JP2006169322A - アルカリ易溶性ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】 アルカリ性の溶液に繊維を溶かした場合にアンチモン化合物の溶液への移行がなく、アンチモン原子に起因する環境負荷を与えることのないアルカリ易溶性のポリエステル繊維や分割型複合繊維を得ることができるアルカリ易溶性ポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】 数平均分子量1000〜15000のポリエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体を5〜20質量%含有し、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸が全酸成分に対し0.5〜5モル%共重合されているポリアルキレンテレフタレートからなるアルカリ易溶性ポリエステル樹脂であって、アンチモン原子を実質的に含まず、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物からなる固溶体を100〜400ppm含有することを特徴とするアルカリ易溶性ポリエステル樹脂。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アルカリ性の溶液に繊維を溶かした場合にアンチモン化合物の溶液への移行がなく、アンチモン原子に起因する環境負荷を与えることのないアルカリ易溶性のポリエステル繊維や分割型複合繊維を得ることができるアルカリ易溶性ポリエステル樹脂に関するものである。
ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(PET)はその優れた機械的特性及び化学的特性のため、衣料用、産業用等の繊維のほか、磁気テープ用、コンデンサー用等のフィルムあるいはボトル等の成形物用として広く用いられている。
その中で、スルホイソフタル酸金属塩及びその誘導体を高比率で共重合したり、スルホイソフタル酸金属塩及びその誘導体とポリアルキレングリコールを添加、又は共重合したアルカリ易溶性ポリエステル樹脂は古くから知られている。例えば、アルカリ易溶性ポリエステル樹脂と通常のポリエステル樹脂とからなる複合糸をアルカリ性水溶液で処理することにより、極細繊維を得る手法が提案されている(特許文献1、2)。また、アルカリ易溶性ポリエステル樹脂を単独で製糸することも検討されている。例えば、ナトリウムスルホイソフタル酸とポリエチレングリコールを含む共重合ポリエチレンテレフタレートからなるアルカリ易溶性ポリエステル繊維と他のアルカリ難溶性繊維から構成される混繊糸を布帛とした後、アルカリ性水溶液で処理することにより、布帛のドレープ性、表面タッチを改良する方法が提案されている(特許文献3)。
通常、アルカリ易溶性ポリエステル樹脂を含む多くのPETの重合には、重縮合触媒として三酸化アンチモンに代表されるアンチモン化合物が広く用いられている。三酸化アンチモンは安価で、かつ優れた触媒活性を有する触媒であるが、近年、環境面からアンチモンの安全性に対する問題が指摘されている。特にアルカリ易溶性ポリエステル樹脂の場合には、アルカリ易溶性ポリエステル樹脂を繊維とし、この繊維をアルカリ性の溶液で処理する際に、重縮合触媒として使用され樹脂に残存したアンチモン化合物が溶液に移行し環境に負荷を与えるため、アンチモン原子を含まないポリエステル樹脂が望まれている。
このような経緯で、三酸化アンチモンの代わりとなる重縮合触媒の検討が行われている。特に、テトラアルコキシチタネートがすでに提案されているが、これを用いて製造されたポリエステル樹脂は著しく着色すること、ならびに熱分解を容易に起こすという問題がある。
三酸化アンチモンの代わりとなる重縮合触媒でかつ、テトラアルコキシチタネートを用いたときのような問題点を克服する重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物が実用化されているが、この触媒は非常に高価であることや、重合中に反応系から外へ溜出しやすいため反応系の触媒濃度が変化し、重合の制御が困難であるといった問題を有している。
また、アルミニウム化合物とマグネシウム化合物を逐次的に添加することで、それらの触媒活性を足し合わせた以上の触媒活性を持たせる方法が提案されているが、得られるポリエステル樹脂に触媒の分解物等に起因する粗大な異物が発生し、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが多発するという問題があった(特許文献4参照)。
特開昭56−9442号公報 特開平1−162825号公報 特開昭64−26747号公報 特開2000−302854号公報
本発明の課題は、上記のような問題を解決し、アルカリ性の溶液に繊維を溶かした場合にアンチモン化合物の溶液への移行がなく、アンチモン原子に起因する環境負荷を与えることのないアルカリ易溶性のポリエステル繊維や分割型複合繊維を得ることができるアルカリ易溶性ポリエステル樹脂を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明の要旨は次の通りである。
数平均分子量1000〜15000のポリエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体を5〜20質量%含有し、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸が全酸成分に対し0.5〜5モル%共重合されているポリアルキレンテレフタレートからなるアルカリ易溶性ポリエステル樹脂であって、アンチモン原子を実質的に含まず、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物からなる固溶体を100〜400ppm含有することを特徴とするアルカリ易溶性ポリエステル樹脂。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂は、アンチモン化合物を含まないため、アンチモン原子に起因する環境負荷を与えることがない。また、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物からなる固溶体をポリエステルの重縮合触媒として用いることで適度な重合活性を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂を構成するポリアルキレンテレフタレートは、主としてアルキレングリコールとテレフタル酸からなる。アルキレングリコールとしては、エチレングリコール(EG)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられ、中でもEGが好ましい。
