以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る球通路構造を備えた弾球遊技機の代表例として、図1〜図5の各図にパチンコ機を例示しており、まずこれらの図面を参照してパチンコ機PMの全体構成について概要説明する。ここで、図1はパチンコ機PMを斜め前方から見た斜視図、図2は前面のガラス扉5及び上球皿6を横開き開放した状態の斜視図、図3はパチンコ機PMを斜め後方から見た斜視図、図4は前枠2を外枠1の前方に開放し上部裏機構盤40を前枠2の後方に開放した状態の斜視図、図5は上部裏機構盤40に加えて下部裏機構盤50を前枠2の後方に開放した状態の斜視図である。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成された開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構3a,3bにより前方に横開き開閉及び着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉止状態に保持される。
前枠2の前面側上部には、ガラス扉5が前方に横開き開閉及び着脱可能に取り付けられ、施錠装置4を利用して常には前枠2の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉5の背後に位置する前枠上部には、後方から遊技盤10を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤10がガラス扉5を通して視認されるようになっている。
遊技盤10は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧板11を基板とし、円弧状の外レール部12及び内レール部13に囲まれた略円形の遊技領域PAの内側に、何れも詳細図示省略するが、多数本の遊技釘とともに風車や各種の入賞装置、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる画像表示装置などの遊技構成部品が取り付けられ、遊技領域の下端部にアウト口18が設けられて構成される。
前枠2の前面側中間部には、遊技補助盤と称される補助機構部20が設けられるとともに、その前方に、上球皿6が正面左側に設けられたヒンジ機構により横開き開閉及び着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた球皿施錠装置を利用して常には遊技補助盤20の前面を覆う閉止状態に保持される。遊技補助盤20には、遊技球発射装置21のハンマーに叩打された遊技球を外レール部12に向けて発射させる発射レール22、前枠を前後に貫通して形成された賞球連絡バケット25、遊技の展開状況に応じた効果音を発生させるスピーカ、前枠2の前面側にファール球回収通路や下球皿通出通路等を形成させる補助盤カバー31などが設けられている。
上球皿6は、遊技補助盤20の前面を覆う矩形扉状のあて板61と、このあて板61の前面に取り付けられて前方に突出する椀状の外装体62と、あて板61と外装体62の間に取り付けられた皿部材63等からなり、あて板61の背面側には、上球皿6を前枠2に閉止した球皿閉鎖状態で後方の賞球連絡バケット25と連絡し、賞球連絡バケット25から流入する遊技球を皿部材63の球皿部64に流下させる上球皿連絡ダクト65が後方に突出して形成されている(図11を併せて参照)。また球皿部64に貯留された遊技球を1球ずつ遊技球発射装置21に送り出す球送りカセット69が発射レール22と位置整合して取り付けられている。
前枠2の前面側下部には、上面開放形態の下球皿7が取り付けられ、この下球皿7と上述した補助盤カバー31によって形成されるファール球回収通路、下球皿通出通路が、下球皿連絡バケットを介して繋がっている。下球皿7の右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル8が取り付けられている。
一方、前枠2の後方に裏機構盤BSPが設けられている。裏機構盤BSPは、遊技球を払い出す球払出機構や球抜き機構が設けられた上部裏機構盤40と、遊技盤10から排出された遊技済み球を遊技施設の回収装置に導く遊技済み球排通路の壁面が形成された下部裏機構盤50とからなり、それぞれ独立して前枠2の後方に開閉可能に取り付けられている。下部裏機構盤50の後面側には、球払出制御基板82や電源基板83などの回路基盤が取り付けられ、これらがコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが作動可能に構成される。
さて、このように概要構成されるパチンコ機PMにおける球通路の構成について、以下遊技球の流れに沿って順に説明する。図6〜図14に球通路の形成状態を示す図面を示しており、これらの図面を併せて参照しながら遊技球を上下の球皿6,7に払い出す球払出通路L6、球貯留タンクに貯留された遊技球及び遊技盤から排出された遊技済み球を機体の外部に排出させる球排出通路L7の構成について説明する。
