JP2006170294A - 転がり軸受 - Google Patents

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孝男 鈴木
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Abstract

【課題】 転動体の磨耗及び騒音を抑制することが可能な転がり軸受を提供する。
【解決手段】 複数の分割輪6、7を円弧状に組み合わせて形成される外輪2と、その外輪の内周面2aを転動する転動体3と、を備えた転がり軸受1において、各分割輪のうち前記転動体の移動方向前方に位置する一端部6a、7aが、隣接する分割輪の他端部6b、7bよりも半径方向中心側に突出している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の分割輪を円弧状に組み合わせて形成される外輪を備えた転がり軸受に関する。
外輪を半径方向に二分割した転がり軸受が知られている(特許文献1参照)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
特開2003−214442号公報 実開平2−127814号公報
分割された外輪(以降、分割輪と略称する。)を密着させるために各分割輪を円弧状に組み合わせた状態で外側から圧力を加えると、各分割輪の合わせ面が互いに押し合い、その影響で分割輪の端部がそれぞれ半径方向中心側にするどく突出する。転動体は、この突出部分を乗り越える際に大きく跳ねて一時的に分割輪の内周面から離れ、その後次の分割輪に着地する。転動体が内周面から離れた際、転動体の自転によって油膜が切れるので、着地時に磨耗が進むとともに、騒音も発生する。
そこで、本発明は、転動体の磨耗及び騒音を抑制することが可能な転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受は、複数の分割輪を円弧状に組み合わせて形成される外輪と、その外輪の内周面を転動する転動体と、を備えた転がり軸受において、各分割輪のうち前記転動体の移動方向前方に位置する一端部が、隣接する分割輪の他端部よりも半径方向中心側に突出していることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
本発明の転がり軸受によれば、各分割輪の一端部の合わせ面のうち半径方向中心側に突出させた部分には隣接する分割輪の他端部から押し合う力が働かないので、各分割輪の合わせ面の全面を互いに密着させた場合と比較して分割輪の端部が内側に膨らみ難くなる。そのため、転動体の跳ねを抑制し、油膜切れによる転動体の磨耗及び騒音を抑制することができる。
本発明の転がり軸受の一態様において、各分割輪の前記一端部には、前記転動体の移動方向前方に向かうに従って半径方向中心側に漸次突出する傾斜部がそれぞれ設けられていてもよい(請求項2)。この態様によれば、傾斜部に沿って転動体が移動する際、転動体は潤滑油を巻き込みつつ移動するので、油膜切れによる転動体の磨耗及び騒音を抑制することができる。
本発明の転がり軸受の一態様において、各分割輪の前記傾斜部のうち、前記転動体の移動方向が重力方向上向きになる側に配置される傾斜部は、前記転動体の移動方向が重力方向下向きになる側に配置される傾斜部よりも半径方向中心側に突出していてもよい(請求項3)。この態様によれば、転動体の移動方向が重力方向上向きになる側の傾斜部を突出させたので、この傾斜部によって転動体を減速させることができる。そのため、転動体の跳ねを抑制して着地時の衝撃を低減させることができる。一方、転動体の移動方向が重力方向下向きになる側の傾斜部は突出が抑えられているので、転動体の跳ねが抑えられ、速やかに転動体を次の分割輪に移動させることができる。そのため、転動体の着地時の衝撃を低減させることができる。このように転動体の着地時の衝撃を低減させることで、騒音を抑制することができる。
