JP2006165292A - 半導体レーザ励起固体レーザ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 半導体レーザ光によりレーザ結晶12を励起し共振器によってレーザ発振を行わせる半導体レーザ励起固体レーザ10であって、レーザ結晶12としてはディスク状の単結晶構成のNd:GdVO4を用い、半導体レーザ素子11とレーザ結晶12とを同一平面上の実装基板13に実装・配置し、且つ、半導体レーザ光を固体レーザ光出射方向より入射させることが可能な光学素子14を配置し、半導体レーザによる励起光を固体レーザ光出射方向よりレーザ結晶12に入射させる構成としたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
第二の従来例としての特開平11−177167号公報(特許文献2)記載の小型半導体レーザ励起固体レーザ装置では、マイクロチップSHG(SHG:Second Harmonics Generation第二高調波発生)レーザ構成に、マイクロレンズを採用することにより、高効率化を達成することで高出力化が可能な構成にはなっているが、励起のシングルストライプLDは最大でも2W程度の出力でしかなく、10W程度の高出力を得ることは難しい。また、レーザ結晶部分への放熱に関しても十分ではなく、10W程度の出力を得ることは難しい。
上記二つの従来例に示したように、レーザ光出射方向と同一方向からLDによる励起を行う、いわゆる端面励起構成では、半導体レーザ光(以下、「LD光」と略記することがある)のパワーに限界がある点および放熱の観点より高出力化を達成することは難しい。
請求項4記載の発明では、請求項1または2の構成において、半導体レーザ素子をアレイ型とし、一つ以上の個数を配置することにより、励起光の強度を増加させ、高出力化を達成することを目的としている。
請求項6記載の発明では、請求項5の構成において、非線形光学結晶を擬似位相整合型素子とすることで、波長変換の効率を向上し短波長化と光出力化を両立させることを目的としている。
請求項8記載の発明では、請求項1ないし7の何れか一つの構成、特には請求項5、6または7の構成において、レーザ結晶をNd:GdVO4とすることにより、熱に対する伝導率が良く、吸収係数も大きいため、より安定で高出力の直線偏光レーザを実現することを目的としている。
請求項1記載の発明は、半導体レーザ素子からの半導体レーザ光によりレーザ結晶を励起しレーザ発振を行わせる半導体レーザ励起固体レーザ装置において、前記レーザ結晶は、ディスク状の結晶構成であり、前記半導体レーザ素子と前記レーザ結晶とを同一平面上に配置し、且つ、前記半導体レーザ光を固体レーザ光出射方向より入射させることが可能な光学素子を配置し、前記半導体レーザ光による励起光を前記固体レーザ光出射方向より前記レーザ結晶に入射させる構成としたことを特徴とする。
その動作は、半導体レーザ光によりレーザ結晶を励起することにより、レーザ光が共振器より出射されることで行われる。
ここで、「半導体レーザ素子からの半導体レーザ光によりレーザ結晶を励起しレーザ発振を行わせる」とは、詳しくは、「半導体レーザ素子からの半導体レーザ光によりレーザ結晶を励起し、共振器によってレーザ発振を行わせる」と同義である。
その動作は、請求項1ないし4と基本的に同様であるが、上記構成により、出力レーザ光に対する波長変換が短波長側に行われる。
その動作は、請求項1ないし4と基本的に同様であるが、上記構成により、出力レーザ光に対する波長変換が短波長側に効率的に行われる。
ここで、請求項8における「レーザ結晶としては、Nd:GdVO4(Neodymium Doped Gadolinium Vanadate)を用いている」ことにより、特に請求項5、6または7との関係において後述する顕著な効果や実施例の利点を奏するが、それ程顕著な効果等を望まなくても良いのであれば、請求項1ないし6の何れか一つに記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置においては、例えばNd:YAG、Yb:YAGまたはNd:YVO4等であっても良く、これらのレーザ結晶も含まれる。同様に、請求項7におけるレーザ結晶としては、バナデート系の材料を用いたNd:YVO4等も含まれる。
本発明によれば、レーザ結晶と半導体レーザ素子とを同一平面上に配置することによって装置の小型化を実現でき、且つ、半導体レーザ光を固体レーザ光出射方向より入射させることが可能な光学素子を配置し、半導体レーザによる励起光を固体レーザ光出射方向よりレーザ結晶に入射させることによって、レーザ結晶後方からの背熱効率が向上すると共に、レーザ発振領域への有効な励起光の照射が可能となって、高出力化が達成できる(請求項1)。
ここで、「ダイボンド」とは、載置・固定するという意味合いであり、「実装」とは、位置の合わせ込みを行って載置・固定することを意味する(以下、同様)。
誘電体コーティング材料としては、例えばMgF、SiO2、TiO2等が主な材料成分として用いられる。同コーティングの施工方法としては、蒸着法やスパッタリング法が適宜使用される(後述の実施例2ないし4を示す図2ないし図4のレーザ結晶22、32、42に対する誘電体コーティングでも同様であるため、以下この説明を省略する)。
