JP2006176412A - 炭酸エステルの製造方法 - Google Patents

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信寿 三宅
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Abstract

【課題】 有機スズアルコキシドと二酸化炭素を使用する炭酸エステル製造において、連続して繰り返して高収率で製造する方法を提供すること。
【解決手段】 有機スズアルコキシド再生工程で使用する残留液に含まれるスズ以外の溶存金属量を1000ppm以下に維持しながら製造すること。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭酸エステルの製造方法に関する。さらに詳しくは、有機金属化合物と二酸化炭素とから炭酸エステルを含有する反応混合物を得、該反応混合物から該炭酸エステルを分離して残留液を得、そして該残留液をアルコールと反応させて、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と水を形成し、そして該水を該少なくとも1種の金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物から除去し、得られた該少なくとも1種の有機金属化合物をリサイクルするために回収する炭酸エステルの製造方法において、該残留液中に、上記有機金属化合物に含まれる金属種以外の金属成分の溶存量を1000ppm以下に維持しながら、繰り返して炭酸エステルの製造をおこなうことを特徴とする方法に関する。本発明によれば、反応器や配管における触媒の析出や付着など、好ましくない現象の発生を防ぐことができ、更に炭酸エステルの収率低下を防止し、それによって炭酸エステルを長期間安定に製造することができる。
本発明者らは、有機金属化合物及び二酸化炭素を使用し、必要に応じて更にアルコールを使用して、これらを反応させて炭酸ジアルキルを容易に製造し、炭酸ジアルキル分離後の残留液から有機金属化合物を再生し、連続して炭酸ジアルキルを製造する方法を発明した(WO2003055840及びWO2004014840)。本発明は該発明を更に進め、有機スズアルコキシドを使用して炭酸エステルを収率よく長期間繰り返し製造できる方法を提供することに関する。
WO2003055840 WO2004014840
本発明の目的は、有機金属化合物と二酸化炭素とから炭酸エステルを含有する反応混合物を得、該反応混合物から該炭酸エステルを分離して残留液を得、そして該残留液をアルコールと反応させて、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と水を形成し、そして該水を該少なくとも1種の金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物から除去し、得られた該少なくとも1種の有機金属化合物をリサイクルするために回収する炭酸エステルの製造方法において、炭酸エステルを収率よく長期間繰り返し製造できる方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、驚くべきことに、有機金属化合物をリサイクル使用しながら連続して金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物を再生する際に、該液中に含まれる上記有機金属化合物に含まれる金属種以外の金属成分の溶存量を1000ppm以下に維持しながら、製造することによって解決することを見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 炭酸エステルの製造方法であって、
(1)金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸エステルを含有する反応混合物を得、
(2)該反応混合物から該炭酸エステルを分離して残留液を得、そして
(3)該残留液をアルコールと反応させて、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と水を形成し、そして該水を該少なくとも1種の金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物から除去し、工程(3)で得られた該少なくとも1種の有機金属化合物を工程(1)へリサイクルするために回収する、
方法において、工程(3)で使用する残留液中に、上記有機金属化合物に含まれる金属種以外の金属成分の溶存量を1000ppm以下に維持しながら、上記工程(1)から(3)を少なくとも1回以上おこなうことを特徴とする炭酸エステルの製造方法。
[2] 工程(1)で用いる該有機金属化合物が、下記式(1)で表される有機金属化合物及び下記式(2)で表される有機金属化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を包含することを特徴とする[1]に記載の炭酸エステルの製造方法。
Figure 2006176412
(式中:
は、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
及びRは各々独立に、ブチル、2−メチルプロピル、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;
そして
a及びbは各々0〜2の整数であり、a+b=0〜2,c及びdは各々0〜4の整数であり、a+b+c+d=4である。)
Figure 2006176412
(式中:
及びMは各々独立に、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
、R、R及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
及びR10は各々独立に、ブチル、2−メチルプロピル、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;
そして
e、f、g、hは各々独立に0〜2の整数であり、e+f=0〜2、g+h=0〜2、i及びjは各々独立に1〜3の整数であり、e+f+i=3、g+h+j=3である。)
[3] 該金属成分が、工程(1)から工程(3)及び付帯設備から溶出される金属成分であることを特徴とする[1]に記載の炭酸エステルの製造方法。
[4] 該金属成分の溶存量を1000ppm以下する維持する方法が、工程(3)をおこなう前に、反応液の一部を系外へ抜き出す工程(4)を包含することによっておこなうことを特徴とする[1]記載の炭酸エステルの製造方法。
[5] 繰り返し行われる工程(1)で使用する金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物が新たに供給される有機金属化合物と、請求項4記載の工程(4)を実施したあとの工程(3)をおこなった反応液からリサイクルされる有機金属化合物との混合物とからなることを特徴とする[1]から[4]のいずれかに記載の炭酸エステルの製造方法。
[6] 工程(3)で使用するアルコールが、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール及び直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を有するアルキルアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を包含し、該アルケニルアルコールが直鎖状または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基を有することを特徴とする[1]から[5]いずれかに記載の炭酸エステルの製造方法。
[7] 工程(1)において、該有機金属化合物を、単量体、オリゴマー、ポリマー及び会合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の形態で用いることを特徴とする[1]又は[2]に記載の炭酸エステルの製造方法。
[8] 工程(3)の後に、工程(3)で回収された該少なくとも1種の有機金属化合物を工程(1)へリサイクルする工程(5)を更に包含し、工程(1)から工程(5)までを1回以上繰り返しておこなうことを特徴とする[1]から[7]のいずれかに記載の炭酸エステルの製造方法。
[9] 式(1)及び式(2)で表される金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物の金属原子がスズであることを特徴とする[2]に記載の炭酸エステルの製造方法。
[10] 工程(1)で用いる該有機金属化合物が、有機スズオキサイドとアルコールから製造されることを特徴とする[9]に記載の炭酸エステルの製造方法。
本発明により、有機スズアルコキシド再生工程で使用する残留液中に、該有機スズ化合物に含まれるスズ以外の金属成分の溶存量を1000ppm以下に維持するといった簡単な方法で、反応器や配管における触媒の析出や付着や炭酸エステルの収率低下など、好ましくない減少の発生を防ぐことができ、それによって炭酸エステルを長期間安定に製造することができる。
以下、詳細に本発明を説明する。
本発明者らは、先に二酸化炭素を原料とした炭酸エステルの製造方法を発明した(WO2003055840及びWO2004014840)。該発明は、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させ、炭酸エステルを含む反応液を得、該反応液から炭酸エステルを除去して残留液を得、該残留液とアルコールとを反応させて金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物を再生し、該再生された金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と二酸化炭素を反応させて繰り返し炭酸エステルを製造する方法である。該発明で長期間連続して炭酸エステルを製造すると、配管付着成分や、つまりを惹起する化合物が生成しり、炭酸エステルの収率が低下する課題があった。付着成分や詰まりは、これらを除去しながら製造することも、もちろん可能であるが、炭酸エステルの収率の低下を引き起こしたりするため、該課題を解決することが望まれた。
本発明者らが鋭意検討した結果既に述べたように、驚くべきことに、有機金属化合物をリサイクル使用しながら連続して金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物を再生する際に、該液中に含まれる上記有機金属化合物に含まれる金属種以外の金属成分の溶存量を1000ppm以下に維持しながら、製造することによって解決することを見いだした。
即ち、本発明は、以下の工程から成る。
(1)金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸エステルを含有する反応混合物を得、
(2)該反応混合物から該炭酸エステルを分離して残留液を得、そして