本発明の転がり軸受の一態様において、前記複数の分割輪は、各分割輪の前記一端部が隣接する分割輪の前記他端部よりも半径方向中心側に突出するように、各分割輪がそれぞれ半径方向に偏心して組み合わされていてもよい(請求項4)。この態様によれば、各分割輪は、各分割輪の合わせ面が互いにずれた状態で組み合わされる。そのため、各分割輪の合わせ面の全面を密着させた場合よりも分割輪の端部が内側に膨らみ難い。従って、転動体の跳ねを抑え、油膜切れによる転動体の磨耗や騒音を抑制することができる。
本発明の転がり軸受の一態様において、各分割輪の前記一端部の内周面には、凹凸部がそれぞれ設けられていてもよい(請求項5)。この態様によれば、凹凸部に潤滑油が保持されるので、この凹凸部に保持された潤滑油を転動体に巻き込ませて転動体表面により多くの潤滑油を付着させることができる。
本発明の転がり軸受の一態様において、各分割輪の前記他端部の内周面には、凹凸部がそれぞれ設けられていてもよい(請求項6)。このような位置に凹凸部を設けて潤滑油を保持させることで、転動体を潤滑油が保持された凹凸部に着地させることができる。そのため、転動体の着地時の衝撃を低減させ、騒音を抑制することができる。また、凹凸部の凹凸によって転動体のスリップを抑制することができる。
以上に説明したように、本発明によれば、各分割輪の端部を内側に膨らみ難くさせて転動体の跳ねを抑えたので、油膜切れによる転動体の磨耗及び騒音を抑制することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受が組み込まれた内燃機関のクランク軸支持部付近の要部を示している。図1に示したようにクランク軸100は、転がり軸受1を介して左右に回転自在に軸支持部101に支持される。軸支持部101は、内燃機関のシリンダブロックに形成されたアッパ側ハウジング102と、このアッパ側ハウジング102にボルト103によって取り付けられるロア側ハウジング104とを備えている。転がり軸受1は、外輪2と、外輪2の内周面2aを転動する転動体としての複数のコロ3と、複数のコロ3を保持する保持器4とを備えている。図2に示したように外輪2は、半円筒状の二つの分割輪5が円弧状に組み合わされることにより形成される。以降、図1及び図2の上側の分割輪5を上側分割輪6、下側の分割輪5を下側分割輪7とそれぞれ呼称する。なお、上側分割輪6又は下側分割輪7を特に区別する必要のない時は、単に分割輪5と記述する。
上側分割輪6及び下側分割輪7は、アッパ側ハウジング102及びロア側ハウジング104によって、上側分割輪6及び下側分割輪7が互いに押し合って密着するように、上下方向から挟み込まれる。これにより、上側分割輪6及び下側分割輪7は、クランク軸100の回転に伴って回転しないように固定される。なお、外輪2の内周面2aには、不図示の潤滑油供給孔を介して潤滑油が供給される。保持器4は、複数のコロ3がそれぞれ転動可能なように、且つ複数のコロ3が外輪2の内周面に沿って移動可能なように複数のコロ3をそれぞれ保持している。また、保持器4も複数のコロ3の移動に伴ってコロ3の移動方向に移動する。なお、図1の転がり軸受1において複数のコロ3は、クランク軸100の回転に伴って図1の矢印A方向に移動する。以降、移動方向とは、この図1に矢印Aで示したコロ3の移動方向を指す。複数のコロ3の材質、個数、及び配置方法などは、周知の転がり軸受と同様でよく、また、保持器4も周知の転がり軸受と同様でよい。
図2に拡大して示したように、上側分割輪6には図2に矢印Aで示した移動方向の前方に位置する一端部6aに傾斜部8が設けられ、下側分割輪7には移動方向前方に位置する一端部7aに傾斜部9が設けられている。図2に示したように、傾斜部8は上側分割輪6の厚さを移動方向に向かうに従って漸次増加させることで、傾斜部9は下側分割輪7の厚さを移動方向に向かうに従って漸次増加させることによってそれぞれ形成される。このように傾斜部8及び傾斜部9を設けることで、図2の左側の合わせ部10では下側分割輪7の一端部7aの合わせ面12が上側分割輪6の他端部6bの合わせ面13よりも内側に突出し、図2の右側の合わせ部11では上側分割輪6の一端部6aの合わせ面14が下側分割輪7の他端部7bの合わせ面15よりも内側に突出する。そのため、合わせ部10には段差部16が形成され、合わせ部11には段差部17が形成される。
