JP2006179552A - カルコパイライト型太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギ変換効率や開回路電圧が大きく、基板から積層体が脱落することが阻止されたカルコパイライト型太陽電池を大量生産する。
【解決手段】カルコパイライト型太陽電池50は、粉粒状のマイカが樹脂で結合された集成マイカ基板52を有する。この集成マイカ基板52上には、第1電極16と、光吸収層18と、第2電極20とを有する積層体14が積層されており、集成マイカ基板52と積層体14との間には、平滑化層54とバインダ層56とが介装されている。平滑化層54は、好ましくはSiN又はSiO2からなり、一方、バインダ層56は、N/Taが1を超えるNリッチなTaN化合物、又は、アモルファスTaN化合物からなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイカを含む基板を有するカルコパイライト型太陽電池に関する。
カルコパイライト型太陽電池は、Cu(InGa)Seと表記されるカルコパイライト化合物(以下、CIGSともいう)を光吸収層として備える太陽電池であり、エネルギ変換効率が高い、経年変化による光劣化がほとんど起こらない、耐放射線特性に優れる、光吸収波長領域が広い、光吸収係数が大きい等、種々の利点を有することから特に着目されており、量産化のために様々な検討がなされている。
図9に示すように、この種のカルコパイライト型太陽電池10は、ガラス基板12上に積層体14が積層されることによって設けられる。ここで、積層体14は、Moからなる第1電極16と、CIGSからなる光吸収層18と、ZnO/Alからなる透明な第2電極20とを基本構造とするものであるが、光吸収層18と第2電極20との間に、これら光吸収層18と第2電極20との熱膨張係数の相違を緩和するためのバッファ層22及び高抵抗層(半絶縁層)24が介装されるのが一般的である。さらに、第2電極20上には、光吸収に入射された光が反射して外部に漏れることを防止するための反射防止層26が設けられている。バッファ層22、高抵抗層24、反射防止層26の各々は、例えば、CdS、ZnO、MgF2からなる。バッファ層22の材質には、ZnO、InSが選定されることもある。
第1電極16の一部は積層体14から露呈されており、この露呈した部位には、第1リード部28が設けられる。その一方で、第2電極20の一部も反射防止層26から露呈されており、この露呈した部位には、第2リード部30が設けられている。
このように構成されたカルコパイライト型太陽電池10に太陽光等の光が照射されると、光吸収層18に電子と正孔の対が生じる。そして、p型半導体であるCIGS製の光吸収層18と、n型半導体である第2電極20との接合界面において、電子が第2電極20(n型側)の界面に集合するとともに、正孔が光吸収層18(p型側)の界面に集合する。この現象が起こることにより、光吸収層18と第2電極20との間に起電力が生じる。この起電力による電気エネルギを、第1電極16と第2電極20にそれぞれ接続された第1リード部28、第2リード部30から電流として外部へと取り出すようにしている。
図9に示されるカルコパイライト型太陽電池10は、通常、以下のようにして作製される。すなわち、先ず、スパッタリング成膜により、ソーダライムガラス等からなるガラス基板12にMo(モリブデン)からなる第1電極16を成膜する。
次に、レーザ光を照射することによってこの第1電極16を分割する。この操作は、スクライブと呼称される。
分割時に発生した切削屑を水洗によって除去した後、スパッタリング成膜によってCu、In、Gaを第1電極16上に付着させ、前駆体(プリカーサ)を設ける。この前駆体を、基板及び第1電極16ごと加熱処理炉内に収容し、H2Seガス雰囲気中でアニールを行う。このアニールの際に前駆体のセレン化が起こり、CIGSからなる光吸収層18が形成される。
次に、CdS、ZnO、InS等のn型のバッファ層22を光吸収層18上に設ける。バッファ層22は、例えば、スパッタリング成膜やケミカルバスデポジション(CBD)等によって形成される。
