JP2006162976A - 熱現像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熱現像時に熱現像記録材料における画像の濃度の低下を防止できる熱現像記録装置を提供する。
【解決手段】 本発明に係る熱現像装置は、熱現像部において搬送される熱現像記録材料に接触するように配置され、該熱現像記録材料を加熱することで熱現像するヒートプレートを備え、ヒートプレートが熱現像記録材料の搬送方向に対して搬送入口側で加熱温度が高くなるように構成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、熱現像記録材料を加熱し、該熱現像記録材料の画像形成層に記録された潜像を熱現像する熱現像装置に関する。
近年、湿式処理を行うことがないドライシステムによる熱現像装置や熱現像記録装置が提案されている。このような熱現像装置や熱現像記録装置では、記録媒体として、感光性および/または感熱性記録材料(感光感熱記録材料)や、熱現像感光材料を含むフイルム状の記録材料(以下、熱現像記録材料という)が用いられている。また、このドライシステムによる熱現像装置や熱現像記録装置では、露光部において熱現像記録材料にレーザービームを照射(走査)して潜像を形成し、その後、熱現像部において熱現像記録材料を加熱手段に接触させて熱現像を行った後、画像が形成された熱現像記録材料を装置の外に排出している。
熱現像装置は、熱現像部に設けられる加熱手段として、搬送される熱現像記録材料に対して面接触するように配置されたヒートプレートを備えたものがある。ヒートプレートによって熱現像記録材料を加熱する場合、熱現像記録材料がヒートプレートと接触する部位に温度差が生じて、現像後、熱現像記録装置に濃度のムラが生じることがある。そこで、ヒートプレートにおける熱現像記録材料との接触面を複数に分断した加熱面を有する複数の加熱部を備え、熱現像時に、これら複数の加熱部をそれぞれ制御装置によって制御することで、現像後の熱現像記録材料に濃度のムラが生じることを防止している(例えば、下記特許文献1,2参照)。
特開2000−321743号公報 特開2004−101679号公報
ところで、熱現像時に熱現像記録材料をヒートプレートなどの加熱手段で加熱するときに、短時間で急激に熱現像記録材料を熱現像するための温度(約120℃)まで加熱すると、該熱現像記録材料に収縮が生じやすくなる。熱現像記録材料に収縮が生じると、熱現像記録材料の表面に収縮によるしわが形成されることに起因して、ヒートプレートで均一に熱現像されなくなり、画像に濃度のムラが発生してしまうおそれがあった。
図7は、従来の熱現像装置の構成を説明する図である。図8は、熱現像部に搬送される熱現像記録材料とヒートプレートとの状態を説明する図である。
図7に示すように、熱現像記録材料に収縮が生じることを防止するため、従来では、記録部1で露光された熱現像記録材料6を、熱現像部2において、搬送方向上流側のヒートプレート4で熱現像するための温度に満たない温度(約110℃)に熱現像記録材料6を予め加熱した後、下流側の別のヒートプレート5で熱現像記録材料6を約120℃で熱現像し、その後、冷却部3で冷却する工程が行われている。
搬送方向上流側のヒートプレート4から搬出された熱現像記録材料6は、熱現像温度には満たなく、また、下流側のヒートプレート5に搬送されて、該ヒートプレート5に加熱されて熱現像温度に到達してから熱現像が始まることになるため、熱現像記録材料6が熱現像温度で熱現像される時間が不十分となり、画像の濃度の低下を起こす点で改善の余地があった。
また、図8のように、下流側のヒートプレート5における搬送方向入口側の領域5aには、上流側から搬入される熱現像温度に満たない熱現像記録材料6によって熱を吸収されることで、ヒートプレート5における他の領域に比較して加熱温度が低下しやすくなることが避けられないため、熱現像記録材料6を適正な熱現像温度で十分に熱現像することができなくなる原因となる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、熱現像時に熱現像記録材料における画像の濃度の低下を防止できる熱現像記録装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、前記熱現像部において搬送される前記熱現像記録材料に接触するように配置され、該熱現像記録材料を加熱することで熱現像するヒートプレートを備え、前記ヒートプレートが前記熱現像記録材料の搬送方向に対して搬送入口側で加熱温度が高くなるように構成されていることを特徴とする熱現像装置によって達成される。
