JP2006162841A - 液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法 - Google Patents
液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2006162841A JP2006162841A JP2004352560A JP2004352560A JP2006162841A JP 2006162841 A JP2006162841 A JP 2006162841A JP 2004352560 A JP2004352560 A JP 2004352560A JP 2004352560 A JP2004352560 A JP 2004352560A JP 2006162841 A JP2006162841 A JP 2006162841A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- liquid crystal
- display element
- crystal display
- electrode
- region
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Liquid Crystal (AREA)
Abstract
【課題】 コレステリック液晶を含む液滴を有した液晶シートを用いた液晶表示素子に特有の、非表示領域からの選択反射による反射光の影響を抑えた、コントラストの高い液晶表示素子とその製造方法を提供すること。
【解決手段】 液晶表示素子の、不活性領域および画素間領域を含む領域に対向する領域に遮光層を設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】 液晶表示素子の、不活性領域および画素間領域を含む領域に対向する領域に遮光層を設ける。
【選択図】 図1
Description
本発明は、反射型の液晶表示素子、特にコレステリック液晶相を示す液晶を含む液滴がバインダーを介して基板上に平面状に形成された液晶シートを用いた液晶表示素子に関する。
近年、液晶の液滴をゼラチン等のバインダー中に分散させた液晶層(以下、液晶シートと呼ぶ)を有する液晶表示素子の研究がなされている(例えば特許文献1、2参照)。この液晶シートはゼラチン等のバインダー中に液晶の液滴が分散された構成となっているため、柔軟で、屈曲や押圧されたときにも表示した像が変化しにくいという特徴を有している。また、基板を介さないで複数の液晶シートを直接積層することが可能なため、多色化にも適している。また、液晶シートの製造については、塗布による形成が可能であるから、均一な厚みの液晶シートを有する液晶表示素子を低コストで提供することが可能である。
液晶表示素子のコントラストの改善に関しては、ブラックマトリクスを用いて表示画素以外からの光を遮蔽しコントラストの改善を図る方法が広く採用されている(たとえば特許文献3参照)。
米国特許第6585849号明細書
米国特許第6690447号明細書
特公平7−113716号公報
しかしながら、本発明者の検討したところでは、コレステリック液晶をゼラチンなどの樹脂材料で被覆し液滴状に形成した液晶シートを用いる液晶表示素子の場合、以下に説明するような問題があるところ、これまではこの問題の適切な解決策が提案されていないのが実情であった。
コレステリック液晶をゼラチンなどの樹脂材料で被覆し液滴状に形成した液晶シートの場合、液晶シート製造直後の各液滴中の液晶材料は、液晶分子の配向制御がされていない状態、つまり、コレステリック相のヘリカル軸の方向がランダムな方向を向いている状態である。
ここで液晶分子の配向制御がされている場合を考える。まず、コレステリック液晶のヘリカル軸が液晶表示素子の表面に平行に配向制御されている場合を考えると、液晶パネルに入射した光は若干散乱するものの大半は液滴を透過する。このとき、液晶シートの非観察面側に黒色の光吸収層が設けられていれば、反射率の十分低い黒色表示を得ることができる。つぎに、コレステリック液晶のヘリカル軸が液晶表示素子の表面に垂直に配向制御されている場合を考えると、液晶パネルに入射した光はコレステリック液晶材料の螺旋ピッチに対応した波長の光を選択反射し、液晶表示素子の表面側(観察面側)からはその色が観察される。
ここで、コレステリック液晶を含む液晶シートを用いた液晶パネルを考えると、製造直後の液晶表示素子では、液晶の各液滴のヘリカル軸の配向がランダムであるため、液晶表示素子の表面に垂直に配向したヘリカル軸が存在し、観察面側からは選択反射色が観察される。
上下を電極で挟まれた液晶シートの画素領域では、電極に電圧を印加することにより液晶層に電界を印加して、液晶層の配向を制御してヘリカル軸の方向を切り替えることが可能である。しかし、画素領域以外の液晶シートの非表示領域では、液晶層に電界を印加することができないため、液晶表示素子の製造工程で決まったヘリカル軸の配向方向を変化させることができない。したがって、非表示領域の液晶シートでは液晶材料の選択反射色が観察され、液晶表示素子のコントラストを低下させてしまうことになる。
ただし、コレステリック液晶を用いた液晶表示素子でも、液滴状ではない液晶層を有する液晶表示素子では、その製造段階で液晶層が等方相を示す温度から徐冷してやることにより、液晶層のヘリカル軸を液晶表示素子の表面に平行に制御してやることが可能である。したがって、入射光は選択反射されることなく透過することになり、上述のように非表示領域の光が液晶表示素子のコントラストを低下させるという問題が発生することはない。
