JP2006179324A - ボタン形アルカリ電池 - Google Patents

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清人 依田
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路子 小野
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Abstract

【課題】無汞化亜鉛合金を含む負極を備えた空気亜鉛電池の耐漏液特性を向上させる。
【解決手段】正極容器1と、外周に折り返されたリバース部11を有し、そのリバース部11が前記正極容器1の内周面で囲まれるように前記正極容器1の開口部に配置された負極容器10と、前記負極容器10の前記リバース部11と前記正極容器1の内周面との間に介在される環状の絶縁ガスケット15と、前記負極容器10の内周面と対向し、無汞化亜鉛合金を含むゲル状負極9とを具備するボタン形アルカリ電池であって、前記負極容器10の前記内周面から前記リバース部11の外周面に亘ってSn、Zn及びInよりなる群から選択される少なくとも一種類の金属元素が配されており、前記負極容器10の前記内周面と前記絶縁ガスケット15との境界に跨るように前記負極容器10の前記内周面及び前記絶縁ガスケット15の表面に撥水層17が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボタン形アルカリ電池に関するものである。
従来のボタン形アルカリ電池では、負極作用物質として汞化亜鉛合金粉末を使用していたため、負極集電体を兼ねる負極容器としてNi/SUS/Cuの3層クラッド材を用いても、負極容器の内面に形成されるHgアマルガム層の存在によりZnとCuの局部電池形成を防止でき、継続的な水素ガス発生を抑えることができていた。
しかしながら、環境問題に配慮して負極作用物質として無汞化かつ鉛無添加の亜鉛合金粉末を採用した結果、負極容器の内面に配されたCuが負極作用物質中のZnと局部電池を形成して水素ガスが発生する問題を生じた。マンガン乾電池や筒形アルカリマンガン乾電池は電池内に空隙を有する筒形構造であるために多少の水素が発生したとしても影響をほとんど受けないが、空気亜鉛電池や酸化銀電池のようなボタン形アルカリ電池はボタン形で空隙がほとんどない上、サイズが小さいので少しでも水素が発生すると缶が膨らみ、極端な場合には漏液に至り、長期間にわたる電池の安全性が確保できなくなる。
この水素ガス発生の問題を解決するため、負極容器の負極と対向する内面をSn,Zn及びInから選ばれる少なくとも1種類の金属から形成したところ、局部電池形成による水素ガス発生は低減されたものの、今度は電池の封口部分からの電解液の這い上がりによる漏液という新たな問題が生じた。この理由は明確ではないが、電解液の濡れ性が金属元素により異なり、Sn,Zn,InはCuと比較して濡れ易く這い上がり現象が起き易いためか、あるいはSn,Zn,Inが電解液により溶解・腐食して絶縁ガスケットと負極容器の間に漏液経路が形成されるためであると考えられる。
この漏液を抑制するために、特許文献1に記載のボタン形アルカリ電池では、負極ケースを兼ねた負極集電体の少なくともゲル状亜鉛負極と接触する表面部分にインジウムまたはスズを存在させ、さらに少なくともガスケットとの接触部分に撥水処理剤を塗布することを行っている。具体的には、負極ケースを兼ねた負極集電体の銅面をインジウムもしくはスズで被覆した後、この全面にシリコン系撥水処理剤を塗布している。
しかしながら、特許文献1に記載のボタン形アルカリ電池では、十分な耐漏液特性を得られなかった。
特開平8−31428号公報
本発明の目的は、無汞化亜鉛合金を含む負極を備えたボタン形アルカリ電池の耐漏液特性を向上させることである。
本発明に係るボタン形アルカリ電池は、開口部の上端がかしめ加工により折り曲げられている正極容器と、
外周に折り返されたリバース部を有し、そのリバース部が前記正極容器の内周面で囲まれるように前記正極容器の前記開口部に配置された負極容器と、
前記負極容器の前記リバース部と前記正極容器の内周面との間に介在される環状の絶縁ガスケットと、
前記負極容器の内周面と対向し、無汞化亜鉛合金及びアルカリ電解液を含むゲル状負極と
を具備するボタン形アルカリ電池であって、
前記負極容器の前記内周面から前記リバース部の外周面に亘ってSn、Zn及びInよりなる群から選択される少なくとも一種類の金属元素が配されており、
