JP2006186833A - 圧電薄膜デバイス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】通常の薄膜形成装置を用いて圧電薄膜デバイスを形成する場合、異なる層材料を同一装置で形成することは、音響反射膜などの薄膜層の安定作成上問題があるため行うことができない。そのため異なる材料の薄膜層を形成することは、異なる層の種類分の必要な設備を増加させる事になる。また、異なる薄膜層の成膜条件を管理するため、必要な管理項目を増大させる事になる。
【解決手段】圧電薄膜デバイスにおいて、この複数の音響反射層のうち第一の音響反射層の表面形態が任意の算術表面粗さ(Ra1)であり、且つ第一の音響反射膜の上に形成した第二の音響反射膜の表面形態が、第一の音響反射層の算術表面粗さ(Ra1)より小さな算術表面粗さ(Ra2)で形成した圧電薄膜デバイス。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電薄膜デバイス及びその製造方法に関するものであり、特に多層の音響反射層を用いた音響多層膜型の圧電薄膜デバイス及びその製造方法に関する。
コンピュータや通信機器などの電子機器は、電子部品の一つである振動子より得られる規則的な信号(高周波信号)に基づいて様々な処理が行われている。また、これらの電子機器においては、振動子の特定の振動モードを利用した周波数フィルタも用いられている。このように電子機器に利用されている振動子(振動素子として圧電材料を使用している場合は圧電振動子という)には、従来より、水晶などの圧電材料を平板状に加工して得られる圧電素板が用いられており、水晶を圧電材料として用いた水晶振動子では、その基本共振周波数を高くするためには、水晶による圧電素板の厚みを薄くすればよい。例えば、水晶において厚みすべり振動モードを励振するATカット水晶素板の場合では、その素板の厚みを25μm程度とすることで、約67MHzの基本波共振周波数が得られる。
しかしながら、これ以上のより高い基本共振周波数(例えば数百MHz以上)を得るためには、更に圧電素板の板厚をより薄くすることになるが、板厚が薄いほど機械加工が困難となり、また、実用的な機械強度が得られない。このような高周波に対応するデバイスとしては弾性表面波を利用したSAWデバイス(Surface Acoustic Wave Device)が用いられているが、これと比較すると、より高周波化(超高周波化)に対応可能である圧電薄膜デバイスが注目されており、そのうち、基板の上に多層の音響反射層を介して圧電層を設けた、音響多層膜(SMR(Solidly Mounted Resonator))型の圧電薄膜デバイスが開発されている(非特許文献1)。
近年、通信システムの超高周波帯への移行が進められているなかで、圧電薄膜デバイスのうち例えば圧電薄膜振動子は、超高周波帯で安定に動作させることが可能な超高周波用弾性波素子として注目されている。SMR型の圧電薄膜振動子は、基板の上に音響インピーダンスの異なる2種類の薄膜(λ/4)を交互に積層した音響多層膜の上に、λ/2の厚さの圧電薄膜を形成したものである。
この構成によれば、圧電薄膜は、多層の音響反射層により基板から音響的に切り離され、Q値の高い共振を得ることが可能になる。また、圧電薄膜の下面全域が音響反射層により固定されているので、安定した動作が可能となる。また、音響多層膜型の圧電薄膜振動子に、SiO2の薄膜を付加して温度特性を改善する技術が提案されている(非特許文献2)。また、新たな膜を付加することなく、温度特性を改善する技術も提案されている。
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
K.M.Lakin,et al. Development of Miniature Filters for Wireless Applications. IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Vol.43, No.12, p2933, December 1995. K.M.Lakin,et al. Temperature Compensated Bulk Acoustic Thin Film Resonator. IEEE Ultrasonics Symposium paper 3H-2, October 24,2000.
