上記課題を解決するために本発明パチンコ遊技機は、前面ガラスに面する第1遊技領域と、この第1遊技領域の後方に形成される第2遊技領域とを備えるとともに、それぞれの遊技領域に玉の流下方向を変更する障害物或いは玉を受け入れる受入口が配置されたパチンコ遊技機において、
第1遊技領域と第2遊技領域とにまたがって前後方向に、それら遊技領域を横断するように延びて筒状形態をなし、その筒状部の内側に第1遊技領域及び第2遊技領域とは区画された第3遊技領域を形成する遊技空間形成部材と、
遊技空間形成部材に設けられ、所定の始動条件の成立に応じて閉鎖状態から開放状態へと変化し、第1遊技領域を流下する玉が第3遊技領域に入賞することを可能な状態とする前面可変入賞口と、
遊技空間形成部材に設けられ、所定の始動条件の成立に応じて閉鎖状態から開放状態へと変化し、第2遊技領域を流下する玉が第3遊技領域に入賞することを可能な状態とする後面可変入賞口と、
を備えたことを特徴とする。
上記本発明のパチンコ遊技機は、第1遊技領域と、この第1遊技領域の後方に第2遊技領域とを備えた構成とし、その第1遊技領域と第2遊技領域とにまたがって前後方向に、それら遊技領域を横断するように延びて、第1遊技領域及び第2遊技領域とは区画された第3遊技領域を形成する筒状形態の遊技空間形成部材を備えており、第1遊技領域と第2遊技領域とに加え第3遊技領域が形成される。そして、所定の始動条件の成立に応じて開放状態となる前面可変入賞口と後面可変入賞口とが設けられ、第1遊技領域及び第2遊技領域からその第3遊技領域への入賞が可能となるように構成されており、第1遊技領域及び第2遊技領域のいずれの遊技領域を流下した玉も新しい第3遊技領域に入る可能性があり、その第3遊技領域へ入るルートが増え、遊技者に従来にない遊技性を提供でき、遊技者の興趣をさらに高めることができる。
その際、第1遊技領域または第2遊技領域の少なくともいずれかの遊技領域に設けられた始動口と、この始動口への入賞に応じて、前面可変入賞口または後面可変入賞口の少なくともいずれかの可変入賞口を閉鎖状態から開放状態へと変化させる開放制御を実行する開放制御手段とを備えることができる。このように始動口への入賞を条件として、第1遊技領域及び第2遊技領域のいずれの遊技領域を流下した玉も新しい第3遊技領域に入賞が可能となるようにできる。
また、その際、開放制御手段は、所定の大当たり条件の成立に応じて、前面可変入賞口または後面可変入賞口の少なくともいずれかの可変入賞口を断続的に開放状態とする開放制御を、所定の数だけ繰り返し実行するようにできる。そして、例えば大当たり条件は、第3遊技領域に設けられた特定入賞口への入賞とすることができる。このように、いわゆる第2種パチンコ遊技機(ハネ物と称されるパチンコ遊技機)において、第1遊技領域及び第2遊技領域に加え、さらに新しい第3遊技領域を備えたことで、前後のいずれの遊技領域からも第3遊技領域に入る可能性があり、大当たりの可能性が拡がり、従来にない遊技性を提供でき、遊技者の興趣をさらに高めることができる。第3遊技領域をパチンコ遊技機の中央に形成することで、この第3遊技領域を形成する遊技空間形成部材としての役物装置を中央役物と呼ぶこともできる。
(実施例)
以下、本発明の実施の形態につき、図面に示す実施例を参照して説明する。図1は本発明のパチンコ遊技機1の正面模式図である。パチンコ遊技機1は、台枠2に蝶番3を介して開閉可能に取り付けられた透明ガラス扉10と、台枠2の内側に配置されてガラス扉10によって覆われ、円状に前面遊技領域20a(第1遊技領域)を形成する透明板状の前面遊技盤20と、この前面遊技盤20の後方に同じく円状に後面遊技領域30a(第2遊技領域)を形成する後面遊技盤30とを有する。
