JP2004064062A - 情報記憶デバイスと、この情報記憶デバイスを用いた情報記憶・再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】異性化反応により可逆的に分子構造が変化し、該異性化反応のうち少なくとも1反応が電気的なキャリア注入により生じ、かつ該異性化反応の前後で電気的特性が変化する、双安定性分子を含む層3を有する情報記憶デバイス。この双安定性分子含有層3に対して、電気的なキャリア注入を行い、双安定性分子に異性化反応を起こすことにより情報を記憶し、電圧を印加し、情報記憶前後の電流値の変化を検出することにより情報を再生する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報記憶デバイスと、この情報記憶デバイスを用いた情報の記憶・再生方法に係り、特に、電気的なキャリア注入により異性化反応を起こし、それに伴って電気的特性が変化する双安定性分子を情報記憶材料とする新規情報記憶デバイスと、この情報記憶デバイスを用いた情報の記憶・再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報関連技術の発展と共に、それらの情報を記憶する大容量記憶デバイスへの需要が拡大している。コンピューターに用いられる情報記録デバイスには、(1)記録再生の高速性と(2)大容量性が要求され、更に付加的な要求性能として、(3)情報保持に特別な電力を必要としない不揮発性、(4)保管データの可搬性がある。特に、CPUに最も近く頻繁にアクセスするメモリ、即ち、CPUに内蔵のキャッシュメモリやメインメモリなどの、SRAMやDRAMなどには、上記(1)の性能が重視される。また、プログラム本体やそれによる大規模なデータの保管のためには、上記(1)にある程度優れ、かつ(2),(3)に優れたハードディスクドライブが用いられる。また、膨大なデータの保管やアプリケーションソフト、動画ソフトの配布用には、特に(2),(3),(4)に優れた光ディスクが用いられている。更に、近年音楽用やデジタルカメラ、携帯電話用に、メカレスでコンパクトでありかつ(3),(4)に優れた情報記憶デバイスとして、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ)の利用が急激に拡大してきている。
【0003】
上述したDRAMやフラッシュメモリなどの半導体メモリでは、(1)や(3),(4)が重視されているとはいえ、大容量化(高集積化)へのニーズも大きく、そのための技術開発が活発に行われてきている。半導体高集積化のための代表的な技術は、微細化技術であり、いわゆるデザインルールを小さくしていくことであった。例えば、米 Intel Corp.は2001 International Electron Devices Meeting(2001 IEDM (Dec.3−5,2001))において、ゲート長15nmのトランジスタを発表しており、このような微細加工の高精細化に関しては当面これまでどおり進展していくものと考えられる。
【0004】
一方で、上述したような半導体メモリ素子としての大容量化を考えるとき、微細加工技術の進展だけでは不十分であることが知られている。例えば、日経エレクトロニクス 2001.2.12(No.789)の第152頁以降に掲載された特集には、以下のような記載がある。
【0005】
メモリ素子を構成する個々のセルは、図5で示されるように、トランジスタのようなスイッチ部分と、キャパシタ(DRAMの場合)のような情報記憶保持部分がある。このうちスイッチ部分は微細加工技術の進展と共に小さくすることが可能であるが、情報記憶保持部分を小さくすることはできない。例えば、これまでのDRAMの高集積化の歴史では、キャパシタ部分は3次元化することで必要な蓄積電荷量を確保するようにしてきたが、この3次元化による高集積化も限界に来ている。そこで、FeRAMやMRAM、相変化RAMなどの、キャパシタを用いない新しい原理のメモリ素子が提案されている。FeRAMでは強誘電体の分極状態で、MRAMでは磁性体の磁化方向により、相変化RAMでは相変化材料の結晶・アモルファス状態の違いにより、情報が記憶される。
【0006】
しかしながら、これらのメモリ素子の場合、情報の記憶時には記憶保持部を構成する多数の原子の集合状態を扱う必要があるため、記憶保持部分の大きさが小さくなり、構成する原子の数が減少すると、その原理から記憶保持が困難になる。このため、これらのメモリ素子では、更なる高集積化には対応が困難であることが予想される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のメモリ素子の情報記憶保持部に、新規な材料系を用いて新しい記憶・再生原理を導入することにより、スイッチ部の微細化技術が今後更に進展しても、それに十分に対応可能な小さな情報記憶保持部を構成することができ、これにより、より一層の高集積化が可能な情報記憶デバイスと、この情報記憶デバイスを用いた情報の記憶・再生方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報記憶デバイスは、異性化反応により可逆的に分子構造が変化し、該異性化反応のうち少なくとも1反応が電気的なキャリア注入により生じ、かつ該異性化反応の前後で電気的特性が変化する、双安定性分子を含む層を有することを特徴とする。
