JP2006183614A - 軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン - Google Patents

軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン Download PDF

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Abstract

【課題】 汚れの度合いが進行した燃料の噴射系への供給をできるだけ回避することができ、部品点数の削減等を図ることのできる軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンを提供することを課題とする。
【解決手段】 軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン(1)は、潤滑ポンプ(8)により燃料タンク(2)からエンジン潤滑系(4)へ燃料を供給し、その燃料をオイルパン(3)へ送油する潤滑系燃料供給経路(5)と、オイルパン(3)内の燃料を潤滑系燃料供給経路(5)上の潤滑ポンプ(8)の上流側に戻す潤滑系燃料リターン経路(9)と、噴射ポンプ(11)によりオイルパン(3)から噴射系(12)に燃料を供給する噴射系燃料供給経路(13)とを有する。潤滑系燃料供給経路(5)を通過してオイルパン(3)へ供給された燃料は、汚れの度合いが進行する前の早期のうちに噴射系(12)で消費される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軽油等の燃料を潤滑油として兼用する軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンに関するものである。
従来、燃料タンクとディーゼルエンジンとの間に気泡分離を行うリザーバを配設し、そのリザーバとエンジンとの間に潤滑系燃料循環回路と、燃焼系燃料循環回路とを構成した軽油潤滑式ディーゼルエンジンが開示されている(特許文献1)。このような軽油潤滑式ディーゼルエンジンでは、燃料となる軽油がエンジン各部(エンジン潤滑部)の潤滑剤としても用いられ、エンジン各部を循環する。このため、潤滑専用のオイルは不要であり、オイル交換の手間も省くことができる。
図3は、特許文献1に記載された燃料潤滑式ディーゼルエンジン100の主として燃料供給部分の概略構成を示した説明図である。燃料潤滑式ディーゼルエンジン100は、燃料タンク101、気泡分離器の機能を兼ねたリザーバタンク102、オイルパン103を備えている。燃料タンク101とリザーバタンク102とは、セジメンタ(油水分離器)104、供給ポンプ(送油ポンプ)105を備えた油路106により連通している。
燃料潤滑式ディーゼルエンジン100は、潤滑剤の供給を必要とするエンジン各部107へ潤滑剤としての燃料を供給する潤滑系燃料循環回路108を有している。この潤滑系燃料供循環回路108には、冷却器112、フィルタ109、潤滑ポンプ110が配設されており、潤滑ポンプ110を駆動することにより燃料をリザーバタンク102から吸い上げてエンジン各部107へ供給している。エンジン各部107へ供給された後の燃料は、オイルパン103内へ流下し、スカベンジポンプ111により吸い上げられて再びリザーバタンク102へ戻されるようになっている。
また、燃料潤滑式ディーゼルエンジン100は、筒内へ燃料を噴射する噴射系114へ燃料を供給する燃焼系燃料循環回路113を有している。この燃焼系燃料循環回路113には、前記潤滑系燃料循環回路108と共通の冷却器112、フィルタ115、噴射ポンプ116が配設されており、噴射ポンプ116を駆動することにより燃料をリザーバタンク102から吸い上げて噴射系114へ供給している。噴射系114に供給された燃料のうち、燃焼に供されなかった燃料は再びリザーバタンク102へ戻される。
このように特許文献1に記載された燃料潤滑式ディーゼルエンジン100は、潤滑系燃料循環回路108と燃焼系燃料循環回路113の二系統の燃料循環回路を有している。
実開昭60−194112号公報
しかしながら、前記のような軽油潤滑式ディーゼルエンジン100では、潤滑系燃料循環回路108を流通した燃料と、燃焼系燃料循環回路113を流通した燃料とが同一のリザーバタンク102へ戻され、燃料タンク101から新たに供給された燃料と混合されて、再び潤滑系燃料循環回路108、燃焼系燃料循環回路113へ供給される構成となっていることから、以下のような不都合が生じると考えられる。