前面遊技盤20と後面遊技盤30とは積層状態をなし、前面遊技盤20が透明板で形成され、後面遊技領域30aは遊技者から透視可能となっている。前面遊技盤20と後面遊技盤30とが積層状態で遊技可能状態にある。これら遊技盤20,30の下方には、玉供給皿4が設けられている。玉供給皿4に準備された玉は、ハンドル5を含んで構成される玉発射機構によって遊技盤20,30のいずれか一つに打ち込まれるように発射される。実施例では後面遊技領域30aに玉が打ち込まれる例を示している。後面遊技盤30に達した玉は、その遊技盤30の面上(後面遊技領域30a)を落下する。
図2はガラス扉10の正面図である。ガラス扉10は、方形状のガラス枠板11に方形状のガラス板12が嵌め込まれており、ガラス枠板11の円状の開口部11aよりガラス板12を通して遊技領域が透視可能となっている。ガラス枠板11の一側端(前面側から見て左方)の上下2箇所に、蝶番3の軸部3a,3aが取付けられている。
図3は前面遊技盤20及び後面遊技盤30の正面図、図4は前面遊技盤20及び後面遊技盤30の斜視図である。前面遊技盤20は、方形状の透明板21の中央に前面遊技領域20aが形成されている。後面遊技盤30は、方形板状をなし方形状の台枠2の内側の凹部6に固定されている。凹部6は、ガラス扉10側を前方側、台の裏側にあたる側を後方側としたとき、前後方向に所定深さを有して形成されている。後面遊技盤30の中央に後面遊技領域30aが形成されている。台枠2の一側面(前面側から見て左方)の上下2箇所に、蝶番3の軸部3a,3aと嵌合する軸受部3b,3bが設けられている。軸部3a,3aが軸受部3b,3bと係合した状態で、ガラス扉10は台枠2に開閉自在に取付けられている。
前面遊技盤20には、透明板21の一側端(前面側から見て左方の位置)の上部と下部に突出して枢軸部22,22が設けられている。一方台枠2の凹部6を形成する上面壁6aと底面壁6bとの前面側から見て左方位置には、前面遊技盤20の枢軸部22,22と嵌合する軸受穴7,7が形成されている。枢軸部22,22が軸受穴7,7に嵌合した状態で、前面遊技盤20は台枠2に回動自在に取付けられる。
そして、透明板21の枢軸部22,22が設けられた側とは反対側(前面側から見て右側)の位置に、前面遊技盤20の移動を不可とするロック部材として側面より出没自在にスライド式係止片23,23が設けられている。係止片23,23には把手部23aが形成され、把手部23aが操作されることによりスライドする。一方台枠2の凹部6の前面側から見て右方の側面壁6cには、係止片23,23が側面より出現状態のときに、嵌合して係止する係止穴8,8が設けられている。係止片23,23が係止穴8,8に係止した状態で前面遊技盤20は、ロックされ台枠2に固定された状態を呈する。ロックされた状態で前面遊技盤20と後面遊技盤30とは積層状態となり、遊技可能状態となる。係止片23,23をスライドさせて、非出現状態としロックを解除することにより、前面遊技盤20は枢軸部22,22を中心にして回動可能となり、後面遊技盤30と離間した状態(遊技不可状態)に移動ができる。
前面遊技盤20は、ガラス扉10と後面遊技盤30との間に層状に配置され、かつ回動自在に設けられる。ガラス扉10を開けて係止片23,23をスライドさせる(ロックを解除する)ことにより、前面遊技盤20が後面遊技盤30と離間した状態を呈し、後面遊技領域30aの釘調整や清掃などのメンテナスを行うことができる。
なお、台枠2の前面側から見て右方中央位置に施錠手段として施錠部材(例えばシリンダー錠)9が取付けられている。遊技店の店員らが施錠部材9に鍵を挿入して回転するなどの操作をすることにより、ガラス扉10を開いた状態とすることができるようにしている。なお、台枠2は、遊技台を固定する機枠(図示せず)に回動自在に枢支された構成となっており、開け閉めされるものである。