【0009】
なお、本発明における「双安定性分子」とは、情報の記録状態及び未記録状態を表す異性体が、
(a)いずれも常温・常圧・環境光下で安定であり、
(b)励起状態を経て異性化反応することにより、相互に可逆的に入れ替わり、
(c)該異性化反応が、外部からエネルギーを与えることにより、初めて生じる、化合物を意味する。
【0010】
ここで、常温とは、通常0〜50℃程度、常圧とは、通常1気圧程度であり、安定であるとは、分解、その他の物理的・化学的変化を生じないことを表す。
【0011】
本発明で用いる双安定性分子は、未励起状態において、電気的なキャリア注入を行うことにより励起状態を経て異性化反応を起こし、分子構造が変化して異性体となる。しかして、異性化反応前後の分子は共に安定な双安定性を示す。
【0012】
このような双安定性分子を含む層を、図5で示される情報の記憶保持部の電極間に形成しておくことにより、分子レベルでの情報の記憶が可能となり、情報記憶部を任意に小さくすること、究極的には1分子レベルまで微細化することが可能となる。
【0013】
従来、光照射により分子構造が可逆的に変化し、それに伴って吸収スペクトルやその他の物性が変化する化合物の一つとして、フォトクロミック分子が知られている。例えば「新編 光学材料ハンドブック」第494頁(株式会社リアライズ 2001年発行)にも記載のように、フォトクロミック分子は光メモリ用の材料としてよく知られている。フォトクロミック分子の異性化反応には、分子が励起状態になることが必要であり、光照射はそのための手段として用いられる。
【0014】
本発明者は、この異性化反応のために分子を励起状態にする手段は、光照射(Photon−mode)に限られず、電気的なキャリア注入(Electron−mode)によっても可能であることを見出し、これを高密度なメモリ素子へ応用することにより本発明を完成させた。
【0015】
なお、この双安定性分子において可逆的に変化する電気的特性は、イオン化ポテンシャルであることが好ましい。さらに、双安定性分子における情報記憶前後、即ち異性化反応前後の異性体a及びbについて、
[異性体aのイオン化ポテンシャル]>[異性体bのイオン化ポテンシャル]
か成り立ち、かつ異性体aのイオン化ポテンシャルが、ホール注入を担う層のイオン化ポテンシャルより0.1eV以上大きいことが好ましい。
【0016】
この双安定性分子としては、特に、電子輸送性基とホール輸送性基とを有するジヘテロアリールエテン系フォトクロミック分子であることが好ましい。
【0017】
本発明の情報記憶デバイスは、このような双安定性分子含有層を有する情報記憶部と、この情報記憶部に印加する電圧を制御するスイッチ部とを有することが好ましい。
【0018】
本発明の情報記憶方法は、このような本発明の情報記憶デバイスの双安定性分子を含む層に対して、電気的なキャリア注入を行い、該双安定性分子に異性化反応を起こさせることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の情報再生方法は、このような本発明の情報記憶デバイスの双安定性分子を含む層に対して電圧を印加し、情報記憶前後の電流値の変化を検出すること、即ち、情報記憶部に対して電圧を印加し、キャリアの導電度の違いによって情報の記憶状態を読み出すことを特徴とする。
【0020】
さらに本発明の情報記憶・再生方法は、このような本発明の情報記憶デバイスの双安定性分子を含む層に対して、電気的なキャリア注入を行い、該双安定性分子に異性化反応を起こさせることにより情報を記憶し、また、該情報記憶デバイスの双安定性分子を含む層に対して電圧を印加し、情報記憶前後の電流値の変化を検出することにより情報を再生することを特徴とする。
【0021】
本発明の情報記憶デバイスは、例えば、従来のシリコン半導体メモリのスイッチ部に、双安定性分子による全く新しい原理の情報記憶部を組み合わせることにより構成することができる。このような本発明の情報記憶デバイスであれば、次のような利点がある。
【0022】
即ち、従来、有機分子を用いたメモリ素子に関する提案はいくつかあったが、情報の記憶・再生のために、いかにしてその分子にアクセスするかという点が問題となっていた。有機分子層自体には、通常の半導体製造プロセスが応用できないため、素子のパターニング方法としては自己組織化などの手法が考えられるが、生産性や加工精度など様々な点で不十分であり、実用には耐えないものであった。
【0023】