このような音響多層膜型の圧電薄膜デバイスの構造は、従来のダイアフラム型に対して、大気開放のための空隙構造を作成するために立体的な加工が必要ない。また、圧電層、導電層といった薄膜を単独で形成する必要が無く、外的ストレス及び膜内部応力といったデバイスを破壊する外力及び内力に対して強靭な構造を持っている。このように音響多層膜型の圧電薄膜デバイスは、無線通信用のデバイスとして優れた特性を有している。
このように音響多層膜型の圧電薄膜デバイスは非常にすぐれた特性を有しているが、基板への音響波の漏洩を防止するために、基板と振動部(圧電層と導電層)の間に複数層の音響反射層を形成する必要がある。つまり圧電層と導電層以外に複数の音響反射層が必要となる。
通常の薄膜形成装置を用いて圧電薄膜デバイスを形成する場合、異なる層材料を同一装置で形成することは、薄膜層の安定作成上問題があるため行うことができない。そのため異なる材料の薄膜層を形成することは、異なる層の種類分の必要な設備を増加させる事になる。また、異なる薄膜層の成膜条件を管理するため、必要な管理項目を増大させる事になる。
そこで、発明者は、圧電層と音響反射層の少なくとも一層を同一の材料で構成する音響多層膜型の圧電薄膜デバイスの開発を行った。しかし、単に圧電層と音響反射層を同一材料とすることでは種々の問題が生じ、優れた共振特性を得ることが困難であった。例えばZnOなど圧電層と同じ材料を、音響反射層を構成する高音響インピーダンス層に用いた場合、音響振動が加わると高音響インピーダンス層においても圧電効果が生じ、そのために電荷を発生してしまい損失となる。
そこで、製造条件、製造手段又は層の物性等を圧電層と音響反射層とで異ならせることによって、圧電層と音響反射層を同一材料で作製でき、且つ高性能な共振特性を有する音響多層膜型の圧電薄膜デバイスを作製することが本発明の目的である。
本発明に係る圧電薄膜デバイスは、基板と、この基板上に形成された少なくとも一層以上の圧電層と、この圧電層の上下に複数の導電層を有し、基板と圧電層の間に、複数の音響反射層により形成される音響反射層群を有する圧電薄膜デバイスにおいて、
この複数の音響反射層のうち第一の音響反射層の表面形態が任意の算術表面粗さ(Ra1)であり、且つ第一の音響反射膜の上に形成した第二の音響反射膜の表面形態が、第一の音響反射層の算術表面粗さ(Ra1)より小さな算術表面粗さ(Ra2)で形成してあることを特徴とする圧電薄膜デバイスである。
又、上記第一の音響反射層が高音響インピーダンス層であり、更に第二の音響反射層が低音響インピーダンス層であり、この2種類の層が交互に積層され音響反射層群を構成する上記記載の圧電薄膜デバイスでもある。
更に、少なくとも一層の圧電層が、第一又は第二の音響反射層と同一の材料で形成されている上記二段落に記載の圧電薄膜デバイスでもある。
更に又、第一の音響反射層が酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主成分とする材料で形成される高音響インピーダンス層であり、第二の音響反射層が二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料で形成される低音響インピーダンス層であり、少なくとも一層の圧電層が、酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主成分とする材料で形成される上記三段落に記載の圧電薄膜デバイスでもある。
又、二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料が、0.9Pa以下の真空度及び/又は300℃以上の温度環境下で形成されている上記記載の圧電薄膜デバイスでもある。
更に、二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料が、RFスパッタ方式を用いて、0.9Pa以下の真空度及び/又は300℃以上の温度環境下で、且つパワー密度が10.0W/cm以上の条件で形成されている段落(0015)に記載の圧電共振子デバイスでもある。
本発明に係る圧電薄膜デバイスの製造方法は、基板と、この基板上に形成された少なくとも一層以上の圧電層と、この圧電層に電圧を印加するための複数の導電層を有し、基板と圧電層の間に、音響波の漏洩を防止するための複数の音響反射層からなる音響反射層群を有する圧電薄膜デバイスの製造方法において、
