JP4362341B2 - 弾球遊技機における経路機構 - Google Patents

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Description

本発明は、遊技盤を着脱可能に収容保持する前枠の表側に遊技球を貯留する上下の球皿を備え、前枠の裏側に上下の球皿に対して遊技球を払い出す球払出装置を備えた弾球遊技機における遊技球の経路機構に関する。
上記のような上下の球皿と球払出装置とを備えた弾球遊技機の代表例としてパチンコ機が広く知られている。パチンコ機では、遊技盤を着脱可能に収容保持する前枠の表側上部に遊技盤の前面を覆うガラス扉および上球皿がともに横開き開閉可能に設けられ、下部に下球皿および発射ハンドルが取り付けられる一方、前枠の裏側に遊技球の払出機構を備えた裏セット盤(裏機構盤ないし機構セット盤とも称される)が装備されており、発射ハンドルによる発射操作に基づいて上球皿に貯留された遊技球が1球づつ遊技盤に打ち出され、遊技盤面を転動落下させる過程で入賞具に落入させてゲームを行うようになっている。
前枠の裏側に配設される裏セット盤には、球貯留タンクに貯留された遊技球を遊技盤における入賞状態に応じて払い出す球払出装置、球払出装置と上球皿との間を連絡して設けられ球払出装置から払い出された遊技球を前枠の通出口および上球皿の通出樋を介して上球皿に流下させる上球皿払出通路、球払出装置と上球皿との間を連絡して設けられ上球皿払出通路が遊技球で充満された状態でさらに球払出装置から遊技球が払い出されたときに上球皿払出通路から溢れ出る遊技球を下球皿に流下させる下球皿払出通路などが配設されている。
ところで、上球皿払出通路が払い出された遊技球で充満されさらに下球皿払出通路の上流部まで遊技球が充満されると、球払出装置の下方に遊技球を受容する空間がなくなり、この状態で球払出装置を作動させると正確な数量の払い出しが困難なばかりか球払出装置を破損させるおそれも生じる。このため、下球皿払出通路には遊技球の充満状態を検出する満杯検出器が設けられており(例えば、特許文献1を参照)、この満杯検出器により下球皿払出通路が充満状態であると検出されたときには、一般的に球払出装置および遊技球発射装置の作動を規制して満杯状態が解除されるまで遊技球を発射できないように構成されている。
特開2003−135702号公報(第11頁、第6図)
このような背景のもと、近年のパチンコ機では1回の大当たりで上下の球皿に貯留しきれないほど多量の賞球を受け得る構成になっており、満杯検出に基づく遊技球発射装置の作動規制を回避して大当たり状態の利益を最大限享受するためには、大当たりの途中で下球皿から球箱(いわゆるドル箱)に遊技球を抜く球抜き操作が必要になっている。このため、遊技者は下球皿側に遊技球が払い出され始めた時点で、遊技島に設置された呼び出しランプ等を用いて遊技施設の係員を呼び、球箱を受け取って下球皿の球抜き準備を行っている。
しかしながら、下球皿側に遊技球が払い出され始めた時点において、上球皿側の払出通路は既に遊技球で充満された状態になっており、以降払い出される遊技球はほぼ全量が下球皿払出通路を通って下球皿に流下する。このため、遊技施設の係員が呼び出しランプに気づいて球箱を運んでくるまでの間に下球皿払出通路が充満され、遊技球発射装置の作動が規制されて発射不能状態に陥ってしまうことがあるという問題があった。特に近年では大当たり時に払い出し得る賞球数の増大に対応して、球払出装置が単位時間あたりに払出処理可能な遊技球数(すなわち払出速度)も増大し、短時間のうちに多量の遊技球が払い出されるようになって、球箱を準備する時間に余裕がないという問題が指摘されていた。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、払出通路が充満されるまでに余裕を持って球箱を準備し得るような経路機構を提供することを目的とする。
上記目的達成のため、本発明は、遊技盤を着脱可能に収容保持する前枠と、前枠の表側に配設されて遊技球を貯留する上球皿および下球皿と、前枠の裏側に配設されて遊技盤における入賞状態に応じて遊技球を払い出す球払出装置と、球払出装置と上球皿との間を連絡して設けられ球払出装置から払い出された遊技球を上球皿に流下させる上球皿払出通路と、球払出装置と下球皿との間を連絡して前枠の裏側に設けられ上球皿払出通路が遊技球で充満された状態でさらに球払出装置から遊技球が払い出されたときに上球皿払出通路から溢れ出る遊技球を下球皿に流下させる下球皿払出通路とを備えた弾球遊技機において、上球皿は前方に突出する上面開放の皿状に形成された球皿部を有して前枠の表側に前方に開閉可能に取り付けられるとともに、この上球皿には上球皿払出通路における球皿部よりも上流側の上球皿側の通路途上に開口部を有し上球皿が前枠に閉止された上球皿閉止状態で開口部と下球皿との間を連絡する下球皿流下通路(例えば、実施形態における下球皿流下通路L10,L20)が設けられ、上球皿閉止状態において、球払出装置から払い出された遊技球が球皿部から上球皿払出通路を遡って貯留されるようになった場合に、払い出された遊技球が下球皿払出通路を通って下球皿に流下するようになる以前に開口部の近傍に位置する遊技球を下球皿流下通路を介して下球皿に流下させ、上球皿払出通路が充満状態に近いことを予告報知するように経路機構を構成する。
上記構成の経路機構では、背景技術の項において説明したような上球皿払出通路および下球皿払出通路に加えて、上球皿払出通路の球皿部よりも上流側の通路途上に開口部を有し上球皿が前枠に閉止された上球皿閉止状態で開口部と下球皿との間を連絡する下球皿流下通路が設けられており、上球皿閉止状態において遊技球が球皿部から上球皿払出通路を遡って貯留されるようになった場合に、払い出された遊技球が下球皿払出通路を通って下球皿に流下するようになる以前に開口部の近傍に位置する遊技球を下球皿流下通路を介して下球皿に流下させ、上球皿払出通路が充満状態に近いことを予告報知するように構成されている。すなわち、球払出装置から払い出された遊技球が上球皿払出通路に貯留されるようになると、流路途上の開口部近傍に位置する遊技球が開口部から下球皿流下通路を通って少しずつ下球皿に流下され、上球皿払出通路が満たされつつあること予告報知される。このため、遊技者は上球皿払出通路が完全に充満される以前にこの通路が満たされつつあることを認識することができ、遊技者および遊技施設の係員ともに慌てることなく球箱を準備することができる。
また前枠裏側の下球皿払出通路に加えて、前枠の表側に上球皿を閉止した状態で開口部と下球皿との間を連絡する下球皿流下通路が別途形成されているため、下球皿払出通路が充満されるまでに貯留し得る遊技球の数量は、上下の球皿および払出通路に貯留し得る数量の遊技球に加えて、下球皿流下通路の体積に相当する数量の遊技球を貯留させることが可能になり、これにより下球皿払出通路が充満状態に至るまでの時間を延長することができる。
なお、前記上球皿は、当該上球皿の表裏を仕切るあて板の表側に球皿部が突出して配設されるとともに、あて板を表裏貫通して球皿部に繋がる出口開口を有しあて板の裏側に突出して設けられたダクト状の通出樋を備え、上球皿閉止状態においてあて板が前枠の表側下部を覆い通出樋が上球皿払出通路の前枠側の出口と出口開口との間を結んで配設され、前記開口部は通出樋における樋壁面の一部が切り欠かれて形成され、下球皿流下通路が、開口部と下球皿とを連絡してあて板の裏側に設けられるように構成することが好ましい
従って、本発明によれば、上下の払出通路がともに充満状態になるまでに時間的、精神的に余裕を持って球箱を準備できる経路機構を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る経路機構を備えた弾球遊技機の代表例として、図1および図2にパチンコ機の正面図を、図3にパチンコ機の背面図を示しており、まずこれらの図面を参照してパチンコ機PMの全体概要について説明する。なお図2は機体正面のガラス扉3および上球皿5を前方に開放した状態を示し、図3では裏セット盤の背面面に取り付けられる裏カバーを一部破断した状態を示している。
パチンコ機PMは、外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成された開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ機構により前方に横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置を利用して常には外枠1と係合連結された閉止状態に保持される。