本発明に係る熱現像装置は、熱現像部のヒートプレートが熱現像記録材料の搬送方向に対して搬送入口側で加熱温度が高くなるように構成されているため、搬送方向の上流側から熱現像温度に満たない熱現像記録材料が搬入された際に、該熱現像記録材料を所定の熱現像温度まで加熱する時間を短縮することができ、熱現像時間を十分に確保することができる。したがって、熱現像された熱現像記録材料の画像の濃度が低下することを防止することができる。
また、熱現像を行うヒートプレートに熱現像温度に満たない熱現像記録材料が搬入された場合に、該熱現像記録材料との接触によって熱が吸収されても、ヒートプレートにおける搬送入口側で加熱温度を高くしておくことで必要な温度を確保することができるので、熱現像を行うヒートプレートが熱現像温度より低くなることを防止することができる。
上記熱現像装置は、ヒートプレートには発熱部材が設けられ、該発熱部材が、ヒートプレートのヒータワット密度を熱現像記録材料の搬送方向に対して変化させ、且つ、搬送入口側のヒータワット密度が高くなるように配置されていることが好ましい。こうすれば、ヒートプレートの発熱部材に制御可能な熱供給手段を接続し、熱供給手段を制御することで電気容量を変化させることで、搬送入口側が高温になる状態を維持しつつ、ヒートプレートの加熱温度を設定することができる。
上記熱現像装置は、発熱部材が、ヒートプレートにおける熱現像記録材料の搬送方向に直行する方向に亘って折り返し配置された線状の熱線であって、熱現像記録材料の搬送方向における搬送入口側で熱線の間隔が狭いことが好ましい。こうすれば、ヒートプレートの内部に線状の熱線を間欠させることなく延設することができ、熱現像時には熱線を発熱させれば、ヒートプレートの所定の部位ごとに温度を制御するといった複雑な構成を要することなく、熱線が密に配置された搬送入口側の加熱温度が高くなる状態を維持しつつ、ヒートプレート全体を加熱することができる。
上記熱現像装置は、ヒートプレートが、熱現像時に前記熱現像記録材料の搬送方向に直交する方向における、両端部の領域の加熱温度が中央部の領域の加熱温度よりも高いことが好ましい。こうすれば、画像の濃度の低下を防止するだけでなく、ヒートプレートの加熱領域の搬送方向に直交する方向に対する加熱温度の偏りを解消することによって画像にムラが生じることを防止することができる。
また、本発明の上記目的は、潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、前記熱現像部において搬送される前記熱現像記録材料に接触するように配置され、該熱現像記録材料を加熱することで熱現像するヒートプレートを備え、前記ヒートプレートが、前記熱現像記録材料の搬送方向に対して、順に、前記熱現像記録材料を第1の温度に加熱する前加熱部と、前記熱現像記録材料を熱現像するため第2の温度に加熱する現像部とを有し、熱現像時に前記現像部における、前記熱現像記録材料の搬送方向の上流側が、下流側よりも加熱温度が高いことを特徴とする熱現像装置によって達成することができる。
この熱現像装置によれば、単一のヒートプレートに前加熱部と現像部とが形成され、加熱領域において熱現像記録材料を熱現像温度近傍の温度までに予め加熱し、その後、現像部において熱現像記録材料をでき、また、現像部における上流側の加熱温度を下流側の加熱温度よりも高くすることができる。こうして、現像部において、熱現像記録材料を十分な熱現像温度に加熱することができ、画像の濃度の低下を防止することができる。
また、単一のヒートプレートで加熱工程と現像工程とを行うことができ、熱現像部にその他のヒートプレートを設ける必要がないため、構造を簡略化、小型化することができ、コストを低減することもできる。