したがって、本発明の課題とするところは、コレステリック液晶を含む液滴を有した液晶シートを用いた液晶表示素子に特有の、非表示領域からの選択反射による反射光の影響を抑えた、コントラストの高い液晶表示素子とその製造方法を提供することにある。
(請求項1)
透明な第1の電極が設けられた基板、室温でコレステリック相を示す液晶材料を含む液滴およびバインダーを含有する前記基板上に形成された平面状の液晶シート、ならびに前記液晶シート上に形成された第2の電極を有する液晶表示素子において、前記第1の電極または第2の電極の形成されていない領域および第1の電極も第2の電極も形成されていない領域を合わせた非表示領域を含む領域に対向する領域に遮光層を有することを特徴とする液晶表示素子。
透明な第1の電極が設けられた基板、室温でコレステリック相を示す液晶材料を含む液滴およびバインダーを含有する前記基板上に形成された平面状の液晶シート、ならびに前記液晶シート上に形成された第2の電極を有する液晶表示素子において、前記第1の電極または第2の電極の形成されていない領域および第1の電極も第2の電極も形成されていない領域を合わせた非表示領域を含む領域に対向する領域に遮光層を有することを特徴とする液晶表示素子。
(請求項2)
前記遮光層は反射率が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
前記遮光層は反射率が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
(請求項3)
前記第1の電極および第2の電極の少なくとも一方は画素に対応して複数設けられ、前記遮光層は第1の電極の電極間の非表示領域および第2の電極の電極間の非表示領域を含む領域に対向する領域に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示素子。
前記第1の電極および第2の電極の少なくとも一方は画素に対応して複数設けられ、前記遮光層は第1の電極の電極間の非表示領域および第2の電極の電極間の非表示領域を含む領域に対向する領域に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示素子。
(請求項4)
前記遮光層は前記液晶表示素子の表示動作が行われるアクティブエリアの外側の不活性領域を含む領域に対向する領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液晶表示素子。
前記遮光層は前記液晶表示素子の表示動作が行われるアクティブエリアの外側の不活性領域を含む領域に対向する領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液晶表示素子。
(請求項5)
前記コレステリック相を示す液晶材料は、可視光領域のうち少なくとも一部分の領域の波長を有する光を選択反射することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶表示素子。
前記コレステリック相を示す液晶材料は、可視光領域のうち少なくとも一部分の領域の波長を有する光を選択反射することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶表示素子。
(請求項6)
前記遮光層は、前記コレステリック相を示す液晶材料の選択反射波長を含む波長域において透過率が10%以下であることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
前記遮光層は、前記コレステリック相を示す液晶材料の選択反射波長を含む波長域において透過率が10%以下であることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
(請求項7)
前記バインダーは高分子材料を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液晶表示素子。
前記バインダーは高分子材料を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液晶表示素子。
(請求項8)
前記バインダーはゼラチンを含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液晶表示素子。
前記バインダーはゼラチンを含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液晶表示素子。
(請求項9)
請求項1乃至8の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法において、
フォトリソグラフィー法を用いて遮光層を形成する工程を含むことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
請求項1乃至8の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法において、
フォトリソグラフィー法を用いて遮光層を形成する工程を含むことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
請求項1に係る発明によれば、非表示領域を含む領域に対向する領域に遮光層を有しているので、電極に電圧を印加することにより液晶層の配向を制御することができない非表示領域への入射光を減衰させることができ、また前記非表示領域から観察者への反射光も減衰させることができるので、液晶シートを有した液晶表示素子のコントラストを高くすることができる。
