JP2007022987A - コア3型構造を有するo−結合型糖アミノ酸誘導体およびその製造方法 - Google Patents

コア3型構造を有するo−結合型糖アミノ酸誘導体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多様なムチン型糖鎖構造を再構築するための、新規なコア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体の提供、および該誘導体の化学合成法の提供。
【解決手段】[1]水酸基がベンジル基またはベンジリデン基で保護され、グルコサミン残基の1位がフッ素原子で置換された二糖類と、アミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基(Fmoc基)で、カルボキシル基がアリル基で保護された単糖アミノ酸誘導体とを、縮合反応させ、トリクロロアセチル基およびアジド基を有し、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成し、還元して、脱アリル化し、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法、および該誘導体(1)。
Figure 2007022987

【選択図】なし

Description

本発明は、糖鎖機能の解明に有用なコア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体およびその化学合成法に関するものである。
天然に存在するタンパク質の半数以上は、糖鎖が結合した糖タンパク質として存在すると言われている。この糖鎖はタンパク質の構造や物理化学的性質を保持する役割の他に、糖タンパク質が他の生体分子との相互作用の中で、正しくその機能を果たすためのシグナルあるいは機能制御の役割を担っているものと考えられている。糖タンパク質の糖鎖は、主にアスパラギン残基の側鎖アミド上に糖鎖が結合するN−結合型糖鎖と、トレオニンやセリンの側鎖水酸基に糖鎖が結合するO−結合型糖鎖に大別される。後者はアミノ酸水酸基とαグリコシド結合したN−アセチルガラクトサミンを共通とし、さらに生合成過程において、糖残基付加がなされ、大きな糖鎖へと変換されるが、付加する糖残基、結合位置、グリコシド結合様式(立体配置)によって基本分岐構造がコア1−8型に分類される。
O−結合型糖鎖をもつ典型的な糖タンパク質としてムチンが知られている。ムチンは400−1000kDaに及ぶ巨大な分子量をもつ糖タンパク質であり、その大分子量の大半は糖鎖に由来する。タンパク質部分には、8アミノ酸残基からなる繰り返し配列を基本骨格とするMUC5ACをはじめ、169アミノ酸の繰り返しを持つMUC6まで、さまざまな長さの基本構造が知られる。ヒトムチンでは10数種のMUC構造の存在が報告されている。これらの配列には多くのトレオニン残基とセリン残基が含まれており、その大部分に前記O−結合型糖鎖が結合して糖鎖クラスターを呈している。ムチンにおけるこれらの構造は高い親水性を保持するものであることから、粘膜の乾燥からの保護や、病原性微生物からの保護、さらに機械的な損傷からの保護のためにその役割があるものと考えられている。粘膜表面に存在するムチンばかりでなく、例えば乳汁などに分泌されるムチンも、多くは組織や個体の保護を目的として存在しているものと思われている。
一方、ムチンまたはムチン様糖タンパク質が、ガン化や悪性化を生じた細胞から発現される場合、ムチン自身の発現量の変化とともに、その結合している糖鎖構造に大きな変化が現れることが知られている。発現する糖鎖は正常細胞のそれと異なり不完全なものであったり、糖鎖の伸長に関わる糖転移酵素の異常な発現により、長大なN−アセチルラクトサミン繰返し構造が付加したものであったりする。これらは腫瘍マーカーとして免疫学的な診断の基盤となっている。異常糖鎖の発現は診断のみでなく、免疫に着目した療法やワクチンの開発につながるものとして注目されている。クラスター状で存在する糖鎖の構造は均質なものではなく、いくつかのコア構造に属する糖鎖群の混在したものである。
したがって、糖鎖機能を応用する新しい生体制御技術の開発をめざすには、先ず糖鎖構造の定性的および定量的な変化を的確に捉える方法を確立することが必須の要件となる。現在マススペクトルを活用した糖タンパク質の構造解析法が種々研究されている。それにより、糖タンパク質の分子量を知ることができるばかりでなく、糖鎖の構成および結合様式までを明らかにできるようになった。
例えば、コア3型構造を有するO−結合型糖タンパク質の糖鎖は、他のコア構造であるコア1型構造、コア2型構造、コア4型構造を有するO−結合型糖タンパク質の糖鎖などと共存しており、大腸ムチン、胎便ムチン、嚢胞性線維症患者の気管支ムチン、または直腸ガンのムチン様糖タンパク質などから、その誘導体の存在が見出されているが、その生理的な意義はまだ不明である。
前記のような研究を遂行する上で確定した糖鎖構造をもつ、均一なコア3型構造を有する糖タンパク質の安定的な取得は不可欠である。しかしながら、極微量にしか得られない天然の糖タンパク質に、これを求めることは困難である。糖タンパク質の化学合成法は構造解析のための試料を提供するばかりでなく、糖鎖機能を応用するワクチン開発などの技術につながるため、その化学合成法の確立は重要である。そのため、該糖タンパク質の化学合成による取得が大いに期待されている。
ところで、糖タンパク質の固相反応による化学合成においては、糖鎖の水酸基のO−アシル化を回避するために、水酸基を保護しておくことが好ましい。該保護方法として、アセチル基を用いる方法が一般的であるが、1997年にPaulsenにより合成されたコア3型構造を有するO−結合型糖鎖誘導体の場合も、保護基としてアセチル基を使用している(非特許文献1、2)。そのため、該糖鎖誘導体から糖ペプチドを合成する場合には、最終工程の脱アセチル化反応を塩基性条件で行わなければならない。しかし、ナトリウムメトキシドなどを使用する強い塩基性条件下では、アミノ酸部分のラセミ化やトレオニン残基やセリン残基の側鎖から糖鎖がβ脱離するなどの副反応が起きることが懸念される。
また、保護糖鎖形成に、ベンジル化合物とベンジリデン化合物を用いた場合には、糖のグリコキシド結合の化学的安定性を損なわない酸条件下で、それらを除去でき、ペプチド合成に要する側鎖官能基脱保護条件と同調できることが、本発明者らにより明らかにされている(非特許文献3)。
このように、保護基の種類によって、各々一長一短があり、糖ペプチド合成を効率的に行なうには、糖鎖および/または目的の糖ペプチドの種類、構造、特性などに適した保護基の選択が重要である。
J.Chem.Soc., Perkin 1, 1997, 281-293. J.Chem.Soc., Perkin 1, 1997, 2359-2368. Tetrahedron Lett., 1997, 38, 7211-7214
本発明の目的は、多様なムチン型糖鎖構造にあって、新規なコア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を提供することである。また、本発明の第二の目的は、ペプチドの特性と適合して副反応を抑制し、固相法による糖ペプチドの迅速合成が可能な新規なコア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体の化学合成法を提供することである。
第一の本発明は、構造式(1)で表される、ガラクトース残基、N−アセチルガラクトサミン残基およびN−アセチルグルコサミン残基のすべての水酸基が、ベンジル基またはベンジリデン基、もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基またはベンジリデン基で保護され、かつ、トレオニン残基またはセリン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護された、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体、である。
Figure 2007022987

