JP2006175995A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることのできる空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】空気入りタイヤ1のトレッド部10において接地部41のタイヤ幅方向外方に位置するサイプ形成範囲45にサイプ50を複数形成する。このサイプ50は、サイプ形成範囲45において独立した各ブロック部15に複数形成されている。サイプ形成範囲45は、空気入りタイヤ1を装着した車両が走行し、コーナーリングを行った場合に路面と接触するが、このサイプ形成範囲45にはサイプ50が設けられているので剛性が低くなっている。このため、大きな横Gが作用してサイプ形成範囲45に大きな接地圧が作用した場合には、サイプ50付近の部分が撓むことによりコーナーリングフォースを低減できる。この結果、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。特に、この発明は、車両の転覆防止性能の向上を図る空気入りタイヤに関するものである。
従来の空気入りタイヤでは、偏摩耗を抑制するために様々な手段が用いられている。例えば、特許文献1では、バットレス部に複数のサイプを設け、さらにこのサイプをタイヤ径方向に対して傾斜させている。このように、バットレス部に複数のサイプを設けることにより、ショルダー部付近の剛性を低減させることができ、ショルダー部付近の摩耗を抑制することができる。これにより、ショルダー部付近のみが摩耗する偏摩耗を抑制していた。
特開平7−17213号公報
しかしながら、空気入りタイヤを装着する近年の車両は、RV車や、実用性を考慮したワゴンタイプの車両など車高の高い車両が増加している。このような車高の高い車両では、重心位置が高いためコーナーリング時のロール量が大きく、また、大きなコーナーリングフォースが作用した場合には、最悪の場合車両が転覆する虞がある。このため、このような車両に装着する空気入りタイヤは、車両の転覆を防ぐ性能を向上させる必要がある。しかし、車両の転覆を防ぐには、トレッド部の剛性を低くするなどの手法があるが、このような手法で転覆防止の性能を向上させた場合には、トレッド部の剛性が低過ぎるため、通常走行時の操縦安定性が低下したり、摩耗し易くなったりする虞があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることのできる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部に形成される複数の溝部によって複数の陸部を有する共に前記トレッド部のタイヤ幅方向の両端にショルダー部が位置している空気入りタイヤにおいて、前記ショルダー部は、曲率半径が10mm以上で形成されており、前記トレッド部は、前記トレッド部の表面であるトレッド表面に、正規内圧で空気を充填すると共に正規荷重で負荷をかけた際に接地する部分である接地部を有しており、前記トレッド表面には、前記接地部のタイヤ幅方向における端部である接地端よりもタイヤ幅方向外方に位置し、且つ、前記正規内圧で空気を充填すると共に前記正規荷重で負荷をかけた際にはいずれの部分も接地せず、さらに、タイヤ幅方向に負荷をかけた際には接地するサイプ形成範囲が設けられており、前記サイプ形成範囲には、複数のサイプが形成されていることを特徴とする。
この発明では、トレッド表面における接地部のタイヤ方向幅方向外方、即ち、通常の直進走行では接地しない部分であるサイプ形成範囲にサイプを形成している。このサイプ形成範囲は、上述したように設けられているため通常の直進走行では接地せず、タイヤ幅方向への負荷、つまり、コーナーリング時に横Gが作用した場合に接地する。このため、直進走行ではサイプを設けた影響が無く、直進走行時の操縦安定性の低下や耐摩耗性の低減を抑制できる。一方、コーナーリング時にはサイプ形成範囲が接地するが、サイプ形成範囲にはサイプが配置されているため剛性が低くなっており、このためサイプ形成範囲が接地した場合にはサイプ周辺が撓むので、コーナーリングフォースを低減させることができる。この結果、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記サイプ形成範囲は、前記接地端よりタイヤ幅方向外方で、且つ、タイヤ径方向内方に位置しており、さらに、前記接地端から前記トレッド表面においてタイヤ径方向内方に向けて前記溝部の溝深さの2倍の位置まで範囲となっていることを特徴とする。
この発明では、サイプ形成範囲が上述した範囲となっている。つまり、サイプ形成範囲にはサイプが配置されているが、サイプ形成範囲を、接地端からトレッド表面においてタイヤ径方向内方に向けて溝部の溝深さの2倍以上の範囲まで含めた場合には、サイプが形成されている部分がコーナーリング時に接地しない虞がある。サイプが形成されている部分がコーナーリング時に接地しない場合には、コーナーリング時に接地する部分の剛性を低減させることができないため、コーナーリングフォースを低減できず、転覆限界性能を向上させることが困難になる。このため、サイプ形成範囲を、接地端からトレッド表面においてタイヤ径方向内方に向けて溝部の溝深さの2倍の位置まで範囲とし、この範囲にサイプを設けることにより、より確実にコーナーリング時にサイプが形成されている部分を接地させることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記サイプは、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向の方向に傾斜していることを特徴とする。