請求項2に係る発明によれば、前記遮光層は反射率が10%以下であるので、遮光層による反射光も低く抑えられ、液晶表示素子のコントラストを高くすることができる。
請求項3に係る発明によれば、マトリクス駆動型液晶表示素子の走査電極間およびデータ電極間の非表示領域を含む領域や、TFTなどのスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス駆動型液晶表示素子の画素間領域を遮光することができ、マトリクス駆動型液晶表示素子のコントラストを高くすることができる。
請求項4に係る発明によれば、アクティブエリアの外側の非表示領域を含む領域を遮光することができ、アクティブエリアを取り巻く領域の反射率を低く抑えることができるので、液晶表示素子のコントラストを高くすることができる。
請求項5に係る発明によれば、液晶層は可視領域の光を選択反射するので、液晶表示素子は、プレーナ相では可視光を反射させ、フォーカルコニック相では可視光を透過させることによる表示を行うことができる。
請求項6に係る発明によれば、液晶材料の選択反射波長を含む波長域において透過光を十分に減衰させることができるので、非表示領域への入射光および非表示領域からの反射光を十分に減衰させ、液晶表示素子のコントラストを高くすることができる。
請求項7に係る発明によれば、バインダーが含んでいる高分子材料は低価格で化学的に安定な材料であり、また液晶シートの形成には塗布法など簡単な方法を用いることができるので、低価格で信頼性の高い液晶表示素子を提供することが可能である。
請求項8に係る発明によれば、バインダーが含んでいるゼラチンは低価格で化学的に安定な材料であり、また液晶シートの形成には塗布法など簡単な方法を用いることができるので、低価格で信頼性の高い液晶表示素子を提供することが可能である。
請求項9に係る発明によれば、遮光層はフォトリソグラフィー法を用いて形成するので、遮光層が精度良く形成でき、液晶表示素子の開口率を高くすることができる。
以下、本発明に係る各構成要素の詳細について、順次説明する。
(基板)
本発明に係る液晶表示素子の基板としては、ガラスの他、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレートなどのフレキシブルな透明樹脂フィルム基板が使用できる。
本発明に係る液晶表示素子の基板としては、ガラスの他、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレートなどのフレキシブルな透明樹脂フィルム基板が使用できる。
(ブラックマトリクス)
ブラックマトリクスは遮光層として、液晶パネルに入射する不要な光を減衰させて遮光するためのものであり、その透過率は10%以下であることが望ましい。また、ブラックマトリクスはその表面が入射光を反射しては、液晶表示素子のコントラストを低下させてしまうので、それ自身の反射率も低い方が望ましい。ブラックマトリクスの反射率としては10%以下が望ましく、2%以下であることがさらに望ましい。材料としてはCr、Al、Ni、Ta等の無機系材料の薄膜が使用可能であり、厚みは100〜200nmが遮光機能としては適当であるが、成膜のスループット、製造コスト、パターニングの精度を考慮すると100〜130nmが望ましい。また、ブラックマトリクス表面における反射を低減する目的で酸化膜、窒化膜等と複数積層してもよい。無機系材料のブラックマトリクスの成膜法は、DCスパッタリング法、蒸着法等の従来一般的に使用されている金属薄膜の成膜法が利用でき、パターンニング法はフォトリソグラフィー法が利用できる。
ブラックマトリクスは遮光層として、液晶パネルに入射する不要な光を減衰させて遮光するためのものであり、その透過率は10%以下であることが望ましい。また、ブラックマトリクスはその表面が入射光を反射しては、液晶表示素子のコントラストを低下させてしまうので、それ自身の反射率も低い方が望ましい。ブラックマトリクスの反射率としては10%以下が望ましく、2%以下であることがさらに望ましい。材料としてはCr、Al、Ni、Ta等の無機系材料の薄膜が使用可能であり、厚みは100〜200nmが遮光機能としては適当であるが、成膜のスループット、製造コスト、パターニングの精度を考慮すると100〜130nmが望ましい。また、ブラックマトリクス表面における反射を低減する目的で酸化膜、窒化膜等と複数積層してもよい。無機系材料のブラックマトリクスの成膜法は、DCスパッタリング法、蒸着法等の従来一般的に使用されている金属薄膜の成膜法が利用でき、パターンニング法はフォトリソグラフィー法が利用できる。
ブラックマトリクスの透過率は、10%以下であることが望ましいと上述したが、これは可視光域全般に渡って透過率が10%以下であることが望ましいということではない。液晶表示素子に使用される液晶シートの選択反射波長領域において、10%以下が望ましいということである。仮に、選択反射波長領域外の光がブラックマトリクスを透過したとしても、この光の大部分は液晶シートを透過し光吸収層で吸収されるため、反射光として液晶表示素子のコントラストを劣化させることには大きくは寄与しないからである。
ブラックマトリクスの材料は、上記金属系材料のほかポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂等をカーボンブラック等で黒色着色したものも使用可能である。このような材料はスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法等の従来からの印刷法が使用可能であり低コスト化に対して非常に有利である。また、これらの印刷法では、フォトリソグラフィー法によるパターンニングを行わなくてもパターンを形成できるのでさらに低コストである。
