JP2006182638A - セメントクリンカおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セメントの主要化学組成および鉱物組成を大きく変更することなく、しかもプレヒータのコーチングトラブルやセメントの物性への悪影響がなく、焼成熱量の低減化を図れるセメントクリンカおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】焼成工程の以前に、セメントクリンカの液相の温度より高い融点を有し、かつエーライトの結晶核となる物質をセメント原料および調合原料の少なくとも1つに混入する。混入する物質としては、例えば耐火レンガの微粉、普通ポルトランドセメントクリンカの粒子、早強ポルトランドセメントクリンカの微粉、早強ポルトランドセメント、生石灰微粉などである。これにより、エーライトの生成が低温から促進される。その結果、高品質のクリンカを小さい焼成熱量原単位で焼成でき、しかもセメントの品質を低下させず、プレヒータのコーチング量の減少や耐火レンガの寿命の延長に資する。

Description

この発明は、セメントクリンカおよびその製造方法、詳しくは焼成工程における焼成熱量の低減が図れるセメントクリンカおよびその製造方法に関する。
近年、セメント製造技術の目ざましい進歩は、セメントクリンカ(以下、クリンカ)の焼成熱量を低減させる技術の開発であると言われている。すなわち、それまでの調合原料に水を加えて均一化した後に焼成することで大きな焼成熱量を必要としていた湿式焼成法から、セメント原料を熱風により乾燥後に粉砕してから焼成して焼成熱量を減らす乾式焼成法へと移行し、さらには予め調合原料をプレヒータにより仮焼し、得られた仮焼原料をロータリーキルン(以下、キルン)に投入することで、焼成熱量をさらに低減させるようにしたニューサスペンション方式の焼成法の開発といった一連の焼成技術の変遷がある。
その後、さらなる焼成熱量の低減化を図る技術として、(1) 調合原料の主要化学組成を変更する方法(非特許文献1)と、(2) フラックスを使用する方法(同じく非特許文献1)とがそれぞれ開発された。
(1) の方法は、アルミナ、鉄、硫黄などの含有量を変更し、焼成時の液相量を増やし、比較的低温でもクリンカが生成し易くなるようにした方法である。
(2) の方法は、焼成反応を促進させる螢石(フッ化カルシウム)などのフラックスをセメント原料に添加する方法である。
著者;H.F.W.Taylor、刊行物名;Cement Chemistry、発行国;英国、発行所;ACADEMIC PRESS LIMITED、発行年月日;1990年、頁数;(1) 調合原料の主要化学組成を変更する方法については80頁、(2) フラックスを使用する方法については93頁。
しかしながら、これらの(1) 調合原料の主要化学組成を大きく変更する方法、(2) フラックスを使用する方法には、それぞれ以下の課題があった。
すなわち、(1) 調合原料の主要化学組成を大きく変更する方法では、汎用のポルトランドセメントとは異なる鉱物組成のクリンカが生成される。そのため、製造されたセメントを使用し、コンクリートまたはモルタルを作製したとき、これらのものは特異な流動性状および強度発現性を示すことになる。その結果、セメントの用途が限定され、これを広範囲に実用に供することはできなかった。
また、(2) フラックスを利用する方法では、フラックスの成分元素(例えばフッ素)がキルン内で揮発し、これがキルンやプレヒータの内壁に付着してコーチングトラブルを発生させたり、フラックス成分の影響で特異な物性のセメントが製造されることがあった。これらは、フラックスの添加量が増加するほど顕著になった。
そこで、発明者らは、鋭意研究の結果、クリンカの主要構成鉱物の一種であるエーライトに着目した。すなわち、不均一核生成で成長するエーライトの成長機構を利用し、エーライトの生成を従来に比べて低い温度から促進させれば、焼成熱量のさらなる低減が可能であることを発見し、この発明を完成させた。
この発明は、セメントの主要化学組成および鉱物組成を大きく変更することなく、しかも品質を低下させず、プレヒータのコーチング量の減少や耐火レンガの寿命の延長に有効でありながら、焼成熱量の低減化を図ることができるセメントクリンカおよびその製造方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、原料工程で混合した複数のセメント原料からなる調合原料を焼成工程で焼成して得られ、エーライトを含むセメントクリンカにおいて、セメントクリンカ中の液相の温度より高い融点を有し、かつエーライトの生成の核となる物質または該エーライトの生成の核となる物質を含む核含有物を、前記焼成工程の以前に、セメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つの中に混入し、その後、前記物質が混入された調合原料を焼成して得られたセメントクリンカである。この調合原料には、焼成工程内のセメントクリンカおよびその前駆物質を含む。