・ 該残留液をアルコールと反応させて、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と水を形成し、そして該水を該少なくとも1種の金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物から除去し、工程(3)で得られた該少なくとも1種の有機金属化合物を工程(1)へリサイクルするために回収する、
方法において、工程(3)で使用する残留液中に、上記有機金属化合物に含まれる金属種以外の金属成分の溶存量を1000ppm以下に維持しながら、上記工程(1)から(3)を少なくとも1回以上おこなう炭酸エステルの製造方法である。
更に、必要に応じて、該金属成分の溶存量を1000ppm以下する維持するために、工程(3)をおこなう前に、反応液の一部を抜き出す工程(4)を更に包含し、工程(3)の後に、工程(3)で回収された該少なくとも1種の有機金属化合物を工程(1)へリサイクルする工程(5)を更に包含し、工程(1)から工程(5)までを繰り返して炭酸エステルを連続して製造する方法である。
各工程を図示すると、例えば図1のような製造方法である。
まず、使用する化合物について説明する。
本発明の方法の工程(1)で用いる金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物の例としては、例えば、アルコキシ基を有する有機金属化合物を挙げることができる。工程(1)で用いる該有機金属化合物は、下記式(1)で表される有機金属化合物及び下記式(2)で表される有機金属化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を包含することが好ましい。
Figure 2006176412
(式中:
は、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
及びRは各々独立に、ブチル、2−メチルプロピル、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;
そして
a及びbは各々0〜2の整数であり、a+b=0〜2,c及びdは各々0〜4の整数であり、a+b+c+d=4である。)
Figure 2006176412
(式中:
及びMは各々独立に、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
、R、R及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
及びR10は各々独立に、ブチル、2−メチルプロピル、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;
そして
e、f、g、hは各々独立に0〜2の整数であり、e+f=0〜2、g+h=0〜2、i及びjは各々独立に1〜3の整数であり、e+f+i=3、g+h+j=3である。)
本発明でいう周期律表とは国際純正及び応用化学連合無機化学命名法(1989年)で定められた周期律表である。
これら有機金属化合物は単量体であっても、オリゴマー、ポリマー、または会合体であってもよい。
本発明に用いられる有機金属化合物において、式(1)のM及び式(2)のM、Mは、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子であり、中でも、チタン、スズ及びジルコニアが好ましい。アルコールへの溶解性やアルコールとの反応性を考慮すれば、スズがより好ましい。
本発明に用いられる式(1)の有機金属化合物のRとR、及び式(2)の有機金属化合物のR、R、R、Rの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、2−ブテニル、ペンチル、ヘキシル、シクロブテニル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基、フェニル、トリル、ナフチル等の炭素数6から20のアリール基が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、低級アルキル基であり。より好ましくは炭素数1から4の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。以上に示した炭素数以上のものも使用することができるが、流動性が悪くなったり、生産性を損なったりする場合がある。式(1)の有機金属化合物のRとR、及び式(2)の有機金属化合物のRとR10の例としては、n−ブチル、イソ−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、メトキシエチル、エトキシメチル等の炭素数1から12の脂肪族炭化水素基や炭素数5から12の脂環式炭化水素基、ベンジル、フェニルエチル等の炭素数7から20のアラルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。
式(1)で示される有機金属化合物の例としては、テトラブトキシスズ、テトラペンチルオキシスズ、テトラヘキシルオキシスズ、テトラ−2−エチル−1−ヘキシルオキシスズ、テトラ−2−エチル−1−ヘキシルオキシチタン、ジメチルスズ―ジ―ブトキシド、ジメチルスズ―ジ―(2−エチル−1−ブトキシド)、ジメチルスズ―ジ―ペンチルオキシド、ジメチルスズ―ジ―ヘキシルオキシド、ジメチルスズ―ジ―シクロヘキシルオキシド、ジメチルスズ―ジ―(2−エチル−1−ヘキシルオキシド)、ジメチルスズ−ジ−ベンジルオキシド、ジ−n−ブチルスズ−ジ−ブトキシド、ジ−n−ブチルスズ−ジ−(2−エチル−1−ブトキシド)、ジ−n−ブチルスズ−ジ−ペンチルオキシド、ジ−n−ブチルスズ−ジ−ヘキシルオキシド、ジ−n−ブチルスズ−ジ−シクロヘキシルオキシド、ジ−n−ブチルスズ−ジ−(2−エチル−1−ヘキシルオキシド)、ジ−n−ブチルスズ−ジ−ベンジルオキシド、ジオクチルスズ−ジブトキシド、ジオクチルスズ−(2−エチル−1−ブトキシド)、ジオクチルスズ―ジ―ペンチルオキシド、ジオクチルスズ―ジ―ヘキシルオキシド、ジオクチルスズ―ジ―シクロヘキシルオキシド、ジオクチルスズ―ジ―(2−エチル−1−ヘキシルオキシド)、ジオクチルスズ−ジ−ベンジルオキシド等があげられる。
式(2)で示される有機金属化合物の例としては、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−ブトキシ―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−ペンチルオキシ―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−ヘキシルオキシ―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−(2−エチル−1−ブトキシ)―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジ−シクロヘキシルオキシ―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−ブトキシ―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−ペンチルオキシ―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−ヘキシルオキシ―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−(2−エチル−1−ヘキシルオキシ)―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−(2−エチル−1−ブトキシ)―ジ―スタンオキサン、1,1,3,3−テトラオクチル−1,3−ジ−シクロヘキシルオキシ―ジ―スタンオキサンのようなアルコキシジスタンオキサン、アラルキルオキシジスタンオキサン等が挙げられる。
これらの有機金属化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよいし、他の有機金属化合物を加えてもよい。これらの有機金属化合物は市販されているものを使用してもよく、公知の方法(例えば、オランダ国特許6612421号)に記載の方法によって、ジブチル酸化スズと炭素数4以上のアルコールと共沸溶媒とを反応させた後、蒸留成分として式(1)で示される有機金属化合物を得て使用してもよい。
次に工程(3)で使用するアルコールについて説明する。本発明で使用できるアルコールは下式(3)で示されるアルコールである。
Figure 2006176412
このようなアルコールの例としては、ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を有するアルキルアルコール、炭素数5〜12のシクロアルキル基を有するシクロアルキルアルコール、無置換または置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を有するアラルキルアルコールなどが挙げられる。これらのアルコールの具体例としては、n−ブタノール、イソ−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ヘキセノール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキセノール等の脂肪族アルコールや炭素数5から12の脂環式アルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等のアラルキルアルコールが挙げられる。これらアルコールの中で、ブタノール、イソ−ブタノール、2−エチル−1−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール等の1級または2級一価アルキルアルコール、ベンジルアルコール等の炭素数7か8の1級または2級のアラルキルアルコールが好ましい。
本発明でいう上記有機金属化合物に含まれる金属種以外の金属成分とは、本発明の工程(1)から工程(5)までに使用される反応器、蒸留塔、ポンプ、配管などのプロセス機器やそのに伴う付帯設備から溶出する成分であり、工程(2)終了後の残留液に溶存している金属成分を指す。このような金属としては鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、クロム、銅などの金属種であって、これに特定されない。有機金属化合物に含まれる金属種以外の金属成分で、該残留液に溶存しない金属成分は濾過などの公知の固体除去方法で除去すればよく、本発明においては溶存している金属成分をさしている。このような金属の溶存状態はどのような状態かわからない。
以下、詳細に本発明について説明する。