(平坦化層)
平坦化層の目的は、ブラックマトリクスの形成によってできた凸凹を平坦にし、その上に形成される電極の断線を防ぐこと、液晶層の厚みを均一にすること、およびブラックマトリクスが以降の工程で損傷を受けるのを防ぐことである。材料としては、アクリル系紫外線硬化樹脂などの透明な樹脂が使用される。膜厚はブラックマトリクスの膜厚の数倍以上あれば平坦化の目的は達せられる。形成方法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などによって形成するのが簡単でコスト的には有利である。
平坦化層の目的は、ブラックマトリクスの形成によってできた凸凹を平坦にし、その上に形成される電極の断線を防ぐこと、液晶層の厚みを均一にすること、およびブラックマトリクスが以降の工程で損傷を受けるのを防ぐことである。材料としては、アクリル系紫外線硬化樹脂などの透明な樹脂が使用される。膜厚はブラックマトリクスの膜厚の数倍以上あれば平坦化の目的は達せられる。形成方法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法などによって形成するのが簡単でコスト的には有利である。
(液晶層)
本発明に係る液晶層(液晶シート)は、高分子材料からなるバインダーおよび前記バインダーに分散した液晶を含む液滴からなる。
本発明に係る液晶層(液晶シート)は、高分子材料からなるバインダーおよび前記バインダーに分散した液晶を含む液滴からなる。
(バインダー)
本発明において好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。
本発明において好適なバインダーは透明又は半透明で、一般に無色であり、天然ポリマー合成樹脂やポリマー及びコポリマー、その他フィルムを形成する媒体、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、コポリ(スチレン−無水マレイン酸)、コポリ(スチレン−アクリロニトリル)、コポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(ビニルアセタール)類(例えば、ポリ(ビニルホルマール)及びポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)類、ポリ(ウレタン)類、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)類、ポリ(カーボネート)類、ポリ(ビニルアセテート)、セルロースエステル類、ポリ(アミド)類がある。
これらバインダーは2種以上を併用して用いてもよく、バインダーの塗布量は1m2あたり100g以下が好ましく、特に20g以下にするのが適当である。
本発明に係るバインダーは、液晶及びバインダーを含む液晶層の膜強度を確保し上下電極間の短絡を確実に防止する為に重要である。バインダーと共に膜厚を一定化するため、樹脂柱構造物やスペーサー粒子を用いることも可能であるが、工程の簡略化からそれらは特に使用しないことが好ましい。また、ゼラチンは加熱溶解、塗布、冷却セット、乾燥の各工程で、均一な膜厚を有する層が得られる好ましいバインダーであるが、バインダーの他の例としては、例えば、ポリビニルアルコール類においてもカラギナンやゲランガム等の増粘多糖類を併用して用いることにより、前記ゼラチン同様の工程をとることか可能であり、この場合も均一な膜厚を有する層が得られる。
本発明の液晶シートにおいては、バインダーの少なくとも1種は、硬膜処理されたゼラチンまたはゼラチン誘導体であってもよい。
本発明で用いることのできるゼラチンとしては、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチン及びゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基を持ち、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えばT.H.James:The Theory of Photographic Process 4th. ed. 1977(Macmillan)55項、科学写真便覧(上)72〜75項(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編119〜124(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。
本発明においてバインダーとしてゼラチンを用いる場合、好ましい硬膜剤の例としては、米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116655号、同62−245261号、同61−18942号、同61−249054号、同61−245153号、特開平4−218044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(例えば、ホルムアルデヒド等)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(例えば、N,N’−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタン等)、N−メチロール系硬膜剤(例えば、ジメチロール尿素等)、ホウ酸、メタホウ酸あるいは高分子硬膜剤(例えば、特開昭62−234157号等に記載の化合物)が挙げられる。これらの硬膜剤の中で、ビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤を単独又は併用して使用する事が好ましい。これらの硬膜剤は、バインダー1質量部あたり0.001〜1質量部、好ましくは0.005〜0.5質量部が用いられる。
