JP3788158B2 - 炭化水素吹込み用二重管羽口 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属中に炭化水素を吹き込むための二重管羽口に関する。
【0002】
【従来の技術】
転炉で脱炭精錬を効率よく進行させるために、溶鋼の攪拌を強化するのが有効であることは広く知られている。そのため、現在の転炉は主な酸素供給源である上吹きランスに加えて、溶鋼の攪拌を目的として底吹き羽口を設置し、酸素、炭化水素、不活性ガス(Ar、N2 、CO、CO2 等)をこの底吹き羽口を通して溶鋼に吹き込んでいる。底吹き羽口から酸素を吹き込む場合は多量の反応熱が発生しノズル溶損のおそれがあるので、ノズル溶損を防止するために酸素流量の10%以下の流量のメタン、プロパン、ブタンなどの炭化水素を併用して、二重管の内管から酸素、外管から炭化水素を吹き込むのが一般的である。
【0003】
この炭化水素が分解する際の吸熱反応を利用することにより、酸素による発熱反応を熱収支上相殺することが可能となり、底吹き羽口の溶損を防止することができる。したがって、従来技術では炭化水素を大量に吹き込むことは試みられておらず、たとえ吹き込んだとしても過冷却により羽口耐火物が熱応力を受けて割れたり、羽口先端部に溶融金属の凝固塊が生成することが原因で羽口が詰まったりするため安定して炭化水素を吹き込むことが困難であった。
【0004】
発明者らは特開平11−172319号公報に、二重管羽口の内管から炭化水素を、外管から不活性ガスなどの断熱性ガスを吹き込む方法を提案した。この提案により高価な不活性ガスに代えて安価な炭化水素を大量に吹き込むことが可能となり、溶融金属の混合が促進され、精錬の高速化を図ることが可能となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、精錬の高速化ニーズがさらに高まり、炭化水素の吹き込み量が増加傾向にあり、内管の炭化水素の断熱に必要な外管の不活性ガスの吹き込み量もコストの面から限界にきており、外管の不活性ガス流量を可能な限り抑制することが望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、二重管羽口の外管に流す不活性ガス流量を可能な限り抑制できる二重管羽口の形状を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、下記の知見を得た。
【0008】
(A)内管に流す炭化水素(以下、単に内管炭化水素ともいう、また同様に外管に流す不活性ガスを外管不活性ガスともいう)は炭化水素供給元配管から流量調節弁を通過した後に羽口へ導入され、最終的に羽口先端部から溶鉄内部に吹き込まれる。この流量調節弁出口から羽口にかけての圧力を羽口前圧と定義する。したがって、同一流量の内管炭化水素を流していても、羽口先端部に巨大なマッシュルームが形成された場合には、羽口前圧は上昇する。
【0009】
(B)内管炭化水素の羽口前圧を約0.6MPaに維持できる内管断面積Soと外管断面積Sとの比(S/So)と、外管不活性ガス流量Qと内管炭化水素流量Qoとの比(Q/Qo)との関係を試験調査した。
【0010】
なお、内管炭化水素の羽口前圧を約0.6MPaに維持できると、羽口が安定することが事前の試験結果でわかっており、羽口前圧を約0.6MPa一定とした。
【0011】
また、内管断面積Soと外管断面積Sとの比(S/So)を以下、単に流路面積比ともいう。
【0012】
さらに、外管不活性ガス流量Qと内管炭化水素流量Qoとの比(Q/Qo)を以下、単に外管流量比ともいう。
【0013】
図1は、流路面積比(S/So)と外管流量比(Q/Qo)との関係を示すグラフである。
【0014】
同図に示すように、流路面積比(S/So)が0.08未満ではPを約0.6MPaに維持するための外管流量比が大きく、S/Soが2を超えると外管の断面積が大きくなり過ぎてPを約0.6MPaに維持するための外管流量比はやはり増大することがわかった。
【0015】
図2は、羽口前圧が約0.6MPa一定、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における流路面積比(S/So)と羽口損耗速度指数との関係を示すグラフである。
【0016】
なお、羽口損耗速度指数は流路面積比(S/So)が0.5であり、外管流量比(Q/Qo)が0.0035であるときの羽口損耗速度(mm/チャージ)を1とした指数である。
