JP2007137969A - アルカリ易溶性ポリエステル樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】
色調および透明性が良好で、且つ、アルカリ性の溶液に繊維を溶かした場合にアンチモン化合物の溶液中への移行がないために、アンチモン原子に起因する環境負荷を与えることのないアルカリ易溶性のポリエステル繊維や分割型複合繊維を得ることができるアルカリ易溶性ポリエステル樹脂を提供する。
【解決手段】
ポリエステルの全酸成分に対し、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸が0.5〜5モル%共重合されているポリアルキレンテレフタレートからなるポリエステル樹脂であって、数平均分子量1000〜15000のポリエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体を5〜20質量%、チタン酸が被覆されたマグネシウム化合物を30〜250ppm、それぞれ含有してなることを特徴とするアルカリ易溶性ポリエステル樹脂。

Description

本発明は、アルカリ易溶性のポリエステル繊維や分割型複合繊維を得ることができるアルカリ易溶性ポリエステル樹脂に関するものである。
ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレートはその優れた機械的特性および化学的特性のため、 衣料用、産業用等の繊維のほか、磁気テープ用、コンデンサー用等のフィルムあるいはボトル用等の成形物として広く用いられている。
その中で、スルホイソフタル酸金属塩及びその誘導体を高比率で共重合したり、スルホイソフタル酸金属塩及びその誘導体とポリアルキレングリコールを添加、又は共重合したアルカリ易溶性ポリエステル樹脂は古くから知られている。例えば、アルカリ易溶性ポリエステル樹脂と通常のポリエステル樹脂とからなる複合糸をアルカリ性水溶液で処理することにより、極細繊維を得る手法が提案されている(特許文献1、2参照)。また、ナトリウムスルホイソフタル酸並びにポリエチレングリコールを共重合させたポリエチレンテレフタレート共重合体を用いてなる布帛をアルカリ性水溶液で処理することが提案されている(特許文献3参照)。
通常、アルカリ易溶性ポリエステル樹脂を含む多くのポリエステルの重合には、重縮合触媒として三酸化アンチモンに代表されるアンチモン化合物が広く用いられている。三酸化アンチモンは安価で、かつ優れた触媒活性を有する触媒であるが、近年、環境面からアンチモンの安全性に対する問題が指摘されている。特にアルカリ易溶性ポリエステル樹脂の重縮合に用いられた場合には、例えば、これを繊維化しアルカリ性溶液で処理する際に、アンチモン化合物が処理溶液中に移行し、この廃液により環境に負荷を与えてしまうことが危惧される。したがって、アンチモン原子を含まない触媒並びにそれを用いてなるアルカリ易溶性ポリエステル樹脂が望まれている。
三酸化アンチモンの代わりとなる重縮合触媒としては、テトラアルコキシチタネートがすでに提案されているが、これを用いて製造されたポリエステル樹脂は著しく着色すること、ならびに熱分解を容易に起こすという問題がある。
三酸化アンチモンの代わりとなる重縮合触媒で、かつテトラアルコキシチタネートを用いたときのような問題点を有しない重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物が実用化されているが、この触媒は非常に高価であることや、重合中に反応系から外へ溜出しやすいため反応系内の触媒濃度が変化し、重縮合反応の制御が困難であるといった問題を有している。
また、アルミニウム化合物とマグネシウム化合物を逐次的に添加することで、それらの触媒活性を足し合わせた以上の触媒活性を持たせる方法が提案されているが、得られるポリエステル樹脂の色調が優れないという問題や、ポリエステル樹脂中に触媒の分解物等に起因する粗大な異物が発生し、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが多発するという問題があった(特許文献4参照)。
特開昭56−9442号公報 特開平1−162825号公報 特開昭64−26747号公報 特開2000−302854号公報
本発明は、上記のような問題を解決するものであって、以下のようなポリエステル樹脂を提供することを課題とする。すなわち、色調および透明性が良好で、かつ、アルカリ性溶液中で繊維を溶かした場合に環境負荷の原因となるアンチモン化合物が溶液中へ移行することのない、アルカリ易溶性のポリエステル繊維用途や分割型複合繊維用途に良好なアルカリ易溶性ポリエステル樹脂を提供する。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、以下の構成を要旨とする。
