JP2006188376A - 多結晶原料のリチャージ冶具および多結晶原料のリチャージ方法 - Google Patents

多結晶原料のリチャージ冶具および多結晶原料のリチャージ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】多結晶原料の追加供給(リチャージ)を安全かつ迅速に行うことができ、リチャージ溶融中に石英ルツボにダメージを与えることもなく、シリコン単結晶の生産性、歩留りを向上することができる、多結晶原料のリチャージ冶具および多結晶原料のリチャージ方法を提供する。
【解決手段】チョクラルスキー法による単結晶の製造においてロッド状の多結晶原料を溶融する際に用いるリチャージ冶具であって、少なくとも、該ロッド状多結晶原料を支持する底体2と、該底体2の上部に連結する支持体1と、該支持体1に取り付けられた吊下げ部材3とからなり、前記ロッド状多結晶原料を装填し、前記吊下げ部材3で吊り下げられて単結晶製造装置内に導入され、石英ルツボ内の原料融液中に前記ロッド状多結晶原料とともに浸漬しながら、前記ロッド状多結晶原料を溶融するものであることを特徴とする多結晶原料のリチャージ冶具。
【選択図】 図1

Description

本発明は、チョクラルスキー法による単結晶製造装置の原料融液を有するルツボ内に、ロッド状(棒状)の多結晶原料を溶融して、多結晶原料をリチャージする方法およびこれに用いるリチャージ冶具に関する。
近年、半導体集積回路が世界的に波及し、かつその需要が増大するに伴い、半導体集積回路の基板として使用されるシリコン単結晶ウェーハは、高品質のものが大量かつ安定的に要求されるに至った。シリコン単結晶ウェーハは、例えばチョクラルスキー法(CZ法)によりシリコン単結晶を引上げて製造される。CZ法では、まず石英ルツボ内に原料の多結晶シリコン(多結晶原料)を充填し、石英ルツボを黒鉛ルツボで保持して、その外周にあるヒーターで加熱し、多結晶原料を溶融させる。次いで、種結晶を原料融液に浸して、絞り部を形成するかまたは無転位種付け法により無転位化した後、所望の直径と結晶品質を有する単結晶を育成する。
このCZ法において、シリコン単結晶の製造コストを低減するために、シリコン単結晶引上げに伴うルツボ内のシリコン融液の減少分を供給すべく、供給管を設けてルツボ内へ粒状の多結晶原料(粒状原料)を、原料融液の減少量に応じて供給する装置が知られている。この装置の一つとして、シリコン単結晶成長中のルツボ内の原料融液面に、連続的に粒状原料を供給しながら単結晶を成長させる、いわゆる連続チャージ(CCCZ)法があり、原理的には、単結晶の歩留りを著しく向上させて、その製造コストを大幅に低減できる。なお、多結晶原料を追加充填することをリチャージと称する。
しかし、この方法では、シリコン単結晶成長量(通常は0.3g/秒〜1.0g/秒程度)と同量の粒状原料を少量づつ、ゆっくりと供給しなければならないが、ルツボ内への供給時に原料融液が飛び跳ねたり、または湯面振動を起こしたりなどの問題が発生することが多い。このため、シリコン単結晶成長途中でシリコン単結晶が有転位化してしまうことで、シリコン単結晶の成長続行ができなくなり、製造コストの低減ができないことがしばしば起こる。これを防止するために供給管の先端を絞り込んで供給速度をある程度抑制している。これにより供給速度が制限されて粒状原料の供給時間が長くなりすぎるという不都合があった。
この問題を解決するため、粒状原料の連続供給によってシリコン単結晶の成長が阻害されるのを防止するために二重構造のルツボを使用することがあるが、シリコン単結晶の界面が内側ルツボに接近しているので低酸素化できないという欠点があり、さらに構造が複雑となってルツボのコストが高くなり、操業性も悪化するという問題があった。
