JP2006182915A - 繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 曲げ剛性などの機械的強度が高い繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材を提供する。
【解決手段】 開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む液状組成物で表面処理した繊維強化樹脂組成物であって、各繊維が前記熱可塑性樹脂で被覆されたプリプレグ状繊維強化樹脂組成物を調製する。前記樹脂組成物において、繊維は、その表面に形成され、かつ接着成分で構成された易接着層を介して、熱可塑性樹脂で被覆されていてもよい。前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂がポリメチルペンテン系樹脂であり、溶剤が少なくとも炭化水素類を含有するとともに、ポリメチルペンテン系樹脂の含有量が、溶剤100重量部に対して0.01〜25重量部程度であってもよい。前記繊維集合体は、例えば、炭素繊維で構成されていてもよい。
【選択図】 なし
【解決手段】 開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む液状組成物で表面処理した繊維強化樹脂組成物であって、各繊維が前記熱可塑性樹脂で被覆されたプリプレグ状繊維強化樹脂組成物を調製する。前記樹脂組成物において、繊維は、その表面に形成され、かつ接着成分で構成された易接着層を介して、熱可塑性樹脂で被覆されていてもよい。前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂がポリメチルペンテン系樹脂であり、溶剤が少なくとも炭化水素類を含有するとともに、ポリメチルペンテン系樹脂の含有量が、溶剤100重量部に対して0.01〜25重量部程度であってもよい。前記繊維集合体は、例えば、炭素繊維で構成されていてもよい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、溶液法により得られる繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材及びその製造方法に関する。
繊維強化プラスチック(FRP)は、強度及び弾性率などの機械的特性が高く、耐熱性や寸法安定性も高いため、釣り竿やゴルフシャフトなどのスポーツ用具、航空機やロケット部材の材料として広く使用されている。FRP用の樹脂としては、通常、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂が用いられ、例えば、特開昭62−36421号公報(特許文献1)には、繊維に未硬化のエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを作製した後、所望の形状に賦型して、硬化することにより成形品を得る方法が開示されている。しかし、エポキシ樹脂を用いると、硬化させるために180℃で2時間ものアニール工程が必要であり、大量生産が困難である。さらに、半製品であるプリプレグは保管中に硬化が進むのを防止するため、低温での保管が必要であり、歩留まりが悪く、経済性も低い。
また、特開平6−170844号公報(特許文献2)には、繊維シートにマトリックス樹脂を担持した離型性シートを挟んで加熱プレスする方法により、前記マトリックス樹脂を繊維に含浸させるホットメルト法が開示されている。しかし、この方法において、離型性シートを用いる上に、離型性シートを取り除いた後も、加熱工程が必要となり、操作が煩雑であり、生産性が低下する。さらに、繊維に樹脂を充分に含浸させるためには、樹脂の溶融粘度が低くなければならず、使用する樹脂の種類が限定される。
そこで、熱硬化性樹脂の代わりに、熱可塑性樹脂を繊維に含浸させたプリプレグの検討がされており、例えば、特開2004−122416号公報(特許文献3)には、開繊された強化繊維の表面を、溶融又は軟化した耐熱性熱可塑性樹脂で被覆して軽量複合材を製造する方法が開示されている。この文献には、強化繊維には、必要に応じて、樹脂との接着性を向上させる処理剤を付与してもよいことが記載されている。また、耐熱性熱可塑性樹脂としては、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリメチルペンテンなどが例示されている。
しかし、この方法で繊維に樹脂を充分に含浸させるためには、樹脂の溶融粘度が低くなければならず、樹脂の種類が限定される。さらに、含浸時の加熱温度を高温にする必要があるため、樹脂の分解が起こる。
繊維に樹脂を効率よく含浸させる方法として、例えば、特許第2915947号公報(特許文献4)には、変性されたポリ−4−メチル−1−ペンテンを含む有機溶媒に無機フィラメントの集合体を含浸させた後、有機溶媒を除去してポリメチルペンテン被覆無機材料を製造する方法が開示されている。さらに、この文献では、実施例において、無機フィラメントの集合体として、ガラスクロスが使用されている。
しかし、この方法でも、製造コストがかかるうえに、変性によってポリメチルペンテンの特性が低下する。さらに、ポリメチルペンテンと無機フィラーとの密着性が不充分であり、無機フィラーとポリメチルペンテンとの間に空隙が生じやすく、曲げ剛性などの機械的特性が低い。
さらに、特開平10−235764号公報(特許文献5)には、強化繊維にマトリックスとしての熱硬化性樹脂を含浸させた繊維強化熱硬化性プラスチックに、熱可塑性プラスチックを被覆し、熱によって熱可塑性プラスチックを可塑化して形状を修正することにより、前記熱硬化性プラスチックの形状を熱可塑性プラスチックの修正形状に倣って一体的に修正可能とした複合材料が開示されている。この文献には、熱可塑性プラスチックとして、ポリスルホン、ポリアリレート、ABS、ポリスチレン、ポリメチルペンテンなどが例示されている。
しかし、この文献には、マトリックスとしての熱硬化性樹脂の割合は記載されておらず、ストランド(長繊維の束)で構成され、熱硬化性樹脂を含浸させた撚り糸の表面に、全周的に熱可塑性プラスチックが被覆されている。すなわち、熱硬化性樹脂で被覆された繊維束の表面を熱可塑性プラスチックで被覆しているため、各繊維の表面は、熱可塑性プラスチックで被覆されていない。従って、この方法では、高い強度の材料を製造するのが困難である。
特開昭62−36421号公報(特許請求の範囲、実施例)
特開平6−170844号公報(請求項1、段落番号[0008])
特開2004−122416号公報(請求項6)
特許第2915947号公報(請求項1及び2、実施例)
特開平10−235764号公報(請求項1及び2、段落番号[0035]、[0038]、[0044]、図1)
従って、本発明の目的は、繊維強化樹脂組成物で構成され、曲げ剛性などの機械的強度が高い成形用基材及びその製造方法並びに成形品を提供することにある。
本発明の他の目的は、機械的強度、成形性及び加工性が高い成形用基材を簡便に製造することにある。
本発明のさらに他の目的は、マトリックス樹脂として、ポリメチルペンテン系樹脂を用いても、繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材を溶液法により安定かつ簡便に製造することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む溶液で表面処理し、各繊維の表面を前記熱可塑性樹脂で被覆すると、曲げ剛性(曲げに対する剛性)などの機械的強度の高い繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の成形用基材は、開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む液状組成物で表面処理した繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材であって、各繊維の表面が前記熱可塑性樹脂で被覆されている。前記樹脂組成物において、各繊維の表面は、接着成分で構成された易接着層を介して、熱可塑性樹脂で被覆されていてもよい。この易接着層は、例えば、接着性樹脂、カップリング剤などで構成されていてもよく、その割合は、繊維集合体100重量部に対して、0.01〜30重量部(特に0.05〜20重量部)程度であってもよい。前記熱可塑性樹脂は、例えば、ポリメチルペンテン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂などであってもよい。特に、前記液状組成物は、ポリメチルペンテン系樹脂と、少なくとも炭化水素類を含有する溶剤とで構成されるとともに、ポリメチルペンテン系樹脂の含有量が、前記溶剤100重量部に対して0.01〜25重量部程度であってもよい。前記繊維集合体は、例えば、炭素繊維で構成されていてもよい。また、前記繊維集合体は、平均繊維径0.1〜100μm程度の繊維で構成され、かつ目付量1〜200g/m2程度を有していてもよい。前記樹脂組成物において、熱可塑性樹脂の割合が、繊維集合体100重量部に対して、1〜500重量部程度であってもよい。前記成形用基材は、JIS K 7074のA法に準拠したシートにおける曲げ弾性率が30GPa以上であってもよい。このような成形用基材は、例えば、プリプレグとして適している。
本発明には、開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む液状組成物で表面処理して、前記成形用基材を製造する方法も含まれる。この方法において、表面処理としては、塗布が代表的である。また、易接着層を形成するために、液状組成物で表面処理する前に、繊維集合体を接着成分で表面処理してもよい。また、本発明には、前記成形用基材で形成された成形品も含まれる。
本発明では、曲げ剛性などの機械的強度が高い繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材が得られる。また、機械的強度、成形性及び加工性が高い繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材を簡便に製造することができる。さらに、マトリックス樹脂として、ポリメチルペンテン系樹脂を用いても、溶液法によって、繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材を安定かつ簡便に製造することができる。