本発明の方法の工程(1)では、二酸化炭素を、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物に対して化学量論比で1から50の範囲で反応させることが好ましい。更に好ましくは1から20の範囲である。二酸化炭素の量が多くなれば、高圧反応となり、耐圧性の高いリアクター構造が必要であり、また工程(1)終了後に二酸化炭素をパージする際に多くの二酸化炭素をロスするために、1から10の範囲が更に好ましい。本発明では、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物の二酸化炭素付加体は、該有機金属化合物を二酸化炭素に接触させることで容易に得ることができる、室温(20℃)では、常圧の二酸化炭素気流を接触させることで発熱的に二酸化炭素付加体が生成し、ほぼ100%二酸化炭素付加体を得ることができる。反応温度の上昇に伴って、該二酸化炭素付加体の生成量は減少するが、この際には接触させる二酸化炭素を高圧で接触させればよい。高圧で二酸化炭素を接触して工程(1)をおこなった場合、該二酸化炭素付加体の生成量の定量は困難であるが、炭酸エステルの生成速度、生成量によって所望の圧力で実施することが好ましい。この圧力範囲は常圧から200MPaの範囲である。工程(1)での反応で得る炭酸エステル生成量は、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物に対して化学量論比で100%以下である範囲で実施することが好ましい。更に好ましくは50%以下の範囲である。本発明の方法で使用する金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物は、得られる炭酸エステルよりも加水分解性が高く、該有機金属化合物に対して100%以下、好ましくは50%以下の化学量論量比で炭酸エステルを得れば、炭酸エステルを加水分解するような水は反応液中に発生しないからである。本発明の工程(1)での主反応である分解反応は、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物の二酸化炭素付加体の熱分解によって炭酸エステルを得る分解反応である。熱分解温度は20℃から300℃の範囲で実施できる。
以下、更に詳細に工程(1)について説明する。
本発明者らの研究結果によると、工程(1)では、有機金属化合物と二酸化炭素から炭酸エステルが得られる。従って、第2のアルコールの使用は任意である。しかし、第2のアルコールを加えた方が、高い収率で炭酸エステルを得る観点から好ましい。これは工程(1)でおこなう反応の逆反応が存在するためであって、第2のアルコールを加えることによって、炭酸エステル以外の熱分解生成物と第2のアルコールとの間に新たな平衡反応が生じて、炭酸エステルの収率が高くなる場合があるからである。炭酸エステルの収率向上のために第2のアルコールを加えることは、有機金属化合物の主成分が式(2)で示される有機金属化合物である場合に特に有効である。有機金属化合物の主成分が式(1)で示されるものである場合は、工程(1)での熱分解反応の平衡が生成物系に偏り、炭酸エステルの収率がかなり高いので、さらなる向上が得られない場合がある。第2のアルコールに水分が大量に含まれると、得られる炭酸エステルの収量を悪化させるため、反応液中に加える第2のアルコール中に含まれる水分が、有機金属化合物の量に対して、化学量論量比で、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.01以下にすることが好ましい。工程(1)で式(1)の有機金属化合物と二酸化炭素の付加物から熱分解して炭酸エステルが生成するわけであるが、式(1)の有機金属化合物の2量体から炭酸エステルが生成することは公知である(ECO INDUSTRY,vol.6,No.6,p11−18(2001))。公知技術では、該2量体から2分子の炭酸エステルが生成してジブチル酸化スズを得ていた。本発明者らが鋭意検討した結果、驚くべきことに、式(1)の有機金属化合物の二量体と二酸化炭素の付加物からは、1分子の炭酸エステルが素早く熱分解脱離され、式(2)の有機金属化合物および/またはその二酸化炭素付加物を主に得ることができることを見いだした。この際にアルコールの添加は必要ない。こうして炭酸エステルと式(2)の有機金属化合物および/またはその二酸化炭素付加物が得られた後、すぐに工程(2)をおこなってもよいし、得られた式(2)の有機金属化合物および/またはその二酸化炭素付加物から更に炭酸エステルを得た後に工程(2)をおこなってもかまわない。工程(1)で使用する有機金属化合物は、好ましくは、式(1)の有機金属化合物および式(2)の有機金属化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種類であるが、工程(1)で使用する有機金属化合物の少なくとも一部が式(1)の有機金属化合物であることが好ましい。更に好ましくは、工程(1)で使用する有機金属化合物が、式(1)の有機金属化合物を金属原子に換算して5モル%以上含む場合である。
工程(1)で添加する成分として、溶媒を用いてもよい。本発明で使用する有機金属化合物は多くの場合液体であるが、一部固体状の有機金属化合物もある。または、有機金属化合物が工程(1)において、二酸化炭素付加体となった場合に固体状となる場合もある。固体状となった場合であっても工程(1)で炭酸エステルを生成することができるが、連続して炭酸エステルを製造する場合には、流動性が重要な場合がある。または二酸化炭素との反応速度を向上させるために液状とすることが好ましい場合もある。このような場合に、溶媒を添加して工程(1)を実施してよい。用いる溶媒は製造する炭酸エステルの有機基に対応するアルコールであってよい。また他の不活性溶媒であってもよい。不活性溶媒の例として、炭化水素類やエーテル類があげられる。このような例としてペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの炭素数5から炭素数20の飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの炭素数1から炭素数14の飽和アルキル基や炭素数5から炭素数14の環状アルキル基をゆうしてよい炭素数6から炭素数20の芳香族炭化水素、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテルなどの炭素数6から炭素数20の飽和アルキルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの炭素数4から炭素数20の環状アルキルエーテル、アニソール、エチルフェニルエーテル、イソプロピルフェニルエーテル、ベンジルメチルエーテル、4−メチルアニソ−ルなどの炭素数0から炭素数8までの置換基を有するフェニル基と炭素数1から炭素数14のアルキル基または炭素数5から炭素数14のシクロアルキル基からなる炭素数7から炭素数28のフェニルエーテル類が使用できる。
工程(1)の反応温度は、通常、室温(20℃)から300℃であり、反応をはやく完結させる場合には、好ましくは80℃から200℃で、10分から500時間の範囲でおこなう。
工程(1)の反応を高温(例えば200℃以上)で実施した場合、119Sn−NMR分析において、テトラメチルスズ基準で100ppm近辺に生成する成分が検出される場合があるが、この成分の生成が少ない条件あるいは抑制する添加剤の存在下で実施することが繰り返し反応においては好ましい。
二酸化炭素は、工程(1)で使用される有機金属化合物に対して、室温(20℃)であれば、化学量論量で充分である。室温(20℃)を超える温度で反応させる場合には、有機金属化合物への二酸化炭素の付加反応が起こりにくくなり、炭酸エステルの生成が著しく遅くなる場合がある。工程(1)の反応圧力は、常圧から200MPa、好ましくは常圧から100MPaとし、必要により、二酸化炭素を充填しながら、または一部抜き出して反応をおこなう。二酸化炭素の充填は断続的に充填しても、連続的に充填してもよい。
反応液を分析し、所望の炭酸エステルが得られていれば工程(1)を終了する。例えば、有機金属化合物の量に対して化学量論比で5%以上の炭酸エステルが得られていれば、常圧に戻して反応液を取り出してもよいし、反応液をリアクターから直接抜き出してもよい。例えば、工程(1)、工程(2)、工程(3)を別のリアクターで実施する場合、工程(3)終了液を工程(1)のリアクターへ注入し、工程(1)のリアクターから工程(2)のリアクターへ、工程(2)のリアクターから工程(3)のリアクターへ連続して液を循環させる方法をおこなってもよい。反応液を循環させる方法は、二酸化炭素を充填した工程(1)のリアクターからの二酸化炭素パージ量をすくなくすることができるので好ましい形態である。各工程終了後の反応液は強制冷却してもよいし、自然冷却してもよいし、加熱してもよい。また後述するように、場合によっては、炭酸エステル合成反応である工程(1)と炭酸エステル分離工程である工程(2)を同時におこなうこともできる。
本発明の方法の工程(2)は、工程(1)で得られた反応液混合物から炭酸エステルを分離する工程である。本発明の方法の工程(2)は、公知の炭酸エステルの分離方法が適用でき、一般におこなわれる溶媒抽出方法や蒸留や膜分離などの方法によっておこなうことができる。抽出溶媒は、炭酸エステルと反応しない溶媒、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等のハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族、エーテル、アニソール等のエーテルが好ましく使用できる。蒸留方法は、公知の方法が使用できる。このような方法として、一般に知られている常圧による蒸留方法、減圧蒸留、加圧蒸留、薄膜蒸留方法が使用できる。加熱して蒸留をおこなう場合には、好ましくない逆反応によって炭酸エステルが減少する場合があるので、好ましくは蒸留は、温度がマイナス20℃から150℃の間でおこない、被蒸留液が該温度に加熱される時間時間は30秒から2時間の間である。この際、他の溶媒を加えて蒸留したり、抽出蒸留してもよい。
炭酸エステルの分離前に、未反応の有機金属化合物及び、有機金属化合物の熱分解物を除去した後に抽出や蒸留をおこなってもよい。水又は水を含んだ溶媒を反応液に加え、白色スラリーとした後に固形分を濾過分離し、その濾液を使用すれば、沸点が100℃を超える高沸点の炭酸エステルも高い回収率で蒸留分離することができる。水はいかなる水であってもよいが、好ましくは蒸留水及び脱イオン水である。
工程(2)において、水を加える場合の水の量は、工程(1)で使用した有機金属化合物に対して化学量論量で1から100の範囲である。有機金属化合物を反応液から相分離させるための水は、工程(1)で使用した有機金属化合物に対して化学量論量で1あれば十分である。しかし、工程(1)で生成した炭酸エステルが疎水性であるため、工程(1)で使用した有機金属化合物に対して化学量論量の数倍以上の水を加えることは、炭酸エステルをも相分離させて分離することができるので、好ましい方法である。
工程(2)において、水を加える場合の水の温度は、添加する水が反応液中で固化しないような温度、例えば、マイナス20℃から100℃、好ましくは0℃から100℃の範囲である。更に好ましくは10℃から80℃に温度を調節してもよい。炭酸エステルの加水分解が起きるのを防止する観点からは、10℃から50℃がより好ましい。水のみを用いてもよいが、水と溶媒を用いる場合は、炭酸エステルと反応しない溶媒を用いることが好ましい。
工程(1)終了後の反応液に、水及び/または抽出溶媒を加えた後に、分液して油層部分の炭酸エステルを分離してもよい。
