JP2006170027A - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 内燃機関の始動後における駆動側回転部材と従動側回転部材との相対回転位相を変位させる制御の応答性を損なうことなく、内燃機関のクランキング時に、前記相対回転位相をロック位相まで変位させる確実性を高め、内燃機関の始動性を高める。
【解決手段】 前記相対回転位相の前記遅角方向又は進角方向のいずれか一方である第一方向への変位を規制可能な相対回転規制機構6Aが、駆動側回転部材2及び従動側回転部材1のいずれか一方から他方側に突出可能な突出部材60Aと、前記他方側にある駆動側回転部材2又は従動側回転部材1に設けられて突出部材60Aが突入可能に設けられた規制溝62Aと、規制溝62A内に突入した突出部材60Aに対して前記相対回転位相を前記第一方向とは反対の第二方向に変位させる方向の付勢力を与え得る付勢機構64とを備える。
【選択図】 図3
【解決手段】 前記相対回転位相の前記遅角方向又は進角方向のいずれか一方である第一方向への変位を規制可能な相対回転規制機構6Aが、駆動側回転部材2及び従動側回転部材1のいずれか一方から他方側に突出可能な突出部材60Aと、前記他方側にある駆動側回転部材2又は従動側回転部材1に設けられて突出部材60Aが突入可能に設けられた規制溝62Aと、規制溝62A内に突入した突出部材60Aに対して前記相対回転位相を前記第一方向とは反対の第二方向に変位させる方向の付勢力を与え得る付勢機構64とを備える。
【選択図】 図3
Description
本発明は、自動車用エンジン等の内燃機関のバルブタイミングを調節制御する弁開閉時期制御装置に関する。
自動車用エンジン等の内燃機関において、クランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材とカムシャフトに対して同期回転する従動側回転部材との相対回転位相を変位させることにより、バルブタイミングを適切に調節して好適な運転状態を達成することができる弁開閉時期制御装置が知られている。そして、この種の内燃機関の弁開閉時期制御装置として、下記特許文献1には以下のような構成が開示されている。
すなわち、この弁開閉時期制御装置は、クランク軸と同期回転するハウジング部材と、このハウジング部材に設けたシュー部に相対回転可能に組付けられ、ベーン部にて前記ハウジング部材内に進角油室と遅角油室を形成しカム軸と同期回転するロータ部材と、作動油の給排に応じて作動しアンロック状態では前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を許容しロック状態では前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を最進角位相位置と最遅角位相位置間のロック位相位置にて規制する相対回転制御機構と、前記進角油室及び前記遅角油室と前記相対回転制御機構への作動油の給排を制御する油圧回路を備え、前記油圧回路からの作動油の給排に応じて作動しアンロック状態では前記ハウジング部材と前記ロータ部材の相対回転を許容し、ロック状態では最遅角位相位置または最進角位相位置と前記ロック位相位置間の設定位相位置にて前記ハウジング部材に対する前記ロータ部材の遅角側または進角側への相対回転のみを規制する補助制御機構を設けた構成を備えている。
この弁開閉時期制御装置によれば、カム軸に作用する変動トルクによりハウジング部材とロータ部材の相対回転位相が最遅角位相位置(または最進角位相位置)から設定位相位置に変化した時点で補助制御機構がロック状態となって、ハウジング部材に対するロータ部材の遅角側(または進角側)への相対回転のみを規制し、相対回転位相の初期値を設定位相位置に棚上げする。したがって、その後は、カム軸に作用する変動トルクにより、ハウジング部材とロータ部材の相対回転位相位置がロック位相位置に変化して、相対回転制御機構によりハウジング部材とロータ部材の相対回転がロック位相位置にて規制される。これによって、内燃機関の始動開始時点からハウジング部材とロータ部材の相対回転が相対回転制御機構によりロック位相位置にて規制される時点までの時間を短縮することができて、打音の発生、内燃機関の始動性不良を抑制することができる。
しかしながら、上記のような弁開閉時期制御装置の構成によると、カム軸に作用する変動トルクにより前記相対回転位相を振動させて前記設定位相位置に変位させることにより補助制御機構をロック状態とさせることから、前記相対回転位相を変位させる際における弁開閉時期制御装置内の作動油の状態や作動油の種類等によっては、作動油の抵抗により前記相対回転位相の振動の幅が十分に確保できず、前記設定位相位置まで変位させることができない場合が生じ得る。特に、内燃機関の停止後時間が経っておらず、前記進角油室、前記遅角油室及びこれらに連通する油圧回路の内部に作動油が充満している場合や、作動油が低温である場合等には、前記相対回転位相を振動させる際における作動油の抵抗が大きく、前記相対回転位相を前記設定位相位置まで変位させることができない場合が生じ得る。このような場合、前記相対回転制御機構によって前記相対回転位相をロック位相で拘束することができず、内燃機関の始動性が悪くなる問題がある。
一方、上記のような弁開閉時期制御装置は、クランキング時や内燃機関の動作時にカム軸に作用する変動トルクにより前記相対回転位相が変位し易い方向(例えば遅角方向)と反対の方向に前記相対回転位相を付勢するトーションスプリングを備えている。そこで、このトーションスプリングの付勢力を大きくし、その進角方向への付勢力により前記相対回転位相を例えば最遅角位相位置から前記設定位相位置まで変位させ易くし、作動油の抵抗が大きい場合であっても前記相対回転位相をロック位相で拘束できるようにすることが可能である。しかし、トーションスプリングの付勢力を大きくすると、内燃機関の始動後に、作動油の給排により前記相対回転位相を変位させる制御を行う際に、トーションスプリングの付勢力に反して前記相対回転位相を例えば遅角側に動作させるために大きな作動油の圧力が必要となるため、トーションスプリングの付勢力に反する方向に変位させるときにのみ前記相対回転位相の変位の応答速度が低下し、前記相対回転位相の変位の応答速度に方向による偏りが生じるという問題がある。