潤滑系燃料循環回路108を流通した燃料、燃焼系燃料循環回路113を流通した燃料は一旦リザーバタンク102内に戻されることから、早期のうちに噴射系114で消費されず何度も循環することが考えられる。また、潤滑系燃料循環回路108を流通した燃料、燃焼系燃料循環回路113を流通した燃料は程度の差こそあれ各回路を流通しているうちに汚れが生じるため、時間が経つにつれ汚れの度合いが進行した燃料が噴射系114に供給されるおそれが高まる。あまりに汚れた燃料を噴射系114に供給することは噴射弁の噴射性能等に悪影響を及ぼすことが懸念される。
また、前記のような軽油潤滑式ディーゼルエンジン100では、燃料タンク101、リザーバタンク102、オイルパン103というように3つのタンクを具備している。さらに、供給ポンプ105、潤滑ポンプ110、噴射ポンプ107、スカベンジポンプ111というように4つのポンプを具備している。このため、軽油潤滑式ディーゼルエンジン100の構造は複雑なものとなっていた。
そこで、本発明は、汚れの度合いが進行した燃料の噴射系への供給をできるだけ回避することができ、部品点数の削減等を図ることのできる軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンを提供することを課題とする。
かかる課題を達成するための、本発明の軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンは、軽油等の燃料を潤滑油として兼用する軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンであって、潤滑ポンプにより燃料タンクからエンジン潤滑系へ燃料を供給し、当該燃料をオイルパンへ送油する潤滑系燃料供給経路と、前記オイルパン内の燃料を前記潤滑系燃料供給経路上の前記潤滑ポンプの上流側に戻す潤滑系燃料リターン経路と、噴射ポンプにより前記オイルパンから噴射系に燃料を供給する噴射系燃料供給経路と、を有することを特徴とする(請求項1)。本発明は潤滑ポンプと噴射ポンプとをいわば直列的に配置した構成である。
このような軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンでは、前記潤滑系燃料リターン経路に流量調整手段を備えた構成とすることが望ましい(請求項2)。また、前記潤滑ポンプの上流側であって前記潤滑系燃料リターン経路と前記潤滑ポンプとの間にフィルタを備えた構成とすることが望ましい(請求項3)。
また、前記のような軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンでは、前記噴射系燃料供給経路に供給した後の噴射系リターン燃料を前記噴射ポンプの上流側へ戻す噴射系燃料リターン経路を備え(請求項4)、さらに、前記噴射ポンプの上流側であって前記噴射系燃料リターン経路と前記噴射ポンプとの間にフィルタを備えた構成とすることが望ましい(請求項5)。
また、前記のような軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンでは、前記噴射系燃料供給経路に供給した後の噴射系リターン燃料を前記燃料タンクへ戻す噴射系燃料リターン経路を備えた構成とすることもできる(請求項6)。
本発明によれば、潤滑ポンプにより燃料タンクからエンジン潤滑系へ燃料を供給し、当該燃料をオイルパンへ送油する潤滑系燃料供給経路と、前記オイルパン内の燃料を前記潤滑系燃料供給経路上の前記潤滑ポンプの上流側に戻す潤滑系燃料リターン経路と、噴射ポンプにより前記オイルパンから噴射系に燃料を供給する噴射系燃料供給経路と、を有する構成とし、エンジン潤滑系へ供給された後の燃料を即座に噴射系で消費するようにしたので汚れの少ない燃料を噴射系に供給することができる。また、部品点数を大幅に削減した構成とすることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
図1は、実施例1の軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン(以下、「エンジン」という)1の主として燃料供給部分の概略構成を示した説明図である。エンジン1は、燃料タンク2とオイルパン3を備えている。オイルパン3は、シリンダブロックの下部に一体的に設けられたものを指すが、別置きのオイルタンクであってもよい。
エンジン1は、潤滑剤の供給を必要とするエンジン潤滑系4へ潤滑剤としての燃料を供給し、当該燃料をオイルパン3へ送油する潤滑系燃料供給経路5を有している。この潤滑系燃料供給経路5にはセジメンタ6、フィルタ7、50〜400kPa程度の圧力で燃料を圧送可能な潤滑ポンプ8が配設されており、潤滑ポンプ8を駆動することにより燃料を燃料タンク3から吸い上げてエンジン潤滑系4へ供給し、その後の燃料をオイルパン3へ送油するようにしている。ここで、エンジン潤滑系4はエンジン1のシリンダヘッド周りやクランク軸周りなど、従来のエンジンにおいてエンジンオイルの供給を受ける箇所を指す。また、オイルパン3は、燃料を一旦リザーブし、燃料の気泡分離の機能も果たすものである。