【0017】
同図に示すように、比(S/So)が2以下では羽口損耗速度指数は、約1であったが、2を超えると急激に大きくなった。
【0018】
図1および2から、羽口損耗を抑制しながら外管流量比を抑制するためには流路面積比(S/So)が0.08〜2.0とするのが良いことがわかった。また、流路面積比(S/So)の好ましい範囲は0.1〜1.2である。
【0019】
また、金物を含む全断面積:Stと羽口断面積:S+Soとの比((S+So)/St)と、羽口損耗速度指数とが関係することを見出した。
【0020】
なお、金物を含む全断面積:Stと羽口断面積:S+Soとの比((S+So)/St)を以下、単に流路断面比ともいう。
【0021】
図3は、流路面積比(S/So)が0.5一定、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における流路断面比((S+So)/St)と羽口損耗速度指数との関係を示すグラフである。
【0022】
同図に示すように、比((S+So)/St)が0.08〜0.8の範囲でさらに羽口損耗速度指数が低下することがわかった。
【0023】
図4は、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における羽口損耗速度指数と、流路面積比(S/So)および流路断面比((S+So)/St)との関係を示すグラフである。
【0024】
なお、図中×印は、羽口損耗速度指数が3以上であることを、図中○印は羽口損耗速度指数が0.7以上1.5未満であることを、図中◎印は羽口損耗速度(指数)0.7未満であることをそれぞれ示す。
【0025】
以上から、羽口損耗速度指数を1.5未満に低下するには流路面積比(S/So)を0.08〜2.0とする必要があること、さらに羽口損耗速度指数を0.7未満に低下するには、流路断面比((S+So)/St)を0.08〜0.8とすることが有効であることがわかった。
【0026】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記のとおりである。
(1)炭化水素を内管から、不活性ガスを外管からそれぞれ溶融金属中に吹き込むための二重管羽口であって、内管の流路断面積So(m2)と外管の流路断面積S(m2)との比S/Soが0.08〜2.0であることを特徴とする炭化水素吹き込み用二重管羽口。
(2)羽口全断面積St(m2)を用いて求まる(S+So)/Stが0.08〜0.8を満足することを特徴とする上記(1)に記載の炭化水素吹込み用二重管羽口。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の二重管は、例えば上底吹き転炉の炉底羽口に適用される。
【0028】
図5(a)、(b)は、本発明の二重管の構成を概念的に示す断面図であり、図5(a)は通常型二重管羽口を、図5(b)は外管分割型二重管をそれぞれ示す。
【0029】
なお、黒色で示した範囲は炭化水素および不活性ガスの流路を、白色で示した範囲は羽口の金物をそれぞれ示す。
【0030】
図5(a)に示す通常型二重管は、内管および外管から構成される。
【0031】
図5(b)に示す外管分割型二重管は、内管とその回りに外管に相当する衛星状に存在する小径管で構成される。
【0032】
本発明によれば内管と外管はそれぞれ流量調節弁を介して炭化水素供給元配管および不活性ガス供給元配管に連結されている。
【0033】
本発明の内管の流路断面積So(m2)は、図5(a)の中心部にある黒色の円を、図5(b)の中心部にある黒色円をそれぞれ示す。
【0034】
本発明の外管の流路断面積S(m2)は、図5(a)の黒色リング面積を、 図5(b)の黒色衛星状の円の総面積をそれぞれ示す。
【0035】
また、本発明の羽口全断面積St(m2)は、図5(a)、(b)の黒色で示した範囲の炭化水素および不活性ガスの流路面積と白色で示した範囲の羽口金物面積との合計面積である。
【0036】
本発明の二重管羽口では、内管に炭化水素、外管に不活性ガスを導入する。
【0037】
使用する炭化水素はCH4 、C2 H6 、C3 H8 、C4 H10などを単独あるいは混合して用いることができる。
【0038】
使用する不活性ガスはAr、N2 、CO、CO2 などを単独あるいは混合して用いることができる。
【0039】