光学素子14は、例えば石英やBK7で形成されている(後述の実施例2ないし4を示す図2ないし図4の光学素子24、34、44でも同様であるため、以下この説明を省略する)。光学素子14は、半導体レーザ光をレーザ結晶12の中央部に導入できるような構成であり、反射を利用して機能を満たしている。光学素子14の反射面に対しては、808nmに対して全反射となり、光学素子14の透過面に対しては、全透過となるようにコーティング(ミラーと同様の作用をする。以下、同様)が施されている。光学素子14の配置は、図1に示したように、実装基板13上に接着剤を用いて配置・固定している。レンズ素子15は、レーザ結晶12上に、同図の矢印で示す光路を通して、約200μm程度のスポットサイズを実現できるものを使用している。
レーザ結晶12周辺に対向して配置された各半導体レーザ素子11から出射された半導体レーザ光(LD光)はレンズ素子15、光学素子14を通過し、レーザ結晶12上へ照射される。レーザ結晶12中に照射された半導体レーザ光はレーザ結晶12で吸収され、レーザ結晶12両端面に構成された共振器構成でレーザ発振が起こる。ここで、Nd:GdVO4結晶は吸収係数が大きく70cm−1であるため、0.5mmの結晶を往復することで、ほぼ半導体レーザ光は吸収され、迷光による他の半導体レーザへ影響することはない。ここでは、レーザ共振器を1063nm用にしているため、レーザ結晶12上部より一点鎖線で示すレーザ光Lが光学素子14を通して出射される。
マイクロレンズ素子24aは、レーザ結晶22上に、同図の矢印で示す光路を通して、約200μm程度のスポットサイズを実現できるものを使用している。
レーザ結晶22周辺に対向して配置された半導体レーザ素子21から出射された半導体レーザ光(LD光)はマイクロレンズ素子24a、光学素子24を通過し、レーザ結晶22上へ照射される。レーザ結晶22中に照射された半導体レーザ光はレーザ結晶22で吸収され、レーザ結晶22両端面に構成された共振器構成でレーザ発振が起こる。ここで、Nd:GdVO4結晶は吸収係数が大きく70cm−1であるため、0.5mmの結晶を往復することで、ほぼ半導体レーザ光は吸収され、迷光による他の半導体レーザへ影響することはない。ここでは、レーザ共振器を1063nm用にしているため、レーザ結晶22上部より一点鎖線で示すレーザ光L光学素子24を通して出射される。
レーザ結晶32の両端面(図3(a)における同レーザ結晶32の上下方向の上・下端面を表している)には、誘電体コーティングが施してあり、レーザ結晶32が実装基板33に接している下端面は、1063nmに対し全反射コーティングを施し、対向する上端面は1063nmに対して、透過率が3%となるコーティングを施している。レーザ結晶32は、半導体レーザ素子31と同一の実装基板33上であって、同一平面上にダイボンドされている。
実装基板33は、実施例2と同様の銅製であり、その下方より冷却ができる構成としている(図示せず)。実装基板33は、実施例2の実装基板23と比較して、アレイ型の半導体レーザ素子31およびマイクロレンズ素子34aを含む光学素子34の実面積が増加していることにより、形状が大きく形成されている点が相違する。
各マイクロレンズ素子34aは、レーザ結晶32上に、同図の矢印で示す光路を通して、約200μm程度のスポットサイズを実現できるものを使用している。
レーザ結晶32周辺に対向して配置した半導体レーザ素子31アレイから出射された各半導体レーザ光は各マイクロレンズ34aおよび光学素子34を通過し、レーザ結晶32上の一点へ照射される。レーザ結晶32中に照射された半導体レーザ光はレーザ結晶32で吸収され、レーザ結晶32両端面に構成された共振器構成でレーザ発振が起こる。ここで、Nd:GdVO4結晶は吸収係数が大きく70cm−1であるため、0.5mmの結晶を往復することで、ほぼ半導体レーザ光は吸収され、迷光による他の半導体レーザへ影響することはない。ここでは、レーザ共振器を1063nm用にしているため、レーザ結晶32上部より一点鎖線で示すレーザ光Lが光学素子34を通して出射される。
固体レーザ装置40は、実施例3の固体レーザ装置30と比較して、非線形光学結晶からなる非線形光学素子45を、固体レーザ出力光路中に配置し、第二高調波を発生させる構成とした点が主に相違する。
各マイクロレンズ素子44aは、レーザ結晶42上に、同図の矢印で示す光路を通して、約200μm程度のスポットサイズを実現できるものを使用している。
レーザ結晶42周辺に対向して配置した半導体レーザ素子41アレイから出射された各半導体レーザ光(LD光)は各マイクロレンズ34aおよび光学素子44を通過し、レーザ結晶42上の一点へ照射される。レーザ結晶42中に照射された半導体レーザ光はレーザ結晶42で吸収され、レーザ結晶42両端面に構成された共振器構成でレーザ発振が起こる。ここで、Nd:GdVO4結晶は吸収係数が大きく70cm−1であるため、0.5mmの結晶を往復することで、ほぼ半導体レーザ光は吸収され、迷光による他の半導体レーザへ影響することはない。ここでは、レーザ共振器を1063nm用にしているため、レーザ結晶42上部より一点鎖線で示すレーザ光Lが光学素子44を通して出射される。