工程(3)は、工程(2)で得られた該残留液をアルコールと反応させて、金属―酸素―炭素結合を有する少なくとも1種の有機金属化合物と水を形成し、そして該水を該少なくとも1種の有機金属化合物から除去し、工程(3)で得られた少なくとも1種の有機金属化合物を工程(1)へリサイクルするために回収する工程である。工程(2)で炭酸エステルを分離した後の残留液中の化合物は多くの場合液体である。固体となる場合もあるが、200℃程度までの加熱によって液状となる。例えば、固体状のジブチル酸化スズ(これは室温(約20℃)でほとんどの有機溶媒に溶解性をもたず固体状となる)の存在は見られない。残留液中の化合物がどのような構造であるか特定されていない。しかし、驚くべきことに、本発明の工程(3)によって、式(1)で示される有機金属化合物および/または式(2)で示される有機金属化合物などの、金属―酸素―炭素結合を有する有機金属化合物が得られることを見いだした。
この工程(3)で使用する、工程(2)終了後の残留液において、該液中に含まれる上記有機金属化合物に含まれる金属種以外の金属成分の溶存量を1000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは500ppm以下に維持して工程(3)をおこなう。維持しない場合には、繰り返し有機金属をリサイクルして炭酸エステルを連続生産する場合に、生産性が低下する。
該維持する方法としては、工程(3)実施前に、反応液の一部を抜き出す工程(4)を包含してよい。この工程(4)においては、工程(2)終了後の残留液に溶存している(溶存とは、工程(2)終了後の残留液が液状の場合には、該液に溶存している該金属種の溶存量を指し、工程(2)終了後の残留液が固体状の場合には、該固体状残留液が溶融する温度まで加熱した場合に溶存している該金属種の溶存量を指す。)該金属種の上記溶存量の維持を工程(3)までに、反応液を一部ブローダウンし、新しい有機金属化合物や、その前駆体である有機金属酸化物を添加することで行ってもよいし、また公知の金属イオンを除去する方法(たとえばイオン交換樹脂等)を使用してもよいし、または工程(2)終了後の残留液を蒸留することで、該溶存している金属種を高沸化合物として除去し、蒸留で留出した液を工程(3)で使用することで行ってもよい。工程(4)を実施することに伴って不足した有機金属化合物は適宜追加してよい。
工程(3)で使用されるアルコールの例は前記の通りである。
工程(3)で使用されるアルコールの量は、工程(1)で使用した有機金属化合物の量に対して、該有機金属化合物の金属原子に対するモル比で、好ましくは1から10000倍の範囲、より好ましくは2から100倍である。
工程(3)での水の除去は、公知のいかなる方法も使用できる。例えば、蒸留による方法や、固体脱水剤を充填した脱水塔、膜分離を利用したパーベーパレーションなどの方法等が使用できる。このうち、蒸留やパーベーパレーションなどの膜分離による方法が好ましい。蒸留やパーベーパレーションによる水の分離は公知の方法が使用できる。加熱蒸留、減圧蒸留、加圧下での蒸留など、水が蒸気圧を持つ範囲であれば好ましく蒸留できる。薄膜蒸留、蒸留塔、槽型反応器など公知の蒸留装置が使用できる。アルコール中からの水分の除去にパーベーパレーションを用いる方法は公知である。本発明においても好適に利用できる。水の沸点よりも高い沸点を持つアルコールの場合には、加熱蒸留することによっても水を容易に留去することができる。また、水よりも沸点の低いアルコールの場合にも、水と共沸混合物を生成する共沸溶媒を添加することで、蒸留によって水を除くこともできる。
工程(3)を実施する温度は、用いるアルコールの種類によって異なるが、反応液の温度が、室温(約20℃)から300℃の範囲で実施できる。蒸留によって工程(3)の脱水をおこなう場合には、水が蒸気圧をもつ範囲であれば、どのような温度であってもよい。
水と共沸する溶媒を加えて、共沸蒸留によって水を除去することもできる。この方法は、低温で水を留去できることから好ましい。このような溶媒の例としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、アニソール、1,4−ジオキサン、クロロホルム等の、一般に水と共沸混合物を生成するような飽和及び不飽和炭化水素、エーテル、ハロゲン化炭化水素等が使用できる。共沸蒸留後の共沸混合物からの水の分離を考えれば、水の溶解度の低い飽和及び不飽和炭化水素を溶媒として使用することが好ましい。このような溶媒を使用する場合には、共沸によって水を充分除去できる量以上を使うことが必要である。蒸留塔等を用いて共沸蒸留をおこなう場合には、共沸混合物を蒸留塔で分離して、溶媒を反応液内に戻せるので、比較的少量の溶媒量でよいので好ましい方法である。
不活性ガスを反応器へ吹き込みながら工程(3)を実施してもよい。不活性ガスに反応で発生する水を同伴させて系外に抜き出すことは反応を促進するうえで好ましい方法である。不活性ガスの例としては、窒素、アルゴン、ヘリウムなど、有機金属化合物と反応しないガスであれば、どのようなガスでもよい。また、工程(3)で用いるアルコールをガス状にして使用してもよい。二酸化炭素も好ましく使用できる。該アルコールや二酸化炭素は、工程(3)で使用する工程(2)で得られた残留液や、工程(3)で生成する有機金属化合物と反応するが、悪影響を与えないので使用して構わない。
工程(3)における反応によって、例えば、式(1)の有機金属化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の有機金属化合物を得ることができる。
工程(3)における反応からの水の生成が殆どなくなれば、工程(3)を終了することができる。水の除去量によって、繰り返しおこなう工程(1)で得られる炭酸エステルの収量が決まるために、なるべく多くの水を除去しておくことが好ましい。
通常、工程(3)で除去する水の量は、例えば、式(1)で表される有機金属化合物のみが生成したとして求めた理論量の0.01から1倍の範囲内であるが、通常、理論量の1よりも少ない量の水が除去される。工程(2)で炭酸エステルの分離のために水を加えた場合は、得られる白色固体が含水していて、工程(3)で除去される水の量は理論量の1を超える場合もある。繰り返し反応を実施した場合については、工程(2)終了後の有機金属化合物の構造は未だ特定されていないために、理論量を求めることは難しい。この場合には、経時的に水の除去量を測定して、水の留去がほとんどなくなってから終了すればよい。
工程(3)の終了後、必要に応じて、過剰量のアルコールを除去してもよい。繰り返しおこなう工程(1)で得られる炭酸エステルの純度を考えれば、除去することが好ましい。
過剰量のアルコールの除去は、得られる有機金属化合物が固体の場合には、濾過によって濾液として除くことができるが、有機金属化合物が液体の場合は減圧蒸留による除去、窒素等の不活性ガスを送り込んで蒸気圧分のアルコールの除去をおこなうことができる。この際、充分に乾燥させた不活性ガスを使用しなければ、得られた有機金属化合物が、金属酸化物とアルコールに加水分解し、繰り返しおこなう工程(1)で得られる炭酸エステルの収量が極めて低くなる場合がある。工程(1)から工程(3)は断続的におこなってもよいし、バッチ式におこなってもよい。
工程(3)に引き続いて、工程(3)のあとに、工程(3)で水と共に抜き出されたアルコールを蒸留する工程(4)を付加してもよい。工程(3)終了後、過剰のアルコールを除去した場合には、該除去された過剰のアルコールも併せて蒸留しても構わない。即ち、工程(4)は各工程から排出されるアルコールを精製する工程である。
また、本発明の炭酸エステルを芳香族炭酸エステル合成に使用する場合、下式によってアルコールが生成する。
Figure 2006176412
(式中 Rは前記R、R、R、R10、R11から選ばれる基を表し、Arは置換基をもってよい芳香族基を表す)
即ち、本発明で炭酸エステルを製造したあと、芳香族炭酸エステルを製造する際には、該芳香族炭酸エステルの製造工程で排出されるアルコールを工程(4)で一緒に蒸留精製して構わない。同様に、本発明の炭酸エステルの製造方法で得られた炭酸エステルを使用してイソシアネート類、ポリカーボネートジオール類などアルコールを系外にだしながら反応させる製造工程を付加する場合は、該製造工程から排出されるアルコールを本発明の工程(4)へリサイクルして蒸留精製したのち、本発明の工程(3)へリサイクル使用して良い。
本発明の工程(4)は、回収されたアルコールを精製する工程であり、公知のアルコール精製の方法が利用できる。このうち、蒸留による方法が工業的生産には好ましい方法である。蒸留は単蒸留でもよいし、蒸留塔による蒸留でもよい。加熱、減圧など公知のいかなる方法を使用しても良い。この際、アルデヒド類を除去するためにアルカリ成分、酸成分、吸着剤を使用してもかまわないし、水を除去するために脱水剤を使用しても良い。複数の蒸留装置や該水、該アルデヒド除去装置を使用して分離してもかまわない。
工程(4)で使用する反応器の形式に特に制限はなく、攪拌槽方式、多段攪拌槽方式、多段蒸留塔を用いる方式、及びこれらを組み合わせた方式等、公知の種々の方法が用いられる。これらの反応器はバッチ式、連続式のいずれでも使用できる。平衡を生成系側に効率的にずらすという点で、多段蒸留塔を用いる方法が好ましく、多段蒸留塔を用いた連続法が特に好ましい。多段蒸留塔とは、蒸留の理論段数が2段以上の多段を有する蒸留塔であって、連続蒸留が可能なものであるならばどのようなものであってもよい。このような多段蒸留塔としては、例えば泡鍾トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレイを使用した棚段塔方式のものや、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパック等の各種充填物を充填した充填塔方式のものなど、通常多段蒸留塔として用いられるものならばどのようなものでも使用することができる。さらには棚段部分と充填物の充填された部分とをあわせもつ棚段−充填混合塔方式のものも好ましく用いられる
工程(5)は、工程(3)で再生された金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物を工程(1)へリサイクルする工程である。工程(5)を付加することは、連続的に有機金属化合物やアルコールを使用することができるので、好ましい方法である。工程(5)は連続的におこなってもよいし、断続的におこなってもよい。工程(3)からの反応液を保存容器に一時保存して工程(1)に送液してもよい。工程(5)は、工程(3)で得られた反応液が変質しないような温度でおこなう。工程(3)で得られる反応液の組成や有機金属化合物の種類にもよるが、−20℃から140℃の範囲が好ましく、更に好ましくは、該反応液の流動性が良好な20℃から100℃の間である。送液する装置は公知の送液装置が使用できる。