なお、以降参照する図6〜図14の各図について予め概要を説明すると、図6はパチンコ機PMの背面図、図7は図6中のVII−VII矢視方向の側断面図、図8は図6中のVIII−VIII矢視方向の平断面図、図9は上部裏機構盤40の背面図、図10は通路カバー45を取り外した状態で図9中のX矢視方向に見た側面図、図11は図7における球払出通路部分を拡大して示す部分拡大図(側断面図)、図12は図8の球払出通路部分を拡大して示す部分拡大図(平断面図)、図13は球払出通路と遊技済み球排出通路との関係を主として示す背面図(図8中のXIII〜矢視方向の背面図)、図14は下球皿通出通路の形成状態を主として示す背面図(図8中のXIV〜矢視方向の背面図)である。なお以降の説明では、裏機構盤に形成された球通路を後方から見た姿勢の図面を主として参照しながら説明するため、パチンコ機PMを後方から見た背面図における左右方向をもって左方・右方と称して説明する。
上部裏機構盤40は、この機構盤の基体となるベースフレーム40Aと、ベースフレーム40Aの上部に取り付けられた球貯留払出アッセンブリ40B、及び球貯留払出アッセンブリ40Bの下側に位置してベースフレーム40Aの下部に取り付けられた球通路アッセンブリ40Cからなり、ベースフレーム40Aに球貯留払出アッセンブリ40B及び球通路アッセンブリ40Cが組付けられて一体の上部裏機構盤40が形成される。
ベースフレーム40Aは、平坦な支持プレート部と、この支持プレート部の外周に曲げ起こし成形されたリブ、支持プレート部の右側縁上下に形成された上部裏機構盤ヒンジ43などからなり、球貯留払出アッセンブリ40B及び球通路アッセンブリ40Cの前方全体を一体的に覆うように、これらのアッセンブリ40B,40Cの後方からの投影形状よりも大きめの逆L字状に形成されている。ベースフレーム40A各部には、球貯留払出アッセンブリ40B及び球通路アッセンブリ40Cをネジ固定するための雌ネジ部、ベースフレーム40Aを前枠後面側に閉止保持させるためのナイロンファースナー49の装着孔などが形成されており、例えば板厚1.2〜2.3mm程度の鋼板を、打ち抜き、曲げ、バーリング及びタッピング加工し、並びにヒンジピンをカシメ固着等して図示する形状に成形し、必要に応じてクロメート処理等の表面処理を施して構成される。
球貯留払出アッセンブリ40Bは、遊技球を貯留する貯留タンク部を有し球払出装置の取り付けベースともなるアッセンブリベース41を基体とし、ここにタンクレール部の上方を覆うレールカバー、遊技球の払い出し処理を行う球払出装置42、遊技球の流下を規制可能な球止め機構(不図示)などが取り付けられて構成される。アッセンブリベース41には、遊技球を貯留する貯留タンク部41a、貯留タンク部41aと滑らかに繋がって貯留タンク部に貯留された遊技球を1列に整列させて下方の球払出装置42に導くタンクレール部41b、球払出装置42を着脱可能に装着保持する機構装着部41cなどが設けられており、例えば導電性のフィラーを混入した樹脂材料を用いて一体に成型される。
貯留タンク部41aは、平面視横長で上面及び右面開放の箱状をなし底面が緩く右傾してタンクレール部41bに繋がっている。タンクレール部41bは、貯留タンク部41aの前後の壁面と滑らかに繋がって通路幅が徐々に狭くなるように形成され、底面は貯留タンク部よりも幾分大きな傾斜角をもって右傾して形成される。タンクレール部41bの下流部では通路幅が遊技球の直径よりもわずかに大きい程度のU字溝状になっており、貯留タンク部41aから供給された遊技球を整列させる整列通路が形成される。整列通路の上方にはこの通路を上下に重なって流下する遊技球を平らに均す重錘式の球均し振り子が揺動自在に枢支され、整列通路の下流端部には球払出装置42の導入口に繋がる出口開口が形成されている。このため、貯留タンク部41aに貯留された遊技球がタンクレール部41bを流下する過程で1列に整列され、出口開口から球払出装置42の導入口に導かれる。
球払出装置42は、外周に遊技球を受け入れる球受容溝を有して左右に延びる軸まわりに回動可能に設けられたスプロケット状の球送り回転盤と、この球送り回転盤を正・逆方向に回転駆動する球払出モータ、球送り回転盤及び球払出モータを収容するハウジングなどを主体として構成され、機構装着部41cに着脱可能に装着されて係止保持される。ハウジングの上端部にはタンクレール41bの出口開口と連絡して遊技球を受け入れる導入口が開口形成され、ハウジングの下端部には、後方に第1球払出口、前方に第2球払出口が前後に並んで開口形成されている。
球払出装置42では、導入口から導入された遊技球がハウジング内で球送り回転盤の球受容溝に受け入れられ、球送り回転盤の回動方向に応じてハウジング内を後方または前方に転動してハウジング下端の第1球払出口または第2球払出口から払い出される。例えば、球払出モータが正転され球送り回転盤が正方向(図10に示す側面視において時計廻り、以下同じ)に回動されると、球送り回転盤の球受容溝に受け入れられた遊技球が球送り回転盤の回動とともにハウジング内を時計廻りに転動し、ハウジングの下端部後方の第1球払出口から払い出される。また球払出モータが逆転され球送り回転盤が逆方向(図10に示す側面視において反時計廻り、以下同じ)に回動されると、球受容溝に受け入れられた遊技球が球送り回転盤の回動とともにハウジング内を反時計廻りに転動し、ハウジングの下端部前方の第2球払出口から払い出される。