この発明では、サイプをタイヤ幅方向に対して傾斜させることにより、コーナーリング時にスリップ角が発生した場合に、サイプがスリップ角に対して直交し易くなるので、サイプ周辺の部分がスリップ角の方向に倒れこみ易くなる。これにより、サイプ周辺が接地した際の剛性をより確実に低減でき、より確実にコーナーリングフォースを低減できる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記サイプは、前記サイプの長さの90%以上が前記サイプ形成範囲に位置していることを特徴とする。
この発明では、サイプの長さの90%以上がサイプ形成範囲に位置しているので、サイプの大部分がサイプ形成範囲内に位置することになるので、サイプ形成範囲が接地した際の剛性を、より確実に低減することができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記サイプは、前記サイプ形成範囲内において前記溝部によってそれぞれ他の前記陸部と離間している前記陸部ごとに2〜6枚の範囲内で配置されており、且つ、1つの前記陸部に配置される複数の前記サイプのうち少なくとも1つの前記サイプは傾斜角度が他の前記サイプの傾斜角度と異なっていることを特徴とする。
この発明では、サイプ形成範囲に位置している各陸部に2〜6枚のサイプを設けているので、サイプ形成範囲が接地した際に、より確実に剛性の低減を図ることができ、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。さらに、各陸部に配置されたサイプのうち少なくとも1つのサイプの傾斜角度を他のサイプの傾斜角度と異ならせることにより、複数のスリップ角に対応してサイプ周辺の部分がスリップ角の方向に倒れこみ易くなる。これにより、より確実に剛性の低減を図ることができ、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。これらの結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記サイプは、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向の方向に+2°〜+60°及び−2°〜−60°の範囲内の傾斜角度で傾斜していることを特徴とする。
この発明では、サイプを上述した傾斜角度で配置しているので、サイプの傾斜角度を、より確実にスリップ角に対して直交する角度にすることができる。これにより、サイプ周辺が接地した際に、接地した部分がスリップ角の方向に倒れ込み易くなるので、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記サイプは、幅が0.6mm〜2.0mmの範囲内で形成していることを特徴とする。
この発明では、サイプの幅が上記の範囲内になるように形成することにより、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。即ち、サイプの幅が0.6mmよりも狭い場合には、幅が狭すぎるためサイプ周辺が接地した場合に倒れ込み難くなり、剛性を低減させるのが困難になる虞がある。また、サイプの幅が2.0mmよりも広い場合には、幅が広過ぎるためサイプ周辺が接地した場合に倒れ込み過ぎ、サイプ周辺に損傷が発生する虞がある。これに対し、サイプの幅が0.6mm〜2.0mmの範囲内になるようにサイプを形成することにより、より確実にサイプ周辺の剛性を低減し、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記サイプは、赤道面側の方向からタイヤ幅方向外方に向かうに従って深さが深くなっていることを特徴とする。
この発明では、サイプの深さを、赤道面側の方向からタイヤ幅方向外方に向かうに従って深くなるようにすることにより、サイプ周辺の剛性を、赤道面側の方向からタイヤ幅方向外方に向かうに従って低減することができる。つまり、コーナーリング時には、通常コーナーリングフォースが大きくなる程タイヤ径方向外方寄りの部分の接地圧が高くなる。このため、サイプの深さを、赤道面側の方向からタイヤ幅方向外方に向かうに従って深くなるようにすることにより、コーナーリングフォースが大きくなるに従って増加する接地圧に対応させてサイプ周辺の剛性を順次低減することができる。これにより、滑らかにコーナーリングフォースを低減させることが可能となり、唐突さのない限界特性を確保することができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、この発明に係る空気入りタイヤは、前記サイプは、タイヤ幅方向外方側の端部の深さが最も深くなっており、且つ、タイヤ幅方向外方側の端部の深さは、赤道面側の端部の深さの150%〜250%の範囲内で形成されていることを特徴とする。
この発明では、サイプのタイヤ幅方向外方の端部の深さが上記の範囲内になるように形成することにより、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。即ち、タイヤ幅方向外方の端部の深さが、当該サイプの赤道面側の端部の深さに対して150%未満の場合には、サイプの深さの変化量が小さいため、タイヤ幅方向外方に向かうに従って増加する接地圧に対応しきれず、タイヤ幅方向外方の端部付近の剛性を接地圧に応じて適切に低減できない虞がある。また、タイヤ幅方向外方の端部の深さが、当該サイプの赤道面側の端部の深さに対して250%よりも深い場合には、サイプの深さが深くなり過ぎ、大きな接地圧が作用した際にサイプの底部などにクラックが発生する虞がある。これに対し、サイプのタイヤ幅方向外方の端部の深さを赤道面側の端部の深さの150%〜250%の範囲内になるように形成することにより、タイヤ幅方向外方に向かうに従って増加する接地圧に適切に対応させて剛性を低減させることができ、また、サイプ周辺の損傷も抑制できる。これらの結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