請求項1に記載の発明によれば、セメントクリンカの主要構成鉱物であるエーライトは、通常のセメントクリンカの生成条件では、自発的にエーライトの核を生成することが難しく、他の物質を核(不均一核)とし、結晶成長を開始する性質がある。そこで、成長する環境相の外部からその物質を添加し、液相のセメントクリンカ中に共存させる。こうすれば、添加された物質を核として、エーライトの生成が従来に比べて低い温度から促進される。これにより、エーライトの生成完了までの時間が短縮され、最高加熱温度も低くなる。その結果、セメントの主要鉱物組成の変更またはフラックスを使用することなく、焼成熱量の低減化を図ることができる。
結晶の成長は、何もない環境相から結晶の芽が生じる核生成と、核生成後の定常的な結晶成長との2つの素過程よりなる。また、核生成は、成長する物質自身が核になる自然核生成と、異物質が核になる不均一核生成との2つに分類される。成長する結晶と同じ結晶であっても、この発明の場合のように、成長する環境相の外部から添加し、それを核として成長する際には、不均一核生成の範疇に含まれるものである。
原料工程とはセメント製造プロセスの初期工程であって、石灰石、粘土、珪石、鉄原料などのセメント原料を原料ミルに投入し、これらの原料を混合しながら所定の粒度まで粉砕する。また、粉砕前の粘土類は、必要により粘土ドライヤなどで乾燥させる。
焼成工程では、調合原料がクリンカ焼成設備の主要機器であるキルンに投入され、その後、キルン内を徐々に下流に移動しながら、焼成帯で1450℃程度まで加熱される。その途中、調合原料は乾燥、脱水、分解などの過程を経ながら、焼成帯の近傍で調合原料中のライム(酸化カルシウム)、シリカ、アルミナなどが互いに再結合し、クリンカ組成化合物が生成される。その過程で液相が生成する。液相の生成温度(以下、液相温度)は1200〜1300℃付近である。
セメントクリンカの主要構成鉱物は、エーライト、ビーライトと、これらの中間を埋める間隙相とからなる。エーライトは、クリンカ組成物の約半分量を占める鉱物で、その平均粒径は20μm程度である。このエーライトは、不均一核を生成する物質である。
エーライトの生成の核となる物質(以下、生成の核となる物質)は、液相と接触しても分解したり、融解しないものでなければならない。それには、セメントクリンカの液相生成温度(1200〜1300℃付近)より、物質の融点が高い必要がある。生成の核となる物質としては、例えば耐火レンガ、酸化マグネシウム、白金、ロジウム、生石灰、新たに添加するエーライト、ビーライトなどを採用することができる。ただし、ロータリーキルンから焼き出されたセメントクリンカの中でも、固相として安定的に存在する物質が好ましい。例えば、セメント工場内で入手が容易なセメントクリンカ、これより製造されたセメントなどである。なお、運転中の高温のロータリーキルン内に石灰石微粉を窯前から投入すると、調合原料やセメントクリンカと接触する前に、石灰石微粉が高熱下で脱炭酸して生石灰微粉に変化する。これにより、生石灰微粉を投入した場合とほぼ同じ効果が得られる。このように融点が1300℃を超える物質を核として外部から添加すれば、エーライトの生成が促進され、セメントクリンカの焼成熱量が低減する。
生成の核となる物質の粒径は、小さい方が好ましい。例えば5μm以下である。
生成の核となる物質またはこの核となる物質を含む核含有物の投入は、焼成工程の以前に行う。具体的には、焼成工程でもよいし、原料工程でもよい。または、焼成工程と原料工程との両方にわけて、この生成の核となる物質または核含有物質の投入を実施してもよい。投入物質がロータリーキルン内に着地する最も望ましい場所は、焼成工程のセメントクリンカの液相が生成し始める場所から、エーライトが生成し始めている場所までの間である。核となる物質または核含有物質が、ロータリーキルン内のエーライトの生成可能領域に達する前に、別の化合物に変化して、その融点が液相温度より低くなり、エーライトの生成を促進しなくなることがないように、ロータリーキルンの運転状況やセメントクリンカの品質を評価しながら、その投入の場所や方法について工夫する必要がある。
生成の核となる物質または核含有物質は、原料工程で予めセメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つの中に混入してもよい。具体的には、この物質をセメント原料とともに原料ミルに投入したり、粘土ドライヤに投入してもよい。
