JP3097069U - 歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレー - Google Patents
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Abstract
【課題】患者の歯へのブラケットの装着を適正に行い、トランスファートレーを除去する際にブラケットが歯から脱離するおそれのない歯科矯正の間接法におけるトランスファートレーを提供する。
【解決手段】歯型模型1の咬合面を上下別々に被覆する被覆材2と、柔軟性を有する透明のシリコーンからなり、上下のいずれかの歯または歯列に装着されるブラケット3及び被覆材2の一部を被覆する1次コア4と、透明のシリコーンからなり、被覆材2及び1次コア4を被覆する2次コア5と、1次コア4のブラケット3を装着した側の面と、2次コア5の表面とを貫通する遁路6とを備えるトランスファートレー7。奥歯などを矯正する場合には、被覆材2の表面に突起部2aを立設して2次コア5と接着することが好ましい。
【選択図】 図6
【解決手段】歯型模型1の咬合面を上下別々に被覆する被覆材2と、柔軟性を有する透明のシリコーンからなり、上下のいずれかの歯または歯列に装着されるブラケット3及び被覆材2の一部を被覆する1次コア4と、透明のシリコーンからなり、被覆材2及び1次コア4を被覆する2次コア5と、1次コア4のブラケット3を装着した側の面と、2次コア5の表面とを貫通する遁路6とを備えるトランスファートレー7。奥歯などを矯正する場合には、被覆材2の表面に突起部2aを立設して2次コア5と接着することが好ましい。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレーに関し、特に、歯科矯正のためのブラケットを患者の歯へ適正に装着することができるとともに、トランスファートレーを除去する際にブラケットが歯から脱離することを防止したトランスファートレーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯科矯正を行うにあたって、金属製などの歯科矯正用ブラケットを患者の歯に接着剤で接着し、このブラケットに細いワイヤーを引っ掛けて外力を加え、矯正を要する歯を適正な位置に移動させていた。ここで、ブラケットを患者の歯に装着するにあたって、患者の歯に直接装着する直接法が用いられていた。
【0003】
しかし、直接法によると、全歯牙にブラケットを装着するには長時間以上を要し、この作業に伴う歯科医の負担とともに、患者の負担が大きなものとなっていた。
【0004】
そこで、歯科医及び患者の負担を軽減するため、間接法が開発された。この方法によれば、ブラケットを患者の口腔模型(以下、「作業用模型」という)の上で、本来患者の歯列上に装着されるべき位置に仮に接着し、この状態のブラケットを患者の口腔内に適正に移動させるため、トランスファートレーにブラケットを埋め込んだ状態で患者の口腔内に移動させる。これによって、患者が不在であっても、作業用模型上で作業を行うことができるとともに、患者の口腔内へのブラケットの装着を短時間で行うことができ、歯科医及び患者の負担を大幅に軽減することができる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
上記間接法においては、作業用模型上に仮に接着されているブラケットをトランスファートレーとともに簡単に取り外すことができ、トランスファートレーを患者の口腔内に移した時にトランスファートレーがブラケットから簡単に外れ、ブラケットを患者の歯列上に正確に接着することができるようにすることが重要である。しかし、従来の技術では、患者の歯へのブラケットの装着が適正に行われなかったり、トランスファートレーを除去する際にブラケットが歯から脱離するおそれがあった。
【0006】
そこで、本考案は、上記従来のトランスファートレーにおける問題点に鑑みてなされたものであって、患者の歯へのブラケットの装着を適正に行うことができ、トランスファートレーを除去する際にブラケットが歯から脱離するおそれのないトランスファートレーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案は、歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレーであって、歯型模型の咬合面を上下別々に被覆する被覆材と、柔軟性を有する透明のシリコーンからなり、上下のいずれかの歯または歯列に装着されるブラケット及び前記被覆材の一部を被覆する1次コアと、透明のシリコーンからなり、前記被覆材及び1次コアを被覆する2次コアと、前記1次コアのブラケットを装着した側の面と、前記2次コアの表面とを貫通する遁路とを備えることことを特徴とする。