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関の始動後における駆動側回転部材と従動側回転部材との相対回転位相を変位させる制御の応答性を損なうことなく、内燃機関のクランキング時に、前記相対回転位相をロック位相まで変位させる確実性を高め、内燃機関の始動性を高めることができる弁開閉時期制御装置を提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、クランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して同軸状に配置され、カムシャフトに対して同期回転する従動側回転部材と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との相対回転位相を可変制御する位相制御機構と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との相対回転位相の変位を所定のロック位相で拘束可能な相対回転拘束機構と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との相対回転位相の遅角方向又は進角方向のいずれか一方である第一方向への変位を規制可能な相対回転規制機構と、を備え、前記相対回転規制機構は、前記駆動側回転部材及び前記従動側回転部材のいずれか一方から他方側に突出可能な突出部材と、前記他方側にある前記駆動側回転部材又は前記従動側回転部材に設けられて前記突出部材が突入可能に設けられた規制溝と、前記規制溝内に突入した前記突出部材に対して前記相対回転位相を前記第一方向とは反対の第二方向に変位させる方向の付勢力を与え得る付勢機構とを備える点にある。
この特徴構成によれば、前記相対回転規制機構により、クランキング時のカムトルク変動等により前記相対回転位相が変位し易い方向を前記第一方向として当該方向への前記相対回転位相の変位を規制できるとともに、前記付勢機構により、前記規制溝内に突入した前記突出部材に対して、前記第一方向とは反対の第二方向に変位させる方向の付勢力を与えることができる。したがって、内燃機関のクランキング時のカムトルク変動等により前記相対回転位相が変位し易い方向とは反対の前記第二方向に前記相対回転位相を変位させ易い構造とすることができ、内燃機関のクランキング時に、前記相対回転位相をロック位相まで変位させる確実性を高めることができる。また、前記付勢機構は、前記規制溝内に突入した前記突出部材に対して付勢力を与えるものであって、内燃機関の始動後に前記突出部材が前記規制溝から離脱した後は、どこにも付勢力を与えることがなく前記相対回転位相の変位の際の抵抗とはなり得ないので、内燃機関の始動後における駆動側回転部材と従動側回転部材との相対回転位相を変位させる制御の応答性を損なうこともない。
ここで、前記付勢機構は、前記規制溝内に突入した前記突出部材に当接し、前記相対回転位相が前記第一方向に変位する際の前記突出部材の移動を規制する前記規制溝内の規制壁を有する規制部材と、この規制部材を付勢する付勢部材とを備える構成とすると好適である。
また、前記規制部材の移動限界を設けるために、前記付勢機構は、前記規制部材の前記付勢部材による付勢方向への移動を制限するストッパ段差部を前記規制溝内に備える構成とすると好適である。
更に、前記規制部材は、前記規制壁側に、前記突出部材が係合可能であって、前記相対回転位相が前記第二方向に変位することを許容する方向に傾斜した階段状の規制段差部を備える構成とすると好適である。
このようにすることにより、前記相対回転位相の第一方向への変位を規制する相対回転規制機構の前記突出部材の規制位置を段階的に構成することができるので、内燃機関のクランキング時に前記相対回転位相を前記第二方向により一層変位させ易い構造とすることができ、内燃機関のクランキング時に、前記相対回転位相をロック位相まで変位させる確実性を更に高めることができる。
また、前記階段状の規制段差部は、前記規制部材に設けるものに限られず、前記付勢機構は、前記規制壁と前記ストッパ段差部とにより、前記突出部材が係合可能であって、前記相対回転位相が前記第二方向に変位することを許容する方向に傾斜した階段状の規制段差部を形成する構成とすることも可能である。
また、前記付勢機構は、前記付勢部材を前記規制部材に一体的に構成することも可能である。このようにすれば、前記付勢機構の構造を単純化することができ、組み付けの容易性を高めることが可能となる。
以下に、本発明を自動車用エンジンの弁開閉時期制御装置に適用した実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る弁開閉時期制御装置の構成を示す側断面図であり、図2〜図5は、図1のA−A断面図であって、後述するように内部ロータ1と外部ロータ2との相対回転位相が異なる各状態を示す図である。
〔基本構成〕
本実施形態に係る弁開閉時期制御装置は、エンジンのクランクシャフト(図示省略)に対して同期回転する駆動側回転部材としての外部ロータ2と、前記外部ロータ2に対して同軸状に配置され、カムシャフト3に対して同期回転する従動側回転部材としての内部ロータ1とを備えて構成されている。
本実施形態に係る弁開閉時期制御装置は、エンジンのクランクシャフト(図示省略)に対して同期回転する駆動側回転部材としての外部ロータ2と、前記外部ロータ2に対して同軸状に配置され、カムシャフト3に対して同期回転する従動側回転部材としての内部ロータ1とを備えて構成されている。
上記内部ロータ1は、エンジンの吸気弁又は排気弁の開閉を制御するカムの回転軸を構成するカムシャフト3の先端部に対して一体的に組付けられている。このカムシャフト3は、エンジンのシリンダヘッドに回転自在に組み付けられている。
上記外部ロータ2は、上記内部ロータ1に対して所定の相対回転位相の範囲内で相対回転可能に外装され、カムシャフト3が接続される側の反対側にフロントプレート22が、カムシャフト3が接続される側にリアプレート23がそれぞれ一体的に取り付けられている。また、外部ロータ2の外周には、タイミングスプロケット20が一体的に設けられている。このタイミングスプロケット20とエンジンのクランクシャフトに取り付けられたギアとの間には、タイミングチェーンやタイミングベルト等の動力伝達部材24が架設されている。