また、従来のバッチ式で原料追加を行う方法として、マルチプーリング(あるいはリチャージ引上げ(RCCZ)法が知られている(非特許文献1参照)。この方法は、抵抗規格を満足する範囲のドーパント濃度を持つシリコン単結晶を引上げた後、引上げ重量分の棒(ロッド)状の多結晶原料(以下、ロッド状多結晶原料と称す)を吊下げて石英ルツボ内に残余している原料融液に浸しながら、徐々に溶融させて追加充填し、再度、同様のシリコン単結晶の引上げを繰り返すことで、一度しか使用できない石英ルツボから複数本のシリコン単結晶を製造し、製造歩留りを向上させると共に、石英ルツボのコストを低減させようとするものである。
具体的な方法として、特許文献1には、ロッド状多結晶原料を吊下げるためのリチャージ装置が開示されている。しかしながら、このようにロッド状多結晶原料を吊下げる方法では、ロッド状多結晶原料に微小クラック等が入っていた場合、ロッド状多結晶原料の溶融中に微小クラックの発生位置から破損して落下するとういう問題があった。このようなロッド状多結晶原料の落下は原料溶融の飛び跳ねによって単結晶化を阻害するという問題ばかりでなく、石英ルツボを破損し湯漏れを発生させるという危険もあった。
一方、このリチャージ法として、シリコン単結晶を引上げた後、ルツボ内に残存したシリコン融液の表面を一度固化させた後、その表面に、リチャージ管により原料をルツボ内にリチャージする方法が開示されている(特許文献2参照)。この方法では原料融液表面を固化させる際、固化の進行状況によっては石英ルツボにダメージを与えて内壁の石英を剥離させてしまい、剥離した石英屑が成長中のシリコン単結晶に付着し、シリコン単結晶に転位が発生して多結晶化してしまうという問題があった。また、一旦原料融液の表面を固化させた後に溶融するのでリチャージに時間がかかるという問題もある。
特公平6−31193号公報 国際公開第WO2002/068732号パンフレット Fumio Shimura,Semiconductor Silicon Crystal Tecnology,p178−p179,1989
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、多結晶原料の追加供給(リチャージ)を安全に行うことができ、リチャージ溶融中に石英ルツボにダメージを与えることもなく、短時間で溶融することができ、シリコン単結晶の生産性、歩留りを向上することができる、多結晶原料のリチャージ冶具および多結晶原料のリチャージ方法を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明によれば、チョクラルスキー法による単結晶の製造においてロッド状の多結晶原料を溶融する際に用いるリチャージ冶具であって、少なくとも、該ロッド状多結晶原料を支持する底体と、該底体の上部に連結する支持体と、該支持体に取り付けられた吊下げ部材とからなり、前記ロッド状多結晶原料を装填し、前記吊下げ部材で吊り下げられて単結晶製造装置内に導入され、石英ルツボ内の原料融液中に前記ロッド状多結晶原料とともに浸漬しながら、前記ロッド状多結晶原料を溶融するものであることを特徴とする多結晶原料のリチャージ冶具が提供される(請求項1)。
このように、前記底体と前記支持体と前記吊り下げ部材とからなるリチャージ冶具であって、前記ロッド状多結晶原料を装填し、前記吊下げ部材で吊り下げられて単結晶製造装置内に導入され、石英ルツボ内の原料融液中に前記ロッド状多結晶原料とともに浸漬しながら、前記ロッド状多結晶原料を溶融するものであれば、ロッド状多結晶原料に微小クラックが入っていたとしても、ロッド状多結晶原料の下端部を支えながら溶融することができるので、溶融中にロッド状多結晶原料が落下するのを防止することができる。また、多結晶原料のリチャージを安全に行うことができる。また、リチャージ溶融中のロッド状多結晶原料の落下によって、原料溶融が飛び跳ねることにより単結晶化が阻害されたり、石英ルツボが破損して液漏れが発生するという心配もない。さらに、ロッド状多結晶原料を原料融液に浸漬しながら溶融するので、リチャージ溶融中に、原料融液が固化しすぎることがないので、それによる石英ルツボへのダメージもなく、石英ルツボから剥離した石英屑が成長中のシリコン単結晶に付着してシリコン単結晶に転位が発生して多結晶化してしまうという心配もない。また、融液を固化させないので、ロッド状多結晶原料をすばやく溶融でき、短時間でリチャージを行うことができる。