前枠2の表側(前面側)上部には、ガラス扉3が前方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置を利用して常には前枠2の前面を覆う閉止状態に保持される。ガラス扉3の背後に位置する前枠上部には、遊技盤10を着脱可能に収容する収容枠が設けられており、この収容枠に立設姿勢で係止保持された遊技盤10がガラス扉3を通して視認されるようになっている。遊技盤10は、所定板厚の積層合板の表面にセルを貼り付けてルーター加工した化粧板11を基板とし、円弧状の外レール12および内レール13に囲まれた略円形の遊技領域PA内に多数本の遊技釘とともに風車や各種の入賞具14、遊技の展開状況に応じた図柄を表示させる画像表示装置15、左右のサイドランプなどの遊技構成部品が取り付けられ、遊技領域の下端部にアウト口18が設けられて構成される。
前枠2の表側中間部には、遊技補助盤と称される補助機構部が設けられるとともに、その前方に、上球皿5が正面左側に設けられたヒンジ機構4により横開き開閉および着脱可能に取り付けられ、正面右側に設けられた球皿施錠装置を利用して常には遊技補助盤の前面を覆う閉止状態に保持される。遊技補助盤20には、遊技球発射装置21のハンマーに叩打された遊技球をガイドし外レール12に向けて発射させる発射レール22、次述する上球皿の通出樋55と裏セット盤の上払出通路45との間を繋ぐ傾斜通路状に形成された上通出口25、遊技の展開状況に応じた効果音を発生させるスピーカを保持するとともにファール球回収通路等を形成させるスピーカーカバー31などが設けられている。
上球皿5は、遊技補助盤20の前面を覆う矩形蓋状に形成されたあて板51と、このあて板51の前面に取り付けられて前方に突出する椀状の外装体52と、あて板51と外装体52の間に取り付けられた皿部材53などからなり、あて板51の背面側には上球皿5を閉止した状態で遊技補助盤の上通出口25と位置整合して連絡し、上通出口25から流入する遊技球を受容して皿部材53の球皿部56に流下させるダクト状の通出樋55が背面側に突出して成型されている。
前枠2の表側下部には、上面開放形態の下球皿7が前方に突出して取り付けられ、前枠2の裏側下部には上面および前面に開口を有する箱状の下球皿連絡バケット37が後方に突出して取り付けられ、この下球皿7と下球皿連絡バケット37とが前枠2を前後に貫通する下通出口27で連絡されている(図10を参照)。下球皿7には、底面に形成された球抜き口を開放して球皿部に貯留された遊技球を球箱(一般的にドル箱と称される)BBに抜く下部球抜き機構8が設けられており、下球皿7の前面に設けられた球抜きレバーを操作して球抜き口を開放することで、下球皿7に貯留された遊技球を球箱BBに流下させて球抜きできるようになっている。下球皿7の正面右側には遊技球の発射操作を行う発射ハンドル9が取り付けられている。
一方、前枠2の裏側(後面側)には、裏セット盤40が前枠2の後方に横開き開閉および着脱可能に取り付けられている。裏セット盤40には、払い出し用の遊技球を貯留する球貯留タンク41、球貯留タンク41に貯留された遊技球を整列させて流下させるタンクレール42、タンクレール42を通って導かれる遊技球を遊技盤10における入賞状態に応じて払い出す球払出装置43、球払出装置43の斜め下方に位置して払出通路内に突出成型された仕切壁44、球払出装置43の直下に位置して形成され球払出装置43から払い出された遊技球を上球皿5に導く上払出通路45、仕切壁44を隔てて上払出通路45に隣接して形成され上払出通路45が充満された状態でさらに払い出された遊技球を下球皿7に導く下払出通路47、仕切壁44の上端高さに合わせた傾斜通路面を有し上払出通路45と下払出通路47との間を仕切壁44よりも上方で連絡する溢れ球通路46、入賞具14に入賞して化粧板11の裏面側に導かれたセーフ球およびアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれたアウト球を集合させて遊技島の回収装置に導く遊技済み球排出通路48などが設けられている。裏セット盤40の背面には、主制御基板や払出制御基板などの各種回路基板が取り付けられ、各電装部品がコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが構成される。
パチンコ機PMは、上球皿5およびガラス扉3が閉止施錠された状態で遊技に供され、上球皿5に遊技球を貯留させて発射ハンドル9の操作レバーを回動操作することにより遊技が開始される。操作レバーが回動操作されると、上球皿5に貯留された遊技球が上球皿5の背面に取り付けられた球送りカセットによって1球ずつ発射レール22に送り出され、遊技球発射装置21のハンマーに打ち出されて遊技領域PAに導かれる。
遊技領域PAに到達した遊技球は、遊技領域内に打ち込まれた多数本の遊技釘や風車に弾かれながら遊技領域PAを転動落下し、この落下過程で入賞具14に落入して化粧板11の裏面側に導かれ、あるいは入賞具14に落入することなく落下してアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれ、ともに裏セット盤40の遊技済み球排出通路48を通って遊技島の回収装置に排出される。各入賞具には入賞した遊技球を検出する入賞球検出器が設けられるとともに検出信号が主制御基板に出力されており、主制御基板はいずれかの入賞検出器から入賞検出信号が入力されると、その入賞具の種別に応じて予め設定された払出信号を払出制御基板を介して球払出装置43に出力し、球払出装置43は払出信号に応じた所定数量の遊技球を払い出す。
球払出装置43から払い出された遊技球は、通常では、払出通路内に形成された仕切壁44により上払出通路45に導かれ、前枠2を貫通する上通出口25および上球皿5に形成された通出樋55を通って球皿部56に導かれる。すなわち、上払出通路45が充満される以前においては、球払出装置43から払い出された遊技球が、上払出通路45〜上通出口25〜通出樋55を通って球皿部56に払い出される。本明細書では、このように球払出装置から上球皿5側に繋がる球通路を上球皿払出通路L5という。
一方、上球皿5が満杯になり上払出通路45が仕切壁44の上端まで充満された状態で、さらに球払出装置43から遊技球が払い出されたときには、払い出された遊技球が仕切壁44を越えて下払出通路47側に溢れ、あるいは溢れ球通路46を迂回して下払出通路47に流入し、下払出通路47を流下して下球皿連絡バケット37および下通出口27を通って下球皿7に導かれる。すなわち、上払出通路45が充満されて以降では、球払出装置43から払い出された遊技球が下払出通路47〜下球皿連絡バケット37〜下通出口27を通って下球皿7に払い出される。本明細書ではこのように球払出装置から下球皿7側に繋がる球通路を下球皿払出通路L7という。
下払出通路47の下流部には、下球皿連絡バケット37の上方に位置して球通路の充満状態を検出する満杯検出器49が設けられてその検出信号が主制御基板に入力されており、主制御基板は満杯検出器49により当該通路位置における下球皿払出通路L7の充満状態が検出されたときに、球払出装置43および遊技球発射装置21の作動を規制するように構成されている。
以上のように概要構成されるパチンコ機PMにあって、上球皿払出通路L5の通路途上に開口部を有し、この開口部と下球皿7との間を連絡する下球皿流下通路が前枠2の表側に設けられている。
以下では、図4〜図12の各図を参照して、まず遊技補助盤20および上球皿5に設けられた球通路についてもう少し詳しく説明したのち、続けて第1構成形態の下球皿流下通路L10について説明する。ここで、図4〜図12の各図について予め概要説明すると、図4は上球皿5を開放した状態で遊技補助盤側の各球通路を示す正面図、図5は上球皿を閉止した状態で上球皿側の各球通路を示す正面図、図6は下球皿流下通路L10を主として示す上球皿5の背面図、図7は下球皿流下通路L10の開口部およびシャッター機構の構成を示す分解斜視図、図8は図5中のVIII−VIII矢視方向に見たシャッター機構周辺の平断面図、図9は上球皿払出通路L5および下球皿流下通路L10を主として示すパチンコ機PMの平断面図、図10は遊技時における遊技球の流れを説明するためのパチンコ機PMの側断面図、図11は上球皿5を開放したときの各球通路の位置関係およびシャッター機構の状態を示す平断面図、図12は上球皿5を開放したときの遊技球の流れを説明するためのパチンコ機PMの側断面図である。
さて、遊技補助盤20に取り付けられたスピーカーカバー31の背後では、発射レール22と外レール12との間が所定間隔隔てられて上方に開くファール球回収口32が形成され、その下側にファール球回収口32に落入したファール球を流下させるファール球回収通路33が形成されている。また上通出口25の下側ではカバー部が前方に張り出されて上方に開く球受け口35が形成され、その下側に球受け口35に落入したこぼれ球を流下させるこぼれ球回収通路36が形成されている。
