JP2006176812A - 精錬容器の浴中吹き込み羽口の保護方法 - Google Patents

精錬容器の浴中吹き込み羽口の保護方法 Download PDF

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Abstract

【課題】浴中吹き込み羽口の形状、吹き込みガス流速および羽口の配置などを含めた精錬容器における浴中吹き込み羽口の保護方法を提供する。
【解決手段】精錬容器の底部から攪拌ガスを吹き込むための二重管構造を有する浴中吹き込み羽口の保護方法であって、羽口の外管と内管との間に攪拌ガスを溶鉄中に吹込むための流路を有する羽口を用い、下記式により求められる羽口指数ITを0.05〜0.25の範囲に調整するとともに、隣接する羽口の中心間距離を0.5m以上とする精錬容器における浴中吹き込み羽口の保護方法。IT=ε×Do2×(D−do)0.2/(D×U0.8)。ここで、εは吹き込みガス種類による補正係数、Doは羽口の外管外径(mm)、Dは羽口の外管内径(mm)、doは羽口の内管外径(mm)、Uは羽口流路内の吹き込みガスの線流速(Nm/s)を表す。
【選択図】 図3

Description

本発明は、溶銑あるいは溶鋼の精錬に用いる浴中吹き込み羽口の保護方法に関し、さらに詳しくは、多重管構造を有する浴中吹き込み羽口を、その羽口形状、吹き込みガス流速および羽口の配置を調整することにより保護する方法に関する。
転炉で脱炭精錬を効率よく進行させるために、溶鋼の攪拌を強化するのが有効であることは広く知られている。そのため、最近の転炉では、主な酸素供給手段である上吹きランスに加えて、溶鋼の攪拌を目的として底吹き羽口が設置され、この底吹き羽口を通してアルゴン(Ar)、窒素(N2)、一酸化炭素(CO)、炭酸ガス(CO2)などの不活性ガスが溶鋼中に吹き込まれている。
しかし、この底吹き羽口は使用中に損耗し、羽口先端部位の転炉底部煉瓦の残寸が小さくなると、転炉の炉体修理が必要となって耐火物コストの増大や生産性の低下を引き起こすため、羽口損耗速度の抑制技術の確立が望まれている。
特許文献1には、転炉型精錬容器の底吹き単管羽口より不活性ガスを吹き込む精錬方法において、前記底吹きガスの線流速を200Nm/s以上、700Nm/s以下の範囲とする転炉型精錬容器による精錬方法が開示されており、羽口損耗速度の抑制が可能とされている。同文献によれば、ガス線流速が200Nm/s以下では羽口への地金差しが生じ、700Nm/s以上では羽口先端を保護する凝固鉄(マッシュルーム)が剥離することから、ガスの線流速を上記の範囲内とすることにより羽口の保護が可能としている。
しかし、同文献に開示された方法は、単管羽口を対象とした精錬方法であり、羽口の損耗をさらに効果的に抑制できる羽口形状および不活性ガスの吹き込み条件などについては、考慮されていない。
特開平7−90338号公報(特許請求の範囲および段落〔0008〕)
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、羽口損耗速度を低減できる羽口の形状、吹き込みガス流速および羽口の配置などを含めた精錬容器における浴中吹き込み羽口の保護方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、精錬容器における浴中吹き込み羽口の保護方法について検討を行い、下記の(a)〜(c)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)単管構造に比べて冷却効果の良好な二重管構造を有する羽口(以下、「スリット羽口」とも記す)を浴中吹き込み羽口として用い、羽口先端部に、羽口の保護作用を有する凝固鉄(以下「マッシュルーム」とも記す)を形成させ、これを維持するように外管と内管との間隙部分のガス流路に炉内攪拌用ガスを流すことが有効である。
(b)上記(a)に記載のマッシュルームを形成させ、これを維持するためには、炉内の溶鉄からマッシュルームへの入熱量H(in)と、スリット羽口の外管内面からの抜熱量H(out)との比に基づいて導出される後述の(1)式により表される羽口指数(IT)の値を0.05〜0.25の範囲に調整する必要がある。