次に、前面遊技盤20及び後面遊技盤30の盤面上の構成について説明する。パチンコ遊技機1の中央には、前面遊技領域20aと後面遊技領域30aとにまたがって前後方向にそれら遊技領域を横断するように、内側に前面遊技領域20a及び後面遊技領域30aとは区画された遊技空間50(第3遊技領域)を形成する役物装置51(遊技空間形成部材)が設けられている。
図5は役物装置を正面からみて立体的に表した図、図6は図5のA−A断面図である。役物装置51は、前面が開口し前後方向に延びた筒状形態をなした一つのハウジング(筐体)で構成され、後面遊技盤30に取付けられている。役物装置51は、ほぼ左右対象に構成されている。役物装置51は、前後方向に延びた筒状の役物装置本体52(筒状部)により前面遊技領域20a及び後面遊技領域30aと区画された遊技空間50が形成されている。後面遊技盤30と積層状態に配置される前面遊技盤20には、筒状の役物装置本体52が挿通可能な挿通孔24が形成され、役物装置51は後面遊技盤30に、前面遊技盤20に対し突出すように取付けられている。前面遊技盤20は、前述のように回動自在に構成されており、回動時に役物装置本体52が挿通孔24をスムーズに通るように、役物装置本体52の外面寸法より大とし所定の隙間を形成するように挿通孔24の孔の大きさが定められている。
役物装置本体52は、中央が高い山形状に形成された上面壁52aと、その上面壁52a下端から垂直に下方に延びた側面壁52b,52bとを有している。 役物装置51は、左右側面壁52b,52bのそれぞれ上部に設けられ、後面遊技領域30aを流下する玉が遊技空間50に入賞可能な後面大入賞口53,53(第1大入賞口ともいう、以下53で代表させることもある:後面可変入賞口)と、同じく左右側面壁52b,52bのそれぞれ上部において後面大入賞口53,53の前側に位置して設けられ、前面遊技領域20aを流下する玉が遊技空間50に入賞可能な前面大入賞口54,54(第2大入賞口ともいう、以下54で代表させることもある:前面可変入賞口)とを備える。
後面大入賞口53,53には、入賞口に可動部材として後面ハネ部材53a,53aが可動自在に設けられ、その後面ハネ部材53a,53aが動作時に閉鎖状態から開放状態へ変化することによって、玉の入賞が不可能または困難である状態から、玉の入賞が可能な状態となる。また、前面大入賞口54,54には、同様に、入賞口に可動部材として前面ハネ部材54a,54aが可動自在に設けられ、その前面ハネ部材54a,54aが動作時に閉鎖状態から開放状態へ変化することによって、玉の入賞が不可能または困難である状態から、玉の入賞が可能な状態となる。
役物装置本体52の下部には、遊技空間50の下部を横断するように、前方側(ガラス扉10側)が低くなるように傾斜した平坦面をなす下部ステージ面55が設けられている。下部ステージ面55の前方側には、中央にV入賞口56(特定入賞口)と、このV入賞口56の左右両側に横長に開口部を有しハズレ玉の受入部となるハズレ入賞口57とが設けられている。
役物装置本体52の遊技空間50内には、その遊技空間50の上部を横断するようにして、かつ後面大入賞口53より低い位置に、後方側が低くなるように傾斜した平坦面をなす上部ステージ面58が設けられている。上部ステージ面58の後方側には、役物装置本体52の後面壁52dとの間に玉の通過口59が設けられている。また、役物装置本体52の遊技空間50内には、その遊技空間50の中間部分を横断するようにして、かつ前面大入賞口54より低い位置に、後方側が低くなるように傾斜した平坦面をなす中間ステージ面61が設けられている。中間ステージ面61の後方側には、役物装置本体52の後面壁52dとの間に玉の通過口62が設けられている。なお、上部ステージ面58の前後方向の幅は、中間ステージ面61のそれよりも短く形成され、上部ステージ面58の前方側において玉の通過口60が形成され、前面大入賞口54から遊技空間50に入った玉、或いは後面大入賞口53から遊技空間50に入ったが玉が、通過して中間ステージ面61上に落下するように構成されている。