そして、エンジンのクランクシャフトが回転駆動すると、動力伝達部材24を介してタイミングスプロケット20に回転動力が伝達され、外部ロータ2が図2〜図5に示す回転方向Sに沿って回転駆動し、ひいては、内部ロータ1が回転方向Sに沿って回転駆動してカムシャフト3が回転し、カムシャフト3に設けられたカムがエンジンの吸気弁又は排気弁を押し下げて開弁させる。
図2〜図5に示すように、上記外部ロータ2には、径内方向に突出するシューとして機能する突部4の複数個が回転方向に沿って互いに離間して並設されている。外部ロータ2の隣接する突部4の夫々の間には、外部ロータ2と内部ロータ1で規定される流体圧室40が形成されている。図示するものにあっては、流体圧室40は、4室備えられている。
内部ロータ1の外周部の、上記各流体圧室40に対面する箇所にはベーン溝41が形成されており、このベーン溝41には、上記流体圧室40を相対回転方向(図2〜図5における矢印S1、S2方向)において進角室43と遅角室42とに仕切るベーン5が放射方向に沿って摺動可能に挿入されている。このベーン5は、図1に示すように、その内径側に備えられるスプリング51により、流体圧室内壁面w側に付勢されている。
上記流体圧室40の進角室43は内部ロータ1に形成された進角通路11に連通し、遅角室42は内部ロータ1に形成された遅角通路10に連通し、これら進角通路11及び遅角通路10は、後述する油圧回路7に接続されている。そして、進角室43及び遅角室42の一方又は双方に対して油圧回路7からの作動油が供給又は排出されることにより、内部ロータ1と外部ロータ2との相対回転位相(以下、単に「相対回転位相」ともいう)を最進角位相と最遅角位相との間で変位させ又は任意の位相で保持する付勢力が発生する。なお、本実施形態においては、相対回転位相が遅角側に変位する方向(図2〜図5においてベーン5が矢印S1方向に移動する方向)を遅角方向とし、相対回転位相が進角側に変位する方向(図2〜図5においてベーン5が矢印S2方向に移動する方向)を進角方向とする。そして、本実施形態においては遅角方向が本発明における「第一方向」に相当し、進角方向が本発明における「第二方向」に相当する。
図1に示すように、内部ロータ1と外部ロータ2のフロントプレート22との間には、これらの相対回転位相を進角方向に付勢する付勢機構としてのトーションスプリング27が設けられている。すなわち、このトーションスプリング27は、図2〜図5においてS2で示される進角方向にベーン5を変位させる方向に内部ロータ1及び外部ロータ2を常時付勢するトルクを与えている。このトーションスプリング27のトルク設定は、エンジンを始動するためのクランキング時に、外部ロータ2と内部ロータ1との相対回転位相が振動しつつ平均的には遅角方向に変位するように設定されている。すなわち、本実施形態においては、クランキング時にカムシャフト3に作用するトルク変動は遅角方向に大きく進角方向に小さいため、このトルク変動によって前記相対回転位相は振動しつつ平均的には遅角方向に変位する。そして、トーションスプリング27のトルク設定は、この相対回転位相の遅角方向への変位を妨げない範囲で相対回転位相を進角方向に付勢するように設定されている。なお、クランキング時にカムシャフト3に作用するトルク変動は、カムシャフト3に設けられたカムが、エンジンの弁(バルブ)をバルブスプリングに抗して開閉駆動する際のバルブスプリングの抵抗等によって発生する。
〔ロック機構の構成〕
さらに、内部ロータ1と外部ロータ2との間には、相対回転位相の変位を最遅角位相(図2に示す位相)と最進角位相(図5に示す位相)との間に設定された所定のロック位相(図4に示す位相)において拘束できるとともに、相対回転位相の変位を最遅角位相とロック位相との間の規制位相(図3に示す位相)において相対回転位相の遅角方向への変位を規制できるロック機構6が設けられている。このロック機構6は、第一ロック機構6Aと第二ロック機構6Bとを有している。以下、このロック機構6について詳細に説明する。
さらに、内部ロータ1と外部ロータ2との間には、相対回転位相の変位を最遅角位相(図2に示す位相)と最進角位相(図5に示す位相)との間に設定された所定のロック位相(図4に示す位相)において拘束できるとともに、相対回転位相の変位を最遅角位相とロック位相との間の規制位相(図3に示す位相)において相対回転位相の遅角方向への変位を規制できるロック機構6が設けられている。このロック機構6は、第一ロック機構6Aと第二ロック機構6Bとを有している。以下、このロック機構6について詳細に説明する。
図6は、ロック機構6の周辺の拡大図である。この図に示すように、第一ロック機構6Aは、外部ロータ2から内部ロータ1側に突出可能な第一ロック体60Aと、内部ロータ1に設けられて第一ロック体60Aが突入可能に設けられた第一ロック溝62Aと、第一ロック溝62A内に突入した第一ロック体60Aに対して相対回転位相を進角方向に変位させる方向の付勢力を与え得る付勢機構64とを備えて構成されている。
より詳細には、第一ロック体60Aは、外部ロータ2に設けられた摺動溝65に沿って摺動自在に設けられるとともに、スプリング61により内部ロータ1側に付勢された状態となっている。ここでは、摺動溝65は、内部ロータ1及び外部ロータ2の径方向に対して一定間隔をあけて平行に設けられている。なお、第一ロック体60Aの形状は、その用途に従って、プレート形状、ピン形状、又はその他の形状を採用することができる。本実施形態においては、この第一ロック体60Aが、本発明における「突出部材」に相当する。
第一ロック溝62Aは、内部ロータ1の外周部分の所定位置に設けられ、付勢機構64を除く部分が摺動溝65から突出した第一ロック体60Aが突入可能な大きさを有するように形成されている。そして、この第一ロック溝62Aは、内部ロータ1に形成されたロック通路63に連通し、このロック通路63は後述する油圧回路7に接続されている。なお、第一ロック溝62Aの形状は、第一ロック体60Aの形状に適合する形状とする。本実施形態においては、この第一ロック溝62Aが、本発明における「規制溝」に相当する。
付勢機構64は、第一ロック溝62A内に突入した第一ロック体60Aに当接し、相対回転位相が遅角方向に変位する際の第一ロック体60Aの移動を規制する第一ロック溝62A内の規制壁64bを有する規制部材64aと、この規制部材64aを付勢する付勢ばね64cとを備えている。本実施形態においては、付勢ばね64cが本発明における「付勢部材」に相当する。
