JP2006175705A - カチオン性化合物−シリカ微粒子の複合微粒子分散液、その製法及びインクジェット記録体 - Google Patents

カチオン性化合物−シリカ微粒子の複合微粒子分散液、その製法及びインクジェット記録体 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性の高いカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液の製造方法、および該分散液を利用して製造されるインクジェット記録体を提供する。
【解決手段】カチオン性化合物とコロイダルシリカを混合して形成される複合微粒子の凝集粒子を機械的手段により粉砕して得られる、少なくとも70%以上がカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の1次粒子として存在し、該1次粒子がカチオン性化合物を介して結合して形成されている複合微粒子の2次粒子が30%未満である、カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。また、該複合微粒子の分散液を含む塗布液を使用して形成されている、該複合微粒子がインク受容層や最表層の光沢発現層に配置されているインクジェット記録体。
【選択図】なし

Description

本発明は、単分散コロイド状態のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液とその製法及び該分散液を用いて形成されているインク受容層を有するインクジェット記録体に関する発明である。
より詳細には、ほぼ単分散コロイド状態を維持したままで分散性及び安定性に優れているカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液とその製法及び該分散液より形成されており、インク吸収性の維持と高印字濃度、高光沢性、耐擦過性に優れ、受容された画像が、耐水性、耐湿にじみ、耐光性、耐ガス性に優れ、かつ銀塩写真画像に匹敵する鮮明さを有する特性を備えたインクジェット記録体に関する発明である。
インクジェット記録体への記録は、水性インクを微細なノズルからインクジェット記録体に噴出して画像を形成させるインクジェット記録方式によって行われ、記録時の騒音が少なくフルカラー化が容易であること、高速記録が可能であること、及び他の印刷装置より記録コストが安価であること等の長所を有し、このため、各種コンピューターにおいて、特にパーソナルコンピューターにおいて、端末用プリンター及びプロッターとして広く利用されている。
一方、インクジェットプリンターの急速な普及により、その性能についても、高精細・高速化が求められ、さらにデジタルカメラの登場により、インクジェット記録方式に用いられる記録体にも、高度な特性が要望されるようになった。すなわち、インク吸収性と耐水性に優れ、かつ銀塩方式の写真に匹敵する画質と保存性を兼ね備えたインクジェット記録体の実現が強く求められるようになっており、より記録画像を写真画像に近づけるための高い光沢性も求められてきている。
高光沢、高画質を得る為に、カチオン性ポリマーと凝集体顔料を混合して、超音波ホモジナイザーや高圧ホモジナイザーにより微分散する方法が提案されている〔特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4〕。上記の各方法で得られた微分散物は透明性が高く、インク吸収性や吸収容量もコロイダルシリカより優れるが、反面、光沢はコロイダルシリカより劣り、分散後は2次コロイド粒子であるために、耐擦過性(擦るときに、擦った部分の光沢が他の部分と異なる現象)が劣る。
光沢を上げる為に、カチオン性ポリマー含有溶液に凝集体顔料を1次粒子の状態まで分散された無機微粒子分散液を添加して、さらに分散するということも提案されている(特許文献4)。しかし、凝集体の無機微粒子を1次粒子まで粉砕してもすぐに再凝集が起こり、分散安定性が著しく劣る。また、実質的に凝集体顔料を1次粒子まで粉砕したとはいっても2次粒子がかなり残存しており、カチオン性ポリマー含有溶液に添加すると、直ちに再凝集が起こる。この分散液の場合、インク吸収性は良好だが、1次粒子のみで形成される層の平滑感や光沢が得られなく、耐擦過性の改善も不十分である。
高光沢、耐擦過性を得る為にはコロイダルシリカが最も有効な材料として古くから利用されている。コロイダルシリカは一般的にアニオン性を有し、インクジェット記録体に使用する場合は、インク中の染料がアニオン性である為に定着性がなく、特に耐水性が劣る。その為、インクジェット記録体用にはカチオン変性コロイダルシリカが強く求められており、カチオン変性コロイダルシリカをインクジェット記録体に用いた例も多い(特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8)。これらの中には、コートタイプのインクジェット記録体の光沢発現層として利用し、高光沢と耐擦過性の両立を可能にしたものもある(特許文献6、特許文献7、特許文献8)。
インクジェット記録体にカチオン変性コロイダルシリカを導入することは耐水性、高光沢、耐擦過性を解決するには非常に有効な手段である。しかしながら、一般的にカチオン変性コロイダルシリカの製造方法は、例えば、特許文献9や特許文献10に記載されているように、塩基性塩化アルミニウムなどの多価金属イオンでコロイダルシリカ表面をカチオン性に荷電したものである。多価金属イオン(多くはアルミナ)により変成されたカチオン性コロイダルシリカは光沢こそ発現するものの、多価金属から由来の保存性(特に耐光性)が劣る。また、多価金属の高い屈折率から、コロイダルシリカの透明性が著しく損なわれ、インクジェット記録体に利用すると印字濃度が大きく低下する問題がある。
前記特許文献7や特許文献8にはアニオン性コロイダルシリカとカチオン性化合物を混合し、比較的高速回転の攪拌機で十分に分散することが記載されている。しかし、アニオン性コロイダルシリカとカチオン性化合物を混合すると、凝集が起こり、高速回転の攪拌機で十分に分散する程度では、従来のアニオン性コロイダルシリカの単分散状態には戻らず、凝集体(2次粒子)がかなり存在した分散液となってしまう。このような分散液をインクジェット記録体の記録層に使用すると、平滑感や光沢感は単分散コロイダルシリカと比べると著しく低下する。
特開平10−181190号公報(第1頁) 特開平10−181191号公報(第1頁) 特開平11−321079号公報(第2、11頁) 特開2000−094830号公報(第1、15頁) 特公平4−19037号公報(第1頁) 特開2003−205676号公報(第1頁) 特開2004−050811号公報(第1、9頁) 特開2004−114459号公報(第1、6頁) 米国特許3007878号(第1頁) 特開昭47−26959号公報(第2、4頁)
本発明は、上記の問題を解決し、透明性の高いカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液及び該分散液を使用して製造されるインクジェット記録体を提供することを目的とするものである。