さらに、ZnO等の高抵抗層24をスパッタリング成膜等によって形成した後、レーザ光や金属針を用い、高抵抗層24、バッファ層22及び光吸収層18のスクライブを行う。すなわち、高抵抗層24、バッファ層22及び光吸収層18を分割する。
次に、スパッタリング成膜によってZnO/Alからなる第2電極20を設けた後、レーザ光や金属針を用いて第2電極20、高抵抗層24、バッファ層22及び光吸収層18のスクライブを行う。
最後に、第1電極16及び第2電極20において露呈した部位に、第1リード部28及び第2リード部30をそれぞれ設ける。これにより、カルコパイライト型太陽電池10が得られるに至る。
このようにして得られたカルコパイライト型太陽電池10はセルであり、通常は、複数個のセルが互いに電気的に連結されてパネル形状に大型化されたものが実用に供される。
上記したように、基板の材質としてはガラスが選定されることが通例である。この理由は、入手が容易であり且つ価格が安価であり、表面が平滑であるので該基板に積層される膜の表面を比較的平滑にすることができ、しかも、ガラス中のナトリウムが光吸収層まで拡散する結果、エネルギ変換効率が大きくなるからである。
しかしながら、ガラス基板を用いた場合、前駆体をセレン化する際の温度を高く設定することができないのでエネルギ効率が著しく大きくなる組成までセレン化を進行させることが困難である。また、基板が厚いのでカルコパイライト型太陽電池を製造する際に該ガラス基板を送り出す送り出し装置等が大型化するとともに、製造されたカルコパイライト型太陽電池の質量が大きくなるという不具合がある。しかも、ガラス基板には可撓性がほとんどないため、ロールトゥロールプロセスと呼称される大量生産製法を適用することが困難である。
この不具合を解決する方策として、基板の材質をガラス以外のものに変更することが想起される。例えば、特許文献1には、高分子フィルムを基板とするカルコパイライト型太陽電池が提案されている。その他、特許文献2には、カルコパイライト型燃料電池の基板の材質としてステンレス鋼が挙げられており、特許文献3には、ガラス、アルミナ、マイカ、ポリイミド、モリブデン、タングステン、ニッケル、グラファイト、ステンレス鋼が列挙されている。ここで、特許文献2においては、このステンレス基板がセレン化の際にセレンから攻撃を受けることを回避するべく、SiO2又はFeF2からなる保護層を設けることが提案されている。
特開平5−259494号公報 特開2001−339081号公報 特開2000−58893号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたように高分子フィルムを基板とする場合、カルコパイライト型太陽電池に可撓性は生じるものの、セレン化の際に高温とすることができないという問題がある。例えば、ポリイミドでは260℃以上とすることができないので、H2Seガスを使用して500℃以上となるセレン化を行うことができない。
また、特許文献2記載の技術には、保護層によるステンレス基板の保護が十分であるとは言い難い側面がある。すなわち、場合によっては、セレン化の際にステンレス基板が腐食し、このために第1電極が脱落することがある。また、保護層が脱落して導電性のステンレス基板が露呈してしまうため、金属針によるスクライブを行うことができないという不具合が顕在化している。
さらに、特許文献3では、各種の材料が基板の材質として挙げられているものの、該特許文献3中で開示されたカルコパイライト型太陽電池の基板は、すべてガラス基板である。このため、他の材料を使用してもセレン化の際に腐食を回避することが可能であるか否かは明らかではない。例えば、マイカ粒子が樹脂で結合された集成マイカを基板として積層体を設けると、この積層体が集成マイカ基板から脱落し易く、また、エネルギ変換効率が低下することが認められる。
しかも、集成マイカ基板を使用した場合、該マイカ基板に含まれる元素が不純物として光吸収層まで拡散し、このためにカルコパイライト型太陽電池のエネルギ変換効率が低下することも認められる。