傾斜部8及び傾斜部9は、例えば分割輪5に機械加工を行うことで形成される。また、外輪2をプレス成形にて加工する場合は、内周面2aを外輪2の外周に対して偏心させて成形することで傾斜部8及び傾斜部9が分割輪5にそれぞれ形成されてもよい。例えば、図3に示したように、外輪2の内周の中心Cinを、外輪2の外周の中心Coutに対して図3の左側に距離L分オフセットさせて内周面2aを成形する。即ち、外輪2の内周面2aを外輪2の外周に対して距離L分偏心させて加工する。このようにプレス成形した外輪2を図3に示したように上下に2分割することで、一端部の厚さが他端部の厚さよりも厚い分割輪5を一対成形することができる。このようにして成形した分割輪5を厚さの厚い一端部5aが厚さの薄い他端部5bとそれぞれ隣接するように組み合わせることで、分割輪の一端部が隣接する分割輪の他端部よりも半径方向中心側に突出した外輪2を形成することができる。
次に、図4を参照して合わせ部10におけるコロ3の移動を説明する。図4は図1の左側の合わせ部10を拡大して示している。複数のコロ3は、クランク軸100の回転に伴い外輪2の内周面2aに沿って図4の矢印A方向にそれぞれ移動するので、合わせ部10において複数のコロ3は下側分割輪7から上側分割輪6に移動する。なお、外輪2の内周面2aを移動する際、複数のコロ3は、図3に矢印Bで示した方向にそれぞれ転動する。下側分割輪7から上側分割輪6に移動する際、コロ3は、まず傾斜部9に沿って傾斜部9の端まで移動する。このとき、コロ3は潤滑油を巻き込みつつ傾斜部9を移動する。その後、コロ3は段差部16において跳ね、上側分割輪6の他端部6bの内周面に着地する。
一方、合わせ部11では、コロ3が上側分割輪6の傾斜部8に沿って潤滑油を巻き込みつつ傾斜部8の端まで移動し、その後、段差部17を跳ねて下側分割輪7の他端部7bに移動する。このようにして複数のコロ3は、上側分割輪6及び下側分割輪7の間を移動する。
以上に説明したように、図1の転がり軸受1では、下側分割輪7の合わせ面12が上側分割輪6の合わせ面13よりも内側に突出し、上側分割輪6の合わせ面14が下側分割輪7の合わせ面15よりも内側に突出する。そのため、下側分割輪7の合わせ面12のうち内側に突出した部分には上側分割輪6に他端部6bから押し合う力が働かず、上側分割輪6の合わせ面14のうち内側に突出した部分には下側分割輪7の他端部7bから押し合う力が働かない。従って、合わせ面の全面を互いに密着させた場合と比較して、上側分割輪6の一端部6a及び下側分割輪7の一端部7aが内側に膨らみ難いので、コロ3の跳ねを抑えることができる。また、コロ3を傾斜部8及び傾斜部9に沿って移動させることで、コロ3の転動によって潤滑油を巻き込ませ、コロ3の表面により多くの潤滑油を付着させることができる。そのため、油膜切れによるコロ3の磨耗及び騒音を抑制することができる。
図5は、本発明の転がり軸受の第一の変形例を示している。なお、図5は、第一の変形例の外輪2のみを示している。図5において図1と共通する部分には同一符号を付してある。図5の矢印Aは、コロ3の移動方向を示している。また、図5の矢印Gは重力の方向を示している。この変形例では、図5に示したように、コロ3の移動方向が重力方向上向きになる側に配置される傾斜部9が、コロ3の移動方向が重力方向下向きになる側に配置される傾斜部8よりも半径方向中心側に突出している。即ち、段差部16の高さhが段差部17の高さhよりも高い。