本発明においてさらに好ましく用いられる硬膜剤は、下記一般式(1)で表される化合物である。
一般式(1)
L−(SO2−X)m
上記一般式(1)において、Lはm価の連結基を表し、Xは−CH=CH2又は−CH2CH2Yを表し、Yは塩基によってHYの形で脱離しうる基を表す。mは2〜10の整数を表すが、mが2以上の場合−SO2−Xは、同じでも互いに異なっていてもよい。
L−(SO2−X)m
上記一般式(1)において、Lはm価の連結基を表し、Xは−CH=CH2又は−CH2CH2Yを表し、Yは塩基によってHYの形で脱離しうる基を表す。mは2〜10の整数を表すが、mが2以上の場合−SO2−Xは、同じでも互いに異なっていてもよい。
m価の連結基Lは、例えば、脂肪族炭化水素基(例えば、アルキレン、アルキリデン、アルキリジン等、或いはこれらが結合して形成される基)、芳香族炭化水素基(例えば、アリーレン等、或いはこれらが結合して形成される基)、−O−、−NR’−(R’は水素原子又は好ましくは1から15個の炭素原子を有するアルキル基を表す)、−S−、−N<、−CO−、−SO−、−SO2−又は−SO3−で示される結合を1つ或いは複数組み合わせることにより形成されるm価の基であり、−NR’−を2つ以上含む場合、それらのR’同志が結合して環を形成してもよい。連結基Lは更に、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキル基又はアリール基等の置換基を有するものも含む。Xの具体例としては、−CH=CH2又は−CH2CH2Cl等が好ましい。
本発明の実施形態に用いられるビニルスルホン系硬膜剤は、例えば、独国特許第1,100,942号及び米国特許第3,490,911号等に記載されている如き芳香族系化合物、特公昭44−29622号、同47−25373号、同47−24259号に記載されている如きヘテロ原子で結合されたアルキル化合物、特公昭47−8736号等に記載されている如きスルホンアミド、エステル系化合物、特開昭49−24435号等に記載されている如き1,3,5−トリス〔β−(ビニルスルホニル)−プロピオニル〕−ヘキサヒドロ−s−トリアジン或いは特公昭50−35807号、特開昭51−44164号等に記載されている如きアルキル系化合物及び特開昭59−18944号に記載されている化合物等を包含する。
これらビニルスルホン系硬膜剤は、水又は有機溶剤に溶解し、該硬膜剤と反応可能なバインダーに対して質量比で0.001〜0.200、特に好ましくは0.001〜0.050用いられる。
本発明に用いられるビニルスルホン系硬膜剤の中で、その分子内に水酸基を有するビニルスルホン系硬膜剤の使用が好ましい。また、本発明においては、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)の硬膜剤をビニルスルホン系硬膜剤と併用して用いることができる。
本発明に係る液晶シートにおいては、バインダーの少なくとも1種が、硬膜処理されたポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体であってもよい。
本発明に係る実施形態に好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールやポリビニルアルコール誘導体等も含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは平均重合度が1000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1500〜5000のものが好ましく用いられる。ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第1〜3級アミノ基や第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、これらはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得ることができる。カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールにおけるカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。アニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは重合度や変性の種類などが違う2種類以上を併用することもできる。
本発明の実施形態の液晶シートに含まれるポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体の硬膜処理を行う硬膜剤としては、ホウ酸及びその塩が用いることができ、また水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。硬膜剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。ホウ酸とホウ砂の水溶液はそれぞれは比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。上記硬膜剤の添加量は上記水溶性バインダー1000質量部当たり1〜200質量部が好ましく、更に好ましくは2〜100質量部である。