また、生成の核となる物質または核含有物質は、焼成工程でセメントクリンカ焼成設備の所定箇所(1箇所または複数箇所)に投入してもよい。具体的には、プレヒータ、仮焼炉、ロータリーキルンなどが挙げられる。ロータリーキルンに物質が投入される箇所は、焼成中のロータリーキルンの液相生成域またはそれより低温側が望ましい。具体的な投入口は、ロータリーキルンの窯尻、窯前である。
生成の核となる物質の混入量は限定されない。例えば、調合原料100重量部に対して5重量部以下である。また、核含有物の混入量は限定されない。例えば、生成の核となる物質換算で、調合原料100重量部に対して5重量部以下である。
核含有物としては、例えばセメントクリンカ、セメント、生石灰、耐火レンガの微粉末などを採用することができる。その場合、核含有物中において、エーライトの生成の核となる物質の成分比は限定されない。
請求項2に記載の発明は、前記物質はセメントクリンカに含まれる物質で、前記原料工程では、前記物質をセメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つの中に、調合原料100重量部に対して5重量部以下の割合で混入した請求項1に記載のセメントクリンカである。
セメントクリンカに含まれる物質としては、セメントクリンカ中に安定的に存在し、融点が1500℃以上のものが好ましい。例えば、セメントクリンカ自体でもよいし、エーライトまたはビーライトでもよい。または、耐火レンガ(融点1800℃程度)でもよい。
生成の核となる物質の混入量は、調合原料100重量部に対して5重量部以下である。5重量部を超えると、物質の種類によっては、セメントクリンカの品質が低下する。生成の核となる物質の好ましい混入量は、0.05〜1.0重量部である。この範囲であれば、セメントクリンカの焼成熱量のさらなる減少とフリーライムの減少などによる品質向上という、より好適な効果が得られる。
請求項3に記載の発明は、前記物質が、セメントクリンカまたはセメントである請求項1または請求項2に記載のセメントクリンカである。
生成の核となる物質は、セメントクリンカでもよいし、セメントでもよい。さらには、セメントクリンカとセメントとの両方を混合したものでもよい。その際の混合割合は、例えば5:95〜50:50である。
セメントの種類は限定されない。例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントなどの各種のポルトランドセメントが挙げられる。セメントクリンカとしては、これらのセメント(各種のポルトランドセメント)の原料となるセメントクリンカを採用することができる。特に、エーライト量が多い早強ポルトランドセメントまたはそれ用のセメントクリンカが好ましい。
請求項4に記載の発明は、前記物質の粒径が、5mm以下である請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載のセメントクリンカである。
生成の核となる物質の粒径が5mmを超えると、物質の種類によっては、セメントクリンカの品質が低下する。物質の好ましい粒径は、0.01mm以下である。この範囲であれば、セメントクリンカの焼成熱量のさらなる減少と品質向上という、より好適な効果が得られる。
請求項5に記載の発明は、原料工程で混合した調合原料を焼成工程で焼成し、エーライトを含むセメントクリンカを製造するセメントクリンカの製造方法において、前記焼成工程の以前に、セメントクリンカ中の液相の温度より高い融点で、かつエーライトの生成の核となる物質を、セメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つに混入するセメントクリンカの製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記物質がセメントクリンカに含まれた物質で、前記原料工程では、前記物質をセメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つの中に、調合原料100重量部に対して5重量部以下混入する請求項5に記載のセメントクリンカの製造方法である。
請求項7に記載の発明は、前記物質が、セメントクリンカまたはセメントである請求項5または請求項6に記載のセメントクリンカの製造方法である。
請求項8に記載の発明は、前記物質の粒径が、5mm以下である請求項5〜請求項7のうち、何れか1項に記載のセメントクリンカの製造方法である。
