既述のように二個の円柱状アクチュエータをそれらの軸線方向に重ねて鏡筒の周囲に配設した特許文献1の構成では、鏡筒の光軸方向に延びる各円柱状アクチュエータの長さが、レンズ鏡筒(鏡筒駆動装置)の厚み方向に大きな割合を占めて、一部のアクチュエータが鏡筒の一端面から突出している。このため、レンズ鏡筒(鏡筒駆動装置)全体の厚みが厚く、厚み方向に関するレンズ鏡筒の配置スペースが大きい。更に、重ねられたアクチュエータとそれ以外のアクチュエータが、互いに離れて鏡筒の周方向に沿って配設されているので、鏡筒とこれを駆動する複数のアクチュエータとを配設するための平面的な配置スペースが大きい。
本発明の目的は、配置スペースを小さくできる鏡筒駆動装置及びカメラモジュールを提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明の鏡筒駆動装置は、複数のレンズ機能を個別に発揮させる複数の入力歯部を有した鏡筒が配置される鏡筒配置部を有するベースと;前記入力歯部の内の一つに噛み合う出力歯車を有した伝達機構及びこの伝達機構を駆動するステッピングモータを備えて、前記ベースに配置された複数のアクチュエータと;を具備し、前記複数のアクチュエータを前記鏡筒の光軸が延びる方向に重ねるとともに、それらの重なり厚さを前記鏡筒の高さより薄くしている。
この発明及び以下の発明で、複数のレンズ機能とは、例えば焦点調節をするフォーカシング機能、画像を徐々に拡大及び縮小するズーミング機能、絞り調節をするアイリス機能の内の少なくとも二つを指している。
この発明では、鏡筒の光軸が延びる方向に複数のアクチュエータを重ねたので、複数のアクチュエータを互いに離して鏡筒の周りに沿って配設した場合と比較して、複数のアクチュエータが占める平面的な配置スペースが小さい。これと共に、複数のアクチュエータが重なっているにも拘らず、その重なり厚さが鏡筒の高さより薄いので、複数のアクチュエータを配置するための厚み方向の配置スペースが小さい。以上のように平面的な配置スペース及び厚み方向の配置スペースが小さい鏡筒駆動装置を提供できる。
又、前記課題を解決するために、本発明の鏡筒駆動装置は、第1のレンズ機能を発揮させる第1の入力歯部、及び第2のレンズ機能を発揮させる第2の入力歯部を有した鏡筒が配置される鏡筒配置部を有するベースと;前記第1の入力歯部に噛み合う出力歯車を有した伝達機構及びこの伝達機構を駆動するステッピングモータを備えて、前記ベースに配置された第1のアクチュエータと;前記第2の入力歯部に噛み合う出力歯車を有した伝達機構及びこの伝達機構を駆動するステッピングモータを備えて、前記ベースに配置された第2のアクチュエータと;を具備し、前記第1、第2のアクチュエータを前記鏡筒の光軸が延びる方向に重ねるとともに、それらの重なり厚さを前記鏡筒の高さより薄くしている。
この発明では、第1、第2のレンズ機能を備えた鏡筒の光軸が延びる方向に、第1のレンズ機能を発揮させる第1のアクチュエータと第2のレンズ機能を発揮させる第2のアクチュエータとを重ねたので、これら第1、第2のアクチュエータを互いに離して鏡筒の周りに沿って配設した場合と比較して、第1、第2のアクチュエータが占める平面的な配置スペースが小さい。これと共に、第1、第2のアクチュエータが重なっているにも拘らず、その重なり厚さが鏡筒の高さより薄いので、第1、第2のアクチュエータを配置するための厚み方向の配置スペースが小さい。以上のように平面的な配置スペース及び厚み方向の配置スペースが小さい鏡筒駆動装置を提供できる。
又、本発明の鏡筒駆動装置の好ましい形態では、ステッピングモータが、コア部の端にヨーク連結部が一体に設けられた鉄心及びコア部に巻き付けられた励磁コイルを有したコイルブロック、ヨーク連結部に連結された端部以外の磁路部分がコイルブロックに重なることなく設けられ、この磁路部分にロータ通孔を有したヨーク、及びロータ通孔内に配置されたロータを備えている。
この好ましい形態でのステッピングモータは、励磁によって磁束を発生する励磁コイルとロータが配置されたロータ通孔とが、重なることなく平面的にずれていて、駆動パルスの印加(励磁)により発生した磁束をヨークでロータ通孔に導いてロータを回転させる。このステッピングモータは、筒型ではなく、励磁コイルを有したコイルブロックと、このブロックに連結された端部以外の磁路部分がコイルブロックに重なることなくずれて設けられたヨークと、このヨークのロータ通孔内に配置されたロータとを備えたことによって、扁平状に形成できる。これにより、鏡筒の光軸に対してロータの軸線が平行となるにも拘わらず、筒型ステッピングモータを鏡筒の光軸方向に沿わせて配置して用いたアクチュエータに比較して、複数のアクチュエータの重なり厚さを鏡筒の高さより薄くするのに好適である。
又、本発明の鏡筒駆動装置の好ましい形態では、第1のアクチュエータの伝達機構が有する複数の回転軸及び第1のアクチュエータのロータが有する回転軸と、第2のアクチュエータの伝達機構が有する複数の回転軸及び第2のアクチュエータのロータが有する回転軸とが、これらアクチュエータの重なり方向に対向する位置関係となるように第1、第2のアクチュエータを重ねている。
この好ましい形態では、第1のアクチュエータの投影領域に第2のアクチュエータ全体が位置されると共に、第2のアクチュエータの投影領域に第1のアクチュエータ全体が位置されるように正対する位置関係に、両アクチュエータを重ねて配置できるので、平面的な配置スペースをより小さくする上で好ましい。
又、本発明の鏡筒駆動装置の好ましい形態では、第1のアクチュエータの伝達機構が有する複数の回転軸及び第1のアクチュエータのロータが有する回転軸と、第2のアクチュエータの伝達機構が有する複数の回転軸及び第2のアクチュエータのロータが有する回転軸とが、これらアクチュエータの重なり方向と直交する方向に沿って位置をずらした位置関係となるように第1、第2のアクチュエータを重ねている。
この好ましい形態では、第1、第2のアクチュエータを互いに正対する位置関係に重ねて配置することに制約されないので、両アクチュエータの伝達機構を第1、第2のレンズ機能に合わせた構成とする場合、例えば伝達機構の減速比を異ならせる場合等に好適である点で好ましい。
又、本発明の鏡筒駆動装置の好ましい形態では、第1のアクチュエータの各回転軸の第2のアクチュエータ側の一端部を回転自在に支持する軸支え部材と、第2のアクチュエータの各回転軸の第1のアクチュエータ側の一端部を回転自在に支持する軸支え部材とを、同一の部材としている。
この好ましい形態では、両アクチュエータごとにその各回転軸の一端部を支持する軸支え部材を個別に設ける必要がなく、軸支え部材の共通化により部品点数を削減でき、コストの低減に寄与できる。しかも、第1のアクチュエータの各回転軸と第2のアクチュエータの各回転軸との位置を、アクチュエータの重なり方向と直交する方向に沿ってずらした構成について、この好ましい形態が実施される場合には、共通使用される軸支え部材の厚みを薄くできて、それに応じて第1、第2のアクチュエータの重なり厚みをより薄くできる点で好ましい。