下部ステージ面55上には、玉に接触して玉の流下方向及び流下速度を変化させる障害突起62が複数設けられている。障害突起62は、玉の通過が可能となるように、相互に所定間隔を維持して設けられる。
なお、後面大入賞口53の近傍には、第1大入賞口入賞検出器85(図10参照)が設置されるとともに、前面大入賞口54の近傍には、第2大入賞口入賞検出器86が設置され、これにより後面大入賞口53及び前面大入賞口54への玉の入賞が検出される。また、V入賞口56の近傍には、V入賞検出器87が設置され、これによりV入賞口56への入賞が検出されるようにしている。
後面遊技盤30において、役物装置51の真下には、ラウンド数などを表示する液晶式の表示部32が配設されている。役物装置51の下方左右には、第1始動入賞口33(始動口)と第2始動入賞口34(始動口)とが設けられるとともに、役物装置51の下方中央には、第3始動入賞口35(始動口)が設けられている。それら第1,第2,第3始動入賞口33,34,35の近傍には、それら入賞口への入賞を検出する第1,第2,第3始動入賞検出器82,83,84が設置されている。第1始動入賞口33または第2始動入賞口34に玉が入賞すると、後面大入賞口53,53の後面ハネ部材53a,53aが1秒間1回開放する動作が行われる。また、第3始動入賞口35に玉が入賞すると、前面大入賞口54,54の前面ハネ部材54a,54aが1秒間2回開放する動作が行われる。すなわち後面大入賞口53,53と前面大入賞口54,54とでは、開閉動作が異なるように設定されている。後面遊技盤30の中央最下部には、玉を回収するための後面アウト口36が設けられている。
そして、前面遊技領域20aと後面遊技領域30aとの間を玉が移動する移動口が前面遊技盤20に複数設けられている。役物装置51の上方中央に前面移動口25、役物装置51の下方の始動入賞口33,34との間の左右に後面移動口26,27がそれぞれ設けられている。
図7は前面移動口の斜視図及び縦断面図である。前面移動口25は、前面遊技盤20から後面遊技領域30aに張出して上面に方形状の開口25aを有する後部樋25bと、前面遊技盤20から前面遊技領域20aに張出して下面に方形状の開口25cを有する前部樋25dとを備えている。それら開口25a及び25cは、前面遊技盤20に設けられた挿通孔225と連通している。開口25a及び25cは、奥行方向(前後方向)に対し左右方向の幅が長く所定幅を有して形成され、その幅の間で玉の通過が可能となっている。これにより後面遊技領域30aに打ち込まれた玉が、開口25aから前面移動口25に入った場合、開口25cより前面遊技領域20aに排出される。
図8は後面移動口の斜視図及び縦断面図である。後面移動口26,27は同じ構造をしており、後面移動口26を代表として説明する。後面移動口26は、前面遊技盤20から前面遊技領域20aに張出して上面に方形状の開口26aを有する前面樋26bを備えている。開口26aは、前面遊技盤20に設けられた挿通孔226と連通している。開口26aは、奥行方向に対し左右方向の幅が長く所定幅を有して形成され、その幅の間で玉の通過が可能となっている。これにより前面遊技領域20aを流下する玉が、開口26aから後面移動口26に入った場合、挿通孔226より後面遊技領域30aに排出される。
図9は始動入賞口の構造を示す。第1始動入賞口33、第2始動入賞口34及び第3始動入賞口35は同じ構造をしており、第1始動入賞口33を代表として説明する。第1始動入賞口33は、上面に方形状の開口33aと、後面に玉が通過可能な円形状の開口33bとを有する樋部33cを備えている。後面の開口33bは後面遊技盤30に設けられた挿通孔333と連通している。第1始動入賞口33に入賞した玉はそのまま台の裏側に導かれる。第1始動入賞口33の近傍には第1始動入賞検出器82が設けられている。