球払出装置42は、下部裏機構盤50に取り付けられた球払出制御基板82により作動が制御され、球払出制御基板82から入力された指令信号に基づいた回動方向及び回動角度で球送り回転盤か回転作動される。本実施形態では、所定の入賞条件が成立したときに球送り回転盤を時計廻りに回動させて後方の第1球払出口から遊技球を払い出させ、所定の球抜き操作が行われたときに球送り回転盤を反時計廻りに回動させて前方の第2球払出口から遊技球を排出させるように構成した例を示している。
球通路アッセンブリ40Cは、全体として前後方向幅が比較的厚く左右方向幅が薄い矩形断面で上下方向に長い桟状をなし、上下の端部が左方に屈曲されて背面視コの字状に形成されている。球通路アッセンブリ40Cは、左側面が開放されて内部に前後2列の屈曲した通路溝が形成された通路形成部材44と、この通路形成部材の開放面を覆う通路カバー45などからなり、球払出装置42から払い出された遊技球を前後2列の球通路に沿って転動流下させ、下端の第1出口または第2出口に導出させる。
通路形成部材44には、図10に示すように、前後に蛇行しつつ上下に延びるS字状の中央通路壁44cと、この中央通路壁44cの前方及び後方(図10における左側と右側)に遊技球の直径よりも幾分大きめの間隔をおいて略平行に上下に延びる前方通路壁44f及び後方通路壁44rを有し、中央通路壁44cを挟んで前後に各1列の平断面視凹状の通路溝を形成する。そして通路形成部材44の開放面に通路カバー45を取り付けることで2列の球通路46,47が背面視において前後に重複して形成され、左右方向の幅が球通路1列分の幅に抑制された球通路アッセンブリ40Cが構成される。
前述した球払出装置42の第1球払出口及び第2球払出口は、球通路アッセンブリ40Cの上端部において開口する球通路46の入り口(第1球入り口)46a、及び球通路47の入り口(第2球入り口)47aの配設位置に合わせて形成されており、本実施形態においては後列側の球通路が遊技球を上下の球皿6,7に導く球払出通路L6の下降通路(球払出下降通路)46、前列側の球通路が遊技球を機体の外部に導く球排出通路L7の下降通路(球抜き下降通路)47になっている。
球通路アッセンブリ40Cは、球入り口の直下で右斜め下方に屈曲され、通路形成部材44の右側面が、ベースフレーム40Aの右側縁(すなわち球貯留払出アッセンブリ40Bの右側への最大張り出し位置)に合わせて形成されている。またベースフレーム40Aの左側縁は右側にオフセットされた球通路アッセンブリ40Cの左側面に合わせて形成されており、球払出装置42よりも下側の上部裏機構盤40の幅が上方の幅よりも狭く構成されている。
球通路アッセンブリ40Cの上下中間部では、球抜き下降通路47と球払出下降通路46とが中央通路壁44cを挟んで隣接し、前後平行に複数回折り返されてS字状に蛇行形成されている。このため、これらの下降通路46,47を転動流下する遊技球の速度を過度に増加させることがなく、静粛かつ滑らかに流下させ得るとともに、複数列の球通路でありながら簡明な構造で前後方向の厚さを最小限に抑えた構成になっている。通路形成部材44の溝底面(右側面)には、長孔状の監視窓が形成され遊技球の球流れを視認可能になっている。
球通路アッセンブリ40Cの下部は、左斜め下方に折り曲げられて傾斜通路とされ、球通路アッセンブリ40Cの下端部に下方に開く第1球出口46b,第2球出口47bが形成される。球払出下降通路46の出口である第1球出口46bと、球抜き下降通路47の出口である第2球出口47bとは、前後方向及び左右方向ともににオフセットされており、傾斜通路が短く形成された球抜き下降通路47の第2球出口47bが前方右側に、傾斜通路が長く形成された球払出下降通路46の第1球出口46bが後方左側に位置して互い違いに配設される。
球貯留払出アッセンブリ40B及び球通路アッセンブリ40Cは、それぞれベースフレーム40Aの上部及び下部にネジ固定され、遊技球の貯留、払出、球止め及び球抜き機能を備えた上部裏機構盤40が形成される。上部裏機構盤40は、ベースフレーム40Aの右側縁に設けられた上部裏機構盤ヒンジ43,43と、前枠2の右側縁上部に取り付けられた前枠側上ヒンジ金具23,23の、ヒンジピンとピン受容孔との嵌合を利用して前枠2の後面側に着脱可能に装着され、ヒンジ連結された状態で後方に横開き開閉可能に配設される。
上部裏機構盤40は、上記のように上部裏機構盤40を前枠2の後面側にヒンジ連結させた状態で、上部裏機構盤40の上端(ベースフレーム40Aの上端)が外枠1における上枠杆の内面の高さ位置よりも低く、上部裏機構盤40の下端(球通路アッセンブリ40Cの下端)が収容枠に収容された遊技盤10の下端面と略同一の高さ位置に配設されるように構成されている。
このように、球通路アッセンブリ40Cでは、球払出下降通路46と球抜き下降通路47とを前後に重ねて配設することにより球通路アッセンブリ40Cの幅を球通路1列分の幅に抑制し、さらにこれらの球通路を上部裏機構盤40の右側縁に合わせて右方にオフセットして下降させることで、上部裏機構盤40の幅を更に狭く、具体的には球通路2列分の幅にも満たない寸法内で構成している。このため上部裏機構盤40の前方に位置する遊技盤10の後方に広いスペースを確保することができ、例えば、遊技盤10に配設される図柄表示装置を大型化し、あるいは各種入賞装置の選択や配置の自由度を拡大し、または化粧板11の裏面側に取り付けられる各種回路基板の大きさや配設位置の自由度を拡大することができる。