これに対して、本発明の情報記憶デバイスの場合、双安定性分子へのアクセスに用いる回路部分は、通常の半導体製造プロセスと同様に、例えばシリコン基板上に、近年の技術の進歩により可能となった極微細なパターン形成を行うことができ、一方で情報記憶部については、微細なパターン形成は必ずしも行わずに製造することができる。情報記憶部に使用される双安定性分子は、分子単位での情報記憶が可能であるため、パターン形成にて隣接する素子を仕切る必要がない。従って、本発明の情報記憶デバイスにおける双安定性分子含有層と、その上に設けられる電極層は、微細にパターン化せずとも、例えば一面に一様に層形成すればよい。
【0024】
即ち、本発明はシリコン半導体製造プロセスのメリットと、双安定性分子の持つ特徴を合わせることで、両者の特徴を生かすだけでなく、両者の抱える課題をも解決した、極めて実用的で優れた情報記憶デバイスを実現するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の情報記憶デバイスと、この情報記憶デバイスを用いた情報記憶・再生方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0026】
なお、本明細書において、「情報記憶デバイス」、「メモリ素子」及び「記憶素子」はすべて同義である。
【0027】
図1は、実施の形態に係る情報記憶デバイスの回路構造を示す説明図である。この情報記憶デバイスは、図5に示す従来の半導体メモリの構成において、電極間に双安定性分子含有層を形成することにより情報記憶部3を構成したものであり、図1において、1はアノード、2はカソード、4はスイッチ部(トランジスタ)、5はワード線、6はプレート線、7はアースを示す。
【0028】
本発明の情報記憶デバイスの回路構成は、何ら図1に示すものに限定されず、様々な形態の情報記憶デバイスに適用可能であるが、双安定性分子含有層を含む情報記憶部と、この情報記憶部に印加する電圧を制御するためのスイッチ部とを備えるものであることが好ましい。
【0029】
また情報記憶部は、実用上は、双安定性分子含有層中の双安定性分子へのホール及び電子の注入効率を高め、キャリア注入バランスを最適化する目的で、双安定性分子含有層とアノードとの間にホール輸送層を設けると共に、カソードと双安定性分子含有層との間に電子輸送層を設けることが好ましい。
【0030】
このように本発明の情報記憶デバイスは、双安定性分子含有層を有する点が特徴である。この双安定性分子含有層は、異性化反応により可逆的に分子構造が変化し、該異性化反応のうち少なくとも1反応が、電気的なキャリア注入により生じ、かつ、該異性化反応の前後で電気的特性が変化する双安定性分子を含有する層である。
【0031】
以下に、本発明に使用する双安定性分子について説明する。
異性化反応の前後で変化する、該分子の電気的特性としては特に制限はないが、イオン化ポテンシャルである場合が好ましい。
【0032】
イオン化ポテンシャルは、物質のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義される。イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接定義されるか、電気化学的に測定した酸化電位を基準電極に対して補正しても求められる。後者の方法の場合、例えば飽和甘コウ電極(SCE)を基準電極として用いたとき、
イオン化ポテンシャル=酸化電位(vs.SCE)+4.3eV
で定義される(“Molecular Semiconductors”,Springer−Verlag,1985年、98頁)。
【0033】
本発明で使用される双安定性分子の具体例としては、後述する図2記載のジヘテロアリールエテン系フォトクロミック分子が挙げられるが、これに何ら限定されるものではない。本発明で使用される双安定性分子は、異性化反応により可逆的に分子構造が変化し、それに伴って電気的特性が変化する双安定性分子であって、電気的なキャリア注入により異性化反応を起こすものであれば良く、特に制限はないが、双安定性分子含有層の形成が容易であることから双安定性有機分子が好ましく、特に各種フォトクロミック分子等が好適に使用できる。
【0034】
本発明で用いる双安定性有機分子は、後述の実施例で述べるように、光照射によっても異性化反応を起こすものであることが好ましく、このような双安定性有機分子であれば、電気的なキャリア注入により異性化反応を起こさせた後、光照射により容易に元の状態に戻すことができる。
【0035】