請求項9に記載の発明は、前記焼成が、プレヒータ、仮焼炉およびロータリーキルンを有したクリンカ焼成設備により行われ、該クリンカ焼成設備における前記物質の投入位置が、前記プレヒータ、仮焼炉、ロータリーキルンの窯前または窯尻のうち、少なくとも1箇所である請求項5〜請求項8のうち、何れか1項に記載のセメントクリンカの製造方法である。
エーライトの生成の核となる物質のクリンカ焼成設備内への投入には、クリンカ焼成設備に既設のものを利用してもよいし、専用のものを利用してもよい。例えば既設の燃料用バーナにより、微粉炭などの燃料に前記物質を混入し、ロータリーキルン内に投入してもよい。または、専用の吹き込みパイプやシュートによりプレヒータ内やロータリーキルン内に投入してもよい。エーライト生成の核となる物質を窯尻から投入する場合には、可燃物およびセメント原料のうち、何れか1つの中に核となる物質を混入してこれを球状、円柱状、ドーナツ状などに成形し、ロータリーキルン内でのこの物質の窯前方向への移動速度を速めた方が好ましい。これにより、この核となる物質がロータリーキルン内の液相生成域に到達する前に、調合原料と反応して別の化合物となり難い。
この発明のセメントクリンカおよびその製造方法によれば、焼成工程の以前に、エーライトの生成の核となる物質をセメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つの中に混入するので、エーライトの生成を従来に比べて低い温度から促進させることができる。これにより、高品質のセメントクリンカを従来より小さい焼成熱量原単位で焼成することができる。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
まず、試験例および比較例で使用する材料と、試験項目および試験方法とを、以下に示す。
1.使用材料
1)耐火レンガ;スピネルレンガ
2)セメント調合原料;石灰石、粘土、珪石、鉄原料(重量比で、78:15:5:2)
3)普通および早強ポルトランドセメントクリンカの微粉;三菱マテリアル株式会社製
4)普通および早強ポルトランドセメント;三菱マテリアル株式会社製
2.試験項目および試験方法
(1) フリーライム
セメント協会標準試験方法「遊離カルシウムの定量方法」による。すなわち、試料をグリセリンとアルコールとの混合溶媒とともに煮沸してカルシウムを溶出させ、酢酸アンモニウムのアルコール溶液により滴定する。
(2) クリンカー焼成熱量原単位
セメントクリンカの焼成に必要な1時間当たりの燃料の発熱量(単位kcal/h)を、1時間当たりのクリンカ製造量(単位t/h)で除した値である。燃料の発熱量は、1時間当たりの燃料使用量にその低発熱量を乗じて求める。
(試験例1、比較例1)
融点が1800℃程度の耐火レンガの微粉(粒径149μm以下)を、原料工程で、普通ポルトランドセメントの調合原料(粒径210μm以下)に、このセメント調合原料を100重量部としたとき、0.2重量部混入した。これを、ロータリーキルンに投入し、1450℃程度で焼成した。焼成時の最高加熱温度は、1500℃(耐火レンガの微粉の未添加時の最高加熱温度1500℃)である。耐火レンガの組成は、SiO:0.3%、Al:17.1%、Fe:3.0%、CaO:0.5%、MgO:79.1%である。得られたセメントクリンカの鉱物組成を表1に示す。ここでは、耐火レンガの微粉を投入したものを試験例1とし、未投入のものを比較例1とした。
Figure 2006182638
得られた普通ポルトランドセメントクリンカは、その主要化学組成が耐火レンガの微粉を投入しない場合と略同じである。しかしながら、ロータリーキルンを一週間運転したときの普通ポルトランドセメントクリンカ中のフリーライムの平均含有率は、耐火レンガの微粉を投入しなかったときの0.9%から0.6%まで低下した。また、セメントクリンカの焼成熱量原単位は、耐火レンガの微粉を未投入のときの650kcal/tから644kcal/tへと約1%低下した。
(試験例2、比較例2)
セメントクリンカクーラの電気集塵機により、普通ポルトランドセメントクリンカの粒子(粒径は5mm以下)を集塵し、これを窯前から専用の吹き込み設備によりロータリーキルン内に、キルン軸方向に向かって、セメントクリンカ1t当たり8kg投入した。ロータリーキルン内では、普通ポルトランドセメントクリンカを1450℃程度で焼成中とする。焼成時の最高加熱温度は、約1500℃(普通ポルトランドセメントクリンカの粒子の未投入時の最高加熱温度は約1550℃)である。普通ポルトランドセメントの微粉末の融点は1700℃程度である。得られたセメントクリンカの鉱物組成を同じく表1に示す。ここでは、普通ポルトランドセメントクリンカの粒子を投入したものを試験例2とし、未投入のものを比較例2とした。