このとき、前記支持体は、少なくとも、連結する前記底体の上部において垂直方向に伸びる複数の支柱と、該複数の支柱を相互に連結するとともに前記装填されるロッド状多結晶原料を囲むように配設された1本以上の支持部材とからなるものであることが好ましい(請求項2)。
これにより、リチャージ溶融中にロッド状多結晶原料が倒れないように支持することができる。このとき、前記複数の支柱は、溶融中にロッド状多結晶原料が倒れるの確実に防ぐため3本以上とするのがより好ましく、製造コストを小さくするため6本以下とするのが好ましい。
また、前記リチャージ冶具は、前記装填されるロッド状多結晶原料の直径より10〜40mm大きい内径を有するものであることが好ましい(請求項3)。
このように、前記リチャージ冶具は、前記装填されるロッド状多結晶原料の直径より10〜40mm大きい内径を有することにより、ロッド状多結晶原料を装填したリチャージ冶具を下降させる際にバランスを失ってロッド状多結晶原料がリチャージ冶具の支持体に当たったとしても、ロッド状多結晶原料とリチャージ冶具の内径の間隔が40mm以下と小さいため、衝撃を小さく抑えることができ、リチャージ冶具の破損を防止することができる。なお、ロッド状多結晶原料とリチャージ冶具の内径の間隔は10mm以上であるため、ロッド状多結晶原料のリチャージ冶具への装填を円滑に行うことが可能である。
さらに、前記リチャージ冶具は、石英製であることが好ましい(請求項4)。
このように、リチャージ冶具を石英製にすれば純度を高く保つことができるので、ロッド状多結晶原料と共に原料融液に浸漬したとしても原料融液への不純物汚染を抑えることができる。
また、前記底体が、前記支持体から取り外し可能なものであることが好ましい(請求項5)。
リチャージ冶具のうち原料融液に浸漬する部分は消耗するため、リチャージ冶具のうち底体のみを原料融液に浸漬する部分として、支持体から取り外し可能な構造とすれば、消耗する底体のみの交換で消耗部分の交換がすみ、リチャージ冶具のコストを低減することができる。
さらに、本発明によれば、前記リチャージ冶具を用いて、多結晶原料のリチャージを行うことを特徴とする多結晶原料のリチャージ方法が提供される(請求項6)。
このように、本発明によれば、前記リチャージ冶具を用いて、多結晶原料のリチャージを行う多結晶原料のリチャージ方法が提供され、これにより、ロッド状の多結晶原料のリチャージを安全かつ短時間で行うことができ、リチャージ溶融中に石英ルツボにダメージを与えることもない。
また、本発明によれば、チョクラルスキー法による単結晶の製造においてロッド状の多結晶原料を溶融するリチャージ方法であって、少なくとも、前記ロッド状多結晶原料を支持する底体と、該底体の上部に連結する支持体と、該支持体に取り付けられた吊下げ部材とからなるリチャージ冶具を用い、該リチャージ冶具に前記ロッド状多結晶原料を装填し、前記吊下げ部材で吊り下げて単結晶製造装置内に導入し、石英ルツボ内の原料融液中に前記リチャージ冶具の少なくとも底体を前記ロッド状多結晶原料とともに浸漬させながら、前記ロッド状多結晶原料を溶融することを特徴とする多結晶原料のリチャージ方法が提供される(請求項7)。
これにより、ロッド状の多結晶原料のリチャージを安全かつ短時間で行うことができ、リチャージ溶融中に石英ルツボにダメージを与えることもない。さらに、リチャージ冶具のうち底体のみを原料融液に浸漬する部分とすれば、消耗する底体のみの交換で消耗部分の交換がすみ、リチャージ冶具のコストを低減することができる。