また本発明は、インクジェット記録用インクに対し優れた受容性及び固着性を有し、インクジェット記録体の最表層に利用すると、インク吸収性の維持と高印字濃度、高光沢、耐擦過性に優れるインクジェット記録体を形成することができるカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液と該分散液の製造方法を提供することを目的とするものである。さらに、本発明は、カチオン性化合物を適宜選択することによって、受容された画像が保存性に優れ、かつ銀塩写真画像に匹敵する鮮明さを有するインクジェット記録体を形成することができる、カチオン化されたカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子のほぼ単分散コロイド状態の分散液とその製造方法を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成することができる本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液は、基本的には、カチオン性化合物とコロイダルシリカを混合して形成される複合微粒子の凝集物を、機械的手段によって再度単分散体に近い状態に粉砕して得られるカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液である。本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)カチオン性化合物とコロイダルシリカを混合して形成した凝集粒子を分散液中で機械的手段により粉砕して形成されている、少なくとも70%以上がカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の1次粒子として存在し、該1次粒子がカチオン性化合物を介して結合している複合微粒子の2次粒子が30%未満であることを特徴とする、カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
(2)前記シリカ微粒子の平均粒子径10〜80nmであり、前記カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の平均粒子径が10〜150nmである、(1)項記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
(3)前記機械的手段による粉砕が、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー及び液流衝突式ホモジナイザーから選ばれる少なくとも一つの機械的手段による粉砕である、(1)項又は(2)項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
(4)前記カチオン性化合物がカチオン性ポリマーである、(1)項〜(3)項のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
(5)前記カチオン性ポリマーは、1級〜3級のカチオン性ポリマーである、(4)項記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
(6)前記カチオン性ポリマーは、1万〜10万の重量平均分子量を有するポリマーである、(4)項又は(5)項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
(7)前記複合微粒子の分散液中のシリカ微粒子とカチオン性化合物の質量比は100:1〜15の範囲内にある、(1)項〜(6)項のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
(8)前記シリカ微粒子の平均粒径は20〜60nmである、(1)項〜(7)項のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
(9)前記(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液を製造する方法であって、カチオン性化合物とコロイダルシリカを混合してカチオン性化合物とシリカ微粒子からなる複合微粒子の凝集物の分散液を形成する工程と、該複合微粒子凝集物を分散液中で機械的手段により粉砕して、少なくとも70%以上がカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の1次粒子として存在し、該1次粒子がカチオン性化合物を介して結合している複合微粒子の2次粒子が30%未満である分散液を調整する工程を有することを特徴とする、カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液を製造する方法。
(10)前記(1)項〜(8)項のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液を含む塗布液によって形成されている少なくとも1層のインク受容層を、支持体上に有することを特徴とするインクジェット記録体。
(11)前記カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液を含む塗布液から形成されている光沢発現層を、インクジェット記録体の少なくとも最表層に有することを特徴とする(10)項記載のインクジェット記録体。
(12)前記光沢発現層に隣接するインク受容層は、細孔分布のピークが100nm以下、好ましくは3〜70nm、より好ましくは5〜30nmの範囲の塗工層であることを特徴とする(11)項記載のインクジェット記録体。
(13)前記光沢発現層に隣接するインク受容層における細孔分布のピークと前記光沢発現層におけるカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の平均粒子径の比が、「細孔分布のピーク/複合微粒子の平均粒子径=1/1〜10」の範囲、好ましくは「1/1.5〜7」の範囲であることを特徴とする(12)項記載のインクジェット記録体。
本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液は分散安定性に優れている。また、インクジェット記録体のインク受容層の形成に使用すると、インク中の染料や顔料に対し優れた受容性及び固着性を有し、特に、インクジェット記録体の最表層に利用すると、インク吸収性の維持と高印字濃度、高光沢、耐擦過性に優れるインクジェット記録体が得られる。また、カチオン性化合物を適宜選択することによって、受容された画像は、保存性に優れ、かつ銀塩写真画像に匹敵する鮮明さを有するインクジェット記録体が得ることが可能である。
本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液は、アニオン性のコロイダルシリカの個々のシリカ微粒子がその周囲に存在しているカチオン性化合物によってカチオン化されている複合微粒子がほぼ単分散コロイド状態に分散した状態の分散液である。
(カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の平均粒子径)
本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液におけるカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の平均粒子径は以下のようにして決定される。
「200gの5%分散液を用い、ホモミキサーにて3000rpmの回転速度で10分攪拌した後、直ちにこれを電子顕微鏡(透過型)で観察して粒径を測定する。粒径は、1万〜40万倍の電子顕微鏡写真を撮り、5cm×5cm面積中の粒子のマーチン径を測定し、それぞれの測定値を平均して算出する。(「微粒子ハンドブック」、朝倉書店、p52、1991年参照)」。
本発明でいう「ほぼ単分散に近い状態」とは、分散液中に少なくとも70%以上の複合粒子が1次粒子として存在し、1次粒子がカチオン性化合物を介して結合されている2次粒子は30%未満であることを意味する。
光沢や印字濃度を出す為には、分散液中に85%以上の粒子が単分散体として存在した方が好ましく、95%以上の粒子が単分散体として存在した方が更に好ましい。
(コロイダルシリカ)
本発明で使用するコロイダルシリカは、一般的に負に帯電した無定形シリカ粒子が1次粒子の単分散体状態で溶液(多くは水溶液)中に分散したコロイド溶液である。分散質の粒子は1〜200nmの大きさを持ち、粒子の表面には−SiOH基及び−OHイオンが存在し、アルカリイオンにより電気二重層が形成され、粒子間の反発により安定化されている。この電荷バランスがくずれて、粒子同志が接合すると増粘、ゲル化、凝集などが起こる。