【0008】
そして、本考案によれば、トランスファートレーを、被覆材と、柔軟性を有する透明のシリコーンからなる1次コアと、透明のシリコーンからなる2次コアの三重構造としたため、ブラケットの患者の歯への装着を適正に行うことができ、トランスファートレーを除去する際にも、ブラケットが歯から脱離することを防止することができる。さらに、1次コア及び2次コアが透明であるため、何らかの理由で被覆材の中でブラケットに異常が発生した場合でも、患者の歯面への接着にあたって、事前に確認することができる。
【0009】
また、1次コアのブラケットを装着した側の面と、2次コアの表面とを貫通する複数の遁路を備えるため、患者の歯にブラケットを装着したときに余剰レジンを排出することができ、ブラケットの浮き上がりを防止して作業模型上で行ったブラケットの位置決めを患者の口腔内より正確に再現することができる。
【0010】
前記被覆材の表面に突起部を立設し、該突起部及び/またはその周辺部に接着剤を塗布し、前記2次コアと接着することもできる。これによって、奥歯1本のみについて間接法によって歯科矯正する際に、透明な一次コア及び2次コアの部分が回転することを防止し、ブラケットの患者の歯への装着などを適正に行うことができる。
【0011】
【考案の実施の形態】
本考案にかかる歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレーは、被覆材としてのオクルーザルストッパーと、1次コアと、2次コアの三重構造であることを特徴としている。
【0012】
本考案にかかるトランスファートレーの製作手順について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
まず、患者の口腔内の印象を採得し、石膏を使用して作業用模型を作成する。次に、図1に示すように、熱可塑性樹脂2を患者の口の作業用模型1の咬合面に上下別々に熱を加えて柔らかくして被せる。この熱可塑性樹脂2は、被覆材としてのオクルーザルストッパーとなる。このオクルーザルストッパーを設ける目的は、コア自体を強固にするとともに、圧接時の垂直歪み、コア自体の捻れ、撓みを防止するためである。尚、熱可塑性樹脂の代わりに、光硬化樹脂などを用いることもできる。
【0014】
そして、オクルーザルストッパー2を作業用模型から取り外し、図2に示すように、ブラケット3を水溶性の仮着材または光重合剤を用いて作業用模型1の上に仮に接着する。水溶性の仮着材には、水溶性糊を使用することができる。ブラケット3を作業用模型1から取り外すときは、水溶性仮着材は、作業用模型1を水の中に漬けると半日程度で水溶性の糊が軟化するため、ブラケット3を容易に取り外すことができる。尚、光重合剤は、可視光線を照射すると硬化する歯科用の光重合レジンであって、作業用模型1を水に濡らさないようにする際などに使用する。この光重合レジンは、薄膜であるため、ピンセットなどの先端で突っつくことによって簡単に割れ、容易に剥がすことができる。
【0015】
ブラケット3の仮着材が硬化した後、オクルーザルストッパー2を作業用模型1に再度装着する。このオクルーザルストッパー2は、作業用模型1上でのブラケット3の位置決めを、患者の口腔内でより正確に再現するために使用する。
【0016】
次に、図3に示すように、エミルマ(柔軟性のある透明なシリコーン印象材)4をブラケット3の咬合面寄りから流し、ブラケット3及びオクルーザルストッパー2を被覆する。尚、同図は、歯列の横断面を描いているが、エミルマ4でブラケット3及びオクルーザルストッパー2を被覆する。この透明なエミルマ4が1次コアとなる。不透明なシリコーン印象材を用いると、作業用模型に被せた際に型の中が見えないため、透明なシリコーン印象材を用いる。このエミルマ4は、作業用模型1からブラケット3を外す時にブラケット3を保持する力はあるが、患者の口腔内に移動して歯に接着した後は、容易に除去することができる。
【0017】
次に、図4に示すように、透明なシリコーン板5を加熱して軟化させた後、軟化したシリコーン板5でオクルーザルストッパー2及び1次コア4を被覆する。尚、同図は、歯列の横断面を描いているが、歯列全体にわたってシリコーン板5でオクルーザルストッパー2及び1次コア4を被覆する。このシリコーン板5が2次コア5となる。柔軟性のある透明なシリコーン印象材としての1次コア4だけでは、ブラケット3の保持力が弱いため、1次コア4を2次コア5で被覆する。2次コア5を透明とする理由は、上記シリコーン印象材の場合と同様である。