具体的には、規制部材64aは、第一ロック溝62A内の内部ロータ進角側(相対回転位相が進角方向に変位する際の内部ロータ1の回転方向S2側、以下同じ)に配置され、内部ロータ1の周方向(より詳細には内部ロータ1の外周の接線方向)に移動可能に設けられている。また、この規制部材64aの内部ロータ遅角側(相対回転位相が遅角方向に変位する際の内部ロータ1の回転方向S1側、以下同じ)に、第一ロック溝62A内に突入した第一ロック体60Aに当接し、相対回転位相が遅角方向に変位する際の第一ロック体60Aの移動を規制する規制壁64bが形成されている。そして、この規制部材64aは、付勢ばね64cにより、内部ロータ遅角側に移動する方向に付勢されている。
付勢ばね64cは、内部ロータ1(より詳細には第一ロック溝62Aの内部ロータ進角側の側壁64f)と規制部材64a(より詳細には規制部材64aの内部ロータ進角側に形成されたばね受け部)との間に配置され、規制部材64aを内部ロータ1に対して押し出すことにより、規制部材64aを内部ロータ遅角側に向けて付勢している。図7は、規制部材64aと付勢ばね64cの形状を示す斜視図である。この図に示すように、本実施形態においては、付勢ばね64cは略「く」の字形状に形成された板ばねにより構成している。そして、付勢機構64は、規制部材64aの付勢ばね64cによる付勢方向への移動を制限するストッパ段差部64dを第一ロック溝62A内(より詳細には第一ロック溝62Aの底面)に備えている。すなわち、このストッパ段差部64dは規制部材64aの移動限界を設けるものとなっており、規制部材64aは、第一ロック溝62Aの内部ロータ進角側の側壁64fとストッパ段差部64dとの間でのみ移動可能となっている。
また、規制部材64aは、規制壁64b側に、第一ロック体60Aが係合可能であって、相対回転位相が進角方向に変位することを許容する方向に傾斜した階段状の規制段差部64eを備えている。具体的には、この規制段差部64eは、規制壁64bの上部を内部ロータ進角側に切り欠いて規制部材64aの上面(内部ロータ1の外周側の面)との間に形成した段差部であり、第一ロック体60Aの先端部が係合し易いように当該先端部の形状に合致した形状となっている。
以上のように構成される第一ロック機構6Aは、第一ロック溝62Aに作動油が供給されていない状態において、第一ロック体60Aが規制段差部64eに係合し、又は規制壁64bに当接することにより、相対回転位相が遅角方向に変位することを規制する。よって、本実施形態においては、この第一ロック機構6Aが、本発明における「相対回転規制機構」を構成する。なお、この第一ロック機構6Aにより相対回転位相の変位を規制する動作については後で詳細に説明する。
一方、第二ロック機構6Bは、図6に示すように、外部ロータ2から内部ロータ1側に突出可能な第二ロック体60Bと、内部ロータ1に設けられて第二ロック体60Bが突入可能に設けられた第二ロック溝62Bとを備えて構成されている。第二ロック体60Bの構成は、上記第一ロック体60Aと同様であり、この第二ロック体60Bの摺動溝65は、第一ロック体60Aの摺動溝65に対して平行に設けられている。また、第二ロック溝62Bは、第一ロック体60Aと第二ロック体60Bとの間隔に対応して第一ロック溝62Aに隣接して内部ロータ1の外周部分に設けられ、第二ロック体60Bが突入可能な大きさを有するように形成されている。そして、この第二ロック溝62Bは、第一ロック溝62Aと同様に、内部ロータ1に形成されたロック通路63に連通し、このロック通路63は後述する油圧回路7に接続されている。なお、第二ロック溝62Bの形状は、第二ロック体60Bの形状に適合する形状とする。
以上のように構成される第二ロック機構6Bと第一ロック機構6Aは、第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに作動油が供給されていない状態において、図4に示すように、相対回転位相がロック位相にあるときに、第一ロック体60A及び第二ロック体60Bが、それぞれ第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに突入することが可能になっている。そして、その状態では、相対回転位相の進角方向への変位が第一ロック体60Aと第一ロック溝62Aの内部ロータ遅角側の側壁との当接により拘束され、相対回転位相の遅角方向への変位が第二ロック体60Bと第二ロック溝62Bの内部ロータ進角側の側壁との当接により拘束されるので、相対回転位相はロック位相で拘束されることになる。よって、本実施形態においては、ロック機構6、すなわち第一ロック機構6A及び第二ロック機構6Bが、本発明における「相対回転拘束機構」を構成する。なお、このロック位相は、エンジンの弁開閉時期に関し、エンジンの円滑な始動性が得られるような位相に設定されている。
第一ロック体60Aの第一ロック溝62Aからの引退、及び第二ロック体60Bの第二ロック溝62Bからの引退は、後述する油圧回路7からロック通路63を介して第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに作動油が供給されることにより行われる。すなわち、第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bの内部に作動油が供給されて充満し、この作動油の圧力によって第一ロック体60A及び第二ロック体60Bを外部ロータ2の摺動溝65内に引退、収納させる方向に作用する付勢力が、第一ロック体60A及び第二ロック体60Bを突出させる方向に付勢するスプリング61の付勢力より大きくなると、図8に示すように、第一ロック体60A及び第二ロック体60Bは第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bから引退し、内部ロータ1と外部ロータ2との相対回転を許容する。
〔油圧回路の構成〕
油圧回路7は、エンジンの駆動力で駆動されて作動油を制御弁76に供給するオイルポンプ70と、制御ユニット(ECU:Electric Control Unit)9により制御されて複数のポートにおける作動油の供給又は排出を制御する制御弁76と、作動油を貯留するオイルパン75とを備えている。ここでは、制御弁76として、制御ユニット9からのソレノイド76aへの通電によってスプール76bをスプリング76gに抗して移動させて変位させる可変式電磁スプールバルブを用いる。