不純物の光吸収層への拡散を防止するべく、集成マイカ基板と積層体との間に拡散防止層を設けることも想起される。しかしながら、この場合、拡散防止層から光吸収層に不純物が拡散することが懸念される。また、集成マイカ基板及び積層体の双方と良好に接合する材質でなければ、積層体を保持することができない。
このように、マイカを含む基板を用いてカルコパイライト型太陽電池を構成することは困難を窮めている。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、大量生産を行うことが可能であり、しかも、エネルギ変換効率や開回路電圧が大きく、基板から積層体が脱落することを回避することも可能なカルコパイライト型太陽電池を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係るカルコパイライト型太陽電池は、マイカを含有する基板にバインダ層を介して保持された金属からなる第1電極と、前記第1電極上に形成されるp型半導体のカルコパイライト化合物からなる光吸収層と、前記光吸収層の上部に形成されるn型半導体の第2電極との積層体を有し、
前記バインダ層が、少なくともタンタル(Ta)と窒素(N)とを含有する化合物であり、
且つ前記化合物におけるNとTaとの組成比N/Taが1より大きいことを特徴とする。
先ず、マイカ基板と積層体との間にバインダ層が介在しているので、このバインダ層が拡散防止層としても機能し、マイカ基板から光吸収層に不純物が拡散することが阻止される。
そして、本発明では、NがTaより過剰に存在するNリッチな化合物でバインダ層を設けるようにしている。従って、バインダ層中の遊離Taが不純物として光吸収層に拡散することが抑制される。なお、この化合物は、窒化タンタル(TaN)であってもよく、TaNの他にさらに他の元素を含む多元系化合物であってもよい。以下においても同様である。
このように、本発明においては、マイカ基板及びバインダ層から光吸収層に不純物が拡散することが回避されるので、カルコパイライト型太陽電池の変換効率が向上する。
また、本発明に係るカルコパイライト型太陽電池は、マイカを含有する基板にバインダ層を介して保持された金属からなる第1電極と、前記第1電極上に形成されるp型半導体のカルコパイライト化合物からなる光吸収層と、前記光吸収層の上部に形成されるn型半導体の第2電極との積層体を有し、
前記バインダ層が、少なくともタンタル(Ta)と窒素(N)とを含有する化合物であり、
且つ前記化合物がアモルファスであることを特徴とする。
このような構成のカルコパイライト型太陽電池においても、バインダ層中の遊離Taが不純物として光吸収層に拡散することが抑制される。また、この場合でもバインダ層が拡散防止層として機能するので、結局、マイカ基板及びバインダ層から光吸収層に不純物が拡散することが回避され、カルコパイライト型太陽電池の変換効率が向上する。
いずれにおいても、絶縁性基板とバインダ層との間に、SiN又はSiO2を含み、前記光吸収層側に臨む上端面の起伏が前記基板側に臨む下端面の起伏に比して小さい平滑化層を設けることが好ましい。これにより、第1電極や光吸収層に起伏が転写されることを回避することができ、その結果、カルコパイライト型太陽電池の開回路電圧が大きくなるという利点が得られる。
ここで、マイカは、可撓性に富む。このため、例えば、後述する集成マイカを巻回して送り出し、所定の寸法に切断することで基板を形成することが可能である。換言すれば、集成マイカをロール状に巻回することができるので、大量生産製法であるロールトゥロールプロセスを採用することが容易である。すなわち、カルコパイライト型太陽電池の大量生産を図ることができる。
また、マイカはソーダライムガラスに比して安価であるので、カルコパイライト型太陽電池の製造コストを低廉化することができる。しかも、軽量であるので、カルコパイライト型太陽電池の質量を小さくすることもできる。
さらに、マイカの耐熱性及び耐食性がガラス基板に比して著しく優れているので、光吸収層を設けるべく第1電極上に付着されたCu、In、Gaの前駆体(プリカーサ)に対し、H2Seガスを使用して600〜700℃程度でセレン化を施すことができる。このような条件下においては、前駆体のセレン化を確実に進行させることができるので、開回路電圧が大きなカルコパイライト型太陽電池を構成することができる。