本発明にかかる空気入りタイヤは、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係る空気入りタイヤの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(実施の形態)
以下の説明において、タイヤ幅方向とは、空気入りタイヤの回転軸と平行な方向をいい、タイヤ幅方向内方とはタイヤ幅方向において赤道面に向かう方向、タイヤ幅方向外方とは、タイヤ幅方向において赤道面に向かう方向の反対方向をいう。また、タイヤ径方向とは、前記回転軸と直交する方向をいい、タイヤ周方向とは、前記回転軸を回転の中心となる軸として回転する方向をいう。図1は、この発明に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。この空気入りタイヤ1は、子午面方向の断面で見た場合、タイヤ径方向の最も外側にトレッド部10が形成されており、このトレッド部10のトレッド表面、即ち、当該空気入りタイヤ1を装着する車両(図示省略)が走行した場合に、路面と接触する部分はトレッド面11として形成されている。このトレッド部10には、トレッドパターンを形成する溝部20が複数設けられている。また、トレッド部10のタイヤ径方向内方側には、ベルト層31が複数設けられている。さらに、トレッド部10のタイヤ幅方向における端部からタイヤ径方向内方側の所定の位置までは、サイドウォール部32が設けられている。また、前記ベルト層31のタイヤ径方向内方、及び前記サイドウォール部32の赤道面60側には、カーカス33が連続して設けられており、このカーカス33の内側、或いは、当該カーカス33の、空気入りタイヤ1における内部側には、インナーライナ34がカーカス33に沿って形成されている。
また、トレッド部10のタイヤ幅方向における両端には、ショルダー部18が位置している。このショルダー部18は、タイヤ径方向外方、或いはタイヤ幅方向外方に凸となった曲面により形成されており、いわゆるラウンドショルダーの形状で形成されている。曲面で形成されたこのショルダー部18の曲率半径は、10mm以上で形成されている。なお、ショルダー部18の曲率半径は、10〜60mmの範囲で形成されているのが好ましい。
また、トレッド部10は、当該空気入りタイヤ1を子午断面で見た場合に、ショルダー部18付近よりもトレッド面11の赤道面60付近の方がタイヤ径方向外方に位置するように、トレッド面11がタイヤ径方向外方に向けて凸となった曲面の形状で形成されている。つまり、トレッド部10は、トレッド面11のうち、赤道面60近傍の部分が最もタイヤ径方向外方に位置するような曲面の形状で形成されている。
前記トレッド面11のうち、当該空気入りタイヤ1が路面に接地した場合の接地幅Wの範囲内に位置する部分は接地部41として設けられている。ここで、当該空気入りタイヤ1が路面に接地する際には、トレッド面11がタイヤ径方向外方に向けて凸となった曲面の形状で形成されているため、トレッド面11のタイヤ幅方向における中央付近が接地し易くなっている。このため、接地幅Wは、タイヤ幅方向において赤道面60を中心として線対称となっており、接地部41は、タイヤ幅方向における中央付近に位置している。
なお、ここでいう接地幅Wとは、空気入りタイヤ1を正規リムにリム組みし、且つ、正規内圧を充填するとともに正規荷重の88%の負荷をかけたときにこの空気入りタイヤ1が路面と接地する際のタイヤ幅方向の幅をいう。ここで、正規リムとは、JATMAで規定する「標準リム」、TRAで規定する「Design Rim」、あるいはETRTOで規定する「Measuring Rim」である。また、正規内圧とは、JATMAで規定する「最高空気圧」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「INFLATION PRESSURES」である。また、正規荷重とは、JATMAで規定する「最大負荷能力」、TRAで規定する「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、あるいはETRTOで規定する「LOAD CAPACITY」である。
また、接地部41のタイヤ幅方向における端部である接地端40のタイヤ幅方向外方で、且つ、タイヤ径方向内方にはサイプ形成範囲45が位置している。詳しくは、サイプ形成範囲45は、タイヤ径方向外方及び赤道面60方向の端部は前記接地端40の位置となっており、タイヤ径方向内方及びタイヤ幅方向外方の端部は、接地端40からタイヤ径方向内方に向けて前記溝部20の溝深さGの2倍の位置とトレッド面11とが交差する位置となっている。トレッド面11のこの位置はサイプ形成範囲端部46となっている。つまり、トレッド面11において接地端40からタイヤ径方向内方に向けた前記溝深さGの2倍の位置までの範囲はサイプ形成領域Bとなっている。また、サイプ形成範囲45はこのような範囲となっているため、サイプ形成範囲45は接地部41のタイヤ幅方向外方に位置しており、換言すると、サイプ形成範囲45は、接地端40からサイプ形成範囲端部46までの範囲となっている。
図2は、図1のA−A矢視図である。図3は、図1に示す空気入りタイヤの要部斜視図である。前記トレッド部10に複数形成された溝部20は、タイヤ周方向に形成される複数の縦溝21と、タイヤ幅方向に形成される複数の横溝22とによって形成される。また、トレッド部10には、この複数の縦溝21及び横溝22によって区画され、陸部となるブロック部15が複数形成されている。このブロック部15は、前記接地部41とサイプ形成範囲45の双方に形成されている。なお、縦溝21及び横溝22は、正確にタイヤ周方向、或いは、タイヤ幅方向に形成されていなくてもよい。縦溝21は概ねタイヤ周方向に形成されていればよく、タイヤ幅方向に斜めに形成されている場合や、曲線或いはジグザグ状に形成されていてもよい。横溝22は概ねタイヤ幅方向に形成されていればよく、タイヤ周方向に斜めに形成されている場合や、曲線或いはジグザグ状に形成されていてもよい。