上部裏機構盤40の下側に設けられる下部裏機構盤50は、図6に球払出制御基板82及び電源基板83が装着された状態の背面図を示し、図13にこれらの回路基板82,83を取り外した状態の背面図(部分断面図)を示すように、この機構盤の基盤となる下部ベース51を主体として構成される。
下部ベース51は、この部材の基板となるベースプレート部51aと、ベースプレート部51aの右端部に前方に膨出成型されたヒンジ台座51b、ベースプレート部51aの前面側に形成された集合樋56(56L,56R)、ベースプレート部51aの後面側に形成された基板装着部などを主体として構成され、ベースプレート部51aを挟む前面側に主として遊技球を流下させる球処理関係の構造、後面側に主として回路基板を搭載する基板関係の装着構造が設けられる。下部ベース51は、例えば導電性のフィラーを混入して導電性を持たせた樹脂材料を用い、射出成型等の成形手段で一体に形成される。
ベースプレート部51aは、全体として背面視矩形で横長の扉状をなし、周縁にはベースプレート部を取り囲むリブが後方に突出して成型されている。ヒンジ台座51bは、正面視における形状が縦長矩形で前方に突出するブロック状に形成されており、このヒンジ台座51bの前面側上下には下部裏機構盤ヒンジ54を固定するためのネジ受容孔が形成され、台座内部にはネジ受容孔の後方に位置してネジ受容ボス及びこのネジ受容ボスを補強するリブが形成されている。
集合樋56は、ベースプレート部51aから前方に突出して成型された左右の壁面56L,56Rを主体として構成される。これらの左右の壁面56L,56Rは、図13中の部分断面に壁面の形成位置及び形状を示すように、全体として上方の開口幅が広く下端の球排出口58に向けて幅が狭くなるV字状に形成されており、下部裏機構盤50を前枠後面側に閉鎖した閉鎖姿勢において、前後の前枠2及びベースプレート部51aと左右の壁面56L,56Rとの間に遊技球を流下させる遊技済み球排出通路57が形成される。
集合樋56における左右壁面の上端の形成位置は、遊技領域PAを入賞装置に落入することなく落下してアウト口18から排出されるアウト球の排出位置、及び遊技領域PAを転動落下する途中で入賞装置に落入し入賞球導出孔を通って化粧板11の裏面側に導かれたセーフ球の排出範囲(例えば、詳細図示省略するが、化粧板11の裏面にネジ固定されセーフ球を集合させる球寄せカバーの排出開口範囲)をカバーするとともに、前述した上部裏機構盤40の第1及び第2球出口46b,47bの排出範囲を含むように設定されている。一方、集合樋56の下端部では、下部裏機構盤50の閉鎖姿勢において球排出口58の前方に位置して、左右の壁面56L,56Rの間に滑らかに張り出す整流突起28が前枠2から後方に突出して形成されている。
このため、上下の裏機構盤40,50を閉鎖した遊技状態において、遊技盤10から排出された遊技済み球(アウト球及びセーフ球)、及び後に詳述する上部裏機構盤40の球抜き下降通路47を通って第2球出口47bから排出された遊技球が、集合樋56の左右の壁面56L,56Rに受け止められて遊技済み球排出通路57に集合され、下部の整流突起28により落下速度が低減されるとともに斜め後方に誘導されて、下端の球排出口58から遊技施設側の遊技球回収装置に向けて排出される。
ベースプレート部51aの後面側には、シールド板81を着脱可能に係止保持するシールド板装着構造52と、透明な樹脂ケースに収められた球払出制御基板82及び電源基板83を各々着脱可能に係止保持する基板装着構造53とからなる基板装着部が形成されている。
シールド板装着構造52は、微弱な制御信号を取り扱う球払出制御基板82の前方に形成されており、図13中に略示するように、ベースプレート部51aから側断面視T字状に後方に突出成型したシールド板支持脚52aと、ベースプレート部51aが背面視コの字状に切り離されて前後に弾性変形可能な楔状のロックアーム部52bとからなり、シールド板81に形成した矩形ダルマ穴状の支持脚受容スロットをシールド板支持脚52aに係合させて左方にスライドさせたときに、シールド板支持脚52aと支持脚受容スロットが係合し、ロックアーム部52bがシールド板のアーム受容孔に嵌入して、シールド板81を係止保持可能になっている。
シールド板81の左右方向寸法は球払出制御基板82の幅寸法よりも大きく形成されており、シールド板81及び球払出制御基板82を基板装着部に装着した状態でシールド板81の左端側が基板ケースよりも左方に延びて配設され、後面側が開放された放熱部81hが形成されるようになっている(図6を参照)。放熱部81hの左端上部は一部が切り起こされて差し込み型接続端子(例えばUL規格におけるE78965等)の雄型端子形状に設定された接続端子部81tが形成されており、アース線の端末に圧着された雌型の差し込み型接続端子を嵌合接続することで、比較的微弱な制御信号を取り扱う球払出制御基板82の前方全体を確実にアース電位に地落させて安定かつ十分なシールド効果を得られるようになっている。シールド板81は、例えば板厚0.8〜1.2mm程度の鋼板を打ち抜き、曲げ加工等して図示する形状に成形し所要の表面処理を施して構成される。