本発明によれば、熱現像時に熱現像記録材料における画像の濃度の低下を防止できる熱現像記録装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1は、本発明に係る熱現像装置の第1の実施形態を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態の熱現像装置10は、画像記録材料として湿式の現像処理を必要としないシート状の熱現像記録材料(以下、記録材料とする。)Fを使用し、記録材料Fに入力される画像信号に基づいて変調されたレーザ光Lを照射して潜像を形成した後に、該記録材料Fを熱現像することで記録材料表面に可視像を得る構成である。なお、本発明はこのような構成に限らず、レーザ光Lによってシート状の記録材料に予め露光して画像を形成するとともに、記録材料に熱現像のみを行う構成に適用することができる。
熱現像装置10は、記録材料Fの搬送方向順に、熱現像記録材料供給部Aと、画像露光部Bと、熱現像部Cと、冷却部Dとから概略構成されている。また、各部間の要所に設けられ記録材料Fを搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Eとを備えている。
熱現像装置10において、最下段に電源/制御部E、その上段に熱現像記録材料供給部A、更に、その上段に画像露光部Bと熱現像部Cと冷却部Dとが配置された構成となっており、また、画像露光部Bと熱現像部Cとが隣接するように配置された構成である。
この構成によれば、一枚の記録材料Fに対して露光工程と熱現像工程との両工程を同一の搬送経路において実施することができるとともに、露光工程と熱現像工程を短い搬送距離内で行うことで、記録材料Fの搬送パス長を最短化し、一枚の出力時間を短縮することができる。
記録材料Fとしては、厚みが約0.2mm程度(0.1mm〜0.3mm)の熱現像感光材料または感光感熱記録材料を使用することができる。熱現像感光材料としては、レーザ光Lによって画像を記録(露光)し、その後、熱現像して発色させるものである。また、感光感熱記録材料としては、光ビームによって画像を記録し、その後、熱現像して発色させる、若しくは、レーザ光Lのヒートモード(熱)によって画像を記録すると同時に発色させて、その後、光照射で定着するものである。
熱現像記録材料供給部Aは、記録材料Fを一枚ずつ取り出して、記録材料Fの搬送方向の下流に位置する画像露光部Bに供給する部分であり、複数(本実施形態においては2つ)の装填部11a,11bと、各装填部11a,11bにそれぞれ配置される供給ローラ対13a,13bと、不図示の搬送ローラ及び搬送ガイドとを有して構成される。また、二段構成となっている各装填部11a,11bの内部には、異なるサイズの記録材料Fが収容されたマガジン15a,15bが挿入され、各段に装填されたマガジン15a,15bが記録材料Fのサイズやその向きに応じて選択的に使用される。なお、装填部は、二段構成に限定されず、三段以上の構成としてもよく、単一の構成としてもよい。
画像露光部Bは、熱現像記録材料供給部Aから搬送されてきた記録材料Fに対してレーザ光Lを主走査方向に走査露光し、また、主走査方向に略直行する副走査方向(即ち、搬送方向)に搬送することで、所望の画像に応じた潜像を記録材料F表面における画像形成層に形成する。
熱現像記録材料供給部Aと画像露光部Bとの間の搬送路には、幅寄せ機構17が設けられており、熱現像記録材料供給部Aから搬入されてきた記録材料Fを、その幅方向端部を揃えた状態で画像露光部Bへ供給している。
熱現像部Cは、走査露光後の記録材料Fを搬送しながら昇温処理して、熱現像を行う。そして、冷却部Dにおいて現像処理後の記録材料Fを冷却して、排出トレイ16に搬出する。