本発明において、ポリアルキレンテレフタレートは、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分を共重合していることが必要である。スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸を共重合することによって、ポリエステル樹脂のアルカリ溶解性を向上させることができる。スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸の具体例としては、5−ナトリウムスルホイソフタル酸(SIP)等のスルホン酸塩基を有するイソフタル酸が挙げられる。
スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分は、全酸成分に対して0.5〜5モル%共重合していることが必要であり、1〜4モル%共重合していることが好ましく、1.5〜3モル%共重合していることがさらに好ましい。スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分の共重合割合が0.5モル%より少ないと、ポリエステル樹脂のアルカリ溶解性が低下するため好ましくない。また、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分が5モル%を超えると、重合時にポリエステル樹脂の溶融粘度が上がり、十分な極限粘度を有するポリエステル樹脂が得られない。そのため、得られたポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが多発するため好ましくない。
なお、ポリアルキレンテレフタレートには、発明の効果を損なわない範囲で以下のような成分を共重合してもよい。酸成分としては、イソフタル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸や、(無水)トリメリット酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等の多官能カルボン酸を挙げることができる。また、アルコール成分としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド、あるいはプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール等を挙げることができる。
本発明のポリエステル樹脂は、極限粘度が0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがさらに好ましい。極限粘度が0.6未満では、ポリエステル樹脂の熱安定性が劣ったものとなり、このポリエステル樹脂を紡糸する際に糸切れが発生するため好ましくない。
本発明のポリエステル樹脂は、ポリエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体(POE)を含有することが必要である。POEの具体例としては、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体などが挙げられる。中でもPEG、PTMGが好ましい。
ポリエステル樹脂におけるPOEの含有量は、5〜20質量%であることが必要であり、6〜15質量%であることが好ましく、7〜10質量%であることがさらに好ましい。POEの含有量が5質量%より少ないと、ポリエステル樹脂のアルカリ溶解性が低下するため好ましくない。また、POEの含有量が20質量%を超えると、ポリエステル樹脂の熱安定性が損なわれて、得られたポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生するため好ましくない。
POEの数平均分子量は、1000〜15000であることが必要であり、2000〜7000であることが好ましく、3000〜6000であることがさらに好ましい。POEの数平均分子量が1000より小さいと、ポリエステル樹脂のアルカリ溶解性が低下するため好ましくない。また、ポリエステル樹脂中のPOEの数平均分子量が15000を超えると、ポリエステル樹脂の熱安定性が損なわれて、得られたポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生するため好ましくない。
本発明のポリエステル樹脂は、重縮合反応時にマグネシウム化合物及びアルミニウム化合物からなる固溶体を触媒として使用して製造されるので、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物からなる固溶体を含有する。
アルミニウム化合物とマグネシウム化合物からなる固溶体とは、それぞれが均一に溶け合った固体であり、これらの結晶格子の一部は他の原子によって置き換わり、組成を変化させることができるものである。固溶体中におけるモル比率は、アルミニウム/マグネシウムの比が0.1〜10であることが好ましく、0.2〜5であることがさらに好ましい。
アルミニウム化合物としては特に限定はされないが、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウム、金属アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩および無機酸塩が好ましく、これらの中でもさらに水酸化アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化アルミニウムが特に好ましい。
マグネシウム化合物としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、マグネシウムアセチルアセトネート、酢酸以外のカルボン酸塩などが挙げられ、特に水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムが好ましい。
本発明で用いるアルミニウム化合物及びマグネシウム化合物は、いずれか一方もしくは両者が2種類以上の化合物を用いて固溶体としてもよく、特に限定されない。