前記サイプ形成範囲45に位置するブロック部15には、複数のサイプ50が形成されている。また、このサイプ50は、幅が0.6mm〜2.0mmの範囲内になるように形成されており、さらに、このように形成されるサイプ50は、サイプ形成範囲45に位置する各ブロック部15に2枚ずつ設けられている。つまり、サイプ形成範囲45に設けられるサイプ50は、サイプ形成範囲45内において、前記溝部20によってそれぞれ他のブロック部15と離間しているブロック部15ごと、或いは、サイプ形成範囲45内において、他のブロック部15との間に溝部20が介在することにより他のブロック部15と独立したブロック部15ごとに2枚ずつ配置されている。このように配置される各サイプ50は、全てタイヤ幅方向に対してタイヤ周方向の方向に傾斜しており、さらに、その傾斜角度θは、サイプ形成範囲45内において同一のブロック部15に形成される2枚のサイプ50同士で異なっている。なお、この傾斜角度θは、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向の方向に+2°〜+60°及び−2°〜−60°の範囲内となっているのが好ましい。
サイプ形成範囲45内の各ブロック部15に設けられる2枚のサイプ50は、このように傾斜角度θが異なっているため、2枚のサイプ50はサイプ50同士が交差、或いは接続されている。その位置は、2枚の各サイプ50のタイヤ幅方向外方側の端部である外方側サイプ端部52同士が接続されている。また、2枚のサイプ50の外方側サイプ端部52は、サイプ形成範囲端部46上に位置しているため、2枚のサイプ50は、サイプ形成範囲端部46上で接続されている。また、サイプ50の赤道面60側の端部である赤道面側サイプ端部51は、接地端40よりも赤道面60寄りに位置し、接地部41内に位置している。つまり、サイプ50は赤道面60寄りに位置する部分がサイプ形成範囲45から赤道面60方向にはみ出しており、はみ出した部分は接地部41内に位置している。このように、サイプ50は全ての部分がサイプ形成範囲45の位置している必要はなく、一部がサイプ形成範囲45よりもはみ出していても構わない。その際に、サイプ50はサイプ長さLの90%以上がサイプ形成範囲45内に位置しているのが好ましい。また、サイプ50がサイプ形成範囲45からはみ出す場合には、接地部41の方向にはみ出すのが好ましい。
図4は、図2のC−C断面図である。前記サイプ50は、赤道面60側の方向からタイヤ幅方向外方に向かうに従って深さが深くなっている。つまり、赤道面側サイプ端部51から外方側サイプ端部52に向かうに従って深さが深くなっている。これによりサイプ50の深さは、外方側サイプ端部52が最も深くなっている。なお、このサイプ50の深さは、外方側サイプ端部52の深さEが赤道面側サイプ端部51の深さDの150%〜250%の範囲内で形成されているのが好ましい。
以上の実施の形態に係る空気入りタイヤ1を車両に装着して走行すると、トレッド部10は、トレッド面11のうち赤道面60付近に位置する部分が最もタイヤ径方向外方に位置するように形成されているため、直進走行時にはトレッド面11のうち、タイヤ幅方向における中央付近に位置する接地部41が路面に接地する。なお、このような直進走行時のように、タイヤ幅方向の負荷が作用していない場合には、サイプ形成範囲45は接地しない。実際に路面に接地する部分はブロック部15のトレッド面11であるが、接地部41に位置するブロック部15は、トレッド部10に複数形成される溝部20によって区画されているのみで形成されているので、ブロック部15は当該ブロック部15の大きさに準じた剛性を有している。このため、直進走行時は安定した走行を行うことができる。また、このように安定した走行を行うことができるので、摩耗も生じ難くなっている。
一方、コーナーリング時には、車両が曲がる方向と反対方向、つまり、車両が曲がる方向に対して外側方向に重心が移動する。このため、トレッド面11のうち路面に接地する部分も、前記接地部41よりもタイヤ幅方向におけるコーナーリングの外側方向、即ち、タイヤ幅方向における、車両が曲がる方向と反対方向が接地する。その際に、接地部41よりもタイヤ幅方向の外側方向には、前記サイプ形成範囲45が位置している。このため、コーナーリング時には、サイプ形成範囲45が接地するようになる。即ち、コーナーリングによって空気入りタイヤ1にタイヤ幅方向の負荷が作用した場合には、サイプ形成範囲45が接地する。
このサイプ形成範囲45には複数のサイプ50が形成されているため、このサイプ50が形成されている部分付近の剛性は低くなっている。つまり、サイプ形成範囲45内に位置するブロック部15には、それぞれサイプ50が2枚ずつ配置されているが、このサイプ50が形成されている部分が接地した場合、サイプ50に隣接する部分は、サイプ50の長さ方向と深さ方向との双方に直交する方向に撓み易くなる、或いは倒れ込み易くなる。このため、サイプ50が形成されている部分付近は剛性が低くなっている。これにより、サイプ形成範囲45の剛性は低くなっているので、高スリップアングル時など高い横Gが作用するような走行状態、つまり、タイヤ幅方向の負荷が作用するような走行状態の際にサイプ形成範囲45が接地した場合には、サイプ50が形成されている部分付近が撓むので、コーナーリングフォースを低減することができる。このように、当該空気入りタイヤ1を装着した車両がコーナーリングをしてサイプ形成範囲45が接地した場合には、サイプ形成範囲45は剛性が低く設けられていることにより大きなコーナーリングフォースが生じ難くなるので、車両は転覆し難くなる。これらの結果、操縦安定性や耐摩耗性を低減させることなく転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、サイプ形成領域Bは、トレッド部10に形成される溝部20の溝深さGの2倍となっており、このサイプ形成領域B内にサイプ50は配置されている。つまり、サイプ形成範囲45は、接地端40からトレッド面11においてタイヤ径方向内方に向けて溝部20の溝深さGの2倍の位置まで範囲となっている。このサイプ形成範囲45のタイヤ径方向における範囲であるサイプ形成領域Bが溝深さGの2倍よりも大きい場合には、この部分に配置されるサイプ50はコーナーリング時に接地しない虞がある。サイプ50付近の部分がコーナーリング時に接地しない場合には、コーナーリング時に接地する部分の剛性を低減することが困難になるため、コーナーリングフォースの低減が困難になる。このため、転覆限界性能を向上させることが困難になる。
