JP2006176622A - インクジェット記録用水系インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子(A)、及び2〜8個の水酸基を有する、炭素数5〜15の脂肪族炭化水素化合物(B)を含有する水分散体であって、該水不溶性ビニルポリマーが、下記式(1)で表される構成単位を有するポリマーである、インクジェット記録用水分散体、及びそれを含有する水系インクである。
【化1】
(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は、置換基を有していてもよい、炭素数7〜22のアリールアルキル基又は炭素数6〜22のアリール基を示す。)
【選択図】 なし
Description
インクジェットプリンタに使用されるインクには、耐水性や耐光性を向上させるため、近年、顔料系インクが使用されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、ビニルポリマーに顔料を含有させた水系インクであって、高印字濃度を付与するために、ビニルポリマーとしてマクロマーを用いたグラフトポリマーが開示されている。
特許文献2には、着色剤を含有するポリマー粒子を含有させた水系インクであって、吐出性及び優れた着弾精度を付与するために、特定のポリアルキレンオキシド誘導体を含有する、水系インクが開示されている。
特許文献3には、着色剤を含有するポリマー粒子及び/又は自己分散顔料を含有させた水系インクであって、吐出性を付与するために、特定のグリセリン又は糖の誘導体を含有する、水系インクが開示されている。
これらの水系インクは、印字濃度、吐出性がある程度優れているが、更に高レベルの優れた性能が求められている。
すなわち、本発明は、
(1)着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子(A)、及び2〜8個の水酸基を有する、炭素数5〜15の脂肪族炭化水素化合物(B)(以下、単に「脂肪族炭化水素化合物(B)」ということもある)を含有する水分散体であって、該水不溶性ビニルポリマーが、下記式(1)で表される構成単位を有するポリマーである、インクジェット記録用水分散体。
(2)前記(1)の水分散体を含有する、インクジェット記録用水系インク、
を提供する。
(水不溶性ビニルポリマー)
本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーは、下記式(1)で表される構成単位を有する。
R2の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基(フェニルエチル基)、フェノキシエチル基、ジフェニルメチル基、トリチル基等が挙げられる。
置換基の具体例としては、好ましくは炭素数1〜9の、アルキル基、アルコキシ基若しくはアシロキシ基、水酸基、エーテル基、エステル基又はニトロ基等が挙げられる。
式(1)で表される構成単位としては、高光沢性を発現させる観点から、特にベンジル(メタ)アクリレートに由来する構成単位が好ましい。
CH2=CR1COOR2 (1−1)
(式中、R1、R2は、前記と同じである。)
具体的には、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、フタルイミドメチル(メタ)アクリレート、p−ニトロフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸等を重合することで、式(1)で表される構成単位を有するポリマーを合成することができる。これらの中では、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書にいう「(メタ)アクリ」とは、「アクリ」、「メタクリ」又はそれらの混合物を意味する。
R6は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数1〜9のアルキル基を有してもよいフェニル基を示す。R6は、高い印字濃度及び良好な保存安定性の観点から、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましい。また、炭素数1〜8のアルキル基を有していてもよい、フェニル基が好ましい。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基等が挙げられる。
R4O及びR5Oはランダム付加又はブロック付加している。R4O及びR5Oが、ブロック付加している場合、-COO-(R4O)x-(R5O)y-R6、又は-COO-(R5O)y -(R4O)x -R6の何れであってもよい。x、yは、平均付加モル数を表し、xは1〜30の数であり、2〜30が好ましく、3〜20が更に好ましく、3〜15が特に好ましい。yは0〜30の数であり、0〜20が好ましく、0〜15が更に好ましい。y個のR5Oは同一でも異なっていてもよい。
CH2=CR3COO−(R4O)x−(R5O)y−R6 (2−1)
(式中、R3、R4O、R5O、R6、x、及びyは、前記と同じである。)
式(2)の中でも、下記式(3)又は(4)で表される構成単位が、高い印字濃度を与えるために好ましく、本発明に用いられる水不溶性ビニルポリマーは、下記式(3)と下記式(4)で表される構成単位を両方有していてもよい。
式(3)は、式(2)において、yが0の場合である。
式(3)で表される構成単位は、下記式(3−1)で表されるモノマーを重合することによって得ることが好ましい。
CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−R6 (3−1)
(式中、R3、R6、及びxは、前記と同じである。)
具体的には、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、特にポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−(CH2CH2O)z−R6 (4−1)
CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−((CH2)4O)z−R6 (4−2)
(式中、R3、R6、x及びzは、前記と同じである。(CH2CH(CH3)O)と(CH2CH2O)、及び(CH2CH(CH3)O)と((CH2)4O)は、ランダム付加又はブロック付加しており、ブロック付加の場合、CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−(CH2CH2O)z−R6 又はCH2=CR3COO−(CH2CH2O)z−(CH2CH(CH3)O)x−R6 の何れであってもよく、CH2=CR3COO−(CH2CH(CH3)O)x−((CH2)4O)z−R6 又はCH2=CR3COO−((CH2)4O)z−(CH2CH(CH3)O)x−R6 の何れであってもよい。)