前記負極容器の前記内周面と前記絶縁ガスケットとの境界に跨るように前記負極容器の前記内周面及び前記絶縁ガスケットの表面に撥水層が形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、無汞化亜鉛合金を含む負極を備えたボタン形アルカリ電池の耐漏液特性を向上することができる。
前述した特許文献1のように負極ケースの絶縁ガスケットとの接触部分に撥水処理剤を塗布すると、負極ケースの表面張力が撥水処理剤で高められているために、負極ケースと絶縁ガスケットの隙間に侵入した電解液が液滴となって移動しやすく、隙間内に留まらずに外部に放出されやすくなる。このために、漏液発生率が高くなることがわかった。また、特許文献1で使用しているシリコン系撥水処理剤は、アルカリ電解液により分解されやすいという問題点があることもわかった。
ところで、無水銀かつ鉛無添加の亜鉛合金粉末と負極容器との局部電池形成による水素ガス発生を抑制するためには、負極容器の内周面からリバース部の底面及び外周面までをSn、Zn及びInよりなる群から選択される少なくとも一種類の元素からなる表面層で形成することが望ましい。この反面、上記構成の表面層は、電解液の這い上がり現象を助長する傾向がある。
本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、負極容器の内周面と絶縁ガスケットとの境界を跨ぐように負極容器の内周面から絶縁ガスケットの表面に亘って撥水層を形成することによって、負極容器の内周面からリバース部の外周面までが上記組成の表面層から形成されていても、負極容器のリバース部と絶縁ガスケットとの隙間に電解液が侵入することを阻止することが可能となり、耐漏液特性を向上することができるという知見を得た。
さらに、特許文献1のように負極容器の内面全体を撥水剤で覆わなくても高い耐漏液特性を得られるため、負極容器と負極との導通へ与える悪影響を最小限に抑えることが可能となり、十分な放電特性を得られることも見出した。
従って、本発明によれば、安全で環境にやさしい高性能なボタン形アルカリ電池を提供することができる。
また、撥水層としてパーフルオロアルキル基を含む化合物を含有するものを使用することによって、撥水層の耐電解液性を向上することができるため、長期間に亘って十分な耐漏液特性を維持できることも本発明者らにより明らかとなった。
本発明に係わる一実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係るボタン形アルカリ電池の一実施形態である空気亜鉛電池を示す模式的な断面図で、図2は図1の空気亜鉛電池の要部拡大断面図である。
図1に示すように、有底円筒形をなす正極容器1は、その開口部の上端2がかしめ加工により内方に折り曲げられている。正極容器1は、底部に空気孔3を有する。この正極容器1は、例えばステンレス鋼などの金属から形成されており、正極端子を兼ねているものである。この正極容器1内には、正極触媒層4が収納されている。正極触媒層4に含まれる正極触媒としては、例えば、活性炭及び二酸化マンガンのようなマンガン酸化物の混合物を使用することができる。正極触媒層4は、例えば、活性炭と、マンガン酸化物と、導電性材料として膨張化黒鉛と、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末とを混合し、シート状に成型することにより得られる。
正極触媒層4に空気を均一に拡散させるための拡散紙5は、正極容器1の底部内面に配置されている。拡散紙5には、例えば、クラフト紙を使用することができる。拡散紙5の厚さは50〜100μmの範囲にすることが望ましい。酸素透過性を有する撥水膜6は、拡散紙5と正極触媒層4の間に介装されている。この撥水膜6は、アルカリ電解液が正極容器1の空気孔3から外部に漏れ出すのを防止するためのものである。撥水膜6は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルムのようなフッ素樹脂フィルムから形成することができる。なお、撥水膜6は、1枚に限らず、2枚以上重ねて使用することも可能である。
正極集電体7は、正極触媒層4上に配置され、その周縁部が正極容器1の内面と接している。これにより、正極と正極容器1との導通が確保される。正極集電体7は、例えば、金属ネットのような導電性の多孔質板から形成することができる。