さらにまた、マイカ基板と積層体との間にバインダ層を介装させるので、マイカ基板と積層体との接合強度が確保される。このため、積層体がマイカ基板から脱落することが回避される。
なお、マイカ基板としては、粉粒状のマイカと樹脂が混合された後に焼成された集成マイカを挙げることができる。
本発明によれば、Nリッチな化合物、又はアモルファス化合物でバインダ層を設けるので、マイカ基板及びバインダ層から光吸収層に不純物が拡散することが回避される。このため、光吸収層の純度が維持されるので、カルコパイライト型太陽電池の変換効率が向上する。また、バインダ層のバインド作用によって、積層体がマイカ基板から脱落することを回避することができる。
しかも、マイカ基板を使用するのでカルコパイライト型太陽電池の大量生産が容易となる。
以下、本発明に係るカルコパイライト型太陽電池につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、図9に示される構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図1は、本実施の形態に係るカルコパイライト型太陽電池50の概略縦断面図である。このカルコパイライト型太陽電池50は、基板52と、積層体14と、これら基板52と積層体14の間に介装された平滑化層54及びバインダ層56とを有する。ここで、バインダ層56は、少なくともTaとNとを含む化合物(以下、TaN化合物と表記する)からなる。
本実施の形態において、基板52は、集成マイカで形成されている。ここで、集成マイカとは、粉粒状のマイカと樹脂が混合された後に焼成されたものを指称する。
集成マイカは、抵抗値が1012〜1016Ωと著しく大きい絶縁体であり、また、酸、アルカリ、H2Seガス等に対する耐性も高いという性質を有する。さらに、軽量であり且つ可撓性に富む。しかも、ソーダライムガラス等のガラス基板の耐熱温度が500〜550℃であるのに対し、集成マイカは、600〜800℃と比較的高い耐熱温度を示す。
ここで、図2に拡大して示すように、集成マイカからなる基板52の上端面には、凹部58及び凸部60が存在する。すなわち、集成マイカ基板52の上端面は、大きく起伏している。
この起伏した集成マイカ基板52上に積層体14を構成する第1電極16を積層した場合、該第1電極16の上端面にも起伏が転写される。このような第1電極16上に光吸収層18を設けた場合、最終製品であるカルコパイライト型太陽電池50の開回路電圧が低下する傾向がある。
そこで、本実施の形態においては、集成マイカ基板52に比して起伏が小さい平滑化層54を介装するようにしている。起伏がより小さい平滑化層54が介装されることにより、第1電極16や光吸収層18の上端面に転写される起伏が小さくなる。従って、カルコパイライト型太陽電池50の開回路電圧が低下することを回避することができる。
この平滑化層54の材質としては、例えば、SiN又はSiO2が選定される。この場合、成膜が容易であるという利点がある。また、平滑化層54が集成マイカ基板52及びバインダ層56の双方と良好に接合するので、接合強度を確保することができる。
平滑化層54上に設けられたバインダ層56は、集成マイカ基板52及び積層体14の双方を強固に接合させるための層である。また、集成マイカ基板52から拡散した不純物のそれ以上の拡散を阻止するための拡散防止層としての役割を果たす。すなわち、バインダ層56が存在することによって、集成マイカ基板52に含まれていた不純物が光吸収層18に拡散することが回避される。
バインダ層56は、上記したようにTaN化合物からなる。TaN化合物からなるバインダ層56は、平滑化層54の材質であるSiN又はSiO2や、第1電極16の材質であるMo等と良好に接合する。従って、平滑化層54を介し、良好な接合強度で積層体14を集成マイカ基板52に保持することができる。