本発明の方法によって、反応器や配管における析出や付着など、好ましくない現象の発生を防ぐことができ、それによって炭酸エステルを長期間安定に製造することができる。本発明による炭酸エステルは、エステル交換反応や炭酸エステル合成反応、アルキルフェニルカーボネート、ジアリールカーボネートなどの芳香族炭酸エステル、ポリカーボネート、ウレタンなどの有機化合物製造触媒としても好適に用いられるし、本発明の方法を用いて製造した炭酸エステルから、アルキルフェニルカーボネート、ジアリールカーボネートなどの芳香族炭酸エステル、ポリカーボネートや、該芳香族炭酸エステルからポリカーボネート、ヘキサメチレンージーイソシアネートやトルイジンージーイソシアネート、メシチレンージーイソシアネートなどの有機イソシアネート類を好適に得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
1)金属化合物のNMR分析方法
装置:日本電子(株)社製JNM−A400 FTNMRシステム
(1)1H、13C−NMR分析サンプル溶液の作成
金属化合物を0.1から0.5gの範囲で計り取り、重クロロホルムを約0.9g加えてNMR分析サンプル溶液とする。
(2)119Sn−NMR分析サンプル溶液の作成
反応溶液を0.1から1gの範囲で計り取り、更に0.05gのテトラメチルスズ、約0.85gの重クロロホルムを加えてサンプル溶液とする。
2)炭酸エステルのガスクロマトグラフィー分析法
装置:(株)島津製作所製GC−2010システム
(1)分析サンプル溶液の作成
反応溶液を0.06gを計り取り、脱水されたジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを約2.5ml加える。さらに内部標準としてジフェニルエーテル約0.06gを加えて、ガスクロマトグラフィー分析サンプル溶液とする。
(2)ガスクロマトグラフィー分析条件
カラム:DB−1(J&W Scientific)
液相:100%ジメチルポリシロキサン
長さ:30m
内径:0.25mm
フィルム厚さ:1μm
カラム温度:50℃(10℃/minで昇温)300℃
インジェクション温度:300℃
検出器温度:300℃
検出法:FID
(3)定量分析法
各標準物質の標準サンプルについて分析を実施し作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施する。
4)炭酸エステルの収率計算方法
有機スズアルコキシドに含まれるスズ原子モル数を基準として、得られた炭酸ジアルキルのモル数から求めた。
本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図2に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ブタノール(米国、Aldrich社製)2224g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
反応器1の攪拌及び加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25を通して導管28から貯槽29へ移送した。貯槽29から一部液を導管32を通して系外へ排出し、残液を導管30を通して貯槽16へ移送した。脱アルコール器11内部に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約107gで、ジブチルスズジブトキシド、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ―ジスタンオキサンが含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約102gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を125℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジブチルカーボネートが0.05mol生成しており、5時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図3に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管37を通して窒素置換した脱二酸化炭素槽38へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽38から導管39を通して貯槽40へ抜き出した。
薄膜蒸留装置43(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔42を接続し、貯槽40に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管41から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器43は、ジャケットに135℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.2KPaとした。揮発成分を凝縮器47で貯槽48へ移送した。液相成分(残留液)は抜き出しポンプと導管44を通して貯槽45へ抜き出した。貯槽48へは約0.06モル/Hrでジブチルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽45へは約92g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジブチルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図2に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽45に抜き出された液を(残留液)導管46で抜き出し、導管34からバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。貯槽16へは導管31を通して新しい1−ブタノール(米国、Aldrich社製)を導管32で排出された量と同程度加え、貯槽16の1−ブタノールを導管3から約2150g(29mol)加えた。(この際に貯槽45から供給された液中に含まれるスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデンが検出され、合計約100ppmであった。)0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が113℃から1−ブタノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ブタノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25、導管28を通して貯槽29へ移送した。脱アルコール器11に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジブトキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジブチルオキシ―ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
[アルコールと水の蒸留分離]
図2に示すような装置を用いて貯槽7のアルコールと水の蒸留分離を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔14の塔上部約0.4mにジブチルスズアルコキシドの製造工程及び工程(3)で貯槽7に移送された反応液を予熱器13を経て約250g/Hrで連続的にフィードして、アルコールと水の蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管15とリボイラー22を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔14の塔底部の液温度は81℃、塔頂圧力は約20KPaとした。連続多段蒸留塔14の塔頂から留出するガスを導管17を経て、凝縮器18で凝縮して気液分離器26にて液体の二相に分離させた。該液体の下相を貯槽19へ連続的に抜き出し、上相のみを還流液として還流比約0.6で導管20を通して塔内に戻した。塔底からは導管15を経て貯槽16へ連続的に抜き出した。貯槽16へ抜き出される液の組成は1−ブタノール約100wt%、水は検出限界以下であった。貯槽19へ抜き出された液の組成は、1−ブタノールと水が含まれていた。
(連続して炭酸エステルを製造する)
このようにして工程(1)〜工程(3)を繰り返して連続1000時間運転後の工程(2)終了後の残留液中のスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、銅が検出され、溶存量の合計は480ppmであり、引き続き工程(3)を実施した後の工程(1)終了後(工程(1)5時間反応後)の反応液中のジブチルカーボネートは0.05molであった。
実施例2
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図2に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、2−メチル−1−プロパノール(米国、Aldrich社製)2224g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
反応器1の攪拌及び加熱を開始し、反応液温が105℃から2−メチル−1−プロパノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む2−メチル−1−プロパノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25を通して導管28から貯槽29へ移送した。貯槽29から一部液を導管32を通して系外へ排出し、残液を導管30を通して貯槽16へ移送した。脱アルコール器11内部に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約105gで、ジブチルスズ−ビス(2−メチルプロピルオキシド)、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチルプロピルオキシ)―ジスタンオキサンが含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約102gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を125℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはビス(2−メチルプロピル)カーボネートが0.05mol生成しており、5時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図3に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管37を通して窒素置換した脱二酸化炭素槽38へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽38から導管39を通して貯槽40へ抜き出した。