正極集電体7には、セパレータ8及びゲル状の負極9がこの順番に積層されている。セパレータ8は、例えば、ポリプロピレンのようなポリオレフィン製の微多孔膜と不織布とから形成されている。微多孔膜の方を負極9と対向させ、不織布を正極集電体7と対向させる。微多孔膜は、酸化亜鉛の析出による内部短絡を防止するためのものである。アルカリ電解液の保持に寄与しているのは、主に不織布である。
ゲル状負極9は、無汞化亜鉛合金及びアルカリ電解液を含むものである。ゲル状負極9は、例えば、無汞化亜鉛合金粉末と、アルカリ電解液と、増粘剤(ゲル化剤)と、必要に応じてインヒビターとを混合することにより形成される。
無汞化亜鉛合金としては、無水銀かつ鉛無添加の亜鉛合金が望ましい。この亜鉛合金は、アルミニウム、ビスマス及びインジウムよりなる群から選択される少なくとも1種類を含有するものが望ましい。かかる無汞化亜鉛合金の中でも、Bi含有量が50〜1000ppm、In含有量が100〜1000ppmで、Al及びCaから選択される少なくとも1種類の含有量が10〜100ppmの亜鉛合金が好ましい。Bi含有量のさらに好ましい範囲は100〜500ppmで、In含有量のさらに好ましい範囲は300〜700ppmで、Al及びCaから選択される少なくとも1種類の含有量のさらに好ましい範囲は20〜50ppmである。
アルカリ電解液としては、例えば、水酸化カリウムを含むアルカリ水溶液等を挙げることができる。アルカリ電解液中の水酸化カリウム濃度は30〜45重量%の範囲にすることが好ましい。
増粘剤(ゲル化剤)としては、アルカリ電解液の粘性を増加させてゲル化させる機能を有するものを使用することができる。このような増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸のような吸水性高分子を挙げることができる。
インヒビターとしては、例えば、酸化インジウム、水酸化インジウム、酸化ビスマス等を挙げることができる。
負極容器10は、負極集電体と負極端子を兼ねているものである。負極容器10は、有底円筒形状で、外周面に折り返されたリバース部11を有する。
負極容器10は、基材13と、In、Sn及びZnよりなる群から選択される少なくとも一種類の元素から形成された表面層14とが積層された板材から形成されており、表面層14が負極容器10の内周面、リバース部11の底面12及びリバース部11の外周面に位置している。
表面層14は、In、SnまたはZnの単体金属から形成されていても、これらの金属を含む合金から形成されていても良い。また、In層とSn層のような金属層同士、あるいは合金層同士、もしくは金属層と合金層を積層した多層板を表面層としても良い。中でも、Sn金属層、Sn合金層が好ましい。このSn合金層では、Sn含有量を80質量%以上にし、かつZn及びInよりなる群から選択される少なくとも1種類からなる添加金属元素の含有量を0.1質量%以上、20質量%以下にすることが望ましい。さらに好ましい範囲は、Sn含有量が85質量%以上で、かつ添加金属元素の含有量が5質量%以上、15質量%以下である。
クラッド加工により表面層14を形成する場合、表面層14の厚さは、3μm以上、40μm以下にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。クラッド加工により形成された表面層14の厚さを3μm未満にすると、結晶粒界腐食により基材13が表出して負極作用物質と局部電池を形成する恐れがある。一方、クラッド加工により形成された表面層14の厚さが40μmを超えると、かしめ固定による封口強度が低下して漏液の発生が助長される恐れがある。さらに好ましい範囲は5μm以上、30μm以下である。
電解めっきまたは無電解めっきなどのめっきにより表面層14を形成する場合、表面層14の厚さは0.05μm以上、5μm以下にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。めっきにより形成された表面層14の厚さを0.05μm未満にすると、電解液への溶出により基材13が表出して負極作用物質と局部電池を形成する恐れがある。一方、めっきにより形成された表面層14の厚さが5μmを超えると、かしめ固定による封口強度が低下して漏液の発生が助長される恐れがある。
基材13としては、例えば、Ni/SUS/Cuの3層クラッドの板材、Ni/SUS等、電気的特性、強度や電池としての外観等に問題がなければ、その使用目的に応じて特に限定されるものではない。なお、Ni層はクラッド加工あるいはめっきにより形成することが可能である。
基材13の厚さは、50μm以上、150μm以下にすることが望ましい。さらに好ましい範囲は、50μm以上、120μm以下である。