基板装着構造53は、例えば図13における球払出制御基板82の装着部に示すように、ベースプレート部51aから側断面視L字状に後方に突出成型したベース側フック部53aと、ベースプレート部51aが背面視コの字状に切り離されて前後に弾性変形可能なロックアーム部53bとからなり、基板ケースの前面側に突出成型した側断面視逆L字状(または舌片状)のケース側レール部をベース側フック部53aに係合させて左方にスライドさせたときに、ロックアーム部52bがケース側レール部の右側端部と係合して球払出制御基板82を係止保持可能に構成される。
また図13における電源基板83の装着部に示すように、ベースプレート部51aに、電源基板83の基盤ケースから前方に突出して形成された舌片状の支持脚を受容して支持する支持脚受容穴53cと、支持脚固定ネジを受容するネジ受容孔53dとを形成し、電源基板の支持脚を支持脚受容孔に嵌入支持させて支持脚受容孔53dに支持脚固定ネジを螺合締結することで電源基板83を係止可能な装着構造などが適用される。
そして、ヒンジ台座51bの前面に下部裏機構盤ヒンジ54,54をネジ固定し、シールド板81をシールド板装着構造52に装着することで、ベースプレート部51aの前面側に主として遊技球を流下させる球処理関係の構造、後面側に主として回路基板を搭載する基板装着関係の構造を有する下部裏機構盤50が形成される。下部裏機構盤50は、下部ベース51の右側縁上下に設けられた下部裏機構盤ヒンジ部54,54と前枠2の右側縁上下に取り付けられた前枠側下ヒンジ金具24,24の、ヒンジピンとピン受容孔との嵌合を利用して前枠2の後面側に着脱可能に装着され、ヒンジ連結された状態で後方に横開き開閉可能に配設される。
下部裏機構盤50は、下部裏機構盤50を前枠2の後面側にヒンジ連結させた状態で、下部裏機構盤50の上端(下部ベース51の上端)が収容枠に収容された遊技盤10の下端面(化粧板11の下端面)よりも下方に位置し、下部裏機構盤50の下端が外枠1における幕板の上面よりも上方に位置するように構成している。このため、上部裏機構盤40を開放すれば下部裏機構盤50を前枠2に閉止させた状態のままで、遊技盤10を収容枠に着脱することができる。
そして、上記のように前枠2の後面側に開閉可能にヒンジ連結された上部裏機構盤40及び下部裏機構盤50を前枠2の後方を覆うように閉止し、上部裏機構盤40の上部に設けられたナイロンファースナー49、下部裏機構盤50の左部に設けられたナイロンファースナー59を押圧ロックすることで、上下の裏機構盤40,50が前枠2の後面側に閉鎖状態で係止保持される。
一方、下部裏機構盤50の前方に位置する遊技補助盤20の後面側に、前枠2から後方に突出して賞球連絡バケット25が膨出成型され、その前方に閉鎖保持される上球皿6のあて板61から後方に突出して上球皿連絡ダクト65が成型されている。
賞球連絡バケット25は、収容枠よりも後方の上面と前枠2を貫通する前面とが開放された上面及び前面開放の箱状に形成されており、この賞球連絡バケット25の内側に、左右の側壁及び底壁に囲まれた断面視U字溝状の賞球連絡通路26が形成される。賞球連絡通路26は、一定の通路幅で前後方向に延びる誘導通路部26aと、この誘導通路部26aと繋がり通路幅が前方に向けて拡大する拡大通路部26bとからなり、誘導通路部26aの後端に形成された側断面視R状の誘導壁26r、及びこの誘導壁26rと滑らかに繋がって前方に下傾する底壁により誘導通路部26aに受容した遊技球を前枠2の前面側に流下させるようになっている。
賞球連絡バケット25の形成位置は、上下の裏機構盤40,50が前枠に閉鎖保持された状態において、賞球連絡バケット25が集合樋の左右の側壁56L,56Rの間に突出して賞球連絡通路26が遊技済み排出通路57の上部に位置し、誘導通路部26aの後端部(誘導壁26r)が球払出下降通路46の第1球出口46bの直下に配設され、球抜き下降通路47の第2球出口47bが賞球連絡通路26の右側方に配設されるように設定されている(図12中に二点鎖線で付記する第1球出口46b、第2球出口47bを参照)。
このため、上下の裏機構盤40,50が前枠に閉鎖保持された状態では、球払出下降通路46の第1球出口46bから落下した遊技球は、遊技済み球排出通路56に流入することなく誘導通路部26aの後端部に流入して賞球連絡通路26を前方に流下する一方、球抜き下降通路47の第2球出口47bから落下した遊技球は、賞球連絡バケット25の右側方を落下して集合樋の右側壁面56Rに受け止められ、遊技済み球排出通路56を流下して下端の球排出口58から遊技施設側の球回収装置に排出される。
賞球連絡バケット25の前方に位置する上球皿連絡ダクト65は、前後面が開放された角形ダクト状に形成されており、この上球皿連絡ダクト65の内側に上下左右の通路壁に囲まれて前後に延びる上球皿通出通路66が形成される。上球皿通出通路66の通路幅は、拡大通路部26bの前端の開口幅よりも幾分大きめに形成されるとともに、底壁が後方の拡大通路部26bと前方の球皿部64との間を繋いで前方に下傾して形成されている。
上球皿連絡ダクト65の底壁は、誘導通路部26aの前方への延長線(賞球連絡バケット25の左側壁内面の延長線)よりも外側に位置する後部領域が一部斜めに切りかかれるとともに、左側壁がこれに合わせて切り欠かれており、上球皿6の閉鎖姿勢において、遊技補助盤20の前面側に、左斜め下方に開く開口部67が形成されるようになっている。