ファール球回収通路33とこぼれ球回収通路36とは、遊技補助盤の左右略中央部で合流し、前枠2を上下に貫通して形成された集合回収口26を介して下球皿連絡バケット37に繋がっている。これにより、ファール球回収口32に落入したファール球および球受け口35に流入したこぼれ球が、それぞれファール球回収通路33、こぼれ球回収通路35を通って集合回収口26から下球皿連絡バケット37に流下し、下通出口26を通って下球皿7に導かれる。スピーカーカバー31は、集合開口26の直上部が一部切り欠かれて前方に開口するシャッター受容部160が形成されており、後述するシャッター機構150を受容可能になっている。
一方、上球皿5は、前述したように矩形蓋状のあて板51と、あて板51の前面に取り付けられて前方に突出する椀状の外装体52と、あて板51と外装体52の間に取り付けられた皿部材53などから構成される。あて板51の前面側に位置する皿部材53には遊技球を貯留する球皿部56が形成されており、この球皿部56は、図5および図10に一部断面を示すように右傾した平皿状をなし、傾斜下方に向けて遊技球を集合させるティアドロップ状に形成されるとともに、その下流側は遊技球を1列の整列状態で待機させる発射球整列通路57に繋がっている。
発射球整列通路57の下流部は、上球皿5が前枠2に閉止された状態で発射レール22の基端部と前後に対峙する整合位置で「く」の字状に折り返され、あて板51の中央部に向けて左傾する球抜き流下通路58に繋がっている。発射球整列通路57と球抜き流下通路58とは、折り返し部に開閉操作可能に設けられた上部球抜き機構6の弁部材により常には仕切られており、このように仕切られた発射球整列通路57の下流端部(球通路の折り返し部)に、遊技球を1球ずつ送り出す球送りカセットが取り付けられている。球送りカセットは発射ハンドル9の発射操作に基づいて遊技球発射装置21と同期して制御され、発射球整列通路57に整列待機された遊技球が1球ずつ発射レール22に送り出され、遊技球発射装置21のハンマに打ち出されるようになっている。
球抜き流下通路58の下流部は、上球皿5が前枠2に閉止された状態で遊技補助盤20のシャッター受容部160と前後に対峙する整合位置で後方に折り曲げられ、あて板51を前後に貫通する球抜き口59を通ってあて板51の背面側に導出される。
あて板51の背面側には、前述した上球皿払出通路L5を構成する通出樋55が突出成型されており、上球皿5が前枠2に閉止された状態で通出樋55と下球皿7との間を連絡する下球皿流下通路L10があて板51の背面に設けられている。
下球皿流下通路L10の上部構造は、あて板51の背面に立設された通路壁101,102に囲まれて後面開放の凹溝状に区画形成された通路溝と、この通路溝の後面開放部を覆ってネジ固定された通路カバー103とを主体として構成される。通出樋55の出口側(球皿部56に繋がる前端側)には、背面視における左側面から底面にかけて樋壁面の一部が切り欠かれて開口部111が形成されており、上球皿払出通路L5から分岐する分岐流路を形成する。通出樋55の入り口側(上通出口25と連絡する後端側)には、開口部111の後方に位置して側方から中央に向けて斜めに延びる球寄せ辺55sが設けられており、後方の上通出口25から流入して前方の球皿部56に流下する遊技球を通出樋55の中央寄りに誘導して、上球皿払出通路L5を流下する遊技球が直接下球皿流下通路L10に流入しないように構成している。
開口部111が開設された下球皿流下通路L10の上流部には、比較的広い通路幅を有して上下に延びる通路室112が形成されており、この通路室112に所定量の遊技球を貯留し得るようになっている。一方、通路カバー103には、この通路カバー103を取り付けたときに通路室112の底部壁面の上方に位置して傾斜する流下誘導片103sが形成されており、通路室に流入した遊技球が通路室112の底部に停留することなく下流側に誘導されるようになっている。
下球皿流下通路L10の中流部では、上下の通路壁101,102が緩い傾斜をもって傾斜通路部113が形成されるとともに、球抜き口59の上方で緩やかに下向きに折り曲げられて下降する下降通路部が形成されており、下球皿流下通路L10と球抜き流下通路58とが球抜き口59を介して合流する。下降通路部の下端では、球抜き口59の左右に位置する通路壁101,102および底面壁105が延出されて後方に突出する箱状の突出部106が形成され、この突出部106の上面側に合流口115、下面側にシャッター口116が形成されている。合流口115およびシャッター口116の開口寸法は、ともに遊技球の直径よりも大きめに形成されており、下球皿流下通路L10と合流して上下に延びる球通路が形成される。そしてこの突出部106にシャッター口116を開閉するシャッター機構150が設けられている。
シャッター機構150は、図7に分解斜視図を示すように、シャッター口116を開閉するシャッター部材151、シャッター部材151を前後方向にスライド変位自在に支持する左右のガイド支柱156、左右のガイド支柱156に支持されたシャッター部材151を常時後方(閉鎖方向)に付勢するコイルバネ157、左右の通路壁101,102の外側に位置して後方に突出成型されガイド支柱156およびコイルバネ157を支持する支持ボス158、遊技補助盤側の集合回収口26の前端部に突出成型された係合突起163などから構成される。
シャッター部材151は、ブレード部152と、このブレード部の左右端部が上方に折り曲げられて形成された左右の側辺部154と、側辺部の上端がガイド支柱156の外径よりも幾分大きめの内径を有する円筒状にカーリング成型された軸受部155とを有し、例えばステンレス合金等の薄板を打ち抜きおよびプレス成型等により加工成形し、全体として背面視凹状に形成されている。
ガイド支柱156は、本実施例では市販品の十字スリ割り付きネジを用いて生産コストを低減した例を示しており、その長さは、ガイド支柱を支持ボス158に螺合させて固定したときに、ネジ頭部における座面の配設位置がシャッター口116の後端位置と略一致する長さ寸法に設定されている。
ブレード部152は、左右中央部分がシャッター口116の開口幅に合わせて前方に凸状に形成されるとともに、その前端部が直角に屈曲されて下方に突出する係合受け部153が形成されており、この係合受け部153が上球皿5の閉止および開放に応じて遊技補助盤側の係合突起163と係脱し得るようになっている。ブレード部152の前後方向寸法は、突出部106における底面壁105の張出寸法よりも幾分短く、シャッター口116よりも長めに形成されており、シャッター部材151をガイド支柱156に支持させて前方にスライドさせたときに、ブレード部152が底面壁105の下側に位置してシャッター口116全体を開放する一方、軸受部155の後端面がガイド支柱156のネジ頭部に当接するまでシャッター部材151を後方にスライドさせたときに、ブレード部152がシャッター口116の下面を閉鎖するように設定されている。
シャッター口116は、突出部106における底面壁105の後部、および後面壁107の下部を切り欠いて、下端コーナー部を利用して形成されており、下球皿流下通路L10および球抜き流下通路58から流下する遊技球を斜め後方の集合回収口26に向けて滑らかに流下させるとともに、前後方向に比較的小さいスライドストロークでシャッター口116を開閉し得るようになっている。
シャッター部材151における側辺部154および軸受部155は、前端側がブレード部152よりも短く形成されており、その寸法はコイルバネ157との相対関係に基づいて設定されている。すなわち、シャッター部材151を前方にスライドさせて係合受け部153をあて板51の背面に当接させた状態において、軸受部155の前端面(より詳細には座金159の前端面)とあて板51との間隔がコイルバネ157の密着長よりも大きく、またシャッター部材151を後方にスライドさせて軸受部155の後端面をガイド支柱156のネジ頭部に当接させた状態において、軸受部155の前端面(同上)とあて板51との間隔がコイルバネ157の自由長よりも小さくなるように相互関係が設定される。
左右の通路壁101,102の外側に位置して突出成型された支持ボス158は、その中心にガイド支柱156のネジ部を受容して支持するネジ受容穴が形成され、外径寸法はコイルバネ157の内径に合わせてこれよりも幾分大きめに設定されるとともに、突出高さは上記のようにシャッター部材151を前方に移動させたときでも軸受部155等と当接しないような高さ寸法に設定されており、ガイド支柱156の支持部とコイルバネ157の支持部との機能をひとつの支持ボス158に集約させ、かつシャッター部材151の開閉ストロークとコイルバネ157の伸縮長さとを確保した構成になっている。