このとき、装填する前記ロッド状多結晶原料は、直径が支持体の内径より10〜40mm小さいものを用いることが好ましい(請求項8)。
このように、装填する前記ロッド状多結晶原料は、直径が支持体の内径より40mm以下に小さいものを用いることにより、ロッド状多結晶原料を装填したリチャージ冶具を下降させる際にバランスを失ってロッド状多結晶原料がリチャージ冶具の支持体に当たったとしても、ロッド状多結晶原料とリチャージ冶具の内径の間隔が40mm以下と小さいため、衝撃を小さく抑えることができ、リチャージ冶具の破損を防止することができる。なお、ロッド状多結晶原料とリチャージ冶具の内径の間隔は10mm以上であるため、ロッド状多結晶原料のリチャージ冶具への装填を円滑に行うことが可能である。
本発明により、ロッド状の多結晶原料のリチャージを安全かつ短時間で行うことができ、リチャージ溶融中に石英ルツボにダメージを与えることもなく、シリコン単結晶の生産性、歩留りを向上することが可能となった。
近年、シリコン単結晶ウェーハの需要増大に伴う、シリコン単結晶の高生産性、高歩留まりの要求に応えるべく、同一品質のシリコン単結晶を大量に得るために、マルチプーリング法が用いられている。
このマルチプーリング法においては、従来、多結晶原料のリチャージは、ロッド状多結晶原料をリチャージ装置により吊り下げることにより行われる場合があった。しかしながら、このような方法では、ロッド状多結晶原料に微小クラック等が入っていた場合、ロッド状多結晶原料の溶融中に微小クラックの発生位置から落下するという危険があった。
そこで、本発明者等は、かかる落下の危険を防止して、ロッド状多結晶原料のリチャージを安全に行うために、鋭意検討および実験を行うことによって、本発明を為すに至った。
すなわち、本発明者等は、チョクラルスキー法による単結晶の製造においてロッド状の多結晶原料を溶融する際に用いるリチャージ方法であって、少なくとも、前記ロッド状多結晶原料を支持する底体と、該底体の上部に連結する支持体と、該支持体に取り付けられた吊下げ部材とからなるリチャージ冶具を用い、該リチャージ冶具に前記ロッド状多結晶原料を装填し、前記吊下げ部材で吊り下げて単結晶製造装置内に導入し、石英ルツボ内の原料融液中に前記リチャージ冶具の少なくとも底体を前記ロッド状多結晶原料とともに浸漬させながら、前記ロッド状多結晶原料を溶融することにより、前記ロッド状多結晶原料の下端部を支えながら溶融することができるので、前記ロッド状多結晶原料に微小クラックが入っていたとしても、リチャージ溶融中における前記ロッド状多結晶原料の落下の危険を防止することができ、多結晶原料のリチャージを安全かつ迅速に行うことができることを見出した。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、図1は、本発明に係る多結晶原料のリチャージ冶具の一例であって底体2が支持体1から取り外し可能なものを示す斜視図である。図2は、単結晶製造装置21において、本発明に係るリチャージ冶具29にロッド状多結晶原料30を充填して溶融している様子を示す断面図である。
本発明に係る多結晶原料のリチャージ冶具29は、チョクラルスキー法による単結晶の製造においてロッド状の多結晶原料30を溶融する際に用いるリチャージ冶具29であって、少なくとも、ロッド状多結晶原料30を支持する底体2と、底体2の上部に連結する支持体1と、支持体1に取り付けられた吊下げ部材3とからなるものであり、ロッド状多結晶原料30を装填し、吊下げ部材3で吊り下げられて単結晶製造装置21内に導入され、石英ルツボ23内の原料融液25中にロッド状多結晶原料30とともに浸漬しながら、ロッド状多結晶原料30を溶融するものである。