遊技補助盤20に取り付けられた補助盤カバー31の背後では、発射レール22と外レール12との間が所定間隔隔てられて上方に開くファール球回収口32が形成され、その下側にファール球回収口32に落入したファール球を流下させるファール球回収通路33が形成されている(図14を参照)。また上球皿連絡ダクト65の下側ではカバー面が前方に膨出されて上方に開口する受け皿部35が形成され、その底壁が外レール部21aの下方に延びて受け皿部35に受容した遊技球を流下させる下球皿通出通路36が形成されている。
ファール球回収通路33と下球皿通出通路36とは遊技補助盤の中央下部で合流し、上面及び前面が開放された箱状の下球皿連絡バケット37を介して下球皿7に繋がっている。また外レール部21aの下側には、補助盤カバー31の前方壁面から後方に突出して放物面状の整流壁38が形成されており、下球皿通出通路36を流下する遊技球が滑らかに下球皿連絡バケット37に導かれるようになっている。なお下球皿通出通路36の上下に延びる側壁部には、この球通路が遊技球で満たされたときに、その状態を検出する球払出通路充満検出器39が設けられている。
このため、上部裏機構盤の第1球出口46bから賞球連絡通路26の後端部に流入した遊技球は、通常では、誘導壁26r及び誘導通路部26aの左右の通路壁にガイドされて左右側壁の延長線の範囲内で賞球連絡通路26を前方に流下し、上球皿連絡ダクト65内の上球皿通出通路66を通って上球皿6の球皿部64に導かれる。しかし例えば上球皿通出通路66が開口部67の付近まで遊技球で満たされた状態で、さらに第1球出口46bから賞球連絡通路26に遊技球が流入したような場合には、流入した遊技球が開口部67の付近に位置する遊技球に弾かれて開口部67から下方の球受け皿35に転落し、下球皿通出通路36を転動流下して下球皿連絡バケット37に流入し下球皿7の球皿部に導かれる。
すなわち、上下の裏機構盤40,50及び上球皿6が前枠2に閉止保持され、遊技に供される遊技状態では、上部裏機構盤40の第1球出口46bが賞球連絡バケット26の直上部に配設されて、球払出下降通路46〜賞球連絡通路26を介して上球皿6または下球皿7の球皿部に繋がる球払出通路L6が形成され、上部裏機構盤40の第2球出口47bが賞球連絡バケット25の側部上方に配設されて、球抜き下降通路47〜遊技済み球排出通路57を介して球排出口58に繋がる球排出通路L7が形成される。
さらに球払出通路L6は、賞球連絡通路26〜上球皿通出通路66〜上球皿6の球皿部64に繋がる上球皿払出通路L66と、賞球連絡通路26〜開口部67〜下球皿通出通路36〜下球皿7の球皿部に繋がる下球皿払出通路L67とからなり、上球皿6への遊技球の貯留状態に応じて流下通路及び配分が変化する。
そこで、本構成のパチンコ機PMにおける遊技球の流れ(各球通路の作用)について以下説明する。パチンコ機PMは、図1に示すように上球皿6及びガラス扉5が閉止施錠された状態で遊技に供され、遊技者が上球皿6の球皿部64に遊技球を貯留させて発射ハンドル8の操作レバーを回動操作することにより開始される。操作レバーが回動操作されると、球皿部64に貯留された遊技球が球送りカセット69によって1球ずつ発射レール22に送り出され、遊技球発射装置21のハンマーにより打ち出される。
ハンマーに打ち出された遊技球のうち、遊技領域PAに到達できずに外レール12に沿って戻ってきた遊技球は、ファール球回収口32に落入してファール球回収通路33を通り下球皿連絡バケット37を介して下球皿7に回収される。
ハンマーに打ち出された遊技球のうち、遊技領域PAに到達した遊技球は、遊技領域内に打ち込まれた多数本の遊技釘や風車に弾かれながら遊技領域PAを転動落下し、落下過程で入賞装置に落入して化粧板11の裏面側に導かれ、あるいは入賞装置に落入することなく落下してアウト口18から化粧板11の裏面側に導かれ、ともに下部裏機構盤50の集合樋56に受け止められて集合され、遊技済み球排出通路57を通って下端の球排出口58から遊技施設の球回収装置に排出される。
遊技球が入賞装置に落入すると、各入賞装置に設けられた入賞球検出器から入賞検出信号が出力され、球払出制御基板82は入賞装置の種別に応じた払出指令信号を球払出装置42に出力し、球払出装置42は払出指令信号に応じた回転方向(正転方向)及び回転角度分だけ球払出モータを回転作動させて、所定数量(例えば、5球,10球,13球等)の遊技球を第1払出口から球払出下降通路46に払い出す。球払出下降通路46に払い出された遊技球は、この球通路下端の第1球出口46bから直下に位置する賞球連絡通路26の誘導通路部26aに流入する。
ここで、誘導通路部26aは一定の通路幅で前方に下傾して形成され、第1球出口46bはこの誘導通路部26aの後端に形成された誘導壁26rの直上に位置して配設されている。このため、誘導通路部26aの後端部に流入した遊技球は、上球皿通出通路66が開口部67近傍まで遊技球で充満されるようになるまでは、誘導通路部26aの左右の通路壁にガイドされて左右側壁の延長線の範囲内で賞球連絡通路26を前方に流下し、上球皿連絡ダクト65内の上球皿通出通路66を通って上球皿6の球皿部64に導かれる。すなわち上球皿6が遊技球で充満される以前では、球払出装置42から払い出された遊技球が、球払出下降通路46〜賞球連絡通路26〜上球皿通出通路66〜上球皿6の球皿部に至る上球皿払出通路L66を通って上球皿6に導かれ、開口部67から下球皿通出通路36に転入して下球皿7の球皿部に至る下球皿払出通路L67を通って下球皿7に導かれる遊技球はほとんど生じない。
