以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明のアンテナを介して、外部の通信機(リーダライタ)と無線で通信を行う半導体装置の構成を説明する。
本発明の半導体装置の概念図を図1に示す。
図1(A)に示すように、本発明の半導体装置101は、アンテナ102、電源回路103、クロック発生回路104、復調回路111、変調回路112、命令解析部113、メモリ制御回路114、符号化回路115、メモリ108から構成される。そして、外部の通信機(リーダライタ109)と、非接触で情報の送受信を行うことができる。
図1(B)に示すように、半導体装置101が、別途作製されたアンテナ102と接続する場合、半導体装置101はアンテナを接続する配線110を有してもよい。そして、半導体装置101が非接触で情報の送受信を行う場合には、配線110に、半導体装置とは別途作製されたアンテナを接続する。
電源回路103は、アンテナ102から入力された交流信号を基に、半導体装置101の内部の各回路に供給する各種電源を生成する回路である。クロック発生回路104は、アンテナ102から入力された交流信号を基に、半導体装置101内の各回路に供給する各種クロック信号を生成する回路である。復調回路111はアンテナ102が受信した信号を復調する機能を有し、、また変調回路112は送信する信号にASKあるいはFSK方式の変調を施す。メモリ制御回路114は、メモリ108を制御する機能を有する。命令解析部113は復調された命令の解析を行う機能を有し、符号化回路115は、送信するデジタル信号にマンチェスター方式等の符号化を施す。アンテナ102は、電磁波或いは電波の送受信を行う機能を有する。
また、半導体装置は上記の構成に制約されず、例えば、輻輳制御回路や暗号処理回路といった、他の要素を有していてもよい。
本発明のメモリ108は、有機化合物を含む層を有することを特徴とする。本明細書中においては、有機化合物を含む層を、有機化合物層と記載し、有機化合物層を有することを特徴とするメモリを、有機メモリと呼ぶ。
有機メモリは、記憶素子に有機化合物層を有し、当該有機化合物層に光を照射する、加熱する、又は電気的作用を加えることにより、前記有機化合物層の電気抵抗を変化させることで情報を記憶する。
記憶素子内の有機化合物層に、電気抵抗の変化が不可逆的である有機化合物を使用すれば、ライトワンスメモリとなり、電気抵抗の変化が可逆的なものを用いれば、書き換え可能なメモリとなる。
また、本発明の半導体装置101が内蔵するメモリ108は、有機メモリのみでもよいし、有機メモリとは別に、他の構成のメモリを、1つもしくは複数含んでいてもよい。
図14に、本発明の半導体装置101に他の構成のメモリ108bを含んだ構成を示す。
図14(A)に示すように、本発明の半導体装置101は、アンテナ102、電源回路103、クロック発生回路104、復調回路111、変調回路112、命令解析部113、メモリ制御回路114、符号化回路115、及び、有機メモリ108aと他の構成のメモリ108bを含むメモリ108から構成される。そして、外部の通信機(リーダライタ109)と、非接触で情報の送受信を行うことができる。
また、図14(B)に示すように、半導体装置101が、別途作製されたアンテナ102と接続する場合、半導体装置101はアンテナを接続する配線110を有してもよい。そして、半導体装置101が非接触で情報の送受信を行う場合には、配線110に、半導体装置とは別途作製されたアンテナを接続する。
電源回路103は、アンテナ102から入力された交流信号を基に、半導体装置101の内部の各回路に供給する各種電源を生成する回路である。クロック発生回路104は、アンテナ102から入力された交流信号を基に、半導体装置101内の各回路に供給する各種クロック信号を生成する回路である。復調回路111はアンテナ102が受信した信号を復調する機能を有し、また変調回路112は送信する信号にASKあるいはFSK方式の変調を施す。メモリ制御回路114は、メモリ108を制御する機能を有する。命令解析部113は復調された命令の解析を行う機能を有し、符号化回路115は、送信するデジタル信号にマンチェスター方式等の符号化を施す。アンテナ102は、電磁波或いは電波の送受信を行う機能を有する。
また、半導体装置は上記の構成に制約されず、例えば、輻輳制御回路や暗号処理回路といった、他の要素を有していてもよい。
本発明のメモリ108は、有機化合物を含む層を有することを特徴とする。本明細書中においては、有機化合物を含む層を、有機化合物層と記載し、有機化合物層を有することを特徴とするメモリを、有機メモリと呼ぶ。
有機メモリ108aは、記憶素子に有機化合物層を有し、当該有機化合物層に光を照射する、加熱する、又は電気的作用を加えることにより、前記有機化合物層の電気抵抗を変化させることで情報を記憶する。
記憶素子内の有機化合物層に、電気抵抗の変化が不可逆的である有機化合物を使用すれば、ライトワンスメモリとなり、電気抵抗の変化が可逆的なものを用いれば、書き換え可能なメモリとなる。
ここで、他の構成のメモリ108bとは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、マスクROM(Mask Read Only Memory)、PROM(Programmable Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Read Only Memory)及びフラッシュメモリのことであるが、この例には限定されない。また他の構成を有するメモリの1つ又は複数を有することができる。
次に、有機メモリの構成を図2(A)に示す。
有機メモリ201は、メモリセルアレイ202、デコーダ203、セレクタ204、読み出し書き込み回路205を有する。
有機メモリ201のメモリセル206は、1つのトランジスタ207と、記憶素子208を有する。
上記記憶素子208は、一対の導電層、つまり第1の導電層と、第2の導電層との間に有機化合物層が挟まれた構造を有する。上記一対の導電層のうち、第1の導電層は、上記メモリセル206内のトランジスタ207が有するソース領域、又はドレイン領域の一方に接続されている。
上記一対の導電層のうち、第2の導電層は、1つの有機メモリ201内にある全てのメモリセル206の記憶素子208に共通であっても良い。第2の導電層は、有機メモリの動作時(読み出し、又は書き込み時)に、全ての記憶素子の一端に、共通の電位を与えるものであり、本明細書中においては共通電極と呼ぶ。