塩生成基含有モノマー(a)としては、(a−1)アニオン性モノマー及び(a−2)カチオン性モノマーが好ましい。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。
不飽和スルホン酸モノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコネート等が挙げられる。
不飽和リン酸モノマーとしては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記のアニオン性モノマーの中では、インク粘度及び吐出性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
不飽和3級アミン含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−6−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられる。
不飽和アンモニウム塩含有モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート四級化物、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート四級化物等が挙げられる。
上記のカチオン性モノマーの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
上記の(a)塩生成基含有モノマーは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
スチレン系マクロマー(b)は、例えば、片末端に重合性官能基を有するスチレン単独重合体、及び片末端に重合性官能基を有する、スチレンと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。片末端に存在する重合性官能基は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、これらを共重合させることで、スチレン系マクロマー由来の構成単位を有する水不溶性ビニルポリマーを得ることができる。
(2)(メタ)アクリレート類としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、「イソ」又は「ターシャリー」で表される枝分かれ構造が存在している場合と存在しない場合(ノルマル)の両者を示すものである。
また、(3)スチレン以外の芳香環含有モノマーとしては、例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等の炭素数6〜22の芳香環を有するビニルモノマーが挙げられる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
スチレン系マクロマー(b)の数平均分子量は、保存定性を高めるために共重合比を高めつつ、粘度を低く抑えるという観点から、1000〜10、000が好ましく、2000〜8000が更に好ましい。
スチレン系マクロマーの数平均分子量は、標準物質としてポリスチレンを用い、溶媒として50mmol/Lの酢酸を含有するテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定したときの値である。
商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6、AS−6S、AN−6、AN−6S、HS−6、HS−6S等が挙げられる。
疎水性モノマー(c)としては、(c−1)炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレート又は(c−2)下記式(5)で表されるモノマーが好ましい。
CH2=C(R7)−R8 (5)
(式中、R7 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R8は炭素数6〜22の芳香環含有炭化水素基を示す。)
(c−1)炭素数1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート、(イソ)デシル(メタ)アクリレート、(イソ)ドデシル(メタ)アクリレート、(イソ)ステアリル(メタ)アクリレート、ベへニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(c−2)式(5)で表されるモノマーとしては、印字濃度の観点から、スチレン、ビニルナフタレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4−ビニルビフェニル、1,1−ジフェニルエチレンから選ばれた一種以上が好ましい。これらの中では、印字濃度及び保存安定性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、及びビニルトルエンからなる群から選ばれる一種以上であるスチレン系モノマーがより好ましい。
CH2=C(CH3)−COOC3H6−〔Si(CH3)2O〕t− Si(CH3)3 (6)
(式中、tは8〜40の数を示す)
モノマー混合物における前記式(2−1)で表されるモノマー含有量、又は水不溶性ビニルポリマーにおける前記式(2)で表される構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度と光沢性の向上、定着性及び良好な分散安定性の観点から、好ましくは5〜60重量%、更に好ましくは8〜55重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。
[式(1)で表される構成単位/塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位]の重量比は、水不溶性ビニルポリマーの分散性及び光沢性を向上させる観点から、好ましくは10/1〜1/1、更に好ましくは8/1〜2/1である。
[式(2)で表される構成単位/塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位]の重量比は、水不溶性ビニルポリマーの分散性及び印字濃度を向上させる観点から、好ましくは10/1〜1/1、更に好ましくは5/1〜1/1である。