ここで、底体2は、ロッド状多結晶原料30を倒れないように安定して固定できる構造とし、例えば、図1のように支持棒8を複数本設けたものとする。この底体2の構造は、ロッド状多結晶原料30が倒れないように安定して固定できるものであれば、十字型、スリット型、網目型等どのような構造であってもよい。また、この底体2は、支持体1と連結して取り外すことができない一体構造のものとしてもよいが、リチャージ冶具29のうち原料融液25に浸漬する部分の消耗に対応するため、図1のように支持体1から取り外し可能な構造とすることが好ましい。これにより、消耗する底体2のみの交換を行うことができるため、リチャージ冶具29の製造コストの面において好ましい。この場合、支持体1と連結するための底体連結部7を設ける。
支持体1は、底体2の上部に連結するものであって、底体2が支持体1から取り外し可能な構造とした場合は、下端に支持体連結部6を有し、底体連結部7の凸部が支持体連結部6の溝に係止されることによって、底体2と連結される。また、支持体1は、少なくとも、連結する前記底体2の上部において垂直方向に伸びる複数の支柱4と、複数の支柱4を相互に連結するとともに、装填されるロッド状多結晶原料30を囲むように配設された1本以上の支持部材5とからなる籠状のものとし、これにより、ロッド状多結晶原料30の溶融中にロッド状多結晶原料30をリチャージ冶具29内に安定して保持することができる。
さらに、複数の支柱4は、3本以上であればより好ましく、製造コストの面から6本以下であるとさらに好ましい。また、支柱4の長さは、充填するロッド状多結晶原料30と同程度の長さとすれば、ロッド状多結晶原料30をリチャージ冶具29内に安定して収容することができる。
さらに、各支柱4の間隔は、ロッド状多結晶原料30の直径よりも小さいのが好ましく、これにより、ロッド状多結晶原料30を全溶融工程に渡り、リチャージ冶具29内に確実に保持することができる。また、各支柱4は、円柱形状とする場合は直径が7〜15mm、角柱状とする場合は一辺が6〜25mmとすれば、装填するロッド状多結晶原料30として、その直径が70〜160mm、長さが200〜1100mm、重量が5〜50kgである大きなものを、溶融中にリチャージ冶具29内に確実に保持することができる強度を有する。
さらに、支持部材5は、少なくとも1本以上で、複数の支柱4を相互に連結するとともに、装填されるロッド状多結晶原料30を囲むように配設されたものであれば、支持体の強度を向上させ、リチャージ溶融中にロッド状多結晶原料30を安定に支持することができるので好ましい。支持部材5は、例えば、図1のように環状に形成したものであって、支持体1の上端部、および中央部に各一本ずつ設けたものが好ましいが、さらに多く設けてもよいし、支持部材5として複数の棒状のものを用いて、複数の支柱4を梯子状になるように連結したものであってもよい。
なお、支持体1は、以上のような籠状のものに限られず、リチャージ溶融中にロッド状多結晶原料30を安定して支持できるとともに融液に接触できるものであれば、筒状のものであって側壁に貫通孔が設けられたもの等であってもよい。また、支持体1は、その水平断面の形状が環状であるものに限られず、多角形のものであってもよく、リチャージ溶融中にロッド状多結晶原料30を安定に支持するものであれば、水平断面の形状が垂直方向における位置によって異なるものであってもよい。
吊下げ部材3は、ワイヤあるいはシャフト等により、ロッド状多結晶原料30を装填したリチャージ装置29を吊り下げて単結晶製造装置21内に導入するために用いることができるものとし、支持体1と連結した構造のもの、例えば、図1のように支持部材5と連結した一体構造のもの、または支柱4と連結した一体構造のものとするのが好ましい。