図2(B)に示すように、メモリセル206内のトランジスタ207において、記憶素子208に接続されていない方のソース領域、又はドレイン領域に、ビット線Bm(1≦m≦x)が接続され、ゲート電極には、ワード線Wn(1≦n≦y)が接続されている。このように、メモリセル206が、マトリックス状に設けられることでメモリセルアレイ202を構成している。
次に、第2の導電層、すなわち共通電極について説明する。図4は、基板上面、図3の矢印Aの方向から見た有機メモリの構造についての1例を示す。
共通電極401は、全ての記憶素子の一端に共通の電位を与える。この共通電極401を、図4に示すような線状に形成することを特徴とする。なお図4に示す形態は一例であり、線状の形態はこれに限定されない。
半導体装置の中でも、特に、相互誘導によって通信を行う電磁結合方式や、誘導電磁界によって通信を行う電磁誘導方式により情報を送受信する場合、アンテナ付近に金属のような導電性の高い物質が面状に広く存在すると、通信距離が短くなる。
これは、リーダライタから発せられる電磁波によって、上記導電性の高い物質内部に渦電流が生じ、上記電磁波を吸収する。したがって、半導体装置は十分な誘導起電力を得られなくなるためである。
共通電極を面状に形成すると、共通電極がリーダライタから発せられる電磁波を吸収し、無線タグの通信距離が短くなる。また、共通電極内に発生した渦電流により、半導体装置を動作させるリーダライタの負荷が大きくなる。
そこで図4に示すように、共通電極401を線状に形成すると、電磁波の吸収を少なくすることができる。そのため、無線タグの通信を阻害せず、通信距離が長くなる。
ここで言う線状とは、第1の辺に比べて第2の辺が長い方形や、焦点間距離の長い楕円、それに類似する細長い形であってもよい。共通電極は、全ての記憶素子の一端に同電位を与え、例えば図4に示すように、方形や楕円をくし状に作製すること好ましく、これらも線状に含まれる。しかし、線状という形状は、上記渦電流の発生による電磁波の吸収を低減できる形状であれば、ここに挙げた例のみに限定されるものではない。さらに、共通電極401の形状は、上記渦電流の発生による電磁波の吸収を低減できればよく、高い加工精度を求めるものではない。
次に、有機メモリ201に情報の書き込みを行うときの動作について、図2(B)を用いて説明する。
まず、電気的作用により情報の書き込みを行うときの動作について説明する。ここでは、m列目n行目のメモリセル206に情報の書き込みを行う場合について説明する。この場合、デコーダ203、セレクタ204により、m列目のビット線Bmと、n行目のワード線Wnが選択され、m列目n行目のメモリセル206が含むトランジスタ207のゲート電極に電圧が印加される。続いて、図2(B)中Vwriteと共通電極401に所定の電圧が印加される。
通常、Vwriteと共通電極401の電位差は、読み出し時のVreadと共通電極401の電位差よりも大きい。また、Vwriteに電圧が印加される場合は、Vreadには電圧が印加されず、また、図外の回路によって、電流が逆方向に流れないようにするための措置が取られているものとする。
m列目のビット線Bmに印加された電圧は、記憶素子208を構成する第1の導電層に伝達される。共通電極401の電圧を、ビット線Bmに印加された電圧よりも低い電圧に固定することで、第1の導電層と第2の導電層の間には電位差が生じる。この電位差により、記憶素子208内の有機化合物層の抵抗値が変化し、情報を書き込むことができる。
続いて、光学的作用により情報の書き込みを行う場合について説明する。光学的作用により、有機メモリに情報を書き込む場合は、記憶素子を構成する第1の導電層と第2の導電層のうち、一方、又は、両方が透光性を有する構成とし、透光性を有する導電層側から、有機化合物層に対して、光を照射する。
有機化合物層の材料として、光学的作用を受けると電気抵抗が上昇する有機化合物を用いた場合、レーザ光などの光の照射により、有機化合物層の抵抗値が上昇する。
また、有機化合物層の材料として、光学的作用を受けると電気抵抗が減少するものを用いることもできる。例えば、光酸発生剤をドープした共役高分子材料を用いた場合、レーザ光などの光の照射により、有機化合物層の抵抗値が減少する。
例えば、有機化合物層に対する光学的作用の例として、レーザ光を照射する場合について説明する。レーザ光を照射した有機化合物層の電気抵抗は、メモリセルの大きさにもよるが、μmオーダの径に絞ったレーザ光の照射により変化する。例えば、径が1μmのレーザビームが10m/secの線速度で通過するとき、1つのメモリセルが含む有機化合物を含む層にレーザ光が照射される時間は100nsecとなる。100nsecという短い時間内で相を変化させるためには、レーザパワーは、例えば10mW、パワー密度は10kW/mm2とするとよい。また、レーザ光を選択的に照射する場合は、パルス発振のレーザ照射装置を用いて行いることが好ましい。
レーザ照射装置としては、紫外光、可視光、又は赤外光を発振することが可能なものを用いることができる。レーザ照射装置の例としては、KrF、ArF、XeCl、Xe等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF等の気体レーザ発振器、YAG、GdVO4、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶にCr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶を使った固体レーザ発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用いることができる。なお、固体レーザ発振器においては、基本波か第2高調波〜第5高調波を適用するのが好ましい。
ここに挙げた書き込みの方法は、一例である。有機メモリに情報を書き込む方法は他にも、記憶素子の有機化合物層を局所的に加熱する方法などが挙げられるが、これらの例に限定されるものではない。
次に、有機メモリに書き込まれている情報の読み出しを行う際の動作について説明する。
図2(B)に、電気的作用による読み出しの1例を示す。ここでは、読み出し書き込み回路205は、抵抗素子211とセンスアンプ212を含む構成とする。但し、読み出し書き込み回路205の構成は上記構成に制約されず、どのような構成を有していてもよい。
情報の読み出しは、第1の導電層と第2の導電層の間に電圧を印加して、有機化合物層の抵抗値を読み取ることにより行う。例えば、メモリセルアレイ202が含む複数のメモリセル206から、m列目n行目のメモリセル206の情報の読み出しを行う場合、まず、デコーダ203、セレクタ204により、m列目のビット線Bmと、n行目のワード線Wnを選択する。そうすると、m列目n行目に配置されたメモリセル206が含むトランジスタ207のゲート電極に電圧が印加される。