コロイダルシリカはpH9〜10付近で最も安定で、ついで酸性側のpH2付近に準安定領域がある。広いpH領域で安定化を図る為にはシリカ粒子表面をアルミナなどで処理する方法が挙げられる。コロイダルシリカの中で、特許文献9や特許文献10に記載されているように、塩基性塩化アルミニウムなどの多価金属イオンでコロイダルシリカのシリカ微粒子表面をカチオン性に荷電したものもある。
コロイダルシリカのシリカ微粒子の形状は殆どが球状であるが、細長い形状のもの(例えば、日産化学社製のスノーテックスUP)やパールネックレス状のもの(例えば、日産化学社製のスノーテックス−PS)も販売されている。本発明で用いるコロイダルシリカの平均粒径は10〜80nmの範囲が好ましい。10nm未満ではインクジェット記録体に用いる場合、インク吸収性が阻害されるおそれがある。一方、80nmを超えると透明性が低下し、印字濃度が出難い問題がある。インク吸収性と印字濃度のバランスからコロイダルシリカのシリカ微粒子の平均粒径は20〜60nmの範囲が更に好ましく、最も好ましい範囲は30〜50nmである。
代表的なコロイダルシリカとしては、例えば、日産化学社製のスノーテックスシリーズ、日本化学工業社製のシリカドールシリーズ、Grace社製のLudoxシリーズなどが挙げられる。
また、中でも、インク吸収性及び透明性の点で粒度分布がシャープなコロイダルシリカが好ましい。例えば、触媒化成社製のカタロイド系、扶桑化学社製のPL系などが挙げられる。
(カチオン性化合物)
本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液の調製に用いられるカチオン性化合物の例としては、ポリアルキレンアミン化合物(例えば、ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン)、第2級、第3級アミノ基又は第4級アンモニウム基を有するアクリル系樹脂、ポリビニルアミン、ポリビニルアミジン、5員環を形成しているアミジン化合物、ジシアン系カチオン樹脂(例えば、ジシアンジアミド−キルムアルデヒド重縮合物)、エピクロルヒドリン−ジメチルアミン付加重合体、ジメチルアリルアンモニウムクロライド−SO2 共重合体、ジアリルアミン−SO2 共重合体、ジメチチルアリルアンモニウムクロライド重合体アリルミン塩の重合体、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレートアンモニウム塩重合体、アクリルアミド−ジアリルアミン塩共重合体、ポリ塩化アルミニウム、ポリ塩酸アルミニウム及びポリ乳酸アルミニウムなどのカチオン化合物を適宜用いることができる。
中でも、分散性からカチオン性ポリマーが好ましく、特に、第1級、第2級、第3級アミン基を有するカチオン樹脂は分散性・印字保存性が良好であることから好ましい。5員環を形成しているアミジン化合物が最も良好である。
カチオン性ポリマーの分子量は特に限定しないが、分散性と分散安定性から1万〜10万が好ましい。更に好ましくは2万〜7万である。分子量が小さすぎると分散性が悪く、分子量が大きすぎると分散安定性が劣ることがある。
コロイダルシリカとして用いられるシリカ微粒子とカチオン性化合物の質量比は特に限定しないが、100:1〜15の範囲が好ましく、更に好ましくは100:2〜8である。カチオン化合物の含有量が少なすぎると分散液系全体がカチオン性にならず、分散後、短時間に再凝集するおそれがある。一方、カチオンの含有量が多すぎると、インクジェット記録体に用いる場合、顔料間の細孔がカチオン性化合物により塞がれ、インク吸収性が低下する問題がある。
(カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液の調製方法)
本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液は、前記カチオン性化合物とコロイダルシリカとを混合し、それによって得られた複合微粒子の凝集物粒子を機械的に粉砕し、分散して調製される。複合微粒子の凝集物粒子を機械的に粉砕し、分散する方法としては、ホモミキサー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、アルティマイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー、クレアミックス等による分散方法が用いられる。
カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の凝集粒子を分散液中で1次粒子の分散体に近い状態にする為には、一般的な分散方法では十分に分散することが出来ず、極めて強い機械力を加える必要がある。そのためには、特に、圧力式分散方法が有効である。
上記圧力式分散方法とは、原料粒子のスラリー状混合物をオリフィス中を、高圧で連続的に通過させて高圧粉砕する方法であり、処理圧力は19.6×106〜343.2×106 Pa(200〜3500kgf/cm2 )であり、より好ましくは49.0×106〜245.3×106 Pa(500〜2500kgf/cm2)であり、さらに好ましくは、98.1×106 〜196.2×106 Pa(1000〜2000kgf/cm2 )である。上記高圧粉砕により処理することによりカチオン化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の1次粒子分散体に近い状態にすることが可能である。
また、前記高圧下でオリフィスを通過させたスラリー状混合物を、さらに、対向衝突させることによる分散、或いは粉砕方式に供することが好ましい。対向衝突による方法は、分散液を加圧しながら、対向衝突分散粉砕装置の入口側に導き、装置内において、導入された分散液を二つの通路に分岐して、さらに流路をオリフィスにより狭めることによって流速を加速し、この二つの分散液流を対向衝突させて、粒子を相互衝突により粉砕する。前記装置中の分散液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗の抑制などの理由からダイヤモンドが好ましく用いられる。
高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルイタイザー、ナノマイザーが用いられ、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルイタイザー、ナノマイザ−を用いることが好ましい。
分散されたカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子は1次粒子分散体に近い状態であり、平均粒子径は10〜150nmの範囲であることが好ましい。10nm未満ではインクジェット記録体に用いる場合、インク吸収性が阻害される恐れがある。一方、150nmを超えると透明性が低下し、インクジェット記録体に用いる場合、印字濃度が出難い問題がある。インク吸収性と印字濃度のバランスから複合微粒子の平均粒径は20〜110nmの範囲が更に好ましく、最も好ましい範囲は30〜70nmである。
本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液の用途に特に制限はない。本発明の複合粒子は透明性の高いカチオン性顔料である為、インクジェット記録体のインク受容層の顔料として用いる場合、高印字濃度、高光沢、耐水性、保存性に優れるインクジェット記録体が得られる。特に、インクジェット記録体の最表層に用いると、より高光沢を得ることが可能である。以下、インクジェット記録体に用いる場合について詳しく説明する。
(支持体)