本発明の成形用基材は、開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む液状組成物で表面処理して得られる繊維強化樹脂組成物で構成されている。そして、各繊維の表面は、前記表面処理により、熱可塑性樹脂で被覆されている。さらに、各繊維の表面は、接着成分で構成された易接着層を介して前記熱可塑性樹脂で被覆されていてもよい。
[液状組成物]
液状組成物は、通常、熱可塑性樹脂及び溶剤で構成されている。
液状組成物は、通常、熱可塑性樹脂及び溶剤で構成されている。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂などを使用できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、繊維強化樹脂組成物の剛性を向上させる点から、ポリメチルペンテン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂などの熱可塑性樹脂が使用できる。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂などを使用できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、繊維強化樹脂組成物の剛性を向上させる点から、ポリメチルペンテン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂などの熱可塑性樹脂が使用できる。
(1)ポリメチルペンテン系樹脂
ポリメチルペンテン系樹脂は、その構成単位として、少なくともメチルペンテン単位を含むオレフィンの単独又は共重合体である。メチルペンテンとしては、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらのメチルペンテンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのメチルペンテンのうち、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。
ポリメチルペンテン系樹脂は、その構成単位として、少なくともメチルペンテン単位を含むオレフィンの単独又は共重合体である。メチルペンテンとしては、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。これらのメチルペンテンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのメチルペンテンのうち、4−メチル−1−ペンテンが好ましい。
ポリメチルペンテン系樹脂は、共重合成分として、他のオレフィン系モノマーを含んでいてもよい。他のオレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセンなどのα−C2-20オレフィンなどが挙げられる。これら他のオレフィン系モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。これら他のオレフィン系モノマーのうち、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンなどのα−C2-6オレフィン、特に、エチレンやプロピレンなどのα−C2-4オレフィンが好ましい。
メチルペンテンと他のオレフィン系モノマーとの割合(モル比)は、メチルペンテン/他のオレフィン系モノマー=100/0〜50/50程度の範囲から選択でき、好ましくは100/0〜85/15、さらに好ましくは100/0〜90/10(特に99.9/0.1〜90/10)程度である。
ポリメチルペンテン系樹脂は、オレフィンと共重合性モノマーとの共重合体であってもよい。共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸C1-6アルキルエステル]、不飽和カルボン酸又はその無水物[例えば、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)シトラコン酸、(無水)イタコン酸など]、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、環状オレフィン類(ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセンなど)、ジエン類(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエンなど)などが例示できる。共重合性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
共重合性モノマーの割合は、メチルペンテン及び他のオレフィン系モノマーの合計100モルに対して、例えば、0〜50モル、好ましくは0〜30モル、さらに好ましくは0〜10モル程度の範囲から選択できる。
前記共重合体(オレフィンとの共重合体、共重合性モノマーとの共重合体)には、ランダム共重合体、ブロック共重合体、又はグラフト共重合体が含まれる。特に、これらの共重合性モノマーのうち、不飽和ジカルボン酸又はその無水物については、オレフィン系樹脂骨格にグラフト化して共重合されていてもよい。
このようなポリメチルペンテン系樹脂としては、例えば、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリメチルペンテン、メチルペンテンとα−C2-6オレフィンや(メタ)アクリル酸又はそのエステルとの共重合体、無水マレイン酸変性ポリメチルペンテンなどの酸変性ポリメチルペンテンなどが好ましく、特に、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのポリメチルペンテン、4−メチル−1−ペンテンとエチレン及び/又はプロピレンとの共重合体が好ましい。ポリ(4−メチル−1−ペンテン)としては、三井化学(株)から、商品「TPX RT18」、「TPX MX002」、「TPX DX310」として入手することができる。
ポリメチルペンテン系樹脂は、アタクチック構造であってもよいが、アイソタクチック構造や、シンジオタクチック構造、メタロセン触媒により生成する高い立体規則性を有していてもよい。これらのうち、簡便性及び経済性の点から、アイソタクチック構造を有するポリメチルペンテン系樹脂が好ましい。
(2)スチレン系樹脂
スチレン系樹脂は、芳香族ビニル単量体を主構成単位として含む単独又は共重合体である。スチレン系樹脂を形成するための芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、ビニルトルエン、ビニルキシレン、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなど)、ハロゲン置換スチレン(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレンなど)、α位にアルキル基が置換したα−アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレンなど)などが例示できる。これらの芳香族ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの単量体のうち、通常、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど、特にスチレンが使用される。
スチレン系樹脂は、芳香族ビニル単量体を主構成単位として含む単独又は共重合体である。スチレン系樹脂を形成するための芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、ビニルトルエン、ビニルキシレン、p−エチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなど)、ハロゲン置換スチレン(例えば、クロロスチレン、ブロモスチレンなど)、α位にアルキル基が置換したα−アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレンなど)などが例示できる。これらの芳香族ビニル単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの単量体のうち、通常、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなど、特にスチレンが使用される。
前記芳香族ビニル単量体は、共重合可能な単量体と組み合わせて使用してもよい。共重合可能な単量体としては、例えば、不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物(例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸又はその酸無水物など)、イミド系単量体[例えば、マレイミド、N−置換マレイミド(例えば、N−C1-4アルキルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドなど)など]、アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルや(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシC2-4アルキルエステル、アクリロニトリルなどのシアン化ビニル系モノマーなど]などが例示できる。これらの共重合可能な単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。全単量体中の共重合可能な単量体の使用量は、通常、1〜50モル%、好ましくは3〜40モル%、さらに好ましくは5〜30モル%程度である。
スチレン系樹脂は、ゴム変性スチレン系樹脂であってもよい。ゴム変性スチレン系樹脂は、成形用基材の耐衝撃性及び緩衝性を改善するために使用され、共重合(グラフト重合、ブロック重合など)などにより、前記スチレン系樹脂で構成されたマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散した重合体であってもよく、通常、ゴム状重合体の存在下、少なくとも芳香族ビニル単量体を、慣用の方法(塊状重合、塊状懸濁重合、溶液重合、乳化重合など)で重合することにより得られるグラフト共重合体(ゴムグラフトポリスチレン系重合体)である。