ここで、メモリセル206が含む記憶素子208と、抵抗素子211とは、直列に接続された状態となる。このとき、記憶素子208は1つの抵抗素子として見なすことができ、このように、直列に接続された2つの抵抗素子の両端、図2(B)中のVreadと共通電極401に所定の電圧が印加されると、ノードαの電位は、記憶素子208と抵抗素子211によって抵抗分割された電位となる。ここで、Vreadに電圧が印加される場合は、Vwriteには電圧が印加されず、また、図外の回路によって、電流が逆方向に流れないようにするための措置が取られているものとする。
有機メモリの記憶素子は、光や熱、電気的な作用による情報の書き込みにより、電気抵抗が変化する。したがって、情報が書き込まれた記憶素子の電気抵抗と、情報が書き込まれていない記憶素子の電気抵抗が異なるので、ノードαの電位は、記憶素子に情報が書き込まれているのか、書き込まれていないのかの違いによって異なった値をとる。
そして、ノードαの電位は、センスアンプ212に供給される。センスアンプ212は、参照電位(Vref)とノードαとの電位を比較し、記憶素子208が有する情報を判別する。その後、センスアンプ212において判別された情報を含む信号が有機メモリの外部に供給される。
上記の方法では、記憶素子208の抵抗値の相違と抵抗分割を利用して、電圧値で読み取っているが、これは一例にすぎず、別の機構を用いて、記憶素子208が有する情報を読み取ることもできる。別の機構とは、電流値を比較して情報を読み出す方法や、ビット線Bmをプリチャージして、当該ビット線Bmの電位の変化を比較することで情報を読み出す方法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記のように、有機メモリを有する本発明の半導体装置は、光や熱、電気的作用により、作製後に情報を書き込むことができる。したがって、本発明においては、使い勝手の良い半導体装置を提供することができる。
なお、本実施の形態は、本明細書中に挙げる他の実施の形態及び実施例と自由に組み合わせて行うことができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、メモリセル206を構成するトランジスタと記憶素子208の作製工程を、図9、図10、図11、図12、図3の順に図を用いて示す。
本発明の半導体装置は、ガラス基板上に作製したものをそのまま使用してもよいが、機能的付加価値をつけるために、基板上に作製した半導体装置を剥離し、別の可撓性基板に貼り合わせてもよい。そこで本実施の形態は、剥離プロセスを用いて、可撓性を持った半導体装置を構成する場合について説明する。なお本明細書内において、基板からの剥離し、別基板へ貼り合わせるための方法を剥離プロセスと記載する。
まず、基板502の一表面に、剥離層503を作製する(図9(A))。基板502は、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁層を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いるとよい。なお、本工程では、剥離層503は、基板502の全面に設けているが、必要に応じて、基板502の全面に剥離層を設けた後に、フォトリソグラフィ法によりパターニングして、選択的に設けてもよい。また、基板502に接するように剥離層503を形成しているが、必要に応じて、基板502に接するように下地となる絶縁層を形成し、当該絶縁層に接するように剥離層503を形成してもよい。選択的に剥離層503を設けることにより、剥離後の半導体素子等の飛散を防止することができる。
剥離層503は、スパッタリング法やプラズマCVD法等により、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、鉛(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、珪素(Si)から選択された元素又は前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる層を用いて形成することができる。なお剥離層503の構造は、上記材料からなる単層、又は上記材料のいずれか一を有する積層とすることができる。珪素を含む層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
剥離層503が単層構造の場合、例えば、タングステン層、モリブデン層又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。あるいは、タングステンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデンの合金に相当する。また、タングステンの酸化物は、酸化タングステンと表記することがある。
剥離層503が積層構造の場合、1層目としてタングステン層、モリブデン層又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目として、タングステン、モリブデン又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成する。
なお、剥離層503として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化珪素を含む層を形成することで、タングステン層と酸化珪素層との界面に、タングステンの酸化物を含む層が形成されることを活用してもよい。これは、タングステンの窒化物、酸化窒化物及び窒化酸化物を含む層を形成する場合も同様であり、タングステンを含む層を形成後、その上層に窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層を形成するとよい。また、タングステンの酸化物は、WOxで表され、Xは2〜3であり、Xが2の場合(WO2)、Xが2.5の場合(W2O5)、Xが2.75の場合(W4O11)、Xが3の場合(WO3)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記に挙げたXの値に特に制約はなく、エッチングレート等を基に、どの酸化物を形成するかを決めるとよい。なお、エッチングレートとして最も良いものは、酸素雰囲気下で、スパッタリング法により形成するタングステンの酸化物を含む層(WOx、0<X<3)である。従って、作製時間の短縮のため、剥離層503として、酸素雰囲気下でスパッタリング法によりタングステンの酸化物を含む層を形成するとよい。