又、本発明の鏡筒駆動装置の好ましい形態では、前記同一の部材と、第1のアクチュエータの各回転軸の他端部を支持する軸支え部材と、第2のアクチュエータの各回転軸の他端部を支持する軸支え部材との内の少なくとも二つに同じ部材を用いている。
この好ましい形態では、各アクチュエータの各回転軸を支持する軸支え部材の内の少なくとも二つに同じ部材を用いて部材を共通化したので、部品の種類が削減され、コストの低減に寄与できる。
又、本発明の鏡筒駆動装置の好ましい形態では、第1のアクチュエータが備えたステッピングモータの構成部品及び伝達機構の構成部品と、第2のアクチュエータが備えたステッピングモータの構成部品及び伝達機構の構成部品とを、夫々同じ部品としている。
この好ましい形態では、両アクチュエータのステッピングモータの構成部品同士が同じ部品からなると共に、両アクチュエータの伝達機構の構成部品同士が同じ部品からなるので、部品の種類が削減され、コストの低減に寄与できる。
又、前記課題を解決するために、本発明のカメラモジュールは、複数のレンズ機能を個別に発揮させる複数の入力歯部を有した鏡筒と;この鏡筒が配置されるベースと;前記入力歯部の内の一つに噛み合う出力歯車を有した伝達機構及びこの伝達機構を駆動するステッピングモータを備えて、前記ベースに配置された複数のアクチュエータと;を具備し、前記複数のアクチュエータを前記鏡筒の光軸が延びる方向に重ねるとともに、それらの重なり厚さを前記鏡筒の高さより薄くしている。
この発明では、鏡筒の光軸が延びる方向に複数のアクチュエータを重ねたので、複数のアクチュエータを互いに離して鏡筒の周りに沿って配設した場合と比較して、複数のアクチュエータが占める平面的な配置スペースが小さい。これと共に、複数のアクチュエータが重なっているにも拘らず、その重なり厚さが鏡筒の高さより薄いので、複数のアクチュエータを配置するための厚み方向の配置スペースが小さい。以上のように平面的な配置スペース及び厚み方向の配置スペースが小さい鏡筒駆動装置を備えることにより、配置スペースが小さいカメラモジュールを提供できる。
又、前記課題を解決するために、本発明のカメラモジュールは、第1のレンズ機能を発揮させる第1の入力歯部、及び第2のレンズ機能を発揮させる第2の入力歯部を有した鏡筒と;この鏡筒が配置されるベースと;前記第1の入力歯部に噛み合う出力歯車を有した伝達機構及びこの伝達機構を駆動するステッピングモータを備えて、前記ベースに配置された第1のアクチュエータと;前記第2の入力歯部に噛み合う出力歯車を有した伝達機構及びこの伝達機構を駆動するステッピングモータを備えて、前記ベースに配置された第2のアクチュエータと;を具備し、前記第1、第2のアクチュエータを前記鏡筒の光軸が延びる方向に重ねるとともに、それらの重なり厚さを前記鏡筒の高さより薄くしている。
この発明では、第1、第2のレンズ機能を備えた鏡筒の光軸が延びる方向に、第1のレンズ機能を発揮させる第1のアクチュエータと第2のレンズ機能を発揮させる第2のアクチュエータとを重ねたので、これら第1、第2のアクチュエータを互いに離して鏡筒の周りに沿って配設した場合と比較して、第1、第2のアクチュエータが占める平面的な配置スペースが小さい。これと共に、第1、第2のアクチュエータが重なっているにも拘らず、その重なり厚さが鏡筒の高さより薄いので、第1、第2のアクチュエータを配置するための厚み方向の配置スペースが小さい。以上のように平面的な配置スペースが小さいと共に厚み方向の配置スペースが小さい鏡筒駆動装置を備えることにより、配置スペースが小さいカメラモジュールを提供できる。
又、本発明のカメラモジュールの好ましい形態では、ステッピングモータが、コア部の端にヨーク連結部が一体に設けられた鉄心及びコア部に巻き付けられた励磁コイルを有したコイルブロック、ヨーク連結部に連結された端部以外の磁路部分がコイルブロックに重なることなく設けられ、この磁路部分にロータ通孔を有したヨーク、及びロータ通孔内に配置されたロータを備えている。
この好ましい形態でのステッピングモータは、励磁によって磁束を発生する励磁コイルとロータが配置されたロータ通孔とが、重なることなく平面的にずれていて、駆動パルスの印加(励磁)により発生した磁束をヨークでロータ通孔に導いてロータを回転させる。このステッピングモータは、筒型ではなく、励磁コイルを有したコイルブロックと、このブロックに連結された端部以外の磁路部分がコイルブロックに重なることなくずれて設けられたヨークと、このヨークのロータ通孔内に配置されたロータとを備えたことによって、扁平状に形成できる。これにより、鏡筒の光軸に対してロータの軸線が平行となるにも拘わらず、筒型ステッピングモータを鏡筒の光軸方向に沿わせて配置して用いたアクチュエータに比較して、複数のアクチュエータの重なり厚さを鏡筒の高さより薄くするのに好適である。
又、本発明のカメラモジュールの好ましい形態では、第1のアクチュエータの伝達機構が有する複数の回転軸及び第1のアクチュエータのロータが有する回転軸と、第2のアクチュエータの伝達機構が有する複数の回転軸及び第2のアクチュエータのロータが有する回転軸とが、これらアクチュエータの重なり方向に対向する位置関係となるように第1、第2のアクチュエータを重ねている。
この好ましい形態では、第1のアクチュエータの投影領域に第2のアクチュエータ全体が位置されると共に、第2のアクチュエータの投影領域に第1のアクチュエータ全体が位置されるように正対する位置関係に、両アクチュエータを重ねて配置できるので、平面的な配置スペースをより小さくする上で好ましい。
又、本発明のカメラモジュールの好ましい形態では、第1のアクチュエータの伝達機構が有する複数の回転軸及び第1のアクチュエータのロータが有する回転軸と、第2のアクチュエータの伝達機構が有する複数の回転軸及び第2のアクチュエータのロータが有する回転軸とが、これらアクチュエータの重なり方向と直交する方向に沿って位置をずらした位置関係となるように第1、第2のアクチュエータを重ねている。
この好ましい形態では、第1、第2のアクチュエータを互いに正対する位置関係に重ねて配置することに制約されないので、両アクチュエータの伝達機構を第1、第2のレンズ機能に合わせた構成とする場合、例えば伝達機構の減速比を異ならせる場合等に好適である点で好ましい。
又、本発明のカメラモジュールの好ましい形態では、第1のアクチュエータの各回転軸の第2のアクチュエータ側の一端部を回転自在に支持する軸支え部材と、第2のアクチュエータの各回転軸の第1のアクチュエータ側の一端部を回転自在に支持する軸支え部材とを、同一の部材としている。
この好ましい形態では、両アクチュエータごとにその各回転軸の一端部を支持する軸支え部材を個別に有する必要がなく、部材の共通化により部品点数を削減でき、コストの低減に寄与できる。しかも、第1のアクチュエータの各回転軸と第2のアクチュエータの各回転軸との位置を、アクチュエータの重なり方向と直交する方向に沿ってずらした構成について、この好ましい形態が実施される場合には、共通使用される軸支え部材の厚みを薄くできて、それに応じて第1、第2のアクチュエータの重なり厚みをより薄くできる点で好ましい。