【0018】
2次コア5の形態を修正した後、図5に示すように、1次コア4のブラケット3を装着した側の面と、2次コア5の表面を貫通するように複数の遁路6を穿設する。この複数の遁路6は、患者の歯にブラケット3を装着したときに余剰レジンを排出するためものである。
【0019】
作業用模型1を水に浸した後、ブラケット3と一体化されたトランスファートレー(オクルーザルストッパー2、1次コア4、2次コア5が一体となったもの)を作業用模型1より取り外し、図6に示すように、トランスファートレー7が完成する。
【0020】
次に、上記トランスファートレー7を用いた患者へのブラケット3の装着手順について説明する。
【0021】
患者の歯の歯面の研磨、水洗、乾燥を行った後、歯面のエッチングを行う。エッチング後、歯面を乾燥させ、化学重合用ボンディング剤のプライマーをブラケットベースに塗布する。また、ボンディングを行うすべての歯面にもプライマーを塗布する。
【0022】
プライマーが塗布されたブラケットベースにボンディングペーストを塗り、トランスファートレー7を患者の歯列に装着する。そして、トランスファートレー7を上下方向に強固に圧接させた後、ブラケット3の表面に対して垂直方向に圧接して保持する。このとき、オクルーザルストッパー2によって、接着操作の時点で患者の口の中で力を加える時に、垂直的歪み圧を吸収し、コア自体を補強することにより捻れ、撓みの発生を防止することができる。
【0023】
ボンディングペーストが硬化した後、スケーラなどを用いて2次コア5を除去し、次に、オクルーザルストッパー2と1次コア4を取り外す。最後に、余剰レジンを除去してブラケット3の装着が完了する。
【0024】
尚、上記実施の形態においては、複数の歯を備えた歯列に本考案にかかるトランスファートレーを適用した場合について説明したが、奥歯1本のみについても同様の構成にて対処することができる。但し、この場合には、透明な一次コア4及び2次コア5の部分が回転し易いため、図7に示すように、オクルーザルストッパー2の上にさらにプラスチックを少量盛って突起部2aを形成し、突起部2a及び/またはその周辺部に接着剤を塗布して2次コア5と接着する。
【0025】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案にかかるブラケットのトランスファートレーによれば、歯科矯正のためのブラケットを患者の歯へ適正に装着することができるとともに、トランスファートレーを除去する際にブラケットが歯から脱離することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかるトランスファートレーのオクルーザルストッパーを示す概略斜視図である。
【図2】間接法において、ブラケットを水溶性の仮着材または光重合剤を用いて作業用模型の上に仮に接着した状態を示す概略斜視図である。
【図3】本考案にかかるトランスファートレーの1次コアによって、ブラケット及びオクルーザルストッパーを被覆した状態を示す横断面図である。
【図4】本考案にかかるトランスファートレーの2次コアによって、ブラケット、オクルーザルストッパー及び1次コアを被覆した状態を示す横断面図である。
【図5】本考案にかかるトランスファートレーに複数の遁路を穿設した状態を示す横断面図である。
【図6】本考案にかかるトランスファートレーを示す横断面図である。
【図7】奥歯などの矯正に用いる本考案にかかるトランスファートレーを示す横断面図である。
【符号の説明】
1 作業用模型
2 オクルーザルストッパー
2a 突起部
3 ブラケット
4 1次コア(エミルマ、柔軟性のある透明なシリコーン印象材)
5 2次コア(透明なシリコーン板)
6 遁路
7 トランスファートレー
【考案の属する技術分野】
本考案は、歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレーに関し、特に、歯科矯正のためのブラケットを患者の歯へ適正に装着することができるとともに、トランスファートレーを除去する際にブラケットが歯から脱離することを防止したトランスファートレーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯科矯正を行うにあたって、金属製などの歯科矯正用ブラケットを患者の歯に接着剤で接着し、このブラケットに細いワイヤーを引っ掛けて外力を加え、矯正を要する歯を適正な位置に移動させていた。ここで、ブラケットを患者の歯に装着するにあたって、患者の歯に直接装着する直接法が用いられていた。