なお、ガラスなどの基板上に作製した半導体装置を、剥離プロセスを用いずに形成し、使用する場合は、剥離層503を形成せず、次に説明するプロセスから作製することが可能である。
次に、剥離層503を覆うように、下地となる絶縁層504を形成する。絶縁層504は、スパッタリング法、又はプラズマCVD法等により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層で形成する。珪素の酸化物材料とは、珪素(Si)と酸素(O)を含む物質であり、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。珪素の窒化物材料とは、珪素と窒素(N)を含む物質であり、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。下地となる絶縁層504が2層構造の場合、例えば、1層目として窒化酸化珪素層を形成し、2層目として酸化窒化珪素層を形成するとよい。下地となる絶縁層504が3層構造の場合、1層目の絶縁層として酸化珪素層を形成し、2層目の絶縁層として窒化酸化珪素層を形成し、3層目の絶縁層として酸化窒化珪素層を形成するとよい。または、1層目の絶縁層として酸化窒化珪素層を形成し、2層目の絶縁層として窒化酸化珪素層を形成し、3層目の絶縁層として酸化窒化珪素層を形成するとよい。下地となる絶縁層504は、基板502からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能するため、珪素の窒化物材料を有すると好ましい。
次に、絶縁層504上に、非晶質半導体層505(例えば非晶質珪素を含む層)を形成する。非晶質半導体層505は、スパッタリング法、LPCVD法、又はプラズマCVD法等により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。続いて、非晶質半導体層505を結晶化法(レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた方法等)により結晶化して、結晶質半導体層を形成する。その後、得られた結晶質半導体層を所望の形状にパターニングして、結晶質半導体層706〜710を形成する(図9(B))。
結晶質半導体層706〜710の作製工程の一例を以下に簡単に説明すると、まず、プラズマCVD法を用いて、膜厚66nmの非晶質半導体層を形成する。次に、結晶化を助長する金属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体層上に保持させた後、非晶質半導体層に脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って結晶質半導体層を形成する。その後、必要に応じてレーザ光を照射し、フォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理によって結晶質半導体層706〜710を形成する。レーザ結晶化法で結晶質半導体層を形成する場合、連続発振又はパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いる。気体レーザとしては、エキシマレーザ、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、Ti:サファイアレーザ等を用いる。固体レーザとしては、Cr、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmがドーピングされたYAG、YVO4、YLF、YAlO3などの結晶を使ったレーザを用いることができる。
また、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質半導体層の結晶化を行うと、低温で短時間の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある。一方、金属元素が結晶質半導体層に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。そこで、結晶質半導体層上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体層を形成するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体層には、リンやアルゴンの不純物元素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能なスパッタリング法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体層中に金属元素を拡散させ、続いて、当該金属元素を含む非晶質半導体層を除去する。すると、結晶質半導体層中の金属元素の含有量を低減又は除去することができる。
次に、結晶質半導体層706〜710を覆うゲート絶縁層705を形成する。ゲート絶縁層705は、プラズマCVD法、又はスパッタリング法により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む層、酸化窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層を、単層又は積層して形成する。
次に、ゲート絶縁層705上に、下部導電層と上部導電層を積層して形成する。下部導電層は、プラズマCVD法、又はスパッタリング法により、20〜100nmの厚さで形成する。上部導電層は、プラズマCVD法、又はスパッタリング法により、100〜400nmの厚さで形成する。下部導電層と上部導電層は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nd)等から選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成する。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料により形成する。下部導電層と上部導電層の組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル(TaN)層とタングステン(W)層、窒化タングステン(WN)層とタングステン層、窒化モリブデン(MoN)層とモリブデン(Mo)層等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、下部導電層と上部導電層を形成した後に、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層構造ではなく、3層構造の場合は、モリブデン層とアルミニウム層とモリブデン層の積層構造を採用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスク(レジストマスク)を形成し、下部導電層と上部導電層に対して、ゲート電極とゲート線を形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電層(単にゲート電極層とも呼ぶ)716〜725を形成する。このとき、下部導電層と、上部導電層とのエッチングレートの差により、各導電層の形状、特にそのテーパ角度を異ならせることができる。