図1に示すように、排出トレイ16には、搬出された記録材料Fを保持するソータSが設けられていれもよい。ソータSは、熱現像装置10に着脱可能な本体65と、該本体65に設けられた複数の搬出ローラ66a,66b,66cと、該複数の搬出ローラ66a,66b,66cによって本体65から搬出された記録材料Fを保持するため、本体65の上下方向に仕切られた複数の供給部67a,67b,67cとを備えている。ソータSは、搬出ローラ66a,66b,66cのうちいずれかを選択して記録材料Fを搬出させることで、該搬出ローラ66a,66b,66cに対応する供給部67a,67b,67cのそれぞれに適宜仕分けて保持可能な構成である。なお、ソータSは、熱現像装置の上部に着脱自在な構成とすることができ、必要に応じて省略し、記録材料Fを排出トレイ16にのみ搬出する構成としてもよい。
画像露光部Bは、レーザ光を走査露光することによって記録材料Fを露光する走査露光装置40を備えている。この走査露光装置40は、記録材料Fの搬送面からのばたつきを防止しつつ搬送するばたつき防止機構を有した副走査搬送部18と、走査露光部19とから構成されている。走査露光部19は、別途用意された画像データに従ってレーザの出力を制御しつつ、このレーザ光Lを走査(主走査)させる。このとき熱現像記録材料Fを副走査搬送部18によって副走査方向に移動させる。
副走査搬送部18は、走査するレーザ光Lの主走査ラインを挟んで、回転軸がこの走査ラインに対してそれぞれ略平行に配置された2本の駆動ローラ(搬送手段)21、22と、これら駆動ローラ21、22に対向して配置され、記録材料Fを支持するガイド板24とを備えている。ガイド板24は、各駆動ローラ21、22との間に挿入される記録材料Fを、並設されたこれら駆動ローラ21、22同士間の外側で駆動ローラ21、22の周面の一部に沿って撓ませていることで生じる該記録材料Fの弾性反発力によって、駆動ローラ21、22同士間の部位に当接せしめて支持する。
このように熱現像記録材料F自身の弾性反発力によって記録材料Fと駆動ローラ21、22との間に適宜な摩擦力が生じ、駆動ローラ21、22から記録材料Fへ確実に搬送駆動力が伝達され、記録材料Fが搬送される。駆動ローラ21、22は、図示しないモータ等の駆動手段の駆動力を歯車やベルト等の伝達手段を介して受けることで、図1中時計回り方向へ回転するように構成されている。
また、ガイド板24の上面において、記録材料Fが自身の弾性反発力によって押し付けられて、記録材料Fの搬送面からのばたつき、即ち、図中上下方向のばたつきが抑制される。そして、この駆動ローラ21、22同士間の記録材料Fに向けてレーザ光Lを照射することで、露光位置ずれのない良好な記録が行えることになる。
熱現像部Cは、記録材料Fを加熱処理する加熱部材として、複数(本実施形態では3つ)のヒートプレート50,51,52が設けられ、これらヒートプレート50,51,52が記録材料Fの搬送経路に沿って円弧状に配置されている。ヒートプレート50,51,52は、搬送される熱現像記録材料Fに接触することによって熱現像を施す加熱手段として機能する。
冷却部Dにおいて、熱現像部Cの搬送方向の直ぐ下流側には、熱現像が施された記録材料Fを更に搬送方向下流へ移送する複数の植毛ローラ57が配設されている。複数の植毛ローラ57は熱現像記録材料の搬送経路に対して千鳥状に配列されている。熱現像部Cから排出された記録材料Fは、植毛ローラ57によって搬送されたながらガラス転移点以下の温度まで緩やかに冷却される。記録材料Fを緩やかに冷却する理由は、熱現像直後、記録材料を急速に冷却すると記録材料Fにおける搬送方向中央部と端部とで冷却の度合が異なってしまい、記録材料が例えば波形などに変形した状態で固まってしまうため、熱現像直後は、保温部などを設けてあえて冷却効率を下げて冷却の進行を緩やかにする必要があるためである。
記録材料Fは、植毛ローラ57によって緩やかに冷却された後、記録材料Fの搬送経路を介して対向する平面を有する一対の金属プレート61の該平面に接触するように搬送される。そして、該金属プレート61によって記録材料Fの熱が吸収され、シワが発生しないように、かつ、湾曲ぐせがつかないように適宜に冷却される。冷却部Dから排出された記録材料Fは、搬送ローラ64から下流側の搬出ローラ63に搬送し、搬出ローラ63(又は、66a,66b,66c)から排出トレイ16(又はソータSの各供給部67a,67b,67c)に搬出される。