油圧回路7は、エンジンの駆動力で駆動されて作動油を制御弁76に供給するオイルポンプ70と、制御ユニット(ECU:Electric Control Unit)9により制御されて複数のポートにおける作動油の供給又は排出を制御する制御弁76と、作動油を貯留するオイルパン75とを備えている。ここでは、制御弁76として、制御ユニット9からのソレノイド76aへの通電によってスプール76bをスプリング76gに抗して移動させて変位させる可変式電磁スプールバルブを用いる。
上記制御弁76の第1のポート76cには上記進角室43に連通する進角通路11が、第2のポート76dには上記遅角室42に連通する遅角通路10が、第3のポート76eには上記第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに連通するロック通路63が、それぞれ接続されている。また、制御弁76のドレンポート76fは、オイルパン75に連通されている。
制御弁76は、制御ユニット9により制御されて、上記進角通路11及び上記遅角通路10を介して進角室43及び遅角室42の一方又は双方に対する作動油の供給又は排出の制御を行い、流体圧室40内でのベーン5の相対位置を変更し、外部ロータ2と内部ロータ1との相対回転位相を図2に示すような最遅角位相(遅角室42の容積が最大となるときの相対回転位相)と図5に示すような最進角位相(進角室43の容積が最大となるときの相対回転位相)との間で変位させる制御を行う。よって、この制御弁76及び制御ユニット9、並びに制御弁76により作動油の供給又は排出が行われる流体圧室40の遅角室42及び進角室43が、本発明における「位相制御機構71」を構成する。
また、制御弁76は、制御ユニット9により制御されて、上記ロック通路63を介して第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに対する作動油の供給又は排出の制御を行うことにより、上記の通り、第一ロック体60A及び第二ロック体60Bの第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bへの突出又は引退の制御を行う。
〔制御弁の動作〕
図9に示すように、油圧回路7の制御弁76は、制御ユニット9からソレノイド76aへの給電量を制御することによりスプール76bのストローク量を制御し、スプール位置を位置W1から位置W5まで変化させ、進角室43、遅角室42、並びに第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに対する作動油の供給、排出(ドレイン)、及びそれらの停止(閉鎖)を切り替えるように構成されている。本実施形態においては、ソレノイド76aへの給電量の制御は、ソレノイド76eに供給する電流のデューティ値(%)を変えることにより行う。そして、スプール76bのストローク量は、ソレノイド76aへの給電量(電流のデューティ値)に比例する構成としている。以下、図9に基づいてスプール位置毎の制御弁76の制御動作について説明するが、これは制御弁76による制御動作の一例であり、適宜変更が可能である。
図9に示すように、油圧回路7の制御弁76は、制御ユニット9からソレノイド76aへの給電量を制御することによりスプール76bのストローク量を制御し、スプール位置を位置W1から位置W5まで変化させ、進角室43、遅角室42、並びに第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに対する作動油の供給、排出(ドレイン)、及びそれらの停止(閉鎖)を切り替えるように構成されている。本実施形態においては、ソレノイド76aへの給電量の制御は、ソレノイド76eに供給する電流のデューティ値(%)を変えることにより行う。そして、スプール76bのストローク量は、ソレノイド76aへの給電量(電流のデューティ値)に比例する構成としている。以下、図9に基づいてスプール位置毎の制御弁76の制御動作について説明するが、これは制御弁76による制御動作の一例であり、適宜変更が可能である。
制御弁76は、スプール位置が位置W1のとき、第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに作動油を供給し、第一ロック体60A及び第二ロック体60Bを引退させた状態とし、更に、進角室43の作動油をドレインしつつ、遅角室42に作動油を供給することにより、外部ロータ2と内部ロータ1との相対回転位相を遅角方向(図2〜図5においてベーン5が矢印S1方向に移動する方向)に変位させる遅角方向変位操作を実行する。
制御弁76は、スプール位置が位置W2のとき、第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに作動油を供給して第一ロック体60A及び第二ロック体60Bを引退させた状態としたままで、進角室43及び遅角室42に対する作動油の供給及び排出を停止(第1のポート76c及び第2のポート76dを閉鎖)して、前記相対回転位相をその時点での位相に保持する位相保持操作を実行する。
制御弁76は、スプール位置が位置W3のとき、第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bに作動油を供給して第一ロック体60A及び第二ロック体60Bを引退させた状態とし、更に、遅角室42の作動油をドレインしつつ、進角室43に作動油を供給することにより、前記相対回転位相を進角方向(図2〜図5においてベーン5が矢印S2方向に移動する方向)に変位させる進角方向変位操作を実行する。