遊技の展開に伴い、遊技球発射装置21から遊技領域PAに発射される遊技球の数量よりも入賞に対して払い出される遊技球の数量の方が多い状態が続くと、上球皿6の貯留球数が徐々に増加し、これに伴って球皿部64に貯留される貯留球が傾斜上方に遡って球皿部64を覆い、さらに球皿部64と段差がある上球皿通出通路66の出口前方で複数段に積み上がって球皿部全体が遊技球で満たされた状態になってくる。
そして上球皿通出通路66の入り口部が遊技球で満たされ、開口部67の近傍まで遊技球が停留するようになると、上球皿連絡通路66に新たに流入する遊技球が既に停留していた遊技球に弾かれて左方向に誘導され、あるいは開口部67の近傍に停留していた遊技球が新たに上球皿連絡通路66に流入した遊技球に押圧されて左方向に押し出され、開口部67から受け皿部35に転入するようになる。受け皿部35に転入した遊技球は、下球皿通出通路36を滑らかに転動流下し、下球皿連絡バケット37を介して下球皿7に至る下球皿払出通路L67を通って下球皿7に導かれる。
ここで、上球皿通出通路66に遊技球が貯留され始めた時期に、開口部67から受け皿部35に転落する遊技球は、既に上球皿通出通路66に停留していた遊技球(便宜的に停留球という)と接触して開口部67の方向に弾かれた遊技球と、後方に停留した遊技球に押圧されて開口部67の方向に押し出された遊技球とがある。
このうち、前者については、停留球に接触して弾かれた遊技球の転動方向がほぼ左側方に位置する開口部67に向かう遊技球に限られ、誘導通路部26bの作用によりまっすぐ前方に向けて流入してきた遊技球を、大きな反射角で反射するような場合に限られる。また、後者については、停留球の後方に繋がる遊技球から当該停留球に作用する押圧力のベクトルと、停留球よりも前方に位置する遊技球から当該停留球に作用する押圧力のベクトルとを合成した合力が左方向(開口部67の開口前方)に向かうものに限られる。すなわち、停留球に作用する合力は、当該停留球とその前後に位置する遊技球との球面同士の当接角度位置関係による押圧力の作用方向及び押圧力の大きさにより定まり、その合力が左方向となる停留球だけが押し出されて開口部67から受け皿部35に転入する。
従って、上球皿通出通路66に遊技球が貯留され始めた時点では、開口部67から受け皿部35に転入する遊技球は上記条件を満たすわずかな数量となり、球払出装置42から遊技球が払い出されるごとに少数ずつ開口部67から受け皿部35に転落し、下球皿払出通路L67を流下して下球皿7に導出される。これにより、遊技者は球払出通路L6が充満される以前の早期の段階で、上球皿払出通路L66が徐々に満たされつつあることを認識することができ、遊技球が少しずつ下球皿7に流下し始めた時点で、遊技施設の呼び出しランプ等を用いて遊技施設の係員を呼び、球箱を受け取って球抜き作業の準備を行うことができる。
このように払い出された遊技球が少しずつ下球皿7に流下する予告報知の状態で、さらに遊技球が次々払い出されると、払い出された遊技球が上球皿通出通路66の上流まで停留するようになり、とくに開口部67の存在しない右側では遊技球が盛り上がった状態で充満されるようになり、一部は賞球連絡バケット25側の賞球連絡通路66にも停留するようになる。
そして上記のように、上球皿通出通路66が上流端まで遊技球で充満され、さらに賞球連絡通路66にも遊技球が停留するようになると、通路内に停留する遊技球数の増加に伴って開口部67近傍の停留球に作用する押圧力が増大し、これによって開口部67に押し出される遊技球が増加する。また誘導通路部26aの効果により賞球連絡通路26をほぼまっすぐに前方に流下して上球皿通出通路66に流入していた遊技球が、通路前方に停留した遊技球に弾かれて拡大通路部26bを流下し、あるいは停留球が存在しない拡大通路部26bに押し出されて通路拡大部26bを流下し、開口部67から受け皿部35に転入するようになる。
このため、上球皿通出通路66が遊技球で充満され賞球連絡通路66にも遊技球が停留するようになると、開口部67から受け皿部35に転入する遊技球の数量が増加し、球払出装置42から遊技球が払い出されるごとに、あるいは遊技球の発射により球皿部64の貯留球が消費されて上球皿通出通路66が漸次流下し停留球への押圧力が変動するごとに、開口部67から受け皿部35に転入して下球皿払出通路L67を流下し下球皿7に導出されるようになる。
この状態では、新たに払い出された遊技球の多くは下球皿払出通路L67を通って下球皿7に払い出される。すなわち、上球皿の球皿部64が充満されて以降上球皿通出通路66が充満されるまでは、逐次少数の遊技球が下球皿7に導出される一方、上球皿通出通路66が充満されて以降では、多数の遊技球が下球皿7に払い出されるようになり、これにより遊技者は上球皿球払出通路L66が充満状態に近いことを的確に認識することができる。そこで、遊技者は予告報知の段階で準備した球箱を下球皿7の球抜き口の下側に配設し、下球皿7への払出状況や貯留状態を見ながら下部球抜き機構の球抜きレバーを操作して球抜き作業を行うことができる。