ゴム状重合体としては、例えば、ジエン系ゴム[ポリブタジエン(低シス型又は高シス型ポリブタジエン)、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、スチレン−イソブチレン−ブタジエン系共重合ゴムなど]、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリルゴム、エチレン−α−オレフィン系共重合体[エチレン−プロピレンゴム(EPR)など]、エチレン−α−オレフィン−ポリエン共重合体[エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)など]、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、水添ジエン系ゴム(水素化スチレン−ブタジエン共重合体、水素化ブタジエン系重合体など)などが挙げられる。なお、前記ゴム状重合体において、共重合体はランダム又はブロック共重合体であってもよく、ブロック共重合体には、AB型、ABA型、テーパー型、ラジアルテレブロック型の構造を有する共重合体等が含まれる。これらのゴム状重合体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
好ましいゴム状重合体は、共役1,3−ジエン又はその誘導体の重合体、特にジエン系ゴム[ポリブタジエン(ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体など]である。ゴム変性スチレン系樹脂において、ゴム状重合体の含有量は、3〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは7〜50重量%(特に7〜30重量%)程度である。
スチレン系樹脂としては、具体的には、ポリスチレン(GPPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA樹脂)などの非ゴム含有スチレン系樹脂や、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、α−メチルスチレン変性ABS樹脂、イミド変性ABS樹脂、スチレン−メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体(MBS樹脂)、ゴム成分X(アクリルゴム、塩素化ポリエチレン、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)にアクリロニトリルとスチレンとがグラフト重合したAXS樹脂などのゴム変性スチレン系樹脂が挙げられる。これらのスチレン系樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのスチレン系樹脂の中でも、剛性や耐衝撃性などの点から、AS樹脂やMS樹脂などの非ゴム含有スチレン系樹脂、HIPS、ABS樹脂、MBS樹脂、AXS樹脂などのゴム変性スチレン系樹脂、特に、ABS樹脂やAS樹脂などのアクリロニトリル単位を含む共重合体が好ましい。
(3)ポリスルホン系樹脂
ポリスルホン系樹脂は、主鎖分子中にジフェニルスルホン基を含むポリマーであり、ポリスルホンとポリエーテルスルホンに大別される。
ポリスルホン系樹脂は、主鎖分子中にジフェニルスルホン基を含むポリマーであり、ポリスルホンとポリエーテルスルホンに大別される。
ポリスルホンは、芳香族ジオールのアルカリ金属塩(例えば、ビスフェノールAのナトリウム塩)と、ビスフェノールSのハロゲン化物(例えば、ジクロロジフェニルスルホン)との重縮合により得られるポリマーを指す。
芳香族ジオールとしては、例えば、ベンゼンジオール(レゾルシノール、ハイドロキノンなど)やキシリレングリコール、ナフタレンジオールなどの単環式又は縮合環式の芳香族ジオール成分であってもよいが、通常、下記式(1)で表されるビスフェノール化合物が使用される。
(式中、Xは、直接結合、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、又はハロゲン原子を有していてもよい二価の炭化水素基を示し、R1及びR2は、同一又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、n及びmは0〜4の整数を示す)
前記式(1)中のXにおいて、ハロゲン原子を有していてもよい二価の炭化水素基には、ハロゲン原子を有していてもよい二価のC1-10脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子を有していてもよい二価のC6-10脂環族炭化水素基などが含まれる。これらの二価の炭化水素基は、通常、メチレン、エチレン、エチリデン、プロパン−2,2−ジイル、パーフルオロプロパン−2,2−ジイル、プロピレン、プロパン−1,3−ジイル、ブチレン、ブチリデンなどのC1-4脂肪族炭化水素基、シクロヘキシレンなどのC6-10脂環族炭化水素基などである。これらの二価の炭化水素基は、芳香族炭化水素基を有していてもよく、例えば、1−フェニル−エタン−1,1−ジイルなどであってもよい。Xとしては、−SO2−、二価のC1-4脂肪族炭化水素基(メチレン、プロパン−2,2−ジイルなど)などが好ましい。
前記式(1)中のXにおいて、ハロゲン原子を有していてもよい二価の炭化水素基には、ハロゲン原子を有していてもよい二価のC1-10脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子を有していてもよい二価のC6-10脂環族炭化水素基などが含まれる。これらの二価の炭化水素基は、通常、メチレン、エチレン、エチリデン、プロパン−2,2−ジイル、パーフルオロプロパン−2,2−ジイル、プロピレン、プロパン−1,3−ジイル、ブチレン、ブチリデンなどのC1-4脂肪族炭化水素基、シクロヘキシレンなどのC6-10脂環族炭化水素基などである。これらの二価の炭化水素基は、芳香族炭化水素基を有していてもよく、例えば、1−フェニル−エタン−1,1−ジイルなどであってもよい。Xとしては、−SO2−、二価のC1-4脂肪族炭化水素基(メチレン、プロパン−2,2−ジイルなど)などが好ましい。
R1及びR2において、炭化水素基には、脂肪族炭化水素基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどのC1-6アルキル基など)、脂環族炭化水素基(例えば、シクロヘキシル、デカリニルなどのC6-10シクロアルキル基など)が含まれる。これらの炭化水素基のうち、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのC1-4アルキル基(特に、メチル基などのC1-3アルキル基)が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシなどのC1-4アルコキシ基などが好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素などが好ましい。
これらの置換基R1及びR2の数n及びmは、それぞれ0〜4の整数から選択できるが、通常、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2の整数、さらに好ましくは0又は1である。
ビスフェノール化合物の具体例としては、例えば、ビフェノール類(4,4′−ジヒドロキシビフェニル、2,2′−ジヒドロキシビフェニルなど)、ジヒドロキシジアリールアルカン類[ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシ−フェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールAD)、1,1−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)エタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)プロパン、1,3−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカンなど]、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)C6-10シクロアルカンなど]、ジ(ヒドロキシアリール)エーテル類[ジ(4−ヒドロキシフェニル)エーテルなど]、ジ(ヒドロキシアリール)ケトン類[ジ(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなど]、ジ(ヒドロキシアリール)スルホン類[ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)など]などが挙げられる。これらのうち、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールADなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン、特にビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカンが好ましい。
これらの芳香族ジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
なお、ポリスルホンにおけるビスフェノールS骨格のベンゼン環も、前記R1及びR2と同様の置換基を有していてもよい。
ポリスルホンの市販品は、例えば、米国アモコ社製「ユーデル(登録商標)」として、輸入販売元であるディジンアモコエンジニアリング(株)を通じて入手でき、「ユーデルP−3500(登録商標)」として、日産化学工業(株)より入手できる。
ポリエーテルスルホンは、ビスフェノールSのハロゲン化物(例えば、ジクロロジフェニルスルホン)を主原料とするフリーデルクラフト反応により得られ、式−Ph−SO2−Ph−O−で表される繰返し単位(式中、Phはフェニレン基を示す)を有するポリマーを指す。
ポリエーテルスルホンにおけるベンゼン骨格も、前記R1及びR2と同様の置換基を有していてもよい。
ポリエーテルスルホンの市販品は、ドイツBASF社製「ウルトラゾーンE(登録商標)」を輸入販売元である三井化学(株)を通じて、米国アモコ社製「レーデルA(登録商標)」として、輸入販売元であるディジンアモコエンジニアリング(株)を通じて入手でき、「スミカエクセル(登録商標)」として、住友化学(株)より入手できる。