複数の音響反射層のうち第一の音響反射層の表面形態を任意の算術表面粗さ(Ra1)で形成し、更にこの第一の音響反射層の上に第二の音響反射層を、第一の音響反射層の算術表面粗さ(Ra1)より小さな算術表面粗さ(Ra2)で形成することを特徴とする圧電薄膜デバイスの製造方法である。
又、第一の音響反射層を高音響インピーダンス層で形成し、第二の音響反射層を低音響インピーダンス層で形成し、この2種類の層を交互に積層して音響反射層群を形成する上記記載の圧電薄膜デバイスの製造方法でもある。
更に、少なくとも一層の圧電層が、第一又は第二の音響反射層と同一の材料で形成する上記記載の圧電薄膜デバイスの製造方法でもある。
更に又、第一の音響反射層を、酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主成分とする材料よりなる高音響インピーダンス層として形成し、第二の音響反射層を、二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料よりなる低音響インピーダンス層として形成し、この2種類の層を交互に積層することで音響反射層群を形成し、少なくとも一層の圧電層が、酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主成分とする材料で形成する上記三段落に記載された圧電共振子デバイス製造方法でもある。
この二酸化珪素を0.9Pa以下の真空度及び/又は300℃以上の温度環境下で形成する上記記載の圧電薄膜デバイスの製造方法でもある。
この二酸化珪素を、RFスパッタ方式を用いて、0.9Pa以下の真空度及び/又は300℃以上の温度環境下で、且つパワー密度が10.0W/cm以上で形成する段落(0021)に記載の圧電薄膜デバイスの製造方法でもある。
以上、本発明に係る圧電薄膜デバイス及びその製造方法によれば、同一の材料(例えば酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主成分とする材料)で作成された少なくとも一つの圧電層と、少なくとも一つの音響反射層とにおいて、圧電層と音響反射層の物性又は製造手段を異ならせることにより、圧電薄膜デバイスの電気的特性が著しく向上する。更に、圧電層と音響反射層を同一材料で作製できるため、製造設備、及び製造コストを抑えることが可能となり、且つ、高性能な共振特性を有する音響多層膜型の圧電薄膜デバイスを提供することが可能となる効果を奏する。
以下、添付した各図面に従って本発明の実施形態を説明する。なお、各図において説明を明りょうにするため図面の一部を図示していない。又、図面内の各寸法も一部誇張して図示しており、各図において同一の符号は同様の対象を示すものとする。
図1に本発明の圧電薄膜デバイスの一つである圧電薄膜振動子1の模式図を示す。この図1を使用して順を追って本発明の実施の形態を、実施例を元に説明する。
最初に圧電薄膜振動子1を形成するための基板2を準備する。本実施例においては、Si(111)基板を使用する。また、このSiの基板2は高抵抗基板を用い、その比抵抗は1000Ω/cm以上の抵抗値を持つ基板であり、その表面にはSi熱酸化膜が目標とする共振周波数に応じた厚さで形成されている。尚、その他の基板の条件は、通常の半導体用Si基板と同一とする。しかし、基板の材料としてはSiに限定されるものでは無く、他に水晶基板、ガラス基板等の材料を用いることができる。好ましくは、絶縁材料が望まれるが、適切な絶縁処理を施すことにより、低抵抗Si等の導電性のある基板も使用可能である。
この基板2を通常の半導体プロセスで用いるような洗浄工程を施す。その後、音響反射層群3を構成する各音響反射層3a及び3bを形成する。この音響反射層3a及び3bは、材料の密度と硬さにより決定される音響インピーダンスの異なる材料で構成されている。図2に音響反射層群3を開示した模式図を示す。図2のように、音響インピーダンスが異なる音響反射層3a及び3bを交互に規則正しく形成することで、音響波の反射と透過の条件を満たすことにより、後述する圧電層4で発生した音響エネルギーが、基板2へ漏洩することなく、音響反射層群3と圧電層4最上面の間に、エネルギーが閉じ込められ、高性能な圧電薄膜デバイスを作製することができる。