このような分子の代表例としては、電子輸送性基とホール輸送性基を併せ持つフォトクロミック化合物が挙げられる。この場合、フォトクロミック化合物1分子中に含まれる、電子輸送性基及びホール輸送性基の数は、本発明の記憶情報デバイスの性能を損なわない限り、特に制限はない。両基の電気的性質のバランスにより、適切なイオン化ポテンシャル及び電子親和力を示すよう、数と種類を選択すればよいが、通常は、電子輸送性基及びホール輸送性基は、1化合物に各々1個ずつである。フォトクロミック化合物としては、例えばスピロピラン系化合物、スピロオキサジン系化合物、フルギド系化合物、アゾベンゼン系化合物及びジヘテロアリールエテン系化合物などが挙げられるが、好ましくはジヘテロアリールエテン系化合物である。
【0036】
ジヘテロアリールエテン系化合物とは、エテン基を構成する2個の炭素原子の各々に、少なくとも1個のヘテロアリール基が結合し、該ヘテロアリール基が有する置換基同士が光異性化反応を生じて、開環体又は閉環体を生じる化合物である。
【0037】
具体的には、例えば以下の一般式(0)で表される化合物が挙げられる。
【化3】
(式中、環Aは下記4構造のうちいずれかを表す。
【化4】
R0は、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有していても良いアルコキシ基、又はシアノ基を表す。アルキル基及びアルコキシ基が有しうる置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、及びアルコキシ基が挙げられる。
R11及びR12は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、又はアルコキシ基を示す。
環X及び環Yは各々独立に、5又は6員環の、単環又は2〜3縮合環である芳香族複素環基を表す。環X及び環Yは、置換基を有していても良い。)
【0038】
なお、上記一般式[0]で表される化合物は、1個以上の電子輸送性基と1個以上のホール輸送性基にて置換されている。
【0039】
フォトクロミック化合物に導入される電子輸送性基としては、
【化5】
など、公知の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、ホール輸送性基としては、
【化6】
などのジアリールアミノ基やその類似の基など公知の基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0040】
なお、ジヘテロアリールエテン系化合物に、上記電子輸送性基及びホール輸送性基が結合する場合には、アリール基部分に結合していることが好ましい。従って、本発明で用いる双安定性分子は、具体的には、下記一般式(I)で表される化合物が、特に好ましい。
【0041】
【化7】
(式中、R1及びR2は各々独立に炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基を表し、環D及び環Eは、各々独立に、
【化8】
(式中、RはR1又はR2を表し、R’はR3又はR4を表す。)を表し、R3は置換基を有していても良いジアリールアミノ基を表し、R4は4−メルカプトビフェニル基で置換されたオキサジアゾール基を表す。該4−メルカプトビフェニル基は、さらに置換基を有していても良い。)
【0042】
上記一般式(I)において、R3のジアリールアミノ基のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基などの、5又は6員環の、単環又は2〜3縮合環が挙げられ、ジアリールアミノ基の2つのアリール基は同一であっても異なっていても良い。また、これらのジアリールアミノ基が有しうる置換基としては、本発明の化合物の性能を損わない限り、特に制限はないが、好ましくは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。
【0043】
このジアリールアミノ基の具体例としては、ホール輸送性基として例示した前述のジフェニルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基、ジ(9,9−ジメチルフルオレニル)アミノ基等が挙げられる。
【0044】
また、R4に導入される4−メルカプトビフェニル基が有しうる置換基としては、上記ジアリールアミノ基が有しうる置換基と同様のものが挙げられる。
【0045】
なお、本発明の双安定性有機分子は、いわゆる低分子化合物であってもポリマーであっても良い。ポリマーの場合、例えば、前述した各種フォトクロミック化合物由来の部分構造を、側鎖又は主鎖に含有する、分子量1000〜100,000程度の高分子化合物が挙げられる。また、前述した一般式(0)又は一般式(I)で表される化合物由来の部分構造を、側鎖又は主鎖に含むポリマーであっても良い。1つのポリマー分子中に含まれる、フォトクロミック化合物由来の部分構造は、本発明の目的を損なわない限り、1種類であっても複数種類であっても良い。
【0046】
本発明の双安定性有機分子として、より好ましくは低分子化合物である。その分子量は、該化合物の構造や性質、及び該化合物を含む層の形成方法などにより異なるが、通常は200〜2000程度、好ましくは400〜1000程度である。この程度の分子量である化合物は、後述するように、真空蒸着法などによる成膜プロセスにも適している。