図5の外輪2においては、上側分割輪6が鉛直上方に配置され、下側分割輪7がその下方に対向して配置されるので、図5の合わせ部10では、コロ3の移動方向と重力が作用する方向とが逆方向を向く。そこで、傾斜部9を傾斜部8よりも突出させ、コロ3を重力によって減速させることで、上側分割輪6の他端部6bへのコロ3の着地時の衝撃を低減させることができる。一方、図5の合わせ部11では、コロ3の移動方向と重力が作用する方向とが一致するため、コロ3が重力によって加速されるが、合わせ部11の傾斜部8は、傾斜部9よりも突出が抑えられているので、コロ3の跳ねを抑えつつコロ3を速やかに下側分割輪7に着地させることができる。そのため、コロ3の着地時の衝撃を低減させることができる。
以上に説明したように、この変形例では、合わせ部10及び合わせ部11において、コロ3の着地時の衝撃を低減させることができるので、騒音を抑えることができる。
図6は、本発明の転がり軸受の第二の変形例を示している。なお、図6は、第二の変形例の外輪2のみを示している。図6において図1と共通する部分には同一符号を付してある。この変形例では、図6に示したように、上側分割輪6の一端部6aの内周面及び下側分割輪7の一端部7aの内周面にそれぞれ凹凸部20が設けられる。図7に拡大して示したように図6の合わせ部10では、凹凸部20が下側分割輪7の傾斜部9に設けられている。この凹凸部20においては、傾斜部9の内周面に複数の微細な窪みが形成されている。これら微細な窪みは下側分割輪7の幅方向全体に設けられ、これら微細な窪みに潤滑油が入り込むことで潤滑油が凹凸部20に保持される。このような微細な窪みは、例えばショットブラストやショットピーニングなどの処理によって形成される。なお、上側分割輪6の一端部6aに設けられる凹凸部20にも、図7に示した下側分割輪7の凹凸部20と同様に、複数の微細な窪みが形成されている。
この変形例では、傾斜部8及び傾斜部9に凹凸部20をそれぞれ設け、これら凹凸部20に潤滑油を保持させることで、傾斜部8及び傾斜部9に沿って移動するコロ3により多くの潤滑油を巻き込ませることができる。上側分割輪6が鉛直上方に配置され、下側分割輪7がその下方に対向して配置される場合、合わせ部10及び合わせ部11は外輪2の左右方向に位置する。この場合、合わせ部10及び合わせ部11の各内周面の潤滑油が保持され難いので、傾斜部8及び傾斜部9に凹凸部20をそれぞれ設けることで、コロ3に潤滑油を確実に供給することができる。なお、凹凸部20に設けられる凹凸は、微細な窪みに限定されない。傾斜部8及び傾斜部9に、条痕などの溝を設けて凹凸部20を設けてもよい。
図8は、本発明の転がり軸受の第三の変形例を示している。なお、図8は、第三の変形例の外輪2のみを示している。図8において図1と共通する部分には同一符号を付してある。この変形例では、図8に示したように、上側分割輪6の他端部6bの内周面及び下側分割輪7の他端部7bの内周面に凹凸部30がそれぞれ設けられている。図9に拡大して示したように、上側分割輪6の他端部6bに設けられた凹凸部30には、他端部6bの内周面に複数の微細な窪みが形成されている。これら微細な窪みは上側分割輪6の幅方向全体に設けられ、これら微細な窪みに潤滑油が入り込むことで潤滑油が凹凸部30に保持される。凹凸部30は、段差部16にて跳ねたコロ3が着地する範囲が含まれるように、上側分割輪6の内周面に設けられる。なお、下側分割輪7の他端部7aに設けられる凹凸部30にも、上側分割輪6の凹凸部30と同様に、複数の微細な窪みが形成されており、この凹凸部30に潤滑油が保持される。下側分割輪7の凹凸部30は、段差部17にて跳ねたコロ3が着地する範囲が含まれるように、下側分割輪7の内周面に設けられる。
この変形例では、段差部16及び段差部17にて跳ねたコロ3が着地する範囲に凹凸部30が設けられているので、凹凸部30に保持された潤滑油によってコロ3の着地の衝撃を低減させることができる。特に、上側分割輪6が鉛直上方に配置され、下側分割輪7がその下方に対向して配置された場合、合わせ部11では重力により潤滑油が下方に流れ、コロ3が着地する範囲に潤滑油が保持され難い。そのため、この範囲に凹凸部30を設けて潤滑油を保持させることで、コロ3の着地時の衝撃を低減させることができる。また、このような位置に凹凸を設けることで、着地したコロ3のスリップを抑制できる。なお、凹凸部30に設ける凹凸は微細な窪みに限定されない。凹凸部30に条痕などの溝を設けて凹凸を形成させてもよい。