(式中、Bnはベンジル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基を、Acはアセチル基を、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
第二の本発明は、構造式(2)で表される、トレオニン残基またはセリン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護された、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体、である。
Figure 2007022987
(式中、Acはアセチル基を、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
第三の本発明は、[1]構造式(3)で表される、すべての水酸基がベンジル基またはベンジリデン基、もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基またはベンジリデン基で保護され、かつ、N−アセチル基がN−トリクロロアセチル基であるグルコサミン残基の1位がフッ素原子で置換された二糖類と、構造式(4)で表される、アセトアミド基がアジド化され、かつ、トレオニン残基またはセリン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護され、該残基のカルボキシル基がアリル基で保護された単糖アミノ酸誘導体とを縮合反応させて、構造式(5)で表される、トリクロロアセトアミド基およびアジド基を有し、かつ、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成し、
Figure 2007022987

(式(3)中、Bnはベンジル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基を、TCAはトリクロロアセチル基を、Fはフッ素原子を表す。)
(式(4)中、Phはフェニル基もしく4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基を、Nはアジド基を、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2007022987
(式中、Bn、Ph、TCA、N、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
[2]ついで、構造式(5)で表される、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体、を還元してトリクロロアセチル基をアセチル基に、アジド基をアミノ基に変換した後、さらに、そのアミノ基をアセチル化して、構造式(6)で表される、アリル基を有する、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成し、
Figure 2007022987
(式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
[3]ついで、構造式(6)で表される、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘
導体を、脱アリル化して、構造式(1)で表される、ガラクトース残基およびN−アセチ
ルガラクトサミン残基およびN−アセチルグルコサミン残基のすべての水酸基が、ベンジ
ル基またはベンジリデン基、もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ
基を有するベンジル基またはベンジリデン基で保護され、かつ、トレオニン残基またはセ
リン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護された、コア3型構
造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法、である。
Figure 2007022987
(式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
また、第四の本発明は、構造式(1)で表される、該コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を有機溶媒に溶解し、ベンジル基またはベンジリデン基、もしくは、4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基またはベンジリデン基を酸性条件で脱離して、構造式(2)で表される、トレオニン残基またはセリン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護された、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法、である。
Figure 2007022987
(式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
本発明により、天然からの取得が困難な糖鎖構造を持つコア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸を、脱離容易な保護基を有する誘導体として提供することができる。また、糖ペプチドを化学合成する際の、特に最終の保護基の脱離工程における副反応を抑制できる、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を、化学合成する方法を提供できる。よって、該O−結合型糖アミノ酸誘導体を用いて、糖鎖タンパク質の学問的解析や応用面での大きな進展が期待できる。例えば、ペプチド上に展開したり、酵素によってさらに糖鎖の伸長を施すなどの関連分子ライブラリー化への応用が期待できる。
本発明に係る新規物質は、構造式(1)で表される、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体[以下、誘導体(1)、または化合物(1)と略記することがある。その他についても同様に略記することがある。]、および構造式(2)で表される、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体である。該誘導体(1)は、Fmoc法による糖ペプチドの固相合成のためのキー中間体として有用な構造を備えており、糖水酸基の保護基としてベンジル基およびベンジリデン基を用いるところに特徴がある。