又、本発明のカメラモジュールの好ましい形態では、前記同一の部材と、第1のアクチュエータの各回転軸の他端部を支持する軸支え部材と、第2のアクチュエータの各回転軸の他端部を支持する軸支え部材との内の少なくとも二つに同じ部材を用いている。
この好ましい形態では、各アクチュエータの各回転軸を支持する軸支え部材の内の少なくとも二つに同じ部材を用いて部材を共通化したので、部品の種類が削減され、コストの低減に寄与できる。
又、本発明のカメラモジュールの好ましい形態では、第1のアクチュエータが備えたステッピングモータの構成部品及び伝達機構の構成部品と、第2のアクチュエータが備えたステッピングモータの構成部品及び伝達機構の構成部品とを、夫々同じ部品としている。
この好ましい形態では、両アクチュエータのステッピングモータの構成部品同士が同じ部品からなると共に、両アクチュエータの伝達機構の構成部品同士が同じ部品からなるので、部品の種類が削減され、コストの低減に寄与できる。
本発明によれば、厚み方向の配置スペース及び平面的な配置スペースを共に小さくできる鏡筒駆動装置を提供できるとともに、この鏡筒駆動装置を備えて配置スペースが小さいカメラモジュールを提供できる。
図1〜図5を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1、図2、及び図5中符号11はカメラモジュールを示している。このカメラモジュール11は、例えばカード形デジタルカメラやカメラ付き携帯電話等の薄型の携帯電子機器が有したボディ内のプリント配線基板上に実装される。このカメラモジュール11は、鏡筒12と、鏡筒駆動装置13と、回路ブロック14と、検知部をなすセンサ15と、撮像素子16とを備えている。
鏡筒12は、図1に示すように第1群のフォーカスレンズ22と、第2群のズームレンズ23及び第3群のズームレンズ24とを夫々内蔵するとともに、図5に示したレンズ駆動機構25,26を備えている。
一方のレンズ駆動機構25は、フォーカスレンズ22とともに第1のレンズ機能例えばフォーカシング機能を担うもので、第1の回転部材として例えば鏡筒12の周方向に所定角度回転可能なフォーカスリング25a(図1参照)を有している。フォーカスリング25aの好ましくは後述するベース寄りの部位の外周面には、所定範囲にわたって周方向に延びる入力歯部25bが形成されている。
フォーカスリング25aの回転によって焦点を撮像素子16に合わせるフォーカスレンズ22が鏡筒12の光軸O(図1参照)が延びる方向に移動されて、フォーカシング(合焦点動作)が行われる。この場合、鏡筒12が有した複数本の軸12aでフォーカスレンズ22の回転が妨げられているので、このフォーカスレンズ22の複数のカム従動凸部22aと回転されるフォーカスリング25aに設けた複数の斜めのカム溝25cとの係合位置の変化に応じて、軸12aをガイドとしてフォーカスレンズ22は光軸Oが延びる方向に移動される。
他方のレンズ駆動機構26は、ズームレンズ23,24とともに第2のレンズ機能例えばズーミング機能を担うもので、第2の回転部材として例えば鏡筒12の周方向に所定角度回転可能なズームリング26a(図1及び図2参照)を有している。ズームリング26aの好ましくは後述するベース寄りの部位の外周面には、所定範囲にわたって周方向に延びる入力歯部26bが形成されている。入力歯部25b,26bは、鏡筒12の光軸Oが延びる方向に正対して、つまり、入力歯部25bの投影領域に入力歯部26b全体が位置されると共に、入力歯部26bの投影領域に入力歯部25b全体が位置するように相対向して設けられている。
ズームリング26aの回転によってズームレンズ23,24を鏡筒12の光軸Oが延びる方向に移動させて、ズーミングが行われる。この場合、鏡筒12の複数本の軸12aでズームレンズ23,24の回転が妨げられているので、ズームレンズ23の複数のカム従動凸部23aと回転されるズームリング26aにズームレンズ23に対応して設けた複数の斜めのカム溝26cとの係合位置の変化に応じて、軸12aをガイドとしてズームレンズ23は光軸Oが延びる方向に移動されると同時に、ズームレンズ24の複数のカム従動凸部24aと回転されるズームリング26aにズームレンズ24に対応して設けた複数の斜めのカム溝26dとの係合位置の変化に応じて、軸12aをガイドとしてズームレンズ24は光軸Oが延びる方向に移動される。
図1に示すようにフォーカスリング25aは撮像素子16に対してズームリング26aより近い位置に設けられ、このフォーカスリング25aと撮像素子16に対してフォーカスリング25aより遠い位置に設けられるズームリング26aとは、光軸Oが延びる方向に連続するように設けられている。
図1に示すように鏡筒駆動装置13は、ベース31と、鏡筒12を駆動する複数のアクチュエータ、例えば第1のアクチュエータとしてフォーカスアクチュエータ41と、第2のアクチュエータとしてズームアクチュエータ71とを備えている。両アクチュエータ41,71は光軸Oが延びる方向に重ねてベース31に取付けられ、その重なり厚さAは鏡筒12の高さBより薄く形成されている。
図2に示すようにベース31は四角形状例えば長方形状をなし、その一面は段差を有しない平坦面となっている。ベース31は例えばプラスチックスで平板状に成形されており、その長手方向一端側の部位は、鏡筒配置部32として用いられている。鏡筒配置部32は、ベース31を貫通する素子配置孔32aと、この素子配置孔32aの周囲に開けられた複数の固定孔32bとを有している。この鏡筒配置部32には、鏡筒12が、その軸12aを固定孔32bに夫々圧入することによって、ベース31の一面に起立して取付けられている。軸12aは固定孔32bへの圧入深さを規制して圧入の力がフォーカスリング25a及びズームリング26aに加わらないようにするための段部を有している。
フォーカスアクチュエータ41及びズームアクチュエータ71の夫々は、後述の構成によって鏡筒12よりかなり薄く、鏡筒12の高さBの1/2未満の厚みに形成されている。これにより、鏡筒12は、ベース31を基準にフォーカスアクチュエータ41及びズームアクチュエータ71の重なり厚さAよりも高く突出されている。したがって、鏡筒12の周りには、重なり厚さAと高さBとの差に基づくスペースS(図1参照)が形成されている。
図1及び図2に示すようにフォーカスアクチュエータ41は、アクチュエータベース61と、アクチュエータカバー62と、ステッピングモータ42と、伝達機構例えば伝達歯車列43とを具備して形成されている。ステッピングモータ42及び伝達歯車列43は、アクチュエータベース61とアクチュエータカバー62との間に配設されている。
アクチュエータベース61及びアクチュエータカバー62は、例えばプラスチックスで平板状に成形されており、フォーカスアクチュエータ41の外郭をなしているとともに、このフォーカスアクチュエータ41の後述する各回転軸を回転自在に支持する軸支え部材として機能するものである。なお、第1実施形態では、部品点数を削減しコストを低減するために、ベース31の長手方向他端側の部位がアクチュエータベース61を兼ねているが、ベース31とアクチュエータベース61とは別々に作られていてもよい。