図10は、本発明の転がり軸受の第四の変形例を示している。なお、転がり軸受1は、外輪2のみを示している。図10において図1と共通する部品には同一の符号を付してある。図10の矢印Aは、コロ3の移動方向を示している。この変形例では、半円筒状の同一形状をそれぞれ有する上側分割輪6及び下側分割輪7を互いに半径方向に偏心して組み合わせて外輪2を形成させる。図11に拡大して示したように、上側分割輪6及び下側分割輪7は、合わせ部10において下側分割輪7の一端部7aが上側分割輪6の他端部6bよりも半径方向中心側に突出し、合わせ部11において上側分割輪6の一端部6aが下側分割輪7の他端部7bよりも半径方向中心側に突出するように組み合わされる。なお、合わせ部10では、下側分割輪7の合わせ面12の半分程度が内側に突出し、合わせ部11では、上側分割輪6の合わせ面14の半分程度が内側に突出する。即ち、合わせ部においては、各分割輪の合わせ面の半分程度をそれぞれオーバーラップさせる。
このように上側分割輪6及び下側分割輪7を偏心させた状態で固定するため、図10に示したようにロックピン201によってアッパ側ハウジング102に対するロア側ハウジング104の位置が保持される。アッパ側ハウジング102には上側分割輪6を嵌め込むための溝が設けられており、ロア側ハウジング104には、アッパ側ハウジング102に嵌め込まれた上側分割輪6に対して偏心した位置で下側分割輪7が組み合うように、下側分割輪7を嵌め込むための溝が設けられている。ロックピン201は、アッパ側ハウジング102及びロア側ハウジング104にそれぞれ半分ずつ嵌め込まれ、ロア側ハウジング104がアッパ側ハウジング102に対して半径方向にずれないように、アッパ側ハウジング102に対するロア側ハウジング104の位置を固定する。
この変形例によれば、上側分割輪6に対して下側分割輪7を半径方向に偏心させた状態で上側分割輪6及び下側分割輪7を組み合わせるので、合わせ部10においては合わせ面12が半径方向中心側に突出し、合わせ部11においては合わせ面14が半径方向中心側に突出する。そのため、上側分割輪6及び下側分割輪7の各合わせ面が全面で密着するものよりも、上側分割輪6の一端部6a及び下側分割輪7の一端部7aがそれぞれ内側に膨らみ難くなるので、コロ3の跳ねを抑制し、油膜切れによるコロ3の磨耗や騒音を抑制することができる。また、上側分割輪5及び下側分割輪6として、半円筒状の同一形状の分割輪を用いることができるので、コストを低減させることができる。
アッパ側ハウジング102に対するロア側ハウジング104の位置を保持する手段はノックピン201に限定されない。例えば図12に示したように、カラー202を使用してアッパ側ハウジング102に対するロア側ハウジング104の位置決めを行ってもよい。この場合、アッパ側ハウジング102のボルト穴203及びロア側ハウジング104のボルト穴204には、カラー202を嵌め込むための穴205がそれぞれ設けられる。これらの穴205は、アッパ側ハウジング102に対してロア側ハウジング104の位置がずれた状態でアッパ側ハウジング102にロア側ハウジング104が取り付けられるように設けられる。
図13は、本発明の転がり軸受の第五の変形例を示している。なお、転がり軸受1は、外輪2のみを示している。図13において図1と共通する部品には同一の符号を付してある。図13の矢印Aは、コロ3の移動方向を示している。上側分割輪6及び下側分割輪7は、端部に20〜40μm程度のつぶれ代をそれぞれ有しており、上側分割輪6及び下側分割輪7を組み合わせた状態で外側から圧力を加えると、各つぶれ代がそれぞれ潰れて内側に突出する。そこで、図13に示したように、合わせ部10では下側分割輪7の一端部7aが半径方向中心側に突出するように下側分割輪7のつぶれ代を設定し、合わせ部11では上側分割輪6の一端部6aが半径方向中心側に突出するように上側分割輪6のつぶれ代を設定する。