これらの保護基は、ペプチド鎖の化学的安定性を損なわない酸性条件で糖のグリコシド結合をも侵すことなく脱離することができる。一方、該誘導体(2)は、該誘導体(1)からFmoc基(9−フルオレニルメトキシカルボニル基を表す。)を除く全ての保護基が除去されたものであって、本糖鎖構造を基質とする糖転移酵素のスクリーニングやその活性度を測るための標準物質として使用できる。Fmoc基は強い紫外線吸収を示すことでクロマトグラフィーによる解析を容易にすることから、該誘導体(2)では脱離せずに残した。他方、糖鎖水酸基を保護せずに行う糖ペプチドの固相合成も開発すべき研究技術であり、その場合には、該誘導体(2)が、ビルディングブロックとして活用されることとなる。
Figure 2007022987
(式中、Bnはベンジル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基を、Acはアセチル基を、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
Figure 2007022987
(式中、Acはアセチル基を、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
誘導体(1)(ただし、Rがメチル基の場合)および誘導体(2)(ただし、Rがメチル基の場合)は、トレオニンの誘導体であり、タンパク質中のトレオニン残基がコア3型構造を有するO−結合型糖鎖によってグリコシル化された糖ペプチド構造を表すものであり、誘導体(1)(ただし、Rが水素原子の場合)および誘導体(2)(ただし、Rが水素原子の場合)は、セリンが同様にグリコシル化されたものに相当する。誘導体(1)および誘導体(2)は、既知化合物(3)〜(4)を出発原料として、以下の3工程または4工程を経て合成される。
工程[1]: 化合物(3)と化合物(4)(ただし、Rがメチル基)を、予め調製したシクロペンタジエニルジルコノセンジクロリドと過塩素酸銀の混合物を縮合促進剤として、ジクロロメタン溶媒中、低温下に縮合反応させると、立体選択的なグリコシド化が進行し、化合物(5)(ただし、Rがメチル基)が主生成物として得られる。同様に、化合物(3)と化合物(4)(ただし、Rが水素原子)を反応させると、化合物(5)(ただし、Rが水素原子)が得られる。なお、化合物(5)は新規化合物である。
縮合促進剤としては、ビスシクロペンタジエニルジルコノセンジクロリドまたはビスシクロペンタジエニルハフノセンジクロリドなども使用することができる。また、該化合物とともに使用される過塩素酸銀の代わりに、トリフルオロメタンスルホン酸銀、トリフルオロメタンスルホン酸第一スズを使用してもよい。
縮合反応は−20〜0℃程度の低温で行うと、副反応が少ない。
反応溶媒は、化合物(3)および化合物(4)を溶解するものであれば、特に限定されないが、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジエチルエーテル、トルエン、アセトニトリルなどが好適である。
縮合反応生成物をろ過し、ろ液を濃縮し、抽出により、化合物(5)を精製分離する。
Figure 2007022987
[式(3)中、Bnはベンジル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基または4位に炭素数1〜4のアルキル基もしくはアルコキシ基を有するフェニル基を、TCAはトリクロロアセチル基を、Fはフッ素原子を表す。]
[式(4)中、Phはフェニル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基を、Nはアジド基を、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。]
Figure 2007022987
(式中、Bn、Ph、TCA、N、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
[工程2] 化合物(5)(ただし、Rがメチル基)は、ジクロロメタン溶媒中で、亜鉛末と酢酸の存在下で攪拌されると、トリクロロアセチル基がアセチル基に、アジド基がアミノ基に還元される。還元反応生成物を精製することなく、引き続き、無水酢酸とピリジンの存在下で反応させると、アミノ基はアセチル化され、化合物(6)(ただし、Rがメチル基)を得る。同様に、化合物(5)(ただし、Rが水素原子)からは、化合物(6)(ただし、Rが水素原子)が得られる。
還元剤は化合物(5)の種類に応じて、適宜選択して使用される。
還元反応は0〜20℃程度の温度で行うと、副反応が少ない。
還元反応溶媒は、化合物(5)を溶解するものであれば、特に限定されないが、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどが好適である。
アセチル化剤としては塩化アセチル、アセチルイミダゾールなども使用することができる。
アセチル化反応は0〜20℃程度の温度で行うと、副反応が少ない。
アセチル化反応溶媒は、前記化合物を溶解するものであれば、特に限定されないが、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが好適である。
アセチル化反応生成物は、その後ろ過し、ろ液を濃縮し、抽出操作を施すことによって、化合物(6)を精製分離する。
Figure 2007022987
(式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
[工程3] 化合物(6)(ただし、Rがメチル基)は、テトラヒドロフラン中、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムを触媒として、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(略名ジメドン)の存在下に、脱アリル化反応を行うことで、化合物(1)(ただし、Rがメチル基)が得られる。同様にして、化合物(6)(ただし、Rが水素原子)からは、化合物(1)(ただし、Rが水素原子)が得られる。
脱アリル化触媒としては前記テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムとN−メチルアニリンとの組合せも好適である。