本発明のインクジェット記録体に用いられる基材の種類、形状、寸法などについては特に制限はなく、インク溶媒吸収性、及び非吸収性基材のいずれから形成されたものでもよい。吸収性基材しては、例えば、上質紙、中質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙等が例示できる。非吸収性基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルムや合成紙、白色フィルム等が例示できる。また、吸収性基材又は非吸収性基材からなる支持体を、非吸収性樹脂で被覆して得られる非吸収性樹脂被覆紙(所謂RC紙)などを用いてもよい。非吸収性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロースジアセテート又はそれらの混合物等を主成分とするものを用いることができるが、ポリエチレンは前記支持体に対する密着性が良好であるので、特にポリエチレンを用いることが好ましい。
基材として非吸収性基材を用いた場合、基材のインク受容層形成面に基材とインク受容層との密着性を向上させる目的で、予め密着処理、又は接着処理を施しておいてもよい。特に非吸収性基材としてRC紙を用いる場合、その樹脂被覆層の表面にコロナ放電処理を施すこと、あるいはゼラチン、又はポリビニルアルコールなどによるアンダーコート層を設けることが好ましい。
基材の裏面に搬送性向上処理、帯電防止処理、ブロッキング防止処理などの処理を施すことも可能である。裏面処理は、例えば、帯電防止剤及びブロッキング防止剤などの化学的処理であってもよく、あるいはコート層を設けるなど適宜他の構成を追加するものであってもよい。
基材の平滑度は特に限定されないが、高光沢、高平滑な面を得るためにはベック平滑度が、300秒(王研式、J. TAPPI No.5)以上であることが好ましい。また、基材の不透明度にも特に限定はないが、銀塩写真ライクな外観(特に視感白色度)を得るためには、その不透明度(JIS P8138)が85%以上であることが好ましく、より好ましくは93%以上である。
(インク受容層として)
本発明のカチオン化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液はインクジェット記録体のインク受容層、特に最表層の形成に使用することが好ましい。インク受容層に用いる場合は複合微細粒子同士を接着するバインダー(接着剤)が必要である。
バインダー(接着剤)としては、水溶性重合体材料(例えば、ポリビニルアルコール、並びに変性ポリビニルアルコール類、例えば、カチオン変性ポリビニルアルコール、及びシリル変性ポリビニルアルコール等)のポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパク質類、デンプン、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロースなどのセルロース誘導体)、及び水分散性樹脂(例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、スチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックス等)などの少なくとも1種が用いられる。上記各種バインダー用重合体材料は、単独に、あるいはその2種以上の混合物として使用される。
本発明に用いられるバインダーにおいては、ポリビニルアルコールが接着効果に優れていることから好ましく使用される。重合度3500以上のポリビニルアルコールを用いると、それを含む水性塗料の粘度が高くなるため、インク受容層の形成の際に熱風による塗膜のひび割れを抑制することができる。また、ケン化度95%以上のポリビニルアルコールをインク受容層の形成に用いると、インク受容層上に噴射されたインクによるポリビニルアルコールの膨潤が少なく、このため、得られるインク受容層のインク吸収性が向上する。
インク受容層に用いる顔料は、本発明の複合微粒子以外に、一般市販の顔料を混合してもよい。一般市販の顔料は、例えば、シリカ(アルミナなどによるカチオン変性シリカを含む)、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ及びアルミナ水和物(χ、κ、γ、δ、θ、η、ρ、擬γ及び擬α−アルミナ、ベーマイト構造、擬ベーマイト構造などの各種結晶形を含む)、炭酸カルシウム、サチンホワイト、ケイ酸アルミニウム、水酸化マグネシウム、フッ化カルシウム、スメクタイト、ゼオライト、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土などから選ばれた1種以上を適宜使用することができる。この中でも、インク受容層に用いた場合に高いインク吸収性を示すアルミナ、及びシリカが好適に用いられ、特にシリカを用いることが好ましい。高印字濃度を得る為には顔料の平均粒子径は3μm以下、好ましくは1μm以下である。配合比率は本発明の複合粒子100部に対して200部以下が好ましい範囲である。
インク受容層に含まれる顔料とバインダー(接着剤)の固形分質量比は、一般に100/2〜200の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは100/5〜100である。バインダー(接着剤)の含有比率が過多であると、得られるインク受容層中の細孔が小さくなり、高いインク吸収速度を有するインク受容層を得ることが困難になることがあり、またそれが過少であるとインク受容層にひび割れが生ずることがある。
該インク受容層は必要に応じて、各種のカチオン樹脂、pH調整剤、濡れ剤、消泡剤などを適宜選択添加される。
(光沢発現層として)
本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液は、上記インクジェット記録体のインク受容層の形成に用いる以外に、光沢発現層(最表層)の形成に用いることが好ましい。
光沢発現層は、インク受容層に高い表面光沢を付与する層であり、光沢以外には、インク中の染料又は顔料をすばやく定着させ、高発色(高い色濃度)、且つ、均一画像(画像ドット形状の高い真円度)、耐擦過が強いことを目的としている。
目的を達成するために、本発明の複合微粒子を含む塗布液でダイレクト方式塗工して得られるが、より好ましくは本発明の複合微粒子を含む塗布液で塗布し、湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着して層を形成させた方がより高光沢が得られやすい(所謂キャスト法)。
光沢発現層には、本発明の複合微粒子以外に他のコロイド顔料(例えば、酸化アルミナゾル、アルミナ水和物ゾル、カチオン処理したシリカゾル、酸性シリカゾルなどが挙げられる)を適宜配合してもよい。高光沢を得る為に、配合比率(質量)は本発明の複合粒子100部に対して50部以下が好ましい範囲である。
光沢発現層の膜強度を上げる為には、光沢発現層にバインダーを配合してもよい。バインダーとしては水不溶性合成樹脂ラテックスが、塗膜強度や光沢発現の面で好ましい。水不溶性合成樹脂ラテックスには格別の制限はなく、例えば、アクリル系樹脂のエマルション、(ポリ)ウレタン系樹脂のエマルション、スチレン系樹脂のエマルション、スチレン−アクリル酸エステル共重合体樹脂のエマルション、スチレン−ブタジエン共重合体系樹脂のエマルション、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体系樹脂のエマルション、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体及び/又は共重合体系樹脂のエマルション、エチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体樹脂のエマルション、或いはこれら重合体又は共重合体を、カルボキシル基などの官能基を含有する単量体により変性された官能基変性重合体樹脂のエマルションなどが挙げられる。特に、塗料の分散安定性からエマルション型のラテックスを主成分にすることが好ましく、中でもアクリル系樹脂のエマルション、(ポリ)ウレタン系樹脂のエマルション、及びスチレン系樹脂のエマルションが塗膜強度と塗料の分散安定性から特に好ましく用いられる。