記録材料Fは、熱現像時に熱現像部Cにおいて所定の熱現像温度(約120℃)まで加熱される熱現像処理が施されて画像が形成されるが、短時間で急激に熱現像温度まで加熱されると収縮が生じてしまう。そこで、本実施形態の熱現像装置10では、記録材料Fの搬送方向上流側のヒートプレート50によって予め110℃程度まで加熱し(加熱工程)、その後、下流側に配列された残りのヒートプレート51,52によって上記熱現像温度で熱現像する(現像工程)。また、熱現像部Cに形成されるヒートプレートの個数は3個に限定されず、2個としてもよいし、4個以上としてもよい。ヒートプレートを複数設ける場合には、搬送方向上流側の任意の数のヒートプレートで加熱工程を行い、下流側の残りのヒートプレートで現像工程を行う構成とすることができる。
図2は、本実施形態のヒートプレートの構成を示す斜視図である。なお、以下、本実施形態では一例としてヒートプレート51に基づいて説明するが、ヒートプレート50,52についても、後述する発熱部材の配置を除き、基本的な構成は同じである。
図2に示すように、ヒートプレート51は、一方の面には記録材料Fの搬送経路に沿って円弧状に窪むように湾曲している加熱面60aが形成された、板形状を有するアルミ製のガイド部60を備えている。加熱面60aには押さえローラ55が近接又は接触するように配置されている。押さえローラ55の軸方向端部には図示しない被駆動歯車が該押さえローラ55の軸と同心に形成されている。図1に示すように、押さえローラは、その被駆動歯車が中空円筒状の駆動歯車53の周面に係合するように配置され、駆動歯車53の回転とともにその反対方向に回転する。なお、押さえローラ55としては、金属ローラ,樹脂ローラ,ゴムローラ等が利用できる。
熱現像時には、駆動歯車53が回転し、記録材料Fが加熱面50aと接触しつつ、図2中矢印で示すように該加熱面50aと押さえローラ55との間を搬送させることで熱現像される。また、図1に示すように、熱現像部Cには、記録材料Fの移送手段として、供給ローラ54が配設されている。
ガイド部60の加熱面60aとは反対側の他方の面にはシリコンラバーヒータからなる複数の加熱部材51A,51B,51Cが設けられている。複数の加熱部材51A,51B,51Cは、記録材料Fの搬送方向に対して直行する方向に並列されている。
複数の加熱部材51A,51B,51Cのそれぞれには、各加熱部材51A,51B,51Cの加熱温度を測定するため、それぞれ1つづつサーミスタ等の温度測定部58a,58b,58cが設けられている。
本実施形態では、熱現像時に、熱現像部Cに設けられた3つのヒートプレート51の各加熱部材51A,51B,51Cのそれぞれを、温度測定部58a,58b,58cの測定値に基づいて、図示しない制御部によって温度を制御可能な構成である。
加熱部材51A,51B,51Cのそれぞれには、発熱部材として機能する熱線Hが設けられている。各加熱部材51A,51B,51Cにおいて、熱線Hは、ニクロム線等の線状の部材であって、記録材料Fの搬送方向に直行する方向に亘って折り返し配置されている。また、熱線Hの一部は、各加熱部材51A,51B,51Cの内部から外部に導出され、図示しない熱供給源等の熱供給手段に接続されている。
本発明は、現像工程を実行するヒートプレート51が記録材料Fの搬送方向に対して搬送入口側で加熱温度が高くなるように構成されている特徴を有している。そして、本実施形態の熱現像装置10では、ヒートプレート51のヒータワット密度を記録材料Fの搬送方向に対して変化させ、且つ搬送入口側のヒータワット密度が高くなるように配置される構成としている。
搬送入口側とは、ヒートプレート51の加熱領域における記録材料Fが搬入される側の部位を指している。加熱領域とは、搬送される記録材料Fに、直接、面接触し、記録材料Fの加熱又は熱現像に実際に貢献する部位を指している。
また、ヒータワット密度(W/cm)とは、ヒートプレート51のワット密度を(電力密度)いい、該ヒートプレート51の加熱領域の面積(cm)あたりの電気容量(W)で表される。
具体的に、本実施形態のヒートプレート51では、加熱部材51A,51B,51Cのそれぞれにおいて、搬送方向における搬送入口側で熱線Hの間隔が搬送出口側よりも狭くなるように構成されている。このため、ヒートプレート51の搬送入口側では、熱線Hが密に配置されていることからヒータワット密度が大きく、加熱温度が高くなる。