脱アリル化反応は0〜20℃程度の温度で行うと、副反応が少ない。
脱アリル化反応溶媒は、前記化合物を溶解するものであれば、特に限定されないが、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが好適である。
脱アリル化反応生成物を、濃縮、ろ過し、ろ過残渣を精製し、溶剤抽出により、化合物(1)を得る。
[工程4] 化合物(1)(ただし、Rがメチル基)は、ジメチルスルフィド、m−クレゾール、1,2−エタンジチオール、トリフルオロ酢酸の混合液に溶解し、低温下でトリフルオロメタンスルホン酸を加えて、反応させることで、ベンジル基およびベンジリデン基が効率的に脱離され、生成物を逆相クロマトグラフィーによって精製すると化合物(2)(ただし、Rがメチル基)が得られる。同様な操作によって、化合物(1)(ただし、Rが水素原子)からは化合物(2)(ただし、Rが水素原子)が得られる。
該脱離反応の条件は、化合物(1)の種類などに応じて、変更する必要があるので、条件の一部を下記する。したがって、下記条件に限定されるものではない。
ベンジル基およびベンジリデン基の脱離剤としては、トリフルオロメタンスルホン酸の代わりにトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリルなども使用することができる。
該脱離化反応は−15〜0℃程度の温度で行うと、副反応が少ない。
該脱離化反応溶媒は、化合物(1)を溶解するものであれば、特に限定されない。
該脱離化反応生成物を中和し、分離した沈殿を、精製して、化合物(1)が抽出分離される。
本保護基の脱離法に代わるものとして、パラジウム触媒を用いる接触還元法が考えられるが、接触還元法はしばしばFmoc基の脱離を伴うことがある。さらに、糖ペプチドへと誘導した場合には、含まれるアミノ酸残基の種類によっては、接触還元法が使用できない。前記の希釈トリフルオロメタンスルホン酸の条件は、ペプチドの構造を損なうことがないため、ベンジル基を除去する好ましい方法である。
本発明のコア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体(1)および(2)やその他のコア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体の構造は、質量分析および核磁気共鳴分光法により決定される。また、化合物の性状は、比旋光度およびRf値によって特徴づけられる。
以下、本発明を実施例により、詳細に説明する。もとより、本発明は、本実施例に限定されるものではない。なお、実施例において、成分組成、濃度、収率の百分率は質量基準である。
(実施例1)
<工程[1]: 構造式(5)で表される化合物[本実施例1においては、式(4)〜式(6)および式(1)〜式(2)で表される化合物のRはすべてメチル基であることから、以下では、(Rがメチル基)の表記を省略する。]の合成: N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2.3-ジ-O-ベンジル-4.6-O-ベンジリデン-b-D-ガラクトピラノシル-(1(R)4)-3.6-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-2-トリクロロアセトアミド- b-D-グルコピラノシル-(1(R)3)-2-アジド-4.6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-a-D-ガラクトピラノシル-L-トレオニン アリルエステルの合成>
予め減圧下で加熱乾燥した粉末モレキュラーシーヴス4A(700mg)、ビスシクロペンタジエニルジルコノセンジクロリド(81mg)、過塩素酸銀(115mg)を褐色フラスコ中アルゴン気流下−15℃に冷却し、ジクロロメタン(7ml)を加えて30分間撹拌した。ここに構造式(3)で表される化合物(130mg)と構造式(4)で表される化合物(130mg)の混合物をジクロロメタン(7ml)に溶解して加えた。反応液を−15℃で2時間撹拌した後、過剰の飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を止め、クロロホルムで希釈した後に、セライト上でろ過をした。ろ液の有機層を集めて分液ロートに移し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮して得られた粗生成物を「バイオビーズSX3」を用いたゲルろ過を行い、トルエン−酢酸エチル(1:1)混合溶媒で溶出して、生成物である構造式(5)で表される化合物と未反応の構造式(4)で表される化合物および副生物とを分離し、生成物画分はシリカゲルクロマトグラフィーによりさらに精製した。トルエン−酢酸エチル(7:3)で溶出して構造式(5)で表される化合物(191mg、 収率92%)を得た。
<構造式(5)で表される化合物の性状>
[a]D +66.9° (c 1, クロロホルム)
1H-NMR (CDCl3): d 7.76 (brd, 2H, J = 7.6 Hz, Ar), 7.64 (brd, 2H, J= 7.1 Hz, Ar), 7.48-7.11 (m, 35H, Ar, -NH), 5.91 (m, 1H, -CH2CH=CH2), 5.74 (d, 1H, J = 9.5 Hz, -NH), 5.45 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.42 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.39 (d, 1H, J= 9.4 Hz, H-1b), 5.37 (dd, 1H, J = 1.2, 17.4 Hz, -CH=CH2), 5.29 (d, 1H, J = 10.4 Hz, -CH2Ph), 5.27 (dd, 1H, J = 0.8, 10.2 Hz, -CH=CH2), 5.01 (d, 1H, J = 3.4 Hz, H-1a), 4.45 (d, 1H, J = 7.8 Hz, H-1c), 1.30 (d, 3H, J = 6.4 Hz, Thr-bH);
13C-NMR (CDCl3): d 92.3(-COCCl3), 99.2 (GalN3 C-1), 99.3 (GlcNTCA C-1), 100.4 [PhCH(O)2], 101.2 [PhCH(O)2], 102.9 (Gal C-1).