【0003】
しかし、直接法によると、全歯牙にブラケットを装着するには長時間以上を要し、この作業に伴う歯科医の負担とともに、患者の負担が大きなものとなっていた。
【0004】
そこで、歯科医及び患者の負担を軽減するため、間接法が開発された。この方法によれば、ブラケットを患者の口腔模型(以下、「作業用模型」という)の上で、本来患者の歯列上に装着されるべき位置に仮に接着し、この状態のブラケットを患者の口腔内に適正に移動させるため、トランスファートレーにブラケットを埋め込んだ状態で患者の口腔内に移動させる。これによって、患者が不在であっても、作業用模型上で作業を行うことができるとともに、患者の口腔内へのブラケットの装着を短時間で行うことができ、歯科医及び患者の負担を大幅に軽減することができる。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
上記間接法においては、作業用模型上に仮に接着されているブラケットをトランスファートレーとともに簡単に取り外すことができ、トランスファートレーを患者の口腔内に移した時にトランスファートレーがブラケットから簡単に外れ、ブラケットを患者の歯列上に正確に接着することができるようにすることが重要である。しかし、従来の技術では、患者の歯へのブラケットの装着が適正に行われなかったり、トランスファートレーを除去する際にブラケットが歯から脱離するおそれがあった。
【0006】
そこで、本考案は、上記従来のトランスファートレーにおける問題点に鑑みてなされたものであって、患者の歯へのブラケットの装着を適正に行うことができ、トランスファートレーを除去する際にブラケットが歯から脱離するおそれのないトランスファートレーを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本考案は、歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレーであって、歯型模型の咬合面を上下別々に被覆する被覆材と、柔軟性を有する透明のシリコーンからなり、上下のいずれかの歯または歯列に装着されるブラケット及び前記被覆材の一部を被覆する1次コアと、透明のシリコーンからなり、前記被覆材及び1次コアを被覆する2次コアと、前記1次コアのブラケットを装着した側の面と、前記2次コアの表面とを貫通する遁路とを備えることことを特徴とする。
【0008】
そして、本考案によれば、トランスファートレーを、被覆材と、柔軟性を有する透明のシリコーンからなる1次コアと、透明のシリコーンからなる2次コアの三重構造としたため、ブラケットの患者の歯への装着を適正に行うことができ、トランスファートレーを除去する際にも、ブラケットが歯から脱離することを防止することができる。さらに、1次コア及び2次コアが透明であるため、何らかの理由で被覆材の中でブラケットに異常が発生した場合でも、患者の歯面への接着にあたって、事前に確認することができる。
【0009】
また、1次コアのブラケットを装着した側の面と、2次コアの表面とを貫通する複数の遁路を備えるため、患者の歯にブラケットを装着したときに余剰レジンを排出することができ、ブラケットの浮き上がりを防止して作業模型上で行ったブラケットの位置決めを患者の口腔内より正確に再現することができる。
【0010】
前記被覆材の表面に突起部を立設し、該突起部及び/またはその周辺部に接着剤を塗布し、前記2次コアと接着することもできる。これによって、奥歯1本のみについて間接法によって歯科矯正する際に、透明な一次コア及び2次コアの部分が回転することを防止し、ブラケットの患者の歯への装着などを適正に行うことができる。
【0011】
【考案の実施の形態】
本考案にかかる歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレーは、被覆材としてのオクルーザルストッパーと、1次コアと、2次コアの三重構造であることを特徴としている。
【0012】
本考案にかかるトランスファートレーの製作手順について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