【0047】
図2は、本発明で用いる双安定性分子として好適な、ジヘテロアリールエテン系フォトクロミック分子の異性体構造の一例を示す図である。この分子では、通常のフォトクロミック異性化反応を示すジヘテロアリールエテンの部位に加えて、ホール輸送性を持たせるためのジフェニルアミノ基と、電子輸送性を持たせるための4−メルカプトビフェニル基で置換されたオキサジアゾール基を導入して修飾している。このようにホール輸送性修飾と電子輸送性修飾を行うことにより、この双安定性分子に効率良くホールと電子が注入されるようになり、より少ない電流で異性化反応を起こすことが可能となり、ひいては低消費電力化につながるので望ましい。
【0048】
このジヘテロアリールエテン分子では、図2(a)の閉環体に電圧を印加し、電子とホールを注入して分子上で再結合させることにより、分子が励起状態となり、異性化反応を起こして図2(b)の開環体となる。このジヘテロアリールエテン分子は、閉環状態ではそのイオン化ポテンシャル値は5.8eVであるのに対し、開環状態では6.2eV以上と変化する。また、開環体に光を照射することにより、フォトクロミック異性化反応を起こさせて閉環体に戻すことができる。しかして、この閉環体及び開環体は、共に安定に存在し得る。
【0049】
本発明の情報記憶部に含まれる双安定性分子含有層は、前述の双安定性分子を含有するが、本発明の情報記憶デバイスの性能を損なわない範囲で、バインダ樹脂や、公知の酸化防止剤、塗布性向上剤、可塑剤等の各種添加剤を含有していても良い。好ましくは双安定性分子を50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは実質的に双安定性分子のみからなる層である。
なお、双安定性分子含有層は、前述の双安定性分子を2種類以上含有していても良い。また、本発明の情報記憶デバイスは、双安定性分子含有層を2以上有していても良い。
【0050】
このような双安定性分子、好ましくはジヘテロアリールエテン系フォトクロミック分子等の双安定性有機分子を含む層は、真空蒸着法やスピンコート法などの公知の各種塗布法等により、前述のホール輸送層や電子輸送層等と同様にして容易に成膜することができる。
【0051】
この双安定性分子含有層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常100nm以下、好ましくは30nm以下である。
【0052】
続いて、本発明の情報記憶デバイスを構成する、その他の層について説明する。
【0053】
通常、アノードは、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどの基板上に、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などを用いて形成する。アノードの厚みは、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。アノードの材料として、特に好ましくは、白金である。
【0054】
ホール輸送層は、例えば、トリアリールアミン系化合物、スチリル構造を有する芳香族ジアミン、スターバースト型芳香族トリアミン、ジアミノフェニルフェナントリジン誘導体、シラザン化合物、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体などを用いて形成する。ホール輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
【0055】
電子輸送層は、例えば、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体化合物、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの錯体化合物、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−又は5−ヒドロキシフラボン錯体化合物、ベンズオキサゾール錯体化合物、ベンゾチアゾール錯体化合物、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などを用いて形成する。電子輸送層の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
【0056】
カソードは、例えば、銀、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金などを用いて、アノードと同程度の厚さに成膜して形成することができる。なお、本発明の情報記憶デバイスが、光照射により情報消去を行うタイプである場合には、カソード及び/又はアノードの金属の膜厚を薄く設定するなどして、消去用照射光が透過するようにしておく必要がある。