ここで、バインダ層56を構成するTaN化合物におけるNとTaの組成比、すなわち、N/Taの値と、カルコパイライト型太陽電池50の変換効率η(%)との関係を図3に示す。この図3から、Taに対してNが過剰であるNリッチなTaN化合物である場合、TaリッチなTaN化合物である場合に比して変換効率が著しく大きくなることが分かる。
このことから、本実施の形態においては、バインダ層56を、NリッチなTaN化合物で構成する。これにより、カルコパイライト型太陽電池50の変換効率ηが高くなる。
NリッチのTaN化合物からバインダ層56を構成することによってカルコパイライト型太陽電池50の変換効率ηが高くなる理由は、NリッチのTaN化合物では遊離Taがほとんど存在せず、従って、遊離Taが不純物として光吸収層18に拡散することが回避されるためであると推察される。
なお、N/Taは、例えば、X線光電子分光器(ESCA)によって求めればよい。また、N/Taは、例えば、ターゲットをスパッタしてバインダ層56を設ける際、ガス流量を制御することによって設定することができる。
組成比が図3に示される各TaN化合物のX線回折測定プロファイルを図4〜図6にそれぞれ示す。これら図4〜図6から、最大の変換効率ηが得られるNo.1のTaN化合物がアモルファスであり、残余のNo.2、No.3のTaN化合物が、(110)方向に配位した六方晶系の結晶質であることが分かる。このことから、バインダ層56を形成するTaN化合物は、アモルファスであってもよいことが諒解される。
バインダ層56の厚みは、0.5〜1.2μmであることが好ましい。0.5μm未満であると、拡散防止層として機能することが容易でなくなる。また、1.2μmを超えると、接合強度を確保することが容易でなくなる。
積層体14は、Moからなる第1電極16、CIGSからなる光吸収層18、CdSからなるバッファ層22、ZnOからなる高抵抗層24、ZnO/Alからなる透明な第2電極20、MgF2からなる反射防止層26がバインダ層56側からこの順序で積層されて形成されている。また、第1電極16及び第2電極20の一部は露呈されており、露呈した各部位には、第1リード部28及び第2リード部30がそれぞれ設けられる。
このように構成された本実施の形態に係るカルコパイライト型太陽電池50は、上記したように、基板52が集成マイカからなるので、可撓性に富む。このため、集成マイカをロール状に巻回して送り出すことができるので、大量生産製法であるロールトゥロールプロセスを採用することが容易である。すなわち、カルコパイライト型太陽電池50の大量生産を図ることができる。
しかも、集成マイカはソーダライムガラスに比して一層安価且つ軽量であるので、カルコパイライト型太陽電池50の製造コストを低廉化することができるとともに、該カルコパイライト型太陽電池50の質量を小さくすることもできる。
また、上記したように、集成マイカの耐熱性及び耐食性はガラス基板12に比して著しく優れている。このため、光吸収層18を設けるべく第1電極16上に付着されたCu、In、Gaの前駆体(プリカーサ)に対し、H2Seガスを使用して600〜700℃程度でセレン化を施すことができる。このような条件下においては、前駆体のセレン化を確実に進行させることができるので、最終製品であるカルコパイライト型太陽電池50は、開回路電圧が著しく大きいものとなる。
この理由は、600〜700℃で気相によるセレン化を行うことにより、Gaが結晶状態で略均一に分散した光吸収層18が形成されるためにバンドギャップが拡大するためであると推察される。
さらに、本実施の形態によれば、集成マイカ基板52と積層体14との間にバインダ層56を介装させているので、集成マイカ基板52と積層体14との接合強度が確保される。このため、積層体14が集成マイカ基板52から脱落することが回避される。
さらにまた、集成マイカ基板52には、Al、K、Li、Na、Mg、F等の不純物が含まれるが、バインダ層56が存在することによって、これら不純物が光吸収層18へ拡散することが阻止される。このため、エネルギ変換効率に優れたカルコパイライト型太陽電池50を得ることができる。