シャッター部材151は、左右の軸受部155に後方からガイド支柱156を嵌挿し、前方に突出した支柱部に座金159を支持させたうえ、先端のネジ部を支持ボス158側に支持させたコイルバネ157を通して支持ボス158に螺合締結することにより、あて板51の背面側に取り付けられる。こうしてシャッター部材151が取り付けられると、シャッター部材151は左右のガイド支柱156に沿って前後にスライド移動自在に支持されるとともに、常にはコイルバネ157の付勢力により後方に付勢され、ブレード部152がシャッター口116の下面を閉鎖する閉鎖位置に保持される。
このように、シャッター機構150では、シャッター口116を突出部106の下端コーナ部を利用してシャッター部材151の開閉ストロークを低減し、軸受部155の前方部分をブレード部152よりも短縮してコイルバネ157の収容寸法を確保し、さらにガイド支柱156の支持部とコイルバネ157の支持部を支持ボス157に集約しつつシャッター部材151の開閉ストロークとコイルバネ157の伸縮長さとを確保して、簡明かつコンパクトな構成を実現している。
一方、遊技補助盤20側にはシャッター機構150を受容するシャッター受容部160が形成されている。シャッター受容部160は、集合開口26の直上部に位置するスピーカーカバー31が上球皿5側の突出部106およびシャッター機構150の配設位置および突出形状に合わせて欠かれて前方に開口する凹状に形成されており、上球皿5の閉止および開放に応じて突出部106およびシャッター機構150を収脱自在に収容し得るようになっている。
集合回収口26は、シャッター機構150におけるブレード部152の高さ位置に合わせて枠状の上縁面が形成されるとともに、前面中央には前方に突出して左右に延びる係合突起163が形成されている。係合突起163の前端部は側断面視において滑らかな円弧状に形成されており、上球皿5を閉止方向に揺動させたときにシャッター機構150をシャッター受容部160に滑らかに受け入れて係合受け部153と係合し、この係合受け部153を前方に押圧してコイルバネ157の付勢力に抗してシャッター部材151を前方にスライドさせる。
上球皿5を前枠2に閉止させた状態では、下球皿流下通路L10の通路カバー103と遊技補助盤のケースカバー31とが対峙して配設される一方、シャッター機構150の後部および突出部106がシャッター受容部160内に収容され、シャッター機構におけるブレード部152が底面壁107の下側に収容されてシャッター口116を開放する開放位置に配設される。開放位置ではコイルバネ157が密着することなく圧縮シロを残して配設されるとともに、係合受け部153とあて板51との間に所定のクリアランスが確保されており(図10における部分拡大図を参照)、シャッター口116の全体を開放させつつ上球皿5を確実に閉止保持させることができる構成になっている。
上球皿5を前枠2に閉止させた状態では、上球皿5の上部において通出樋55が遊技補助盤側の上通出口25と連絡し、裏セット盤40の球払出装置43から上払出通路45〜上通出口25〜通出樋55〜球皿部56に繋がる上球皿払出通路L5が形成され、前枠2の表側では通出樋55に形成された開口部111から通路室112〜傾斜通路113〜シャッター口116を通り集合回収口26〜下球皿連絡バケット37および下通出口27を介して下球皿7に繋がる下球皿流下通路L10が形成される。
またシャッター受容部160では、この受容部に収容された突出部106の上面側の合流口115から下面側のシャッター口116を通って集合回収口26に至る上下に連通した球通路が形成され、これによりファール球回収口32に落入したファール球、および球受け口35に落入したこぼれ球を、それぞれファール球回収通路33、こぼれ球回収通路36から合流口115〜シャッター口116〜集合回収口26〜下球皿連絡バケット37および下通出口27を介して下球皿7に流下させる集合回収通路が形成される。
さて、以上のように構成されるパチンコ機PMにおける遊技球の流れ(各球通路の作用)について以下に説明する。パチンコ機PMは、図1に示すように上球皿5およびガラス扉3が閉止施錠された状態で遊技に供され、遊技者が上球皿5の球皿部56に遊技球を貯留させて発射ハンドル9の操作レバーを回動操作することにより開始される。操作レバーが回動操作されると、発射球整列通路57に整列待機された遊技球がこの発射球整列通路57の下流端部に配設された球送りカセットによって1球ずつ発射レール22に送り出され、遊技球発射装置21のハンマーに打ち出される。
ハンマーに打ち出された遊技球のうち、遊技領域PAに到達できずに外レール12に沿って戻ってきた遊技球は、ファール球回収口32に落入してファール球回収通路33を通り、突出部上面の合流口115からシャッター口116〜集合回収口26〜下球皿連絡バケット37および下通出口27を流下して下球皿7に回収される。
一方、ハンマーに打ち出された遊技球のうち、遊技領域PAに到達した遊技球は、遊技領域内に打ち込まれた多数本の遊技釘や風車に弾かれながら遊技領域PAを転動落下し、この落下過程で入賞具14に落入して化粧板11の裏面側に導かれ、あるいは入賞具14に落入することなく落下してアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれ、ともに裏セット盤40の遊技済み球排出通路48を通って遊技島の回収装置に排出される。入賞具14に入賞した遊技球は、各入賞具に設けられた入賞球検出器に検出されて入賞検出信号が主制御基板に出力され、主制御基板は入賞具の種別に応じた払出信号を払出制御基板を介して球払出装置43に出力し、球払出装置43は払出信号に応じた所定数量(例えば、5球,10球,13球等)の遊技球を払い出す。
球払出装置43から払い出された遊技球は、上球皿払出通路L5が充満される以前では払出通路内に形成された仕切壁44により上払出通路45に導かれ、この上払出通路45から上通出口25を通って通出樋55に流入する。ここで通出樋55の入り口側には、通出樋55に流入した遊技球を中央寄りに誘導する球寄せ辺55sが設けられており、上通出口25から流入して通出樋55を流下する遊技球は、球寄せ辺55sに誘導されて開口部111の側方を通過して球皿部56に導かれる。
このため、払い出された遊技球が開口部111の周辺に停留するようになるまで、具体的には、球皿部56が遊技球で満たされ通出樋55に遊技球が貯留されるようになるまでは、球払出装置43から払い出された遊技球が上払出通路45〜上通出口25〜通出樋55を流下して球皿部56に至る上球皿払出通路L5を通って球皿部56に導かれ、開口部111から下球皿流下通路L10に転入して下球皿7に流下する遊技球はほとんど生じない。
遊技の展開に伴い、遊技球発射装置21から遊技領域PAに発射する遊技球よりも入賞に対して払い出される遊技球の方が多い状態が続くと、球皿部56の貯留球数が徐々に増加し、これに伴って球皿部56に貯留される貯留球が傾斜上方に遡って球皿部を覆い、さらに球皿部56と段差がある通出樋55の出口前方で複数段に積み上がって球皿部全体が遊技球で満たされた状態になってくる。
そして通出樋55の出口前方まで球皿部が満たされ、遊技球が通出樋55の通路内部にまで貯留されるようになると、開口部111の側縁近傍に停留した遊技球の一部が、新たに通出樋に流入して後方に繋がる遊技球により開口部111の方向に押圧され、開口部111から通路室112に転入する。通路室102に転入した遊技球は、この通路室102の下部に配設された流下誘導片103sに誘導されて傾斜通路部113を滑らかに転動流下し、シャッター口116から集合回収口26〜下球皿連絡バケット37〜下通出口27を介して下球皿7に至る下球皿流下通路L10を通って下球皿7に導かれる。
ここで、通出樋55の通路内部に遊技球が貯留され始めて以降、開口部111から通路室112に転入する遊技球は、開口部111の近傍に位置して停留した遊技球(便宜的に停留球という)のうち、停留球の後方に繋がる遊技球から当該停留球に作用する押圧力のベクトルと、停留球よりも前方に位置する遊技球から当該停留球に作用する押圧力のベクトルとを合成した合力が開口部111の方向に向かうものに限られる。すなわち、停留球に作用する合力は、当該停留球とその前後に位置する遊技球との球面同士の当接角度位置関係による押圧力の作用方向および押圧力の大きさにより定まり、その合力が開口部111の内側方向となる停留球が開口部111から通路室112に転入する。
従って、通出樋55の通路内部に遊技球が貯留され始めて以降、開口部111から通路室112に転入する遊技球は、開口部111の側縁近傍に停留した遊技球のうちで上記条件を満たす一部の遊技球となり、球払出装置43から遊技球が払い出されて停留球への押圧力が変動し、また遊技球の発射により球皿部56の貯留球が消費されて通出樋55内の貯留球が漸次流下して移動するごとに、逐次数球ずつ開口部111から通路室112に転入して下球皿払出通路L10を流下し下球皿7に導出される。