図1及び図4に示すようにステッピングモータ42は、例えばステップ角が180°の2極のモータであって、コイルブロック44と、ヨーク45と、ロータ46とを備えている。コイルブロック44とヨーク45とはステ−タを形成している。
コイルブロック44は、鉄心47(図示しないが後述の鉄心77と同じ構成である。)及び励磁コイル48を有している。鉄心47は、コア部47a(図示しないが後述のコア部77aと同じ構成である。)の長手方向両端に夫々ヨーク連結部47b、47cを一体に設けてなる。好ましい例として、ロータ46を正転させる時と逆転させる時の回転速度が同じとなるように一対のコイルブロック44を設けている。特に、本実施形態ではこれらのコイルブロック44を一体とするためにヨーク連結部47cが共用されているため、このヨーク連結部47cの両側にコア部47aを介してヨーク連結部47bが夫々設けられている。励磁コイル48はコア部47aに夫々巻き付けられている。
励磁コイル48の励磁によって発生する磁束を導くヨーク45は、平板状であって、ヨーク連結部47b、47cに連結される端部45b、45c(一方の端部45cは図示しないが後述の端部75cと同じ構成である。)を有している。一対の端部45bはヨーク連結部47bに夫々連結され、これら一対の端部45b間に位置する他の一つの端部45cはヨーク連結部47cに連結されている。ヨーク45の端部45b、45cを除いた磁路部分45aは、コイルブロック44に重なることなく、コイルブロック44の側方に突出されている。この磁路部分45aにはロータ通孔49が形成されている。
磁路部分45aとコイルブロック44との間には空隙51が形成されている。空隙51には励磁コイル48の側面の少なくとも一部が臨んでいる。磁路部分45aの縁に設けた凹み45dとロータ通孔49との間、及び空隙51とロータ通孔49との間には、きわめて容易に磁気飽和する磁路断面積が極小の部分が設けられている。このため、ロータ通孔49の内周面は前記磁路断面積が極小な部分で実質的に区切られている。この区切られた領域は、夫々磁極端として機能し、励磁コイル48に駆動パルスが印加される度にS極又はN極が前記磁極端にあらわれるようになっている。
ロータ通孔49内にはロータ46が配置されている。ロータ46の外周部は周方向に隣接する所定領域ごとに互いに異なる極性に着磁されている。したがって、ステッピングモータ42は、その励磁コイル48に後述のモータドライバ102(図5参照)を介して駆動パルスが印加されるたびに、前記磁極端とロータ46の磁極との間の磁気作用によって、180°のステップ角で回転される。ロータ46のプラスチックス製のロータ軸(回転軸)には駆動歯車46aが一体に成形されている。駆動歯車46aはロータ46とは別体として、それをロータ46の回転軸に連結してもよい。ロータ46のロータ軸の両端部は、アクチュエータベース61とアクチュエータカバー62とに個別に設けた軸受孔61aと軸受孔62aとに嵌合して回転自在に両端支持されている。ロータ46の軸線は鏡筒12の光軸Oと平行である。
フォーカス用のレンズ駆動機構25と鏡筒12とは、伝達歯車列43を介して接続されている。図1に示すように伝達歯車列43は、平歯車からなる複数例えば第1〜第4の伝達歯車55〜58を有している。伝達歯車55〜58はプラスチックス製である。複数の伝達歯車55〜58からなる伝達歯車列43は、ウォームギャのように1段で大きな減速比を得るものではないので、すべり摩擦による動力損失が少なく、それに伴いステッピングモータ42の消費電力を少なくできる。
第1の伝達歯車55は、ロータ46の駆動歯車46aより大径でこの駆動歯車46aに噛み合わされた減速歯車55aと、減速歯車55aより小径でこの減速歯車55aと一体に回転される減速歯車55bとを有している。この第1の伝達歯車55の歯車軸(回転軸)の両端部は、アクチュエータベース61とアクチュエータカバー62とに個別に設けた軸受孔61bと軸受孔62bとに嵌合して回転自在に両端支持されている。
第2の伝達歯車56は、減速歯車55bより大径でこの減速歯車55bに噛み合わされた減速歯車56aと、減速歯車56aより小径でこの減速歯車56aと一体に回転される減速歯車56bとを有している。この第2の伝達歯車56の歯車軸(回転軸)の両端部は、アクチュエータベース61とアクチュエータカバー62とに個別に設けた軸受孔61cと軸受孔62cとに嵌合して回転自在に両端支持されている。
第3の伝達歯車57は、減速歯車56bより大径でこの減速歯車56bに噛み合わされた減速歯車57aと、減速歯車57aより小径でこの減速歯車57aと一体に回転される減速歯車57bとを有している。この第3の伝達歯車57の歯車軸(回転軸)の両端部は、アクチュエータベース61とアクチュエータカバー62とに個別に設けた軸受孔61dと軸受孔62dとに嵌合して回転自在に両端支持されている。
第4の伝達歯車58は、減速歯車57bより大径でこの減速歯車57bに噛み合わされている。この第4の伝達歯車58の歯車軸(回転軸)の両端部は、アクチュエータベース61とアクチュエータカバー62とに個別に設けた軸受孔61eと軸受孔62eとに嵌合して回転自在に両端支持されている。
以上説明した伝達歯車列43の最終の第4の伝達歯車58は、フォーカスリング25aを駆動する出力歯車として使用されるものであって、その一部は、フォーカスアクチュエータ41の外郭より食み出していて、フォーカスリング25aの入力歯部25bに噛み合わされている。したがって、ステッピングモータ42が駆動しそのロータ46が正転又は逆転されると、その回転は伝達歯車列43により減速されてレンズ駆動機構25に与えられる。
ズームアクチュエータ71は、フォーカスアクチュエータ41と同様な成である。詳しくは、図1及び図2に示すようにズームアクチュエータ71は、アクチュエータベース91と、アクチュエータカバー92と、ステッピングモータ72と、伝達機構例えば伝達歯車列73とを具備して形成されている。ステッピングモータ72及び伝達歯車列73は、アクチュエータベース91とアクチュエータカバー92との間に配設されている。
アクチュエータベース91及びアクチュエータカバー92は、例えばプラスチックスで平板状に成形されており、ズームアクチュエータ71の外郭をなしているとともに、このズームアクチュエータ71の後述する各回転軸を回転自在に支持する軸支え部材として機能するものである。アクチュエータベース91及びアクチュエータカバー92の大きさは、フォーカスアクチュエータ41のアクチュエータカバー62と同じ大きさである。
部品の種類を削減してコストを低減するために、ズームアクチュエータ71のステッピングモータ72には、フォーカスアクチュエータ41のステッピングモータ42と同じモータが使用されていて、部品の共通化が図られているとともに、伝達歯車列73もフォーカスアクチュエータ41の伝達歯車列43と同じ歯車列が使用されていて、部品の共通化が図られている。