光沢発現層の光沢及び記録画像の色濃度を高くするためには、エマルション中の樹脂含有粒子の平均粒子径は10〜80nmであることが好ましく、より好ましくは20〜60nmの範囲内にあることである。本発明では、使用される複合微粒子のイオン性がカチオン性であることからラテックスもカチオン性を示すもの、すなわち水不溶性合成樹脂でカチオン性基を有するもの、例えば、カチオン変性されているものが好ましい。また、品質を阻害しない程度で、バインダー中に、上記水不溶性合成樹脂ラテックス以外に、その他のバインダー物質(例えば、水溶性樹脂バインダー)を併用してもよい。
本発明では、インク吸収性を阻害することなく、高い光沢を得るためには、バインダーは顔料100部に対して10部以下の比率(質量)が好ましい。更に好ましくは1〜8部、最も好ましくは2〜5部である。このような塗液を塗布したのちキャスト加工して形成せしめた光沢発現層は多孔性構造を有し、染料・顔料インクの定着性がよく、高光沢で、かつインク吸収性を満足させる。
本発明の複合微粒子を光沢発現層に用いる場合、光沢発現層と隣接する塗工層(第1塗工層)は細孔分布におけるピークを100nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは3〜70nm、最も好ましくは5〜30nmの範囲である。光沢発現層に含有する複合微粒子の平均粒子径よりも、第1塗工層の細孔分布ピークを小さくすることで光沢発現層に含まれる微細顔料が第1塗工層の空隙に浸透することないため、低塗布量で、極めて高い光沢を発現し、一方で第1塗工層の空隙を埋めインク吸収を阻害することなく、高いインク吸収性を維持することが可能となる。「細孔分布のピーク/複合微粒子の平均粒子径」は1/1〜10の範囲、さらに好ましくは1/1.5〜7の範囲である。上記の範囲であれば、染料・顔料インクの定着性、光沢、印字濃度、インク吸収性、耐擦過すべてバランスよく満足することが可能である。
インク受容層の細孔分布のピークは、1nm未満の領域にあると細孔直径の平均値が小さくなりすぎて、インク吸収容量、インク吸収速度などが過小になり、また、前記ピークが100nmを超える領域にあると、層表面及びそれに記録された画像の光沢が不十分になり、ひび割れが多く発生するため記録画像のドットの真円性が低下し、記録画像の均一性が不良になる。
本発明は、形成された光沢発現層及び第1塗工層の細孔分布のピークを1〜100nmの領域に存在させる。つまり、塗膜にひび割れが実質上ない状態に制御し、記録画像の均一性を高めている。第1塗工層の顔料は本発明の複合微粒子、微細酸化アルミナ、アルミナ水和物、シリカを用いた方が好ましい。画像の鮮明性やインクの吸収性から乾式酸化アルミナ、擬ベーマイト、乾式シリカを用いた方が最も好ましい。
インクジェット記録体に高い光沢を付与するために、本発明では光沢発現層が湿潤状態にある間にこれを加熱された鏡面、例えば鏡面ドラムに圧着し、鏡面を塗工層に写し取る、所謂キャスト法仕上げを行なうことが有効である。この時、光沢面取りと乾燥効率を高くするためには、加熱された鏡面の表面温度は80〜120℃の範囲内にコントロールされることが好ましい。圧着された鏡面から光沢発現層を剥離しやすくする為に、離型剤、例えば、ステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、オレイン酸アンモニウムなどを光沢発現層中に含有させてもよく、或は、鏡面に塗布してもよい。本発明では、これらの中でも、特に、カチオン系離型剤を用いることが好ましい。光沢発現層中の離型剤の添加量は、特に限定はないが、一般に、顔料100質量部に対して0.5〜10質量部であることが好ましい。
光沢発現層の乾燥固形分塗布量は、0.1〜10g/m2の範囲内にあることが好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましく、0.5〜2g/m2がさらに好ましい。塗工量が過少であると、塗膜が過度に薄くなり、光による干渉色が生じやすく、一方、塗工量が過度であると、インク吸収速度が著しく低下するおそれがある。
(その他の塗工層)
本発明において、基材上に形成されているインク受容層は、本発明の複合微粒子を含有する塗工層1層で構成されてもよい。また、前述したように、本発明の複合微粒子を光沢発現層に用い、光沢発現層と、光沢発現層に隣接する第1塗工層の2層構成でもよい。勿論、基材上に基材と前記インク受容層の密着性の改良、インク吸収性の改善、表面光沢性の改善などの目的で、さらに別の塗工層を設けてもよい。
この別の塗工層に用いる顔料としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、アルミナシリケート、カオリン、クレー、焼成クレー、酸化亜鉛、酸化錫、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、スメクタイト、ゼオライト、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、珪藻土、スチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂系プラスチックピグメント等、一般の塗被紙分野で公知公用の各種顔料を単独で又は2種以上混合して使用する。
バインダーとしては、ポリビニルアルコールのような水溶性樹脂バインダーや水不溶性合成樹脂ラテックス類が挙げられる。 顔料/バインダー比率は質量比で100/5〜100の範囲が調整されるのが好適である。
また、必要に応じて、各種カチオン樹脂、pH調整剤、濡れ剤、消泡剤などが適宜選択添加される。
(その他)
本発明のインクジェット記録シートにおいて、インク受容層或いは光沢発現層中に、画像耐光性向上剤として、フェノール化合物、ホウ酸、ホウ酸塩及びシクロデキストリン化合物から成る群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含有させることもできる。インク受容層が2層以上の積層構造を有する場合には、画像耐光性向上剤はインク受容層中の最外記録層中に含有させるのが好ましい。
前記インク画像の耐光性向上剤のインク受容層に対する添加量は、カチオン性複合微細粒子の組成に応じて、インク受容層のインク吸収性を阻害しない範囲内で適宜設定される。
インク受容層の塗工量に制限はないが、一般に、合計1〜60g/m2 であることが好ましく、より好ましくは2〜40g/m2である。インク受容層の塗工量が1g/m2 未満では、均一で高平滑なインク受容層が得られないことがあり、また、それが60g/m2を超えると効果が飽和する。
インク受容層を形成するためのコーターとしては、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スライドビードコーターなど、公知の各種塗工装置を用いることができる。
本発明のインクジェット記録体にインクジェット記録するためのインクは、像を形成するための色素とこの色素を溶解または分散するための液媒体を必須成分として含み、必要に応じて各種分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、比抵抗調整剤、pH調整剤、防かび剤、記録剤の溶解または分散安定化剤等を添加して調製される。