まず、患者の口腔内の印象を採得し、石膏を使用して作業用模型を作成する。次に、図1に示すように、熱可塑性樹脂2を患者の口の作業用模型1の咬合面に上下別々に熱を加えて柔らかくして被せる。この熱可塑性樹脂2は、被覆材としてのオクルーザルストッパーとなる。このオクルーザルストッパーを設ける目的は、コア自体を強固にするとともに、圧接時の垂直歪み、コア自体の捻れ、撓みを防止するためである。尚、熱可塑性樹脂の代わりに、光硬化樹脂などを用いることもできる。
【0014】
そして、オクルーザルストッパー2を作業用模型から取り外し、図2に示すように、ブラケット3を水溶性の仮着材または光重合剤を用いて作業用模型1の上に仮に接着する。水溶性の仮着材には、水溶性糊を使用することができる。ブラケット3を作業用模型1から取り外すときは、水溶性仮着材は、作業用模型1を水の中に漬けると半日程度で水溶性の糊が軟化するため、ブラケット3を容易に取り外すことができる。尚、光重合剤は、可視光線を照射すると硬化する歯科用の光重合レジンであって、作業用模型1を水に濡らさないようにする際などに使用する。この光重合レジンは、薄膜であるため、ピンセットなどの先端で突っつくことによって簡単に割れ、容易に剥がすことができる。
【0015】
ブラケット3の仮着材が硬化した後、オクルーザルストッパー2を作業用模型1に再度装着する。このオクルーザルストッパー2は、作業用模型1上でのブラケット3の位置決めを、患者の口腔内でより正確に再現するために使用する。
【0016】
次に、図3に示すように、エミルマ(柔軟性のある透明なシリコーン印象材)4をブラケット3の咬合面寄りから流し、ブラケット3及びオクルーザルストッパー2を被覆する。尚、同図は、歯列の横断面を描いているが、エミルマ4でブラケット3及びオクルーザルストッパー2を被覆する。この透明なエミルマ4が1次コアとなる。不透明なシリコーン印象材を用いると、作業用模型に被せた際に型の中が見えないため、透明なシリコーン印象材を用いる。このエミルマ4は、作業用模型1からブラケット3を外す時にブラケット3を保持する力はあるが、患者の口腔内に移動して歯に接着した後は、容易に除去することができる。
【0017】
次に、図4に示すように、透明なシリコーン板5を加熱して軟化させた後、軟化したシリコーン板5でオクルーザルストッパー2及び1次コア4を被覆する。尚、同図は、歯列の横断面を描いているが、歯列全体にわたってシリコーン板5でオクルーザルストッパー2及び1次コア4を被覆する。このシリコーン板5が2次コア5となる。柔軟性のある透明なシリコーン印象材としての1次コア4だけでは、ブラケット3の保持力が弱いため、1次コア4を2次コア5で被覆する。2次コア5を透明とする理由は、上記シリコーン印象材の場合と同様である。
【0018】
2次コア5の形態を修正した後、図5に示すように、1次コア4のブラケット3を装着した側の面と、2次コア5の表面を貫通するように複数の遁路6を穿設する。この複数の遁路6は、患者の歯にブラケット3を装着したときに余剰レジンを排出するためものである。
【0019】
作業用模型1を水に浸した後、ブラケット3と一体化されたトランスファートレー(オクルーザルストッパー2、1次コア4、2次コア5が一体となったもの)を作業用模型1より取り外し、図6に示すように、トランスファートレー7が完成する。
【0020】
次に、上記トランスファートレー7を用いた患者へのブラケット3の装着手順について説明する。
【0021】
患者の歯の歯面の研磨、水洗、乾燥を行った後、歯面のエッチングを行う。エッチング後、歯面を乾燥させ、化学重合用ボンディング剤のプライマーをブラケットベースに塗布する。また、ボンディングを行うすべての歯面にもプライマーを塗布する。
【0022】
プライマーが塗布されたブラケットベースにボンディングペーストを塗り、トランスファートレー7を患者の歯列に装着する。そして、トランスファートレー7を上下方向に強固に圧接させた後、ブラケット3の表面に対して垂直方向に圧接して保持する。このとき、オクルーザルストッパー2によって、接着操作の時点で患者の口の中で力を加える時に、垂直的歪み圧を吸収し、コア自体を補強することにより捻れ、撓みの発生を防止することができる。
【0023】
ボンディングペーストが硬化した後、スケーラなどを用いて2次コア5を除去し、次に、オクルーザルストッパー2と1次コア4を取り外す。最後に、余剰レジンを除去してブラケット3の装着が完了する。
【0024】