前面遊技盤20の中央最下部には、玉を回収するための前面アウト口28が設けられている。また、後面遊技盤30には、玉が発射装置(図示せず)から打ち出される位置から後面遊技領域30aまで玉を誘導するレールとして、後面レール38が設けられている。さらに、後面遊技盤30には、レール38の飛び出し口から離間して後面遊技領域30aを横断した反対側部分にクッション材で形成された跳ね返し部材39が設けられ、玉の発射強さが強いときに、玉が衝突して後面遊技領域30a上に跳ね返されるようにしている。なお、前面遊技盤20及び後面遊技盤30のそれぞれ面上には玉の流下方向を変更する障害物として、障害釘19が複数設けられている。
次に、図10に示すのは、パチンコ遊技機1の遊技制御装置70の構成を示すブロック図である。遊技制御装置70は、メイン基板71、このメイン基板71に搭載されたCPU72、ROM73、RAM74、入出力回路I/O75、CPU72からの制御信号の出力が接続される表示制御基板76、音声制御基板77、ランプ制御基板78、払出制御基板79、発射制御基板80を含み構成される。パチンコ遊技機1は、ROM73に格納されたパチンコ遊技機1の全体を制御する制御プログラム101、始動入賞処理プログラム102、V入賞処理プログラム103、大当たり処理プログラム104及びラウンド処理プログラム105によって制御される。
玉の通過を検知したとき検知信号を出力する検知スイッチとして、第1始動入賞検出器82、第2始動入賞検出器83、第3始動入賞検出器84、役物装置51に設けられる第1大入賞口入賞検出器85、第2大入賞口入賞検出器86、V入賞検出器87が入出力回路I/O75を介してCPU72に接続されている。第1大入賞口開放用ソレノイド88及び第2大入賞口開放用ソレノイド89が入出力回路I/O75を介してCPU72に接続されている。CPU72からの制御信号により第1大入賞口開放用ソレノイド88が駆動され、役物装置51の後面ハネ部材53a,53aの開閉が制御されるとともに、制御信号により第2大入賞口開放用ソレノイド89が駆動され、役物装置51の前面ハネ部材54a,54aの開閉が制御される。表示制御基板76にはCPU72からの制御信号が入力され、該制御信号に応じてラウンド数などを表示する表示部32の表示が制御される。また、音声制御基板77では音声信号を作成し、音声信号が増幅されスピーカ91から音声が出力される。ランプ制御基板78にはCPU72からの制御信号が入力され制御信号に応じてランプ92が制御される。また、払出制御基板79では制御信号に応じて賞球や貸球の払出装置93を制御する。発射制御基板80では玉の発射装置94を制御する。
次に、具体的な制御手順について、フローチャートを参照しつつ説明する。なお、ROM73に格納された制御プログラム101は、パチンコ遊技機1の全体の制御を司るもので、パチンコ遊技機1への電源投入後に、割込みモードの設定やRAMチェック等の初期化処理、初期化処理の終了後各遊技処理などを実行する公知の内容であるため説明を省略する。各遊技処理の中に含まれる始動入賞処理、V入賞処理、大当たり処理及びラウンド処理について順番に説明する。
ROM73に格納された始動入賞処理プログラム102について、図11及び図12に示すフローチャートにより説明する。図11は第1,第2始動入賞口の処理を示す。第1始動入賞口33または第2始動入賞口34へ入賞があったか否かを判定し(S1)、入賞がない場合、S1に戻る一方、入賞があった場合、第1始動入賞検出器82または第2始動入賞検出器83から入賞を検出する信号が出力される。この信号の取得に基づいて、CPU72から払出を指示する制御信号が払出制御基板79に出力され、払出装置93が作動され所定数の賞球の払出が行われる(S2)。