詳しくは、図1、図2、及び図4に示すようにステッピングモータ72は、例えばステップ角が180°の2極のモータであって、コイルブロック74と、ヨーク75と、ロータ76とを備えている。コイルブロック74とヨーク75とはステ−タを形成している。
コイルブロック74は、鉄心77及び励磁コイル78を有している。鉄心77は、コア部77aの長手方向両端に夫々ヨーク連結部77b、77cを一体に設けてなる。好ましい例として、ロータ76を正転させる時と逆転させる時の回転速度が同じとなるように一対のコイルブロック74を設けている。特に、本実施形態ではこれらのコイルブロック74を一体とするためにヨーク連結部77cが共用されているため、このヨーク連結部77cの両側にコア部77aを介してヨーク連結部77bが夫々設けられている。励磁コイル78はコア部77aに夫々巻き付けられている。
励磁コイル78の励磁によって発生する磁束を導くヨーク75は、平板状であって、ヨーク連結部77b、77cに連結される端部75b、75cを有している。一対の端部75bはヨーク連結部77bに夫々連結され、これら一対の端部75b間に位置する他の一つの端部75cはヨーク連結部77cに連結されている。ヨーク75の端部75b、75cを除いた磁路部分75aは、コイルブロック74に重なることなく、コイルブロック74の側方に突出されている。この磁路部分75aにはロータ通孔79が形成されている。
磁路部分75aとコイルブロック74との間には空隙81が形成されている。空隙81には励磁コイル78の側面の少なくとも一部が臨んでいる。磁路部分75aの縁に設けた凹み75dとロータ通孔79との間、及び空隙81とロータ通孔79との間には、きわめて容易に磁気飽和する磁路断面積が極小の部分が設けられている。このため、ロータ通孔79の内周面は前記磁路断面積が極小な部分で実質的に区切られている。この区切られた領域は、夫々磁極端として機能し、励磁コイル78に駆動パルスが印加される度にS極又はN極が前記磁極端にあらわれるようになっている。
ロータ通孔79内にはロータ76が配置されている。ロータ76の外周部は周方向に隣接する所定領域ごとに互いに異なる極性に着磁されている。したがって、ステッピングモータ72は、その励磁コイル78に後述のモータドライバ103(図5参照)を介して駆動パルスが印加されるたびに、前記磁極端とロータ76の磁極との間の磁気作用によって、180°のステップ角で回転される。ロータ76のプラスチックス製のロータ軸(回転軸)には駆動歯車76aが一体に成形されている。駆動歯車76aはロータ76とは別体として、それをロータ76の回転軸に連結してもよい。ロータ76のロータ軸の両端部は、アクチュエータベース91とアクチュエータカバー92とに個別に設けた軸受孔91aと軸受孔92aとに嵌合して回転自在に両端支持されている。ロータ76の軸線は鏡筒12の光軸Oと平行である。
ズーム用のレンズ駆動機構26と鏡筒12とは伝達歯車列73を介して接続されている。図1及び図2に示すように伝達歯車列73は、平歯車からなる複数例えば第1〜第4の伝達歯車85〜88を有している。伝達歯車85〜88はプラスチックス製である。複数の伝達歯車85〜88からなる伝達歯車列73は、ウォームギャのように1段で大きな減速比を得るものではないので、すべり摩擦による動力損失が少なく、それに伴いステッピングモータ72の消費電力を少なくできる。
第1の伝達歯車85は、ロータ76の駆動歯車76aより大径でこの駆動歯車76aに噛み合わされた減速歯車85aと、減速歯車85aより小径でこの減速歯車85aと一体に回転される減速歯車85bとを有している。この第1の伝達歯車85の歯車軸(回転軸)の両端部は、アクチュエータベース91とアクチュエータカバー92とに個別に設けた軸受孔91bと軸受孔92bとに嵌合して回転自在に両端支持されている。
第2の伝達歯車86は、減速歯車85bより大径でこの減速歯車85bに噛み合わされた減速歯車86aと、減速歯車86aより小径でこの減速歯車86aと一体に回転される減速歯車86bとを有している。この第2の伝達歯車86の歯車軸(回転軸)の両端部は、アクチュエータベース91とアクチュエータカバー92とに個別に設けた軸受孔91cと軸受孔92cとに嵌合して回転自在に両端支持されている。
第3の伝達歯車87は、減速歯車86bより大径でこの減速歯車86bに噛み合わされた減速歯車87aと、減速歯車87aより小径でこの減速歯車87aと一体に回転される減速歯車87bとを有している。この第3の伝達歯車87の歯車軸はアクチュエータベース91とアクチュエータカバー92とに個別に設けた軸受孔91dと軸受孔92dとに嵌合して回転自在に両端支持されている。第4の伝達歯車88は、減速歯車87bより大径でこの減速歯車87bに噛み合わされていて、その歯車軸(回転軸)の両端部は、アクチュエータベース91とアクチュエータカバー92とに個別に設けた軸受孔91dと軸受孔92dとに嵌合して回転自在に両端支持されている。
第4の伝達歯車88は、減速歯車87bより大径でこの減速歯車87bに噛み合わされている。この第4の伝達歯車88の歯車軸(回転軸)の両端部は、アクチュエータベース91とアクチュエータカバー92とに個別に設けた軸受孔91eと軸受孔92eとに嵌合して回転自在に両端支持されている。
以上説明した伝達歯車列73の最終の第4の伝達歯車88はズームリング26aを駆動する出力歯車として使用されるものであって、ズームリング26aの入力歯部26bに噛み合わされている。したがって、ステッピングモータ72が駆動しそのロータ76が正転又は逆転されると、その回転は伝達歯車列73により減速されてレンズ駆動機構26に与えられる。
図1に示すようにズームアクチュエータ71は、そのアクチュエータベース91を、フォーカスアクチュエータ41のアクチュエータカバー62に接触させて、フォーカスアクチュエータ41上に重ねられている。この重なり状態では、フォーカスアクチュエータ41の投影領域にズームアクチュエータ71全体が位置されると共に、ズームアクチュエータ71の投影領域にフォーカスアクチュエータ41全体が位置されるように正対する位置関係となっている。
それにより、フォーカスアクチュエータ41の伝達歯車列43が有する複数の回転軸と、ズームアクチュエータ71の伝達歯車列73が有する複数の回転軸とが、アクチュエータ41,71の重なり方向に対向する位置関係に設けられるとともに、フォーカスアクチュエータ41のロータ46のロータ軸(回転軸)と、ズームアクチュエータ71のロータ76のロータ軸(回転軸)とが、アクチュエータ41,71の重なり方向に対向する位置関係に設けられる。