(4)ポリアリレート系樹脂
ポリアリレート系樹脂は、芳香族ジオール成分と芳香族ジカルボン酸成分とから得られる全芳香族ポリエステル系樹脂である。なお、ジオール成分の一部として、脂肪族ジオール及び/又は脂環族ジオールが含まれていてもよく、ジカルボン酸成分の一部としても、脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸が含まれていてもよい。
ポリアリレート系樹脂は、芳香族ジオール成分と芳香族ジカルボン酸成分とから得られる全芳香族ポリエステル系樹脂である。なお、ジオール成分の一部として、脂肪族ジオール及び/又は脂環族ジオールが含まれていてもよく、ジカルボン酸成分の一部としても、脂肪族ジカルボン酸及び/又は脂環族ジカルボン酸が含まれていてもよい。
芳香族ジオール成分としては、前記ポリスルホン系樹脂(3)の項で例示された芳香族ジオール成分に加えて、ジ(ヒドロキシフェニル)スルホン類[4,4′−ジ(ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)など]などが使用される。これらの芳香族ジオール成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのジオール成分のうち、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールADなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカン、ビスフェノールSなどのジ(ヒドロキシフェニル)スルホン、特にビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシアリール)C1-6アルカンが好ましい。
非芳香族ジオール成分には、脂肪族ジオールや脂環族ジオールなどが含まれる。脂肪族ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC1-10脂肪族ジオールなどが挙げられる。脂環族ジオール成分としては、例えば、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのC3-10脂環族ジオールなどが挙げられる。これらのジオール酸も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの非芳香族ジオールの割合は、全ジオール成分中、例えば、50モル%以下(0〜50モル%)、好ましくは30モル%以下(0〜30モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(0〜10モル%)程度である。
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、4−メチルイソフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸などのC8-20アレーンジカルボン酸などが挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの芳香族ジカルボン酸のうち、テレフタル酸やイソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸、特に、テレフタル酸やイソフタル酸などのベンゼンジカルボン酸が好ましい。
非芳香族ジカルボン酸には、脂肪族ジカルボン酸や脂環族ジカルボン酸などが含まれる。脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC4-10脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。脂環族ジカルボン酸としては、例えば、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などが挙げられる。これらの非芳香族ジカルボン酸も単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの非芳香族ジカルボン酸の割合は、ジカルボン酸成分中、例えば、50モル%以下(0〜50モル%)、好ましくは30モル%以下(0〜30モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(0〜10モル%)程度である。さらに、必要に応じて、トリメリット酸、ピロメリット酸などの多価カルボン酸などを併用してもよい。
なお、これらのジカルボン酸成分は、反応性誘導体(例えば、低級アルキルエステル、アリールエステル、ハライド、酸無水物などのエステル形成可能な誘導体)であってもよい。
(溶剤)
溶剤としては、熱可塑性樹脂を繊維集合体の内部にまで充分に浸透させる点から、通常、熱可塑性樹脂を溶解可能な溶剤が使用される。このような溶剤は、使用する熱可塑性樹脂の種類に応じて選択でき、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類(鎖状エーテル類、環状エーテル類など)、炭化水素類(脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類など)、セロソルブ類、アミド類、スルホキシド類、ニトリル類、ニトロ化合物、有機酸類などであってもよい。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
溶剤としては、熱可塑性樹脂を繊維集合体の内部にまで充分に浸透させる点から、通常、熱可塑性樹脂を溶解可能な溶剤が使用される。このような溶剤は、使用する熱可塑性樹脂の種類に応じて選択でき、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類(鎖状エーテル類、環状エーテル類など)、炭化水素類(脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類など)、セロソルブ類、アミド類、スルホキシド類、ニトリル類、ニトロ化合物、有機酸類などであってもよい。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、ポリメチルペンテン系樹脂(1)を溶解させるための溶剤としては、例えば、少なくとも炭化水素類(ハロゲン原子を含んでいてもよい炭化水素類)を含有するのが好ましい。炭化水素類としては、例えば、脂肪族炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどのC5-12脂肪族炭化水素など)、脂環族炭化水素類(シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどのアルキル基を有していてもよいC3-8シクロアルカンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)などが挙げられる。また、ハロゲン原子を含む炭化水素類としては、例えば、塩化炭化水素類[塩化C1-6脂肪族炭化水素(クロロホルム、四塩化炭素などの塩化メタン、トリクロロエタンなどの塩化エタンなど)など]、塩素原子及びフッ素原子を有する炭化水素類(ジクロロジフルオロエタン、トリクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなど)、臭化炭化水素類(テトラブロモエタンなど)、ヨウ化炭化水素類(四沃化炭素など)などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶剤のうち、シクロペンタンやシクロヘキサンなどのメチル基を有していてもよいC4-7シクロアルカン、特に、溶解性の点から、シクロペンタンなどのメチル基を有していてもよいC4-5シクロアルカンが好ましい。
混合溶剤としては、例えば、前記炭化水素類とエーテル類との組み合わせが好ましい。エーテル類としては、例えば、鎖状エーテル(ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテルなどのアルキルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどの不飽和脂肪族基を含むエーテル、アニソール、フェネトール、メトキシトルエンなどの芳香族環を含むエーテルなど)、環状エーテル(プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、シクロヘキセンオキシド、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジオキソール、ジオキソラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジオキシン、ジオキセン、ジオキサン、トリオキサンなどのC3-10環状エーテルなど)、アセタール類(アセタール、1,2−ジエトキシエタンメチラールなど)などが挙げられる。これらのエーテル類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのエーテル類のうち、環状エーテル、特に、1個のエーテル結合を有する環状エーテル(例えば、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、フラン、2−メチルフラン、THF、テトラヒドロフルフリルアルコール、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピランなどの1個のエーテル結合を有する3〜7員環状エーテル、好ましくはTHFやテトラヒドロピランなどの1個のエーテル結合を有する5〜6員環状エーテルなど)が好ましい。具体的な組み合わせとしては、シクロペンタンやシクロヘキサンなどのメチル基を有していてもよいC5-7シクロアルカンと、THFやテトラヒドロピランなどの1個のエーテル結合を有する5〜6員環状エーテルとの組み合わせが好ましい。
炭化水素類とエーテル類との割合(体積比)は、例えば、15〜25℃程度の室温(例えば、20℃)において、炭化水素類/エーテル類=33/67〜80/20、好ましくは43/57〜75/25、さらに好ましくは53/47〜75/25(特に53/47〜70/30)程度である。炭化水素類の割合が少なすぎると、ポリメチルペンテン系樹脂の溶解性が低下し、炭化水素類の割合が多すぎると、ポリメチルペンテン系樹脂が溶解しないか、溶剤の揮発性が高くなり、取扱い性が低下する。