続いて大当たり中であるか否かを判定し(S3)、大当たり中である場合、リターンする一方、大当たり中でない場合、第1大入賞口53が動作中であるか否かを判定する(S4)。ここで第1大入賞口53が動作中である場合、リターンする一方、動作中でない場合、第2大入賞口54が動作中であるか否かを判定する(S5)。ここで第2大入賞口54が動作中である場合、リターンする一方、動作中でない場合、CPU72から開放を指示する制御信号が第1大入賞口開放用ソレノイド88に出力され、後面ハネ部材53a,53aが1秒間1回開放される(S6)。
第1大入賞口53が開放し、玉は役物装置51の遊技空間50に入賞することができる。遊技空間50に入った玉は、上部ステージ面58を後方側に向かって流下し、通過口59から下部ステージ面55に落下する。玉は、下部ステージ面55を前方側に向かって流下し、V入賞口56に入賞するか、或いはハズレ入賞口57のいずれかに入る。
次に、図12は第3始動入賞口の処理を示す。第3始動入賞口35に入賞があったか否かを判定し(S11)、入賞がない場合、S11に戻る一方、入賞があった場合、第3始動入賞検出器84から入賞を検出する信号が出力される。この信号の取得に基づいて、CPU72から払出を指示する制御信号が払出制御基板79に出力され、払出装置93が作動され所定数の賞球の払出が行われる(S12)。
続いて大当たり中であるか否かを判定し(S13)、大当たり中である場合、リターンする一方、大当たり中でない場合、第1大入賞口53が動作中であるか否かを判定する(S14)。ここで第1大入賞口53が動作中である場合、リターンする一方、動作中でない場合、第2大入賞口54が動作中であるか否かを判定する(S15)。ここで第2大入賞口54が動作中である場合、リターンする一方、動作中でない場合、CPU72から開放を指示する制御信号が第2大入賞口開放用ソレノイド89に出力され、前面ハネ部材54a,54aが1秒間2回開放される(S16)。上記のようにCPU72(開放制御手段)は、第1,第2,第3始動入賞口33,34,35への入賞に応じて、第1大入賞口53または第2大入賞口54を閉鎖状態から開放状態へと変化させる開放制御を実行する機能を有している。
第2大入賞口54が開放し、玉は役物装置51の遊技空間50に入賞することができる。遊技空間50に入った玉は、中間ステージ面61を後方側に向かって流下し、通過口62から下部ステージ面55に落下する。玉は、下部ステージ面55を前方側に向かって流下し、V入賞口56に入賞するか、或いはハズレ入賞口57のいずれかに入る。
次に、ROM73に格納されたV入賞処理プログラム103について、図13に示すフローチャートにより説明する。V入賞口56(Vゾーンともいう)に入賞があったか否かを判定し(S21)、入賞がなかった場合、S21に戻る一方、入賞があった場合、V入賞検出器87から入賞を検出する信号が出力される。この信号の取得に基づいて、CPU72から払出を指示する制御信号が払出制御基板79に出力され、払出装置93が作動され所定数の賞球の払出が行われる(S22)。
続いて大当たり中であるか否かを判定し(S23)、大当たり中でない場合、大当たりフラグをONにする(S24)一方、大当たり中である場合、V入賞フラグをONにする(S25)。第1大入賞口53または第2大入賞口54の開放中に役物装置51の遊技空間50に入賞した玉がV入賞口56に入賞すると大当たり条件成立となる。
