JP2014151458A - 長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置及び製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明にかかる長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置1は、熱可塑性樹脂との密着性を向上させる改質剤Aを強化繊維束Fに被覆する改質剤被覆部11と、改質剤Aが被覆された強化繊維束Fの表面に熱可塑性樹脂を溶融状態で被覆する樹脂被覆部4とを備えた長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置1であって、改質剤被覆部11は、強化繊維束Fを広げるように解束する解束部12と、解束部12で解束された強化繊維束Fに対して、この強化繊維束Fを広げた方向全域に亘って改質剤Aを溶融状態で押し出す改質剤押出部13と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
このような長繊維強化熱可塑性樹脂の成形品は、長繊維強化熱可塑性樹脂ストランド(以降、単にストランドという)やストランドを所定の長さに切断したペレットを原料とするものである。この長繊維強化熱可塑性樹脂の原料となるストランドは、例えば特許文献1や特許文献2に示すように、ガラスロービングのような複数の単繊維を、溶融された熱可塑性樹脂浴中に含浸させ、複数の単繊維を撚り合わせながら引き抜くことで製造される。
しかしながら、熱可塑性樹脂に比べればガラスロービングに対する反応性が富むとはいえ、強化繊維束に改質剤をそのまま浸漬させるだけではどうしても強化繊維束の表面に改質剤が被覆されない部分が残ってしまう。
また、特許文献3のような浸漬方式を採用すると、強化繊維束と一緒に加熱槽から持ち出される改質剤の量が多くなり、多量の改質剤を使用することでストランドの製造コストも高騰してしまう虞がある。そのため、製造コストを抑えるという意味でも、改質剤の使用量が多くなる浸漬方式は採用したくないという要望がある。
することを目的とする。
即ち、本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置は、熱可塑性樹脂との密着性を向上させる改質剤を強化繊維束に被覆する改質剤被覆部と、改質剤が被覆された強化繊維束の表面に熱可塑性樹脂を溶融状態で被覆する樹脂被覆部とを備えた長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置であって、前記改質剤被覆部は、前記強化繊維束を広げるように解束する解束部と、前記解束部で解束された強化繊維束に対して、この強化繊維束を広げた方向全域に亘って改質剤を溶融状態で押し出す改質剤押出部と、を備えることを特徴とするものである。
なお、好ましくは、前記貫通孔は、前記パイプの軸心に沿って形成されたスリット状に形成されているとよい。
なお、好ましくは、前記樹脂被覆部は、熱可塑性樹脂を溶融状態で貯留する樹脂槽を有しており、前記改質剤被覆部は、前記樹脂槽の中に導入される前の強化繊維束に改質剤を被覆できるように、樹脂槽の外側に設けられていて、前記強化繊維束を改質剤被覆部に次いで樹脂槽に入るように配設しているとよい。
一方、本発明の長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造方法は、熱可塑性樹脂との密着性を向上させる改質剤を強化繊維束に被覆し、改質剤が被覆された強化繊維束の表面に熱可塑性樹脂を溶融状態で被覆することにより熱可塑性樹脂で強化されたストランドを製造する長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造方法であって、前記改質剤を強化繊維束の表面に被覆するに際しては、前記強化繊維束を広げるように解束し、解束された強化繊維束に対して、この強化繊維束を広げた方向全域に亘って改質剤を溶融状態で押し出すことを特徴とする。
以下、本発明に係る長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置及び製造方法を、図面に基づき詳しく説明する。
図1に示されるように、長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置(以下、単に製造装置1という)は、強化繊維束Fが巻き回された複数の原糸スプール2と、原料である熱可塑性樹脂(以下、樹脂という)を混練溶解させる混練押出機3と、原糸スプール2から送り出された強化繊維束Fに混練押出機3で可塑化された樹脂を被覆する樹脂被覆部4とを備えている。また、製造装置1は、樹脂被覆部4で樹脂が被覆された強化繊維束F(ストランド)を冷却する冷却装置5と、冷却装置5の下流側に配備されてストランドを引き取る引取装置6とを備えている。
混練押出機3に供給される樹脂(強化繊維を被覆する樹脂)としては、ポリプロピレンやポリエチレンのようなポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ナイロンのようなポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール、またはポリフェニレンサルファイド等の熱可塑性の樹脂であり、本実施形態ではポリプロピレンを主体とする樹脂が用いられている。