本発明に用いられるポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール誘導体は、光硬化で硬膜処理を行うことが好ましい。光硬化可能なポリビニルアルコール類の化合物例としては、特公昭56−5761号、特公昭56−5762号、特開昭56−11906号、特開昭59−17550号、特開平2−118575号、特公平2−276806号及び特開平6−43645号の各公報などに開示されている四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体をペンダントさせたポリビニルアルコール系感光性樹脂が知られている。また、特開昭63−198045号公報には、ポリビニルアルコール(PVA)に、四級化芳香族含窒素複素環を有するスチリル誘導体とアジド化合物とをペンダントさせたポリビニル系感光性樹脂が開示されている。また、特開平8−320553号、同9−114092号、同9−160240号に記載の光架橋型ポリビニルアルコール類を用いることができる。
(液晶)
本発明に係る液晶(以下、液晶組成物ともいう)としては、室温でコレステリック相を示すコレステリック液晶やカイラルネマチック液晶等の液晶材料を用いる。このような液晶材料は、表示を維持するために電力が不要で、明るい反射型表示を実現できるという特徴を有している。
本発明に係る液晶(以下、液晶組成物ともいう)としては、室温でコレステリック相を示すコレステリック液晶やカイラルネマチック液晶等の液晶材料を用いる。このような液晶材料は、表示を維持するために電力が不要で、明るい反射型表示を実現できるという特徴を有している。
カイラルネマチック液晶はコレステリック相を示す液晶の代表的なもので、ネマチック液晶に所定量のカイラル材を添加することによって得られる。このカイラルネマチック液晶は、一般的に、棒状の液晶分子がねじれた配列をなし、コレステリック相を示している。この液晶に光が入射すると、ヘリカル軸に対して平行な方向から光が入射した場合、λ=npで示される波長の光を選択反射する(プレーナ状態)。ここで、λは波長、nは液晶分子の平均屈折率、pは液晶分子が360°ねじれている距離である。一方、ヘリカル軸に対して垂直な方向から光が入射した場合、光は実質的に選択反射されることなく透過する(フォーカルコニック状態)。この選択反射及び透過を利用して表示が行われる。
メモリ性を有する反射型液晶表示体の動作モードとしては、テクニカルペーパーSID国際シンポジューム要約(SID International Symposium Digest of Technical Paper)第29巻、897頁に開示されている。この動作モードは、カイラルネマチック液晶の配向状態をプレーナ状態(光の選択反射状態)及びフォーカルコニック状態(光の透過状態)のいずれかに切り替えて表示を行う方式である。プレーナ状態及びフォーカルコニック状態は、それぞれ安定な状態であるため、一旦液晶をいずれかの状態にセットすれば、外力が加わらない限り、半永久的にその状態を維持する。即ち、画像を一旦表示すれば電源を切っても表示された画像がそのまま維持されるメモリ性を備えた反射型液晶表示素子として有用である。
コレステリック相を示す液晶組成物の具体的化合物としては、米国特許5,695,682号に記載の化合物を挙げることができる。
その他の本発明に用いられる液晶組成物として、4−置換安息香酸4′−置換フェニルエステル、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換ビフェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4′−置換フェニルエステル、4−置換ビフェニル4′−置換シクロヘキサン、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4′−置換フェニルエステル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4′−置換シクロヘキシルエステル、4−置換4″−置換ターフェニル、4−置換4′−置換ビフェニル、4−置換フェニル−4′−置換シクロヘキサン等、さらに特開2001−51260号公報、特開平8−43846号公報、特開平7−4950号公報、特開2000−147476号公報、特開平8−160470号公報、特開平10−54996号公報、特開2002−221709号公報、特開2001−92383号公報、特開2003−131234号公報、特開2004−77754号公報、特開2004−2771号公報等に記載の液晶組成物や、一般にポリマーネットワーク液晶(PNLC)、ポリマー分散液晶(PDLC)と称される液晶材料で用いられる液晶等を挙げることができる。
カイラル材としては、従来公知の各種のカイラル材料が使用可能であり、それぞれ分子中に不斉炭素を少なくとも一つ含むエステル化合物、ピリミジン化合物、アゾキシ化合物、トラン化合物等を挙げることができる。市販のカイラル材を用いてもよい。カイラル材の含有量は、カイラル材と液晶組成物の合計に対して5〜45質量%とすることが好ましい。5質量%未満では所望の選択反射波長を実現できない恐れがあり、45質量%を超えると室温でコレステリック相を示さなくなったり固化したりする恐れがある。
ネマチック液晶に複数種類のカイラル材を添加してもよい。この際、旋光方向が同じカイラル材を複数種類用いてもよいし、互いに旋光方向が異なるカイラル材を用いてもよい。ネマチック液晶に複数種類のカイラル材を添加したり、多環化合物、N型化合物等の液晶化合物を添加すると、カイラルネマチック液晶の相転移温度を変化させたり、温度変化による選択反射波長の変化を低減することができる他、誘電率異方性、屈折率異方性、粘度等のカイラルネマチック液晶の物性値を変えることができ、表示素子としての特性を向上させることができる。