a)スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸が全酸成分に対し0.5〜5モル%共重合されたポリアルキレンテレフタレート共重合体から主としてなり、数平均分子量1000〜15000のポリエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体を5〜20質量%、およびチタン酸が被覆されたマグネシウム化合物を30〜250ppm含有してなることを特徴とするアルカリ易溶性ポリエステル樹脂。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂は、アンチモン化合物を含まないため、アンチモン原子に起因する環境負荷を与えることがない。また、チタン酸が被覆されたマグネシウム化合物を重合触媒に用いることで、チタン酸とマグネシウム化合物との複合効果による好適な重合活性が得られる。さらに、重合にあたって粗大な異物の発生がなく、色調および透明性にも優れたアルカリ易溶性ポリエステル樹脂となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂としては、ポリアルキレンテレフタレート共重合体を主たる構成成分とする。ここで、ポリアルキレンテレフタレートとは、アルキレングリコールとテレフタル酸とから構成される重合体であり、アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられ、なかでもエチレングリコールが好ましい。
そして、本発明におけるポリアルキレンテレフタレート共重合体としては、上記のポリアルキレンテレフタレートに加えて、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分が、全酸成分に対して0.5〜5モル%共重合されていることが必要であり、1〜4モル%共重合していることが好ましく、1.5〜3モル%共重合していることがより好ましい。
ここで、スルホン酸塩基を有することでポリエステル樹脂のアルカリ易溶性を向上させる効果を有する芳香族ジカルボン酸としては、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のスルホン酸塩基を有するイソフタル酸が挙げられる。
スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分の共重合割合が0.5モル%より少ない場合、ポリエステル樹脂のアルカリ易溶性が低下することとなる。また、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸成分が5モル%を超える場合、重縮合に際してポリエステル樹脂の溶融粘度が上がり過ぎるため、十分な極限粘度を有するポリエステル樹脂が得られるまで重合を継続することができない。このため、得られたポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが多発することとなる。
なお、本発明におけるポリアルキレンテレフタレート共重合体としては、上記のスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で以下のような成分が共重合されたものであってもよい。例えば、酸成分としては、イソフタル酸、(無水)フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、(無水)コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、炭素数20〜60のダイマー酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、(無水)イタコン酸、(無水)シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族ジカルボン酸、(無水)ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の脂環族ジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、乳酸、β−ヒドロキシ酪酸、ε−カプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸や、(無水)トリメリット酸、トリメシン酸、(無水)ピロメリット酸等の多官能カルボン酸を挙げることができる。
また、アルコール成分としては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノール等の脂環族ジオール、ビスフェノールAやビスフェノールSのエチレンオキシド、あるいはプロピレンオキシド付加物等の芳香族ジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコール等を挙げることができる。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂には、ポリエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体(以下、両者を総称してPOEと略記する。)が、5〜20質量%含有していることが必要であり、6〜15質量%含有していることが好ましく、7〜10質量%含有していることがより好ましい。