薄膜蒸留装置43(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔42を接続し、貯槽40に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管41から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器43は、ジャケットに135℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.2KPaとした。揮発成分を凝縮器47で貯槽48へ移送した。液相成分(残留液)は抜き出しポンプと導管44を通して貯槽45へ抜き出した。貯槽48へは約0.06モル/Hrでビス(2−メチルプロピル)カーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽45へは約93g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のビス(2−メチルプロピル)カーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図2に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽45に抜き出された液(残留液)を導管46で抜き出し、導管34からバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。貯槽16へは導管31を通して新しい2−メチル−1−プロパノール(米国、Aldrich社製)を導管32で排出された量と同程度加え、貯槽16の2−メチル−1−プロパノールを導管3から約2150g(29mol)加えた。(この際に貯槽45から供給された液中に含まれるスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデンが検出され、合計約100ppmであった。)0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が105℃から2−メチル−1−プロパノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む2−メチル−1−プロパノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25、導管28を通して貯槽29へ移送した。脱アルコール器11に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズ−ビス(2−メチルプロピルオキシド)と1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ビス(2−メチルプロピルオキシ)―ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
[アルコールと水の蒸留分離]
図2に示すような装置を用いて貯槽7のアルコールと水の蒸留分離を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔14の塔上部約0.4mにジブチルスズアルコキシドの製造工程及び工程(3)で貯槽7に移送された反応液を予熱器13を経て約250g/Hrで連続的にフィードして、アルコールと水の蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管15とリボイラー22を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔14の塔底部の液温度は81℃、塔頂圧力は約20KPaとした。連続多段蒸留塔14の塔頂から留出するガスを導管17を経て、凝縮器18で凝縮して気液分離器26にて液体の二相に分離させた。該液体の下相を貯槽19へ連続的に抜き出し、上相のみを還流液として還流比約0.6で導管20を通して塔内に戻した。塔底からは導管15を経て貯槽16へ連続的に抜き出した。貯槽16へ抜き出される液の組成は2−メチル−1−プロパノール約100wt%、水は検出限界以下であった。貯槽19へ抜き出された液の組成は、2−メチル−1−プロパノールと水が含まれていた。
(連続して炭酸エステルを製造する)
このようにして工程(1)〜工程(3)を繰り返して連続1000時間運転後の工程(2)終了後の残留液中のスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、銅が検出され、溶存量の合計は980ppmであり、引き続き工程(3)を実施した後の工程(1)終了後(工程(1)5時間反応後)の反応液中のジブチルカーボネートは0.05molであった。
実施例3
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図2に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、アルデヒド成分が検出限界(100ppm)以下の1−ヘキサノール(米国、Aldrich社製)3060g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
反応器1の攪拌及び加熱を開始し、反応液温が140℃から1−ヘキサノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25を通して導管28から貯槽29へ移送した。貯槽29から一部液を導管32を通して系外へ排出し、残液を導管30を通して貯槽16へ移送した。脱アルコール器11内部に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約120gで、ジブチルスズジヘキシルオキシド、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘキシルオキシ―ジスタンオキサンが含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を125℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジヘキシルカーボネートが0.05mol生成しており、5時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図3に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管37を通して窒素置換した脱二酸化炭素槽38へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽38から導管39を通して貯槽40へ抜き出した。
薄膜蒸留装置43(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔42を接続し、貯槽40に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管41から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器43は、ジャケットに135℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.2KPaとした。揮発成分を凝縮器47で貯槽48へ移送した。液相成分(残留液)は抜き出しポンプと導管44を通して貯槽45へ抜き出した。貯槽48へは約0.06モル/Hrでジヘキシルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽45へは約94g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジヘキシルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図2に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽45に抜き出された液(残留液)を導管46で抜き出し、導管34からバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。貯槽16へは導管31を通して新しい1−ヘキサノール(米国、Aldrich社製)を導管32で排出された量と同程度加え、貯槽16の1−ヘキサノールを導管3から約2960g(29mol)加えた。(この際に貯槽45から供給された液(残留液)中に含まれるスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデンが検出され、合計約100ppmであった。)0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が140℃から1−ヘキサノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25、導管28を通して貯槽29へ移送した。脱アルコール器11に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジヘキシルオキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘキシルオキシ―ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
[アルコールと水の蒸留分離]
図2に示すような装置を用いて貯槽7のアルコールと水の蒸留分離を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔14の塔上部約0.4mにジブチルスズアルコキシドの製造工程及び工程(3)で貯槽7に移送された反応液を予熱器13を経て約250g/Hrで連続的にフィードして、アルコールと水の蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管15とリボイラー22を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔14の塔頂から留出するガスを導管17を経て、凝縮器18で凝縮して気液分離器26にて液体の二相に分離させた。該液体の下相を貯槽19へ連続的に抜き出し、上相のみを還流液として還流比約0.6で導管20を通して塔内に戻した。塔底からは導管15を経て貯槽16へ連続的に抜き出した。貯槽16へ抜き出される液の組成は、ほとんどが1−ヘキサノール、水は検出限界以下であった。貯槽19へ抜き出された液の組成は、1−ヘキサノールと水とが含まれていた。
(連続して炭酸エステルを製造する)
このようにして工程(1)〜工程(3)を繰り返して連続1000時間運転後の工程(2)終了後の残留液中のスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデン、タングステン、銅が検出され、溶存量の合計は980ppmであり、引き続き工程(3)を実施した後の工程(1)終了後(工程(1)5時間反応後)の反応液中のジブチルカーボネートは0.05molであった。
実施例4
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図2に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、アルデヒド成分が検出限界(100ppm)以下の1−ヘキサノール(米国、Aldrich社製)3060g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