本発明において、音響反射層群3の構造は図2の通り、音響反射層として高音響インピーダンス層3bと低音響インピーダンス層3aの2層を用いた。構成は、基板2側から低音響インピーダンス層3aを形成し、その上に高音響インピーダンス層3bを形成する。この組み合わせを3〜4セット形成し、最後に低音響インピーダンス層3aを形成し、音響反射層群3を完成させた。
本実施例においては、高音響インピーダンス層3bの少なくとも一層に酸化亜鉛を使用し、低音響インピーダンス層3aとして二酸化珪素を使用した。酸化亜鉛は、二酸化珪素の約2.5倍の音響インピーダンスを持っているため、この2種類の材料は、音響反射層を形成する物質として使用可能である。また、酸化亜鉛は、水晶等の圧電材料と比較すると大きな電気機械結合係数を持つ優れた圧電材料である。この酸化亜鉛を圧電層と高音響インピーダンス層3bに使用できれば、製造設備の削減及び管理コストの低減が可能となる。
この音響反射層群3の上に、圧電層4に電圧を印加するための下部導電層5を形成する。本発明においては、Au層5bとTi層5aを積層して形成した下部導電層5を用いた。Tiは二酸化珪素とAu層5bの接着力を向上させるために用いた。尚、下部導電層5の形成方法はリフトオフ方式を用い、導電層金属の成膜方法はエレクトロンビームを用いた蒸着法を用いた。本実施例では、以上の方法で下部導電層5を作成したが、エッチング法及びスパッタを始めとする既知の方法を使用しても構わない。
この下部導電層5を覆うように圧電層4を形成する。本実施例では、音響反射層を構成する高音響インピーダンス層3bの少なくとも一層と同一の材料である酸化亜鉛を圧電層4として使用した。圧電層4を作成に用いる製法は、音響反射層3a又は3bを作成する方法と同様とした。
この圧電層4の上に、先に作成した下部導電層5と対になる上部導電層6を作成する。本実施例では、下部導電層5と同様の製法で作成した。また上部導電層6の作成方法も、下部導電層5と同様に、既知の作成方法の使用を制限するものでは無い。また必要に応じて、下部導電層5をデバイス外部の端子に接続する必要がある場合や、下部導電層5と上部導電層6を電気的に接続する必要がある場合には、上部導電層6を形成する前に、圧電層4の一部を取り除くことがある。
また、酸化亜鉛は、負の周波数温度係数を持っているため周波数の温度特性が0ではない。それに対して二酸化珪素は酸化亜鉛とは逆に正の周波数温度係数を有している。そのため、酸化亜鉛と二酸化珪素とを組み合わせることで、所望の周波数温度係数を持つ圧電薄膜デバイスを作成することが可能である。本実施例では、上部導電層6の上側、もしくは上部導電層6と圧電層4の間等に二酸化珪素の層を追加して形成する事により、周波数温度係数を調整している。
図3に、従来の方法で作成した音響多層膜型の圧電薄膜振動子の電気特性を示す。図3に示すとおり、所望の周波数に共振特性を僅かに得ているものの、その性能は十分ではなく、振動子としての実用に耐え得るものではない。
この特性劣化の要因の一部として、音響反射層群3の低音響インピーダンス層3aとして使用した二酸化珪素の形成条件がある。即ち、音響反射層群3の低音響インピーダンス層3aとして使用した二酸化珪素の形成条件が異なった2種類の音響反射層の上に、同一条件で作製したAu/Ti下部導電層5及び同一条件で作製し、次に下部導電層5上に同一条件で圧電層4としての酸化亜鉛を形成した。更にこの圧電層4の上に同一条件で上部導電層6を作製し特性を比較した。この二種類の圧電薄膜振動子の電気特性を測定した結果が図4である。図4は二酸化珪素で形成した音響反射層を使用した圧電薄膜振動子の共振特性を図示しており、図4(a)は二酸化珪素層の成膜時における基板2の温度が300℃の場合、図4(b)は二酸化珪素層の成膜時における基板2の温度が350℃の場合の圧電薄膜振動子の共振特性を示している。この測定値からも明らかなように、図4(b)の方が優れた共振特性を示している。
従来、圧電層用の酸化亜鉛についての報告は数多くあり、圧電層の形成条件によりその結晶性や圧電性の変化についての報告も数多く存在している。また、ダイアフラム型の圧電薄膜デバイスでその保持層としての二酸化珪素の文献も存在している。しかし、音響多層膜型の圧電薄膜デバイスにおいて高音響インピーダンス層3b及び低音響インピーダンス層3aの2種類の音響反射層の相互作用を開示した文献等ない。