また、サイプ形成領域Bが溝深さGの2倍未満の場合には、車両走行中に大きな横Gが作用した場合、その際に接地している部分における最もタイヤ幅方向外方に位置している部分にサイプ50が配置されない虞がある。このように、横Gが作用した際に接地している部分にサイプ50が配置されていない場合には、接地している部分の剛性を低減することが困難になり、コーナーリングフォースを低減することが困難になる。このため、転覆限界性能を向上させることが困難になる。このため、サイプ形成領域B、つまり、タイヤ径方向におけるサイプ形成範囲45を、接地端40からトレッド面11においてタイヤ径方向内方に向けて溝部20の溝深さGの2倍の位置まで範囲とし、この範囲にサイプ50を設けることにより、より確実にコーナーリング時にサイプ50が形成されている部分を接地させることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、コーナーリング時には、タイヤ周方向に対してスリップ角が発生し易くなるが、前記サイプ50は、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向に傾斜して形成されているので、サイプ50がスリップ角に対して直交し易くなる。走行中にスリップ角が発生すると、トレッド面11と路面との間にはスリップ角に沿った方向の力が発生し易くなるが、サイプ50がスリップ角に対して直交することにより、サイプ50に隣接する部分がスリップ角に沿った方向の力を受けた場合に、スリップ角に沿った方向に倒れ込み易くなる。これにより、サイプ50周辺が接地した際の剛性をより確実に低減でき、より確実にコーナーリングフォースを低減できる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、サイプ形成範囲45内で独立する各ブロック部15に2枚のサイプ50を配置することにより、サイプ形成範囲45の剛性をより低減することができ、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、走行中に発生する上記のスリップ角は、走行状態に応じて異なった角度で発生するが、サイプ形成範囲45内で独立する各ブロック部15に配置される2枚のサイプの傾斜角度θを異ならせることにより、サイプ50を複数のスリップ角に対して直交させることができる、或いは、広い範囲のスリップ角に対して直交に近い角度でサイプ50を配置することができる。これにより、スリップ角が発生した場合に、サイプ50に隣接する部分が、スリップ角に沿った方向、またはスリップ角に沿った方向に近い方向に倒れ込み易くなる。これにより、より確実に剛性の低減を図ることができ、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。これらの結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、タイヤ幅方向に対するサイプ50の傾斜角度θを、タイヤ周方向の方向に+2°〜+60°及び−2°〜−60°の範囲内にすることにより、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。つまり、コーナーリング中はスリップ角が発生することが多いが、スリップ角はほとんどタイヤ幅方向からタイヤ周方向に対して2°〜60°の範囲内で発生する。また、空気入りタイヤ1は、回転方向が時に定められていない場合には、タイヤ周方向における双方向のどちらの方向においても使用される可能性がある。このため、タイヤ幅方向に対するサイプ50の傾斜角度θを、タイヤ周方向の方向に+2°〜+60°及び−2°〜−60°の範囲内にすることにより、より確実にサイプ50に隣接する部分がスリップ角に沿った方向に近い方向に倒れ込み易くなる。これにより、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、サイプ長さLの90%以上がサイプ形成範囲45に位置するようにサイプ50を設けることにより、コーナーリング時にサイプ形成範囲45が接地する際に、より確実に接地する部分付近にサイプ50を位置させることができる。これにより、サイプ形成範囲45が接地した際の剛性を、より確実に低減でき、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、サイプ50をサイプ形成範囲45からはみ出させ、サイプ50の一部が接地部41内に位置するようにサイプ50を設けているので、コーナーリング時にサイプ形成範囲45が接地する場合に、サイプ形成範囲45の接地前からサイプ50に隣接する部分を接地させることができる。これにより、サイプ形成範囲45が接地する前から接地している部分の剛性が低下するので、コーナーリング時の接地部の剛性が急激に変化せず、緩やかに剛性を低減させることができる。この結果、操縦安定性の向上を図ることができる。