MALDI TOF MS: calcd for C84H84N5O19Cl31572.48 found; 1595.38 (+Na), 1611.35 (+K).
元素分析Calcd for C84H84N5O19Cl3: C, 64.10; H, 5.38; N, 4.45; Cl, 6.76. Found: C, 64.39; H, 5.44; N, 4.22; Cl, 7.05.
以上の測定結果から、構造式(5)で表される化合物であることが同定された。
<工程[2]: 構造式(6)で表される化合物の合成: N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2.3-ジ-O-ベンジル-4.6-O-ベンジリデン-b-D-ガラクトピラノシル-(1(R)4)-2-アセトアミド-3.6-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ- b-D-グルコピラノシル-(1(R)3)-2-アセトアミド-4.6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-a-D-ガラクトピラノシル-L-トレオニン アリルエステルの合成>
構造式(5)で表される化合物(140mg)のジクロロメタン(10ml)溶液に室温で撹拌しつつ酢酸(0.5ml)と亜鉛末(0.5g)を2時間おきに5回添加した。薄層クロマトグラフィー上で生成物が一点に収束したところで撹拌を止め、セライトを通して反応混合物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をジクロロメタン(25ml)に溶解し、ピリジン(71 ml)、無水酢酸(45 ml)を加え30分間撹拌した。反応液を分液ロートに移し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮して得られた粗生成物を「セファデックスLH−60」を用いたゲルろ過により精製した。クロロホルム−メタノール(3:1)混合溶媒で溶出して、構造式(6)で表される化合物(120mg、 收率91%)を得た。
<構造式(6)で表される化合物の性状>
[a]D +59.2° (c 1, クロロホルム)
1H-NMR (DMSO-d6): d 7.88 (m, 2H, Ar), 7.71 (m, 2H, Ar), 7.45-7.17 (m, 34H, Ar,), 5.87 (m, 1H, -CH2CH=CH2), 5.64 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.46 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.32 (dd, 1H, J = 1.5, 17.3 Hz, -CH=CH2), 5.22 (dd, 1H, J = 1.2, 10.5 Hz, -CH=CH2), 4.88 (d, 1H, J = 8.3 Hz, H-1b), 4.70 (br, 1H, H-1a), 1.84 (s, 3H, Ac), 1.75 (s, 3H, Ac),1.10 (d, 3H, J = 6.4 Hz, Thr-bH);
13C-NMR (CDCl3): d 99.7 (GalNAc C-1), 100.9 (GlcNAc C-1), 101.1 [PhCH(O)2], 103.2 (Gal C-1).
MALDI TOF MS: calcd for C86H91N3O20 1485.62 found; 1508.62 (+Na), 1525.56 (+K).
元素分析 Calcd for C86H91N3O20: C, 69.48; H, 6.17; N, 2.83. Found: C, 69.39; H, 6.50; N, 2.58.
以上の測定結果から、構造式(6)で表される化合物であることが同定された。
<工程[3]: 構造式(1)で表される化合物の合成: N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2.3-ジ-O-ベンジル-4.6-O-ベンジリデン-b-D-ガラクトピラノシル-(1(R)4)-2-アセトアミド-3.6-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ- b-D-グルコピラノシル-(1(R)3)-2-アセトアミド-4.6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-a-D-ガラクトピラノシル-L-トレオニンの合成>
構造式(6)で表される化合物(85mg)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(5mg)、 5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(154mg)のテトラヒドロフラン(15ml)溶液をアルゴン気流下、室温で15分間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。酢酸(1%)を含むクロロホルム−エタノール(15:1)混合溶媒で溶出して生成物を得た。これはさらに「セファデックスLH−60」を用いたゲルろ過により精製した。クロロホルム−メタノール(3:1)混合溶媒で溶出して構造式(1)で表される化合物 (81mg、 收率98%)を得た。
<構造式(1)で表される化合物の性状>
[a]D +59.0° (c 1, クロロホルム)
1H-NMR (DMSO-d6, 50 °C): d 5.61 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.45 [s, 1H, PhCH(O)2], 4.89 (d, 1H, J = 8.1 Hz, H-1b), 4.78 (br, 1H, H-1a), 4.55 (d, 1H, J = 7.6 Hz, H-1c), 4.26 (m, 1H, Thr-aH), 1.85 (s, 3H, Ac), 1.74 (s, 3H, Ac),1.12 (d, 3H, J = 6.1 Hz, Thr-bH);
13C-NMR (CDCl3): d 100.5 (GalNAc C-1), 101.0 [PhCH(O)2, GlcNAc C-1], 103.2 (Gal C-1) .