【0057】
また、このカソード上には、銅、ニッケル、クロム、金、白金、ITO等の金属導電膜よりなる保護電極層を形成しても良い。この保護電極層の厚みは、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下である。
【0058】
本発明の情報記憶デバイスにおける情報記憶部、具体的には双安定性分子含有層への、ホール注入障壁を下げる目的で、アノードとホール輸送層の間にアノードバッファ層を設けても良い。アノードバッファ層は、銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物、ポリアニリンやポリチオフェン等の導電性高分子化合物、スパッタ・カーボン膜、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物及びモリブデン酸化物等の金属酸化物などを用いて形成される。アノードバッファ層の厚みは、通常3nm以上、好ましくは5nm以上であり、また通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
【0059】
さらに、本発明の情報記憶デバイスにおける情報記憶部、具体的には双安定性分子含有層への、電子注入障壁を下げる目的で、カソードバッファ層を設けても良い。カソードバッファ層は、LiF、MgF2、Li2O等を用いて形成することができる。その膜厚は非常に薄いことが好ましく、通常、0.1nm以上、5nm以下程度である。
【0060】
前記電子輸送層、ホール輸送層、カソードバッファ層及びアノードバッファ層の材料としては、上述した材料の他に、有機電界発光素子において同様の層に使用される材料から適宜選択して使用することもできる。
【0061】
本発明の情報記憶デバイスにおけるこれらの各層は、微細加工される必要はなく、一様な均一膜として形成されれば良い。これら各層の成膜方法は、層形成用材料の種類などにより適宜選択され、特に制限はない。例えば、スプレー法、印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの塗布法や、インクジェット法、スクリーン印刷法など各種印刷法等の湿式成膜法、或いは真空蒸着法やスパッタ法などの乾式成膜法等が挙げられる。
【0062】
本発明の情報記憶デバイスにおいて、記憶された情報を保持する双安定性分子含有層は、異性化反応により可逆的に分子構造が変化し、該異性化反応のうち少なくとも1反応が、電気的なキャリア注入により生じ、かつ、該異性化反応の前後で電気的特性が変化する双安定性分子を含有する。異性化反応の前後で変化する、該分子の電気的特性としては、特に制限はないが、イオン化ポテンシャルである場合が好ましい。
【0063】
以下に、図3,4を参照してこのような双安定性分子含有層を情報記憶部として電極間に設けた本発明の情報記憶デバイスの情報の記憶及び再生の原理を説明する。
【0064】
図3,4において、カソード11と双安定性分子含有層13との間には電子輸送層14が設けられ、アノード12と双安定性分子含有層13との間にはホール輸送層15が設けられている。図3,4において、縦軸はカソード11とアノード12との間に設けられた双安定性分子含有層13、電子輸送層14及びホール輸送層15からなる、情報記憶部のエネルギーレベルを示し、横軸は各層の厚さ方向を示す。
【0065】
電子輸送層14、双安定性分子含有層13及びホール輸送層15で構成される有機層のイオン化ポテンシャルレベル(HOMOレベル)は、ホール輸送を担うバンドを形成し、同電子親和力のLUMOレベルは電子輸送を担うバンドを形成する。各有機層及び電極の間には、それぞれのエネルギーバンドレベルの違いによるポテンシャル障壁が形成される。
【0066】
このような情報記憶デバイスの情報記憶部に比較的高めの電圧を印加することにより、図3に示す如く、アノード12及びカソード11からそれぞれホールと電子が注入され、双安定性分子含有層13の分子上でそれらが再結合し、その分子を励起状態にする。その結果、その双安定性分子が異性化反応を起こし、それに伴ってその分子のイオン化ポテンシャルやキャリア移動度などの電子的な物性が変化する。特に、図2に示すようなジヘテロアリールエテン系の分子であれば、分子構造が閉環状態から開環状態に変化するに伴って、そのイオン化ポテンシャルが大きく変化することが知られている。図3はその様子を示したものである。双安定性分子としてジヘテロアリールエテン系分子を用いた場合では、記憶前後の異性体に相当する開環体及び閉環体は、いずれも長期間安定に存在する。従って、得られる情報記憶デバイスは、不揮発性メモリの機能を有することになる。
【0067】
なお、図2に示すようなジヘテロアリールエテン系フォトクロミック分子の場合、異性化反応により情報を記憶するために印加する「比較的高めの電圧」とは、材料の電気的特性(キャリア移動度、イオン化ポテンシャル値など)や素子構造にも依存するが、概ね3〜15V程度である。