制御弁76は、スプール位置が位置W4のとき、第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bの作動油をドレインし、第一ロック体60A及び第二ロック体60Bが突出可能な状態とし、更に、遅角室42の作動油をドレインしつつ、進角室43に作動油を供給する。これにより、前記相対回転位相がロック位相にある場合には、第一ロック体60A及び第二ロック体60Bが第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bにそれぞれ突入した状態で前記相対回転位相を進角方向S2に付勢する進角付勢操作を実行する。この操作は、エンジンの暖機が終了するまでの間、第一ロック体60Aと第一ロック溝62Aの内部ロータ遅角側の側壁とが当接する圧力を高めてこれらの間の摩擦力を増大させることにより、エンジンの回転数増加による遠心力で第一ロック体60Aが第一ロック溝62Aから引退して相対回転位相のロック位相での拘束が解除されることを防止するために行うことができる。
制御弁76は、スプール位置が位置W5のとき、進角室43、遅角室42、並びに第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bの作動油をオイルパン75側に排出可能な状態とするドレイン操作を実行する。すなわち、この操作では、制御弁76の第1のポート76c、第2のポート76d、及び第3のポート76eは、すべてドレンポート76fに連通された状態となる。エンジンの始動のためのクランキング時は、制御弁76はこのドレイン操作を実行する。
〔制御ユニットの構成〕
図10に示すように、制御ユニット9は、演算処理を行うCPU91、所定のプログラムやデータテーブル等を格納したメモリ92、入出力インターフェース93を有して構成されている。また、制御ユニット9には、カムシャフトの位相を検知するカム角センサ101、クランクシャフトの位相を検知するクランク角センサ102、イグニッションスイッチ103、作動油の温度を検知する油温センサ104、クランクシャフトの回転数(エンジン回転数)を検知する回転数センサ105、エンジンの冷却水温度を検知する水温センサ106からの検知信号が入力される。また、図示は省略するが、この制御ユニット9には、その他に、車速センサ、スロットル開度センサ等の上記以外の各種センサからの検知信号も入力される。そして、制御ユニット9は、これらの各種センサからの検知信号に基づいてエンジンの動作状態を検知する。
図10に示すように、制御ユニット9は、演算処理を行うCPU91、所定のプログラムやデータテーブル等を格納したメモリ92、入出力インターフェース93を有して構成されている。また、制御ユニット9には、カムシャフトの位相を検知するカム角センサ101、クランクシャフトの位相を検知するクランク角センサ102、イグニッションスイッチ103、作動油の温度を検知する油温センサ104、クランクシャフトの回転数(エンジン回転数)を検知する回転数センサ105、エンジンの冷却水温度を検知する水温センサ106からの検知信号が入力される。また、図示は省略するが、この制御ユニット9には、その他に、車速センサ、スロットル開度センサ等の上記以外の各種センサからの検知信号も入力される。そして、制御ユニット9は、これらの各種センサからの検知信号に基づいてエンジンの動作状態を検知する。
また、制御ユニット9は、カム角センサ101で検知したカムシャフト3の位相と、クランク角センサ102で検知したクランクシャフトの位相とに基づいて、カムシャフト3とクランクシャフトの相対回転位相、すなわち、弁開閉時期制御装置における内部ロータ1と外部ロータ2との相対回転位相の現在値を演算して取得することができる。
制御ユニット9は、エンジンの始動のためのクランキング時には、制御弁76に対してスプール位置を位置W5としてドレイン操作を実行させる制御を行い、後述するようにロック機構6によるエンジン始動時のロック動作を行わせる。そして、エンジンの始動後は、制御ユニット9は、エンジンオイルの温度、クランクシャフトの回転数、車速、スロットル開度等のような上記の各種センサ等により検知したエンジンの動作状態に基づいて制御弁76への給電量を制御し、それにより制御弁76による進角室43、遅角室42、並びに第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bへの作動油の供給又は排出を制御して内部ロータ1と外部ロータ2との相対回転位相がそのときのエンジンの動作状態に適した位相となるように適宜変更する制御を行うように構成されている。
〔エンジン始動時のロック動作〕
次に、エンジンの始動のためのクランキング時におけるロック機構6(第一ロック機構6A及び第二ロック機構6B)の動作について説明する。この弁開閉時期制御装置は、エンジンの始動のためのクランキング時に、ロック機構6により相対回転位相をロック位相まで変位させて拘束する動作を行い、エンジンの始動性を高めている。ところで、本実施形態においては、上記のとおり、クランキング時にカムシャフト3に作用するトルク変動により相対回転位相は振動しつつ平均的には遅角方向に変位する構成になっている。したがって、クランキング開始時の相対回転位相がロック位相よりも進角側である場合には、クランキング時のトルク変動により相対回転位相は遅角方向に変位してロック位相まで容易に到達できるが、クランキング開始時の相対回転位相がロック位相よりも遅角側である場合には、相対回転規制機構を構成する第一ロック機構6Aにより、クランキング時の相対回転位相の振動を利用して相対回転位相をロック位相に到達させる動作を行う必要がある。そこで、ここでは、図2に示すような相対回転位相が最遅角位相である状態からクランキングを開始した場合におけるロック機構6によるロック動作について以下に説明する。
次に、エンジンの始動のためのクランキング時におけるロック機構6(第一ロック機構6A及び第二ロック機構6B)の動作について説明する。この弁開閉時期制御装置は、エンジンの始動のためのクランキング時に、ロック機構6により相対回転位相をロック位相まで変位させて拘束する動作を行い、エンジンの始動性を高めている。ところで、本実施形態においては、上記のとおり、クランキング時にカムシャフト3に作用するトルク変動により相対回転位相は振動しつつ平均的には遅角方向に変位する構成になっている。したがって、クランキング開始時の相対回転位相がロック位相よりも進角側である場合には、クランキング時のトルク変動により相対回転位相は遅角方向に変位してロック位相まで容易に到達できるが、クランキング開始時の相対回転位相がロック位相よりも遅角側である場合には、相対回転規制機構を構成する第一ロック機構6Aにより、クランキング時の相対回転位相の振動を利用して相対回転位相をロック位相に到達させる動作を行う必要がある。そこで、ここでは、図2に示すような相対回転位相が最遅角位相である状態からクランキングを開始した場合におけるロック機構6によるロック動作について以下に説明する。