スチレン系樹脂(2)を溶解させるための溶剤としては、例えば、前記環状エーテル類、前記炭化水素類、ケトン類などが挙げられる。ケトン類としては、例えば、脂肪族ケトン[アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルs−ブチルケトン、メチルt−ブチルケトン(ピナコロン)、メチルイソペンチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのC3-10ジアルキルケトンなど]、環状ケトン[シクロブタノン、シクロペンタノン、アノン(シクロヘキサノン)、メチルシクロヘキサンノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロウンデカノン、シクロドデカノン、シクロトリデカノンなどのアルキル基を有していてもよいC4-13シクロアルカノンなど)、芳香族ケトン[ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒドなどのアリールケトン、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、プロピオフェノン、イソプロピルフェニルケトン、ブチルフェニルケトンなどのアリールアルキルケトン、ベンジルメチルケトンなどのアラルキルアルキルケトンなど]などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、環状エーテル(例えば、THFやジオキサンなどのC3-6環状エーテルなど)、芳香族炭化水素(例えば、トルエンやキシレンなど)が好ましい。
ポリスルホン系樹脂(3)のうち、ポリスルホンを溶解させるための溶剤としては、例えば、前記環状エーテル類、前記炭化水素類、前記ケトン類などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶媒のうち、環状エーテル(例えば、THFやジオキサンなどのC3-6環状エーテルなど)、芳香族炭化水素(例えば、トルエンやキシレンなど)が好ましい。
ポリエーテルスルホンを溶解させるための溶剤としては、前記環状エーテル類、前記炭化水素類、前記ケトン類、ラクトン類などが挙げられる。ラクトン類としては、例えば、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン(GBL)、γ−バレロラクトン、σ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどのC3-10ラクトンの他、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどのC2-4アルキレンカーボネート、ヒノキチオール、ジケテン(ケテンダイマー)などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの溶剤のうち、ラクトン類及び/又は芳香族ケトン類と、環状ケトン類と、脂環族ケトン類とを組み合わせた混合溶剤が好ましい。ラクトン類及び/又は芳香族ケトン類と、環状ケトン類との割合(体積比)は、例えば、前者/後者=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70程度である。ラクトン類及び/又は芳香族ケトン類と環状ケトン類との合計量と、環状ケトン類との割合(体積比)は、例えば、前者/後者=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは70/30〜30/70程度である。
ポリアリレート系樹脂(4)を溶解させるための溶剤としては、例えば、エーテル類(ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、フラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、2,3−ジヒドロピラン、テトラヒドロフルフリルアルコール、シクロヘキセンオキサイドなどのC3-10環状エーテルなど)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化C1-6脂肪族炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素など)などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの良溶媒のうち、環状エーテル(例えば、テトラヒドロフランやジオキサンなどのC3-6環状エーテルなど)、ハロゲン化脂肪族炭化水素(例えば、塩化メチレンやクロロホルムなどの塩素化C1-4脂肪族炭化水素など)が好ましい。
このような溶剤の沸点は、例えば、50℃以上(例えば、50〜200℃程度)であってもよく、好ましくは55〜150℃、さらに好ましくは60〜130℃(特に65〜120℃)程度である。沸点が低すぎると、揮発性が高く、取扱い性が低下し、一方、沸点が高すぎると、乾燥が困難となる。なお、溶剤が混合溶剤である場合、混合溶剤の沸点(bpS)は、例えば、溶剤Aと溶剤Bとの2種類の混合溶剤の場合、下記式で表される。
bpS=bpA×RA/100+bpB×RB/100
[式中、bpA及びbpBは、それぞれ、溶剤A及び溶剤Bの沸点(℃)を示し、RA及びRBは、それぞれ、溶剤A及び溶剤Bの体積比率(vol%)を示す]。
[式中、bpA及びbpBは、それぞれ、溶剤A及び溶剤Bの沸点(℃)を示し、RA及びRBは、それぞれ、溶剤A及び溶剤Bの体積比率(vol%)を示す]。
これらの熱可塑性樹脂及び溶剤で構成された液状組成物において、熱可塑性樹脂の割合は、溶剤100重量部に対して0.01〜25重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは1〜20重量部(特に3〜15重量部)程度である。熱可塑性樹脂の割合がこのような範囲にあると、熱可塑性樹脂が繊維集合体に充分に含浸する。
液状組成物は、さらに慣用の添加剤、例えば、架橋又は硬化剤、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、耐光安定剤など)、染料、顔料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、充填剤、ゲル化剤などを含んでいてもよい。
[繊維集合体]
繊維集合体を構成する繊維には、無機繊維及び有機繊維が含まれる。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、チラノ繊維(Si−Ti−C−O系繊維)、炭化ケイ素繊維、金属繊維[アモルファス金属繊維、ステンレス繊維、超弾性NT(ニッケル・チタン)合金ワイヤ、チタンワイヤなど]などが挙げられる。有機繊維としては、例えば、高強度ポリエチレン繊維、ポリアセタール繊維、脂肪族又は芳香族ポリアミド繊維、ポリアリレート繊維、フッ素繊維、ボロン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アラミド繊維、PBO(ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維などが挙げられる。これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
繊維集合体を構成する繊維には、無機繊維及び有機繊維が含まれる。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、チラノ繊維(Si−Ti−C−O系繊維)、炭化ケイ素繊維、金属繊維[アモルファス金属繊維、ステンレス繊維、超弾性NT(ニッケル・チタン)合金ワイヤ、チタンワイヤなど]などが挙げられる。有機繊維としては、例えば、高強度ポリエチレン繊維、ポリアセタール繊維、脂肪族又は芳香族ポリアミド繊維、ポリアリレート繊維、フッ素繊維、ボロン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、アラミド繊維、PBO(ポリ−p−フェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維などが挙げられる。これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの繊維のうち、耐熱性や機械的強度などの点から、無機繊維、特に炭素繊維が好ましい。炭素繊維は、その原料の由来により、合成高分子由来の炭素繊維(ポリアクリロニトリル系、ポリビニルアルコール系、レーヨン系炭素繊維など)と、鉱物由来の炭素繊維(ピッチ系炭素繊維など)とに分類できる。これらのうち、合成高分子由来の炭素繊維(特にポリアクリロニトリル系炭素繊維)が好ましい。
繊維の平均径は、例えば、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは1〜30μm(特に1〜10μm)程度である。
炭素繊維は、ロービングした繊維を用いて連続的にボビンから供給することもでき、その長さは特に限定されないが、例えば、平均長さ1〜500mm、好ましくは3〜200mm、さらに好ましくは5〜100mm(特に5〜50mm)程度であってもよい。
繊維集合体としては、開繊された繊維集合体が使用され、例えば、マルチフィラメントを幅方向に解き分けることにより開繊したシートなどを使用してもよい。
繊維集合体の目付量は、例えば、1〜200g/m2、好ましくは5〜150g/m2、さらに好ましくは10〜100g/m2(特に20〜80g/m2)程度である。目付量が小さすぎると、繊維強化樹脂組成物の強度が低下し、大きすぎると、樹脂が充分に含浸せず、曲げ剛性が低下する。
[易接着層]
易接着層とは、繊維集合体と前記熱可塑性樹脂との親和性を向上するために、繊維の表面を接着成分で易接着処理して形成された層である。このような易接着層は、接着成分で構成され、前記繊維集合体を構成する各繊維の表面[好ましくは表面の大部分(例えば、繊維端面を除く繊維表面全体)、特に、表面全体]を被覆する。易接着層は、極性の小さい熱可塑性樹脂と繊維との親和性を向上するために有効であり、例えば、ポリメチルペンテン系樹脂などのオレフィン系樹脂に対して特に有効である。