本発明の二重管羽口は、羽口前圧を約0.6MPaに維持するように操業管理することが好ましいが、0.3〜0.9MPaの範囲であればよい。
【0040】
羽口前圧の測定は、流量調節弁出口から羽口にかけての配管圧力を測定できる気体の圧力測定機器なら何でも可能であり、例えばブルドン管圧力計、ダイヤフラム型圧力計が使用できる。
【0041】
また、本発明の二重管羽口は、上底吹き転炉の底吹き羽口、各種精錬炉の横吹き・底吹き羽口またはインジェクションランスのノズル等に適用できる。
【0042】
【実施例】
表1に示す代表成分の溶銑250質量トン(温度:1200〜1300℃)を転炉に装入し、酸素ガスを850m3(標準状態)/minでランス(6孔、傾斜角15度、スロート径48mm、ランス高さ2.5m)から溶鉄に上吹き吹錬した。
【0043】
【表1】
【0044】
上吹き吹錬時に転炉炉底に設けた4本の羽口から各羽口毎に内管に炭化水素としてLPGを5m3(標準状態)/min、外管に不活性ガスとしてCO2 を外管断面積1m2当たりの流量で9000m3(標準状態)/minを流し、[C]:0.05%になるまで吹錬した。
【0045】
表2に、上記条件下で試験を行ったときの試験結果を示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表中の流路面積比(S/So)の評価は、適正範囲の0.08〜2.0に入る試験番号に○を、この適正範囲に外れた試験番号に×を付けた。
【0048】
流路断面比((S+So)/St)の評価は、適正範囲の0.08〜0.8に入る試験番号に○を、この適正範囲に外れた試験番号に×を付けた。
【0049】
外管流量比が0.05以上の場合に減量効果不良として×を、0.05未満の場合に減量効果良好として○を付けた。
【0050】
なお、羽口損耗速度指数は、試験番号1の羽口損耗速度を1とした相対値である。
【0051】
また、羽口損耗速度指数は、1.0超に損耗が悪化したとして×を、0.8〜1.0に現状レベルとして○を、0.8未満に現状改善レベルとして◎をそれぞれ付けた。
【0052】
総合評価では、外管流量比が○で、かつ羽口損耗速度指数が○である試験番号に○を付けた。
【0053】
また、外管流量比○で、かつ羽口損耗速度指数の評価が◎である試験番号に◎を付けた。
【0054】
表2に示すように、流路面積比(S/So)が0.08〜2.0である試験番号4〜9および14〜20は、外管流量比を0.5未満にすることができ、、試験番号17〜19を除く羽口損耗速度指数を0.8〜1.0の現状レベルに維持できた。
【0055】
また、流路面積比(S/So)が0.08〜2.0であり、流路断面比((S+So)/St)が0.08〜0.8である試験番号17〜19は、外管流量比を0.05未満にすることができると共に、羽口損耗速度指数を0.8未満の現状改善レベルにすることができた。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、二重管羽口の外管に流す不活性ガス流量を可能な限り抑制することが可能となった。さらに、羽口損耗速度も低減することも可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】流路面積比(S/So)と外管流量比(Q/Qo)との関係を示すグラフである。
【図2】羽口前圧が約0.6MPa一定、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における流路面積比(S/So)と羽口損耗速度指数との関係を示すグラフである。
【図3】流路面積比(S/So)が0.5一定、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における流路断面比((S+So)/St)と羽口損耗速度指数との関係を示すグラフである。
【図4】外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における羽口損耗速度指数と、流路面積比(S/So)および流路断面比((S+So)/St)との関係を示すグラフである。
【図5】図5(a)、(b)は、本発明の二重管の構成を概念的に示す断面図であり、図5(a)は通常型二重管羽口を、図5(b)は外管分割型二重管をそれぞれ示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属中に炭化水素を吹き込むための二重管羽口に関する。