この変形例では、上側分割輪6のつぶれ代が、上側分割輪6の一端部6aが下側分割輪7の他端部7bよりも内側に突出するように設定され、下側分割輪7のつぶれ代が、下側分割輪7の一端部7aが上側分割輪6の他端部6bよりも内側に突出するように設定される。そのため、図13に示したように合わせ面12及び合わせ面14が内側に突出するので、合わせ面の全面が密着しているものと比較して、上側分割輪6の一端部6a及び下側分割輪7の一端部7aをそれぞれ内側に膨らみ難くさせてコロ3の跳ねを抑制することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、転動体はコロに限定されず、ニードルなど周知の転動体を適用することができる。外輪を形成する分割輪の数は、2個に限定されない。本発明の転がり軸受の外輪は、3個以上の分割輪を円弧状に組み合わせて形成されていてもよい。
本発明の一実施形態に係る転がり軸受が組み込まれた内燃機関のクランク軸支持部付近の要部を示す図。 図1の転がり軸受の外輪を拡大して示す図。 外輪の内周の中心を外輪の外周の中心に対してオフセットさせてプレス成形した外輪を示す図。 図1の転がり軸受の左側の合わせ部を拡大して示す図。 本発明の転がり軸受の第一の変形例を示す図。 本発明の転がり軸受の第二の変形例を示す図。 図6の外輪の左側の合わせ部を拡大して示す図。 本発明の転がり軸受の第三の変形例を示す図。 図8の外輪の左側の合わせ部を拡大して示す図。 本発明の転がり軸受の第四の変形例を示す図。 図10の転がり軸受の外輪を拡大して示す図。 本発明の転がり軸受の第四の変形例の他の態様を示す図。 本発明の転がり軸受の第五の変形例を示す図。
符号の説明
1 転がり軸受
2 外輪
5 分割輪
5a 一端部
5b 他端部
6 上側分割輪
6a 一端部
6b 他端部
7 下側分割輪
7a 一端部
7b 他端部
8 傾斜部
9 傾斜部
20 凹凸部
30 凹凸部

Claims (6)

  1. 複数の分割輪を円弧状に組み合わせて形成される外輪と、その外輪の内周面を転動する転動体と、を備えた転がり軸受において、
    各分割輪のうち前記転動体の移動方向前方に位置する一端部が、隣接する分割輪の他端部よりも半径方向中心側に突出していることを特徴とする転がり軸受。
  2. 各分割輪の前記一端部には、前記転動体の移動方向前方に向かうに従って半径方向中心側に漸次突出する傾斜部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 各分割輪の前記傾斜部のうち、前記転動体の移動方向が重力方向上向きになる側に配置される傾斜部は、前記転動体の移動方向が重力方向下向きになる側に配置される傾斜部よりも半径方向中心側に突出していることを特徴とする請求項2に記載の転がり軸受。
  4. 前記複数の分割輪は、各分割輪の前記一端部が隣接する分割輪の前記他端部よりも半径方向中心側に突出するように、各分割輪がそれぞれ半径方向に偏心して組み合わされていることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
  5. 各分割輪の前記一端部の内周面には、凹凸部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の転がり軸受。
  6. 各分割輪の前記他端部の内周面には、凹凸部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の転がり軸受。
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