次に、本実施形態の熱現像装置の作用を説明する。図3は、本実施形態の加熱工程と現像工程とを説明するため、熱現像時に搬送される記録材料とヒートプレートとの配置を模式的に示した図である。
図3に示すように、熱現像時には、矢印方向から搬送される記録材料Fが、ヒートプレート50によって約110℃まで加熱された後、ヒートプレート51の加熱領域に搬送される。ヒートプレート51の搬送入口側51aは、図2に示したように熱線Hが密に配置され、ヒータワット密度が高く、搬送出口側51bよりも加熱温度が高くなる状態で維持される。記録材料Fは、ヒートプレート51の加熱領域に搬送される時点では熱現像温度である120℃には満たないため、ヒートプレート51の搬送入口側51aに接触しつつ熱を吸収し、徐々に加熱されて熱現像温度まで到達する。このとき、ヒートプレート51の搬送入口側51aから記録材料Fに熱が吸収されるものの、搬送入口側51aがヒートプレート51の搬送出口側51bよりも高温であるため、ヒートプレート51が維持すべき熱現像温度より低温になってしまうことを防止することができる。また、ヒートプレート51に搬送された直前の記録材料Fを素早く熱現像温度に到達せしめることができる。こうして、本実施形態の熱現像装置10は、記録材料Fを所定の熱現像温度まで加熱する時間を短縮することができ、熱現像時間を十分に確保することができる。したがって、熱現像された記録材料Fの画像の濃度が低下することを防止することができる。
また、本実施形態の熱現像装置10は、ヒートプレート51に設けられた熱線Hが、ヒートプレート51のヒータワット密度を記録材料Fの搬送方向に対して変化させ、且つ、搬送入口側51aのヒータワット密度が高くなるように配置されているため、ヒートプレート51の熱線Hに図示しない制御可能な熱供給手段を接続し、熱供給手段を制御することで電気容量を変化させることで、搬送入口側51aが高温になる状態を維持しつつ、ヒートプレート51の加熱温度を設定することができる。
さらに、本実施形態のように、発熱部材がヒートプレート51における記録材料Fの搬送方向に直行する方向に亘って折り返し配置された線状の熱線Hであって、記録材料Fの搬送方向における搬送入口側51aで熱線Hの間隔が狭い構成とすれば、ヒートプレート51の内部に熱線Hを間欠することなく延設することができ、熱現像時には熱線Hを発熱させれば、ヒートプレート51の所定の部位ごとに応じて加熱温度を制御するといった複雑な構成を要することなく、搬送入口側51aの加熱温度が高くなる状態を維持しつつ、ヒートプレート51全体を加熱することができる。
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態において、すでに説明した部材などと同等な構成・作用を有する部材等については、図中に同一符号又は相当符号を付すことにより、説明を簡略化或いは省略する。
図4は、本実施形態のヒートプレートの構成を模式的に示した図である。図4に示すように、ヒートプレート51は、単一の加熱部材を有し、該加熱部材に発熱部材である熱線Hを配置した構成である点で、第1の実施形態の、複数の加熱部材を備え、各加熱部材にそれぞれ熱線を配置する構成とは相違する。
本実施形態のヒートプレート51は、シリコンラバーヒータ等からなる単一の加熱部材全体において、熱線Hを記録材料の搬送方向(図4の矢印方向)に対して直交する方向に亘って熱線Hを折り返しつつ配置する構成である。また、熱線Hが、記録材料の搬送方向において、搬送入口側51aでの間隔が搬送出口側51bでの間隔より狭くなるように配置され、この結果、ヒートプレート51の搬送入口側51aのヒータワット密度が高い。また、熱線Hの一部がヒートプレート51の外部へ導出されて、加熱温度を制御する熱供給手段70に接続されていてもよい。
本実施形態によれば、上記実施形態と同様に、熱現像時に、熱現像温度に満たない記録材料Fがヒートプレート51に搬入されても、該ヒートプレート51が維持すべき熱現像温度より低温になってしまうことを防止することができる。また、ヒートプレート51に搬送された直前の記録材料Fを素早く熱現像温度に到達せしめることができる。したがって、本実施形態によれば、熱現像された記録材料Fの画像の濃度が低下することを防止することができる。