モノマー混合物におけるスチレン系マクロマー(b)の含有量、又は水不溶性ビニルポリマーにおけるスチレン系マクロマー(b)に由来する構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度の観点から、好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは5〜35重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。
モノマー混合物における疎水性モノマー(c)の含有量、又は水不溶性ビニルポリマーにおける疎水性モノマー(c)に由来する構成単位の含有量は、水系インクとした際の印字濃度及び分散安定性の観点から、好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは0〜20重量%である。
当該水不溶性ビニルポリマーは、塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を、後述する中和剤により中和して用いる。塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価 (KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
[[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価 (HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]]×100
酸価やアミン価は、水不溶性ビニルポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。
なお、水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量は、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
水不溶性ビニルポリマーのlogP値は、定着性及び光沢性の観点から、3〜6であることが好ましく、3〜5が特に好ましい。
本発明で用いられる水不溶性ビニルポリマーのlogP値とは、ポリマーの水/1−オクタノール分配係数の対数値を意味し、KowWin(Syracuse Research Corporation,USA)のSRC's LOGKOW / KOWWIN Programにより、フラグメントアプローチで計算された数値を用いる(The KowWin Program methodology is described in the following journal article: Meylan, W.M. and P.H. Howard. 1995. Atom/fragment contribution method for estimating octanol-water partition coefficients. J. Pharm. Sci. 84: 83-92.)。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している。LogP値は、一般に親疎水性の相対的評価に用いられる数値である。
ポリマーのLogP値は、次のように計算される。
2.各モノマーのLogP値に、ポリマー鎖中のそのモノマー由来の構成単位のモル分率(M)を乗じて、各モノマーの(LogP×M)を求める。
3.上記2で得られた、各モノマーのLogP×Mを全て合計することで、ポリマーのLogPを算出する。
なお、(a)塩生成基含有モノマーは、中和する前の該モノマーのLogP値に基づいて計算を行う。
(製造例1の場合)
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(数平均分子量608、プロピレングリコールの平均付加モル数n=9、末端OH基)/スチレンマクロマー(数平均分子量6000)が50重量部/10重量部/25重量部/15重量部の比で合成されたポリマーの場合を以下に示す。
ベンジルメタクリレート(2.98)[( )内は、LogP値を示す。以下同じ。](Mw:176)、メタクリル酸(0.99)(Mw:86)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレートは、メタクリル酸と9モルのプロピレングリコールから構成されるので、(0.99+9×0.37=4.32)(Mw:608)となり、スチレンマクロマーは、グリシジルメタクリレートと3−メルカプトプロピオン酸と55モルのスチレンから構成されるので、(0.81+0.52+55×2.89=160.28)(Mw:6000)となる。
従って、ポリマーのLogP値は、各モノマーのLogP値に、各モル%を乗じた値の合計値であるから、3.47[=2.98×50/176/(50/176+10/86+25/608+15/6000)+0.99×10/86/(50/176+10/86+25/608+15/6000)+4.32×25/608/(50/176+10/86+25/608+15/6000)+160.28×15/6000/(50/176+10/86+25/608+15/6000)]となる。
スチレン/メタクリル酸/メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(数平均分子量496、エチレングリコールの平均付加モル数n=9、末端メチル基)/スチレンマクロマー(数平均分子量6000)が46重量部/14重量部/25重量部/15重量部の比で合成されたポリマーの場合を以下に示す。
スチレン(2.89)[( )内は、LogP値を示す。以下同じ。](Mw:104)、メタクリル酸(0.99)(Mw:86)、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートは、メチルメタクリレートと9モルのエチレングリコールから構成されるので、(1.28−9×0.05=0.83)(Mw:496)となり、スチレンマクロマーは、グリシジルメタクリレートと3−メルカプトプロピオン酸と55モルのスチレンから構成されるので、(0.81+0.52+55×2.89=160.28)(Mw:6000)となる。
従って、ポリマーのLogP値は、各モノマーのLogP値に、各モル%を乗じた値の合計値であるから、2.86[=2.89×46/104/(46/104+14/86+25/496+15/6000)+0.99×14/86/(46/104+14/86+25/496+15/6000)+0.83×25/496/(46/104+14/86+25/496+15/6000)+160.28×15/6000/(46/104+14/86+25/496+15/6000)]となる。