これにより、遊技者は上球皿払出通路L5が完全に充満される以前に、この球通路が徐々に満たされつつあることを認識することができ、遊技球が少しずつ下球皿7に流下し始めた時点で、例えば図1中に二点鎖線で付記する遊技島の呼び出しランプLP等を用いて遊技施設の係員を呼び、球箱BBを受け取って下球皿7の球抜き作業の準備を行うことができる。
このように遊技球が少しずつ下球皿7に流下する予告報知の状態で、さらに遊技球が次々払い出されると、払い出された遊技球が通出樋55から上通出口25〜上払出通路45へと上球皿払出通路L5を遡るように貯留され、上払出通路45の上流部まで遊技球で充満された状態になってくる。
そして、上払出通路45と下払出通路47との間を仕切る仕切壁44の上端まで遊技球が充満された状態で、さらに球払出装置43から遊技球が払い出されると、仕切壁44に堰き止められた遊技球が仕切壁44を越えて下払出通路47側に溢れ、あるいは溢れ球通路46を迂回して下払出通路47に流入して、下払出通路47から下球皿連絡バケット37および下通出口27を通って下球皿7に繋がる下球皿払出通路L7を流下して下球皿7に払い出されるようになる。
この状態では、遊技球の発射により消費されて徐々に減少する貯留球と、漸次開口部111から下球皿流下通路L10を通って下球皿7に流下する遊技球とを合わせた数量程度の遊技球が上球皿払出通路L5側に補給され、新たに払い出された遊技球の大部分は下球皿払出通路L7を通って下球皿7に払い出される。すなわち、上球皿の球皿部56が充満されて以降上球皿払出通路L5が充満されるまでは、逐次少数の遊技球が下球皿7に導出される一方、上球皿払出通路L5が充満されて以降では、多数の遊技球が下球皿7に払い出されるようになり、これにより遊技者は上球皿払出通路L5が充満状態になったことを的確に認識することができる。
そこで、遊技者は予告報知の段階で準備した球箱BBを下球皿7の球抜き口の下側に配設し、下球皿7への払出状況や貯留状態を見ながら下部球抜き機構8の球抜きレバーを操作して球抜き作業を行うことができる。
なお、球抜き操作を行うことなく下球皿7の貯留球が増大して充満されると、払い出された遊技球は下通出口27から下球皿連絡バケット37を満たし、さらに下球皿払出通路L7を遡るように下払出通路47を満たしてゆく。そして貯留球が下払出通路47に設けられた満杯検出器49の通路位置まで充満され、満杯検出器49から充満状態の検出信号が主制御基板に出力されると、主制御基板がその検出信号に基づいて球払出装置43および遊技球発射装置21の作動を規制し、払出作動および発射作動が停止される。
ここで、本構成の経路機構では、下球皿払出通路L7に加えて別途下球皿流下通路L10が設けられ、上球皿払出通路L5が貯留球で充満された以降においても、下球皿払出通路L7を通って後方から下球皿連絡バケット37に流入する遊技球と、下球皿流下通路L10を通って前方から下球皿連絡バケット37に流入する遊技球とが併存する。このため満杯検出器49の検出信号に基づく作動規制がかかるまでに貯留し得る遊技球の数量は、上下の球皿5,7および上下の球皿払出通路L5,L7に貯留し得る数量に加えて、下球皿流下通路L10に貯留される数量分増加させることができ、これにより作動規制がかかるまでの時間を延長して、多数の遊技球が下球皿7に払い出されるようになっても慌てることなく余裕を持って球抜き作業を行えるようになっている。
ところで、パチンコ機では上球皿5の背面側に取り付けられた球送りカセットに球詰まりが発生したり、発射レール22に複数の遊技球が留置されて遊技球を発射できなくなることが稀にあり、遊技中に上球皿5を開放して不具合を解消する必要が生じる。シャッター機構150は、上球皿5を開放する際に上球皿の球通路内に遊技球が残留していた場合でも、これらの残留球がこぼれ落ちないように設けられたものである。
上球皿5が前枠2に閉止施錠された状態から施錠を解放して前方に引くと、上球皿5は正面左側に設けられたヒンジ機構4のヒンジピンを揺動軸として揺動し、図11および図12に示すように、下球皿流下通路L10における突出部106およびシャッター機構150がシャッター収容部160に収容された状態から脱してシャッター収容部160の前方に移動し、通出樋55は上通出口25と連絡した状態から上通出口25の前方に隙間をおいて離れた状態に変移する。
このとき、シャッター機構150では、突出部106が前方に移動し、遊技補助盤側の係合突起163が相対的に後方に変位することに伴って、係合突起163と当接して押さえられていた係合受け部153への押圧力が解放され、圧縮されていたコイルバネ157の弾性力によりシャッター部材151が後方にスライド移動して、ブレード部152がシャッター口116の下面を閉鎖する。
このため、上球皿5の開放時に既に下球皿流下通路L10の内部に貯留されていた遊技球や、上球皿5を開放する際に開口部111から下球皿流下通路L10に流入した遊技球が、ブレード部152に堰き止められて下球皿流下通路L10内に保持され、球こぼれを生じることがない。
また下球皿流下通路L10と球抜き流下通路58とを合流させ、シャッター機構150を合流部よりも下流側に設けているため、例えば上球皿5を開放する際や開放後に誤って上部球抜き機構6の球抜き操作レバーを開方向に操作した場合であっても、球抜き流下通路58を流下し球抜き口59を通って合流した遊技球がブレード部152に堰き止められて球抜き流下通路58内に保持され、上記同様に球こぼれを生じることがない。
さらに、シャッター機構150では上球皿5の閉止・開放に連動してシャッター部材151が前後にスライドしシャッター口116を開放・閉鎖する構成のため、上球皿の開閉ごとに係員がシャッターの開閉操作を行う必要がなく、作業性の良好な経路機構を提供することができる。
一方、上球皿5の開放に伴って生じた通出樋55と上通出口25の隙間の下方には、ケースカバー31が前方に張り出されて上方に開く球受け口35が形成されており、その下側に球受け口35に落入したこぼれ球を流下させるこぼれ球回収通路36が形成されている。
このため、上球皿5を開放する以前に上球皿払出通路L5に遊技球が貯留されていた場合でも、上球皿5を開放したときに上通出口25から前方に溢れ出たこぼれ球、および通出樋55から後方に溢れ出たこぼれ球が、その下側に位置して上方に開口する球受け口35に落入してこぼれ球回収通路36を流下し、突出部106が離脱したシャッター収容部160を落下して、集合回収口26から下球皿連絡バケット37〜下通出口26を通って下球皿7に回収される。従って、上球皿5を開放する際に上球皿払出通路L5に遊技球が貯留されていた場合であっても、溢れ出た遊技球がこぼれ球回収通路36を通って下球皿7に回収され、遊技球をまき散らしてしまうようなことがない。
従って、以上説明したような経路機構を備えることにより、上下の球皿払出通路がともに充満状態になるまでに時間的、精神的に余裕を持って球箱を準備できるとともに、上球皿を開放する際に各球通路に遊技球が残留していた場合でもこれらの遊技球をまき散らしてしまうことがないパチンコ機を提供することができる。
次に、第2構成形態の下球皿流下通路L20について説明する。ここで、図13は上球皿5を開放した状態で遊技補助盤側の各球通路を示す正面図、図14は上球皿を閉止した状態で上球皿側の各球通路を示す正面図、図15は下球皿流下通路L20を主として示す上球皿5の背面図、図16は下球皿流下通路L20の開口部およびシャッター機構の構成を示す分解斜視図、図17は図14中のXVII−XVII矢視方向に見たシャッター機構周辺の平断面図、図18は上球皿払出通路L5および下球皿流下通路L20を主として示すパチンコ機PMの平断面図、図19は遊技時における遊技球の流れを説明するためのパチンコ機PMの側断面図、図20は上球皿5を開放したときの各球通路の位置関係およびシャッター機構の状態を示す平断面図、図21は上球皿5を開放したときの遊技球の流れを説明するためのパチンコ機PMの側断面図である。
なお本構成形態の経路機構では、上球皿5を前枠2に閉止した状態で通出樋55と下球皿7との間を連絡する下球皿流下通路L20が遊技補助盤20の前面側に設けられたこぼれ球回収通路36を併用する形態で構成されており、球受け口35の開口幅を除く遊技補助盤20の構成、あて板51の背面に形成された下球皿流下通路L10を除く上球皿5の主要構成などは、図1〜図12を参照して説明したパチンコ機PMと同様である。そこで、同様部分に同一番号を付して重複説明を省略し、以下、下球皿流下通路L20について詳細に説明する。
下球皿流下通路L20は、上球皿5を前枠2に閉止した状態で通出樋55の下方に位置する球受け口35を有し、球受け口35に落入した遊技球を下球皿7に流下させるこぼれ球回収通路36を併用して構成される。通出樋55の入口側(上通出口25と連絡する後端側)には、正面視における左側の底面の一部が切り欠かれて上下に連通する開口部211が形成されており、この開口部211を介して上球皿払出通路L5から分岐する分岐流路が形成される。