【0068】
記憶された情報の再生(読み出し)に際しては、情報の記憶時よりも低めの電圧を印加することにより、アノード12−ホール輸送層15間、カソード11−電子輸送層14間のポテンシャル障壁の違いにより、ホールは有機層に注入されるが電子は注入されない状態となる。
【0069】
双安定性分子含有層13が未異性化状態(未記録状態)で、該層のイオン化ポテンシャルがホール輸送層15のそれに近く、ポテンシャル障壁が低い場合には、図4(a)に示す如く、ホールはホール輸送層15から更に双安定性分子含有層13及び電子輸送層14を伝わり、カソード11にまで到達し、その結果、電流が流れることになる。
【0070】
一方、双安定性分子含有層13が異性化状態(記録状態)で、該層のイオン化ポテンシャルがホール輸送層15のそれと大きく異なり、ポテンシャル障壁が高い場合には、図4(b)に示す如く、ホールはそのポテンシャル障壁でブロックされるため、電流が流れないことになる。
【0071】
このように、電流の流れやすさにより記憶された情報の再生が可能になる。この際、双安定性分子含有層への電子の注入は妨げられるので、ホールと電子の再結合による分子の異性化反応は防止され、フォトクロミック分子を光メモリに用いるときに課題となっていた、いわゆる「非破壊再生の実現」も同時に達成される。
【0072】
なお、図2に示すようなジヘテロアリールエテン系フォトクロミック分子の場合、このようにして情報を再生するための比較的低い電圧とは、前述と同様、素子の材料や構造にも依存するが、概ね0.5〜10V程度である。
【0073】
このように、双安定性分子の情報記憶前後、即ち異性化反応前後の異性体における、イオン化ポテンシャルの相違を利用して、情報の記憶・再生を行う場合、該分子における情報記憶前後の異性体a及びbについて、
[異性体aのイオン化ポテンシャル]>[異性体bのイオン化ポテンシャル]
か成り立ち、かつ異性体aのイオン化ポテンシャルが、ホール注入を担う層のイオン化ポテンシャルより0.1eV以上大きい場合が、より好ましい。
【0074】
ここで、「ホール注入を担う層」とは、双安定性分子含有層のアノード側界面に接する層を意味する。例えば、アノード/双安定性分子含有層/カソードの順に積層された情報記憶デバイスの場合、ホール注入を担う層とはアノードであり、また図3及び4に挙げた層構成の場合にはホール輸送層15である。
【0075】
双安定性分子の情報記憶前後に相当する異性体の内、イオン化ポテンシャルが大きい異性体aを情報記憶後の状態とし、かつ、図4に示したように、異性体aのイオン化ポテンシャルが、ホール注入を担う層のイオン化ポテンシャルより大きくする、具体的には0.1eV程度以上大きくすることにより、確実にホールをブロックし、カソードへの到達を阻止することができるので、好ましい。
【0076】
図3,4では、本発明の情報記憶デバイスの情報の記憶・再生方法を、双安定性分子の異性化反応に伴うHOMOレベルの変化の例を用いて説明したが、異性化によりホール及び/又は電子の移動度が変化する場合でも同様である。
【0077】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0078】
実施例1
双安定性分子として、図2に示すジヘテロアリールエテン系フォトクロミック分子(閉環状態のイオン化ポテンシャルは5.8eV、開環状態のイオン化ポテンシャルは6.2eV)を用いて、図1に示す回路構造の本発明の情報記憶デバイスを製造した。
【0079】
ガラス基板上にアノード電極としてPt(膜厚50nm)を真空蒸着で形成した上に、ホール輸送層としてN,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジンを30nmの厚さで、この上に双安定性分子含有層として図2に示すジヘテロアリールエテン系化合物を20nmの厚さで、更にこの上に電子輸送層としてトリス(8−ヒドロキシ−キノリネート)アルミニウムを20nmの厚さでそれぞれ真空蒸着法により形成した。更にその上に、カソードバッファ層としてLiO2(膜厚0.3nm)を、カソードとしてAg(膜厚10nm)をそれぞれ真空蒸着で積層形成し、更に保護電極層として透明導電膜(ITO)をスパッタ法により膜厚100nmで形成した。このようにして形成されたカソード側の積層膜はある程度の透光性を有する。
【0080】
この素子に対して予め紫外光を照射して、フォトクロミック異性化反応により双安定性分子含有層のジヘテロアリールエテン系化合物をすべて閉環状態とし、これを初期状態とした。
【0081】
次に、この素子に4Vの電圧を印加したところ、素子に20μAの電流が流れることが確認できた。同電圧のパルス(パルス幅1μs)を1千万回印加しても、電流値は変化しなかった。
【0082】