その際に、レーザ出力はバナデート系のNd:GdVO4結晶を使用しているため、その結晶のC軸方向に沿った直線偏光のレーザ光Lが出射される。そのレーザ光Lを、非線形光学素子45を形成している周期的な分極反転構造を作製したMgO:LiNbO3結晶を通過させることにより、第二高調波として短波長に変換されたレーザ光L’として531.5nmの出力を得ることができる。
また、固体レーザ出力光路中に非線形光学結晶からなる非線形光学素子45を配置したので、固体レーザ装置の短波長化を実現できると共に、さらに非線形光学結晶を分極反転型とすることで、作用長を長く取れるためにさらなる高出力化が実現できた。加えて、レーザ結晶42にバナデート系結晶を使用することによりレーザが直線偏光化できるため、波長変換効率が向上し、Nd:GdVO4を使用することにより、熱伝導や吸収係数の高い構成が実現でき、より安定な高出力の直線偏光レーザ装置を実現できた。
実施例1ないし4では、レーザ結晶としては、Nd:GdVO4を用いた実施例で説明したが、上述した効果や各実施例で述べた特有の利点、すなわち高出力化等をそれ程望まなくてもよいのでれば、例えばNd:YAG、Yb:YAG、またはNd:YVO4等であってもよい。
11、21、31、41 半導体レーザ素子
12、22、32、42 レーザ結晶
13、23、33、43 実装基板
14、24、34、44 光学素子
15 レンズ素子
24a、34a、44a マイクロレンズ
45 非線形光学素子(非線形光学結晶、擬似位相整合型素子)
Claims (8)
- 半導体レーザ素子からの半導体レーザ光によりレーザ結晶を励起しレーザ発振を行わせる半導体レーザ励起固体レーザ装置において、
前記レーザ結晶は、ディスク状の結晶構成であり、前記半導体レーザ素子と前記レーザ結晶とを同一平面上に配置し、且つ、前記半導体レーザ光を固体レーザ光出射方向より入射させることが可能な光学素子を配置し、前記半導体レーザ光による励起光を前記固体レーザ光出射方向より前記レーザ結晶に入射させる構成としたことを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ装置。 - 請求項1記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置において、
前記光学素子は、少なくとも一つのマイクロレンズを含んでいることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ装置。 - 請求項1または2記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置において、
前記半導体レーザ素子は、一つの発光点を持つシングルストライプ型であり、前記半導体レーザ素子を一つ以上配置していることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ装置。 - 請求項1または2記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置において、
前記半導体レーザ素子は、複数の発光点を持つアレイ型であり、前記半導体レーザ素子を一つ以上配置していることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ装置。 - 請求項1ないし4の何れか一つに記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置において、
固体レーザ出力光路中に非線形光学結晶を配置し、第二高調波を発生させる構成としたことを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ装置。 - 請求項5記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置において、
前記非線形光学結晶は、強誘電体材料に周期的な分極反転構造を作製した擬似位相整合型素子であることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ装置。 - 請求項1ないし6の何れか一つに記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置において、
前記レーザ結晶としては、バナデート系の材料を用いていることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ装置。 - 請求項1ないし7の何れか一つに記載の半導体レーザ励起固体レーザ装置において、
前記レーザ結晶としては、Nd:GdVO4を用いていることを特徴とする半導体レーザ励起固体レーザ装置。
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Legal Events
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A02 | Decision of refusal |
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