MALDI TOF MS: calcd for C83H87N3O20 1445.59; found; 1468.52 (+Na), 1484.47 (+K).
元素分析 Calcd for C83H87N3O20: C, 68.91; H, 6.06; N, 2.90. Found: C, 68.71; H, 6.22; N, 2,75.
以上の測定結果から、構造式(1)で表される化合物であることが同定された。
<工程[4]: 構造式(2)で表される化合物の合成: N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[b-D-ガラクトピラノシル-(1(R)4)-2-アセトアミド-2-デオキシ- b-D-グルコピラノシル-(1(R)3)-2-アセトアミド-2-デオキシ-a-D-ガラクトピラノシル-L-トレオニンの合成>
構造式(1)で表される化合物(30mg)をジメチルスルフィド(90 ml)、m−クレゾール(24 ml)、1,2−エタンジチオール(6 ml)、トリフルオロ酢酸(150 ml)の混合液に溶解して−15℃で10分間撹拌冷却した。次にトリフルオロメタンスルホン酸(30 ml)を加えて2時間撹拌した。反応混合物に−80℃に冷却したピリジン−エーテル(1:5.1 ml)を加えて中和し、遠心分離して不溶物を沈澱させ上澄液と分離した。沈澱をエーテル(1ml)で2回洗浄と遠心分離を繰り返し、沈澱を風乾した。これを20%アセトニトリル水溶液に溶かし、「ODCシリカゲル」のカラムを用いて逆相HPLCで精製した。0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル(20-50%/30分)で溶出し、構造式(2)で表される化合物(14mg、収率73%)を得た。
<構造式(2)で表される化合物の性状>
高分解能 MS: calcd for C41H54N3O20 908.33006 found; 908.33001.
以上の測定結果から、構造式(1)で表される化合物であることが同定された。
(実施例2)
<工程[1]: 構造式(5)で表される化合物[本実施例2において、式(4)〜式(6)および式(1)〜式(2)のRはすべて水素原子であるので、以下では表記を省略する。]の合成: N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2.3-ジ-O-ベンジル-4.6-O-ベンジリデン-b-D-ガラクトピラノシル-(1(R)4)-3.6-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ-2-トリクロロアセトアミド- b-D-グルコピラノシル-(1(R)3)-2-アジド-4.6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-a-D-ガラクトピラノシル-L-セリン アリルエステルの合成>
実施例1の構造式(5)で表される化合物(ただし、Rがメチル基)の合成法に倣い、同一条件のもと、構造式(3)で表される化合物(135mg)と構造式(4)で表される化合物(120mg)を用いてグリコシル化反応を行った。粗生成物をクロマトグラフィーによって精製し、構造式(5)で表される化合物(218mg、 收率97%)を得た。
<構造式(5)で表される化合物の性状>
[a]D +68.0° (c 1.1, クロロホルム)
1H-NMR (CDCl3): d 7.75 (brd, 2H, J = 7.6 Hz, Ar), 7.61 (brd, 2H, J= 7.3 Hz, Ar), 7.49-7.11 (m, 35H, Ar, -NH), 5.95-5.84 (m, 2H, -CH2CH=CH2, -NH), 5.45 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.35 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.36-5.24 (m, 4H, H-1b, -CH=CH2, -CH2Ph), 4.93 (d, 1H, J = 3.0 Hz, H-1a), 4.87 (d, 1H, J = 11.2 Hz, -CH2Ph), 4.81 (d, 1H, J= 11.2 Hz, -CH2Ph), 4.73 (brs, 2H, -CH2Ph), 4.68 (brd, 2H, J = 5.8 Hz, -CH2CH=CH2), 4.62 (d, 1H, J = 10.5 Hz, -CH2Ph), 4.54 (m, 1H, Ser-aH), 4.46 (d, 1H, J= 7.8 Hz, H-1c);
13C-NMR (CDCl3): d92.3(-COCCl3), 99.6 (GalN3C-1), 99.8 (GlcNTCA C-1), 100.4 [PhCH(O)2], 101.3 [PhCH(O)2], 102.9 (Gal C-1).
MALDI TOF MS: calcd for C83H82N5O19Cl31557.47 found; 1580,18 (+Na), 1596.17 (+K).
元素分析Calcd for C83H82N5O19 Cl3: C, 63.91; H, 5.30; N, 4.49; Cl, 6.82. Found: C, 63.91; H, 5.07; N, 4.25; Cl, 6.81.
以上の測定結果から、構造式(5)で表される化合物であることが同定された。
<工程[2]: 構造式(6)で表される化合物の合成: N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2.3-ジ-O-ベンジル-4.6-O-ベンジリデン-b-D-ガラクトピラノシル-(1(R)4)-2-アセトアミド-3.6-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ- b-D-グルコピラノシル-(1(R)3)-2-アセトアミド-4.6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-a-D-ガラクトピラノシル-L-セリン アリルエステルの合成>
構造式(5)で表される化合物(160mg)を用い、実施例1の構造式(6)で表される化合物(ただし、Rがメチル基)の合成法に倣い、亜鉛末と酢酸によるトリクロロアセチル基の脱クロル化およびアジド基のアミノ基への変換をした後、アセチル化して構造式(6)で表される化合物(136mg、 收率90%)を得た。