反応器1の攪拌及び加熱を開始し、反応液温が140℃から1−ヘキサノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25を通して導管28から貯槽29へ移送し、導管30を通して貯槽16へ移送した。脱アルコール器11内部に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約120gで、ジブチルスズジヘキシルオキシド、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘキシルオキシ―ジスタンオキサンが含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を125℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジヘキシルカーボネートが0.05mol生成しており、5時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図3に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管37を通して窒素置換した脱二酸化炭素槽38へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽38から導管39を通して貯槽40へ抜き出した。
薄膜蒸留装置43(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔42を接続し、貯槽40に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管41から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器43は、ジャケットに135℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.2KPaとした。揮発成分を凝縮器47で貯槽48へ移送した。液相成分(残留液)は抜き出しポンプと導管44を通して貯槽45へ抜き出した。貯槽48へは約0.06モル/Hrでジヘキシルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽45へは約94g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジヘキシルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図2に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽45に抜き出された液(残留液)を導管46で抜き出し、導管34からバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。貯槽16の1−ヘキサノールを導管3から約2960g(29mol)加えた。(この際に貯槽45から供給された液中に含まれるスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデンが検出され、合計約100ppmであった。)0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が140℃から1−ヘキサノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25、導管28を通して貯槽29へ移送した。脱アルコール器11に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジヘキシルオキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘキシルオキシ―ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
[アルコールと水の蒸留分離]
図2に示すような装置を用いて貯槽7のアルコールと水の蒸留分離を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔14の塔上部約0.4mにジブチルスズアルコキシドの製造工程及び工程(3)で貯槽7に移送された反応液を予熱器13を経て約250g/Hrで連続的にフィードして、アルコールと水の蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管15とリボイラー22を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔14の塔頂から留出するガスを導管17を経て、凝縮器18で凝縮して気液分離器26にて液体の二相に分離させた。該液体の下相を貯槽19へ連続的に抜き出し、上相のみを還流液として還流比約0.6で導管20を通して塔内に戻した。塔底からは導管15を経て貯槽16へ連続的に抜き出した。貯槽16へ抜き出される液の組成は、ほとんどが1−ヘキサノール、水は検出限界以下であった。貯槽19へ抜き出された液の組成は、1−ヘキサノールと水と微量のヘキシルアルデヒドが含まれていた。
(連続して炭酸エステルを製造する)
このようにして工程(1)〜工程(3)を繰り返して連続1000時間運転後の工程(3)で貯槽45から供給された液(残留液)中に含まれるスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデンが検出され、合計約980ppmであった。この時の工程(3)で得られた反応液を使用して引き続きおこなった工程(1)終了後(工程(1)5時間反応後)の反応液中のジヘキシルカーボネートは0.04molであった。引き続き工程(2)を実施し、その後の工程(3)をおこなう前に貯槽45から導管46を使用して約30g液を系外へ抜き出した後、残液を導管34を用いて反応器1へ移送し、導管4からジブチル酸化スズを約22g加た。この状態の液を一部サンプリングし、加熱溶解後の液中の溶存金属量を測定した結果、金属種合計で約650ppmであった。1−ヘキサノールを貯槽16から導管3を使用して約2960g(29mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が140℃から1−ヘキサノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25、導管28を通して貯槽29へ移送した。脱アルコール器11に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジヘキシルオキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘキシルオキシ―ジスタンオキサンが含まれていた。
(ひきつづきおこなう工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を125℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジヘキシルカーボネートが0.04mol生成しており、5時間後は約0.06molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
比較例1
(ジブチルスズジアルコキシドの製造)
図2に示すような装置を用いてジブチルスズアルコキシドを以下のように製造した。
攪拌機及び加熱装置、バッフル付きの5LのSUS製反応器1にジブチル酸化スズ75g(0.3mol)を反応器1の上部4から入れ、1−ヘキサノール(米国、Aldrich社製)3060g(30mol)をアルコール貯槽16から、反応器1の上部に接続した導管3を通して加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
反応器1の攪拌及び加熱を開始し、反応液温が140℃から1−ヘキサノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。
上記操作を3回繰り返した後、脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25を通して導管28から貯槽29へ移送し、導管30を通して貯槽16へ移送した。脱アルコール器11内部に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23の液を分析した結果、約120gで、ジブチルスズジヘキシルオキシド、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘキシルオキシ―ジスタンオキサンが含まれていた。
(工程(1))
貯槽23へ移送された液のうち約107gを導管24から200mlオートクレーブ(日本国、東洋高圧社製)に入れて蓋をした。オートクレーブ内を窒素置換した後、SUSチューブとバルブを介してオートクレーブに接続された二酸化炭素のボンベの2次圧を4MPaに設定した後、バルブを開け、オートクレーブへ二酸化炭素を導入した。10分間攪拌し、バルブを閉めた。オートクレーブを攪拌したまま、温度を125℃まで昇温した。オートクレーブの内圧が常に約4MPaとなるように調整しながら、この状態のまま4時間反応させた。
途中サンプリングした結果、反応1時間後にはジヘキシルカーボネートが0.05mol生成しており、5時間後は約0.07molであった。オートクレーブを放冷したのち、二酸化炭素をパージした。
(工程(2))
図3に示すような装置を用いて工程(2)を以下のように実施した。
工程(1)の反応液をオートクレーブ下部から抜き出し、導管37を通して窒素置換した脱二酸化炭素槽38へ移送した。窒素雰囲気で80℃で約5分間加熱攪拌して、発生する二酸化炭素をパージした。脱二酸化炭素槽38から導管39を通して貯槽40へ抜き出した。
薄膜蒸留装置43(日本国、柴田科学社製 E−420)に、ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cmの多段蒸留塔42を接続し、貯槽40に貯められた反応液を約100g/Hrの速度で、導管41から該蒸留塔の中段から供給した。還流比は約0.2とした。薄膜蒸留器43は、ジャケットに135℃の熱媒を循環させて、内部圧力(蒸留塔頂圧力)を約1.2KPaとした。揮発成分を凝縮器47で貯槽48へ移送した。液相成分(残留液)は抜き出しポンプと導管44を通して貯槽45へ抜き出した。貯槽48へは約0.06モル/Hrでジヘキシルカーボネートが抜き出されており、ジブチルスズアルコキシドは含まれていなかった。貯槽45へは約94g/Hrで液が抜き出されていて、該液中のジヘキシルカーボネートは検出限界以下であった。
(工程(3))
図2に示すような装置を用いて工程(3)を以下のように実施した。
工程(2)で貯槽45に抜き出された液(残留液)を導管46で抜き出し、導管34からバッフル付きの5LのSUS製反応器1へ供給した。貯槽16の1−ヘキサノールを導管3から約2960g(29mol)加えた。0.1NL/HrでSUS配管を通して不活性ガス用導管2から窒素ガスのフィードを開始した。