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
図5は、本実施形態のヒートプレートの構成を模式的に示した図である。図5に示すようにヒートプレート151は、図中矢印方向から搬送される記録材料を約110℃程度の温度(第1の温度)に加熱する加熱工程を行う前加熱部151aと、該前加熱部151aに隣接して設けられ、加熱工程後の記録材料を約120℃程度の熱現像温度(第2の温度)に加熱する現像工程を行う現像部151b,151cとを有している。言い換えると、本実施形態の熱現像装置は、図3に示す第1の実施形態の熱現像装置10のように、加熱工程を行うヒートプレート50と現像工程を行うヒートプレート51とをそれぞれ備えている構成とは相違し、単一のヒートプレートに前加熱部151aと現像部151b,151cとを備えることで、加熱工程と現像工程とを連続して行うことができる構成である。
本実施形態のヒートプレート151には、発熱部材である熱線Hが記録材料の搬送方向に直行する方向に亘って折り返し配置されている。また、熱線Hは、前加熱部151aでの記録材料の搬送方向に対する間隔が最も大きく、現像部151b,151cでの記録材料の搬送方向に対する間隔が前加熱部151aの間隔より小さくなるように配置されている。さらに、熱線Hは、現像部151b,151cにおいて、記録材料の搬送方向に対する上流側の現像部151bで該熱線Hの間隔が下流側の現像部151cでの間隔よりも小さくなるように配置されている。また、図5に示すように、熱線Hの一部がヒートプレート151から導出されて、加熱温度を制御する熱供給手段170に接続されていてもよい。
上述のように熱線Hを配置すれば、ヒートプレート151には、記録材料の搬送方向においてヒータワット密度が異なる3つの領域が形成される。つまり、ヒートプレート151は、搬送方向において順に、ヒータワット密度が最も小さい前加熱部151aと、ヒータワット密度が最も大きい上流側の現像部151bと、該現像部151bに比べてヒータワット密度がやや小さい下流側の現像部151cとを有している。
本実施形態によれば、熱現像時に、ヒートプレート151に搬入された記録材料は、前加熱部151aで約110℃程度に加熱された後に搬送され、上流側の現像部151bで熱現像温度より高い温度で加熱され、その後、下流側の現像部151cにおいて熱現像温度で加熱される。
こうして、上記実施形態のように、記録材料Fを所定の熱現像温度まで加熱する時間を短縮することができ、熱現像時間を十分に確保することができるとともに、一枚のヒートプレート151によって加熱工程と現像工程とを行うことができるため、加熱工程のためのヒートプレートを別途設ける必要がなく、熱現像部の構造を簡略化、小型化することができ、コストを低減することもできる。
次に、本発明の第4の実施形態を説明する。
図6は、本実施形態のヒートプレートの構成を模式的に示した図である。図6に示すように、ヒートプレート251は、矢印で示す記録材料の搬送方向において搬送入口側251aと搬送出口側251bとでヒータワット密度が異なり、且つ、記録材料の搬送方向に直交する方向において両端部251x,251zと中央部251yとでヒータワット密度が異なり、全体としてヒータワット密度が異なる6つの領域を備えた構成である。なお、上記実施形態と同様に、ヒータワット密度が大きい領域では、発熱部材である熱線Hの搬送方向に対する間隔が狭く、また、ヒータワット密度が小さい領域では、熱線Hの搬送方向に対する間隔が広くなるように配置されている。