POEの含有量が5質量%より少ない場合、ポリエステル樹脂のアルカリ易溶性が低下することとなる。また、POEの含有量が20質量%を超える場合、ポリエステル樹脂の熱安定性が損なわれて、得られたポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生することとなる。
ここで、本発明におけるPOEとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体などが挙げられるが、中でもポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。
また、本発明におけるPOEの数平均分子量としては、1000〜15000であることが必要であり、2000〜7000であることが好ましく、3000〜6000であることがより好ましい。POEの数平均分子量が1000より小さい場合、ポリエステル樹脂のアルカリ易溶性が低下する。また、ポリエステル樹脂中のPOEの数平均分子量が15000を超える場合、ポリエステル樹脂の熱安定性が損なわれることとなり、得られたポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生する。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂としては、チタン酸が被覆されたマグネシウム化合物を30〜250ppm含有していることが必要であり、50〜180ppmであることが好ましい。なお、本発明において、ppmはすべて質量ppmである。ポリエステル樹脂中のチタン酸が被覆されたマグネシウム化合物の含有量が30ppm未満の場合、重合活性が不足し、極限粘度の低いポリマーとなる。一方、含有量が250ppmを超える場合、含有量が多すぎるため、透明性が悪く、b値の高いポリマーとなる。
本発明におけるチタン酸が被覆されたマグネシウム化合物とは、マグネシウム化合物の存在下で、所定のチタン化合物を5〜100℃の範囲の温度、好ましくは、15〜70℃の範囲の温度条件下で加水分解させ、さらに当該マグネシウム化合物の表面にチタン酸として析出させることによって、マグネシウム化合物の表面にチタン酸からなる被覆層を形成させたものである。
上記チタン化合物としては、チタンハロゲン化物、チタン酸塩、チタンアルコキシド類が用いられる。
また、上記マグネシウム化合物としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、マグネシウムアセチルアセトネート、酢酸以外のカルボン酸マグネシウムなどが挙げられるが、特に水酸化マグネシウムが好ましい。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂では、所定量のチタン酸が被覆されたマグネシウム化合物を重縮合触媒として用いるため、好適に重合することができると共に、透明性も良好となる。また、従来のようなアンチモン化合物を使用しないため、このポリエステル樹脂から得られる繊維をアルカリ性溶液に溶かした場合に、アンチモン化合物が溶液中へ移行することがなく、従ってアンチモン原子に起因する環境負荷を与えることがない。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂は、通常の溶融重合法を利用して製造することができ、例えば次のような方法により製造することができる。
まず、温度230〜250℃で窒素ガス雰囲気下、ビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートまたはその低重合体(エチレンテレフタレートオリゴマー)の存在するエステル化反応槽に、グリコール成分/酸成分のモル比が1.1〜2.0であるエチレングリコールとテレフタル酸とのスラリーを添加し、滞留時間7〜8時間でエステル化反応物を連続的に得る。次に、このエステル化反応物(エチレンテレフタレートオリゴマー)を重合反応缶に移送し、これに所定量のPOEを添加し攪拌混合した後、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸またはそのメチルエステルまたはエチレングリコールエステルを添加し、重縮合触媒として、チタン酸が被覆されたマグネシウム化合物を添加した後、重合反応缶の温度を260〜280℃に昇温し、0.01〜13.3hPaの減圧下にて、所定の極限粘度となるまで重縮合反応を行う。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂の極限粘度としては、0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましい。極限粘度が0.6未満では、紡糸する際に糸切れが発生するため好ましくない。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂の製造における重縮合触媒の添加時期としては、重縮合反応の開始前が望ましいが、エステル化反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途中の任意の段階で反応系に添加することもできる。