【0002】
【従来の技術】
転炉で脱炭精錬を効率よく進行させるために、溶鋼の攪拌を強化するのが有効であることは広く知られている。そのため、現在の転炉は主な酸素供給源である上吹きランスに加えて、溶鋼の攪拌を目的として底吹き羽口を設置し、酸素、炭化水素、不活性ガス(Ar、N2 、CO、CO2 等)をこの底吹き羽口を通して溶鋼に吹き込んでいる。底吹き羽口から酸素を吹き込む場合は多量の反応熱が発生しノズル溶損のおそれがあるので、ノズル溶損を防止するために酸素流量の10%以下の流量のメタン、プロパン、ブタンなどの炭化水素を併用して、二重管の内管から酸素、外管から炭化水素を吹き込むのが一般的である。
【0003】
この炭化水素が分解する際の吸熱反応を利用することにより、酸素による発熱反応を熱収支上相殺することが可能となり、底吹き羽口の溶損を防止することができる。したがって、従来技術では炭化水素を大量に吹き込むことは試みられておらず、たとえ吹き込んだとしても過冷却により羽口耐火物が熱応力を受けて割れたり、羽口先端部に溶融金属の凝固塊が生成することが原因で羽口が詰まったりするため安定して炭化水素を吹き込むことが困難であった。
【0004】
発明者らは特開平11−172319号公報に、二重管羽口の内管から炭化水素を、外管から不活性ガスなどの断熱性ガスを吹き込む方法を提案した。この提案により高価な不活性ガスに代えて安価な炭化水素を大量に吹き込むことが可能となり、溶融金属の混合が促進され、精錬の高速化を図ることが可能となった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、精錬の高速化ニーズがさらに高まり、炭化水素の吹き込み量が増加傾向にあり、内管の炭化水素の断熱に必要な外管の不活性ガスの吹き込み量もコストの面から限界にきており、外管の不活性ガス流量を可能な限り抑制することが望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、二重管羽口の外管に流す不活性ガス流量を可能な限り抑制できる二重管羽口の形状を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、下記の知見を得た。
【0008】
(A)内管に流す炭化水素(以下、単に内管炭化水素ともいう、また同様に外管に流す不活性ガスを外管不活性ガスともいう)は炭化水素供給元配管から流量調節弁を通過した後に羽口へ導入され、最終的に羽口先端部から溶鉄内部に吹き込まれる。この流量調節弁出口から羽口にかけての圧力を羽口前圧と定義する。したがって、同一流量の内管炭化水素を流していても、羽口先端部に巨大なマッシュルームが形成された場合には、羽口前圧は上昇する。
【0009】
(B)内管炭化水素の羽口前圧を約0.6MPaに維持できる内管断面積Soと外管断面積Sとの比(S/So)と、外管不活性ガス流量Qと内管炭化水素流量Qoとの比(Q/Qo)との関係を試験調査した。
【0010】
なお、内管炭化水素の羽口前圧を約0.6MPaに維持できると、羽口が安定することが事前の試験結果でわかっており、羽口前圧を約0.6MPa一定とした。
【0011】
また、内管断面積Soと外管断面積Sとの比(S/So)を以下、単に流路面積比ともいう。
【0012】
さらに、外管不活性ガス流量Qと内管炭化水素流量Qoとの比(Q/Qo)を以下、単に外管流量比ともいう。
【0013】
図1は、流路面積比(S/So)と外管流量比(Q/Qo)との関係を示すグラフである。
【0014】
同図に示すように、流路面積比(S/So)が0.08未満ではPを約0.6MPaに維持するための外管流量比が大きく、S/Soが2を超えると外管の断面積が大きくなり過ぎてPを約0.6MPaに維持するための外管流量比はやはり増大することがわかった。
【0015】
図2は、羽口前圧が約0.6MPa一定、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における流路面積比(S/So)と羽口損耗速度指数との関係を示すグラフである。
【0016】
なお、羽口損耗速度指数は流路面積比(S/So)が0.5であり、外管流量比(Q/Qo)が0.0035であるときの羽口損耗速度(mm/チャージ)を1とした指数である。
【0017】
同図に示すように、比(S/So)が2以下では羽口損耗速度指数は、約1であったが、2を超えると急激に大きくなった。