また薄膜トランジスタの性能を高めるため、ゲート電極の幅を短くするとよい。この場合、ゲート電極をパターニングするためのレジストマスク等を、酸素プラズマ等によりエッチングした後に、ゲート電極をパターニングするとよい。
次に、フォトリソグラフィ法により、レジストマスクを形成して、結晶質半導体層706、708〜710に、イオンドープ法又はイオン注入法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、N型不純物領域711、713〜715とチャネル形成領域780、782〜784を形成する。N型を付与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(As)を用いる。
次に、フォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成して、結晶質半導体層707に、P型を付与する不純物元素を添加して、P型不純物領域712とチャネル形成領域781を形成する。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。
次に、ゲート絶縁層705と導電層716〜725を覆うように、絶縁層を形成する。絶縁層は、プラズマCVD法、又はスパッタリング法により、珪素、珪素の酸化物又は珪素の窒化物の無機材料を含む層や、有機樹脂などの有機材料を含む層を、単層又は積層して形成する。次に、絶縁層を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングして、導電層716〜725の側面に接する絶縁層(サイドウォールともよばれる)739〜743を形成する(図9(C))。また、絶縁層739〜743の作製と同時に、ゲート絶縁層705がエッチングされた絶縁層734〜738が形成される。絶縁層739〜743は、後にLDD(Lightly Doped drain)領域を形成する際のドーピング用のマスクとして用いることができる。
次に、フォトリソグラフィ法により形成したレジストマスクと、絶縁層739〜743をマスクとして用いて、結晶質半導体層706、708〜710にN型を付与する不純物元素を添加して、第1のN型不純物領域(LDD領域とも呼ぶ)727、729、731、733と、第2のN型不純物領域(ソースドレイン領域とも呼ぶ)726、728、730、732とを形成する。第1のN型不純物領域727、729、731、733が含む不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域726、728、730、732の不純物元素の濃度よりも低い。上記工程を経て、N型の薄膜トランジスタ744、746〜748と、P型の薄膜トランジスタ745が完成する。
なお、LDD領域を形成するためには、ゲート電極を2層以上の積層構造として、当該ゲート電極に異方性エッチングを行って、当該ゲート電極を構成する下層の導電層をマスクとして用いてドーピングを行う手法と、サイドウォールの絶縁層をマスクとして用いてドーピングを行う手法がある。前者の手法を採用して形成された薄膜トランジスタは、ゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた構造となる。この構造は、ゲート電極の異方性エッチングを利用するために、LDD領域の幅を制御することが難しく、エッチング工程が良好に行われなければ、LDD領域を形成することができない場合がある。一方、後者のサイドウォールの絶縁層をマスクとして用いる手法は、前者の手法と比較すると、LDD領域の幅の制御が容易であり、また、LDD領域を確実に形成することができる。
続いて、薄膜トランジスタ744〜748を覆うように、絶縁層を単層又は積層して形成する(図10(A))。薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁層は、SOG法、又は液滴吐出法等により、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブテン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層で形成する。シロキサンは、シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。例えば、薄膜トランジスタ744〜748を覆う絶縁層が3層構造の場合、1層目の絶縁層749として酸化珪素を含む層を形成し、2層目の絶縁層750として樹脂を含む層を形成し、3層目の絶縁層751として窒化珪素を含む層を形成するとよい。
なお、絶縁層749〜751を形成する前、又は絶縁層749〜751のうちの1つ又は複数の薄膜を形成した後に、半導体層の結晶性の回復や半導体層に添加された不純物元素の活性化、半導体層の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理には、熱アニール、レーザアニール法又はRTA法などを適用するとよい。
次に、フォトリソグラフィ法により絶縁層749〜751をエッチングして、N型不純物領域726、728〜732、P型不純物領域785を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、ソースドレイン配線として機能する導電層752〜761を形成する。