アルミニウム化合物およびマグネシウム化合物からなる固溶体は、必要に応じて、マグネシウム、アルミニウム以外の他の金属を含有していてもよい。他の金属としては亜鉛、チタン、錫、コバルト、マンガン、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、鉄、ニッケル、ガリウムなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂におけるマグネシウム化合物およびアルミニウム化合物からなる固溶体の含有量は100ppm以上であり、400ppm以下であることが必要である。重縮合反応時に、固溶体の含有量が100ppmより少なくなるように添加されると、重縮合触媒としての活性が十分でないため、十分な極限粘度を有するポリエステル樹脂が得られない。そのため、得られたポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが多発するため好ましくない。一方、400ppmを超えるように添加されると、固溶体がポリエステル樹脂中で凝集して粗大粒子となり、このポリエステル樹脂を紡糸した際にパック圧の上昇や糸切れの原因となるため好ましくない。
重縮合反応時の触媒としてマグネシウム化合物及びアルミニウム化合物を固溶体を用いることによって、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物の複合効果が得られ、適度な重合活性が得られる。また、アルミニウム化合物とマグネシウム化合物を逐次的に添加した場合に見られる、触媒の分解物等に起因する粗大な異物の発生が抑えられ、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが多発するという問題が解決される。
本発明のポリエステル樹脂は、重縮合触媒としてアンチモン化合物を使用しない。そのため、このポリエステル樹脂を紡糸して得られる繊維をアルカリ性の溶液に溶かした場合に、アンチモン化合物が溶液へ移行することがなく、アンチモン原子に起因する環境負荷を与えることのないアルカリ易溶性ポリエステル繊維を得ることができる。
本発明のポリエステル樹脂は例えば次のような方法により製造することができる。
まず、温度230〜250℃で窒素ガス制圧下、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートまたはその低重合体(PETオリゴマー)の存在するエステル化反応槽に、グリコール成分/酸成分のモル比が1.1〜2.0のエチレングリコール(EG)とテレフタル酸(TPA)のスラリーを添加し、滞留時間7〜8時間でエステル化反応物を連続的に得る。
次に、このエステル化反応物(PETオリゴマー)を重合反応缶に移送し、これにPOEを添加し攪拌混合した後、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸またはそのメチルエステル化物またはEGエステル化物を添加し、重縮合触媒として、マグネシウム化合物及びアルミニウム化合物からなる固溶体を添加した後、重合反応缶の温度を260〜280℃に昇温し、0.01〜13.3hPaの減圧下にて、所定の極限粘度となるまで重縮合反応を行う。
アルミニウム化合物及びマグネシウム化合物からなる固溶体の添加方法は特に限定されないが、固溶体を分散媒中に分散させたスラリーとして、重縮合反応時に添加することが好ましい。なお、スラリー中の固溶体の含有量は0.5〜3質量%が好ましい。スラリー中の固溶体の含有量が0.5質量%より少ないと、スラリーの添加量が多くなり、重合時に多量の溜出物が生成し、コストアップにつながる。一方、スラリー中の固溶体の含有量が3質量%を超えると、ポリエステルにスラリーを添加した際に、固溶体の凝集が起こりやすく、ポリエステル樹脂中で固溶体が粗大粒子となり、ポリエステル樹脂を紡糸した際にパック圧の上昇や糸切れの原因となるため好ましくない。
スラリーに用いる分散媒としては、EG、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等が挙げられ、これらの中でも特にEGが好ましい。
また、ポリエステル樹脂中で固溶体が凝集して粗大粒子となり、紡糸時にパック圧の上昇や糸切れが多発することを防ぐためには、EG等の分散媒に所定量の固溶体を添加して撹拌混合した後、超音波処理を行うことが好ましい。超音波の周波数は通常の周波数領域でよく、例えば、20kHz程度から100kHzの範囲で適用できる。超音波を発生させる発信源は公知の手段でよい。例えば、水晶を用いた圧電振動子、ニッケルやフェライトを用いた電歪発振子等が挙げられる。また、超音波処理の時間は、0.5〜5時間の範囲が好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系化合物のような酸化防止剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのような耐候性改良剤、難燃剤、制電剤、抗菌剤、セラミック等種々の改質剤や添加剤を含有していてもよい。
本発明のポリエステル樹脂は、溶融紡糸して繊維とすることができる。例えば、得られたポリエステル樹脂を常法により乾燥し、通常の溶融紡糸機台に供給してポリエステルの融点より20℃以上高い温度で溶融紡糸し、1000〜4000m/分の速度で、未延伸糸または半未延伸糸としていったん捲き取るか、あるいは、捲き取ることなく、引き続いて1.5〜3.5倍に延伸し、80〜180℃で熱処理を行い目的の繊維を得る。
なお、本発明の効果が損なわれない限り他の成分との複合繊維としてもよい。さらに、繊維の形態は長繊維としても短繊維としてもよく、必要に応じて、捲縮加工、仮撚加工等の後加工を施して用いることもできる。
以下、実施例により本発明のポリエステル樹脂について具体的に説明する。なお、特性値等の測定及び評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度
フェノール/四塩化エタン(1/1、質量比)を溶媒として、温度20.0℃で測定した溶液粘度から求めた。
(b)アルカリ減量速度