負極容器10は、例えば、基材13と表面層14とが接合された板材を、内面が表面層14となるように絞り加工により有底円筒形に成型した後、その開口端を外周面に折り返してリバース部11を形成することによって得られる。基材13と表面層14との接合方法には、例えば、クラッド加工、電解めっき、無電解めっき等を採用することができる。クラッド加工としては、表面活性化接合法を用いても良い。
ここで、表面活性化接合法の概要を説明すると、真空雰囲気の中で所定の厚さの各種板材の接合面となる面をイオンエッチングにより表面の酸化皮膜を除去した清浄で活性な状態に処理して、室温下で各々の処理面を低圧下で接合する方法である。このようにして、加工硬化を取り除くために焼鈍処理のような加熱をすることなく、融点の大きく異なる金属でもクラッド材とすることができる。
具体的な負極容器の作製方法として、Ni/SUS/Cuの3層クラッドの板材のCu面に電解めっきを施してから絞り加工等の成形を行うか、表面活性化接合法によりNi/SUS/CuあるいはNi/SUSの板材などにSn箔をクラッドしてから絞り加工等の成形を行うなどが挙げられるが、その製法は特に限定されるものではない。
また、基材13をNi面が外表面となるように絞り加工により有底円筒形に成型した後、その開口端を外周面に折り返してリバース部11を形成し、次いで、容器の内周面とリバース部11の底面12及び外周面とに無電解めっきで表面層14を形成することによって、負極容器10を得ても良い。具体的には、Ni/SUS/Cuの3層クラッドの板材をCu面が内面となるように絞り加工等の成形を施した後、Cu面に無電解めっきを施すことが可能であるが、その製法は特に限定されるものではない。
このような負極容器10は、正極容器1の開口部に配置され、封口部材として機能する。負極容器10のリバース部11の外周面は、正極容器1の開口部付近の内周面と対向している。
リング状の絶縁ガスケット15は、正極容器1の内周面と、これと対向する負極容器10及びゲル状負極9の外周面との間に介在されている。絶縁ガスケット15は、内周面に環状に段差16が形成されており、この段差16に負極容器10のリバース部11の底面12が配置されている。絶縁ガスケット15は、例えばナイロン製で、その表面がポリアミド系樹脂でコーティングされている。このような材料から形成された絶縁ガスケット15は、耐アルカリ性を向上することができる。
撥水層17は、負極容器10の内周面の下端部から絶縁ガスケット15の段部16の内周面までを円環状に被覆している。これにより、負極容器10の内周面と絶縁ガスケット15の境界X、すなわち、負極容器10の開口端(図1の場合、リバース部11の底面12)とこれと接触する絶縁ガスケット15との界面、並びに境界Xの周辺を撥水層17で被覆することが可能となる。
撥水層17は、例えば、撥水剤を溶媒に分散もしくは溶解させたものを塗布し、溶媒を乾燥させて撥水剤の皮膜を得ることにより形成することが可能である。塗布方法は特に制限されるものではない。
撥水剤としては、特に限定されるものではないが、パーフルオロアルキル基を含むフッ素系化合物は、極少量でも十分な撥水能力を有しており、そのうえ電解液に対する安定性が高いため、特性的にもコスト的にも望ましい。
ところで、正極容器1の空気孔3は、未使用時の無駄な放電を防ぐため、正極容器1の底面に貼られたシールテープ18で一時的に塞がれている。
上述したような構造の空気亜鉛電池によれば、負極容器10の内周面、リバース部11の底部12及び外周面が、Sn、Zn及びInよりなる群から選択される少なくとも一種類の金属元素からなる表面層14で形成されているため、無水銀かつ鉛無添加の負極作用物質と負極容器10とが局部電池を形成するのを抑制することができ、水素ガスの発生を抑えることができる。
また、負極容器10の内周面と絶縁ガスケット15の境界及びその周辺が撥水層17で被覆されているため、表面層14に起因する電解液の這い上がり現象が生じても、負極容器10のリバース部11と絶縁ガスケット15の隙間に電解液が侵入するのを阻止することができ、耐漏液特性を向上することができる。
さらに、撥水層17による負極容器の導電性の低下を最小限度に抑えることができるため、十分な放電特性を得ることができる。
従って、本願発明によれば、安全で環境にやさしい高性能なボタン形アルカリ電池を実現することができる。