ここで、上払出通路45の内部には、図18に示すように、球払出装置43から払い出された遊技球を右下方に誘導する第1傾斜誘導辺45sと、この第1傾斜誘導辺45sにより誘導された遊技球を前方に導く第2傾斜誘導辺45tとが設けられており、球払出装置から払い出された遊技球は、これらの傾斜誘導辺45s,45tに誘導されて上払出通路45を平面視右回りに旋回するように折り返されながら流下する。このため上通出口25〜通出樋55の入口近傍部では遊技球が球通路の右寄りの領域を流下し、上通出口25の内部まで遊技球が貯留され通路内に停留する遊技球に弾かれて左方向に誘導されるようになるまで左寄りの領域を通る遊技球はほとんど生じないという特性を有している。
開口部211は、上記のような特性に基づいて、通常では遊技球がほとんど流下しない通出樋55の入口左側の通路面を一部切り欠いて形成されるとともに、通出樋55を斜めに流下する遊技球が直接開口部211に転入しないように、開口部211の中央寄りの側縁に上方に突出して前後に延びる仕切壁55tが形成されている。
開口部211の下方では、スピーカーカバー31のカバー部が前方に張り出されて上方に開く球受け口35が形成され、その下側に球受け口35に落入した遊技球を流下させるこぼれ球回収通路36が形成されている。前述したように、こぼれ球回収通路36は遊技補助盤20の左右略中央部でファール球回収通路33と合流し、シャッター機構150を受容するシャッター受容部160、および前枠2を上下に貫通する集合回収口26を介して下球皿連絡バケット37に繋がっている。これにより、上球皿5を前枠2に閉止した状態において、開口部211から球受け口35〜こぼれ球回収通路36〜シャッター受容部160〜集合回収口26〜下球皿連絡バケット37〜下通出口27を介して下球皿7に繋がる下球皿流下通路L20が形成される。
一方、上球皿5におけるあて板51の背面側には、球抜き口59の周囲を囲んで後方に突出する突出部206が形成され、この突出部206に前述したシャッター機構と同様のシャッター機構150が設けられている。
突出部206は、左右の通路壁201,202、上面壁204、底面壁205および後面壁207により球抜き口59の周囲を囲んで後方に突出する箱状に形成され、球抜き流下通路58が後方に延出されるとともに、突出部206の後部には上面側に合流口215、下面側にシャッター口216が開口形成され、球抜き流下通路58と繋がって上下に延びる球通路が形成される。突出部206は、上球皿5の閉止状態において突出部206の後部がシャッター受容部160内に収容されるようになっており、合流口215およびシャッター口216がシャッター受容部160内に位置して下球皿流下通路L20の一部を構成し、球抜き流下通路58と下球皿流下通路L20とがシャッター受容部160内で合流するようになっている。
シャッター機構150は、シャッター口216を開閉するシャッター部材151、シャッター部材151を前後方向にスライド変位自在に支持する左右のガイド支柱156、左右のガイド支柱156に支持されたシャッター部材151を常時後方(閉鎖方向)に付勢するコイルバネ157、左右の通路壁201,202の外側に位置して後方に突出成型されガイド支柱156およびコイルバネ157を支持する支持ボス158、遊技補助盤側の集合回収口26の前端部に突出成型された係合突起163などから構成される。シャッター機構150は、図7に示した分解斜視図と、図16に示した分解斜視図とを比較参照しても明らかなように、記述したシャッター機構と同様に構成されており、ここでは同一構成部分に同一番号を付して重複説明を省略する。
なお、本構成形態における突出部206の合流口215は、後面壁207の上部を左右の通路壁よりも短く形成して上端コーナー部を切り欠いた構成にしており、下球皿流下通路L20が合流口215よりも上方まで遊技球で充満されたような場合でも、貯留された遊技球が合流口215とシャッター受容部160との間に噛み込むことなく上球皿5を開放できるようになっている。また、シャッター口216は、後面壁207の下部を切り欠いて下端コーナー部を利用して形成されており、下球皿流下通路L20および球抜き流下通路58から流下する遊技球を斜め後方の集合回収口26に向けて滑らかに流下させるとともに、前後方向に比較的小さいスライドストロークでシャッター口216を開閉し得るようになっている。
一方、遊技補助盤20側にはシャッター機構150を受容するシャッター受容部160が形成されている。シャッター受容部160についても前述したシャッター受容部と同様に、上球皿5側の突出部206およびシャッター機構150の配設位置および突出形状に合わせて形成されており、上球皿5の閉止および開放に応じて突出部206およびシャッター機構150を収脱自在に収容し得るようになっている。また集合回収口26の前面中央には前方に突出して左右に延びる係合突起163が形成されており、上球皿5の閉止および開放に応じてシャッター機構150の係合受け部153と係脱してシャッター部材151をスライドさせ、シャッター口216を開放および閉鎖する。
上球皿5を前枠2に閉止させた状態では、シャッター機構150の後部および突出部206がシャッター受容部160内に収容され、ブレード部152が底面壁205の下側に収容されてシャッター口216を開放する開放位置に配設される。開放位置ではコイルバネ157が密着することなく圧縮シロを残して配設されるとともに、係合受け部153とあて板51との間に所定のクリアランスが確保され(図19における部分拡大図を参照)、シャッター口216の全体を開放させつつ上球皿5を確実に閉止保持させることができる構成になっている。
上球皿5を前枠2に閉止させた状態では、上球皿5の上部において通出樋55が遊技補助盤側の上通出口25と連絡し、裏セット盤40の球払出装置43から上払出通路45〜上通出口25〜通出樋55〜球皿部56に繋がる上球皿払出通路L5が形成される。
また、前枠2の表側では、通出樋55に形成された開口部211から球受け口35〜こぼれ球回収通路36〜集合口215およびシャッター口216を通り、集合回収口26〜下球皿連絡バケット37〜下通出口27を介して下球皿7に繋がる下球皿流下通路L20が形成されるとともに、突出部206により後方に延出された球抜き流下通路58がシャッター受容部160内で下球皿流下通路L20と合流し、球抜き流下通路58〜シャッター口216〜集合回収口26〜下球皿連絡バケット37および下通出口27を介して下球皿7に繋がる球抜き流下通路が形成される。
以上のように構成される経路機構では、ハンマーに打ち出された遊技球のうち遊技領域PAに到達できずに戻ってきた遊技球は、ファール球回収口32に落入してファール球回収通路33を通り、合流口215からシャッター口216〜集合回収口26〜下球皿連絡バケット37および下通出口27を流下して下球皿7に回収される。
一方、ハンマーに打ち出された遊技球のうち、遊技領域PAに到達した遊技球は、遊技領域内の遊技釘や風車に弾かれながら遊技領域PAを転動落下し、この落下過程で入賞具14に落入して化粧板11の裏面側に導かれ、あるいは入賞具14に落入することなく落下してアウト口18を通って化粧板11の裏面側に導かれ、ともに裏セット盤40の遊技済み球排出通路48を通って遊技島の回収装置に排出される。賞具14に入賞した遊技球は、入賞球検出器に検出されて入賞検出信号が主制御基板に出力され、主制御基板は入賞具の種別に応じた払出信号を払出制御基板を介して球払出装置43に出力し、球払出装置43は払出信号に応じた所定数量の遊技球を払い出す。
球払出装置43から払い出された遊技球は、上球皿払出通路L5が充満される以前では払出通路内に形成された仕切壁44により上払出通路45に導かれ、この上払出通路45から上通出口25を通って通出樋55に流入する。ここで前述したように、上払出通路45には第1および第2傾斜誘導辺45s,45tが設けられており、上払出通路45から流入する遊技球は、これらの傾斜誘導辺45s,45tの作用により開口部211よりも右寄りの経路を通って通出樋55に流入するとともに、開口部211の側縁には仕切壁55tが立設されている。
このため、上通出口25の内部まで遊技球が貯留されて停留するようになるまでは、通出樋55に流入した遊技球が仕切壁55tに接触することなく右側の領域を流下し、あるいは仕切壁55tに誘導されて中央部を流下し、いずれも開口部211に転入することなく球皿部56に流入する。すなわち、球皿部56が遊技球で満たされ通出樋55〜上通出口25の内部まで遡って遊技球が貯留されるようになるまでは、球払出装置43から払い出された遊技球が、上払出通路45〜上通出口25〜通出樋55を流下して球皿部56に至る上球皿払出通路L5を通って球皿部56に導かれ、開口部211から下球皿流下通路L20に転入して下球皿7に流下する遊技球はほとんど生じない。