(c)浴中吹き込み羽口の損耗速度を低減させるためには、隣接する羽口の中心間距離が0.5m以上となるように配置する必要がある。冷却された隣接する羽口間に存在する耐火物の温度勾配の上昇を抑制し、耐火物のスポーリング割れを防止できるとともに、損耗した羽口の周囲の耐火物の溶損や剥離などの影響が隣接する羽口に伝播することを抑制できるからである。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記に示す浴中吹き込み羽口の保護方法にある。
すなわち、「溶鉄を収容した精錬容器の下部から攪拌ガスを吹き込むための二重管構造を有する浴中吹き込み羽口の保護方法であって、該羽口の外管と内管との間に攪拌ガスを溶鉄中に吹込むための流路を有する浴中吹き込み羽口を用い、羽口形状および吹込みガス流速に基づいて下記(1)式により求められる羽口指数ITを0.05〜0.25の範囲に調整するとともに、隣接する羽口の中心間距離を0.5m以上とすることを特徴とする精錬容器における浴中吹き込み羽口の保護方法。
IT=ε×Do2×(D−do)0.2/(D×U0.8) ・・・・(1)
ここで、Doは羽口の外管外径(mm)、Dは羽口の外管内径(mm)、doは羽口の内管外径(mm)、Uは羽口流路内の吹き込みガスの線流速(Nm/s)、εは吹き込みガスの種類による補正係数を表し、εの値は、CO2では1.0、Arでは2.2、N2では1.7である。」である。
本発明において、「精錬容器」とは、溶銑または溶鋼の精錬に用いられる反応容器を意味し、例えば、脱炭精錬などに用いられる転炉型反応容器、各種の取鍋精錬に用いられる取鍋、脱ガス精錬に用いられる真空槽などが該当する。
「浴中吹き込み羽口」とは、精錬容器内に収容される溶鉄の浴面よりも下部に開口部を有し、浴中にガスを吹き込むための羽口を意味し、例えば、精錬容器の底面に開口部を有する底吹き羽口、浴面下部の容器側面に開口部を有する横吹き羽口などが含まれる。
本発明の方法によれば、各種の精錬に用いられる転炉、取鍋、真空槽などに設置される浴中吹き込み羽口の形状、吹き込みガスの流速および羽口の配置を調整することにより、浴中吹き込み羽口の損耗を抑制し、溶銑および溶鋼の精錬コストを低減するとともに製鋼工程における生産性の向上を図ることができる。
本発明は、前記のとおり、溶鉄を収容した精錬容器の底部から攪拌ガスを吹き込むための二重管構造を有する浴中吹き込み羽口の保護方法であって、羽口の外管と内管との間に攪拌ガスを溶鉄中に吹込むための流路を有する浴中吹き込み羽口を用い、羽口形状および吹込みガス流速に基づいて求められる羽口指数ITを0.05〜0.25の範囲に調整するとともに、隣接する羽口の中心間距離を0.5m以上とする浴中吹き込み羽口の保護方法である。
製鋼工程では、高炉から運搬された溶銑をそのまま、または脱硅、脱燐、脱硫などの溶銑処理を行った後、転炉に装入して吹錬を行う。転炉吹錬においては、転炉への溶銑装入後、転炉炉口上部から転炉吹錬用ランスを転炉内に降下させて酸素吹酸を行い、炉底部に設けた羽口からCO、CO2、Ar、N2などの不活性ガスの1種以上を、個別に、または混合ガスとして溶鉄中に吹き込む。以下に本発明の方法について、転炉の底吹き羽口を例にとり、さらに詳しく説明する。
(A)羽口冷却能の指標化
1)羽口冷却指標の導出
図1は、二重管構造を有する底吹き羽口(スリット羽口)の構造を模式的に示す図である。スリット羽口は、外径Do(mm)および内径D(mm)を有する外管1と、その内側に位置する外径do(mm)を有する内管2により構成され、外管1の内面と内管2の外面との間に形成される横断面が環状の空間3(以下、「吹き込みガス流路」と記す)を通して、吹き込みガスを溶鉄中に吹き込む構造となっている。なお、内管内面よりも内側の領域は、閉塞処理が施されている。
上記の吹き込みガス流路の幅は一般に狭いため、流路幅を一定にするためにスペーサーを流路内に設けるか、または、スペーサーに相当する支持具を設置するのが望ましい。
図1に示されたスリット羽口の羽口損耗を抑制することを目的として、吹き込みガス流路を通過する吹込みガスによる羽口の冷却を強化し、羽口先端部にマッシュルームを形成させて羽口を保護する方法を検討した。
スリット羽口の外管外径Do(mm)と同一のマッシュルームを形成させ、これを維持することにより羽口を保護するための熱的条件を下記に検討した。形成されるマッシュルームの形状を半球状とし、半球状マッシュルームが溶鉄から受ける受熱量をH(in)とすると、H(in)は、下記(3)式により表される。
H(in)∝α×h(in)×(πDo2/2)×ΔT(in) ・・・・(3)