なお、本発明は集電体も兼ねる負極容器を用いるボタン形電池であれば、種類とサイズに関係なく適用することが可能である。例えば、前述した図1では、正極作用物質として酸素を使用する例を説明したが、正極作用物質として二酸化マンガンあるいは酸化銀を使用するボタン形アルカリ電池にも同様に適用することが可能である。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
[実施例]
以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1)
電解液の増粘作用を持つゲル化剤としてのポリアクリル酸の微粉末9.0重量部にインヒビターとしての酸化インジウム(In23)1.0重量部を均一になるまで混合・攪拌した。次いで、Biを292ppm、Inを495ppm、Alを28ppm含有する平均粒径215μmで粒径75μm〜300μmの粒子が95重量%以上を占める粒度分布の無水銀且つ鉛無添加の亜鉛合金粉末200重量部と、KOHが30%とZnOが1%からなるアルカリ電解液54重量部と、前記ポリアクリル酸と酸化インジウムの混合物1.0重量部とを混合・攪拌して、ゲル状の亜鉛負極を調製した。
また、Ni/SUS304/Cuから成る厚さ150μmの3層クラッド材をCu面が内面となるように成型加工してPR44形空気亜鉛電池の負極容器を作製した。この負極容器のCu面に無電解置換Snめっきを施し、厚さが0.2μmのSn金属からなる表面層を形成した。
ナイロン製で、表面がポリアミド系樹脂でコーティングされた絶縁ガスケットを用意した。この絶縁ガスケットは、リング状をなし、その内周面に環状に段差が設けられている。この絶縁ガスケット内に負極容器を挿入し、リバース部の底面を段差に配置し、負極容器と絶縁ガスケットを一体化した。
負極容器の内周面と絶縁ガスケットとの境界、及び、その周辺に全周に亘って処理液(セイミケミカル株式会社製のRS−2000A)を刷毛により塗布し、揮発溶剤成分を乾燥させることにより、撥水剤成分(パーフルオロアルキル基を含む化合物)の皮膜を形成し、撥水層を得た。
こうして得られたゲル状亜鉛負極を負極容器に充填後、正極触媒層が収納された正極容器にかしめ加工により固定し、前述した図1に示す構造を有するJIS規格PR44型のボタン形空気亜鉛電池を製造した。
(実施例2)
Ni/SUS304/Cuから成る厚さ150μmの3層クラッド材をCu面が内面となるように成型加工してPR44形空気亜鉛電池の負極容器を作製した。この負極容器のCu面に無電解置換Inめっきを施し、厚さが0.24μmのIn金属からなる表面層を形成した。
このような負極容器を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成のボタン形空気亜鉛電池を製造した。
(実施例3)
Ni/SUS304/Cuから成る厚さ150μmの3層クラッド材のCu面に電解Znめっきを施し、厚さが0.52μmのZn金属からなる表面層を形成した。次いで、この板材を成型加工してPR44形空気亜鉛電池の負極容器を作製した。
このような負極容器を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成のボタン形空気亜鉛電池を製造した。
(実施例4)
Niめっき/SUS/Cuから成る厚さ120μmの板材に、表面活性化接合法により表面層として厚さ30μmのSnをクラッドした。これを成型加工してPR44形空気亜鉛電池の負極容器を作製した。
このような負極容器を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成のボタン形空気亜鉛電池を製造した。
(実施例5)
Niめっき/SUS/Cuから成る厚さ120μmの板材に、表面活性化接合法により表面層として厚さ30μmのSn−Zn合金(Snが91質量%で、Znが9質量%)をクラッドした。これを成型加工してPR44形空気亜鉛電池の負極容器を作製した。
このような負極容器を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成のボタン形空気亜鉛電池を製造した。
(実施例6)
Niめっき/SUS/Cuから成る厚さ120μmの板材に、表面活性化接合法により表面層として厚さ30μmのSn−Zn−In合金(Snが91.5質量%で、Znが8質量%で、Inが0.5質量%)をクラッドした。これを成型加工してPR44形空気亜鉛電池の負極容器を作製した。
このような負極容器を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成のボタン形空気亜鉛電池を製造した。
(比較例1)