一方、遊技球発射装置21から遊技領域PAに発射する遊技球よりも入賞に対して払い出される遊技球の方が多い状態が続くと、球皿部56の貯留球数が徐々に増加し、これに伴って球皿部56に貯留される貯留球が傾斜上方に遡って球皿部を覆い、さらに球皿部56と段差がある通出樋55の出口前方で複数段に積み上がって、球皿部全体が遊技球で満たされた状態になってくる。
そして通出樋55の入り口部まで遊技球で満たされ、上通出口25の通路内部に遊技球が停留するようになると、上通出口25に流入した遊技球は右側の通路壁側から徐々に仕切壁55t側にも停留されるようになり、上払出通路45から新たに流入する遊技球がこのように停留された遊技球に弾かれて左方向に誘導され、あるいは仕切壁55tの近傍に停留していた遊技球が後方に停留した遊技球に押圧されて左方向に押し出され、開口部211から球受け口35に転入するようになる。球受け口35に転入した遊技球はこぼれ球回収通路36を滑らかに転動流下して合流口215に落入し、シャッター口216から集合回収口26〜下球皿連絡バケット37〜下通出口27を介して下球皿7に至る下球皿流下通路L20を通って下球皿7に導かれる。
ここで、上通出口25の通路内部に遊技球が貯留され始めて以降、開口部211から球受け口35に転入する遊技球は、既に上通出口25に停留していた遊技球(停留球)と接触して開口部211の方向に弾かれた遊技球と、後方に停留し貯留された遊技球に押圧されて開口部211の方向に押し出された遊技球とがある。このうち、前者については、既に上通出口25に停留していた停留球に接触して弾かれた遊技球の転動方向が正面視左側の開口部211に向かう遊技球、換言すれば、停留球と新たに流入する遊技球との球面同士の接触角度位置に応じて定まる反射方向が左方向に向かう遊技球に限られる。
また、後者については、停留球の後方に繋がる遊技球から当該停留球に作用する押圧力のベクトルと、停留球よりも前方に位置する遊技球から当該停留球に作用する押圧力のベクトルとを合成した合力が左方向(開口部211の開口前方)に向かうものに限られる。すなわち、停留球に作用する合力は、当該停留球とその前後に位置する遊技球との球面同士の当接角度位置関係による押圧力の作用方向および押圧力の大きさにより定まり、その合力が左方向となる停留球だけが押し出されて開口部211から球受け口35に転入する。
従って、通出樋55の通路内部に遊技球が貯留され始めて以降、開口部211から球受け口35に転入する遊技球は、上通出口25に停留した遊技球のうちで上記条件を満たす遊技球となり、球払出装置43から遊技球が払い出されて停留球に弾かれ、あるいは遊技球の発射により球皿部56の貯留球が消費されて上通出口25内の貯留球が漸次流下し停留球への押圧力が変動するごとに、少数ずつ開口部211から球受け口35に転入して下球皿払出通路L20を流下し下球皿7に導出される。
これにより、遊技者は上球皿払出通路L5が完全に充満される以前に、この球通路が徐々に満たされつつあることを認識することができ、遊技球が少しずつ下球皿7に流下し始めた時点で、例えば図1中に二点鎖線で付記する遊技島の呼び出しランプLP等を用いて遊技施設の係員を呼び、球箱BBを受け取って下球皿7の球抜き作業の準備を行うことができる。
このように遊技球が少しずつ下球皿7に流下する予告報知の状態で、さらに遊技球が次々払い出されると、払い出された遊技球が上通出口25から上払出通路45へと上球皿払出通路L5を遡るように貯留され、上払出通路45の上流部まで遊技球で充満された状態になってくる。
そして、上払出通路45と下払出通路47との間を仕切る仕切壁44の上端まで遊技球が充満された状態で、さらに球払出装置43から遊技球が払い出されると、仕切壁44に堰き止められた遊技球が仕切壁44を越えて下払出通路47側に溢れ、あるいは溢れ球通路46を迂回して下払出通路47に流入して、下払出通路47から下球皿連絡バケット37および下通出口27を通って下球皿7に繋がる下球皿払出通路L7を流下して下球皿7に払い出されるようになる。
この状態では、遊技球の発射により消費されて徐々に減少する貯留球と、漸次開口部211から下球皿流下通路L20を通って下球皿7に流下する遊技球とを合わせた数量の遊技球が上球皿払出通路L5側に補給され、新たに払い出された遊技球の多くは下球皿払出通路L7を通って下球皿7に払い出される。すなわち、上球皿の球皿部56が充満されて以降上球皿払出通路L5が充満されるまでは、逐次少数の遊技球が下球皿7に導出される一方、上球皿払出通路L5が充満されて以降では、多数の遊技球が下球皿7に払い出されるようになり、これにより遊技者は上球皿払出通路L5が充満状態になったことを的確に認識することができる。
そこで、遊技者は予告報知の段階で準備した球箱BBを下球皿7の球抜き口の下側に配設し、下球皿7への払出状況や貯留状態を見ながら下部球抜き機構8の球抜きレバーを操作して球抜き作業を行うことができる。
なお、球抜き操作を行うことなく下球皿7の貯留球が増大して充満されると、払い出された遊技球は下通出口27から下球皿連絡バケット37を満たし、さらに下球皿払出通路L7を遡るように下払出通路47を満たしてゆく。そして貯留球が下払出通路47に設けられた満杯検出器49の通路位置まで充満され、満杯検出器49から充満状態の検出信号が主制御基板に出力されると、主制御基板がその検出信号に基づいて球払出装置43および遊技球発射装置21の作動を規制し、払出作動および発射作動が停止される。
ここで、本構成の経路機構では、下球皿払出通路L7に加えて別途下球皿流下通路L20が設けられ、上球皿払出通路L5が貯留球で充満された以降においても、下球皿払出通路L7を通って後方から下球皿連絡バケット37に流入する遊技球と、下球皿流下通路L20を通って前方から下球皿連絡バケット37に流入する遊技球とが併存する。このため満杯検出器49の検出信号に基づく作動規制がかかるまでに貯留し得る遊技球の数量は、上下の球皿5,7および上下の球皿払出通路L5,L7に貯留し得る数量に加えて、下球皿流下通路L20に貯留される数量分増加させることができ、これにより作動規制がかかるまでの時間を延長して、多数の遊技球が下球皿7に払い出されるようになっても慌てることなく余裕を持って球抜き作業を行えるようになっている。
また、パチンコ機では上球皿5の背面側に取り付けられた球送りカセットに球詰まりが発生したり、発射レール22に複数の遊技球が留置されて遊技球を発射できなくなることが稀にあり、遊技中に上球皿5を開放して不具合を解消する必要が生じる。シャッター機構150は、上球皿5を開放する際に上球皿の球抜き流下通路58内に遊技球が残留していた場合でも、これらの残留球がこぼれ落ちないように設けられている。
上球皿5が前枠2に閉止施錠された状態から施錠を解放して前方に引くと、上球皿5は正面左側に設けられたヒンジ機構4のヒンジピンを揺動軸として揺動し、図20および図21に示すように、下球皿流下通路L20における突出部206およびシャッター機構150がシャッター収容部160に収容された状態から脱してシャッター収容部160の前方に移動し、通出樋55は上通出口25と連絡した状態から上通出口25の前方に隙間をおいて離れた状態に変移する。ここで、突出部206における後面壁207はその上部が短く形成され合流口215が突出部206の上端コーナー部に設けているため、下球皿流下通路L20が合流口215よりも上方まで遊技球で充満されていたような場合でも、貯留された遊技球が合流口215とシャッター受容部160との間に噛み込むことなく集合回収口26に落入して上球皿5を開放することができる。
そしてシャッター機構150では、突出部206が前方に移動し遊技補助盤側の係合突起163が相対的に後方に変位することに伴って、係合突起163と当接して押さえられていた係合受け部153への押圧力が解放され、圧縮されていたコイルバネ157の弾性力によりシャッター部材151が後方にスライド移動して、ブレード部152がシャッター口216の下面を閉鎖する。
このため、例えば上球皿5を開放する際や上球皿5の開放後に誤って上部球抜き機構6の球抜き操作レバーを開方向に操作した場合であっても、球抜き流下通路58を流下した遊技球がブレード部152に堰き止められて球抜き流下通路58内に保持され、球こぼれを生じることがない。さらに、シャッター機構150では上球皿5の閉止・開放に連動してシャッター部材151が前後にスライドしシャッター口216を開放・閉鎖する構成のため、上球皿の開閉ごとに係員がシャッターの開閉操作を行う必要がなく、作業性の良好な経路機構を提供することができる。