<構造式(6)で表される化合物の性状>
[a]D + 58.2° (c 1.3, クロロホルム)
1H-NMR (CDCl3): d 6.18-6.09 (m, 3H, 3 -NH), 5.88 (m, 1H, -CH2CH=CH2), 5.44 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.41 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.33 (brd, 1H, J = 17.3 Hz, -CH=CH2), 5.27 (brd, 1H, J = 10.5 Hz, -CH=CH2), 5.18 (brd, 1H, J= 6.1 Hz, H-1b), 5.13 (brs, 1H, H-1a), 5.04 (d, 1H, J = 11.4 Hz, -CH2Ph), 4.84 (d, 1H, J = 11.0 Hz, -CH2Ph), 4.80 (d, 1H, J = 11.0 Hz, -CH2Ph), 4.72 (brs, 2H, -CH2Ph), 4.65-4.63 (m, 3H, -CH2Ph, -CH2CH=CH2), 4.43 (d, 1H, J = 7.3 Hz, H-1c), 3.58 (brs, 1H, H-5a), 3.45 (dd, 1H, J = 3.2, 9.5 Hz, H-3c), 3.37 (m, 1H, H-2b), 3.05 (brs, 1H, H-5c), 1.96 (s, 3H, Ac), 1.78 (s, 3H, Ac).
13C-NMR (CDCl3): d 99.6 (GalNAc C-1), 100.7 [PhCH(O)2], 101.1 [GlcNAc C-1, PhCH(O)2], 103.2 (Gal C-1).
MALDI TOF MS: calcd for C85H89N3O20 1471.60 found; 1494.34 (+Na), 1510.34 (+K).
元素分析 Calcd for C85H89N3O20: C, 69.33; H, 6.09; N, 2.85. Found: C, 69.32; H, 5.94; N, 2.70.
以上の測定結果から、構造式(6)で表される化合物であることが同定された。
<工程[3]: 構造式(1)で表される化合物の合成: N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[2.3-ジ-O-ベンジル-4.6-O-ベンジリデン-b-D-ガラクトピラノシル-(1(R)4)-2-アセトアミド-3.6-ジ-O-ベンジル-2-デオキシ- b-D-グルコピラノシル-(1(R)3)-2-アセトアミド-4.6-O-ベンジリデン-2-デオキシ-a-D-ガラクトピラノシル-L-セリンの合成>
実施例1の構造式(1)で表される化合物(ただし、Rがメチル基)の合成法に倣い、構造式(6)で表される化合物(127mg)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(5mg)、 5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン(240mg)をテトラヒドロフラン(12ml)中で1時間反応した。減圧下濃縮して残渣をシリカゲルでカラムクロマトグラフィーにて精製した。まずクロロホルム−メタノール(95:5)混合溶媒で副生成物および過剰の5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオンを溶出し、続いてクロロホルム−メタノール−酢酸(95:5:1)混合溶媒を用いて、構造式(1)で表される化合物(112mg、 收率91%)を得た。
<構造式(1)で表される化合物の性状>
[a]D +69.8° (c 0.9, クロロホルム)
1H-NMR (DMSO-d6): d 5.64 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.41 [s, 1H, PhCH(O)2], 5.04 (d, 1H, J = 11.0 Hz, -CH2Ph), 4.80-4.70 (m, 5H, H-1b, H-1a, 3 x -CH2Ph), 4.61 (d, 1H, J = 12.2 Hz, -CH2Ph), 4.55-4.52 (m, 2H, H-1c, -CH2Ph), 1.82 (s, 3H, Ac), 1.75 (s, 3H, Ac);
13C-NMR (CDCl3): d 100.4 (GalNAc C-1), 101.1 [PhCH(O)2, GlcNAc C-1], 103.2 (Gal C-1).
MALDI TOF MS: calcd for C82H85N3O20 1431.57; found; 1454.63 (+Na), 1470.61 (+K).
元素分析 Calcd for C82H85N3O20・0.5H2O: C, 68.32; H, 6.01; N, 2.91. Found: C, 68.14; H, 5.74; N, 2,79.
以上の測定結果から、構造式(1)で表される化合物であることが同定された。
<[工程4]: 構造式(2)で表される化合物の合成: N-(9-フルオレニルメトキシカルボニル)-O-[b-D-ガラクトピラノシル-(1(R)4)-2-アセトアミド-2-デオキシ- b-D-グルコピラノシル-(1(R)3)-2-アセトアミド-2-デオキシ-a-D-ガラクトピラノシル-L-セリンの合成>
実施例1の構造式(2)で表される化合物(ただし、Rがメチル基)の合成に倣い、構造式(1)で表される化合物(12mg)をジメチルスルフィド(72 ml)、m−クレゾール(19.2 ml)、1,2−エタンジチオール(4.8ml)、トリフルオロ酢酸(120 ml)と混合し、−15℃に冷却した後に、トリフルオロメタンスルホン酸(40 ml)を加えて1時間脱ベンジル反応を行った。ピリジンを含むエーテルを用いて粗生成物を沈殿させ、これを逆相HPLCで精製して、構造式(2)で表される化合物(6mg、収率90%)を得た。
<構造式(2)で表される化合物の性状>
高分解能 MS: calcd for C40H52N3O20 894.30318 found; 894.30753.
以上の測定結果から、構造式(2)で表される化合物であることが同定された。