また、サイプ50の幅が0.6mm〜2.0mmの範囲内になるようにされているので、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。つまり、サイプ50の幅を0.6mm以上にすることにより、サイプ50周辺が接地した際に、サイプ50に隣接する部分がより確実に倒れ込み易くなり、より確実に剛性を低減させることができる。また、サイプ50の幅を2.0mm以下にすることにより、サイプ50の幅が広過ぎることによってサイプ50に隣接する部分が倒れ込み過ぎることを抑制し、サイプ50周辺の損傷を抑制することができる。従って、サイプ50の幅が0.6mm〜2.0mmの範囲内になるようにサイプ50を形成することにより、より確実にサイプ50周辺の剛性を低減し、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、当該空気入りタイヤ1を装着した車両がコーナーリングをする際には、コーナーリングフォースが大きくなる程、即ち、横Gが大きくなる程、サイプ形成範囲45における接地端40寄りの部分よりも、サイプ形成範囲45のサイプ形成範囲端部46寄りの部分の方が接地圧が高くなる。このため、サイプ形成範囲45に形成されるサイプ50の深さが、赤道面側サイプ端部51から外方側サイプ端部52に向かうに従って深くなるようにサイプ50を形成している。これにより、サイプ50付近の剛性を、赤道面側サイプ端部51から外方側サイプ端部52に向かうに従って低減することができる。従って、横Gが小さい場合に接地し、接地圧が比較的小さい部分である、赤道面側サイプ端部51近傍の部分は、剛性の低減が少ないため、コーナーリングフォースの低減が少なくなる。これに対し、横Gが大きい場合に接地し、接地圧が大きい部分である、外方側サイプ端部52近傍の部分は、剛性の低減が大きいため、コーナーリングフォースの低減が大きくなる。これにより、コーナーリング時に生じる横Gに合わせて滑らかにコーナーリングフォースを低減させることが可能となり、唐突さのない限界特性を確保することができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、前記サイプ50における外方側サイプ端部52の深さEを、赤道面側サイプ端部51の深さDの150%〜250%の範囲内で形成することにより、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。つまり、外方側サイプ端部52の深さEを、赤道面側サイプ端部51の深さDの150%以上にすることにより、より確実に赤道面側サイプ端部51の方向から外方側サイプ端部52の方向に向かうに従って増加する接地圧に対応させて剛性を低減することができる。また、外方側サイプ端部52の深さEを、赤道面側サイプ端部51の深さDの250%以下にすることにより、サイプ50の深さが深くなり過ぎることを抑制し、サイプ50の損傷を抑制することができる。従って、外方側サイプ端部52の深さEを、赤道面側サイプ端部51の深さDの150%〜250%の範囲内で形成することにより、サイプ50の損傷を抑制しつつ、接地圧の変化に対応させて剛性を低減することができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
(変形例)
図5は、実施の形態の空気入りタイヤの変形例を示す図である。なお、上述した空気入りタイヤ1のサイプ形成範囲45に配置されるサイプ50は、2枚のサイプ50がサイプ形成範囲端部46上で接続されているが、サイプ50は上述した形態以外の形態で配置されていてもよい。例えば、図5に示すように、2枚のサイプ50は双方のサイプ50の長さ方向における中央付近で交差してもよい。2枚のサイプ50がサイプ50の長さ方向における中央付近で交差しても、双方のサイプ50がそれぞれ異なった傾斜角度θで形成されることにより、広い範囲のスリップ角に対して効果的に剛性の低減を図り、コーナーリングフォースの低減を図ることができる。
図6は、実施の形態の空気入りタイヤの変形例を示す図である。また、図6に示すように、サイプ50はサイプ形成範囲45において他のブロック部15からそれぞれ独立しているブロック部15ごとに3枚ずつ配置してもよい。さらに、その配置の形態は、3枚のうちの2枚は略平行に形成し、残りの1枚は略平行の形成された2枚のサイプ50のうちの一方のサイプ50の赤道面側サイプ端部51から、他方のサイプ50の外方側サイプ端部52にかけて形成されるように配置してもよい。各ブロック部15に配置するサイプ50の数を増やすことによりサイプ50が形成されている部分の剛性の低減を図ることができ、より大きなコーナーリングフォースの低減を図ることができる。
これらのように、サイプ50の配置の形態は上述した実施の形態でのサイプ50の配置の形態に限られず、サイプ形成範囲45内において溝部20によってそれぞれ他のブロック部15と離間しているブロック部15ごとに2〜6枚の範囲内でサイプ50を配置することにより、当該サイプ50が形成されているブロック部15の剛性を低減できるので、コーナーリングフォースの低減を図ることができる。このように、サイプ形成範囲45の各ブロック部15に複数のサイプ50を配置する場合、サイプ50同士は接続されていても離間していてもよい。また、ブロック部15に配置されるサイプ50の枚数は、全て同一でもブロック部15によって異なっていてもよい。
また、1つのブロック部15に配置される複数のサイプ50のうち少なくとも1枚のサイプ50の傾斜角度θが他のサイプ50の傾斜角度θと異なっていれば、広い範囲のスリップ角に対応してサイプ50近傍が倒れ込み易くなる。これにより、より確実にブロック部15の剛性を低減できるので、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。従って、サイプ50をサイプ形成範囲45内において独立したブロック部15ごとに2〜6枚の範囲内で配置し、さらに、少なくともこのうちの1枚のサイプ50の傾斜角度θを他のサイプ50の傾斜角度θと異ならせることにより、より確実にブロック部15の剛性を低減でき、より確実にコーナーリングフォースの低減を図ることができる。この結果、より確実に転覆限界性能の向上を図ることができる。