次に、この素子に8Vの電圧を印加した後、再度4Vのパルス電圧で流れる電流値を測定したところ、今度は電流が観測されなかった。これは8Vという高い電圧印加により、双安定性分子含有層のジヘテロアリールエテン系化合物にホールと電子の両方が注入され、前述の如く、この化合物が励起状態となって異性化反応を起こし、開環状態となったためである。
【0083】
この状態で4Vのパルス電圧を1千万回印加しても、変化が無かった。
【0084】
最後にこの素子に再度紫外光を照射することにより、初期状態に復帰することが確認できた。
【0085】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の情報記憶デバイスによれば、電気的なキャリア注入により異性化反応を起こし、それに伴って電気的特性が変化する双安定性分子を情報記憶材料として用いることにより、著しく高集積で不揮発性の情報記憶デバイスを実現することができる。
【0086】
しかして、本発明の情報記憶・再生方法によれば、このような本発明の情報記憶デバイスを用いて情報の記憶を行うと共に、情報の再生を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る情報記憶デバイスの回路構造を示す説明図である。
【図2】本発明で用いる双安定性分子として好適なジヘテロアリールエテン系フォトクロミック分子の異性体構造を示す図である。
【図3】本発明の情報記憶デバイスの情報記憶の原理の一例を説明する模式図である。
【図4】本発明の情報記憶デバイスの情報再生の原理の一例を説明する模式図である。
【図5】従来の半導体メモリ素子(DRAM)の回路構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1 アノード
2 カソード
3 情報記憶部(双安定性分子含有層を含む)
4 スイッチ部(トランジスタ)
5 ワード線
6 プレート線
7 アース
11 カソード
12 アノード
13 双安定性分子含有層
14 電子輸送層
15 ホール輸送層
Claims (10)
- 異性化反応により可逆的に分子構造が変化し、該異性化反応のうち少なくとも1反応が電気的なキャリア注入により生じ、かつ該異性化反応の前後で電気的特性が変化する、双安定性分子を含む層を有することを特徴とする情報記憶デバイス。
- 請求項1において、前記双安定性分子を含む層を有する情報記憶部と、該情報記憶部に印加する電圧を制御するスイッチ部とを有することを特徴とする情報記憶デバイス。
- 請求項1又は2において、前記双安定性分子が、電子輸送性基とホール輸送性基とを有するジヘテロアリールエテン系フォトクロミック分子であることを特徴とする情報記憶デバイス。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記双安定性分子の異性化反応の前後で変化する電気的特性がイオン化ポテンシャルであり、
該双安定性分子における異性化反応前後の異性体a及びbについて、
[異性体aのイオン化ポテンシャル]>[異性体bのイオン化ポテンシャル]
か成り立ち、かつ異性体aのイオン化ポテンシャルが、該双安定性分子を含む層に対してホール注入を担う層のイオン化ポテンシャルより0.1eV以上大きいことを特徴とする情報記憶デバイス。 - 請求項1ないし5のいずれか1項において、アノード及びカソードの間に、直接又は任意の層を介して、前記双安定性分子を含む層を有することを特徴とする情報記憶デバイス。
- 請求項6において、該アノードと双安定性分子含有層との間にホール輸送層を有し、該カソードと双安定性分子含有層との間に電子輸送層を有することを特徴とする情報記憶デバイス。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の情報記憶デバイスに情報を記憶させる情報記憶方法であって、
該情報記憶デバイスの双安定性分子を含む層に対して、電気的なキャリア注入を行い、該双安定性分子に異性化反応を起こさせることを特徴とする情報記憶方法。 - 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の情報記憶デバイスから情報を読み出す情報再生方法であって、
該情報記憶デバイスの双安定性分子を含む層に対して電圧を印加し、情報記憶前後の電流値の変化を検出することを特徴とする情報再生方法。 - 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の情報記憶デバイスに対する情報記憶・再生方法であって、
該情報記憶デバイスの双安定性分子を含む層に対して、電気的なキャリア注入を行い、該双安定性分子に異性化反応を起こさせることにより情報を記憶し、
該情報記憶デバイスの双安定性分子を含む層に対して電圧を印加し、情報記憶前後の電流値の変化を検出することにより情報を再生することを特徴とする情報記憶・再生方法。
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