以上のように本発明に係るリチャージ冶具29は、上記のような底体2と支持体1と吊り下げ部材3からなる。このリチャージ冶具29の内径は、装填するロッド状多結晶原料30の直径より10〜40mm大きい内径であれば、ロッド状多結晶原料30は、溶融中に浮力によりバランスを失い、リチャージ冶具29の支持体1に接触したとしても、ロッド状多結晶原料30とリチャージ冶具29の内径の間隔が40mm以下と小さいため、衝撃を小さく抑えることができ、リチャージ冶具29の破損を防止することができる。なお、ロッド状多結晶原料30とリチャージ冶具29の内径の間隔を10mm以上とすることにより、ロッド状多結晶原料30のリチャージ冶具29への装填を円滑に行うことが可能である。
また、リチャージ冶具29を石英製とすることが好ましく、これにより純度を高く保つことができるので、ロッド状多結晶原料30と共に原料融液25に浸漬したとしても不純物汚染を抑えることができる。
本発明に係る多結晶原料のリチャージ冶具29は、以上のような構成であるが、以下、これを用いた本発明に係る多結晶原料のリチャージ方法について説明する。
図2に示すように、単結晶製造装置21の主チャンバー22内には原料融液25を収容する石英ルツボ23とその外側に黒鉛ルツボ24が配置されている。この黒鉛ルツボ24は上下動及び回転自在なルツボ支持軸26により支持されている。また、黒鉛ルツボ24の外周にはヒーター28が配置され、原料融液25を加熱している。ヒーター28の外周にはヒーター28からの輻射熱を直接主チャンバー22が受けないように断熱材27が配置されている。
初期チャージの多結晶原料を溶融後、種結晶を原料融液25に接触させ、種絞りを行った後、所定の直径まで拡径し、その後所定の引上げ速度で直胴部を形成する。そして直胴部が所望の長さに達したら徐々に縮径し、原料融液25から単結晶を切り離す。
この単結晶を引上げ装置から取り出した後、本発明に係るリチャージ冶具29にロッド状多結晶原料30を装填し、吊下げ部材3に吊り下げ用ワイヤ31を連結して吊り下げて単結晶製造装置21内に導入して、ワイヤ34を下降することにより、少なくとも底体2を原料融液25中に20mm〜50mm程度浸漬する。
このとき、リチャージ冶具29の上端の吊り下げ部材3には吊下げ用ワイヤ31の一端が固定されており、吊下げ用ワイヤ31の反対側は吊下げ用冶具32に固定されるような構造になっている。この吊下げ用冶具32はワイヤ34の先端に取り付けられているシードチャック33に係止され、ワイヤ34を上下に移動させることにより、リチャージ冶具29を上下に移動させることができる。なお、リチャージ冶具29を吊下げ部材3で吊り下げて単結晶製造装置21内に導入する方法は、ワイヤ34で吊下げる方法に限定されず、シャフト等の別の手段によって吊下げる方法であってもよい。
次に、リチャージ冶具29の少なくとも底体2をロッド状多結晶原料30とともに原料融液25中に20mm〜50mm程度浸漬させながら、ヒーター28により加熱して、前記ロッド状多結晶原料30を下端から溶融する。ここで、ロッド状多結晶原料30は常に下端が原料溶融25に浸漬しているため、溶融が進むとロッド状多結晶原料30は自重によりリチャージ冶具29内で徐々に沈み込むようになる。
また、溶融の進行に伴い原料融液25の深さが徐々に深くなるので、リチャージ冶具29及びロッド状多結晶原料30の浸漬の深さが20mm〜50mm程度になるように、また前記リチャージ冶具29の原料融液25に浸漬する部分が底体2のみになるように、溶融の進行に合わせて石英ルツボ23を下げるか、リチャージ冶具29を上げることが好ましい。さらに、このときヒーター28の発熱中心が原料融液25の表面近傍の位置になるよう調整することによりスムーズな溶融が可能となる。