本発明で用いられる水不溶性ビニルポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては、特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等の炭素数1〜3の脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに重合連鎖移動剤を添加してもよい。重合連鎖移動剤の具体例としては、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−メルカプト‐1、2−プロパンジオール、メルカプトコハク酸等のメルカプタン類;チウラムジスルフィド類;炭化水素類;不飽和環状炭化水素化合物;不飽和ヘテロ環状化合物等が挙げられ、これらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成した水不溶性ビニルポリマーを単離することができる。また、得られた水不溶性ポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
着色剤は、耐水性の観点から、顔料及び疎水性染料が好ましい。中でも、近年要求が強い高耐候性を発現させるためには、顔料を用いることが好ましい。
着色剤は、水系インクに使用する場合には、界面活性剤、水不溶性ポリマーを用いて、インク中で安定な微粒子にする必要がある。特に、耐滲み性、耐水性等の観点から、水不溶性ポリマーの粒子中に着色剤を含有させる。
顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。これらの中では、特に黒色水系インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料の中では、分子内に置換基を有していてもよいアリール基を有する化合物又は縮合複素環系化合物からなるものが好ましく、具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー74,120,180、C.I.ピグメント・レッド57:1, 122, 184, 202、C.I.ピグメント・バイオレット19、C.I.ピグメント・ブルー15:1, 15:3, 15:4、C.I.ピグメント・グリーン7, 36等の各品番製品が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
疎水性染料としては、油溶性染料、分散染料等が挙げられ、これらの中では油溶性染料が好ましい。
油溶性染料としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック、C.I.ソルベント・イエロー、C.I.ソルベント・レッド、C.I.ソルベント・バイオレット、C.I.ソルベント・ブルー、C.I.ソルベント・グリーン、C.I.ソルベント・オレンジ等の各品番製品が挙げられ、オリエント化学株式会社、BASF社等から市販されている。
分散染料としては、例えば、C.I.ディスパーズ・イエロー、C.I.ディスパーズ・オレンジ、C.I.ディスパーズ・レッド、C.I.ディスパーズ・バイオレット、C.I.ディスパーズ・ブルー、C.I.ディスパーズ・グリーン等の各品番製品が挙げられる。これらの中では、イエローとしてC.I.ソルベント・イエロー29及び30、シアンとしてC.I.ソルベント・ブルー70、マゼンタとしてC.I.ソルベント・レッド18及び49、ブラックとしてC.I.ソルベント・ブラック3及び7、及びニグロシン系の黒色染料が好ましい。
上記の着色剤は、単独で又は2種以上を任意の割合で混合して用いることができる。
本発明で用いられる水不溶性ビニルポリマーと着色剤の量比については、印字濃度を高めるという観点から、水不溶性ビニルポリマーの固形分100重量部に対して、着色剤20〜1,000重量部が好ましく、50〜900重量部がより好ましく、100〜800重量部が更に好ましい。
本発明において、脂肪族炭化水素化合物(B)は、普通紙での印字濃度、専用紙での光沢性及び定着性を向上させる観点から用いられる。脂肪族炭化水素化合物(B)は、水酸基を2〜8個、好ましくは2〜5個有する、炭素数5〜15、好ましくは炭素数が6〜12の直鎖又は分岐鎖の脂肪族炭化水素化合物である。
このような化合物として、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチルー1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチルー1,3−プロパンジオール、2,3―ジメチルー2,3−ブタンジオール、3−メチルー1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,5−ジメチルー2,5−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、アラビトール、ソルビトール、マンニトール等の多価アルコールが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
logP値が0〜3である脂肪族炭化水素化合物(B)としては、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(0.16)[( )内は、LogP値を示す。以下同じ。]、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(1.14)、2−ブチル−2−エチルー1,3−プロパンジオール(2.13)、2,3―ジメチルー2,3−ブタンジオール(0.54)、3−メチルー1,5−ペンタンジオール(0.69)、2−メチルー2,4−ペンタンジオール(0.58)、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール(1.49)、1,2−ヘキサンジオール(0.69)、1,6−ヘキサンジオール(0.76)、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール(1.60)、1,8−オクタンジオール(1.75)、2,5−ジメチルー2,5−ヘキサンジオール(1.52)、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール(0.81)、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール(1.79)等のジオールが挙げられる。
このように水不溶性ビニルポリマーのlogP値と同等か、やや小さいlogP値を有する脂肪族炭化水素化合物(B)を含有させることにより、インクジェットプリンターのノズルから吐出後の水系インク液中のビニルポリマー粒子同士の凝集性が抑えられ、光沢性や定着性に優れたインクジェット記録用水系インクとなると考えられる。前記logP値の差が大きすぎると、親和性に劣り、小さすぎると水系インク中への溶解が不十分となる。