易接着層とは、繊維集合体と前記熱可塑性樹脂との親和性を向上するために、繊維の表面を接着成分で易接着処理して形成された層である。このような易接着層は、接着成分で構成され、前記繊維集合体を構成する各繊維の表面[好ましくは表面の大部分(例えば、繊維端面を除く繊維表面全体)、特に、表面全体]を被覆する。易接着層は、極性の小さい熱可塑性樹脂と繊維との親和性を向上するために有効であり、例えば、ポリメチルペンテン系樹脂などのオレフィン系樹脂に対して特に有効である。
接着成分は、繊維と熱可塑性樹脂との間に介在することにより、両者の親和性を向上できる接着成分であればよく、例えば、接着性樹脂やカップリング剤などであってもよい。さらに、繊維に収束剤が付着している場合には、収束剤と熱可塑性樹脂との親和性を向上できる接着成分であってもよい。なお、収束剤が接着成分である場合には、収束剤による表面処理が易接着層ともなり得るが、一般的な収束剤による表面処理では、繊維集合体と熱可塑性樹脂との親和性を充分に向上することができず、易接着層としては機能しない。
接着性樹脂には、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が含まれる。熱可塑性樹脂としては、例えば、オレフィン系樹脂(酸変性ポリプロピレンやエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体など)、スチレン系樹脂(スチレン−ブタジエン共重合体など)、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂(脂肪族ポリエステル、芳香族コポリエステル、ポリアリレートなど)、ポリアミド系樹脂(脂肪族ポリアミド、熱可塑性ポリイミドなど)、ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミンなど)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)、ポリエーテルスルホン系樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、マレイミド系樹脂、ポリベンゾイミダゾール(PBI)系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリシアネート系樹脂などが挙げられる。これらの熱硬化性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤(ビニルトリメトキシシランなどのビニルアルコキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシランなどのアミノアルキルアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトアルキルアルコキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシアルコキシシラン、クロロエチルトリメトキシシランなどのハロアルキルアルコキシシランなど)、チタンカップリング剤(チタン酸テトライソプロピルやチタン酸テトラブチルなどのチタンアルコキシドやその重合物など)などが挙げられる。これらのカップリング剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの接着成分のうち、接着性などの点から、脂肪族ポリエステルや芳香族コポリエステル、脂肪族ポリアミドなどの熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂、シランカップリング剤、特に、エポキシ系樹脂が好ましい。エポキシ系樹脂としては、慣用のエポキシ系樹脂(例えば、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂など)が使用でき、通常、芳香族エポキシ樹脂[ノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂など)]や、脂環族型エポキシ化合物(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂など)などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、特にビスフェノール型エポキシ樹脂が使用できる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの接着成分は、繊維や熱可塑性樹脂の種類に応じて選択できるが、例えば、接着性の点から、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂や、シランカップリング剤などのカップリング剤が好ましい。
[成形用基材]
本発明の成形用基材は、前記繊維集合体と前記熱可塑性樹脂とで構成されているが、溶液法によって製造されるため、熱可塑性樹脂が繊維集合体の内部にまで充分に浸透する。従って、このような成形用基材を構成する繊維強化樹脂組成物において、各繊維の表面[好ましくは表面の大部分(例えば、繊維端面を除く繊維表面全体)、特に、表面全体]が、熱可塑性樹脂(マトリックス樹脂など)で被覆されている。すなわち、本発明の成形用基材は、樹脂組成物中において、繊維集合体を構成する各繊維が凝集することなく、熱可塑性樹脂(マトリックス樹脂など)中に各繊維が分散した構造を有している。その結果、本発明の成形用基材は、各繊維が樹脂によって充分に補強される構造を有し、曲げ剛性などの機械的強度に優れている。
本発明の成形用基材は、前記繊維集合体と前記熱可塑性樹脂とで構成されているが、溶液法によって製造されるため、熱可塑性樹脂が繊維集合体の内部にまで充分に浸透する。従って、このような成形用基材を構成する繊維強化樹脂組成物において、各繊維の表面[好ましくは表面の大部分(例えば、繊維端面を除く繊維表面全体)、特に、表面全体]が、熱可塑性樹脂(マトリックス樹脂など)で被覆されている。すなわち、本発明の成形用基材は、樹脂組成物中において、繊維集合体を構成する各繊維が凝集することなく、熱可塑性樹脂(マトリックス樹脂など)中に各繊維が分散した構造を有している。その結果、本発明の成形用基材は、各繊維が樹脂によって充分に補強される構造を有し、曲げ剛性などの機械的強度に優れている。
本発明の成形用基材において、熱可塑性樹脂の割合は、繊維集合体100重量部に対して、例えば、1〜500重量部、好ましくは3〜300重量部、さらに好ましくは5〜100重量部(特に10〜50重量部)程度である。本発明では、溶融法などに比べて、熱可塑性樹脂の割合を少なくできるため、耐熱性や強度、寸法安定性などの繊維の特性を低下させることなく、成形性や加工性も向上することができる。
さらに、本発明の成形用基材は、繊維集合体と熱可塑性樹脂との親和性を向上させ、両者の間に空隙が発生するのを抑制する点から、各繊維の表面に易接着層が形成されているのが好ましい。易接着層は、繊維と熱可塑性樹脂との間に介在し、両者の親和性を向上できればよく、繊維の全表面に形成されていなくてもよいが、接着性の点から、繊維表面の大部分(例えば、繊維の端部を除く表面全体、特に全表面)に形成されているのが好ましい。
易接着層の割合は、繊維集合体100重量部に対して、例えば、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜15重量部、さらに好ましくは0.3〜10重量部(特に0.5〜10重量部)程度である。易接着層の割合がこの範囲にあると、樹脂組成物の特性を低下させることなく、熱可塑性樹脂と繊維との親和性を向上させ、曲げ剛性などをさらに向上できる。一方、易接着層の割合が多すぎると、例えば、易接着層が熱可塑性樹脂の場合は、耐熱性などが低下し、易接着層がカップリング剤の場合は、熱可塑性樹脂の被覆が困難となる。また、易接着層が熱硬化性樹脂の場合は、硬化が進行するため、プリプレグ製品の加工の生産において歩留まりが低下する。なお、熱可塑性樹脂はマトリックス樹脂を構成してもよい。
本発明の成形用基材は、熱可塑性樹脂の割合が比較的少量でありながら、繊維集合体の内部にまで充分に樹脂が浸透し、特に、繊維と熱可塑性樹脂との間に易接着層が形成されている場合は、熱可塑性樹脂と繊維との密着性も向上するため、高い曲げ剛性を有している。具体的には、シート(又は板状成形品)における曲げ弾性率は、例えば、JIS K 7074のA法に準拠して測定したとき、30GPa以上であり、好ましくは40GPa以上(例えば、40〜200GPa)、さらに好ましくは50GPa以上(例えば、50〜150GPa)程度である。
成形用基材は、成形品の用途に応じて、様々な形態を有する基材を選択することができる。具体的には、成形用基材は、例えば、プリプレグ、マット、スタンパブルシート、SMC(シートモールディングコンパウンド)、ペレット、フィラメント、クロスなどであってもよい。これらのうち、成形用基材としては、プリプレグが汎用される。
[成形用基材の製造方法]
本発明の成形用基材は、開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む液状組成物で表面処理することにより製造できる。さらに、繊維表面を易接着層で被覆する場合は、液状組成物で表面処理する前に、繊維集合体を接着成分で表面処理してもよい。
本発明の成形用基材は、開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む液状組成物で表面処理することにより製造できる。さらに、繊維表面を易接着層で被覆する場合は、液状組成物で表面処理する前に、繊維集合体を接着成分で表面処理してもよい。
接着成分や液状組成物で処理される繊維集合体は、通常、支持体上に載置される。また、繊維集合体は、予め開繊した繊維集合体を支持体上に載置してもよいが、連続工程において、開繊機により繊維を開繊して支持体上に連続して供給してもよい。なお、繊維集合体は支持体上に、粘着性成分などによって、固定されていてもよい。
支持体としては、例えば、無機物(金属、セラミック、ガラス、モルタル又はコンクリート)、有機物(プラスチック、紙類、木材、皮革など)などで構成された成形体が挙げられる。また、支持体は、前記無機物で構成された成形体の表面をプラスチックでコーティングした成形体であってもよい。さらに、支持体は、連続製造を行うための機械を構成する部材(例えば、スチールコンベア)などであってもよい。これらのうち、支持体としては、管理の簡便性や生産性などの点から、紙類(シリコーン離型紙)や、プラスチックで構成されたシート(PETフィルム)などが好ましい。