本発明における重縮合触媒の添加時の形態としては、粉末状であってもよいし、エチレングリコールなどの分散媒に混合されたスラリー状であってもよい。
スラリーに用いる分散媒としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール等が例示され、これらの中でも特にエチレングリコールが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系化合物のような酸化防止剤、コバルト化合物、蛍光剤、染料のような色調改良剤、二酸化チタンのような顔料、酸化セリウムのような耐候性改良剤、難燃剤、制電剤、抗菌剤等種々の改質剤や添加剤を含有していてもよい。
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂は、通常の方法によって溶融紡糸し、繊維とすることができる。例えば、得られたポリエステル樹脂を常法により乾燥し、通常の溶融紡糸機台に供給してポリエステルの融点より20℃以上高い温度で溶融紡糸し、1000〜4000m/分の速度で、未延伸糸または半未延伸糸としていったん捲き取るか、あるいは、捲き取ることなく、引き続いて1.5〜3.5倍に延伸し、80〜180℃で熱処理を行い目的の繊維を得る。
また、本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂を用いて溶融紡糸するにあたって、本発明の効果が損なわれない限り他の成分との複合繊維としてもよい。さらに、繊維の形態は長繊維としても短繊維としてもよく、必要に応じて、捲縮加工、仮撚加工等の後加工を施して用いることもできる。
以下、実施例により本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂について具体的に説明する。なお、特性値等の測定及び評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃下で常法に従って測定した。
(b)アルカリ減量速度
(b−1)得られたアルカリ易溶性ポリエステル樹脂のペレットを乾燥させた後、吐出孔を48個有する紡糸口金を用い、紡糸温度295℃で紡糸し、冷却、油剤付与を行いながら、1500m/分の速度で捲き取り、未延伸糸を得た。これを延伸倍率2.8、ロールヒータ温度80℃、プレートヒータ温度150℃、延伸速度600m/minの条件で延伸した後、巻き取り75デシテックス/48フィラメントの延伸糸を得た。
(b−2)次に、この延伸糸を通常の方法で筒編み地にし、浴比が1:50であり、70℃に温度制御された5質量%の水酸化ナトリウム水溶液中で20分間減量処理を行い、次式により求めた。
減量速度(質量%/分)=(A−B)/A×100/20
ただし、A:筒編み地の減量前の質量(g)、B:筒編み地の減量後の質量(g)
アルカリ減量速度が5質量%/分以上の場合を合格とした。
(c)糸切れ回数
本発明のアルカリ易溶性ポリエステル樹脂を上記(b−1)に記載した方法に基づき1時間連続で溶融紡糸した際の糸切れの回数を数え、下記のように評価した。
糸切れが1回も発生しなかったもの:○
糸切れが発生したもの:×
(d)極限粘度保持率(IV保持率)
ドライエアーを5L/分で流通させた容積27Lの箱形熱処理乾燥機の中に、極限粘度がIVであるポリエステル樹脂のペレットを2g入れ、120℃で45分間結晶化処理した後、150℃で10時間熱処理を行い、極限粘度IVを測定した。IV保持率は次式により求めた。
IV保持率=IV/IV×100
IV保持率が90%以上の場合を合格とした。
(e)ポリエステル樹脂の色調(b値)
日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用いて測定した。色調の判定は、ハンターのLab表色計で行った。ちなみに、L値は明度(値が大きい程明るい)、a値は赤−緑系の色相(+は赤味、−は緑味)、b値は黄−青系の色相(+は黄味、−は青味)を表す。b値が7以下の場合を合格とした。
(f)ポリエステル樹脂の透明性
ポリエステル樹脂のペレットを常法により乾燥し、内径6cm、外径6.6cmの透明なガラス管に入れ、窒素雰囲気下、280℃で30分間保持して溶融し、このときの見かけの濁度を標準サンプルと比較することにより透明性を判定した。標準サンプルは、同様のガラス管に二酸化チタンをS1〜S3のような異なる濃度で、それぞれ溶融したアクリル樹脂中に均一に分散させたものである。
S1:二酸化チタン濃度0
S2:二酸化チタン濃度0.5ppm
S3:二酸化チタン濃度1.0ppm
また、透明性の判定は次の3水準とした。
○:濁度が、標準サンプルS1とS2との間にあり透明性良好
△:濁度が、標準サンプルS2とS3との間にあり透明性普通
×:濁度が、標準サンプルS3を超えるもので透明性不良