その結果、得られた普通ポルトランドセメントクリンカは、主要鉱物組成がこのセメントクリンカ粒子の未投入時と略同じである。しかしながら、ロータリーキルンを一週間運転したときの普通ポルトランドセメントクリンカ中のフリーライムの平均含有率は、0.4%と、普通ポルトランドセメントクリンカの粒子を未投入の場合と略同じか若干減少した。しかも、セメントクリンカの焼成熱量原単位は、普通ポルトランドセメントクリンカの粒子を未投入のときの652kcal/tから640kcal/tへと約2%低下した。
(試験例3、比較例3)
ロータリーキルン内に、窯尻から専用のバーナによりキルン軸方向に向かって、早強ポルトランドセメントクリンカの微粉(ブレーン値3500cm/g)を、セメントクリンカ1t当たり10kg投入した。ロータリーキルン内では、普通ポルトランドセメントクリンカを1450℃程度で焼成中である。早強ポルトランドセメントクリンカの微粉末の融点は1700℃程度である。焼成時の最高加熱温度は、約1500℃(早強ポルトランドセメントクリンカの微粉の未投入時の最高加熱温度は約1550℃)である。得られたセメントクリンカの鉱物組成を同じく表1に示す。ここでは、早強ポルトランドセメントクリンカの微粉を投入したものを試験例3とし、未投入のものを比較例3とした。
その結果、得られた普通ポルトランドセメントクリンカの主要鉱物組成がこのセメントクリンカの微粉の未投入時と略同じとなる。しかしながら、ロータリーキルンを一週間運転したときの普通ポルトランドセメントクリンカ中のフリーライムの平均含有率は、0.4%と0.2%減少した。しかも、セメントクリンカ焼成熱量原単位は、早強ポルトランドセメントクリンカの微粉を未投入のときの658kcal/tから641kcal/tへと約3%低下した。
(試験例4、比較例4)
ロータリーキルン内に、窯前から微粉炭バーナにより、早強ポルトランドセメント(ブレーン値4300cm/g)を微粉炭に混ぜて、セメントクリンカ1t当たり20kgをキルン軸方向に向かって投入した。ロータリーキルン内では、早強ポルトランドセメントクリカを1500℃程度で焼成中である。早強ポルトランドセメントの微粉末の融点は1700℃程度である。焼成時の最高加熱温度は、約1550℃(早強ポルトランドセメントの微粉の未投入時の最高加熱温度は約1600℃)である。得られたセメントクリンカの鉱物組成を同じく表1に示す。ここでは、早強ポルトランドセメントクリンカの微粉末を投入したものを試験例4とし、未投入のものを比較例4とした。
その結果、得られた早強ポルトランドセメントクリンカの主要鉱物組成は、この早強ポルトランドセメントを未投入の場合と略同じとなる。しかしながら、ロータリーキルンを一週間運転した際の早強ポルトランドセメントクリカ中のフリーライムの平均含有率は、0.5%とほとんど変わらないか若干減少した。しかも、セメントクリンカ焼成熱量原単位は、早強ポルトランドセメントの微粉を未投入のときの655kcal/tから631kcal/tへと約4%低下した。
(試験例5、比較例5)
普通ポルトランドセメントクリンカを焼成中のロータリーキルンの仮焼炉に、吹き込み用パイプを用いて、融点が1700℃程度の早強ポルトランドセメントクリンカの微粉(ブレーン値4100cm/g)を、セメントクリンカ1t当たり5kg投入した。焼成時の最高加熱温度は、約1500℃(早強ポルトランドセメントの微粉の未投入時の最高加熱温度は約1550℃)である。得られたセメントクリンカの鉱物組成を同じく表1に示す。ここでは、早強ポルトランドセメントクリンカの微粉を投入したものを試験例5とし、未投入のものを比較例5とした。
その結果、普通ポルトランドセメントクリンカの主要鉱物組成がこのクリンカの微粉を未投入の場合と略同じとなる。しかしながら、ロータリーキルンを一週間運転したときの普通ポルトランドセメントクリンカ中のフリーライムの平均含有率は、0.5%と0.2%減少した。しかも、セメントクリンカ焼成熱量原単位は、早強ポルトランドセメントクリンカの微粉を未投入のときの647kcal/tから634kcal/tへと約2%低下した。
(試験例6、比較例6)
ロータリーキルン内に、窯前から微粉炭バーナにより石灰石微粉(ブレーン値6100cm/g)を微粉炭に混ぜて、セメントクリンカ1t当たり10kgをキルン軸方向へ向かって投入した。このとき、ロータリーキルン内では普通ポルトランドセメントクリンカを1450℃程度で焼成中とする。焼成時の最高加熱温度は、約1500℃(石灰石微粉の未投入時の最高加熱温度は約1550℃)である。得られたセメントクリンカの鉱物組成を同じく表1に示す。ここでは、石灰石微粉を投入したものを試験例6とし、未投入のものを比較例6とした。