導電層752〜761は、プラズマCVD法やスパッタリング法により、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、ネオジウム(Nd)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含む合金材料に相当する。導電層752〜761は、例えば、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層とバリア層の積層構造、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層と窒化チタン(TiN)層とバリア層の積層構造を採用するとよい。なお、バリア層とは、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜に相当する。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電層752〜761を形成する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア層を形成すると、結晶質半導体層上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体層と良好なコンタクトをとることができる。
次に、導電層752〜761を覆うように、絶縁層762を形成する(図10(B))。絶縁層762は、SOG法、又は液滴吐出法等を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁層762は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。
続いて、フォトリソグラフィ法により絶縁層762をエッチングして、導電層757、759、761を露出させるコンタクトホールを形成する。続いて、コンタクトホールを充填するように、導電層を形成する。導電層は、プラズマCVD法、又はスパッタリング法を用いて、導電性材料により形成する。次に、導電層をパターン加工して、導電層763〜765を形成する。なお、導電層763〜765は、記憶素子が含む一対の導電層のうちの第1の導電層に相当する。従って、好適には、導電層763〜765は、チタン、又はチタンを主成分とする合金材料若しくは化合物材料により、単層又は積層で形成するとよい。チタンは、抵抗値が低いため、記憶素子のサイズの縮小につながり、高集積化を実現することができる。また、導電層763〜765を形成するためのエッチング工程においては、下層の薄膜トランジスタ744〜748にダメージを与えないために、ウエットエッチング加工を行うとよく、エッチング剤にはフッ化水素(HF)又はアンモニア過水を用いるとよい。
次に、導電層763〜765を覆うように、絶縁層766を形成する。絶縁層766は、SOG法、又は液滴吐出法等を用いて、無機材料又は有機材料により、単層又は積層で形成する。また、絶縁層766は、好適には、0.75μm〜3μmの厚さで形成する。続いて、フォトリソグラフィ法により、絶縁層766をエッチングして、導電層763〜765を露出させるコンタクトホール767〜769を形成する。
次に、導電層765に接し、アンテナとして機能する導電層786を形成する(図11(A))。導電層786は、プラズマCVD法、スパッタリング法、印刷法、又は液滴吐出法を用いて、導電性材料により形成する。好ましくは、導電層786は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、銅(Cu)から選択された元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。具体的には、導電層786は、スクリーン印刷法により、銀を含むペーストを用いて形成し、その後、50〜350度の加熱処理を行って形成する。又は、スパッタリング法によりアルミニウム層を形成し、当該アルミニウム層をパターン加工することにより形成する。アルミニウム層のパターン加工は、ウエットエッチング加工を用いるとよく、ウエットエッチング加工後は200〜300度の加熱処理を行うとよい。
また、アンテナを別の基板に作製し、後で貼り合わせる場合には、アンテナを形成する代わりに、アンテナを接続するための配線を形成する。
次に、導電層763、764に接するように有機化合物層303を形成する(図11(B))。有機化合物層303は、液滴吐出法、又は蒸着法等により形成する。続いて、有機化合物層303に接するように、第2の導電層304を形成する。第2の導電層304は、スパッタリング法、又は蒸着法などにより形成する。
各記憶素子208は、第1の導電層(導電層763、764)、有機化合物層303と、第2の導電層304の積層体に相当し、隣接する記憶素子208の間には、絶縁層305が設けられる。記憶素子208の有機化合物層303の材料は、光を照射する、加熱する又は、電気的作用を加えることにより電気抵抗が変化する有機化合物を用いる。
光を照射する、加熱する、又は電気的作用を加えることで、電気抵抗を変化させることのできる有機物のうち、正孔輸送性の高い有機化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)や4,4’−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミン(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)を含む化合物やフタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物等がある。
また、光を照射する、加熱する、又は電気的作用を加えることで、電気抵抗を変化させることのできる有機物のうち、電子輸送性が高い有機化合物としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール、チアゾール配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等の化合物等がある。
他にも、有機化合物層303の材料として使用できる有機化合物には、例えば、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)等が挙げられる。また、上記発光材料を分散してなる層を形成する場合に母体となる材料としては、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)などの金属錯体等を用いることができる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等がある。
また、有機化合物層303の材料として、例えば、光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)をドープした共役高分子を用いることができる。ここで共役高分子としては、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフェニレンエチニレン類等を用いることができる。また、光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、o−ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸p−ニトロベンジルエステル、スルホニルアセトフェノン類、Fe−アレン錯体PF6塩等を用いることができる。