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂を常法によりペレット化、乾燥した後、吐出孔を48個有する紡糸口金を用い、紡糸温度295℃で紡糸し、冷却、油剤付与を行いながら、1500m/分の速度で捲き取り、未延伸糸を得た。これを延伸倍率2.8、ロールヒータ温度80℃、プレートヒータ温度150℃、延伸速度600m/minの条件で延伸した後、巻き取り75デシテックス/48フィラメントの延伸糸を得た。この延伸糸を筒編みし、浴比1:50、5質量%の水酸化ナトリウム水溶液70℃で20分間減量処理を行い、次式により求めた。アルカリ減量速度が5質量%/分以上の繊維を合格とした。
減量速度(質量%/分)=(A−B)/A×100/20
A:筒編み地の減量前の質量(g)、B:筒編み地の減量後の質量(g)
(c)糸切れ回数
本発明のポリエステル樹脂を(b)に記載した方法で1時間連続で溶融紡糸した際の糸切れの回数を数えた。糸切れが1回も発生しなかったものを○、糸切れが発生したものを×とした。
(d)IV保持率
ドライエアーを5L/分で流通させた容積27Lの箱形熱処理乾燥機の中に、極限粘度がIV0であるポリエステル樹脂のペレットを2g入れ、120℃で45分間結晶化処理した後、150℃で10時間熱処理を行い、極限粘度IV1を測定した。次式よりIV保持率を求めた。IV保持率90%以上のポリエステル樹脂を合格とした。
IV保持率=IV1/IV0×100
実施例1
PETオリゴマーの存在するエステル化反応缶にTPAとEGとのモル比が1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPa、滞留時間8時間の条件で、エステル化反応を行い、反応率95%のPETオリゴマーを連続的に得た。
このPETオリゴマー50.3kgを重縮合反応缶に移送し、数平均分子量4000のポリエチレングリコール(PEG)を4.5kg(ポリエステル樹脂全体に対してPEGが8.0質量%となる量)添加し、60分間攪拌混合した。その後、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のメチルエステル(SIPM)を1.6kg(全酸成分に対してSIPMが2.0モル%となる量)添加し、触媒として、水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム及び炭酸マグネシウムからなり、アルミニウム/マグネシウムのモル比率が0.4である固溶体(堺化学工業社製HT−P)の濃度が1.5質量%に調製されたEGスラリー0.9kg(固溶体の含有量がポリエステルに対し250ppmとなる量)を添加し、重縮合反応缶内の温度を30分間で280℃に昇温し、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で攪拌しながら極限粘度が0.6以上となるまで重縮合反応を行い、常法により払い出してペレット化した。
実施例2〜6、比較例1〜7
PEGの種類、添加量、SIPMの添加量、重縮合触媒の種類、添加方法および添加量を表1のように変えた以外は実施例1と同様に行った。
実施例および比較例で得られたポリエステル樹脂の評価結果等を表1に示す。
実施例1〜6で得られたアルカリ易溶性ポリエステル樹脂は、いずれも極限粘度が0.7以上であり、またIV保持率が90%以上と熱安定性が良好で、アルカリ減量速度も5質量%/分以上と、アルカリ易溶性ポリエステル樹脂として優れた特性を示した。
比較例1では、SIPMの添加量が0.5モル%より少なかったため、アルカリ減量速度が5.0質量%/分以上とならず、アルカリ溶解性の低いポリエステル樹脂となった。また、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物からなる固溶体の含有量が100ppmより少なかったため、重縮合反応が進み難く、ポリエステル樹脂の極限粘度が0.6以上とならなかった。そのため、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。
比較例2では、SIPMの添加量が5モル%より多かったため、ポリエステル樹脂の重合度が十分に上がらず、ポリエステル樹脂の極限粘度が0.6以上とならなかった。そのため、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。
比較例3では、POEを添加しなかったため、アルカリ減量速度が5質量%/分以上とならず、アルカリ溶解性の低いポリエステル樹脂となった。また、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物からなる固溶体の含有量が400ppmより多かったため、ポリエステル樹脂中に固溶体が凝集して異物が発生し、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。
比較例4では、POEの数平均分子量が1000より小さかったため、アルカリ減量速度が5質量%/分以上とならず、アルカリ溶解性の低いポリエステル樹脂となった。
比較例5では、POEの数平均分子量が15000より大きかったため、IV保持率が
90%以上とならず、熱安定性の低いポリエステル樹脂となった。そのため、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。
比較例6では、POEの添加量が20質量%より多かったため、IV保持率が90%以上とならず、熱安定性の低いポリエステル樹脂となった。そのため、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。
比較例7では、重縮合触媒としてマグネシウム化合物とアルミニウム化合物を重合時に逐次添加したため、ポリエステル樹脂に触媒の分解物等に起因する粗大な異物が発生し、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。

Claims (1)

  1. 数平均分子量1000〜15000のポリエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体を5〜20質量%含有し、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸が全酸成分に対し0.5〜5モル%共重合されているポリアルキレンテレフタレートからなるアルカリ易溶性ポリエステル樹脂であって、アンチモン原子を実質的に含まず、マグネシウム化合物とアルミニウム化合物からなる固溶体を100〜400ppm含有することを特徴とするアルカリ易溶性ポリエステル樹脂。

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