本実施形態のヒートプレート251の構成によれば、熱現像時において、ヒートプレート251の搬送入口側251aの加熱温度が搬送出口側251bより高くなるように構成されている。また、ヒートプレート251において、記録材料の搬送方向に直行する方向における、両端部251x,251zの領域の加熱温度が中央部251yの領域の加熱温度よりも高くなるように構成されている。このため、搬送入口側251aの加熱温度が高いことから、上記実施形態と同様に、記録材料Fを所定の熱現像温度まで加熱する時間を短縮することができ、熱現像時間を十分に確保することができる。同時に、両端部251x,251zの領域の加熱温度が中央部251yの領域の加熱温度よりも高くすることで、ヒートプレートの上記両端部が中央部より加熱温度が高くなりにくいことに起因して生じる記録材料の画像の濃度のムラが発生することを防止することができる。
なお、図4に示す第の実施形態や図5に示す第3の実施形態のヒートプレート51,151において、記録材料の搬送方向に直交する方向において両端部のヒータワット密度を中央部のヒータワット密度より大きくするように熱線Hを配置するこうとで、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良などが可能である。
例えば、ヒートプレートに配置する熱線としては、ニクロム線の他に、電気抵抗が大きく、高温にも強くて耐久性があるものであれば使用することができる。
本発明に係る熱現像装置の第1の実施形態を示す図である。 第1の実施形態のヒートプレートの構成を示す斜視図である。 第1の実施形態の加熱工程と現像工程とを説明するため、熱現像時に搬送される記録材料とヒートプレートとの配置を模式的に示した図である。 第2の実施形態の熱現像装置におけるヒートプレートの構成を模式的に示した図である。 第3の実施形態の熱現像装置におけるヒートプレートの構成を模式的に示した図である。 第4の実施形態の熱現像装置におけるヒートプレートの構成を模式的に示した図である。 従来の熱現像装置の構成を説明する図である。 熱現像部に搬送される熱現像記録材料とヒートプレートとの状態を説明する図である
符号の説明
10 熱現像装置
51,151,251 ヒートプレート
C 熱現像部
F 熱現像記録材料
H 熱線(発熱部材)

Claims (5)

  1. 潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、
    前記熱現像部において搬送される前記熱現像記録材料に接触するように配置され、該熱現像記録材料を加熱することで熱現像するヒートプレートを備え、前記ヒートプレートが前記熱現像記録材料の搬送方向に対して搬送入口側で加熱温度が高くなるように構成されていることを特徴とする熱現像装置。
  2. 前記ヒートプレートには発熱部材が設けられ、該発熱部材が、前記ヒートプレートのヒータワット密度を前記熱現像記録材料の搬送方向に対して変化させ、且つ、前記搬送入口側のヒータワット密度が高くなるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱現像装置。
  3. 前記発熱部材が、前記ヒートプレートにおける前記熱現像記録材料の搬送方向に直行する方向に亘って折り返し配置された線状の熱線であって、前記熱現像記録材料の搬送方向における前記搬送入口側で前記熱線の間隔が狭いことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱現像装置。
  4. 前記ヒートプレートが、熱現像時に前記熱現像記録材料の搬送方向に直交する方向における、両端部の領域の加熱温度が中央部の領域の加熱温度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の熱現像装置。
  5. 潜像が形成された熱現像記録材料を熱現像部により熱現像する熱現像装置であって、
    前記熱現像部において搬送される前記熱現像記録材料に接触するように配置され、該熱現像記録材料を加熱することで熱現像するヒートプレートを備え、
    前記ヒートプレートが、前記熱現像記録材料の搬送方向に対して、順に、前記熱現像記録材料を第1の温度に加熱する前加熱部と、前記熱現像記録材料を熱現像するため第2の温度に加熱する現像部とを有し、熱現像時に前記現像部における、前記熱現像記録材料の搬送方向の上流側が、その下流側よりも加熱温度が高いことを特徴とする熱現像装置。
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