エンジン1は、オイルパン3内の燃料を潤滑系燃料供給経路5上の潤滑ポンプ8の上流側に戻す潤滑系燃料リターン経路9を有している。本実施例では、オイルパン3と潤滑系燃料供給経路5上のセジメンタ6とを接続しており、オイルパン3から戻された燃料は矢示16のように再び潤滑ポンプ8側へ流される。この潤滑系燃料リターン経路9には、本発明における流量調整手段に相当する制御バルブ10が装備されている。この制御バルブ10は図示しないECUに接続されており、オイルパン3から再び潤滑ポンプ10へ供給する燃料の量を調整する機能を有する。
なお、フィルタ7は、図に示すように潤滑系燃料リターン経路9と潤滑ポンプ8との間、すなわち、セジメンタ6と潤滑ポンプ8との間に装着されている。
また、エンジン1は、噴射ポンプ11によりオイルパン3から噴射系12に燃料を供給する噴射系燃料供給経路13を有している。この噴射系燃料供給経路13は、図に示すように上流側、すなわち、オイルパン3側から順にフィルタ14、10MPa以上の高圧で燃料を圧送可能な噴射ポンプ11が配設されており、噴射ポンプ11を駆動することにより燃料をオイルパン3から吸い上げて噴射系12へ供給している。ここで、噴射系12は、噴射ポンプ11から燃料の供給を受ける図示しないコモンレール及び燃料噴射弁(インジェクタ)等が含まれる。
さらに、エンジン1は、噴射系燃料供給経路13に供給した後の噴射系リターン燃料を噴射ポンプ11、フィルタ14の上流側へ戻す噴射系燃料リターン経路15を備えている。
なお、噴射系リターン燃料とは、噴射ポンプ15に一体的に設けられて供給ポンプ(低圧ポンプ)、コモンレールおよび燃料噴射弁(いずれも図示せず)の各々から戻されるリターン燃料を指す。
以上のように構成されるエンジン1では、噴射系12に供給される燃料は、噴射系燃料リターン経路15を経由する噴射系リターン燃料以外は、エンジン潤滑系4を経由した燃料である。ここで、エンジン潤滑系4を経由する燃料は噴射系リターン燃料よりも汚れ易く劣化し易い。このようなエンジン潤滑系4を経由する燃料は何度も循環して汚れの度合いが進行する前に噴射系12へ供給され、消費されることが望ましいが、本実施例のエンジン1の構成とすれば、エンジン潤滑系4を経由した燃料は順次噴射ポンプ11により噴射系12に供給され、早期に消費することができる。
但し、エンジン潤滑系4に供給すべき燃料の量と、噴射系12で消費される燃料の量とは必ずしも一致しない。例えば、単位時間あたりエンジン潤滑系4が必要とする燃料の量が「6」であり、一方、噴射系12で単位時間あたりに消費される燃料の量が「1」であるとする。この場合、エンジン潤滑系4に供給される燃料の量「6」は、燃料タンク2から供給され、オイルパン3には単位時間あたり「5」に相当する燃料が貯留され続けることになる。ここで、何らの措置も施さなければオイルパン3から燃料が溢れ出ることになる。
そこで、図示しないECUによって噴射系12で消費される燃料の量、エンジン潤滑系4に供給される燃料の量等からオイルパン3から潤滑系燃料リターン経路9を経由して潤滑系燃料供給経路5へ戻す量を算出し、制御バルブ10の開度調整が行われる。これにより、オイルパン3から燃料が溢れ出るおそれを回避することができる。
また、本実施例のエンジン1は、潤滑ポンプ8と噴射ポンプ11以外のポンプ、オイルパン3と別体のリザーバタンクは不要であり、また、燃料タンク2とオイルパン3との間の配管も不要であることから部品点数の削減を図ることができる。これにより、エンジン1のシステム全体をコンパクトに設計することができるので、車両への搭載性が向上し、車両自体の設計の自由度も向上させることができる。
さらに、エンジン1は、高圧の噴射系12内のコモンレールに供給されて高温となった噴射系リターン燃料を再び噴射系燃料供給経路13へ戻す噴射系燃料リターン経路15を備えたことにより、高温の噴射系リターン燃料をオイルパン3内に戻すことがない。この結果、オイルパン3内の燃料温度の過剰な上昇を回避できる。また、噴射系リターン燃料を再び噴射系燃料供給経路13へ戻すことにより噴射系燃料リターン経路15の配管を短くすることができ、この点もエンジン1のコンパクト化に貢献している。
また、本実施例のエンジン1では、一旦燃料タンク2から各部に供給された燃料は再び燃料タンク2へ戻されることがないので、燃料タンク2内の燃料が汚れることがない。
さらに、フィルタ7や、フィルタ14を備えているので、エンジン潤滑系4や、噴射系12に供給される燃料から異物を除去することができる。また、噴射系12に供給される燃料の多くは一旦オイルパン3に貯留されて気泡が分離され、さらにフィルタ14を通過するので噴射系12におけるエアレーションを回避することができる。