Claims (4)

  1. 構造式(1)で表される、ガラクトース残基、N−アセチルガラクトサミン残基およびN−アセチルグルコサミン残基のすべての水酸基が、ベンジル基またはベンジリデン基、もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基またはベンジリデン基で保護され、かつ、トレオニン残基またはセリン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護された、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体。
    Figure 2007022987

    (式中、Bnはベンジル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基を、Acはアセチル基を、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
  2. 構造式(2)で表される、トレオニン残基またはセリン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護された、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体。
    Figure 2007022987

    (式中、Acはアセチル基を、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。)
  3. [1]構造式(3)で表される、すべての水酸基がベンジル基またはベンジリデン基、もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基またはベンジリデン基で保護され、かつ、N−アセチル基がN−トリクロロアセチル基であるグルコサミン残基の1位がフッ素原子で置換された二糖類と、構造式(4)で表される、アセトアミド基がアジド化され、かつ、トレオニン残基またはセリン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護され、該残基のカルボキシル基がアリル基で保護された単糖アミノ酸誘導体とを縮合反応させて、構造式(5)で表される、トリクロロアセトアミド基およびアジド基を有し、かつ、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成し、
    Figure 2007022987

    [式(3)中、Bnはベンジル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基を、Phはフェニル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基を、TCAはトリクロロアセチル基を、Fはフッ素原子を表す。]
    [式(4)中、Phはフェニル基もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するフェニル基を、Nはアジド基を、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニル基を、Allはアリル基を、Rは水素原子またはメチル基を表す。]
    Figure 2007022987

    (式中、Bn、Ph、TCA、N、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
    [2]ついで、構造式(5)で表される、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体、を還元してトリクロロアセチル基をアセチル基に、アジド基をアミノ基に変換した後、さらに、そのアミノ基をアセチル化して、構造式(6)で表される、アリル基を有する、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成し、
    Figure 2007022987

    (式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
    [3]ついで、構造式(6)で表される、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘
    導体を、脱アリル化して、構造式(1)で表される、ガラクトース残基およびN−アセチ
    ルガラクトサミン残基およびN−アセチルグルコサミン残基のすべての水酸基が、ベンジ
    ル基またはベンジリデン基、もしくは4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ
    基を有するベンジル基またはベンジリデン基で保護され、かつ、トレオニン残基またはセ
    リン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護された、コア3型構
    造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法。
    Figure 2007022987

    (式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
  4. 構造式(1)で表される、該コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を有機溶媒に溶解し、ベンジル基またはベンジリデン基、もしくは、4位に炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を有するベンジル基またはベンジリデン基を酸性条件で脱離して、構造式(2)で表される、トレオニン残基またはセリン残基のアミノ基が9−フルオレニルメトキシカルボニル基で保護された、コア3型構造を有するO−結合型糖アミノ酸誘導体を合成する方法。
    Figure 2007022987

    (式中、Bn、Ph、Ac、Fmoc、AllおよびRは前記と同じ意味である。)
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WO2010027108A1 (ja) * 2008-09-08 2010-03-11 国立大学法人東京工業大学 蛍光性糖誘導体化合物及びそれを用いるセンサー

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