また、上述したようにサイプ形成範囲45に設けるサイプ50は、トレッドパターンがブロックパターンで形成される空気入りタイヤ1以外の空気入りタイヤ1のサイプ形成範囲45に設けてもよい。例えば、トレッドパターンがリブパターンやリブラグパターン等で形成される空気入りタイヤ1のサイプ形成範囲45に上述したようなサイプ50を設けてもよい。ブロックパターン以外の空気入りタイヤ1のサイプ形成範囲45にサイプ50を設けた場合でも、車両のコーナーリング時などに高い横Gが作用した場合に、サイプ形成範囲45の剛性を低減できるので、コーナーリングフォースを低減させることができる。この結果、転倒限界性能の向上を図ることができる。
以下、上記の空気入りタイヤ1について、従来の空気入りタイヤ1と本発明の空気入りタイヤ1とについて行なった性能の評価試験について説明する。性能評価試験は、転覆限界性能の1項目について行なった。
試験方法は、305/40R22サイズの空気入りタイヤ1を22×10−1/2JJのリムに組み付けて内圧を210kPaに設定し、エンジン排気量6000cc、車重2530kgの四輪駆動車に装着して、この四輪駆動車を走行させることによって行った。転覆限界性能の試験の評価方法は、上記の四輪駆動車でダブルレーンチェンジ試験(ISO3888−2)を実施して評価した。この評価結果を、後述する従来例の空気入りタイヤ1の転覆限界性能を100とした指数で示した。指数が大きい程、転倒限界性能が優れている。
試験をする空気入りタイヤ1は、本発明が14種類、本発明と比較する比較例として1種類、そして、1種類の従来例を、上記の方法で試験する。従来例では、サイプ50は形成されておらず、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっている。これに対し、比較例の一例である比較例1は、ショルダー部18の曲率半径は6mmとなっており、サイプ50がタイヤ幅方向に沿って0°、即ち、タイヤ幅方向に沿った直線状の形状で形成されている。
これに対し、本発明の一例である本発明1は、ショルダー部18の曲率半径は10mmとなっており、サイプ50がタイヤ幅方向に対して傾斜している。また、本発明2は、ショルダー部18の曲率半径は16mmとなっており、サイプ50がタイヤ幅方向に対して傾斜している。また、本発明3は、ショルダー部18の曲率半径は28mmとなっており、サイプ50がタイヤ幅方向に対して傾斜している。また、本発明4は、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっており、サイプ50がタイヤ幅方向に対して傾斜している。また、本発明5は、ショルダー部18の曲率半径は46mmとなっており、サイプ50がタイヤ幅方向に対して傾斜している。また、本発明6は、ショルダー部18の曲率半径は60mmとなっており、サイプ50がタイヤ幅方向に対して傾斜している。
また、本発明7は、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっており、サイプ50はサイプ形成範囲45内において独立しているブロック部15ごとに4枚ずつ配置されており、サイプ50の傾斜角度θは±2°、サイプ50の幅は0.6mmとなっている。また、本発明8は、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっており、サイプ50はサイプ形成範囲45内において独立しているブロック部15ごとに4枚ずつ配置されており、サイプ50の傾斜角度θは±3°、サイプ50の幅は0.6mmとなっている。また、本発明9は、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっており、サイプ50はサイプ形成範囲45内において独立しているブロック部15ごとに4枚ずつ配置されており、サイプ50の傾斜角度θは±4°、サイプ50の幅は0.6mmとなっている。また、本発明10は、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっており、サイプ50はサイプ形成範囲45内において独立しているブロック部15ごとに4枚ずつ配置されており、サイプ50の傾斜角度θは±5°、サイプ50の幅は0.6mmとなっている。
また、本発明11は、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっており、サイプ50はサイプ形成範囲45内において独立しているブロック部15ごとに4枚ずつ配置されており、サイプ50の傾斜角度θは±2°、サイプ50の幅は1.2mmとなっている。また、本発明12は、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっており、サイプ50はサイプ形成範囲45内において独立しているブロック部15ごとに4枚ずつ配置されており、サイプ50の傾斜角度θは±3°、サイプ50の幅は1.2mmとなっている。また、本発明13は、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっており、サイプ50はサイプ形成範囲45内において独立しているブロック部15ごとに4枚ずつ配置されており、サイプ50の傾斜角度θは±4°、サイプ50の幅は1.2mmとなっている。また、本発明14は、ショルダー部18の曲率半径は40mmとなっており、サイプ50はサイプ形成範囲45内において独立しているブロック部15ごとに4枚ずつ配置されており、サイプ50の傾斜角度θは±5°、サイプ50の幅は1.5mmとなっている。
これらの従来例、比較例1、本発明1〜14の空気入りタイヤ1を上記の方法で評価試験をし、得られた結果を表1−1、表1−2、表2−1及び表2−2に示す。表1−1は、従来例、比較例1、本発明1及び本発明2の試験結果を表示しており、表1−2は、本発明3〜6の試験結果を表示している。また、表2−1は、従来例、及び本発明7〜10の試験結果を表示しており、表2−2は、本発明11〜14を表示している。なお、各表では、ショルダー部18は「Sh部」で表示してある。