また上記有機化合物層303の材料に、金属酸化物又は金属窒化物等を混在させた層、又はそれらを積層させた層を用いてもよい。さらに好ましくは周期表第4族乃至第12族のいずれかの遷移金属酸化物を用いるとよい。例えば、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化レニウム、酸化タングステン、酸化ルテニウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルが好適である。
有機化合物と金属酸化物とが混在した層、又はそれらを積層させた層を用いることによって、有機化合物層の結晶化を抑制することができ、抵抗の増加を伴わずに有機化合物層を厚く形成することが可能となる。そのため、基板上にゴミや汚れ等に起因する凹凸がある場合であっても、有機化合物層の厚膜化により凹凸の影響をほとんど受けない。従って、凹凸に起因するのショート等の不良を防止することができる。また、有機メモリを可撓性基板上に搭載する場合であっても、記憶素子の層を厚く形成することによって、曲げ等の物理的応力に対抗することができる。
ここに挙げた有機化合物は一例であり、これに限定されるものではない。また、有機化合物層303は、上記に挙げるような有機化合物の単層構造でもよいし、いずれかを積層した構造を用いることもできる。
次に、第2の導電層304はについて説明する。第2の導電層304は、図4に示す例のように、線状に形成する。第2の導電層はアンテナが形成されている面と同一面上、もしくは平行な面上に形成されるため、広い面上に形成すると、リーダライタから発せられる電磁波により内部に渦電流を生じ、当該電磁波を吸収し、無線通信を阻害する。しかしながら、第2の導電層304を線状に形成することで、渦電流の生成を防止し、電磁波の吸収を少なくすることができる。そのため、半導体装置が行なう無線通信を阻害せず、通信距離が長くなる。
また、光を用いて記憶素子に情報を書き込む場合は、第1の導電層(導電層763、764)と第2の導電層304のうち、一方、又は、両方が透光性を有する構成とする。例えば、図11(B)に示すように、光が矢印Aから照射される場合、少なくとも第2の導電層304が透光性を有する必要がある。透光性を有する導電層を形成するためには、透明な導電性材料を用いるか、又は透明でない導電材料を、光が透過する厚さに形成する。透明な導電性材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO、Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化亜鉛(IZO、Indium Zinc Oxide)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)などその他の透光性酸化物導電材料があるが、これに限定されるものではない。また酸化珪素を含む酸化亜鉛、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(以下、ITSOとする)、ITSOに、さらに2〜20w%の酸化亜鉛(ZnO)を混合したターゲットを用いて形成されたものを用いることができる。また非透光性を有する材料としては、TiN、ZrN、Ti、W、Ni、Pt、Cr、Ag、Al等の1つ又は複数からなる単層膜の他、窒化チタンとアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との三層構造等がある。
なお、上記のように、アンテナとして機能する導電層786を形成した後に有機化合物層303を形成するのは、一般的に有機化合物の耐熱性が低いためである。しかしながら、耐熱性の高い有機化合物を使用して本発明の半導体装置を作成する場合は、有機化合物層303の形成後に、アンテナとして機能する導電層786を形成する工程を行うこともできる。
次に、記憶素子208、アンテナとして機能する導電層786を覆うように、SOG法、又は液滴吐出法等により、保護層として機能する絶縁層772を形成する。絶縁層772は、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む層、窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を含む層、有機材料により形成し、好ましくはエポキシ樹脂により形成する。
次に、剥離層503が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁層をエッチングして、開口部773、774を形成する(図12(A))。
次に、開口部773、774にエッチング剤を導入して、剥離層503を除去する(図12(B))。エッチング剤は、フッ化ハロゲン又はハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例えば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF3)を使用する。そうすると、薄膜集積回路791は、基板502から剥離された状態となる。なお、薄膜集積回路791とは、薄膜トランジスタ744〜748、記憶素子208の素子群と、アンテナとして機能する導電層786を合わせたものとする。なお、剥離層503は、全て除去せず一部分を残存させておいてもよい。こうすることによって、処理時間を短縮することが可能となる。さらに、薄膜集積回路791が飛散することを防止できる。
薄膜集積回路791が剥離されていた基板502は、コストの削減のために、再利用するとよい。また、絶縁層772によって、剥離層503を除去した後に、薄膜集積回路791が飛散しないようにすることができる。薄膜集積回路791は小さく薄く軽いために、剥離層503を除去した後は、基板502に密着していないために飛散しやすい。しかしながら、薄膜集積回路791上に絶縁層772を形成することで、薄膜集積回路791に重みが付き、基板502からの飛散を防止することができる。また、薄膜集積回路791単体では薄くて軽いが、絶縁層772を形成することで、巻かれた形状になることがなく、ある程度の強度を確保することができる。