繊維の表面を接着成分で被覆する場合において、繊維集合体を接着成分で表面処理する方法としては、例えば、支持体上に繊維集合体を載置した後、支持体上の繊維集合体に対して、接着成分又は接着成分を含む溶液を塗布又は流延する方法などが挙げられる。
接着成分を溶剤で稀釈して溶液又はエマルジョンとして塗布する場合、溶剤としては、接着成分を溶解又は分散可能な揮発性溶剤であれば特に限定されず、接着成分の種類に応じて適宜選択できる。例えば、前記溶剤の項で例示の溶剤のうち、前記炭化水素類、前記エーテル類、前記ケトン類、アルコール類、水などを汎用できる。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、ジアセトンアルコール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコールなどの脂肪族アルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、ジメチルシクロヘキサノール、シクロオクタノールなどのシクロアルカノール、2−ブトキシエタノール,3−ブトキシプロパノールなどのアルコキシアルコール、フルフリルアルコールなどの複素環式アルコールなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの溶剤の中でも、乾燥速度が速く、経済性及び安全性などに優れる点から、THFなどの環状エーテルや、トルエンなどの芳香族炭化水素などが好ましい。
接着成分の粘度(25℃)は、接着成分が各繊維の表面を充分に被覆できる点から、B型粘度計を用いた測定方法において、例えば、1〜10000mPa・s、好ましくは1〜5000mPa・s、さらに好ましくは1〜1000mPa・s程度である。接着成分の粘度がこの範囲にあると、均一にコートできるとともに、繊維への浸透性に優れ、各繊維の表面に接着成分が充分に接触可能となる。
接着成分を溶剤で稀釈する場合には、固形分濃度は、粘度が前記範囲になるように適宜選択すればよく、例えば、0.01〜100重量%、好ましくは0.05〜100重量%、さらに好ましくは0.1〜100重量%程度である。接着成分自体の粘度が前記範囲にある場合には、溶剤で稀釈する必要はない。
接着成分又は接着成分を含む処理液(溶液やエマルジョンなど)の塗布方法としては、例えば、慣用の流延又は塗布方法、例えば、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、シルクスクリーンコーター法などにより、繊維に対して流延又は塗布される。また、前記溶液は、スプレーコーティングやディッピングにより繊維に適用してもよい。
接着成分を含む溶液を用いる場合は、溶液を繊維に塗布して各繊維と充分に接触させた後、乾燥することにより、表面に接着成分を有する繊維を調製できる。乾燥は、加熱により乾燥してもよいし、自然乾燥させてもよい。加熱する場合の温度は、用いる溶剤の種類に応じて適宜選択でき、通常、溶剤の沸点以下の温度、例えば、40〜200℃、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃程度である。加熱温度がこの範囲であれば、汎用の機械にも対応できるため、簡便性に優れる。乾燥時間は、例えば、2秒〜30分、好ましくは10秒〜20分、さらに好ましくは30秒〜10分程度である。
次に、繊維集合体(特に接着成分で表面処理した繊維集合体)を液状組成物で表面処理する方法としては、例えば、支持体上に載置された前記繊維集合体に対して、前記液状組成物を塗布又は流延する方法などが用いられる。なお、易接着層を形成する場合、支持体は、接着成分の塗布工程から連続した工程とし、そのまま用いてもよいし、接着成分を塗布した後、支持体を剥離し、新たに別の支持体の上に繊維を載置してもよい。
液状組成物の粘度(25℃)は、液状組成物が繊維集合体の内部にまで充分に含浸できる点から、B型粘度計を用いた測定方法において、例えば、5〜10000mPa・s、好ましくは5〜5000mPa・s、さらに好ましくは10〜1000mPa・s程度である。液状組成物の粘度がこの範囲にあると、塗布性が高く、繊維集合体の内部にまで充分に熱可塑性樹脂が行き亘る。
液状組成物の塗布又は流延方法としては、前記接着成分と同様の方法を使用できる。液状組成物は、比較的高粘度である場合が多いため、例えば、バーコーター、コンマコーター、ダイコーターなどによる方法が好ましい。このような方法で塗布することにより、繊維集合体に対して、均一に液状組成物を塗布できる。
液状組成物のコート厚みは、繊維集合体の目付量や厚みに応じて適宜選択できるが、前記目付量で、かつ50μm程度の厚みの繊維集合体に対して、例えば、0.1〜100μm、好ましくは0.5〜50μm、さらに好ましくは1〜30μm程度が好ましい。このような範囲の厚みで液状組成物をコーティングすると、繊維集合体の内部にまで熱可塑性樹脂が含浸するとともに、溶剤の乾燥も容易であり、生産性が高い。
繊維集合体に液状組成物を塗布して繊維集合体の内部にまで液状組成物を含浸させた後、乾燥することにより、プリプレグ状繊維強化樹脂組成物を調製できる。この乾燥工程においても、加熱により乾燥してもよいし、自然乾燥させてもよい。乾燥は、加熱により乾燥してもよいし(熱風乾燥など)、自然乾燥させてもよい。また、加熱する場合であっても、繊維全体に対して残留溶剤が10重量%未満、好ましくは5重量%未満、さらに好ましくは1重量%未満となる条件であれば特に限定されず、風量、温度、時間などについても、任意に選択できる。加熱温度は、用いる溶剤の種類に応じて適宜選択でき、通常、溶剤の沸点以下の温度、例えば、40〜200℃、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃程度である。乾燥時間は、例えば、2秒〜30分、好ましくは10秒〜20分、さらに好ましくは30秒〜10分程度である。このようにして、乾燥後、固化した繊維強化樹脂組成物を支持体から剥離することにより、繊維強化樹脂シートが得られる。
このようにして得られたプリプレグ状繊維強化樹脂シートの厚みは、例えば、10〜300μm、好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜100μm(特に30〜70μm)程度である。
[成形品]
本発明の成形品は、前記成形用基材で形成されており、前述のように、通常、支持体を用いた方法で製造されるため、シート状(プリプレグ、マットなど)である場合が多い。
本発明の成形品は、前記成形用基材で形成されており、前述のように、通常、支持体を用いた方法で製造されるため、シート状(プリプレグ、マットなど)である場合が多い。
成形用基材がシート状である場合、通常、成形用基材を、例えば、2〜300枚、好ましくは3〜200枚、さらに好ましくは5〜100枚(特に10〜70枚)程度積層して熱融着することにより、厚みの大きいシートを作製する。このような熱ラミネートにより、例えば、100μm〜100mm、好ましくは300μm〜50mm、さらに好ましくは500μm〜30mm(特に1〜10mm)程度の厚みを有するシートが得られる。熱ラミネートする場合の加熱温度は、例えば、100〜400℃、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは200〜300℃程度である。また、熱ラミネートは熱プレスであってもよく、その場合に加える圧力は、例えば、0.3〜10MPa、好ましくは0.5〜5MPa、さらに好ましくは1〜3MPa程度である。処理時間は、例えば、10秒〜20分、さらに好ましくは30秒〜10分程度である。
さらに、シート状成形用基材は、他の基材と組み合わせた積層体として利用することもできる。例えば、前記の製造方法において、支持体から成形用基材をシートとして剥離することなく、支持体との積層体としてもよい。また、前述のように、他の基材と熱ラミネートしてもよい。
他の基材は、用途に応じて選択でき、紙、塗工紙、不織布、プラスチック[例えば、ポリメチルペンテン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂の他、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンアリレートなど)、ポリアミド、ポリカーボネートなど]、ガラス、セラミックス、金属などで構成されたシートを用いることができる。
さらに、本発明の成形用基材は、他の基材として、シート状の基材の他に、立体形状の成形品(電子機器などのハウジング、パイプなどの配管、各種容器など)などの基材に適用してもよい。本発明では、液状組成物を含浸させた繊維を成形用基材として、各種の複雑な立体形状を有する成形品への適用も可能である。
なお、他の基材と成形用基材との密着性を向上させるために、他の基材の表面を粗化処理してもよいし、他の基材と成形用基材との間に前記接着性樹脂などで構成された接着層を介在させてもよい。これらの中でも、連続処理、成形、粗化処理などが容易である点からは、シート又はフィルム状である他の基材に適用するのが有利である。
本発明の成形用基材は、機械的特性、耐熱性、寸法安定性だけでなく、曲げ剛性も高いため、日用品、電気・電子機器、工業材料、医療用器具などの各種分野の部材として広く利用できる。特に、エンジニアリングプラスチックとして高度な特性を要求される分野、例えば、釣り竿やゴルフシャフトなどのスポーツ用具、航空機やロケット部材の材料として広く使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例で用いた材料は以下の通りであり、評価項目は以下の方法で測定した。
[材料]
ポリメチルペンテン(PMP):三井化学(株)製、商品名「TPX MX002」
ABS樹脂:ダイセル化学工業(株)製、商品名「セビアンV500」
ポリアリレート(PAR):ユニチカ(株)製、商品名「ユニチカUポリマーU100」
ポリサルホン(PSF):ソルベイアドバンスドポリマー(株)製、商品名「ユーデルP1700」
ポリエーテルスルホン(PES):ソルベイアドバンスドポリマー(株)製、商品名「レーデルA−200A」
炭素繊維:東邦テナックス(株)製、商品名「ベスファイトHTA−24K」
支持体(PETフィルム):東洋紡(株)製、商品名「エステルフィルムE5000♯50」
エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート1004」