インクに使用される染料又は顔料としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食用色素、分散染料、油性染料及び各種着色顔料等が用いられ、それぞれ従来の染料又は顔料から選択することができる。インク中の前記染料及び顔料の含有量は、インクの溶媒成分の種類、インクに要求される特性などに依存して設定されるが、本発明に使用されるインクの場合も、従来のインク中における染・顔料の含有量、即ち、0.1〜20質量%程度に設定することができる。
前記インク用溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、、ポロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個のアルキレングリコール類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、グリセリン、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(エチ

ル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類などが挙げられる。
本発明を下記実施例により具体的に説明する。但し、これらの実施例は本発明の範囲を制限するものではない。また、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り、水を除く固形分の質量部および質量%を示す。
実施例1
[シリカ分散液a]
カチオン性樹脂ジアリルアミン系重合物(日東紡社製、商品名:PAS−H−10L、分子量:約20万、4級アンモニウム)5%水溶液100g中に、攪拌しながら20%の酸性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、粒子径:45nm)500gを徐々に投入し、さらに100gの水を添加した後、ホモミキサー(回転速度:1500rpm)で30分ほど分散した。その分散液を対向衝突型粉砕分散装置マイクロフルイタイザー(Microfluidics社製、型番:M110/EH)を用いて、1200Kg/cm2の圧力で粉砕分散作業を繰り返し、平均粒子径が65nm(単分散体の含有率は80%)の分散液を作製した。
実施例2
[シリカ分散液b]
カチオン性樹脂をジアリルアミン系重合物(日東紡社製、商品名:PAS−H−5L、分子量:約5万、4級アンモニウム)に変更した以外は、実施例1と同様に平均粒子径が65nm(単分散体の含有率は80%)の分散液を作製した。
実施例3
[シリカ分散液c]
実施例2と同様に、平均粒子径が49nm(単分散体の含有率は92%)の分散液を作製した。
実施例4
[シリカ分散液d]
実施例2と同様に、平均粒子径が46nm(単分散体の含有率は98%)の分散液を作製した。
実施例5
[シリカ分散液e]
カチオン性樹脂を5員環アミジン構造単位を有するポリビニルアミン共重合体アンモニウム塩酸塩(ハイモ社製、商品名:ハイマックスSC−700、分子量30万、1級アミン)に変更した以外は実施例3と同様の方法で、平均粒子径が49nm(単分散体の含有率は92%)の分散液を作製した。
実施例6
[シリカ分散液f]
カチオン性樹脂を5員環アミジン構造を有する重合単位を有するポリビニルアミン共重合体アンモニウム塩酸塩(ハイモ社製、商品名:ハイマックスSC−700M、分子量:約3万、1級アミン)に変更した以外は実施例5と同様の方法で分散し、平均粒子径が49nm(単分散体の含有率は92%)の分散液を作製した。
実施例7
[シリカ分散液g]
カチオン性樹脂をジアリルアミン系重合物(日東紡社製、商品名:PAS−M−1、分子量:約2万、3級アミン)に変更した以外は実施例5と同様の方法で分散し、平均粒子径が49nm(単分散体の含有率は92%)の分散液を作製した。
実施例8
[シリカ分散液h]
カチオン性樹脂をジアリルアミン系重合物(日東紡社製、商品名:PAS−92、分子量:約5千、2級アミン)に変更した以外は実施例5と同様の方法で分散し、平均粒子径が49nm(単分散体の含有率は92%)の分散液を作製した。
実施例9
[シリカ分散液i]
カチオン性樹脂をアリルアミン系重合物(日東紡社製、商品名:PAA−10C、分子量:6万、1級アミン)に、コロイダルシリカをpH違いのコロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−20L、平均粒径:45nm)に変更した以外は、実施例5と同様の方法で分散し、平均粒子径が49nm(単分散体の含有率は92%)の分散液を作製した。
実施例10
[シリカ分散液j]
コロイダルシリカを粒度分布が均一なコロイダルシリカ(触媒化成社製、商品名:SI−50、平均粒子径 21〜30nm)に変更した以外は、実施例5と同様の方法で分散し、平均粒子径が35nm(単分散体の含有率は92%)の分散液を作製した。
比較例1
[シリカ分散液k]
カチオン性樹脂としてジアリルアミン系重合物(日東紡社製、商品名:PAS−H−10L、分子量:約20万、4級アンモニウム)5%水溶液100g中に、攪拌しながら20%の酸性コロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、粒子径:45nm)500gを徐々に投入し、さらに100gの水を添加した後、ホモミキサー(回転速度:3000rpm)で60分ほどの強分散した。平均粒子径が90nm(単分散体の含有率は60%)の分散液を得た。
比較例2
[シリカ分散液l]
米国特許3007878号(特許文献9)、特開昭47−26959(特許文献10)の方法で塩基性塩化アルミニウムによりコロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、粒子径:45nm)表面をアルミナに荷電した。
[インクジェット記録シートの作製]
[基材A]
標準ろ水度(JIS P−8121)が250mlになるまで叩解した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)と、標準ろ水度が280mlになるまで叩解した広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)とを、質量比2:8の割合で混合し、濃度0.5質量%のパルプスラリーを調製した。このパルプスラリー中に、パルプ絶乾質量に対し、カチオン化澱粉2.0%、アルキルケテンダイマー0.4%、アニオン化ポリアクリルアミド樹脂0.1%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂0.7%を添加し、十分に攪拌して抄紙用パルプスラリーを調製した。上記組成のパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、得られた湿紙をドライヤー、サイズプレス、マシンカレンダーを通し、坪量180g/m2、密度1.0g/cm3の原紙を製造した。上記サイズプレス工程に用いたサイズプレス液は、カルボキシル変性ポリビニルアルコールと塩化ナトリウムとを、2:1の質量比で混合し、これを水に加えて加熱溶解し、濃度5%に調製したものであり、このサイズプレス液を未サイズプレス原紙の両面に、合計25ml/m2の塗布量になるように塗布してサイズプレス原紙を作製した。
[基材B]
前記基材Aの両面に、コロナ放電処理を施した。
別に、下記のポリオレフィン樹脂組成物をバンバリーミキサーで混合撹拌して調製した。長鎖型低密度ポリエチレン樹脂(密度0.926g/cm3、メルトインデックス20g/10分)35部、低密度ポリエチレン樹脂(密度0.919g/cm3、メルトインデックス2g/10分)50部、アナターゼ型二酸化チタン(石原産業社製、商標:A−220)15部、ステアリン酸亜鉛0.1部、酸化防止剤(チバガイギー社製、商標:Irganox1010)0.03部、群青(第一化成社製、商標:青口群青No.2000)0.09部、蛍光増白剤(チバガイギー社製、商標:UVITEX OB)0.3部を混合してポリオレフィン樹脂組成物を調製した。