この位置関係では、図1に示すように軸受を介することなくロータ46のロータ軸を直接支持した軸受孔62aと、軸受を介することなくロータ76のロータ軸を直接支持した軸受孔91aとが対向して直接連通する。同様に、軸受を介することなく第1の伝達歯車55の歯車軸を直接支持した軸受孔62bと、軸受を介することなく第1の伝達歯車85の歯車軸を直接支持した軸受孔92bとが対向して直接連通する。同様に、軸受を介することなく第2の伝達歯車56の歯車軸を直接支持した軸受孔62cと、軸受を介することなく第2の伝達歯車86の歯車軸を直接支持した軸受孔92cとが対向して直接連通する。同様に、軸受を介することなく第3の伝達歯車57の歯車軸を直接支持した軸受孔62dと、軸受を介することなく第3の伝達歯車87の歯車軸を直接支持した軸受孔92dとが対向して直接連通する。同様に、軸受を介することなく第4の伝達歯車58の歯車軸を直接支持した軸受孔62eと、軸受を介することなく第4の伝達歯車88の歯車軸を直接支持した軸受孔92eとが対向して直接連通する。
以上のように正対して互いに重なったアクチュエータ41,71の配置は、それらの平面的な配置スペースを、単一のアクチュエータの投影面積に相当する分しか要さない点で、鏡筒駆動装置13の配置スペースをより小さくする上で好ましい。
重なり合ったフォーカスアクチュエータ41とズームアクチュエータ71とは、図2及び図3に示す一対のねじ52と、このねじ52がねじ込まれるねじ受け53(図3に代表して一つのみ図示する。)を介してベース31に固定されている。軸状のねじ受け53は、ベース31の一部からなるアクチュエータベース61に固定されていて、これは、ステッピングモータ42のヨーク連結部47b及びこれに重なったヨーク45の端部45bと、ステッピングモータ72のヨーク連結部77b及びこれに重なったヨーク75の端部75bとを通って、ズームアクチュエータ71のアクチュエータカバー92に挿入されていて、この挿入部にねじ52がねじ込まれている。なお、図3中符号54はスペーサを示している。
又、図2に示すようにズームアクチュエータ71のロータ76及び伝達歯車列73の大部分は、コイルブロック74に対して両アクチュエータ41,71の重なり方向と直交する方向、言い換えれば、ベース31の一面に沿うようにずらされていて、コイルブロック74と鏡筒12との間に配置されている。これにより、ヨーク75の磁路部分75aがコイルブロック74と鏡筒12との間のスペースに配置されている。
そして、伝達歯車列73の一部、具体的には第1の伝達歯車85と第2の伝達歯車86とはステッピングモータ72の投影領域内に配置されている。この配置を実現するために、第1の伝達歯車85の歯車軸が空隙81に通されているとともに、第2の伝達歯車86の歯車軸がヨーク75に設けた軸通し部例えば通孔75eに通されている。これにより伝達歯車列73がステッピングモータ72上に重なって配置されるので、ステッピングモータ72と鏡筒12との間に必要とする歯車配設スペースを減らすことができ、その分、鏡筒駆動装置13を小形にすることが可能である。
このズームアクチュエータ71と同一構造のフォーカスアクチュエータ41についても、以上の説明と同じ構成により、ヨーク45の磁路部分45aがコイルブロック44と鏡筒12との間のスペースに配置されているとともに、伝達歯車列43の一部、具体的には第1の伝達歯車55と第2の伝達歯車56とはステッピングモータ42の投影領域内に配置されている。そのために、第1の伝達歯車55の歯車軸が空隙51に通されているとともに、第2の伝達歯車56の歯車軸がヨーク45に設けた軸通し部例えば通孔45eに通されている。
図5に示すように前記回路ブロック14は、制御部101と、モータドライバ102,103と、信号処理部104等を備えている。制御部101は、CPU及びメモリなどを有していて、撮像素子16の動作を制御すること等を含むカメラモジュール11の鏡筒駆動装置13全般の制御を担う。モータドライバ102は、フォーカスアクチュエータ41を駆動する場合に、ステッピングモータ42に必要な数の駆動パルスを印加するものであり、同様にモータドライバ103は、ズームアクチュエータ71を駆動する場合に、ステッピングモータ72に必要な数の駆動パルスを印加するものである。信号処理部104は撮像素子16から出力された撮像信号を処理して、制御部101に供給するものである。撮像素子16にはCCDまたはCMOS等の半導体ディバイスが用いられている。なお、図7中符号105はLCD等からなる表示部を示している。この表示部105は、カメラモジュール11が組み込まれた携帯電子機器に設けられていて、撮像素子16が撮像した画像情報や前記メモリのメモリ情報等が表示される。
図1中符号106は大部分が電気絶縁板107に接着されて補強されてベース31の裏面にねじ止めされたフレキシブルプリント配線基板を示している。このフレキシブルプリント配線基板106には、制御部101及び信号処理部104が設けられているとともに、モータドライバ102,103が実装されている。更に、フレキシブルプリント配線基板106の中間部には鏡筒12の光軸O上に位置して撮像素子16が実装されている。図1及び図2中符号106a,106bは、フレキシブルプリント配線基板106の電気接点を有したモータ接続端部を示しており、一方のモータ接続端部106aはステッピングモータ42に電気的に接続され、他方のモータ接続端部106bはステッピングモータ72に電気的に接続されている。なお、この接続のために使用されるねじ108a,108bを図2及び図3に示す。又、図5に示す前記センサ15は、フォトインタラプタ等からなり、フォーカスリング25aの外周面に一体に突設したフォーカス用の原点突起(図示しない)とともに、フォーカシング動作の基準となる原点位置を検出する原点検出手段をなすものである。フォーカシング動作のたびに、検出された原点を基準に合焦点動作が行われるようになっている。
既述のカメラモジュール11が備える鏡筒駆動装置13に使用したステッピングモータ42,72は、円筒型ではなく、アクチュエータベース61の一面に沿って配置される励磁コイル48,78を有したコイルブロック44,74と、コイルブロック44,74に連結された端部45b、45c又は75b、75c以外の磁路部分45a,75aがコイルブロック44,74に重なることなくアクチュエータベース61に沿うように平面的にずれて設けられたヨーク45,75と、ヨーク45,75のロータ通孔49,79内に配置されたロータ46,76と、を備えているので、扁平に構成できる。
このため、ステッピングモータ42,72がカメラモジュール11の鏡筒駆動装置13の厚みを増やす要素とはならない。しかも、ステッピングモータ42,72の励磁コイル48,78は、その周面をアクチュエータベース61に沿わせて横置きに設けられているから、磁束を増やすために励磁コイル48,78のコア部47a,77aに対する巻き付け長さを増やした場合であっても、それはステッピングモータ42,72の厚み、ひいては鏡筒駆動装置13の厚みを増やす因子とはならない。
加えて、ステッピングモータ42,72と、これらステッピングモータ42,72の動力で個別に動かされる伝達歯車列43,73を介して駆動される鏡筒12とが、互いに位置をずらしてアクチュエータベース61の一面に沿うように設けられているとともに、ロータ46,76とレンズ駆動機構25,26とを連動させる伝達歯車列43,73が前記一面においてステッピングモータ42,72と鏡筒12との間に設けられた平面的な配置となっている。