その結果、得られた普通ポルトランドセメントクリンカの主要鉱物組成は、この石灰石微粉が未投入の場合に比べてCS量は若干増加したが、その他の鉱物量は略同じであった。しかしなら、ロータリーキルンを一週間運転したときの普通ポルトランドセメントクリンカ中のフリーライムの平均含有率は、0.6%と0.1%減少した。しかも、セメントクリンカ焼成熱量原単位は、石灰石微粉が未投入の場合の658kcal/tから648kcal/tへと約2%低下した。なお、投入した石灰石微粉は、ロータリーキルン内のセメント原料やセメントクリンカと接触した際には、高熱下で脱炭酸して生石灰微粉に変化することから、この生石灰微粉がセメントクリンカ中の一部のエーライトの生成核になったと考えられる。
(試験例7、比較例7)
石灰石微粉(ブレーン値4500cm/g)を可燃物(ビニール、プラスチック、樹
脂類の小片の混合物)に混合し、直径が約20cmの球状に加熱加圧して成形し、プレヒータ最下部の導管(ハウジング)から、早強ポルトランドセメントクリンカを焼成中のロータリーキルン内に投入した。石灰石微粉の投入量は、セメントクリンカ1t当たり15kgである。セメントクリンカ焼成時の最高加熱温度は、約1600℃である。得られたセメントクリンカの鉱物組成を同じく表1に示す。ここでは、石灰石微粉を投入したものを試験例7とし、未投入のものを比較例7とした。
その結果、得られた早強ポルトランドセメントクリンカの主要鉱物組成は、この石灰石微粉が未投入の場合よりわずかにCS量が増加したものの、その他の鉱物量は略同じとなる。しかしながら、ロータリーキルンを一週間運転したときの早強ポルトランドセメントクリンカ中のフリーライムの平均含有率は、0.7%と0.1%減少した。しかも、セメントクリンカ焼成熱量原単位は、石灰石微粉を未投入のときの659kcal/tから647kcal/tへと約2%低下した。なお、投入した石灰石微粉は、キルン内の高熱下で脱炭酸して生石灰微粉に変化するので、この生石灰微粉の一部がセメントクリンカ中の一部のエーライトの生成核になったと考えられる。

Claims (9)

  1. 原料工程で混合した複数のセメント原料からなる調合原料を焼成工程で焼成して得られ、エーライトを含むセメントクリンカにおいて、
    セメントクリンカ中の液相の温度より高い融点を有し、かつエーライトの生成の核となる物質または該エーライトの生成の核となる物質を含む核含有物を、前記焼成工程の以前に、セメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つの中に混入し、その後、前記物質が混入された調合原料を焼成して得られたセメントクリンカ。
  2. 前記物質はセメントクリンカに含まれる物質で、
    前記原料工程では、前記物質をセメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つの中に、調合原料100重量部に対して5重量部以下の割合で混入した請求項1に記載のセメントクリンカ。
  3. 前記物質は、セメントクリンカまたはセメントである請求項1または請求項2に記載のセメントクリンカ。
  4. 前記物質の粒径は、5mm以下である請求項1〜請求項3のうち、何れか1項に記載のセメントクリンカ。
  5. 原料工程で混合した調合原料を焼成工程で焼成し、エーライトを含むセメントクリンカを製造するセメントクリンカの製造方法において、
    前記焼成工程の以前に、セメントクリンカ中の液相の温度より高い融点で、かつエーライトの生成の核となる物質を、セメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つに混入するセメントクリンカの製造方法。
  6. 前記物質はセメントクリンカに含まれた物質で、
    前記原料工程では、前記物質をセメント原料および調合原料のうち、少なくとも1つの中に、調合原料100重量部に対して5重量部以下混入する請求項5に記載のセメントクリンカの製造方法。
  7. 前記物質は、セメントクリンカまたはセメントである請求項5または請求項6に記載のセメントクリンカの製造方法。
  8. 前記物質の粒径は、5mm以下である請求項5〜請求項7のうち、何れか1項に記載のセメントクリンカの製造方法。
  9. 前記焼成は、プレヒータ、仮焼炉およびロータリーキルンを有したクリンカ焼成設備により行われ、
    該クリンカ焼成設備における前記物質の投入位置は、前記プレヒータ、仮焼炉、ロータリーキルンの窯前または窯尻のうち、少なくとも1箇所である請求項5〜請求項8のうち、何れか1項に記載のセメントクリンカの製造方法。
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