前記基材Aの原紙のフェルト面側に、前記ポリオレフィン樹脂組成物を塗工量が28g/m2になるように、また前記ポリオレフィン樹脂組成物を、前記サイズプレス原紙のワイヤー面側に塗工量が18g/m2になるように、T型ダイを有する溶融押し出し機(溶融温度320℃)で塗布し、基材の原紙のフェルト面側を鏡面ロールにより、また基材の原紙のワイヤー側を粗面のクーリングロールで冷却固化して、平滑度(王研式、J.TAPPI No.5)が6000秒、不透明度(JIS P−8138)が93%の基材Bを得た。
実施例11
[無機顔料−カチオン性樹脂複合微細粒子の水性分散液A]
市販フュームドシリカ(トクヤマ社製、商標、レオロシールQS−30、比表面積300m2/g、平均一次粒子径:約9nm)を、ホモミキサーにより水中において分散粉砕する工程と、その後に、ナノマイザーを用いて粉砕分散する工程との組み合わせを繰り返し、得られた分散液を分級して、平均二次粒子径が80nmのシリカ微細粒子の10%分散液を調製した。この分散液のシリカ固形分換算100部に、カチオン性樹脂として5員環アミジン構造を有するポリビニルアミン共重合体アンモニウム塩酸塩(ハイモ社製、商標:ハイマックスSC−700、分子量30万)11部(固形分換算)を混合し、増粘した凝集体分散液を得た。この増粘した凝集体分散液に再度、ホモミキサーにより分散し、さらにナノマイザーを用いる粉砕分散処理を繰り返し、平均2次粒子径が100nmの無機顔料−カチオン性樹脂複合微細粒子の水性分散液A(固形分濃度:11%)を調製した。
(インク受容層の塗液の調製)
上記で調製した無機顔料−カチオン性樹脂複合微細粒子の水性分散液A100部とポリビニルアルコール17部(ケン化度98.5%、重合度4000のポリビニルアルコール水溶液)とを混合し、固形分合計濃度9%の塗布液を調製した。この塗布液をダイコーターを用いて基材原紙Aの表面に乾燥質量塗工量が17g/m2になるように塗工し、塗工直後に、3%の硼砂水をスプレーコーターで2g/m2塗工後、120℃の送風乾燥機で乾燥してインク受容層を形成した。
(光沢発現層の塗液の調製)
実施例1で調製した分散液a100部、カチオン変性アクリルエマルションラテックス(平均粒径:45nm)バインダー2部、ステアリン酸アミド5部の10%混合水溶液を上記インク受容層上に2g/m2塗布し、直ちに100kg/cmの圧力で表面温度95℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、ドラムから剥離してインクジェット記録体を得た。なお、塗料の分散安定性は良好だった。
実施例12
実施例11の分散液aを実施例2で調製した分散液bに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
実施例13
実施例11の分散液aを実施例3で調製した分散液cに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
実施例14
実施例11の分散液aを実施例4で調製した分散液dに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
実施例15
実施例11の分散液aを実施例5で調製した分散液eに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
実施例16
実施例11の分散液aを実施例6で調製した分散液fに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
実施例17
実施例11の分散液aを実施例7で調製した分散液gに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
実施例18
実施例11の分散液aを実施例8で調製した分散液hに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
実施例19
実施例11の分散液aを実施例9で調製した分散液iに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
実施例20
(インク受容層の塗液の調製)
実施例11で調製した無機顔料−カチオン性樹脂複合微細粒子の水性分散液A100部とポリビニルアルコール18部(ケン化度98.5%、重合度4000のポリビニルアルコール水溶液)とを混合し、固形分合計濃度9%の塗布液を調製した。この塗布液をダイコーターを用いて基材Bの表面に乾燥質量塗工量が21g/m2になるように塗工し、塗工直後に、3%の硼砂水をスプレーコーターで2g/m2塗工後、120℃の送風乾燥機で乾燥してインク受容層を形成した。
(光沢発現層の塗液の調製)
分散液i 100部、カチオン変性アクリルエマルションラテックス(平均粒径:45nm)バインダー1部、ステアリン酸アミド5部の10%混合水溶液を上記インク受容層上に2g/m2塗布し、直ちに200kg/cmの圧力で表面温度95℃の鏡面ドラムに圧着し、未乾燥状態でドラムから剥離した後、ドライヤーで乾燥してインクジェット記録体を得た。なお、塗料の分散安定性は良好だった。
実施例21
(インク受容層の塗液の調製)
平均粒子径500nmの湿式シリカ(グレース社製、商品名:705A)100部とポリビニルアルコール20部(ケン化度98.5%、重合度4000のポリビニルアルコール水溶液)とを混合し、固形分合計濃度15%の塗布液を調製した。この塗布液をダイコーターを用いて基材Aの表面に乾燥質量塗工量が20g/m2になるように塗工乾燥し、第2インク受容層を形成した。
さらに、実施例11で調製した無機顔料−カチオン性樹脂複合微細粒子の水性分散液A100部とポリビニルアルコール18部(ケン化度98.5%、重合度4000のポリビニルアルコール水溶液)とを混合し、固形分合計濃度9%の塗布液を調製した。この塗布液をダイコーターを用いて第2インク受容層に塗工量が5g/m2になるように塗工・乾燥して、第1インク受容層を得た。
(光沢発現層の塗液の調製)
分散液f100部、カチオン変性アクリルエマルションラテックス(平均粒径:45nm)バインダー2部、ステアリン酸アミド5部の10%混合水溶液を、第1インク受容層上に2g/m2塗布し、直ちに100kg/cmの圧力で表面温度95℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、ドラムから剥離してインクジェット記録体を得た。なお、塗料の分散安定性は良好だった。
実施例22
実施例21において分散液fを分散液jに変更した以外は、実施例21と同様の方法でインクジェット記録体を得た。
比較例3
実施例11の分散液aを分散液kに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
比較例4
実施例11の分散液aを分散液lに変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
比較例5
(光沢発現層の塗液の調製)
実施例11の分散液aをコロイダルシリカ(日産化学社製、商品名:ST−OL、10%水溶液に調整後使用)に、カチオン変性アクリルエマルションラテックス(平均粒径:45nm)バインダー2部をアニオン性アクリルエマルションラテックス(平均粒径:45nm)バインダー2部に、ステアリン酸アミド5部をオレイン酸アンモニウム5部に変更した以外は、実施例11と同様の方法でインクジェット記録体を作製した。
[評価方法1]
実施例1〜9及び比較例1〜2の分散液の透明性、分散安定性を下記の方法で評価した。その結果を表1に示す。
(透明性)
実施例と比較例で得られた分散液をカチオン処理前のコロイダルシリカゾルの透明性と比較して、下記の方法で評価した。
○:ほぼ同等の透明性を有する。
△:多少落ちる程度で、処理前のコロイダルシリカゾルに近い透明性を有する。