エポキシ樹脂溶解液:前記エポキシ樹脂2重量部及びTHF98重量部を攪拌混合することにより調製した。溶液の粘度(25℃)は7mPa・sであった。
ポリメチルペンテン(PMP):三井化学(株)製、商品名「TPX MX002」
ABS樹脂:ダイセル化学工業(株)製、商品名「セビアンV500」
ポリアリレート(PAR):ユニチカ(株)製、商品名「ユニチカUポリマーU100」
ポリサルホン(PSF):ソルベイアドバンスドポリマー(株)製、商品名「ユーデルP1700」
ポリエーテルスルホン(PES):ソルベイアドバンスドポリマー(株)製、商品名「レーデルA−200A」
炭素繊維:東邦テナックス(株)製、商品名「ベスファイトHTA−24K」
支持体(PETフィルム):東洋紡(株)製、商品名「エステルフィルムE5000♯50」
エポキシ樹脂:ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート1004」
エポキシ樹脂溶解液:前記エポキシ樹脂2重量部及びTHF98重量部を攪拌混合することにより調製した。溶液の粘度(25℃)は7mPa・sであった。
[粘度]
B型粘度計を用いて温度25℃で測定した
[コーティング特性]
液状組成物を塗布して、乾燥した後の状態を肉眼で観察し、以下の基準で評価した。
B型粘度計を用いて温度25℃で測定した
[コーティング特性]
液状組成物を塗布して、乾燥した後の状態を肉眼で観察し、以下の基準で評価した。
○:フィルム状(又はシート状)に形成されている
×:フィルム状(又はシート状)に形成されていない。
×:フィルム状(又はシート状)に形成されていない。
[プレス特性]
実施例及び比較例で得られたシートを重ねて熱ラミネートした状態を以下の基準で評価した。
実施例及び比較例で得られたシートを重ねて熱ラミネートした状態を以下の基準で評価した。
○:板状の積層体が形成される
×:シートが得られないため、熱ラミネートが不能である。
×:シートが得られないため、熱ラミネートが不能である。
[曲げ弾性率]
厚み2mmの板状成形品を用いて、JIS K 7074のA法に準拠して測定した。
厚み2mmの板状成形品を用いて、JIS K 7074のA法に準拠して測定した。
実施例1
炭素繊維を開繊し、目付量40g/m2の開繊糸を調製した。この開繊糸を支持体フィルム上に載置した後、エポキシ樹脂溶解液をマイヤーバー♯20で塗布し、80℃で5分間乾燥し、開繊糸表面に易接着層を形成した。易接着層の割合は、炭素繊維全体に対して3重量%であった。次に、シクロペンタン及びTHFの混合溶剤(シクロペンタン/THF=53/47(容積比))に、ポリメチルペンテンを10重量%の割合で溶解した溶液をマイヤーバー♯40で塗布し、80℃で5分間乾燥し、プリプレグ状成形用基材を作製した。ポリメチルペンテンの割合は、組成物全体に対して18重量%であった。得られたプリプレグを、支持体から剥離し、50枚重ねて、280℃、2MPaの条件下で10分間熱プレスすることにより、厚さ2mmの板状成形品を作製した。液状組成物の粘度、コーティング特性、プレス特性、曲げ弾性率を測定、評価した結果を表1に示す。
炭素繊維を開繊し、目付量40g/m2の開繊糸を調製した。この開繊糸を支持体フィルム上に載置した後、エポキシ樹脂溶解液をマイヤーバー♯20で塗布し、80℃で5分間乾燥し、開繊糸表面に易接着層を形成した。易接着層の割合は、炭素繊維全体に対して3重量%であった。次に、シクロペンタン及びTHFの混合溶剤(シクロペンタン/THF=53/47(容積比))に、ポリメチルペンテンを10重量%の割合で溶解した溶液をマイヤーバー♯40で塗布し、80℃で5分間乾燥し、プリプレグ状成形用基材を作製した。ポリメチルペンテンの割合は、組成物全体に対して18重量%であった。得られたプリプレグを、支持体から剥離し、50枚重ねて、280℃、2MPaの条件下で10分間熱プレスすることにより、厚さ2mmの板状成形品を作製した。液状組成物の粘度、コーティング特性、プレス特性、曲げ弾性率を測定、評価した結果を表1に示す。
また、成形用基材の電子顕微鏡写真を図1に示す。図1から明らかなように、ポリメチルペンテンが開繊糸の内部にまで浸透し、断面の中央部でも、炭素繊維同士が接触することなく、各繊維の周囲にはポリメチルペンテンが充填されていた。
実施例2〜3、6、8、10及び12
熱可塑性樹脂、溶剤、製造条件を表1に示す種類や条件に変更した以外は実施例1と同様にして板状成形品を作製した。結果を表1に示す。
熱可塑性樹脂、溶剤、製造条件を表1に示す種類や条件に変更した以外は実施例1と同様にして板状成形品を作製した。結果を表1に示す。
実施例4、7、9、11及び13
易接着層を形成せずに、熱可塑性樹脂、溶剤、製造条件を表1に示す種類や条件に変更した以外は実施例1と同様にして板状成形品を作製した。結果を表1に示す。
易接着層を形成せずに、熱可塑性樹脂、溶剤、製造条件を表1に示す種類や条件に変更した以外は実施例1と同様にして板状成形品を作製した。結果を表1に示す。
実施例5
炭素繊維を開繊し、目付量40g/m2の開繊糸を調製した。この開繊糸に、エポキシ樹脂溶解液をマイヤーバー♯20で塗布し、80℃で5分間乾燥し、開繊糸表面に易接着層を形成した。易接着層の割合は、炭素繊維全体に対して3重量%であった。次に、シクロペンタン及びTHFの混合溶剤(シクロペンタン/THF=53/47(容積比))に、ポリメチルペンテンを10重量%の割合で溶解した溶液をマイヤーバー♯40で塗布し、80℃で5分間乾燥し、成形用基材を作製した。この成形用基材は、溶剤の揮発による収縮により、フィラメント状基材が得られた。ポリメチルペンテンの割合は、組成物全体に対して18重量%であった。得られたフィラメント状成形用基材をフィルム状に成形した後、実施例1と同様にして厚さ2mmの板状成形品を作製した。結果を表1に示す。
炭素繊維を開繊し、目付量40g/m2の開繊糸を調製した。この開繊糸に、エポキシ樹脂溶解液をマイヤーバー♯20で塗布し、80℃で5分間乾燥し、開繊糸表面に易接着層を形成した。易接着層の割合は、炭素繊維全体に対して3重量%であった。次に、シクロペンタン及びTHFの混合溶剤(シクロペンタン/THF=53/47(容積比))に、ポリメチルペンテンを10重量%の割合で溶解した溶液をマイヤーバー♯40で塗布し、80℃で5分間乾燥し、成形用基材を作製した。この成形用基材は、溶剤の揮発による収縮により、フィラメント状基材が得られた。ポリメチルペンテンの割合は、組成物全体に対して18重量%であった。得られたフィラメント状成形用基材をフィルム状に成形した後、実施例1と同様にして厚さ2mmの板状成形品を作製した。結果を表1に示す。
比較例1
炭素繊維を開繊し、目付量40g/m2の開繊糸を調製した。この開繊糸を支持体フィルム上に載置した後、エポキシ樹脂溶解液をマイヤーバー♯20で塗布し、80℃で5分間乾燥し、開繊糸表面に易接着層を形成した。次に、支持体から剥離した易接着層を有する開繊糸と、厚さ15μmのポリメチルペンテンフィルムとを交互に重ねて、250℃、2MPaの条件下で10分間熱プレスすることにより、厚さ2mmの板状成形品を作製した。結果を表1に示す。
炭素繊維を開繊し、目付量40g/m2の開繊糸を調製した。この開繊糸を支持体フィルム上に載置した後、エポキシ樹脂溶解液をマイヤーバー♯20で塗布し、80℃で5分間乾燥し、開繊糸表面に易接着層を形成した。次に、支持体から剥離した易接着層を有する開繊糸と、厚さ15μmのポリメチルペンテンフィルムとを交互に重ねて、250℃、2MPaの条件下で10分間熱プレスすることにより、厚さ2mmの板状成形品を作製した。結果を表1に示す。
また、成形用基材断面の電子顕微鏡写真を図2に示す。図2から明らかなように、開繊糸へのポリメチルペンテンの浸透は充分でなく、断面の中央部では、炭素繊維同士が接触したままであり、各繊維の隙間にまで、ポリメチルペンテンは充填されていなかった。
表1から明らかなように、実施例では、液状組成物のコーティング特性や、シートの熱プレス特性も良好であり、曲げ弾性率の高い板状成形品が得られた。これに対して、比較例では、曲げ弾性率の高い板状成形品は得られなかった。
Claims (14)
- 開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む液状組成物で表面処理した繊維強化樹脂組成物で構成された成形用基材であって、各繊維の表面が前記熱可塑性樹脂で被覆されている成形用基材。
- 各繊維の表面が、接着成分で構成された易接着層を介して、熱可塑性樹脂で被覆されている請求項1記載の成形用基材。
- 易接着層が接着性樹脂及びカップリング剤から選択された少なくとも一種で構成され、かつ易接着層の割合が、繊維集合体100重量部に対して、0.01〜30重量部である請求項2記載の成形用基材。
- 熱可塑性樹脂が、ポリメチルペンテン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリスルホン系樹脂及びポリアリレート系樹脂から選択された少なくとも一種である請求項1記載の成形用基材。
- 液状組成物が、ポリメチルペンテン系樹脂と、少なくとも炭化水素類を含有する溶剤とで構成されるとともに、ポリメチルペンテン系樹脂の含有量が、前記溶剤100重量部に対して0.01〜25重量部である請求項1記載の成形用基材。
- 繊維集合体が、炭素繊維で構成されている請求項1記載の成形用基材。
- 繊維集合体が、平均繊維径0.1〜100μmを有する繊維で構成され、かつ目付量1〜200g/m2を有する請求項1記載の成形用基材。
- 熱可塑性樹脂の割合が、繊維集合体100重量部に対して、1〜500重量部であり、易接着層の割合が、繊維集合体100重量部に対して、0.05〜20重量部である請求項2記載の成形用基材。
- JIS K 7074のA法に準拠したシートにおける曲げ弾性率が30GPa以上である請求項1記載の成形用基材。
- プリプレグである請求項1記載の成形用基材。
- 開繊された繊維集合体を、熱可塑性樹脂を含む液状組成物で表面処理して、請求項1記載の成形用基材を製造する方法。
- 支持体上に載置した繊維集合体に液状組成物を塗布する請求項11記載の方法。
- 支持体上に載置した繊維集合体を接着成分で表面処理した後、液状組成物を塗布する請求項11記載の方法。
- 請求項1記載の成形用基材で形成された成形品。
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