドの切出しと脱保護]
前記樹脂(44mg)を洗浄後、トリフルオロ酢酸/フェノール/脱イオン水/チオアニソール/1,2-エタンジチオール [reagent K: (82.5:5:5:5:2.5), 440μl]と60分間撹拌し、糖ペプチドを樹脂から切断した。窒素気流を吹き付けて揮発性成分を気化させ,残渣にエーテルを加えて粗生成物を沈殿させた。遠心分離器で上澄と分離し、デキャンテーションによってエーテル層を除いた。沈殿に再びエーテルを加えて撹拌洗浄し、遠心操作で沈殿物を集めた。これにジメチルスルフィド(132μl)、m-クレゾール(44μl)、トリフルオロ酢酸(220μl)の混合物を加え、マグネティックスターラーで撹拌しつつ−15℃に冷却した。この混合物にトリフルオロメタンスルホン酸(TfOH: 44μl)を加え、−15℃に保ちつつ2時間撹拌を続けた。こののち予め−80℃に冷却したエーテル(1ml)を加えて、激しく1分間撹拌して反応を止めた。生じた沈殿を遠心分離し、デキャンテーションによりエーテル層を除いた。エーテル洗浄を2度繰り返し、沈殿物として得られた粗生成物はC-18シリカゲルカラムを用いたHPLC逆相クロマトグラフィーにより精製した。
該クロマトグラフィーは、カラムに「マイティーシル RP-18(150×4.6mm)」を用い、溶離剤Aを0.1%TFAを含む蒸留水、溶離剤Bを0.1%TFAを含むアセトニトリルとし、流速1ml/minの条件で実施した。
図1に示すのがそのクロマトグラムであり、主生成物を分取しマススペクトルによって構造式(22)に示された糖ペプチドであることが証明された。
MALDI TOF MS: C73H108N10O37・Na (計算値)m/z 1739.68。(実測値)m/z 1739.73。
構造式(22)に示される糖ペプチドはピペリジン処理をすることで容易に完全脱保護体に変換することができる。
Figure 2006188475

(式中、FmocおよびAcは前記と同じである。)
この反応スケールで正確な收率を求めることは不可能であるが、HPLCより判断して良好な効率で合成が進んだものと判断できる。生化学的手段あるいはマススペクトルなど物理化学的手段による構造解析用標準試料としてのサンプル量はこの程度の合成反応で十分確保できる。
本発明のコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を用いて糖ペプチドの固相合成を行ない、保護基を切出したあとの粗生成物の薄層クロマトグラムである。

Claims (5)

  1. 構造式(1、2)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつN−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体。
    Figure 2006188475

    (式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、Acはアセチル基を、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
  2. 構造式(13,15)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつ2−アジドガラクトース残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体。
    Figure 2006188475

    (式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
  3. 構造式(13,15)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつ2−アジドガラクトース残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体のアジド基をアミノ基に変換し、さらにアセチル化して、構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体を合成し、
    Figure 2006188475

    (式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 2006188475

    (式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。Acはアセチル基を表す。)
    ついで、該アセトアミド糖アミノ酸誘導体(19,20)を脱アリル化して、構造式(1、2)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつN−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法。
    Figure 2006188475

    (式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。)
  4. [1]構造式(3)で示される、すべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護された単糖類と、構造式(4)で示される、2−アジドガラクトース残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換し、かつシリル基を有する単糖類のアジド誘導体とを縮合させて、構造式(9)で示される二糖類のアジド誘導体を合成し、
    Figure 2006188475

    (式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を表す。)
    Figure 2006188475

    (式中、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、TBDPSはtert-ブチルジフェニルシリル基を表す。)
    Figure 2006188475

    (式中、Bn、PhおよびTBDPSは前記と同じである。)
    [2]ついで、該二糖類のアジド誘導体(9)を脱シリル化して、構造式(11)で示さ
    れる、二糖類のヘミアセタール誘導体を合成し、
    Figure 2006188475

    (式中、PhおよびBnは前記と同じである。)
    [3]ついで、該ヘミアセタール誘導体(11)をフッ素化して、構造式(12)で示される、二糖類のフッ素誘導体を合成し、
    Figure 2006188475

    (式中、PhおよびBnは前記と同じである。
    [4]ついで、該フッ素誘導体(12)と、構造式(5,6)で示される、アミノ酸誘導体とを縮合させ、構造式(13,15)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体を合成し、
    Figure 2006188475

    (式中、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは
    水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 2006188475

    (式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。)
    [5]ついで、該アジド糖アミノ酸誘導体(13,15)のアジド基をアミノ基に変換し、さらにアセチル化して、構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体を合成し、
    Figure 2006188475

    (式中、Ph、Bn、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。Acはアセチル基を表す。)
    [6]ついで、該アセトアミド糖アミノ酸誘導体(19,20)を脱アリル化して、構造式(1、2)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつN−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法。
    Figure 2006188475

    (式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、およびRは前記と同じである。)
  5. 構造式(3)で示される、水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護された単糖類と、構造式(7,8)で示される、2−アジドガラクトース残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換した単糖類のアジド誘導体とを縮合させて、構造式(13,15)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アジド糖アミノ酸誘導体を合成し、
    Figure 2006188475

    (式中、Bnはベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基を表す。)
    Figure 2006188475

    (式中、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、Fmocはフルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
    Figure 2006188475

    (式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。)
    ついで、該アジド糖アミノ酸誘導体(13,15)のアジド基をアミノ基に変換し、さらにアセチル化して、構造式(19,20)で示されるコア8型構造を有するO−結合型アセトアミド糖アミノ酸誘導体を合成し、
    Figure 2006188475

    (式中、Bn、Ph、Fmoc、AllおよびRは前記と同じである。Acはアセチル基を表す。)
    ついで、該アセトアミド糖アミノ酸誘導体(19,20)を加水分解して、構造式(1、2)で示され、式中、ガラクトース残基のすべての水酸基がベンジル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するベンジル基で保護され、かつN−アセチルガラクトサミン残基の4および6位に、O−ベンジリデン基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するO−ベンジリデン基が置換されているコア8型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法。
    Figure 2006188475

    (式中、Bn、Ph、Ac、FmocおよびRは前記と同じである。)
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JP2014516997A (ja) * 2011-06-10 2014-07-17 アイエムディー・ナチュラル・ソリューションズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 材料の腐敗または微生物汚染を回避するために有用な長鎖糖脂質

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