図11は、弁開閉時期制御装置のエンジン始動時における動作のタイミングチャートである。この図に示すように、制御ユニット9は、イグニッションスイッチ103からエンジン始動信号が入力(ON)されると、クランクシャフトのクランキング(クランクシャフトをスタータモータ等により強制的に回転させる動作)を開始する。このとき、制御ユニット9は、制御弁76をスプール位置が位置W5となるように制御し、進角室43、遅角室42、並びに第一ロック溝62A及び第二ロック溝62Bの全てについて作動油をドレイン(排出)状態とする。また、このとき、第一ロック機構6Aは、図2に示すように、第一ロック体60Aの先端部が付勢機構64の規制部材64aに形成された規制段差部64eに係合した状態となっている。
この状態でクランキングが行われると、カムシャフト3に作用するトルク変動により内部ロータ1と外部ロータ2との相対回転位相は周期的に振動する。したがって、第一ロック機構6Aについて見れば、外部ロータ2側に設けられた第一ロック体60Aと内部ロータ1側に設けられた第一ロック溝62Aとの間の位置関係も周期的に振動する。ここで、付勢機構64の規制部材64aは、第一ロック溝62Aの内部ロータ進角側の側壁64fとストッパ段差部64dとの間で移動可能となっているので、振動の振幅が規制部材64aの移動可能範囲内である場合には、図12の(a)及び(b)に示すように、第一ロック体60Aの先端が規制部材64aの規制段差部64eに係合した状態で振動することになる。この際、規制部材64aは付勢ばね64cにより内部ロータ遅角側に向けて付勢されているので、第一ロック体60Aは、規制部材64aを介して付勢ばね64cから相対回転位相を進角方向に変位させる方向の付勢力Fを受けることになる。このように、クランキング時の振動を利用して付勢ばね64cの付勢力Fを第一ロック体60Aに作用させ、この付勢力Fとクランキングによる振動を利用して相対回転位相を、規制部材64aの移動可能範囲を超えて進角方向(図12(b)において内部ロータ1が矢印S2方向に移動する方向)に変位させることにより、相対回転位相を確実に規制位相(図3に示す位相)に到達させることが可能となる。
上記のようにして相対回転位相が進角方向に変位して規制位相に到達すると、図3に示すように、第一ロック機構6Aの第一ロック体60Aは、規制段差部64eとの係合が外れて、その先端が第一ロック溝62A内に突入した状態となる。これにより、第一ロック体60Aは、規制部材64aの規制壁64bに当接して相対回転位相が遅角側に変位する方向に移動することが規制された状態となる(図11参照)。この状態で第一ロック体60Aと第一ロック溝62Aとの間の位置関係が周期的に振動すると、振動の振幅が規制部材64aの移動可能範囲内である場合には、図13の(a)及び(b)に示すように、第一ロック体60Aの先端が規制部材64aの規制壁64bに当接した状態で振動することになる。この際、規制部材64aは付勢ばね64cにより内部ロータ遅角側に向けて付勢されているので、第一ロック体60Aは、規制部材64aを介して付勢ばね64cから相対回転位相を進角方向に変位させる方向の付勢力Fを受けることになる。このように、クランキング時の振動を利用して付勢ばね64cの付勢力Fを第一ロック体60Aに作用させ、この付勢力Fとクランキングによる振動を利用して相対回転位相を、規制部材64aの移動可能範囲を超えて進角方向(図13(b)において内部ロータ1が矢印S2方向に移動する方向)に変位させることにより、相対回転位相を確実にロック位相(図4に示す位相)に到達させることが可能となる。
上記のようにして相対回転位相が進角方向に変位してロック位相に到達すると、図4及び図13の(c)に示すように、第二ロック機構6Bの第二ロック体60Bは、第二ロック溝62B内に突入した状態となる。これにより、第一ロック体60Aは第一ロック溝62Aの内部ロータ遅角側の側壁に当接し、第二ロック体60Bは第二ロック溝62Bの内部ロータ進角側の側壁に当接して、相対回転位相がロック位相で拘束された状態となる(図11参照)。そして、このように相対回転位相を迅速にロック位相に到達させて拘束することにより、エンジンの良好な始動性を得ることができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記実施形態においては、規制部材64aの規制壁64b側を切り欠いて階段状の規制段差部64eを設ける場合について説明したが、本発明に係る弁開閉時期制御装置は、図14に示すように、付勢機構64として規制段差部64eを備えない構成とすることも可能である。この場合であっても、第一ロック体60Aが第一ロック溝62Aに突入して規制部材64aの規制壁64bに当接した状態では、第一ロック体60Aは、規制部材64aを介して付勢ばね64cから相対回転位相を進角方向に変位させる方向の付勢力Fを受けることになるので、相対回転位相を容易にロック位相(図4に示す位相)に到達させることが可能となる。
(1)上記実施形態においては、規制部材64aの規制壁64b側を切り欠いて階段状の規制段差部64eを設ける場合について説明したが、本発明に係る弁開閉時期制御装置は、図14に示すように、付勢機構64として規制段差部64eを備えない構成とすることも可能である。この場合であっても、第一ロック体60Aが第一ロック溝62Aに突入して規制部材64aの規制壁64bに当接した状態では、第一ロック体60Aは、規制部材64aを介して付勢ばね64cから相対回転位相を進角方向に変位させる方向の付勢力Fを受けることになるので、相対回転位相を容易にロック位相(図4に示す位相)に到達させることが可能となる。
(2)また、規制段差部64eを設けるための構成はこれに限定されない。例えば、図15又は図16に示すように、規制壁64bとストッパ段差部64dとにより、第一ロック体60Aが係合可能であって、相対回転位相が進角方向に変位することを許容する方向に傾斜した階段状の規制段差部64eを形成することも可能である。すなわち、ストッパ段差部64dの上面が、第一ロック溝62Aの底面よりも内部ロータ1の径方向外側の位置となるようにストッパ段差部64dを形成することによって、規制部材64aの規制壁64bとストッパ段差部64dとにより、或いは規制部材64aに形成された規制段差部64eと規制壁64bとストッパ段差部64dとにより、内部ロータ遅角側が低くなるように傾斜した1段又は2段以上の階段状の規制段差部64eを形成することができる。