本発明に用いられる液晶組成物は、マイクロカプセルに内包させた状態で用いることができる。
本発明に用いることができるマイクロカプセルの製法としては、コアセルベーション法、界面重合法、in−situ法等の公知の方法を用いることができる。これらの中でコアセルベーション法による製法は油相である液晶組成物への化学的影響が少なく好ましく用いることができる。
バインダーとしてゼラチンを用いる場合、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、寒天、ポリビニルベンゼンスルホン酸、無水マレイン酸共重合体、その他界面活性剤との疎水性相互作用によってコアセルベートでき、コアセルベート後は、ホルムアルデヒドや、前記のゼラチン硬膜剤を用いてゼラチン硬化反応を行わせることにより、コアセルベートしたゼラチン複合膜を硬化でき、マイクロカプセル壁の強度を向上させることができる。
また界面重合法は、ポリアミン、多価フェノール等と多塩基酸ハライド、ポリイソシアネート等を水相と油相界面で重合してマイクロカプセル壁を形成することができる。
また、in−situ重合方法としては、尿素−メラミン等に用いられるアミド樹脂、フェノール樹脂の単独またはその共重合体をホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドで架
橋してマイクロカプセルを形成させることができる。
橋してマイクロカプセルを形成させることができる。
マイクロカプセル壁には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、アクリル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ジエン樹脂、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリアリレート、アラミド、ポリイミド、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−キシレン、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリヒダントイン、ポリパラバン酸、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾオキサジアゾール、ポリキノキサリン等を共存させることにより、マイクロカプセル壁強度を向上させることができる。
本発明に係るマイクロカプセルは、溶液系で調製した後、乾燥して分級することができる。分級の方法としては、スプレードライヤ、ロータリー乾燥機、バンド乾燥機等が挙げられる。
(絶縁性防水膜)
本発明に係る液晶表示素子は、一対の電極と液晶シートとの間にそれぞれ絶縁性防水膜を設けることが好ましく、その少なくとも一方が透光性である。本発明でいう絶縁性防水膜とは、絶縁性を有し、かつ、一方の面から他方の面への水の透過が実質的に防止される性質を持つ膜である。絶縁性防水膜の材料としては、高い安定性を得るため水と化学反応を起こさないものが望ましい。
本発明に係る液晶表示素子は、一対の電極と液晶シートとの間にそれぞれ絶縁性防水膜を設けることが好ましく、その少なくとも一方が透光性である。本発明でいう絶縁性防水膜とは、絶縁性を有し、かつ、一方の面から他方の面への水の透過が実質的に防止される性質を持つ膜である。絶縁性防水膜の材料としては、高い安定性を得るため水と化学反応を起こさないものが望ましい。
一般的に液晶シートと電極の間に誘電体の膜を挿入すると、この膜にも電圧が印加されるため、液晶の駆動電圧が高くなってしまう。また、絶縁性防水膜には高い防水性と、屈曲や押圧に対してもクラックの入らない柔軟性という二つの性質を有することが好ましく、例えば、以下に示す絶縁性防水膜が好ましく用いられる。
(1)有機材料で形成された膜(有機膜)
(2)無機材料で形成された膜(無機膜)
(3)無機材料および有機材料で形成された膜(複合膜)
また、本発明に係る絶縁性防水膜に用いられる有機材料としては、例えばアクリル系、ウレタン系、メタクリル系、ビニルエステル系、エポキシ系、イミド系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系などの高分子材料が好ましく用いられ、必要に応じてこれらの高分子材料を2種以上併用して用いてもよい。また、紫外線吸収剤や酸化防止剤、可塑剤等の公知の添加剤を添加してもよい。上記有機材料で形成された膜の厚さは、防水性、柔軟性及び液晶表示素子の適正な駆動電圧の観点から0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。
(1)有機材料で形成された膜(有機膜)
(2)無機材料で形成された膜(無機膜)
(3)無機材料および有機材料で形成された膜(複合膜)
また、本発明に係る絶縁性防水膜に用いられる有機材料としては、例えばアクリル系、ウレタン系、メタクリル系、ビニルエステル系、エポキシ系、イミド系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系などの高分子材料が好ましく用いられ、必要に応じてこれらの高分子材料を2種以上併用して用いてもよい。また、紫外線吸収剤や酸化防止剤、可塑剤等の公知の添加剤を添加してもよい。上記有機材料で形成された膜の厚さは、防水性、柔軟性及び液晶表示素子の適正な駆動電圧の観点から0.1μm以上2μm以下であることが好ましい。