一方、上球皿5の開放に伴って生じた通出樋55と上通出口25の隙間の下方には、ケースカバー31が前方に張り出されて上方に開く球受け口35が形成されており、その下側に球受け口35に落入したこぼれ球を流下させるこぼれ球回収通路36が形成されている。
このため、上球皿5を開放する以前に上球皿払出通路L5に貯留されていた場合でも、上球皿5を開放したときに上通出口25から前方に溢れ出たこぼれ球、および通出樋55から後方に溢れ出たこぼれ球が、その下側に位置して上方に開口する球受け口35に落入してこぼれ球回収通路36を流下し、突出部206が離脱したシャッター収容部160を落下して、集合回収口26から下球皿連絡バケット37〜下通出口26を通って下球皿7に回収される。従って、上球皿5を開放する際に上球皿払出通路L5に遊技球が貯留されていた場合であっても、溢れ出た遊技球がこぼれ球回収通路36を通って下球皿7に回収され、遊技球をまき散らしてしまうようなことがない。
従って、以上説明したような経路機構を備えることにより、上下の球皿払出通路がともに充満状態になるまでに時間的、精神的に余裕を持って球箱を準備できるとともに、上球皿を開放する際に各球通路に遊技球が残留していた場合でもこれらの遊技球をまき散らしてしまうことがないパチンコ機を提供することができる。
なお、本構成形態では通出樋55における開口部211の側縁に、仕切壁55tを一体に成型した例を示したが、例えば図22に示すようなクリップ状の仕切部材255を通出樋55と別体に形成し、上方に突出する仕切壁255tを開口部211の側縁に合わせて通出樋55の入り口側に係止固定するように構成してもよい。
また、以上説明した各構成形態では、シャッター部材152が前後にスライドしてシャッター口を開閉する構成例を示したが、シャッター機構150の開閉形態は前後スライドに限るものではなく、例えば左右にスライドしてシャッター口を開閉する形態や、上下に揺動してシャッター口を開閉する形態のものであってもよい。また、下球皿流下通路L10,L20若しくは下球皿払出通路L7のいずれか一方の通路途上に鈴を配設し、または下球皿流下通路と下球皿払出通路のそれぞれの通路途上に音色の異なる鈴を配設して、各球通路を遊技球が通ったときに鈴に接触して効果音を発生するように構成してもよく、これにより予告機能をさらに明確化することができる。
本発明に係る経路機構を備えた遊技機の一例として示すパチンコ機の正面図である。 ガラス扉および上球皿を開放した状態における上記パチンコ機の正面図である。 上記パチンコ機の背面図である。 第1構成形態の経路機構における、上球皿を開放した状態で遊技補助盤側の各球通路を示す正面図である。 第1構成形態の経路機構における、上球皿を閉止した状態で上球皿側の各球通路を示す正面図である。 第1構成形態の経路機構における、下球皿流下通路を主として示す上球皿の背面図である。 第1構成形態の経路機構における、下球皿流下通路の開口部およびシャッター機構の構成を示す分解斜視図である。 図5中のVIII−VIII矢視方向に見たシャッター機構周辺の平断面図である。 第1構成形態の経路機構における、上球皿払出通路および下球皿流下通路を主として示すパチンコ機の平断面図である。 遊技時における遊技球の流れを説明するための上記パチンコ機の側断面図である。 上球皿を開放したときの各球通路の位置関係、およびシャッター機構の状態を示す平断面図である。 上球皿を開放したときの遊技球の流れを説明するためのパチンコ機の側断面図である。 第2構成形態の経路機構における、上球皿を開放した状態で遊技補助盤側の各球通路を示す正面図である。 第2構成形態の経路機構における、上球皿を閉止した状態で上球皿側の各球通路を示す正面図である。 第2構成形態の経路機構における、下球皿流下通路を主として示す上球皿の背面図である。 第2構成形態の経路機構における、下球皿流下通路の開口部およびシャッター機構の構成を示す分解斜視図である。 図14中のXVII−XVII矢視方向に見たシャッター機構周辺の平断面図である。 第2構成形態の経路機構における、上球皿払出通路および下球皿流下通路を主として示すパチンコ機の平断面図である。 遊技時における遊技球の流れを説明するための上記パチンコ機の側断面図である。 上球皿を開放したときの各球通路の位置関係、およびシャッター機構の状態を示す平断面図である。 上球皿を開放したときの遊技球の流れを説明するためのパチンコ機の側断面図である。 第2構成形態の経路機構における仕切壁の他の構成例を示す斜視図である。
符号の説明
PM パチンコ機
PA 遊技領域
LP 呼び出しランプ
BB 球箱
L5 上球皿払出通路
L7 下球皿払出通路
L10 下球皿流下通路(第1構成形態)
L20 下球皿流下通路(第2構成形態)
1 外枠
2 前枠
3 ガラス扉
4 ヒンジ機構
5 上球皿
6 上部球抜き機構
7 下球皿
8 下部球抜き機構
9 発射ハンドル
10 遊技盤
11 化粧板
12 外レール
13 内レール
14 入賞具
15 画像表示装置
18 アウト口
20 遊技補助盤
21 遊技球発射装置
22 発射レール
25 上通出口
26 集合回収口
27 下通出口
31 スピーカーカバー
32 ファール球回収口
33 ファール球回収通路
35 球受け口
36 こぼれ球回収通路
37 下球皿連絡バケット
40 裏セット盤
41 球貯留タンク
42 タンクレール
43 球払出装置
44 仕切壁
45 上払出通路(45s 第1傾斜誘導辺,45t 第2傾斜誘導辺)
46 溢れ球通路
47 下払出通路
48 遊技済み球排出通路
49 満杯検出器
51 あて板
52 外装体
53 皿部材
55 通出樋(55s 球寄せ辺,55t 仕切壁)
56 球皿部
57 発射球整列通路
58 球抜き流下通路
59 球抜き口
101,102 通路壁
103 通路カバー(103s 流下誘導片)
105 底面壁
106 突出部
107 後面壁
111 開口部
112 通路室
113 傾斜通路部
115 合流口
116 シャッター口
150 シャッター機構
151 シャッター部材
152 ブレード部
153 係合受け部
154 側辺部
155 軸受部
156 ガイド支柱
157 コイルバネ
158 支持ボス
159 座金
160 シャッター受容部
163 係合突起
201,202 通路壁
204 上面壁
205 底面壁
206 突出部
207 後面壁
211 開口部
215 合流口
216 シャッター口
255 仕切部材(255t 仕切壁)

Claims (2)

  1. 遊技盤を着脱可能に収容保持する前枠と、前記前枠の表側に配設されて遊技球を貯留する上球皿および下球皿と、前記前枠の裏側に配設されて前記遊技盤における入賞状態に応じて遊技球を払い出す球払出装置と、前記球払出装置と前記上球皿との間を連絡して設けられ前記球払出装置から払い出された遊技球を前記上球皿に流下させる上球皿払出通路と、前記球払出装置と前記下球皿との間を連絡して前記前枠の裏側に設けられ前記上球皿払出通路が遊技球で充満された状態でさらに前記球払出装置から遊技球が払い出されたときに前記上球皿払出通路から溢れ出る遊技球を前記下球皿に流下させる下球皿払出通路とを備えた弾球遊技機において、
    前記上球皿は前方に突出する上面開放の皿状に形成された球皿部を有して前記前枠の表側に前方に開閉可能に取り付けられるとともに、
    前記上球皿には、前記上球皿払出通路における前記球皿部よりも上流側の上球皿側の通路途上に開口部を有し前記上球皿が前記前枠に閉止された上球皿閉止状態で前記開口部と前記下球皿との間を連絡する下球皿流下通路が設けられ、
    前記上球皿閉止状態において、前記球払出装置から払い出された遊技球が前記球皿部から前記上球皿払出通路を遡って貯留されるようになった場合に、払い出された遊技球が前記下球皿払出通路を通って前記下球皿に流下するようになる以前に前記開口部の近傍に位置する遊技球を前記下球皿流下通路を介して前記下球皿に流下させ、前記上球皿払出通路が充満状態に近いことを予告報知するように構成したことを特徴とする弾球遊技機における経路機構。
  2. 前記上球皿は、前記球皿部が当該上球皿の表裏を仕切るあて板の表側に突出して配設されるとともに、前記あて板を表裏貫通して前記球皿部に繋がる出口開口を有し前記あて板の裏側に突出して設けられたダクト状の通出樋を備え、前記上球皿閉止状態において前記あて板が前記前枠の表側下部を覆い前記通出樋が前記上球皿払出通路の前記前枠側の出口と前記出口開口との間を結んで配設され、
    前記開口部は前記通出樋における樋壁面の一部が切り欠かれて形成され、
    前記下球皿流下通路が、前記開口部と前記下球皿とを連絡して前記あて板の裏側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の弾球遊技機における経路機構。
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