ここで、αは定数、h(in)はマッシュルームと溶鉄との間の熱伝達係数、Doは外管の外径、ΔT(in)はマッシュルームと溶鉄との温度差である。
一方、スリット羽口外管内面における吹き込みガスによる抜熱量H(out)は、下記(4)式により表される。
H(out)∝β×h(gas)×(πDL)×ΔT(gas) ・・・・(4)
ここで、βは定数、h(gas)は外管内面と吹き込みガスとの間の熱伝達係数、Dは外管の内径、Lは羽口の軸方向冷却長さ、ΔT(gas)は外管と吹き込みガスとの温度差である。
上記(4)式における熱伝達係数h(gas)は、熱伝達に関する無次元項のヌッセルト数(Nu=h(gas)×X/λ)が、レイノルズ数(Re)およびプラントル数(Pr)を用いて下記(5)式のように表されることから、以下のように求めることができる。
Nu=γ×Re0.8×Pr0.5 ・・・・(5)
ただし、Re=X×U/ν、Pr=ν×ρ×Cp/λ
ここで、γは定数、Xは代表長さ、Uは羽口流路内の吹き込みガスの線流速、νは吹き込みガスの動粘度、ρは吹き込みガスの密度、そしてCpは吹き込みガスの比熱である。なお、上記のガスの線流速Uは標準状態における吹き込みガス流量(Nm3/s)をガス流路の断面積で除した値(Nm/s)である。
上記(5)式を変形してh(gas)を求め、さらに、吹き込みガスの物性値に関する項を基準ガスにおける物性値に関する項により除して基準化すると、下記(6)式が得られる。
h(gas)∝(U0.8/X0.2)×{(λ×ρ×Cp)0.5/ν0.3}/{(λo×ρo×Cpo)0.5/νo0.3} ・・・・(6)
ここで、添え字oを付した記号は、基準ガス種における物性値を表す。
(6)式によれば、h(gas)は、吹き込みガスの線流速Uの0.8乗に比例し、代表長さXの0.2乗に反比例し、ガスの物性項に比例する。また、上述のように羽口内のガス流路を流れる吹き込みガスによる抜熱に対しては、主としてガス流速および代表長さが支配的であるが、羽口材質としては、このガスによる抜熱を阻害しないよう、熱伝導性の良好な例えば、銅やステンレスなどの金属を用いることが望ましい。
以上のようにして得られた(3)、(4)および(6)式を用いて受熱量H(in)と抜熱量H(out)との比を求め、定数部分を省略すると、下記(7)式が得られる。
H(in)/H(out)∝[Do2×X0.2/(D×U0.8)]×{(λo×ρo×Cpo)0.5/νo0.3}/{(λ×ρ×Cp)0.5/ν0.3} ・・・・(7)
ここで、代表長さXはスリット羽口のガス流路の相当直径を意味し、これを4×(ガス流路の断面積/ガス流路断面におけるガスと管壁との接触長さ)である(D−do)により置き換え、また、ガスの物性項をεと書き換えて、改めて羽口指数ITを定義すると下記(1)式および(2)式のように表すことができる。
IT=ε×Do2×(D−do)0.2/(D×U0.8) ・・・・(1)
ここで、ε={(λo×ρo×Cpo)0.5/νo0.3}/{(λ×ρ×Cp)0.5/ν0.3} ・・・・(2)
ここで、Doは羽口の外管外径(mm)、Dは羽口の外管内径(mm)、doは羽口の内管外径(mm)、Uは羽口流路内のガスの線流速(Nm/s)、εは吹き込みガスの種類による補正係数、λは吹き込みガスの熱伝導率(W/m/K)、ρは吹き込みガスの密度(kg/m3)、Cpは吹き込みガスの比熱(J/kg/K)、νは吹き込みガスの動粘度(m2/s)をそれぞれ表し、また、λo、ρo、Cpoおよびνoは、それぞれ、基準ガスの熱伝導率、密度、比熱および動粘度を表す。
なお、ガスの種類による補正係数εの値は、CO2ガスを基準ガスとし、温度T=800K、圧力P=0.304MPaにおける物性値を用いることにより、例えば、Arガスの場合には2.2、N2ガスの場合には1.7などのように求めることができる。
2)羽口指数とマッシュルーム高さおよび羽口損耗速度との関係
前記の(1)式および(2)式により羽口冷却の指標が定式化されたので、2トン(t)試験転炉を用いて、攪拌用ガスとしてCO2ガスを吹き込みながら吹錬試験を行い、上記羽口指数(IT)とマッシュルーム高さ、および羽口損耗速度との関係を調査した。
図2は、マッシュルームの基準化高さと羽口指数(IT)との関係を示す図である。同図において、マッシュルームの基準化高さ(H/Ho)は、吹錬終点温度をおよそ1650℃として吹錬を終了し、出鋼後の羽口先端のマッシュルーム高さ(H)を測定し、その測定値を羽口指数(IT)=0.25の条件におけるマッシュルーム高さ(Ho)により除して求めた。