【0018】
図1および2から、羽口損耗を抑制しながら外管流量比を抑制するためには流路面積比(S/So)が0.08〜2.0とするのが良いことがわかった。また、流路面積比(S/So)の好ましい範囲は0.1〜1.2である。
【0019】
また、金物を含む全断面積:Stと羽口断面積:S+Soとの比((S+So)/St)と、羽口損耗速度指数とが関係することを見出した。
【0020】
なお、金物を含む全断面積:Stと羽口断面積:S+Soとの比((S+So)/St)を以下、単に流路断面比ともいう。
【0021】
図3は、流路面積比(S/So)が0.5一定、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における流路断面比((S+So)/St)と羽口損耗速度指数との関係を示すグラフである。
【0022】
同図に示すように、比((S+So)/St)が0.08〜0.8の範囲でさらに羽口損耗速度指数が低下することがわかった。
【0023】
図4は、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における羽口損耗速度指数と、流路面積比(S/So)および流路断面比((S+So)/St)との関係を示すグラフである。
【0024】
なお、図中×印は、羽口損耗速度指数が3以上であることを、図中○印は羽口損耗速度指数が0.7以上1.5未満であることを、図中◎印は羽口損耗速度(指数)0.7未満であることをそれぞれ示す。
【0025】
以上から、羽口損耗速度指数を1.5未満に低下するには流路面積比(S/So)を0.08〜2.0とする必要があること、さらに羽口損耗速度指数を0.7未満に低下するには、流路断面比((S+So)/St)を0.08〜0.8とすることが有効であることがわかった。
【0026】
本発明は、以上の知見に基づいてなされたもので、その要旨は、下記のとおりである。
(1)炭化水素を内管から、不活性ガスを外管からそれぞれ溶融金属中に吹き込むための二重管羽口であって、内管の流路断面積So(m2)と外管の流路断面積S(m2)との比S/Soが0.08〜2.0であることを特徴とする炭化水素吹き込み用二重管羽口。
(2)羽口全断面積St(m2)を用いて求まる(S+So)/Stが0.08〜0.8を満足することを特徴とする上記(1)に記載の炭化水素吹込み用二重管羽口。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の二重管は、例えば上底吹き転炉の炉底羽口に適用される。
【0028】
図5(a)、(b)は、本発明の二重管の構成を概念的に示す断面図であり、図5(a)は通常型二重管羽口を、図5(b)は外管分割型二重管をそれぞれ示す。
【0029】
なお、黒色で示した範囲は炭化水素および不活性ガスの流路を、白色で示した範囲は羽口の金物をそれぞれ示す。
【0030】
図5(a)に示す通常型二重管は、内管および外管から構成される。
【0031】
図5(b)に示す外管分割型二重管は、内管とその回りに外管に相当する衛星状に存在する小径管で構成される。
【0032】
本発明によれば内管と外管はそれぞれ流量調節弁を介して炭化水素供給元配管および不活性ガス供給元配管に連結されている。
【0033】
本発明の内管の流路断面積So(m2)は、図5(a)の中心部にある黒色の円を、図5(b)の中心部にある黒色円をそれぞれ示す。
【0034】
本発明の外管の流路断面積S(m2)は、図5(a)の黒色リング面積を、 図5(b)の黒色衛星状の円の総面積をそれぞれ示す。
【0035】
また、本発明の羽口全断面積St(m2)は、図5(a)、(b)の黒色で示した範囲の炭化水素および不活性ガスの流路面積と白色で示した範囲の羽口金物面積との合計面積である。
【0036】
本発明の二重管羽口では、内管に炭化水素、外管に不活性ガスを導入する。
【0037】
使用する炭化水素はCH4 、C2 H6 、C3 H8 、C4 H10などを単独あるいは混合して用いることができる。
【0038】
使用する不活性ガスはAr、N2 、CO、CO2 などを単独あるいは混合して用いることができる。
【0039】
本発明の二重管羽口は、羽口前圧を約0.6MPaに維持するように操業管理することが好ましいが、0.3〜0.9MPaの範囲であればよい。
【0040】