そこで本実施例では、高音響インピーダンス層3bのうち少なくとも一層(第一の音響反射層)として酸化亜鉛を使用し、その上の低音響インピーダンス層3a(第二の音響反射層)として二酸化珪素を使用した。そして、この二つの音響反射層の形成条件について種々検討を重ねた。その結果、算術表面粗さ(Ra1)=1.913nmを有する高音響インピーダンス層3bの少なくとも一層の上に、低音響インピーダンス層3aである二酸化珪素をある特定な条件で作製することにより、低音響インピーダンス層3aの算術表面粗さ(Ra2)は1.020nmとなり、高音響インピーダンス層3bの算術表面粗さ(Ra1)より小さくすることができる。この低音響インピーダンス層3aの算術表面粗さ(Ra2)、高音響インピーダンス層3bの算術表面粗さ(Ra1)の相違による作用が、その圧電薄膜デバイスの電気特性にも多大な影響を与え、この相違が大きいほど圧電薄膜デバイスの電気特性は良好になる効果を奏する。
また、この相違による作用は低音響インピーダンス層3aの形成条件に大きく影響されていることが確認された。即ち、高音響インピーダンス層3bの少なくとも一層に酸化亜鉛を使用し、低音響インピーダンス層3bに二酸化珪素を使用し、例えばRFマグネトロンスパッタ装置でこの酸化珪素を形成する場合には、その形成中の真空度に層物性更に圧電薄膜デバイスとしての特性は大きく影響される。真空度が1Pa以下で良好な算術表面粗さの相違作用が得られ、0.9Pa以下で更に良好な相違作用が得られた。また同時に形成時の温度もこの相違作用に大きな影響を与えることを見出した。それによると、形成時の温度は高温にするほど良好な算術表面粗さの相違作用が得られた。実用的な相違作用を得るためには、250℃以上の温度で形成する必要があり、更に300℃以上の温度環境下で形成することが望ましい。
更に、高音響インピーダンス層3bの少なくとも一層に酸化亜鉛を使用し、低音響インピーダンス層3aに二酸化珪素を使用し、RFマグネトロンスパッタ装置で前記に二酸化珪素を形成する場合には、その成膜中のRF出力に算術表面粗さの相違作用は大きく影響されることが判明した。9.0W/cm以上で良好な相違作用が得られ、10.0W/cm以上で更に良好な相違作用が得られた。
尚、圧電層4に酸化亜鉛を使用する場合でも、低音響インピーダンス層3aとして、酸化アルミニウム等の材料を選択するなど、本発明開示の作用効果を奏するのであればその組み合わせに制限は無い。また、上部及び下部導電層を構成する金属についても本実施例では少なくとも一層がAu及びTiで形成された導電層を用いたが、他の導電層にはAl,Mo,W又はPt等の使用が可能であり材料を限定するものではない。また同様に本実施例では、酸化亜鉛、二酸化珪素は、いずれもRFマグネトロンスパッタ装置を使用し、一般に知られている成膜条件を用いて作製した。このRFマグネトロンスパッタ方式以外に、ECRスパッタ方式、CVD方式等の使用が可能であり、作製方式、成膜条件等を制限するものでは無い。
図1は、本発明における圧電薄膜デバイス(SMR型の圧電薄膜振動子)の一実施形態の構成例を概略的に示す模式的な斜視図である。 図2は、本発明における圧電薄膜デバイス(SMR型の圧電薄膜振動子)の一実施形態の構成例を概略的に示す模式的な部分断面図である。 図3は、従来の方法で作成した音響多層膜型の圧電薄膜振動子の電気特性を示す。 図4は、二酸化珪素で形成した音響反射層を使用した圧電薄膜振動子の共振特性を図示しており、図4(a)は二酸化珪素層の成膜時温度が300℃の場合、図4(b)は二酸化珪素層の成膜時温度が350℃の場合の圧電薄膜振動子の共振特性を示している。
符号の説明
1・・・圧電薄膜デバイス(圧電薄膜振動子)
2・・・基板
3・・・音響反射膜群
3a・・・音響反射層(低音響インピーダンス層)
3b・・・音響反射層(高音響インピーダンス層)
4・・・圧電層
5・・・下部導電層
5a・・・Ti層
5b・・・Au層

Claims (12)

  1. 基板と、該基板上に形成された少なくとも一層以上の圧電層と、該圧電層の上下に複数の導電層を有し、該基板と該圧電層の間に、複数の音響反射層により形成される音響反射層群を有する圧電薄膜デバイスにおいて、