ロッド状多結晶原料30の溶融が完了した後、リチャージ冶具29を上昇させ融液から切り離した後に単結晶製造装置21より取り出し、次の単結晶の引上げを行う。このように、本発明により多結晶原料のリチャージを安全に行うことができ、融液表面の固化も行わないのでリチャージ溶融中に石英ルツボ23にダメージを与えることもなく、短時間で溶融することが出来、シリコン単結晶の生産性、歩留りを向上することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1のように、ロッド状多結晶原料30を溶融する際に用いるリチャージ冶具29として、ロッド状多結晶原料30を直接支持する部分に直径15mmの円柱状の支持棒8を5本配設し、支持体1に連結させるための底体連結部7を有する底体2と、底体2の上部に支持体連結部6を介して連結する支持体1と、支持体1の上部に3箇所取り付けた吊り下げ部材3とからなる石英製の内径190mmのリチャージ冶具29を用いた。ここで、支持体1には、連結する底体2の上部において垂直方向に伸びる、直径15mm、長さ1200mmの円柱状の4本支柱4と、該4本の支柱4を相互に連結すると共に装填されるロッド状多結晶原料30を囲むように支柱4の中央部と上端部において環状に2本の支持部材5を配設した。
このリチャージ冶具29の中に、直径150mm、長さ1000mm、重量41kgのロッド状多結晶原料30を充填し、吊り下げ部材3で吊り下げて、単結晶製造装置21内に導入した。口径550mm(22インチ)の石英ルツボ23内に収容してある29kgの原料融液25の表面から40mm程度、リチャージ冶具29の底体2をロッド状多結晶原料30の下端とともに浸漬しながら、ロッド状多結晶原料30を全量溶融した。この結果、溶融時間は1.8時間程度であった。溶融中は、ルツボ内の融液面の上昇に合せてルツボを下降させ、融液面位置を一定に保った。
本発明ではロッド状多結晶原料30が常に原料融液25中に浸漬していることとなったため、後述する比較例のように、ロッド状多結晶原料30が原料融液25の表面から切り離れてからロッド状多結晶原料30を浸漬させるという従来必要だった操作がなくなり、より短時間で溶融することができた。
リチャージ冶具29の底体2がロッド状多結晶原料30を直接支持する支持棒8の1回のリチャージ溶融における直径の消耗量は、約0.1mm程度であった。これを15回繰り返し使用して直径が合計1.5mm消耗し、直径が13.5mmになったところで、底体2を交換した。
この溶融方法を150回繰り返し実施したが、リチャージ溶融中にロッド状多結晶原料30が落下するトラブルは発生しなかった。また、製造されたシリコン単結晶の結晶品質は従来と同等であった。このように、本発明により、多結晶原料のリチャージを安全に行うことができ、リチャージ溶融中に石英ルツボ23にダメージを与えることもなく、シリコン単結晶の生産性、歩留りを向上することができるが可能となった。
(比較例1)
直径150mm、長さ1000mm、重量41kgの実施例1で用いたものと同様のロッド状多結晶原料30(投入前にクラックのないものを選択して用いた。)を従来のリチャージ装置(特許文献1参照)で吊り下げることができるように上部に幅5〜10mm程、深さ5mm〜10mm程の溝を2箇所に設けた。
そして、口径550mm(22インチ)の石英ルツボ23内に収容してある29kgの原料融液25の表面からロッド状多結晶原料30を40mm程度浸漬させた。その後、ロッド状多結晶原料30が原料融液表面から切り離れたら、再度、ロッド状多結晶原料30を原料融液25表面から40mm程度浸漬させる操作を繰り返すことによってロッド状多結晶原料30を全量溶融した。
これを150回繰り返し実施した結果、5回の結晶落下が発生し、いずれもロッド状多結晶原料30の微小クラックがリチャージ溶融中に加熱により拡大したことが原因と推測された。このように、従来の方法での多結晶原料のリチャージは、危険で手間がかかり、ロッド状多結晶原料30の落下により原料融液25の飛び跳ねによって単結晶化を阻害するという問題ばかりでなく、石英ルツボ23を破損し湯漏れを発生させるという危険もあった。