Figure 2006175995
Figure 2006175995
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表1−1及び表1−2に示した上記の試験結果で明らかなように、サイプ形成範囲45にサイプ50を設けた場合でも、ショルダー部18の曲率半径が10mm未満で、また、サイプ50がタイヤ幅方向に沿って形成されている場合には、サイプ形成範囲45の剛性を効果的に低減できないので、転覆限界性能を向上させることができない(比較例1)。
これに対し、本発明1〜6のように、タイヤ幅方向に対して傾斜するようにサイプ形成範囲45にサイプ50を設け、ショルダー部18の曲率半径を10mm以上で形成した場合には、サイプ形成範囲45の剛性を低減させることができ、転覆限界性能を向上させることができる(本発明1〜14)。特に、ショルダー部18の曲率半径を大きくするに従って、転覆限界性能を向上させることができる(本発明1〜6)。また、サイプ50の傾斜角度θは、試験で使用した四輪駆動車では±4°程度が車両走行時のスリップ角に合わせてサイプ50付近の部分を倒し込むことができ、また、サイプ50の幅はある程度幅がある方がより確実に剛性を低減できる(本発明11〜14)。これらの評価試験で明らかなように、上述したサイプ形成範囲45にサイプ50を配置し、ショルダー部18の曲率半径を10mm以上で形成することにより、サイプ形成範囲45が接地した際のコーナーリングフォースの低減を図ることができ、転覆性能の向上を図ることができる。
以上のように、本発明にかかる空気入りタイヤは、ラウンドショルダーの空気入りタイヤに有用であり、特に、重心位置が高い車両に装着する空気入りタイヤに適している。
この発明に係る空気入りタイヤの要部を示す子午断面図である。 図1のA−A矢視図である。 図1に示す空気入りタイヤの要部斜視図である。 図2のC−C断面図である。 実施の形態の空気入りタイヤの変形例を示す図である。 実施の形態の空気入りタイヤの変形例を示す図である。
符号の説明
1 空気入りタイヤ
10 トレッド部
11 トレッド面
15 ブロック部
18 ショルダー部
20 溝部
21 縦溝
22 横溝
31 ベルト層
32 サイドウォール部
33 カーカス
34 インナーライナ
40 接地端
41 接地部
45 サイプ形成範囲
46 サイプ形成範囲端部
50 サイプ
51 赤道面側サイプ端部
52 外方側サイプ端部
60 赤道面
W 接地幅
G 溝深さ
B サイプ形成領域
D 赤道面側サイプ端部深さ
E 外方側サイプ端部深さ
L サイプ長さ
θ 傾斜角度

Claims (9)

  1. トレッド部に形成される複数の溝部によって複数の陸部を有する共に前記トレッド部のタイヤ幅方向の両端にショルダー部が位置している空気入りタイヤにおいて、
    前記ショルダー部は、曲率半径が10mm以上で形成されており、
    前記トレッド部は、前記トレッド部の表面であるトレッド表面に、正規内圧で空気を充填すると共に正規荷重で負荷をかけた際に接地する部分である接地部を有しており、
    前記トレッド表面には、前記接地部のタイヤ幅方向における端部である接地端よりもタイヤ幅方向外方に位置し、且つ、前記正規内圧で空気を充填すると共に前記正規荷重で負荷をかけた際にはいずれの部分も接地せず、さらに、タイヤ幅方向に負荷をかけた際には接地するサイプ形成範囲が設けられており、
    前記サイプ形成範囲には、複数のサイプが形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記サイプ形成範囲は、前記接地端よりタイヤ幅方向外方で、且つ、タイヤ径方向内方に位置しており、さらに、前記接地端から前記トレッド表面においてタイヤ径方向内方に向けて前記溝部の溝深さの2倍の位置まで範囲となっていることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記サイプは、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向の方向に傾斜していることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記サイプは、前記サイプの長さの90%以上が前記サイプ形成範囲に位置していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記サイプは、前記サイプ形成範囲内において前記溝部によってそれぞれ他の前記陸部と離間している前記陸部ごとに2〜6枚の範囲内で配置されており、且つ、1つの前記陸部に配置される複数の前記サイプのうち少なくとも1つの前記サイプは傾斜角度が他の前記サイプの傾斜角度と異なっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記サイプは、タイヤ幅方向に対してタイヤ周方向の方向に+2°〜+60°及び−2°〜−60°の範囲内の傾斜角度で傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記サイプは、幅が0.6mm〜2.0mmの範囲内で形成していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記サイプは、赤道面側の方向からタイヤ幅方向外方に向かうに従って深さが深くなっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記サイプは、タイヤ幅方向外方側の端部の深さが最も深くなっており、且つ、タイヤ幅方向外方側の端部の深さは、赤道面側の端部の深さの150%〜250%の範囲内で形成されていることを特徴とする請求項8に記載の空気入りタイヤ。
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