JP2006167212A - 歯列矯正部材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 歯列矯正部材10は、歯列を矯正するための矯正器具本体11と、前記矯正器具本体11の下面に設けられて歯牙12に接着可能なボンディングベース13とを有する。また、この歯列矯正部材10は、前記ボンディングベース13に接着剤14が通過するために形成された複数の長穴15と、それぞれの長穴15に連通し内部に接着剤14を拡散させる空洞部16とを備える。
【選択図】 図1
Description
また、プラスチック製のブラケットのベース面に形成した凸部の先端を加熱軟化させ、板状や突起状の押圧部材で押圧することによってアンダーカットを形成し、ベース面に塗布した接着剤がこのアンダーカット面に係止することにより、すなわち、歯牙と歯列矯正部材との機械的結合力を高めて、歯牙面からの脱落を防止したものがある(例えば、特許文献3、4)。
さらに、特許文献1に記載のものは、ボタン部がベース四隅部の4点のみに形成されていたため、固着力が弱い。
特許文献2に記載のものは固着力の点では満足できるものの、隣接するボタン部が互いに近接状態に形成されているため、口腔内環境に晒されて食物残渣がボタン部間に起こる。この残渣は、ブラッシングしても簡単に取り切れず、虫歯や口臭の原因となった。また、接着剤からなるボタン部は飲食物により着色するので、審美性が悪い。
一方ボンディングベースにアンダーカットを形成したものでは、アンダーカット量が微小であるとともに、いずれの方法においても製造上のバラツキが大きく、アンダーカットを正確に形成することが困難であった。
例えば、ベース面凸部の先端を加熱軟化させてアンダーカットを形成する特許文献3に記載のものは、所望するアンダーカットを形成する際に前記凸部が座屈してしまったり、アンダーカットが全くなかったりするものが存在する。特許文献4に記載のものはV字状に形成したアンダーカットであるが、特許文献3と同様製造上のバラツキが大きく、必ずしもアンダーカットの役目を十分に果たせないことがあった。
また、矯正治療の際には物理的に大きな力が加わるので、プラスチックブラケットのベース面凸部の先端を加熱軟化させて僅かなアンダーカットを形成する方法では、長い間にはプラスチックブラケットの機械的強度の低下が伴うことにより、接着剤によって少しずつアンダーカット部分が削り取られて消失してしまい、十分な固着力を発揮することができなかった。
さらに、口腔内では絶えず熱膨張と収縮が生じており、唾液等によっても接着剤自体が経時的に劣化し、ベースと接着剤との界面にわずかながら、徐々に隙間が生じ易い。このため、矯正医はより多くの接着剤の中から、メカニカルロックベースとして市販されているベースの材質及び形態にあった接着剤を選ばなければならないといった煩わしさが伴った。
さらに、拡散した接着剤は空洞部内に留まって、ボンディングベース外部に膨出しないので、矯正用ワイヤーや結紮用ワイヤーをアーチワイヤースロットに取り付ける際の障害とならない。
また、空洞部内からボンディングベース外部に流出した余分な接着剤は、固着力とは関係がないので、掻き取ることにより、矯正用ワイヤーや結紮用ワイヤーをアーチワイヤースロットに取り付ける際の障害とならない。
さらに、矯正器具本体とボンディングベースとをそれぞれ別素材で形成することができる。
さらに、拡散した接着剤は空洞部内に留まってボンディングベースの外部に膨出しないので、硬化した接着剤が、矯正用ワイヤーや結紮用ワイヤーを取り付ける際の障害にならない。
また、空洞部内からボンディングベース外部に流出した余分な接着剤は、硬化する前に掻き取ることにより、阻害要因を作らない。
図1、図2に示すように、本発明に係る第1実施の形態の歯列矯正部材10は、歯列を矯正するための矯正器具本体11と、矯正器具本体11の下部11aに一体に設けられて歯牙12に接着可能なボンディングベース13とを有する。
この歯列矯正部材10は、ボンディングベース13の裏面13aに塗布した接着剤14が通過する複数の長穴(穴)15と、それぞれの穴15に連通して内部に接着剤14を拡散させる空洞部16とを備える。なお、穴15は、本実施の形態では12個形成されている。
アーチワイヤースロット23は、歯列矯正用の矯正用ワイヤー24を挿通して案内する溝である。
本体タイウイング部22は、図2に示すように、矯正用ワイヤー24をアーチワイヤースロット23に保持させる結紮用ワイヤー25を係止させるための張り出し部である。
穴15は、図1に示すように、ボンディングベース13の裏面13a全域に一定間隔をおいて形成されている。
空洞部16は、ボンディングベース13を貫通し対向する両側面13bにおいて開口している。
このように、接着剤14は空洞部16内に充填されて、空洞部16内を拡散して接着剤同士が互いに連通し硬化することにより、ボンディングベース13の歯牙12面からの離脱を阻止し、歯列矯正部材10を歯牙12に強固に固着できる。
これにより、大きく拡散した接着剤14が、ボンディングベース13の歯牙12面からの脱落を確実に阻止し、歯列矯正部材10をより強固に歯牙12に固着できる。
また、上記実施の形態では、接着剤14が空洞部16内に充満状態に充填される例について説明したが、必ずしもこのような充満状態に充填しなくてもよく、少なくとも接着剤14が穴15の周囲に拡散し、この拡散した接着剤14が穴15から抜け出ないように充填されていてもよい。