(実施例1)
エチレンテレフタレートオリゴマーの存在するエステル化反応缶にテレフタル酸とエチレングリコールとのモル比が1/1.6のスラリーを連続的に供給し、温度250℃、圧力0.1MPa、滞留時間8時間の条件で、エステル化反応を行い、エステル化反応率95%のエチレンテレフタレートオリゴマーを連続的に得た。
このエチレンテレフタレートオリゴマー50.3kgを重縮合反応缶に移送し、数平均分子量4000のポリエチレングリコール(以下、PEGと略記する。)を4.5kg添加し、60分間攪拌混合した。その後、5−ナトリウムスルホイソフタル酸のメチルエステル(以下、SIPMと略記する。)を1.6kg添加し、触媒として、堺化学社製チタンコートMGZ(チタン酸が被覆されたマグネシウム化合物)を6.8g加え、重縮合反応缶内の温度を30分間で280℃に昇温し、圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とした。この条件で攪拌しながら極限粘度が0.6以上となるまで重縮合反応を行い、常法により払い出してペレット化した。得られたポリエステル樹脂の組成及び評価結果を表1に示す。
(実施例2〜6、比較例1〜4)
SIPMの添加量、PEGの数平均分子量および添加量、重縮合触媒の添加量をそれぞれ変えたこと以外は実施例1と同様にして行った。得られたポリエステル樹脂の組成を表1に示す。
(比較例5)
実施例1におけるチタンコートMGZに替えて、テトラブトキシチタネートを48.2g加えたこと以外は、実施例1と同様にして比較例5のポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の組成を表1に示す。
(比較例6)
実施例1におけるチタンコートMGZに替えて、水酸化アルミニウムと酢酸マグネシウムを以下のように添加したこと以外は、実施例1と同様にして比較例6のポリエステル樹脂を得た。すなわち、エステル化後のエチレンテレフタレートオリゴマーに、水酸化アルミニウム8.0gを含んだEG溶液を加えた。次いで、酢酸マグネシウム50.3gを含んだEG溶液を加え、常圧で10分間撹拌混合した後、実施例1と同様にして重縮合反応を行った。得られたポリエステル樹脂の組成を表1に示す。
また、ポリエステル樹脂のアルカリ減量速度を含むその他評価結果についても、表1に示す。

実施例1〜6で得られたアルカリ易溶性ポリエステル樹脂は、いずれも極限粘度が0.6以上であり、またIV保持率が90%以上と熱安定性が良好であった。また、繊維形態で評価したアルカリ減量速度も5質量%/分以上であり、アルカリ易溶性ポリエステル樹脂として優れた特性を示した。
比較例1では、SIPMの共重合量が0.5モル%より少なかったため、アルカリ減量速度が5.0質量%/分以上とならず、アルカリ易溶性の低いポリエステル樹脂となった。
比較例2では、PEGの数平均分子量が15000より大きかったため、IV保持率が
90%以上とならず、熱安定性の低いポリエステル樹脂となった。そのため、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。
比較例3では、PEGを含まないため、アルカリ減量速度が5質量%/分以上とならず、アルカリ易溶性の低いポリエステル樹脂となった。また、チタンコートMGZの添加量が250ppmより多かったため、透明性が悪く、b値の高いポリエステル樹脂となった。
比較例4では、SIPMの共重合量が多く、また、チタンコートMGZの含有量が30ppmより少なかったため、重合活性が低く、極限粘度の低いポリエステル樹脂となった。そのため、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。
比較例5では、重縮合触媒としてテトラブトキシチタネートを用いたところ、得られたポリエステル樹脂はb値の高いものとなった。また、IV保持率が90%以上とならず、熱安定性の低いポリエステル樹脂となり、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。
比較例6では、重縮合触媒としてマグネシウム化合物とアルミニウム化合物を重合時に逐次添加したところ、得られたポリエステル樹脂はb値が高く透明性の悪いものとなった。また、ポリエステル樹脂中に触媒の分解物等に起因する粗大な異物が発生し、このポリエステル樹脂を紡糸した際に糸切れが発生した。

Claims (1)

  1. スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸が全酸成分に対し0.5〜5モル%共重合されたポリアルキレンテレフタレート共重合体から主としてなり、数平均分子量1000〜15000のポリエーテル化合物またはポリエーテル化合物誘導体を5〜20質量%、およびチタン酸が被覆されたマグネシウム化合物を30〜250ppm含有してなることを特徴とするアルカリ易溶性ポリエステル樹脂。




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