同図の結果から、羽口指数(IT)の値が増加するにともなって、羽口からの抜熱量に対する受熱量が増大し、マッシュルームの基準化高さ(H/Ho)は低下することが明らかである。これにより、羽口指数(IT)が羽口冷却の指標として有効であることが確認された。また、マッシュルーム高さは、羽口指数(IT)が0.25を超えて大きくなると急激に低下し、マッシュルームによる羽口保護作用が低下することも確認された。
さらに、250t規模の実機転炉を用いて、羽口損耗速度と羽口指数(IT)との関係を調査した。図3は、羽口の基準化損耗速度と羽口指数(IT)との関係を示す図である。同図において、羽口基準化損耗速度は、吹錬を行っていない時に炉体を水平に倒し、炉前から距離計を用いて羽口部耐火物の表面位置を測定し、これと新炉時における耐火物表面位置との差から損耗量を求め、羽口指数(IT)=0.25の条件における羽口損耗速度により除して求めた。
同図の結果から、羽口指数(IT)が0.25を超えて大きくなると羽口基準化損耗速度が急激に増加し、また、ITが0.05未満の範囲においても、羽口基準化損耗速度は増加することが判明した。この理由は下記のように推察される。すなわち、羽口指数(IT)が0.25を超えて大きくなると、羽口の受熱量が抜熱量に対して大きくなり、マッシュルームの成長が阻害されて、マッシュルームによる羽口保護作用が十分に機能しなくなる。また、羽口指数(IT)が0.05未満では羽口冷却が強すぎ、羽口のスポーリング割れが発生することや、マッシュルーム内における吹き込みガスの圧力損失が過大となって、マッシュルームと炉底との隙間を吹込みガスが通過するようになり、マッシュルームの炉底耐火物への密着性が低下して、羽口保護作用が十分に機能しなくなることによると推察される。
なお、吹き込みガスの種類を変更し、Arガス、N2ガスなどとした場合においても、マッシュルームの基準化高さと羽口指数(IT)との関係は上記図2と同一の曲線により、また、羽口の基準化損耗速度と羽口指数(IT)との関係は図3と同一の曲線により整理されることを確認した。
以上の試験結果から、羽口の損耗速度を低位に安定化させ、羽口損耗を抑制するための羽口指数(IT)の適正範囲を0.05〜0.25とした。また、羽口指数(IT)の望ましい範囲は0.08〜0.20である。
(B)羽口中心間距離と羽口基準化損耗速度との関係
羽口の損耗速度に対しては、羽口の配置間隔も影響を及ぼすことから、次に、羽口中心間距離の影響について調査した。
図4は、羽口の基準化損耗速度と、隣接する羽口中心間距離との関係を示す図である。同図は、羽口指数(IT)を0.25で一定とし、隣接する羽口中心間距離を変化させて、羽口基準化損耗速度と羽口中心間距離との関係を調査したものである。なお、羽口基準化損耗速度は、図3の場合と同様の方法により求めた値である。
同図の結果によれば、羽口中心間距離が0.5m未満の場合に、羽口基準化損耗速度が急増した。これは、冷却された羽口に挟まれた領域に存在する耐火物の温度勾配が大きくなり、耐火物のスポーリング割れが起きやすくなったことによると考えられる。また、ある一本の羽口の損耗が大きくなった場合に、羽口間距離が短いと、例えば、損耗により羽口に生じた凹部に隣接する煉瓦が剥離しやすくなるなど、羽口損耗の影響が隣接する羽口に伝播し、転炉炉底羽口全体が損耗しやすくなるためと推察される。
上記の結果から、羽口の損耗を抑制するための隣接羽口の中心間距離を0.5m以上と規定した。
なお、上記の(A)および(B)における説明では、転炉底吹き羽口の損耗速度の抑制を例にとり説明を行ったが、他の取鍋精錬に用いられる取鍋、脱ガス精錬に用いられる真空槽などに設置される浴中吹き込み羽口についても同様である。
本発明に係る羽口の保護方法の効果を確認するため、下記の浴中吹き込み羽口の保護試験を行い、その結果を評価した。
(試験方法)
表1に示される成分組成を有し、温度が1200〜1300℃の溶銑250tを転炉に装入し、酸素ガスを、6孔ラバール形状の上吹きランスにより、850Nm3/minの供給速度で、溶鉄に上吹きしつつ、溶鋼中炭素含有率が0.05質量%になるまで吹錬を行った。
Figure 2006176812