さて、以上では通常の遊技状態における遊技球の流れについて説明したが、次に球抜き操作が行われたときの遊技球の流れについて説明する。球抜き操作は、いわゆる打ち止めと称される定量制限に達して貯留タンク部41aに残留した遊技球を遊技施設の回収装置に排出させるときや、営業終了後に貯留タンク部41aに残留した遊技球を全量排出させるときなどに行われ、例えばパチンコ機PMの前面に設けられた球抜き操作孔(不図示)にハートキーと称される球抜き操作用のジグを挿入し、機体内部の球抜きスイッチを押圧操作することにより行われる。
球抜きスイッチが押圧操作されると、球抜きスイッチから球払出制御基板82に球抜き操作信号が入力され、球払出制御基板82は球抜き操作信号に基づいて球抜き指令信号を球払出装置42に出力する。球払出装置42は球抜き指令信号に応じた回転方向(逆転方向)及び回転角度分だけ球払出モータを回転作動させて、設定条件を満たす数量の遊技球を第2払出口から球抜き下降通路47に排出させる。具体的には、予め設定された所定時間球払出モータを逆転作動させ、あるいは球貯留アッセンブリ40Bに内蔵された球有無検出器で球貯留部の遊技球が全量排出されたことが検出されるまで球払出モータを逆転作動させ、貯留タンク部41aに貯留された遊技球を球払出装置42の第2球払出口から球抜き下降通路47に排出させる。
球抜き出下降通路47に排出された遊技球は、この球通路下端の第2球出口47bから賞球連絡バケット25の右側方を通って落下し、集合樋の右側壁56Rに受け止められて遊技済み球排出通路57を流下し、下端の球排出口58から遊技施設側の球回収装置に排出される。すなわち、球抜き操作が行われたときには、球払い出しモータが払い出し作動と反対方向に回転駆動されて、球払出装置42の第2払出口から遊技球が排出され、球抜き下降通路47〜遊技済み球排出通路57〜球排出口58に至る球排出通路L7を通って遊技施設側の球回収装置に導かれる。
以上説明したように、本構成の球通路構造では、上部裏機構盤40の上部に設けた球払出装置42の下側に、球払出通路L6の賞球下降通路46と、球排出通路L7の球抜き下降通路47とを前後に重ねて設け、かつこれらの球通路を前後方向に屈曲するS字状の中央通路壁44cを隔てて隣接して形成している。このため、賞球下降通路46及び球抜き下降通路47の両通路について静粛かつ滑らかな払い出し及び球抜きを確保しながら、これらの球通路が形成された上部裏機構盤40の左右方向の幅を減少させて窓口開口を拡大することができ、これにより遊技盤から後方に突設可能な領域を拡大してゲージ設定の自由度を拡大することができる。
また、本構成の球通路構造では、前枠2の後面側に開閉可能に取り付けられた下部ベース51の閉鎖姿勢において、下部ベース51の前面側に左右の側壁56L,56Rを有する遊技済み球排出通路57が形成され、これら側壁の間に突出する賞球連絡バケット25により球払出下降通路46と上球皿通出通路66との間を繋ぐ賞球連絡通路26が遊技済み排出通路57の通路内に配設されるように構成している。このため、裏機構盤の通路構成を簡明化できるとともに、遊技済み球排出通路57に球詰まりが生じた場合でも、下部ベース51の後面側に取り付けられた回路基板や電気部品等を取り外すことなく下部ベース51(裏機構盤50)を後方に開放して球抜き処理することができる。
また、本構成の球通路構造では、球払出通路L6の途上における賞球連絡通路26を、一定の通路幅で前方に延びる誘導通路部26aと、通路幅が前方に向けて拡大する拡大通路部26bとから構成するとともに、賞球連絡通路26の前方に誘導通路部26aの延長線よりも外側に位置して開口部67を設け、この開口部67と下球皿7との間を繋いで下球皿通出通路36を形成している。このため、上球皿6が充満状態のときに遊技球を下球皿7に導く下球皿払出通路を裏機構盤BSPに形成する必要がなく、従来裏機構盤に設けられていた下球皿払出通路を削除して裏機構盤の通路構成を簡明化できることに加えて、球払出通路L6に球詰まりが生じた場合でも前枠2や裏機構盤40,50を開放することなく、上球皿6を開放することで前枠前面側で球詰まり処理を行うことが可能となり、球詰まり処理の作業性を大幅に改善することができる。
さらに、上球皿6の球皿部が遊技球で充満される以前においては、賞球連絡通路26に流入した遊技球が誘導通路部26aに誘導されて通路側壁の延長線内で前方に流下し、上球皿通出通路66を通って上球皿6の球皿部に払い出される一方、上球皿6が遊技球で充満し上球皿通出通路66を遡って貯留されるようになると、球払出装置42から払い出された遊技球が下球皿通出通路36を通って少しずつ下球皿7に流下し、かつその流下量が充満状態に応じて変化して、上球皿払出通路が満たされつつあることを予告報知する。このため、遊技者は上球皿払出通路66が充満される以前に球払出通路L6が満たされつつあることを認識することができ、余裕を持って球箱を準備することができる。
従って、以上説明した本構成の球通路構造によれば、弾球遊技機の球通路構成を簡明化して生産コスト低減に寄与するとともに、球詰まり処理作業の繁雑さを解消し、かつ球払出通路が充満されるまでに余裕を持って球箱を準備可能な球通路構造を提供することができる。