したがって、鏡筒12の光軸とロータ46,76の軸線とが平行であるにも拘わらず、筒型ステッピングモータをその軸線が光軸と平行となるように縦置きにして用いた鏡筒駆動装置に比較して、鏡筒12を駆動するフォーカスアクチュエータ41及びズームアクチュエータ71の夫々の厚みを、鏡筒12の高さBよりもはるかに薄くできる。そして、このように扁平に形成されたフォーカスアクチュエータ41及びズームアクチュエータ71を用いたので、これらのアクチュエータ41,71を重ねて配置したにも拘らず、鏡筒駆動装置13全体の厚みを薄くできる。
このため、フォーカスアクチュエータ41とズームアクチュエータ71との重なり厚さAとベース31に対する鏡筒12の突出高さBとの差に応じたスペースS(図1参照)を、鏡筒12の周りに確保できる。これにより、カメラモジュール11が搭載された携帯電子機器では、鏡筒12周りのスペースSに部品を配置して部品配置の高密度化を図って、携帯電子機器の更なる小型化に貢献することも可能である。
更に、既述のようにフォーカスアクチュエータ41とズームアクチュエータ71とを重ねて鏡筒駆動装置13を形成したので、フォーカスアクチュエータ41とズームアクチュエータ71とを互いに重なることなく個別に配置するためのスペースを鏡筒12周りに要することがない。これにより、ベース31を小型にでき、それに応じて鏡筒駆動装置13及びカメラモジュール11を小型にできる。
又、本実施形態では、ロータ46,76のロータ軸(回転軸)、各伝達歯車55〜58,85〜88の回転軸、これら回転軸を回転自在に支持する軸受孔61a〜61eを有したアクチュエータベース61、軸受孔62a〜62eを有したアクチュエータカバー62、軸受孔91a〜91eを有したアクチュエータベース91、及び軸受孔92a〜92eを有したアクチュエータカバー92を、夫々プラスチックス製としている。プラスチックスは金属に比較して摺動性がよく、回転軸と軸受孔との摩耗が少なく耐久性に優れる。このため、軸受部材を格別に要することがなく、鏡筒駆動装置13及びこれを備えるカメラモジュール11の部品点数を削減する上で好ましい。
図6及び図7は本発明の第2実施形態を示している。この第2実施形態で第1実施形態と同じ事項については同一符号を付してその説明を省略し、以下第1実施形態とは異なる事項について説明する。
第2実施形態では、第1実施形態で用いたフォーカスアクチュエータ41のアクチュエータカバーとズームアクチュエータ71のアクチュエータベースに代えて、両アクチュエータ41,71に共通使用される軸支え部材65を採用している。この軸支え部材65はアクチュエータカバー92と同形状のプラスチックス製の平板からなり、その厚み方向に貫通して伝達歯車列43,73の伝達歯車の数と同数の第1〜第5の軸受孔が開けられている。
第1の軸受孔の一端部は、ロータ46のロータ軸のズームアクチュエータ71側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔62aとして用いられ、第1の軸受孔の他端部は、ロータ76のロータ軸のフォーカスアクチュエータ41側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔91aとして用いられている。
第2の軸受孔の一端部は、第1の伝達歯車55の歯車軸のズームアクチュエータ71側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔62bとして用いられ、第2の軸受孔の他端部は、第1の伝達歯車85の歯車軸のフォーカスアクチュエータ41側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔91bとして用いられている。又、第3の軸受孔の一端部は、第2の伝達歯車56の歯車軸のズームアクチュエータ71側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔62cとして用いられ、第3の軸受孔の他端部は、第2の伝達歯車86の歯車軸のフォーカスアクチュエータ41側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔91cとして用いられている。
同様に、第4の軸受孔の一端部は、第3の伝達歯車57の歯車軸のズームアクチュエータ71側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔62dとして用いられ、第4の軸受孔の他端部は、第3の伝達歯車87の歯車軸のフォーカスアクチュエータ41側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔91dとして用いられている。又、第5の軸受孔の一端部は、第4の伝達歯車58の歯車軸のズームアクチュエータ71側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔62eとして用いられ、第5の軸受孔の他端部は、第4の伝達歯車88の歯車軸のフォーカスアクチュエータ41側端部を回転自在に嵌合して支持する軸受孔91eとして用いられている。
以上説明した事項以外は第1実施形態と同じである。したがって、この第2実施形態でも、本発明の課題を解決できる。しかも、第2実施形態では、既述のようにベース31がフォーカスアクチュエータ41のアクチュエータベース61を兼ねているだけではなく、更に軸支え部材65を両アクチュエータ41,71に共通使用される構成としたので、部品点数を削減でき、コストダウンを図ることができる。
図8〜図11は本発明の第3実施形態を示している。この第3実施形態で第2実施形態と同じ事項については同一符号を付してその説明を省略し、以下第2実施形態とは異なる事項について説明する。
第3実施形態では、ベース31とフォーカスアクチュエータ41のアクチュエータベース61とを別々の部品とするとともに、アクチュエータベース61と軸支え部材65とに同じ部材を用いている。
すなわち、ベース31は、ベース板31aと、この一端側に重ねられてねじ31cで固定された鏡筒配置板31bとで形成されている。ベース板31aはカメラモジュール11の平面サイズを決定する。鏡筒配置板31bはベース板31aより小さい。この鏡筒配置板31bは、素子配置孔32a及び固定孔32bを有して、鏡筒配置部を形成している。なお、ベース板31aと鏡筒配置板31bとは一体に成形することもでき、又、本実施形態では、ベース31を作る材料は金属でも成形体例えばプラスチックスでもよい。
アクチュエータベース61は、鏡筒配置板31bの厚みと同じ厚みを有した平板からなり、その構成は軸支え部材65と同じである。この軸支え部材65の第1〜第5の軸受孔は、軸受孔61a〜61eとして用いられている。