攪拌及び反応器1の加熱を開始し、反応液温が140℃から1−ヘキサノールの沸点となるように温度調節した。この状態で約6時間反応を続け、その間、反応器1の上部に接続したガス抜き出し用導管5から発生する低沸点成分をガス相として抜き出し、凝縮器6を通して貯槽7へ移送した。貯槽7には水を含む1−ヘキサノール液が得られていた。反応器1の内部の液相成分は抜き出し用導管8から貯槽9へ移送した。貯槽9から導管10で、攪拌機及び減圧するための装置、加熱装置を備えた脱アルコール器11へ移した。脱アルコール器11内部液を加熱、器内を減圧して未反応のアルコールをガス状にして導管21から抜き出し、凝縮器25、導管28を通して貯槽29へ移送した。脱アルコール器11に残っている液相成分は抜き出し導管12を通して貯槽23へ移送した。
貯槽23へ移送された液を分析した結果、ジブチルスズジヘキシルオキシドと1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジヘキシルオキシ―ジスタンオキサンが含まれていた。
貯槽23へ移送された液を繰り返し行う工程(1)へリサイクルして工程(1)〜(3)を繰り返し実施した。
[アルコールと水の蒸留分離]
図2に示すような装置を用いて貯槽7のアルコールと水の蒸留分離を以下のように実施した。
ディクソンパッキング(6mmφ)を充填した内径約5cm、塔長2mの連続多段蒸留塔14の塔上部約0.4mにジブチルスズアルコキシドの製造工程及び工程(3)で貯槽7に移送された反応液を予熱器13を経て約250g/Hrで連続的にフィードして、アルコールと水の蒸留分離を行った。蒸留分離に必要な熱量は塔下部液を導管15とリボイラー22を経て循環させることにより供給した。連続多段蒸留塔14の塔頂から留出するガスを導管17を経て、凝縮器18で凝縮して気液分離器26にて液体の二相に分離させた。該液体の下相を貯槽19へ連続的に抜き出し、上相のみを還流液として還流比約0.6で導管20を通して塔内に戻した。塔底からは導管15を経て貯槽16へ連続的に抜き出した。貯槽16へ抜き出される液の組成は、ほとんどが1−ヘキサノール、水は検出限界以下であった。貯槽19へ抜き出された液の組成は、1−ヘキサノールと水が含まれていた。
(連続して炭酸エステルを製造する)
このようにして工程(1)〜工程(3)を繰り返して連続1000時間運転後の工程(3)で貯槽45から供給された液(残留液)中に含まれるスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデンが検出され、合計約980ppmであった。この時の工程(3)で得られた反応液を使用して引き続きおこなった工程(1)終了後(工程(1)5時間反応後)の反応液中のジヘキシルカーボネートは0.04molであった。引き続き工程(1)〜工程(3)を繰り返して100時間運転後(合計1100時間運転後)の工程(3)で貯槽45から供給された液(残留液)中に含まれるスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデンが検出され、合計約1050ppmであった。この時の工程(3)で得られた反応液を使用して引き続きおこなった工程(1)終了後(工程(1)5時間反応後)の反応液中のジヘキシルカーボネートは0.02molであった。引き続き工程(1)〜工程(3)を繰り返して100時間運転後(合計1200時間運転後の工程(3)で貯槽45から供給された液(残留液)中に含まれるスズ以外の溶存金属種は、鉄、ニッケル、モリブデンが検出され、合計約1200ppmであった。この時の工程(3)で得られた反応液を使用して引き続きおこなった工程(1)終了後(工程(1)5時間反応後)の反応液中のジヘキシルカーボネートは0.01molであった。
本発明により、有機金属化合物と二酸化炭素とから炭酸エステルを含有する反応混合物を得、該反応混合物から該炭酸エステルを分離して残留液を得、そして該残留液をアルコールと反応させて、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と水を形成し、そして該水を該少なくとも1種の金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物から除去し、得られた該少なくとも1種の有機金属化合物をリサイクルするために回収する炭酸エステルの製造方法において、炭酸エステルを収率よく長期間繰り返し製造できる。
本発明の反応工程を説明する図である。 本発明のジアルキルスズアルコキシド、工程(1)、工程(3)、アルコールと水の蒸留分離に関するプロセスフローの例である。 本発明の工程(2)に関するプロセスフロー図である。
符号の説明
1 反応器
2、3、4、5、8、10、12、15、17、20、21、24、28、30、31、32、33、34、36、37、39、41、44、46、50 導管
6、18、25、47 凝集器
7、9、16、19、23、29、35、38、40、45、48 貯槽
11 脱アルコール器
14、42 多段蒸留塔
43 薄膜蒸留装置
26 液分離器
13 与熱部
22 リボイラー
27、49 圧力コントロール弁

Claims (10)

  1. 炭酸エステルの製造方法であって、
    (1)金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と二酸化炭素とを反応させて、該反応で形成された炭酸エステルを含有する反応混合物を得、
    (2)該反応混合物から該炭酸エステルを分離して残留液を得、そして
    (3)該残留液をアルコールと反応させて、金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物と水を形成し、そして該水を該少なくとも1種の金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物から除去し、工程(3)で得られた該少なくとも1種の有機金属化合物を工程(1)へリサイクルするために回収する、
    方法において、工程(3)で使用する残留液中に、上記有機金属化合物に含まれる金属種以外の金属成分の溶存量を1000ppm以下に維持しながら、上記工程(1)から(3)を少なくとも1回以上おこなうことを特徴とする炭酸エステルの製造方法。
  2. 工程(1)で用いる該有機金属化合物が、下記式(1)で表される有機金属化合物及び下記式(2)で表される有機金属化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を包含することを特徴とする請求項1に記載の炭酸エステルの製造方法。
    Figure 2006176412
    (式中:
    は、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
    及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
    及びRは各々独立に、ブチル、2−メチルプロピル、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;
    そして
    a及びbは各々0〜2の整数であり、a+b=0〜2,c及びdは各々0〜4の整数であり、a+b+c+d=4である。)
    Figure 2006176412
    (式中:
    及びMは各々独立に、ケイ素を除く周期律表第4族と第14族の元素よりなる群から選ばれる金属原子を表し;
    、R、R及びRは各々独立に、直鎖状または分岐状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜20のアリール基を表し;
    及びR10は各々独立に、ブチル、2−メチルプロピル、直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、直鎖状または分岐状の炭素数2〜12のアルケニル基、又は無置換又は置換された炭素数6〜19のアリール及び、直鎖状または分岐状の炭素数1〜14のアルキルと炭素数5〜14のシクロアルキルよりなる群から選ばれるアルキルからなる炭素数7〜20のアラルキル基を表し;
    そして
    e、f、g、hは各々独立に0〜2の整数であり、e+f=0〜2、g+h=0〜2、i及びjは各々独立に1〜3の整数であり、e+f+i=3、g+h+j=3である。)
  3. 該金属成分が、工程(1)から工程(3)及び付帯設備から溶出される金属成分であることを特徴とする請求項1記載の炭酸エステル製造方法。
  4. 該金属成分の溶存量を1000ppm以下する維持する方法が、工程(3)をおこなう前に、反応液の一部を系外へ抜き出す工程(4)を包含することによっておこなうことを特徴とする請求項1記載の炭酸エステルの製造方法。
  5. 繰り返し行われる工程(1)で使用する金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物が新たに供給される有機金属化合物と、請求項4記載の工程(4)を実施したあとの工程(3)をおこなった反応液からリサイクルされる有機金属化合物との混合物とからなることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の炭酸エステルの製造方法。
  6. 工程(3)で使用するアルコールが、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール及び直鎖状または分岐状の炭素数5〜12のアルキル基を有するアルキルアルコールよりなる群から選ばれる少なくとも1種を包含し、該アルケニルアルコールが直鎖状または分岐状の炭素数4〜12のアルケニル基を有することを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の炭酸エステルの製造方法。
  7. 工程(1)において、該有機金属化合物を、単量体、オリゴマー、ポリマー及び会合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の形態で用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭酸エステルの製造方法。
  8. 工程(3)の後に、工程(3)で回収された該少なくとも1種の有機金属化合物を工程(1)へリサイクルする工程(5)を更に包含し、工程(1)から工程(5)までを1回以上繰り返しておこなうことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の炭酸エステルの製造方法。
  9. 式(1)及び式(2)で表される金属−酸素−炭素結合を有する有機金属化合物の金属原子がスズであることを特徴とする請求項2に記載の炭酸エステルの製造方法。
  10. 工程(1)で用いる該有機金属化合物が、有機スズオキサイドとアルコールから製造されることを特徴とする請求項9に記載の炭酸エステルの製造方法。
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