次に、薄膜集積回路791の一方の面を、第1の基体776に接着させて、基板502から完全に剥離する(図3)。続いて、薄膜集積回路791の他方の面を、第2の基体775に接着させ、その後加熱処理と加圧処理の一方又は両方を行って、薄膜集積回路791を、第1の基体776と第2の基体775により封止する。第1の基体776と第2の基体775は、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなるフィルム、繊維質な材料からなる紙、基材フィルム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム(アクリル合成樹脂、エポキシ合成樹脂等)との積層フィルムなどに相当する。フィルムは、熱圧着により、被処理体と加熱処理と加圧処理が行われるものであり、加熱処理と加圧処理を行う際には、フィルムの最外層に設けられた接着層か、又は最外層に設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。また、第1の基体776と第2の基体775の表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよい。接着層は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂を含む接着剤、樹脂添加剤等の接着剤を含む層に相当する。
以上の工程により、可撓性を有する半導体装置を作製することができる。
また、基板502上に作製した半導体装置をそのまま使用する場合は、開口部773、774を形成する以降の、上記剥離プロセスを必要としない。
また、別基板に作製したアンテナを接続するための配線を作製した場合は、アンテナを接続するための配線を最外面に露出させる必要がある。
なお、本実施の形態において、トランジスタは、活性層に薄膜材料を用いた薄膜トランジスタを用いて形成しているが、これに限定されない。また、薄膜トランジスタのゲート電極は、半導体膜の上層に設けても良いし、下層に設けた構造を採用しても良い。
上記のように、有機メモリは、一対の導電層間に設けられた有機化合物層を設ける単純な構成を有する。またさらに、本発明の半導体装置は、ガラス基板、可撓性基板などの安価な材料を用いて作製することができる。したがって、本発明の半導体装置は、作製行程が単純であり、安価に作製する事が可能になる。
さらに、本発明の半導体装置は、大きな面積の基板上に複数形成し、その後、分断することで完成させる、いわゆる多面取りを用いることにより、より安価なものを提供することができる。このときに用いる大きな面積の基板としては、ガラス基板、可撓性基板等が挙げられる。ガラス基板や可撓性基板等は、円状のシリコン基板と比べて、母体基板形状に制約がない。そのため、半導体装置の生産性を高め、大量生産を行なうことができる。その結果、半導体装置のコストの削減が期待でき、単価が非常に低い半導体装置を提供することができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組みあわせて行うことができる。
(実施の形態3)
次に、本発明の半導体装置に内蔵されている有機メモリの共通電極を線状に形成した形状例と、作製方法の例を示す。なお線状とは、第1の辺に比べて第2の辺が長い方形や、焦点間距離の長い楕円、それに類似する細長い形をさしている。共通電極は、全ての記憶素子の一端に同電位を与えるために導通しているので、例えば図5に示すように、上記方形や上記楕円をくし上に形成すると好ましく、これらも線状に含む。しかし、線状という形状は、渦電流の発生による電磁波の吸収を低減できる形状であれば、ここに挙げた例のみに限定されるものではない。さらに、共通電極401の形成は、上記渦電流の発生による電磁波の吸収を低減できればよく、高い加工精度を求めるものではない。
図5(A)から(D)は、図3において矢印Aの方向から基板を示したものである。図5(A)は、くし状に形成された共通電極を示している。図5(B)は、複数の線状に形成された共通電極であって、それぞれコンタクトにより導通をとる場合を示している。図5(C)は、細長い長方形を凸凹型につなぎ合わせた形につくられた共通電極であって、その長辺はデコーダ203に対して平行に設けられている。図5(D)は、はしご型に形成された共通電極を示している。このように、線状の形状を有する共通電極401は、様々な形に作製することができる。
また共通電極は、様々な方法で作製することができる。
例えば、共通電極401を基板上に蒸着させる時に、線状に形成する方法が挙げられる。形成したい共通電極の形に穴を空けた金属板を、基板に、図3矢印Aの方向から隣接させ、導電体を蒸着させることで共通電極の形を作製する方法である。本明細書中において、上記金属板をメタルマスクと記載する。
メタルマスクによって、共通電極を線状に形成する方法は、フォトリソグラフィーなどの方法に比べて加工精度は劣る。しかし、無線タグが行う無線通信を阻害しない程度に共通電極を形成する精度としては十分である。例えば、メタルマスクで作製した共通電極の線幅は、10μm以下であり、好ましくは2〜4μmとなる。
メタルマスクを用いて共通電極を作製する方法は、フォトリソグラフィーに比べて工程数が少なく、簡単に行うことができる。また、基板上に先に作製している他の層の特性に悪影響を与えることがないという利点がある。もちろん、フォトリソグラフィー法を用いて、共通電極を線状に作製してもよい。
図5(B)に示すように、共通電極を作製する層と、下層の導電層との間にコンタクトホール501を設けて、下層の導電層により、共通電極を導通させても良い。また、共通電極を線状に形成するときの、線が延在する方向は図5に限定されるものではない。
他にも、共通電極を作製する方法として、液滴吐出法を用いることができる。液滴吐出法は、インクジェット法やディスペンサ方式等の液滴を吐出してパターンを作製する方式の総称である。
液滴吐出法を用いる場合、共通配線を図5(C)に示すような線状に作製することができる。液滴吐出法は加工精度が高くないが、無線タグの無線タグが行う無線通信を阻害しない程度に共通電極を作製する精度としては十分であり、容易に行うことができる。例えば、液滴吐出方により作製した共通電極の線幅は、40μm以下であり、好ましくは、10〜20μmとなる。
液滴吐出法による共通電極の作製は、工程数を少なくできることや、材料を無駄にしないという利点がある。
上記に挙げた、共通電極を作製する方法は、一例に過ぎず、これらに限定されるものではない。
本実施の形態は、本明細書中に挙げる他の実施の形態及び実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。