樹脂被覆部4は、上下方向に沿う軸心回りに円筒状に形成された樹脂槽7を備えている。樹脂槽7の内部は中空とされており、混練押出機3で可塑化された樹脂が貯められている。樹脂槽7の上端は上方に向かって開口しており、この開口から貯められた樹脂内に強化繊維束Fを引き込めるようになっている。
引取装置6は、互いに外周面で接触する上下一対の引取ロール9、10を有している。これら上下一対の引取ロール9、10は、ストランドを挟んで下流側に送り出せるように、互いに異なる回転方向に回転している。具体的には、上下一対の引取ロール9、10は
、ストランドの引き取り方向に対して傾斜した方向を向くように配備されており、上下の引取ロール9、10同士が互いに等しい角度で且つ異なる方向を向くようになっている。すなわち、上側の引取ロール9が引き取り方向に対して上方から見た場合に反時計回りに傾斜角だけ傾く場合には、下側の引取ロール10は引き取り方向に対して時計回りに傾斜角だけ傾くようになっている。それゆえ、引取ロール9、10間にストランドを挟み込むと、ストランドに対して軸心回りにねじれ方向の力が加わり、ストランドに引取ロールの傾斜角に相当する撚り角の撚りが加わることになる。
ところで、本発明のストランドの製造装置は、上述した樹脂被覆部4に加えて、熱可塑性樹脂との密着性を向上させる改質剤Aを強化繊維束Fに被覆する改質剤被覆部11を備えていることを特徴としている。この改質剤被覆部11は、上述した原糸スプール2と樹脂被覆部4との間に配備されており、原糸スプール2から送られてきた強化繊維束Fを広げるように解束する解束部12と、解束部12で解束された強化繊維束Fに対して、この強化繊維束Fを広げた方向全域に亘って改質剤を溶融状態で押し出す改質剤押出部13を備えるものである。
図2に示すように、第1実施形態の改質剤被覆部11は、上述したように内部に改質剤Aを流通させる流路が形成されたパイプ14を有している。このパイプ14の外周面には、原糸スプール2から送り出された強化繊維束Fが巻き回されており、外周面に巻き回された強化繊維束Fに対して貫通孔16から押し出された改質剤Aを被覆する構成となっている。
パイプ本体19は、強化繊維束Fを巻き回せるように円筒状に形成されており、また空洞とされた内部に改質剤Aを流通させる流路22を有している。このパイプ本体19の流路22には改質剤供給管21が接続されていて、この改質剤供給管21を介して外部で加熱された可塑状態の改質剤Aを流路22に供給できるようになっている。
また、この貫通孔16は、パイプ本体19の一端側から他端側まで、軸方向の広い範囲に亘って直線状に形成されていて、パイプ本体19の一方の端縁から他方の端縁までの広い範囲に亘って改質剤Aを供給できるようになっている。
例えば、図4(a)に示すように、強化繊維束Fがパイプ14の一方側の側面(図例では右側の側面)に巻き回されている場合を考える。この場合、水平方向を基準としてパイプ14の中心から上下に約30°の範囲の外周面を覆うように強化繊維束Fが巻き回されている。それゆえ、貫通孔16を形成する位置を、強化繊維束Fが巻き回されている範囲より上方、例えば図例のようにθ=45°に設定すれば、パイプ本体19の外周面と強化繊維束Fとで囲まれた部分に改質剤Aを供給することができる。
カラー部材20は、パイプ本体19の外径とほぼ同じ内径を備えた円筒状の部材であり、パイプ本体19の一端側と他端側とのそれぞれに配備されている。カラー部材20は、パイプ本体19の外周面に外側から遊嵌しており、パイプ本体19の軸心方向にスライド可能となっていて、軸方向にスライドさせることにより貫通孔16の開口幅を強化繊維束Fが広がる幅に調整可能となっている。
改質剤供給管21は、外部に設けられた溶解槽(図示略)などに接続されており、溶解槽で熱可塑状態となった改質剤Aをパイプ本体19の内部に設けられた流路22に供給できるようになっている。
11では、次のようにして強化繊維束Fに改質剤Aが被覆される。
すなわち、第1実施形態の改質剤被覆部11は、上述した円筒状のパイプ14から構成されており、パイプ本体19には円弧状に湾曲した外周面が形成されている。このようなパイプ本体19に強化繊維束Fを巻き回すように押し付けると、強化繊維束Fが押し広げられて結束が解け、強化繊維束Fを単繊維に近い状態まで解きほどく(解束する)ことが可能となる。このようにして解束された強化繊維束Fは貫通孔16が開口した部分に送られ、貫通孔16から供給される改質剤Aにより被覆される。
つまり、上述した貫通孔16は、改質剤Aを溶融状態で押し出す改質剤押出部13とされている。また、貫通孔16に周方向に隣接するパイプ14の外周面、言い換えればパイプ本体19に形成される円弧状に湾曲した外周面は、強化繊維束Fを単繊維に近い状態まで解きほどく解束部12とされている。そして、第1実施形態の改質剤被覆部11を用いて、ストランドを製造する(改質剤Aを強化繊維束Fの表面に被覆する)際には、強化繊維束Fを広げるように解束し、解束された強化繊維束Fに対して、この強化繊維束Fを広げた方向全域に亘って改質剤Aを溶融状態で押し出すことにより、強化繊維束Fの周囲を改質剤Aで被覆している。