このため、第3実施形態では、フォーカスアクチュエータ41のロータ46が有するロータ軸(回転軸)と、ズームアクチュエータ71のロータ76が有するロータ(回転軸)とは、これらアクチュエータ41,71の重なり方向に対向する位置関係をなしている。これとともに、フォーカスアクチュエータ41の伝達歯車列43が有する複数の歯車軸(回転軸)と、ズームアクチュエータ71の伝達歯車列73が複数の歯車軸(回転軸)とは、これらアクチュエータ41,71の重なり方向に対向する位置関係をなしている。言い換えれば、両アクチュエータ41,71が正対して重ねられている。
以上説明した事項以外は第2実施形態と同じである。したがって、この第3実施形態でも、本発明の課題を解決できる。しかも、第3実施形態では、既述のようにフォーカスアクチュエータ41のアクチュエータベース61と、両アクチュエータ41,71に共通使用される軸支え部材65とに同じ部材を使用している。このため、軸支え部材65の使用により部品点数を削減できることに加えて、同じ構成のアクチュエータベース61と軸支え部材65との採用により、鏡筒駆動装置13を構成する部品の種類を削減できるので、それに伴い部品コストを低減できるとともに部品管理が楽になる等により、コストダウンを図ることができる。
なお、この第3実施形態に制約されず、ズームアクチュエータ71のアクチュエータカバー92にも、アクチュエータベース61及び軸支え部材65と同じ構成の部材を採用して、鏡筒駆動装置13を構成する部品の種類を更に削減することも可能である。しかし、第3実施形態のようにアクチュエータカバー92を除いてアクチュエータベース61と軸支え部材65とのみを同じ構成の部材とすることにより、アクチュエータカバー92の厚みをアクチュエータベース61及び軸支え部材65よりも薄くできるので、鏡筒駆動装置13の重なり厚さAを増やすことがない点で好ましい。
図11及び図12は本発明の第4実施形態を示している。この実施形態で第2実施形態と同じ事項については同一符号を付してその説明を省略し、以下第2実施形態とは異なる事項について説明する。
第4実施形態でも、フォーカスアクチュエータ41のアクチュエータカバーとズームアクチュエータ71のアクチュエータベースに代えて、両アクチュエータ41,71に共通使用される軸支え部材65を採用している。この軸支え部材65はアクチュエータカバー92と同形状のプラスチックス製の平板からなる。軸支え部材65には、軸受孔62a〜62eが貫通して設けられているとともに、これらとは位置をずらして軸受孔91a〜91eが貫通して設けられている。
軸受孔62aには、ロータ46のロータ軸のズームアクチュエータ71側端部が回転自在に嵌合して支持されている。軸受孔62bには、第1の伝達歯車55の歯車軸のズームアクチュエータ71側端部が回転自在に嵌合して支持されている。軸受孔62cには、第2の伝達歯車56の歯車軸のズームアクチュエータ71側端部が回転自在に嵌合して支持されている。軸受孔62dには、第3の伝達歯車57の歯車軸のズームアクチュエータ71側端部が回転自在に嵌合して支持されている。軸受孔62eには、第4の伝達歯車58の歯車軸のズームアクチュエータ71側端部が回転自在に嵌合して支持されている。
同様に、軸受孔62aの傍にずらして設けられた軸受孔91aには、ロータ76のロータ軸のフォーカスアクチュエータ41側端部が回転自在に嵌合して支持されている。軸受孔62bの傍にずらして設けられた軸受孔91bには、第1の伝達歯車85の歯車軸のフォーカスアクチュエータ41側端部が回転自在に嵌合して支持されている。軸受孔62cの傍にずらして設けられた軸受孔91cには、第2の伝達歯車86の歯車軸のフォーカスアクチュエータ41側端部が回転自在に嵌合して支持されている。軸受孔62dの傍にずらして設けられた軸受孔91dには、第3の伝達歯車87の歯車軸のフォーカスアクチュエータ41側端部が回転自在に嵌合して支持されている。軸受孔62eの傍にずらして設けられた軸受孔91eには、第4の伝達歯車88の歯車軸のフォーカスアクチュエータ41側端部が回転自在に嵌合して支持されている。
このため、第4実施形態では、フォーカスアクチュエータ41の伝達歯車列43が有する複数の歯車軸(回転軸)及びフォーカスアクチュエータ41のロータ46が有するロータ軸(回転軸)と、ズームアクチュエータ71の伝達歯車列73が有する複数の歯車軸(回転軸)及びズームアクチュエータ71のロータ76が有するロータ軸(回転軸)とが、これらアクチュエータ41,71の重なり方向と直交する方向に沿って位置をずらした位置関係をなして、両アクチュエータ41,71が重ねられている。
以上説明した事項以外は第2実施形態と同じである。したがって、この第4実施形態でも、本発明の課題を解決できる。しかも、第4実施形態では、既述のようにベース31がフォーカスアクチュエータ41のアクチュエータベース61を兼ねているだけではなく、更に軸支え部材65を両アクチュエータ41,71に共通使用される構成としたので、部品点数を削減でき、コストダウンを図ることができる。その上、軸支え部材65の軸受孔62a〜62eと、軸受孔91a〜91eとの位置がずれているので、第2実施形態の構成に比較して軸支え部材65を薄くすることができる。それに応じて、鏡筒駆動装置13の重なり厚さAを薄くできる点で好ましい。
なお、本発明は前記各実施形態には制約されない。例えば、各アクチュエータの回転軸とこれを支持する軸支え部材の内の一方は、金属製であってもよく、又、回転軸と軸支え部材との両方を金属製とする場合には、軸受部に軸受部材を設けて軸受部の耐久性を得ることができる。又、前記各実施形態において、鏡筒のアイリスレンズを動作させるアイリスアクチュエータを付加した鏡筒駆動装置とすることもできる。
又、前記各実施形態では、第1、第2の薄型アクチュエータを正対ないしは実質的に正対させて重ねて、これらアクチュエータを所定の領域内に集めたので、両アクチュエータ41,71に対するフレキシブルプリント配線基板106のモータ接続部106a,106bの接続位置を同じ側にまとめて位置させることができ、よって、配線の引き回し等の点で好ましい。
又、重ねられた第1、第2のアクチュエータ相互間で磁気的な干渉が起こる恐れがある場合には、以下のいずれかの対策を講じることが好ましい。第1に、両アクチュエータ41,71の各回転軸の互いに近い側の端部を回転自在に支持する軸支え部材(アクチュータカバー62、アクチュエータベース91、又は軸支え部材65)を磁気シールドができる磁性体製の金属(例えばSUS)で形成する。第2に、少なくともロータの投影領域に対応する位置に、ロータ軸を逃げる孔を有した磁気シールド板を、アクチュータカバー62とアクチュエータベース91とで挟んで、ロータ46,76間に配置する。第3に、少なくともロータの投影領域に対応する位置に、ロータ軸を逃げる孔を有した磁気シールド板を、アクチュータカバー62又は軸支え部材65に接着などで貼り付けて、ロータ46,76間に配置する。第4に、両アクチュエータ41,71の重なり方向にロータ46,76が対応して配置されないように、両アクチュエータ41,71の重なりを正対状態からずらす。