尚、上記実施の形態においては、複数の歯を備えた歯列に本考案にかかるトランスファートレーを適用した場合について説明したが、奥歯1本のみについても同様の構成にて対処することができる。但し、この場合には、透明な一次コア4及び2次コア5の部分が回転し易いため、図7に示すように、オクルーザルストッパー2の上にさらにプラスチックを少量盛って突起部2aを形成し、突起部2a及び/またはその周辺部に接着剤を塗布して2次コア5と接着する。
【0025】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案にかかるブラケットのトランスファートレーによれば、歯科矯正のためのブラケットを患者の歯へ適正に装着することができるとともに、トランスファートレーを除去する際にブラケットが歯から脱離することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかるトランスファートレーのオクルーザルストッパーを示す概略斜視図である。
【図2】間接法において、ブラケットを水溶性の仮着材または光重合剤を用いて作業用模型の上に仮に接着した状態を示す概略斜視図である。
【図3】本考案にかかるトランスファートレーの1次コアによって、ブラケット及びオクルーザルストッパーを被覆した状態を示す横断面図である。
【図4】本考案にかかるトランスファートレーの2次コアによって、ブラケット、オクルーザルストッパー及び1次コアを被覆した状態を示す横断面図である。
【図5】本考案にかかるトランスファートレーに複数の遁路を穿設した状態を示す横断面図である。
【図6】本考案にかかるトランスファートレーを示す横断面図である。
【図7】奥歯などの矯正に用いる本考案にかかるトランスファートレーを示す横断面図である。
【符号の説明】
1 作業用模型
2 オクルーザルストッパー
2a 突起部
3 ブラケット
4 1次コア(エミルマ、柔軟性のある透明なシリコーン印象材)
5 2次コア(透明なシリコーン板)
6 遁路
7 トランスファートレー
Claims (2)
- 歯型模型の咬合面を上下別々に被覆する被覆材と、
柔軟性を有する透明のシリコーンからなり、上下のいずれかの歯または歯列に装着されるブラケット及び前記被覆材の一部を被覆する1次コアと、
透明のシリコーンからなり、前記被覆材及び1次コアを被覆する2次コアと、
前記1次コアのブラケットを装着した側の面と、前記2次コアの表面とを貫通する遁路とを備えることを特徴とする歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレー。 - 前記被覆材の表面に突起部を立設し、該突起部及び/またはその周辺部に接着剤を塗布し、前記2次コアと接着することを特徴とする請求項1記載の歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレー。
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JP2003001965U JP3097069U (ja) | 2003-04-10 | 2003-04-10 | 歯科矯正の間接法におけるブラケットのトランスファートレー |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010522026A (ja) * | 2007-03-22 | 2010-07-01 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー及びその製造方法 |
JP2011004833A (ja) * | 2009-06-24 | 2011-01-13 | Dento Shoji:Kk | 間接歯科矯正法におけるトランスファートレーの製作方法 |
-
2003
- 2003-04-10 JP JP2003001965U patent/JP3097069U/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010522026A (ja) * | 2007-03-22 | 2010-07-01 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | 歯科矯正治療用のインダイレクトボンディングトレー及びその製造方法 |
JP2011004833A (ja) * | 2009-06-24 | 2011-01-13 | Dento Shoji:Kk | 間接歯科矯正法におけるトランスファートレーの製作方法 |
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