×:処理前のコロイダルシリカゾルと比べて明かに透明性が劣る。
(分散安定性)
分散液粘度が実施例と比較例で得られた直後の分散液粘度の5倍に達した静置日数で評価した。
○:1ヶ月以上。
△:1週間以上、1ヶ月未満。
×:1週間未満。
[評価方法2]
実施例10〜21、比較例3〜5で得られたインクジェット記録体の光沢性、インク吸収性、印字濃度、保存性、並びに顔料擦過性を下記方法により評価した。その結果を表2に示す。
光沢性、インク吸収性、印字濃度、保存性は市販の染料インクジェットプリンター(エプソン社製、モデル:PM−G800)で評価した。顔料擦過性は顔料インクジェットプリンター(エプソン社製、モデル:PX−G900)を用いた。
(光沢性)
ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、印字物の光沢感を目視で評価した。
◎:銀塩写真並の高い光沢感
○:印刷紙並の光沢感
×:全く光沢感がない。
(インク吸収性)
供試インクジェット記録体にグリーン色及びブルー色のベタ印画を施し、そのインク吸収性を目視観察し、その結果を下記の方法で評価した。
○:インク吸収速度が速く、インクの溢れとビーディングなし。
×:インクの溢れとビーディングあり。
(印字濃度)
得られたインクジェット記録体に、黒のベタ印画を施し、24時間放置後、マクベス反射濃度計(Macbeth RD−920)で測定した。
(保存性)
得られたインクジェット記録体に、ISO−400の画像(「高精細カラーディジタル標準画像データISO/JIS−SCID」、p13、画像名称:果物かご)を印字し、一般のオフィス部屋の壁に50日間貼り付け、画像の退色を下記の方法で評価した。
◎:退色が殆ど見られない。
○:退色が少なく、よいレベル。
△:退色が認められるが、実用上問題ないレベル。
×:退色が大きい。
(耐擦過性)
得られたインクジェット記録体に、黒のベタ印画を施し、5分経過後、印字部を爪でこすり、下記の方法で評価した。
○:インクが殆ど取れない。
△:インクは取れるが、実用上問題ないレベル。

×:インクが取れやすく、実用上不可レベル。
Figure 2006175705

Figure 2006175705
表1から明かなように、本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子はコロイダルシリカの透明性を損なうことなく、かつ分散安定性が良好なほぼ1次粒子状態のカチオン性微粒子顔料である。
表2から明らかなように本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子はインクジェット記録用インクに対し優れた受容性及び固着性を有し、特に、インクジェット記録体の最表層に含有せしめると、インク吸収性の維持と高印字濃度、高光沢、耐擦過性に優れるインクジェット記録体が得られる。また、カチオン性化合物を適宜選択することによって、受容された画像は保存性に優れるインクジェット記録体が得ることが可能である。
本発明のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液は、実用上優れた分散性及び安定性を有し、それを用いて製造されたインクジェット記録体は、光沢性、インク吸収性、保存性並びに顔料インク擦過性に優れているので、本発明の複合微細粒子の水性分散液及びインクジェット記録体はともに極めて実用性の高いものである。

Claims (13)

  1. カチオン性化合物とコロイダルシリカを混合して形成した凝集粒子を分散液中で機械的手段により粉砕して形成されている、少なくとも70%以上がカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の1次粒子として存在し、該1次粒子がカチオン性化合物を介して結合している複合微粒子の2次粒子が30%未満であることを特徴とする、カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
  2. 前記シリカ微粒子の平均粒子径が10〜80nmであり、前記カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の平均粒子径が10〜150nmである、請求項1記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
  3. 前記機械的手段による粉砕が、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー及び液流衝突式ホモジナイザーから選ばれる少なくとも一つの機械的手段による粉砕である、請求項1又は2に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
  4. 前記カチオン性化合物がカチオン性ポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
  5. 前記カチオン性ポリマーは、1級〜3級のカチオン性ポリマーである、請求項4記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
  6. 前記カチオン性ポリマーは、1万〜10万の重量平均分子量を有するポリマーである、請求項4又は5に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
  7. 前記複合微粒子の分散液中のシリカ微粒子とカチオン性化合物の質量比は100:1〜15の範囲内にある、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
  8. 前記シリカ微粒子の平均粒径は20〜60nmである、請求項1〜7のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液を製造する方法であって、カチオン性化合物とコロイダルシリカを混合してカチオン性化合物とシリカ微粒子からなる複合微粒子の凝集物の分散液を形成する工程と、該複合微粒子の凝集物を分散液中で機械的手段により粉砕して、少なくとも70%以上がカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の1次粒子として存在し、該1次粒子同士がカチオン性化合物を介して結合している複合微粒子の2次粒子が30%未満である分散液を調製する工程を有することを特徴とする、カチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液を製造する方法。
  10. 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液を含む塗布液によって形成されている少なくとも1層のインク受容層を、支持体上に有することを特徴とするインクジェット記録体。
  11. 前記請求項1〜8のいずれか1項に記載のカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の分散液を含む塗布液によって形成されている光沢発現層を、インクジェット記録体の最表層に有することを特徴とするインクジェット記録体。
  12. 前記光沢発現層に隣接するインク受容層は、細孔分布のピークが100nm以下の塗工層であることを特徴とする請求項11記載のインクジェット記録体。
  13. 前記光沢発現層に隣接するインク受容層における細孔分布のピークと前記光沢発現層におけるカチオン性化合物−シリカ微粒子からなる複合微粒子の平均粒子径の比が、「細孔分布のピーク/複合微粒子の平均粒子径=1/1〜10」の範囲であることを特徴とする請求項12記載のインクジェット記録体。



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