次に、ROM73に格納された大当たり処理プログラム104について、図14に示すフローチャートにより説明する。大当たりフラグがONであるか否かを判定し(S31)、ONでない場合、S31に戻る一方、ONである場合、ラウンド数抽選処理が実行される(S32)。本実施例では、ラウンド数抽選処理として、第1大入賞口53と第2大入賞口54との双方を開放するラウンドの継続数(N)を抽選により決定する処理が実行されるようにしている。本実施例では、継続数Nは、「2」、「8」、「16」のうちのいずれかとしている。CPU72(抽選手段)は、大当たりとなったときに、第1,第2大入賞口53,54双方が開放するラウンド継続数Nを抽選により決定する機能を有している。続いて現在ラウンド数(R)を「1」にして(S33)、その後ラウンド処理が実行される(S34)。表示部32には現在のラウンド数が表示される。
次に、ROM73に格納されたラウンド処理プログラム105について、図15に示すフローチャートにより説明する。ラウンド数Rを「1」インクリメントした後(S41)、ラウンド数Rが継続数N未満であるか否かを判定し(S42)、未満である場合、第1,第2大入賞口53,54の開閉動作が開始される(S43)。大当たり中は、第1,第2大入賞口53,54の開閉動作(後面,前面ハネ部材53a,54aの開閉動作)を繰り返し、30秒経過するか、または第1大入賞口53或いは第2大入賞口54に10個入賞するかのいずれかによりラウンド終了となるように設定されている。第1大入賞口53或いは第2大入賞口54において、双方が開放されている場合、いずれかの大入賞口への入賞が10個に達した時点とされる。メイン基板71は、CPU72がV入賞検知信号を取得することを契機として、所定時間(本実施例では30秒間)の計測が開始されるタイマを有する。また、RAM74には、第1,第2大入賞口53,54への入賞個数を大入賞口別に記憶する入賞個数記憶領域が備えられている。
続いて30秒経過したか否かを判定し(S45)、経過した場合、第1,第2大入賞口53,54の開閉動作を終了する(S47)。30秒経過していない場合、第1大入賞口53或いは第2大入賞口54に10個入賞があったか否かを判定し(S46)、入賞がない場合、S45に戻る一方、10個入賞があった場合、第1,第2大入賞口53,54の開閉動作を終了する(S47)。
なお、S42において、ラウンド数Rが継続数Nを超えた場合、第1大入賞口53の開閉動作が開始される。すなわち抽選で決定された継続数Nを超えた場合、第1大入賞口53のみの開閉動作となる。以降は、前述同様に、30秒経過するか(S45)、または第1大入賞口53に10個入賞するか(S46)のいずれかによって、第1大入賞口53の開閉動作を終了する(S47)。
次に、ラウンド数が「16」に達したか否かを判定する(S48)。大当たりの場合における所定のラウンド数として、本実施例では16ラウンドが上限値として設定されている。そして、各ラウンドは大当たり中において、V入賞口56に入賞することにより継続される。S48において、ラウンド数が「16」に達していない場合、V入賞フラグがONであるか否かを判定し(S49)、ONである場合、V入賞フラグをOFFにして(S50)、その後S41(ラウンド数Rのインクリメント)に戻る。
なお、S48において、ラウンド数が「16」に達した場合、ラウンド数を「0」にリセットし(S51)、大当たりフラグをOFFにする(S52)。また、S49において、V入賞フラグがONでない場合(大当たり中のラウンドでV入賞口56に入賞しなかった場合)、ラウンド数を「0」にリセットし(S51)、大当たりフラグをOFFにする(S52)。大当たりのラウンドが終了となる。
上記のようにCPU72(開放制御手段)は、V入賞口56への入賞に応じて(大当たり条件の成立に応じて)、第1大入賞口53または第2大入賞口54を断続的に開放状態とする開放制御を実行する機能を有している。