    該複数の音響反射層のうち第一の音響反射層の表面形態が任意の算術表面粗さ(Ra1)であり、且つ該第一の音響反射層の上に形成した第二の音響反射層の表面形態が、該第一の音響反射層の算術表面粗さ(Ra1)より小さな算術表面粗さ(Ra2)であることを特徴とする圧電薄膜デバイス。
  2. 該第一の音響反射層が高音響インピーダンス層であり、更に該第二の音響反射層が低音響インピーダンス層であり、この2種類の層が交互に積層され該音響反射層群を構成する請求項1に記載の圧電薄膜デバイス。
  3. 少なくとも一層の該圧電層が、該第一又は該第二の音響反射層と同一の材料で形成された請求項1又は請求項2に記載の圧電薄膜デバイス。
  4. 該第一の音響反射層が酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主成分とする材料で形成される高音響インピーダンス層であり、該第二の音響反射層が二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料で形成される低音響インピーダンス層であり、少なくとも一層の該圧電層が、酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主成分とする材料で形成される請求項1,請求項2又は請求項3に記載の圧電薄膜デバイス。
  5. 該二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料が、0.9Pa以下の真空度及び/又は300℃以上の温度環境下で形成されている請求項4に記載の圧電薄膜デバイス。
  6. 該二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料が、RFスパッタ方式を用いて、0.9Pa以下の真空度及び/又は300℃以上の温度環境下で、且つパワー密度が10.0W/cm以上の条件で形成されている請求項4に記載の圧電薄膜デバイス。
  7. 基板と、前記基板上に形成された少なくとも一層以上の圧電層と、前記圧電層に電圧を印加するための複数の導電層を有し、前記基板と前記圧電層の間に、複数の音響反射層からなる音響反射層群を有する圧電薄膜デバイスの製造方法において、
    複数の音響反射層のうち第一の音響反射層の表面形態を任意の算術表面粗さ(Ra1)で形成し、該第一の音響反射層の上に第二の音響反射層を、該第一の音響反射層の算術表面粗さ(Ra1)より小さな算術表面粗さ(Ra2)で形成することを特徴とする圧電薄膜デバイスの製造方法。
  8. 該第一の音響反射層を高音響インピーダンス層で形成し、該第二の音響反射層を低音響インピーダンス層で形成し、この2種類のインピーダンス層を交互に積層し該音響反射層群を形成する請求項7に記載の圧電薄膜デバイスの製造方法。
  9. 少なくとも一層の該圧電層が、該第一又は該第二の音響反射層と同一の材料で形成する請求項7又は請求項8に記載の圧電薄膜デバイスの製造方法。
  10. 該第一の音響反射層を、酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主成分とする材料よりなる高音響インピーダンス層として形成し、該第二の音響反射層を二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料よりなる低音響インピーダンス層として形成し、この2種類のインピーダンス層を交互に積層することで音響反射層群を形成し、少なくとも一層の該圧電層が、酸化亜鉛又は酸化亜鉛を主成分とする材料で形成する請求項7,請求項8又は請求項9に記載の圧電薄膜デバイスの製造方法。
  11. 該二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料を、0.9Pa以下の真空度及び/又は300℃以上の温度環境下で形成する請求項10記載の圧電薄膜デバイスの製造方法。
  12. 該二酸化珪素又は二酸化珪素を主成分とする材料を、RFスパッタ方式を用いて、0.9Pa以下の真空度及び/又は300℃以上の温度環境下で、且つパワー密度が10.0W/cm以上で形成する圧電薄膜デバイスの製造方法。
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