例えば、解束前の強化繊維束の内部には、ねじられた単繊維同士の間に空隙が残っていることがある。また、解束前の強化繊維束の表面にも、ねじられた単繊維同士の間に凹部が多数存在していることがあり、可塑状態とされた改質剤に浸漬させたり含浸させたりするだけではこのような空隙や凹部に改質剤を十分に送り込めない場合がある。
しかしながら、第1実施形態の改質剤被覆部11では、貫通孔16を挟んで解束部12の反対側に位置するパイプ本体19の外周面にも強化繊維束Fが接しており、改質剤Aが被覆された強化繊維束Fがこのパイプ本体19の外周面に接した際に改質剤Aがしごき取られるので、浸漬方式に比べて改質剤Aの使用量を少なくすることが可能となる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態の製造装置1及び製造方法について説明する。
このような改質剤被覆部11であれば、改質剤被覆部11と樹脂被覆部4とが同じ場所に設置されるので、装置の設置スペースをコンパクトにすることが可能となる。
パイプ14を改質剤被覆部4としても改質剤Aの被覆が不十分になることはない。
2 原糸スプール
3 混練押出機
4 樹脂被覆部
5 冷却装置
6 引取装置
7 樹脂槽
8 含浸ロール
9 上側の引取ロール
10 下側の引取ロール
11 改質剤被覆部
12 解束部
13 改質剤押出部
14 パイプ
15 押出機
16 貫通孔
17 上側のパイプ
18 下側のパイプ
19 パイプ本体
20 カラー部材
21 改質剤供給管
22 流路
23 位置決めボルト
F 強化繊維束
A 改質剤
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂との密着性を向上させる改質剤を強化繊維束に被覆する改質剤被覆部と、改質剤が被覆された強化繊維束の表面に熱可塑性樹脂を溶融状態で被覆する樹脂被覆部とを備えた長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置であって、
前記改質剤被覆部は、前記強化繊維束を広げるように解束する解束部と、前記解束部で解束された強化繊維束に対して、この強化繊維束を広げた方向全域に亘って改質剤を溶融状態で押し出す改質剤押出部と、を備えることを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置。 - 前記改質剤被覆部は、前記改質剤を溶融状態で流通させる流路を内部に備えたパイプから構成されており、
前記パイプの外周面には、パイプの外周壁を内外に貫通して前記流路を流通する改質剤をパイプ外に導出する貫通孔が形成されていて、
前記貫通孔が改質剤を溶融状態で押し出す改質剤押出部とされると共に、前記貫通孔に周方向に隣接するパイプの外周面が前記解束部とされていることを特徴とする請求項1に記載の長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置。 - 前記パイプは、外周面に沿って水平方向から上方0°〜90°の範囲に、前記貫通孔を有していることを特徴とする請求項2に記載された長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置。
- 前記貫通孔は、前記パイプの軸心に沿って形成されたスリット状に形成されていることを特徴とする請求項2または3に記載された長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置。
- 前記樹脂被覆部は、熱可塑性樹脂を溶融状態で貯留する樹脂槽を有しており、
前記改質剤被覆部は、前記樹脂槽の中に導入される前の強化繊維束に改質剤を被覆できるように、樹脂槽の外側に設けられていて、
前記強化繊維束を改質剤被覆部に次いで樹脂槽に入るように配設していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置。 - 前記樹脂被覆部は、熱可塑性樹脂を溶融状態で貯留する樹脂槽を有しており、
前記改質剤被覆部は、前記樹脂槽の中に導入された強化繊維束に、溶融状態の熱可塑性樹脂の中で改質剤を被覆できるように、樹脂槽の内部に設けられていて、
前記強化繊維束を樹脂槽に次いで改質剤被覆部に入るように配設していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造装置。 - 熱可塑性樹脂との密着性を向上させる改質剤を強化繊維束に被覆し、改質剤が被覆された強化繊維束の表面に熱可塑性樹脂を溶融状態で被覆することにより熱可塑性樹脂で強化されたストランドを製造する長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造方法であって、
前記改質剤を強化繊維束の表面に被覆するに際しては、前記強化繊維束を広げるように解束し、解束された強化繊維束に対して、この強化繊維束を広げた方向全域に亘って改質剤を溶融状態で押し出すことを特徴とする長繊維強化熱可塑性樹脂ストランドの製造方法。
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