(3)上記実施形態においては、付勢機構64の付勢部材の構成として、規制部材64aと別体の付勢ばね64cを設けることについて説明したが、規制部材64aと付勢ばね64cとを一体的に結合して設ける構成とすることも可能である。また、例えば、規制部材64a自体をゴム等の弾性部材で構成することにより、付勢部材を規制部材64aに一体的に構成することも可能である。
(4)上記実施形態においては、第一ロック体60Aと第二ロック体60Bとが互いに平行に摺動溝65に沿って摺動するように配置された構成について説明したが、本発明に係る弁開閉時期制御装置は、図17に示すように、第一ロック体60A及び第二ロック体60Bが、共に外部ロータ2及び内部ロータ1の径方向に摺動するように配置することも当然に可能である。
(5)上記の実施形態では、クランキング時にカムシャフト3に作用するトルク変動により、外部ロータ2と内部ロータ1との相対回転位相が振動しつつ平均的には遅角方向に変位する場合について説明したが、本発明は、クランキング時に前記相対回転位相が平均的には進角方向に変位するような構成にも適用することが可能である。その場合、上記説明において「進角方向」と「遅角方向」とが入れ替わることになり、進角方向が本発明における「第一方向」に相当し、遅角方向が本発明における「第二方向」に相当することになるが、それ以外は上記説明をそのまま適用することが可能である。
(6)上記の実施形態では、ロック機構6における第一ロック体60A及び第二ロック体60Bが、共に外部ロータ2から内部ロータ1側に突出する構成である場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第一ロック体60A及び第二ロック体60Bが内部ロータ1から外部ロータ2側に突出する構成とすることも可能である。
1:内部ロータ(従動側回転部材)
2:外部ロータ(駆動側回転部材)
3:カムシャフト
6:ロック機構(相対回転拘束機構)
6A:第一ロック機構(相対回転規制機構)
6B:第二ロック機構
7:油圧回路
9:制御ユニット
27:トーションスプリング
40:流体圧室
42:遅角室
43:進角室
60A:第一ロック体(突出部材)
60B:第二ロック体
62A:第一ロック溝(規制溝)
62B:第二ロック溝
64:付勢機構
64a:規制部材
64b:規制壁
64c:付勢ばね(付勢部材)
64d:ストッパ段差部
64e:規制段差部
70:オイルポンプ
71:位相制御機構
76:制御弁
2:外部ロータ(駆動側回転部材)
3:カムシャフト
6:ロック機構(相対回転拘束機構)
6A:第一ロック機構(相対回転規制機構)
6B:第二ロック機構
7:油圧回路
9:制御ユニット
27:トーションスプリング
40:流体圧室
42:遅角室
43:進角室
60A:第一ロック体(突出部材)
60B:第二ロック体
62A:第一ロック溝(規制溝)
62B:第二ロック溝
64:付勢機構
64a:規制部材
64b:規制壁
64c:付勢ばね(付勢部材)
64d:ストッパ段差部
64e:規制段差部
70:オイルポンプ
71:位相制御機構
76:制御弁
Claims (6)
- クランクシャフトに対して同期回転する駆動側回転部材と、前記駆動側回転部材に対して同軸状に配置され、カムシャフトに対して同期回転する従動側回転部材と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との相対回転位相を可変制御する位相制御機構と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との相対回転位相の変位を所定のロック位相で拘束可能な相対回転拘束機構と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との相対回転位相の遅角方向又は進角方向のいずれか一方である第一方向への変位を規制可能な相対回転規制機構と、を備え、
前記相対回転規制機構は、前記駆動側回転部材及び前記従動側回転部材のいずれか一方から他方側に突出可能な突出部材と、前記他方側にある前記駆動側回転部材又は前記従動側回転部材に設けられて前記突出部材が突入可能に設けられた規制溝と、前記規制溝内に突入した前記突出部材に対して前記相対回転位相を前記第一方向とは反対の第二方向に変位させる方向の付勢力を与え得る付勢機構とを備える弁開閉時期制御装置。 - 前記付勢機構は、前記規制溝内に突入した前記突出部材に当接し、前記相対回転位相が前記第一方向に変位する際の前記突出部材の移動を規制する前記規制溝内の規制壁を有する規制部材と、この規制部材を付勢する付勢部材とを備える請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
- 前記付勢機構は、前記規制部材の前記付勢部材による付勢方向への移動を制限するストッパ段差部を前記規制溝内に備える請求項2に記載の弁開閉時期制御装置。
- 前記規制部材は、前記規制壁側に、前記突出部材が係合可能であって、前記相対回転位相が前記第二方向に変位することを許容する方向に傾斜した階段状の規制段差部を備える請求項2又は3に記載の弁開閉時期制御装置。
- 前記付勢機構は、前記規制壁と前記ストッパ段差部とにより、前記突出部材が係合可能であって、前記相対回転位相が前記第二方向に変位することを許容する方向に傾斜した階段状の規制段差部を形成する請求項2から4の何れか1項に記載の弁開閉時期制御装置。
- 前記付勢機構は、前記付勢部材を前記規制部材に一体的に構成している請求項2から5の何れか1項に記載の弁開閉時期制御装置。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2004
- 2004-12-14 JP JP2004361974A patent/JP2006170027A/ja active Pending
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