上記吹錬において、同転炉炉底には、前記図1に示す底吹きスリット羽口を4本設置し、それらの羽口から溶鉄攪拌用の不活性ガスとしてCO2を合計10〜30Nm3/min、またはN2を合計15〜45Nm3/minの流量で吹き込んだ。羽口指数(IT)は、スリット羽口の外管および内管の寸法、吹き込みガス種類およびその流量を変更することにより変化させた。
(試験結果)
試験条件および試験結果を表2に示した。
Figure 2006176812
同表において、羽口基準化損耗速度は、各試験結果の羽口損耗速度を羽口指数(IT)が0.25である試験番号10における羽口損耗速度で除して基準化した値により表示した。
試験番号3〜10、17、18および20は、本発明で規定する条件を全て満足する本発明例についての試験であり、また、試験番号1、2、11〜16、19、21および22は、本発明で規定する羽口指数または羽口中心間距離についての条件のうち、少なくとも1つを満たさない比較例についての試験である。
羽口指数(IT)の値が0.05未満であった試験番号1、2および19、ならびに羽口指数(IT)が0.25を超えた試験番号11〜14および21では、羽口基準化損耗速度が大きくなっている。この理由は下記のとおりである。すなわち、羽口指数(IT)が0.05未満では羽口冷却が強すぎて、羽口周辺の耐火物にスポーリング割れが発生したり、マッシュルーム内におけるガスの通気性が悪化してマッシュルームと炉底との隙間をガスが通過するようになり、マッシュルームと耐火物との密着性が低下して、羽口保護作用が低下したためと推察される。また、羽口指数(IT)が0.25を超えて大きい場合には、羽口の冷却が不足し、マッシュルームの成長が阻害されてマッシュルームによる羽口保護作用が低下したためである。
また、羽口中心間距離が0.5m未満であった試験番号15、16および22においても、羽口基準化損耗速度が増大している。これは、羽口中心間距離が小さすぎて、強制冷却される羽口に挟まれた部位の炉底耐火物がスポーリング割れを起こしやすくなったこと、および、一部の羽口が損耗した場合にその影響が隣接する羽口に伝播したことによる。
これらに対して、羽口指数(IT)が0.05〜0.25の範囲にあり、かつ、羽口中心間距離が0.5m以上である試験番号3〜10、17、18および20は、羽口基準化損耗速度が低く、羽口の損耗が効果的に抑制されていることがわかる。
以上の結果から、二重管構造を有する浴中吹き込み羽口の羽口指数(IT)を0.05〜0.25の範囲に調整し、かつ、羽口中心間距離を0.5m以上とすることにより、浴中吹き込み羽口の損耗速度を低位に維持できることが確認された。
本発明の方法によれば、各種の精錬に用いられる転炉、取鍋、真空槽などに設置される浴中吹き込み羽口の形状、吹き込みガスの流速および羽口の配置を調整することにより、浴中吹き込み羽口の損耗を抑制し、溶銑および溶鋼の精錬コストを低減するとともに製鋼工程における生産性の向上を図ることができる。したがって、本発明は、精錬コストの低減および生産性の向上を要求される製鋼分野における炉体管理技術として広範に適用できる。
二重管構造を有する底吹き羽口の構造を模式的に示す図である。 マッシュルームの基準化高さと羽口指数(IT)との関係を示す図である。 羽口の基準化損耗速度と羽口指数(IT)との関係を示す図である。 羽口の基準化損耗速度と隣接する羽口中心間距離との関係を示す図である。
符号の説明
1:外管、 2:内管、 3:吹き込みガス流路

Claims (1)

  1. 溶鉄を収容した精錬容器の底部から攪拌ガスを吹き込むための二重管構造を有する浴中吹き込み羽口の保護方法であって、該羽口の外管と内管との間に攪拌ガスを溶鉄中に吹込むための流路を有する浴中吹き込み羽口を用い、羽口形状および吹込みガス流速に基づいて下記(1)式により求められる羽口指数ITを0.05〜0.25の範囲に調整するとともに、隣接する羽口の中心間距離を0.5m以上とすることを特徴とする精錬容器における浴中吹き込み羽口の保護方法。
    IT=ε×Do2×(D−do)0.2/(D×U0.8) ・・・・(1)
    ここで、Doは羽口の外管外径(mm)、Dは羽口の外管内径(mm)、doは羽口の内管外径(mm)、Uは羽口流路内の吹き込みガスの線流速(Nm/s)、εは吹き込みガスの種類による補正係数を表し、εの値は、CO2では1.0、Arでは2.2、N2では1.7である。
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