その上、この場合、集成マイカ基板52の上端面の起伏を平滑化層54によって可及的に小さくしているので、第1電極16や光吸収層18に起伏が転写されることを回避することができ、その結果、カルコパイライト型太陽電池50の開回路電圧が大きくなるという利点がある。
また、バインダ層56を形成するTaN化合物がNリッチ又はアモルファスであると、バインダ層56には遊離Taがほとんど存在せず、このため、バインダ層56からTaが光吸収層18に拡散することが抑制される。これにより、エネルギ変換効率に優れたカルコパイライト型太陽電池50を得ることができる。
なお、本実施の形態では、平滑化層54を設けるようにしているが、カルコパイライト型太陽電池50のエネルギ変換効率が低下しない程度に集成マイカ基板52の上端面が平滑であるならば、図7に示すように、平滑化層54を設けることなく集成マイカ基板52上に直接バインダ層56を設けるようにしてもよい。バインダ層56の材質であるTaNは、基板52の材質である集成マイカとも良好に接合する。従って、この場合においても基板52と積層体14との接合強度を確保することができる。この場合においても、バインダ層56の厚みは0.5〜1.2μmとすることが好ましい。
また、TaN化合物は、平滑化層54の材質であるSiN又はSiO2に比して大きな接合強度で集成マイカ基板52と接合することから、さらなる接合強度を確保するべく、図8に示すように、集成マイカ基板52と平滑化層54との間にさらにバインダ層56を設けるようにしてもよい。
さらに、図7及び図8から諒解されるように、バッファ層22、高抵抗層24及び反射防止層26を設けることなく積層体14としてもよい。
さらにまた、第1電極16は、Wからなるものであってもよい。
そして、TaN化合物には、タンタル(Ta)と窒素(N)以外の元素を含む多元系化合物のみならず、TaNも含まれる。
本実施の形態に係るカルコパイライト型太陽電池の概略縦断面図である。 図1のカルコパイライト型太陽電池の要部拡大図である。 バインダ層を構成するTaN化合物におけるN/Taの値、膜厚、比抵抗と、カルコパイライト型太陽電池の変換効率との関係を示す図表である。 N/Ta=1.18であるTaN化合物のX線回折パターンである。 N/Ta=0.96であるTaN化合物のX線回折パターンである。 N/Ta=0.84であるTaN化合物のX線回折パターンである。 別の実施の形態に係るカルコパイライト型太陽電池の概略縦断面図である。 また別の実施の形態に係るカルコパイライト型太陽電池の概略縦断面図である。 従来技術に係るカルコパイライト型太陽電池の概略縦断面図である。
符号の説明
10、50…カルコパイライト型太陽電池 12…ガラス基板
14…積層体 16…第1電極
18…光吸収層 20…第2電極
52…集成マイカ基板 54…平滑化層
56…バインダ層

Claims (3)

  1. マイカを含有する基板にバインダ層を介して保持された金属からなる第1電極と、前記第1電極上に形成されるp型半導体のカルコパイライト化合物からなる光吸収層と、前記光吸収層の上部に形成されるn型半導体の第2電極との積層体を有し、
    前記バインダ層が、少なくともタンタル(Ta)と窒素(N)とを含有する化合物であり、
    且つ前記化合物におけるNとTaとの組成比N/Taが1より大きいことを特徴とするカルコパイライト型太陽電池。
  2. マイカを含有する基板にバインダ層を介して保持された金属からなる第1電極と、前記第1電極上に形成されるp型半導体のカルコパイライト化合物からなる光吸収層と、前記光吸収層の上部に形成されるn型半導体の第2電極との積層体を有し、
    前記バインダ層が、少なくともタンタル(Ta)と窒素(N)とを含有する化合物であり、
    且つ前記化合物がアモルファスであることを特徴とするカルコパイライト型太陽電池。
  3. 請求項1又は2記載の太陽電池において、前記基板と前記バインダ層との間に、SiN又はSiO2を含む平滑層を設け、前記平滑層は、前記光吸収層側に臨む上端面の起伏が前記基板側に臨む下端面の起伏に比して小さいことを特徴とするカルコパイライト型太陽電池。

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