また、着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子(A)100重量部に対して、脂肪族炭化水素化合物(B)が、5〜200重量部であることが好ましく、10〜100重量部が更に好ましく、20〜70重量部が特に好ましい。
本発明の水分散体は、特に制限はないが、次の工程(1)〜(3)により得ることが好ましい。
工程(1):水不溶性ビニルポリマー、有機溶媒、着色剤、水及び必要により中和剤を含有する混合物を、分散処理する工程
工程(2):前記有機溶媒を除去する工程
工程(3):工程(2)で得られた水分散体と脂肪族炭化水素化合物(B)とを混合する工程
前記工程(1)では、まず、前記水不溶性ビニルポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に着色剤、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、前記有機溶媒に加えて混合し、水中油型の分散体を得る。混合物中、着色剤は、5〜50重量%が好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、水不溶性ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、水は、10〜70重量%が好ましい。水不溶性ビニルポリマーが塩生成基を有する場合、中和剤を用いることが好ましいが、中和度には、特に限定がない。通常、最終的に得られる水分散体の液性が中性、例えば、pHが4.5〜10であることが好ましい。前記水不溶性ビニルポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。
アルコール系溶媒としては、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、第3級ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、イソプロパノール、アセトン及びメチルエチルケトンが好ましく、特に、メチルエチルケトンが好ましい。これらの溶媒は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
中和剤としては、水不溶性ビニルポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。
中和剤としては、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノールアミン等の塩基が挙げられる。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔荏原製作所株式会社、商品名〕、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス〔以上、特殊機化工業株式会社、商品名〕、クリアミックス〔エム・テクニック株式会社、商品名〕、ケイディーミル〔キネティック・ディスパージョン社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕、アルティマイザー〔スギノマシン株式会社、商品名〕、ジーナスPY〔白水化学株式会社、商品名〕、DeBEE2000 〔日本ビーイーイー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの中では、混合物に含まれている顔料の小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体は、着色剤を含有する水不溶性ポリマーの固体分が水を主溶媒とする中に分散しているものである。ここで、着色剤を含む水不溶性ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも着色剤と水不溶性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、水不溶性ポリマーに着色剤が内包された粒子形態、水不溶性ポリマー中に着色剤が均一に分散された粒子形態、水不溶性ポリマー粒子表面に着色剤が露出された粒子形態等が含まれる。
前記工程(3)では、前記工程(2)で得られた着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体と脂肪族炭化水素化合物(B)とを混合する。その混合方法に特に限定はない。例えば、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体に脂肪族炭化水素化合物(B)を添加してもよいし、その逆であってもよい。また、着色剤を含有する水不溶性ポリマー粒子の水分散体と後述する添加剤とを混合した後に、脂肪族炭化水素化合物(B)と混合してもよい。
得られる水分散体及び水系インクにおける、着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子の平均粒径は、プリンターのノズルの目詰まり防止及び分散安定性の観点から、好ましくは0.01〜0.5μm、より好ましくは0.03〜0.3μm、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。なお、平均粒径は、大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)で測定することができる。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。
本発明の水分散体及び水系インク中の水の含有量は、好ましくは30〜90重量%,より好ましくは40〜80重量%である。
本発明の水分散体及び水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、水分散体としては30〜65mN/m、更に好ましくは35〜60mN/mであり、水系インクとしては、25〜50mN/mであり、更に好ましくは27〜45mN/mである。
本発明の水分散体の10重量%の粘度(20℃)は、水系インクとした際に好ましい粘度とするために、2〜6mPa・sが好ましく、2〜5mPa・sが更に好ましい。また、本発明の水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sが更に好ましい。
製造例1及び2
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表1に示す各モノマーの200部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表1に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))0.8部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