しかも、比較例の方法では予め、クラックの無いものを選別しなければならず、使用できる原料ロッドが限定される上に、クラックの有無の判定は、実質上正確にはできない。これに対して、本発明では、ロッド状の多結晶原料であればクラックの有無にかかわらず使用できるので、原料の選別の必要性がなく、実用的価値がすこぶる高い。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、単なる例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明に係る多結晶原料のリチャージ冶具の一例であって底体が支持体から取り外し可能なものを示す斜視図である。 単結晶製造装置において、本発明に係るリチャージ冶具にロッド状多結晶原料を充填して溶融している様子を示す断面図である。
符号の説明
1…支持体、 2…底体、 3…吊り下げ部材、 4…支柱、 5…支持部材、
6…支持体連結部、 7…底体連結部、 8…支持棒、
21…単結晶製造装置、 22…主チャンバー、 23…石英ルツボ、
24…黒鉛ルツボ、 25…原料融液、 26…ルツボ支持軸、 27…断熱材、
28…ヒータ、 29…リチャージ冶具、 30…ロッド状多結晶原料、
31…吊下げ用ワイヤ、 32…吊下げ用冶具、 33…シードチャック、
34…ワイヤ。

Claims (8)

  1. チョクラルスキー法による単結晶の製造においてロッド状の多結晶原料を溶融する際に用いるリチャージ冶具であって、少なくとも、該ロッド状多結晶原料を支持する底体と、該底体の上部に連結する支持体と、該支持体に取り付けられた吊下げ部材とからなり、前記ロッド状多結晶原料を装填し、前記吊下げ部材で吊り下げられて単結晶製造装置内に導入され、石英ルツボ内の原料融液中に前記ロッド状多結晶原料とともに浸漬しながら、前記ロッド状多結晶原料を溶融するものであることを特徴とする多結晶原料のリチャージ冶具。
  2. 前記支持体は、少なくとも、連結する前記底体の上部において垂直方向に伸びる複数の支柱と、該複数の支柱を相互に連結するとともに前記装填されるロッド状多結晶原料を囲むように配設された1本以上の支持部材とからなるものであることを特徴とする請求項1に記載の多結晶原料のリチャージ冶具。
  3. 前記リチャージ冶具は、前記装填されるロッド状多結晶原料の直径より10〜40mm大きい内径を有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多結晶原料のリチャージ冶具。
  4. 前記リチャージ冶具は、石英製であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の多結晶原料のリチャージ冶具。
  5. 前記底体が、前記支持体から取り外し可能なものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の多結晶原料のリチャージ冶具。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のリチャージ冶具を用いて、多結晶原料のリチャージを行うことを特徴とする多結晶原料のリチャージ方法。
  7. チョクラルスキー法による単結晶の製造においてロッド状の多結晶原料を溶融するリチャージ方法であって、少なくとも、前記ロッド状多結晶原料を支持する底体と、該底体の上部に連結する支持体と、該支持体に取り付けられた吊下げ部材とからなるリチャージ冶具を用い、該リチャージ冶具に前記ロッド状多結晶原料を装填し、前記吊下げ部材で吊り下げて単結晶製造装置内に導入し、石英ルツボ内の原料融液中に前記リチャージ冶具の少なくとも底体を前記ロッド状多結晶原料とともに浸漬させながら、前記ロッド状多結晶原料を溶融することを特徴とする多結晶原料のリチャージ方法。
  8. 装填する前記ロッド状多結晶原料は、直径が支持体の内径より10〜40mm小さいものを用いることを特徴とする請求項7に記載の多結晶原料のリチャージ方法。
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