このように前面遊技領域20aと、この前面遊技領域20aの後方に後面遊技領域30aとを備えたパチンコ遊技機1において、その前面遊技領域20aと後面遊技領域30aとにまたがって前後方向に、それら遊技領域20a,30aを横断するように延びて、前面遊技領域20a及び後面遊技領域30aとは区画された遊技空間50を形成する筒状形態の役物装置51を備えており、前面遊技領域20aと後面遊技領域30aとに加え第3の遊技空間50が形成される。そして、第1,第2始動入賞口33,34への入賞により開放状態となる後面大入賞口53と、第3始動入賞口35への入賞により開放状態となる前面大入賞口54とが設けられ、後面遊技領域30a及び前面遊技領域20aからその遊技空間50への入賞が可能となるように構成されており、後面遊技領域30a及び前面遊技領域20aのいずれの遊技領域を流下した玉も新しい遊技空間50に入る可能性があり、その遊技空間50へ入るルートが増え、遊技者に従来にない遊技性を提供でき、遊技者の興趣をさらに高めることができる。
また、役物装置51の上面壁52aは中央が高い山形状に形成されており、後面遊技領域30aを流下する玉が、その上面壁52aに沿って流下し、その側面壁52b,52bに設けられた後面大入賞口53の開放時にそこから遊技空間50に入ったり、或いは前面遊技領域20aを流下する玉が、その上面壁52aに沿って流下し、その側面壁52b,52bに設けられた前面大入賞口54の開放時にそこから遊技空間50に入ったりして、玉の動きを楽しむことができる。
さらに、役物装置51の上方中央には、前面移動口25が設けられ、後面遊技領域30aを流下する玉が、その前面移動口25に入ることにより、玉が中央に集められ、前面遊技領域20aの役物装置51上に落下するため、玉が中央に集まってくることによる入賞への期待感を遊技者に抱かせることができる。
そして、後面大入賞口53から遊技空間50に入った玉は、主に上部ステージ面58を経由して、また、前面大入賞口54から遊技空間50に入った玉は、主に中間ステージ面61を経由して、それぞれ下部ステージ面55に落下し、V入賞口56への入賞の可能性をもって流下する。これら各ステージ面で、玉の動きがゆっくりとなって流下していくように玉の流下に変化をつけさせており、期待感を持続しながら遊技者がその玉の動きを楽しむことができる。
また、大当たりとなったときに、ラウンド数抽選を実行して、決定されたラウンド継続数Nまでは、後面,前面大入賞口53,54の双方が開放して、V入賞口56への入賞確率を高め、ラウンド継続をし易くしており、新しい遊技性で、遊技者の興趣を高められる。
このように、いわゆる第2種パチンコ遊技機(ハネ物と称されるパチンコ遊技機)において、前面遊技領域20a及び後面遊技領域30aに加え、さらに新しい第3の遊技空間50を形成する役物装置51を備えたことで、前後のいずれの遊技領域からも第3の遊技空間50に入る可能性があり、大当たりの可能性が拡がり、従来にない遊技性を提供でき、遊技者の興趣をさらに高めることができる。
なお、本実施例に次のような変形例を加えてもよい。
(1)第1,第2,第3始動入賞口33,34,35を後面遊技領域30aに設けた例を示したが、それら始動入賞口の一部または全てを前面遊技領域20aに設けて構成してもよい。
(2)第1,第2始動入賞口33,34への入賞時に、後面大入賞口53の開放動作を行い、第3始動入賞口35への入賞時に、前面大入賞口54の開放動作を行うようにしたが、入賞を検出する信号に基づいて、後面または前面のいずれの大入賞口を開放するかCPU72によって抽選を実行して決定してもよい。
(3)大当たりとなったときに、ラウンド数抽選により決定されたラウンド継続数Nまでは、後面,前面大入賞口53,54の双方が開放するようにして、それ以降のラウンドでは、後面大入賞口53を開放するようにしたが、前面大入賞口54を開放してもよい。
(4)後面遊技領域30aに玉発射機構によって玉が打ち込まれる例を示したが、前面遊技盤20に前面レールを設けて前面遊技領域20aに玉が打ち込まれるようにしてもよい。