得られたポリマー溶液を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、溶媒を除去することによってポリマーA及びBを得た。標準物質としてポリスチレン、溶媒として60mmol/Lのリン酸及び50mmol/Lのリチウムブロマイド含有ジメチルホルムアミドを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、ポリマーA及びBの重量平均分子量を測定し。また、ポリマーA及びBのlogP値を算出した。
前記式(1)の化合物
・ベンジルメタクリレート:和光純薬工業株式会社製、試薬
前記式(1)以外の化合物
・(2)ポリプロピレングリコールモノメタクリレート:日本油脂株式会社製、商品名:ブレンマーPP−500、プロピレンオキシドの付加モル数=平均9モル、末端水酸基
・メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート:エチレンオキシドの付加モル数=平均9モル、末端メトキシ基
・(a)メタクリル酸:和光純薬工業株式会社製、試薬
・(b)スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6S、数平均分子量:6000 、重合性官能基:メタクリロイルオキシ基
・(c)スチレン:和光純薬工業株式会社製、試薬
・2−メルカプトエタノール:和光純薬工業株式会社製、試薬
・V−65:和光純薬工業株式会社製、重合開始剤、2, 2' −アゾビス(2, 4−ジメチルバレロニトリル)
製造例1で得られたポリマーA 25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム水溶液)4.1部(中和度75%)及びイオン交換水230部加えて塩生成基を中和し、更にジメチルキナクリドン顔料(C.I.ピグメント・レッド122、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ株式会社製、商品名:IRGAPHOR MAGENTA DMQ)75部を加え、ディスパー翼で20℃で1時間混合した。得られた混合物をマイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で200MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた混練物に、イオン交換水250部を加え、攪拌した後、減圧下で60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過し、粗大粒子を除去することにより、固形分濃度が25%の顔料含有水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体を得た。
得られた顔料含有水不溶性ビニルポリマー粒子の水分散体に表2に示す成分を加えて、得られた混合液を1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士写真フイルム株式会社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジで濾過し、粗大粒子を除去することにより、表2に示す水系インクを得た。
実施例1において、製造例1で得られたポリマーAの代わりに、製造例2で得られたポリマーBを用いて、実施例1と同様にして、表2に示す組成の水系インクを得た。
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた水系インクの性能を下記の方法に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
(1)印字濃度
セイコーエプソン株式会社製プリンター(型番:EM−930C)を用いて、市販の普通紙(上質普通紙、セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA4250NT)にベタ印字〔印字条件=用紙種類:普通紙、モード設定:フォト〕し、25℃で24時間放置後、印字濃度をマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD914) で5回測定し、平均値を求めた。
前記プリンターを用い、市販の専用紙(写真用紙<光沢>(60°光沢度が41)セイコーエプソン株式会社製、商品名:KA450PSK)にベタ印字し〔印字条件=用紙種類:フォトプリント紙、モード設定:フォト〕、25℃で24時間放置後、20°の光沢度を光沢計(日本電飾工業株式会社製、商品名:HANDY GLOSSMETER 、品番:PG−1)で5回測定し、平均値を求めた。
前記プリンターを用い、前記市販の専用紙にベタ印字し、25℃で10分間乾燥させた後、指で強く印字面を擦った。その印字のとれ具合を以下の評価基準に基づいて評価した。
〔評価基準〕
○:ほとんど印字はとれず、周りが汚れない
△:少し印字が擦り取られ、周りが少し汚れ、指も少し汚れる
×:かなり印字が擦り取られ、周りがかなりひどく汚れ、指も相当汚れる
Claims (8)
- 水不溶性ビニルポリマーのlogP値が3〜6である、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体。
- 脂肪族炭化水素化合物(B)のlogP値が0〜3である、請求項1に記載のインクジェット記録用水分散体。
- 〔水不溶性ビニルポリマーのlogP値−脂肪族炭化水素化合物(B)のlogP値〕の値が0〜3である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
- 水不溶性ビニルポリマーが、前記式(1)で表される構成単位を10〜80重量%含有する、請求項1〜4いずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
- 着色剤を含有する水不溶性ビニルポリマー粒子(A)100重量部に対して、2〜8個の水酸基を有する、炭素数5〜15の脂肪族炭化水素化合物(B)が、5〜200重量部である、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
- 水不溶性ビニルポリマーの重量平均分子量が5,000〜500,000である、請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット記録用水分散体を含有するインクジェット記録用水系インク。
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