次に、本発明の実施例2について図2を参照しつつ説明する。実施例2のエンジン20が、実施例1のエンジン1と異なる点は、実施例1のエンジン1では、噴射系12へ供給された後の噴射系リターン燃料を噴射ポンプ11、フィルタ14の上流側へ戻す噴射系燃料リターン経路15を有する構成としているのに対し、実施例2のエンジン20では、噴射系12へ供給された後の噴射系リターン燃料を燃料タンク3へ戻す噴射系燃料リターン経路21を有する構成としている点である。
このような構成とすることにより、高圧の噴射系12内のコモンレールに供給されて高温となった噴射系リターン燃料が噴射系燃料リターン経路21を流通している間に冷却することができる。すなわち、通常の車両では前端側に搭載されるエンジン本体に対し燃料タンク2は車両の後端側に搭載されることが多く、燃料タンク2までの配管は長くなるから、その配管中を流通する燃料は効率よく冷却される。
なお、他の構成については実施例1のエンジン1と同様であるので、共通する構成要素については図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
実施例1の軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンの主として燃料供給部分の概略構成を示した説明図である。 実施例2の軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンの主として燃料供給部分の概略構成を示した説明図である。 従来の燃料潤滑式ディーゼルエンジンの主として燃料供給部分の概略構成を示した説明図である。
符号の説明
1、20 エンジン
2 燃料タンク
3 オイルパン
4 エンジン潤滑系
5 潤滑系燃料供給経路
6 セジメンタ
7、14 フィルタ
8 潤滑ポンプ
9 潤滑系燃料リターン経路9
10 制御バルブ
11 噴射ポンプ
12 噴射系
13 噴射系燃料供給経路
15、21 噴射系燃料リターン経路

Claims (6)

  1. 軽油等の燃料を潤滑油として兼用する軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンであって、
    潤滑ポンプにより燃料タンクからエンジン潤滑系へ燃料を供給し、当該燃料をオイルパンへ送油する潤滑系燃料供給経路と、
    前記オイルパン内の燃料を前記潤滑系燃料供給経路上の前記潤滑ポンプの上流側に戻す潤滑系燃料リターン経路と、
    噴射ポンプにより前記オイルパンから噴射系に燃料を供給する噴射系燃料供給経路と、
    を有することを特徴とする軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン。
  2. 請求項1記載の軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンにおいて、 前記潤滑系燃料リターン経路に流量調整手段を備えたことを特徴とする軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン。
  3. 請求項1又は2記載の軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンにおいて、
    前記潤滑ポンプの上流側であって前記潤滑系燃料リターン経路と前記潤滑ポンプとの間にフィルタを備えたことを特徴とする軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項記載の軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンにおいて、
    前記噴射系燃料供給経路に供給した後の噴射系リターン燃料を前記噴射ポンプの上流側へ戻す噴射系燃料リターン経路を備えたことを特徴とする軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン。
  5. 請求項4記載の軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンにおいて、
    前記噴射ポンプの上流側であって前記噴射系燃料リターン経路と前記噴射ポンプとの間にフィルタを備えたことを特徴とする軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン。
  6. 請求項1乃至3のいずれか一項記載の軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジンにおいて、
    前記噴射系燃料供給経路に供給した後の噴射系リターン燃料を前記燃料タンクへ戻す噴射系燃料リターン経路を備えたことを特徴とする軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン。
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