補強用リブ31は、隣接する穴15同士の間に位置し、一方の開口から他方の開口に亘って帯状に形成されている。
このように補強用リブ33を空洞部16内に部分的に形成することにより、補強用リブ33が、接着剤14(図2参照)の空洞部16内での拡散阻害要因とならず、好ましい。
補強用リブ36を略円柱状にすることで、充填される接着剤14(図2参照)の拡散を良好にし、接着剤14の空洞部16内での進入性を向上できる。
段部43aに段部44aを嵌め込んで、上ベース部41Aの接合面43と下ベース部41Bの接合面44とを接着剤や熱融着で接合することにより、上ベース部41Aと下ベース部41Bとを一体に結合する。
特に、ボンディングベース13を空洞部16を境に分割することで、製作の際、金型に空洞部16を形成する必要がない。
よって、空洞部16を成形するための中子を配置する工程や、中子を抜き出す工程を省略することが可能になり、製造効率の向上が図れる。
そして、上下の係止突片51b、52bそれぞれを上下の係止溝52a、51aに嵌め合わせることにより、上下のベース部51、52を一体に結合することができる。
そして、矯正器具本体11およびボンディングベース13は、接合手段56で一体に結合される。
段部57aに段部58aを嵌め込んで、矯正器具本体11の接合面57とボンディングベース13の接合面58とを接着剤や熱融着で接合することにより、矯正器具本体11とボンディングベース13とを一体に結合する。
その後、後工程において、矯正器具本体11とボンディングベース13の下ベース部41Bとを一体的に結合する際には、図10(B)に示すように、連接部61を曲げながらボンディングベース13の下ベース部41Bを矢印のように移動して一体的に接合または組付ける。
このように金属やセラミックス製のベース本体67を備えることで、ボンディングベース66の加工性の向上や機械的強度を一層高めることが可能になる。
連通路72で結合した接着剤14は、ボンディングベース13の抜け出しを阻止し、歯列矯正部材70を歯牙12に強固に固着できる。
例えば、先の図1に示した歯列矯正部材10を接着する場合において、またこの歯列矯正部材10が金属などの光不透過部材で形成されている場合に、図13に示すように、接着剤14に光重合ボンドを使用することができる。
接着剤14として光重合ボンドを使用するので、歯牙12にボンディングベース13を接着する際に、空洞部16の開口16aを通して空洞部16内に充填された接着剤14を光照射手段82で光83照射することにより短時間で硬化させて接着することができ、使い勝手の向上が図れるとともに、接着剤の未重合部分をなくすことができる。
このような光重合ボンドを使用することで、矯正器具本体11もしくはボンディングベース13の素材を、光透過部材および光不透過部材の両方から選択でき、設計自由度が広がり、ドクターが目的に合った製品を選ぶことができる。
また、光照射して接着剤の重合を促進することができるので、接着を短時間で行うことができる。
11 矯正器具本体
12 歯牙
13、66 ボンディングベース
14 接着剤
15 長穴(穴)
16 空洞部
31、33、36、46 補強用リブ
42、56 接合手段
53 係合手段
61 連接部
Claims (8)
- 歯列を矯正するための矯正器具本体と、前記矯正器具本体の片面に設けられて歯牙に接着可能なボンディングベースとを有する歯列矯正部材であって、
前記ボンディングベースに接着剤が通過するために形成された少なくとも一つ以上の穴と、前記穴に連通し内部に前記接着剤を拡散させる空洞部とを備えることを特徴とする歯列矯正部材。 - 前記空洞部が前記接着剤で充填されることを特徴とする請求項1に記載の歯列矯正部材。
- 前記空洞部内に少なくとも一つ以上の補強用リブが立設していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した歯列矯正部材。
- 前記矯正器具本体と前記ボンディングベースとが別体の2部品構成とされ、接合手段または係合手段によって一体的に結合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載した歯列矯正部材。
- 前記矯正器具本体と前記ボンディングベースとが連接部を介して繋がれ、接合手段または係合手段によって一体的に結合されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載した歯列矯正部材。
- 前記空洞部が前記矯正器具本体または前記ボンディングベースの側面において開口していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載した歯列矯正部材。
- 前記接着剤に光重合ボンドを使用することを特徴とする請求項6に記載した歯列矯正部材。
- 歯列を矯正するための矯正器具本体と、前記矯正器具本体の片面に設けられて歯牙に接着可能なボンディングベースとを有する歯列矯正部材であって、
前記ボンディングベースに接着剤が進入するために形成された少なくとも二つ以上の穴を有し、前記穴は内部で互いに連通していることを特徴とする歯列矯正部材。
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