撥水剤処理を行わないこと以外は、前述した実施例1で説明したのと同様な構成のボタン形空気亜鉛電池を製造した。
(比較例2)
Pbを498ppm含有する平均粒径203μmで粒径75μm〜300μmの粒子が95重量%以上を占める粒度分布の3%汞化亜鉛合金粉末200重量部と、KOHが30%のアルカリ電解液54重量部と、ポリアクリル酸0.9重量部とを混合・攪拌してゲル状の亜鉛負極を調製した。
また、Ni/SUS/Cuの3層クラッド材を成型加工してPR44形空気亜鉛電池の負極容器を作製した。この負極容器を絶縁ガスケットに嵌め合わせた後、撥水処理を施すことなく、ゲル状亜鉛負極を負極容器に充填した。この負極容器を、正極触媒層が収納された正極容器にかしめ加工により固定し、前述した図1に示す構造を有するJIS規格PR44型のボタン形空気亜鉛電池を製造した。
実施例1〜6及び比較例1〜2の各PR44形空気亜鉛電池について、放電特性(620Ω定抵抗放電・1.0Vまでの放電容量、n=20の平均値)と、45℃・93%RHで電池を60日間保存した後の漏液数(目視)の調査(n=50)とを行った。その結果を下記表1に示す。
Figure 2006179324
表1から明らかなように、撥水層を形成した実施例1〜6の電池の放電容量は、撥水層が設けられていない比較例1,2の電池の放電容量と同等もしくはそれ以上であり、撥水層の形成により放電特性が損なわれないことを確認することができた。
また、実施例1と比較例1の比較から明らかなように、負極容器の内面処理が同じでも撥水剤を塗布をした実施例1の方が這い上がり漏液数が極端に少なくなる。更には、実施例1による撥水層形成の効果は、汞化亜鉛合金を用いた従来の空気亜鉛電池(比較例2)と比較して同レベルにあると言え、無水銀且つ鉛無添加の亜鉛合金粉末を用いても、信頼性が高い安全で高性能なボタン形アルカリ電池を得ることが出来る。この漏液抑制効果は、Sn金属層もしくはSn合金層を表面層とした実施例1,4,5,6の方が、実施例2,3に比較して高いこともわかった。
なお、前述した実施例では、ボタン型空気亜鉛電池の例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態をとることができる。たとえば、コイン型、主面の形状が四角もしくは略四角形の扁平形等にすることが可能である。
図1は本発明に係るボタン形アルカリ電池の一実施形態である空気亜鉛電池を示す模式的な断面図。 図1の空気亜鉛電池の要部の拡大断面図。
符号の説明
1…正極容器、2…開口部の上端、3…空気孔、4…正極触媒層、5…空気拡散紙、6…撥水膜、7…正極集電体、8…セパレータ、9…ゲル状亜鉛負極、10…負極容器、11…リバース部、12…リバース部の底面(負極容器の開口部の端面)、13…基材、14…表面層、15…絶縁性ガスケット、16…段差、17…撥水層、X…境界、18…シールテープ。

Claims (2)

  1. 開口部の上端がかしめ加工により折り曲げられている正極容器と、
    外周に折り返されたリバース部を有し、そのリバース部が前記正極容器の内周面で囲まれるように前記正極容器の前記開口部に配置された負極容器と、
    前記負極容器の前記リバース部と前記正極容器の内周面との間に介在される環状の絶縁ガスケットと、
    前記負極容器の内周面と対向し、無汞化亜鉛合金及びアルカリ電解液を含むゲル状負極と
    を具備するボタン形アルカリ電池であって、
    前記負極容器の前記内周面から前記リバース部の外周面に亘ってSn、Zn及びInよりなる群から選択される少なくとも一種類の金属元素が配されており、
    前記負極容器の前記内周面と前記絶縁ガスケットとの境界に跨るように前記負極容器の前記内周面及び前記絶縁ガスケットの表面に撥水層が形成されていることを特徴とするボタン形アルカリ電池。
  2. 前記撥水層は、パーフルオロアルキル基を含む化合物を含有することを特徴とする請求項1記載のボタン形アルカリ電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010508641A (ja) * 2006-11-01 2010-03-18 エバレデイ バツテリ カンパニー インコーポレーテツド ガス発生を減少させたアルカリ電気化学セル
JP2013037796A (ja) * 2011-08-04 2013-02-21 Panasonic Corp 非水電解液コイン形電池

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