羽口前圧の測定は、流量調節弁出口から羽口にかけての配管圧力を測定できる気体の圧力測定機器なら何でも可能であり、例えばブルドン管圧力計、ダイヤフラム型圧力計が使用できる。
【0041】
また、本発明の二重管羽口は、上底吹き転炉の底吹き羽口、各種精錬炉の横吹き・底吹き羽口またはインジェクションランスのノズル等に適用できる。
【0042】
【実施例】
表1に示す代表成分の溶銑250質量トン(温度:1200〜1300℃)を転炉に装入し、酸素ガスを850m3(標準状態)/minでランス(6孔、傾斜角15度、スロート径48mm、ランス高さ2.5m)から溶鉄に上吹き吹錬した。
【0043】
【表1】
【0044】
上吹き吹錬時に転炉炉底に設けた4本の羽口から各羽口毎に内管に炭化水素としてLPGを5m3(標準状態)/min、外管に不活性ガスとしてCO2 を外管断面積1m2当たりの流量で9000m3(標準状態)/minを流し、[C]:0.05%になるまで吹錬した。
【0045】
表2に、上記条件下で試験を行ったときの試験結果を示す。
【0046】
【表2】
【0047】
表中の流路面積比(S/So)の評価は、適正範囲の0.08〜2.0に入る試験番号に○を、この適正範囲に外れた試験番号に×を付けた。
【0048】
流路断面比((S+So)/St)の評価は、適正範囲の0.08〜0.8に入る試験番号に○を、この適正範囲に外れた試験番号に×を付けた。
【0049】
外管流量比が0.05以上の場合に減量効果不良として×を、0.05未満の場合に減量効果良好として○を付けた。
【0050】
なお、羽口損耗速度指数は、試験番号1の羽口損耗速度を1とした相対値である。
【0051】
また、羽口損耗速度指数は、1.0超に損耗が悪化したとして×を、0.8〜1.0に現状レベルとして○を、0.8未満に現状改善レベルとして◎をそれぞれ付けた。
【0052】
総合評価では、外管流量比が○で、かつ羽口損耗速度指数が○である試験番号に○を付けた。
【0053】
また、外管流量比○で、かつ羽口損耗速度指数の評価が◎である試験番号に◎を付けた。
【0054】
表2に示すように、流路面積比(S/So)が0.08〜2.0である試験番号4〜9および14〜20は、外管流量比を0.5未満にすることができ、、試験番号17〜19を除く羽口損耗速度指数を0.8〜1.0の現状レベルに維持できた。
【0055】
また、流路面積比(S/So)が0.08〜2.0であり、流路断面比((S+So)/St)が0.08〜0.8である試験番号17〜19は、外管流量比を0.05未満にすることができると共に、羽口損耗速度指数を0.8未満の現状改善レベルにすることができた。
【0056】
【発明の効果】
本発明により、二重管羽口の外管に流す不活性ガス流量を可能な限り抑制することが可能となった。さらに、羽口損耗速度も低減することも可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】流路面積比(S/So)と外管流量比(Q/Qo)との関係を示すグラフである。
【図2】羽口前圧が約0.6MPa一定、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における流路面積比(S/So)と羽口損耗速度指数との関係を示すグラフである。
【図3】流路面積比(S/So)が0.5一定、外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における流路断面比((S+So)/St)と羽口損耗速度指数との関係を示すグラフである。
【図4】外管流量比(Q/Qo)が0.05一定条件下における羽口損耗速度指数と、流路面積比(S/So)および流路断面比((S+So)/St)との関係を示すグラフである。
【図5】図5(a)、(b)は、本発明の二重管の構成を概念的に示す断面図であり、図5(a)は通常型二重管羽口を、図5(b)は外管分割型二重管をそれぞれ示す。
Claims (2)
- 炭化水素を内管から、不活性ガスを外管からそれぞれ溶融金属中に吹き込むための二重管羽口であって、内管の流路断面積So(m2)と外管の流路断面積S(m2)との比S/Soが0.08〜2.0であることを特徴とする炭化水素吹き込み用二重管羽口。
- 羽口全断面積St(m2)を用いて求まる(S+So)/Stが0.08〜0.8を満足することを特徴とする請求項1に記載の炭化水素吹込み用二重管羽口。
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