(無機膜)
本発明に係る絶縁性防水膜に用いられる無機材料としては、例えばシリコン、ハフニウム、アルミニウム、タンタル、ストロンチウム、チタン、ジルコニウムまたはバリウムの酸化膜あるいは窒化膜が好ましく用いられ、必要に応じてこれらの無機材料を2種以上併用して用いてもよい。上記無機材料で形成された膜係る透光性の絶縁性防水膜は、液晶シートを視認できるだけの光透過率を有していれば特に制限はないが、液晶表示素子の明るさに影響を与えるため光透過率が少なくとも80%以上あることが望ましい。
本発明に係る絶縁性防水膜に用いられる無機材料としては、例えばシリコン、ハフニウム、アルミニウム、タンタル、ストロンチウム、チタン、ジルコニウムまたはバリウムの酸化膜あるいは窒化膜が好ましく用いられ、必要に応じてこれらの無機材料を2種以上併用して用いてもよい。上記無機材料で形成された膜係る透光性の絶縁性防水膜は、液晶シートを視認できるだけの光透過率を有していれば特に制限はないが、液晶表示素子の明るさに影響を与えるため光透過率が少なくとも80%以上あることが望ましい。
(有機膜)の厚さは、有機膜と同様の観点から0.01μm以上2μm以下であることが好ましい。
(複合膜)
本発明に係る複合膜は、上述の有機材料及び無機材料を含む。複合膜の構成としては、上述の有機膜と無機膜とを積層した積層膜、有機材料に無機材料を分散した分散膜及び分散膜と有機膜、無機膜又は積層膜とを積層した積層膜等が挙げられる。
本発明に係る複合膜は、上述の有機材料及び無機材料を含む。複合膜の構成としては、上述の有機膜と無機膜とを積層した積層膜、有機材料に無機材料を分散した分散膜及び分散膜と有機膜、無機膜又は積層膜とを積層した積層膜等が挙げられる。
(電極)
本発明に係る液晶表示素子においては、少なくとも一方が透光性である一対の電極が用いられる。
本発明に係る液晶表示素子においては、少なくとも一方が透光性である一対の電極が用いられる。
一対の電極のうち、少なくとも一方が金属電極であってもよい。金属電極としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタン、ビスマス、及びそれらの合金等の公知の金属種を用いることができる。電極の作製方法は、蒸着法、印刷法、インクジェット法、スピンコート法、CVD法等の既存の方法を用いることができる。
また、本発明に係る透光性の電極としては、透明で電気を通じるものであれば特に制限はない。例えば、Indium Tin Oxide(ITO:インジウム錫酸化物)、Indium Zinc Oxide(IZO:インジウム亜鉛酸化物)、酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、BSO(Bismuth Silicon Oxide)等が挙げられる。電極をこのように形成するには、例えば、基板上にITO膜をスパッタリング法等でマスク蒸着するか、ITO膜を全面形成した後、フォトリソグラフィー法でパターニングすればよい。表面抵抗値としては、300Ω/□以下が好ましい。透明電極の厚みは特に制限はないが、0.1〜20μmであるのが一般的である。
電極パターンの形成は、リソグラフィ法、レーザーエッチング法、静電誘導方式のインクジェット法、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を用いて形成することができる。なお、液晶シート上下に配置される電極をそれぞれ、平行に並んだ複数のストライプ状電極とし、上下電極を互いに交差させることにより、パッシブマトリクス駆動型の電極構成としてもよいし、画素に対応してマトリクス状に複数の画素電極を配置し、それぞれTFT(Thin Film Transistor)、MIM(Metal Inslator Metal)等などのスイッチング素子を設けて駆動を行うアクティブマトリクス駆動型の電極構成としてもよい。なお、TFTおよびMIMはスパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、リソグラフィ法、レーザーエッチング法、静電誘導方式のインクジェット法、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等の公知の方法を組み合わせて用いることにより形成することができる。
(第1の実施形態)
本発明に係る一実施形態を図に基づいて説明する。なお、理解容易のため具体的なサイズや材料等を挙げて説明しているがこれらはあくまでも一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。
本発明に係る一実施形態を図に基づいて説明する。なお、理解容易のため具体的なサイズや材料等を挙げて説明しているがこれらはあくまでも一例であり、本発明がこれに限定されるものではない。
図1(a)に本発明に係る液晶表示素子1の平面図を、図1(b)に図1(a)のA−A’で切断した断面図を、図1(c)に図1(a)のB−B’で切断した断面図を示す。なお、図面が煩雑になるのをさけるため、図1(a)にはブラックマトリクスは書き込んでいない。
図1(a)、図1(b)、図1(c)を参照して、9は透明なPES(ポリエーテルスルホン)等の基板であり、その上部にブラックマトリクス17が形成され、さらにその上にはアクリル系紫外線硬化樹脂による平坦化層18が形成されている。基板9としてはPES以外に、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート等の柔軟な透明樹脂フィルムまたはガラス等が使用可能である。ブラックマトリクス17は上述したように、Cr、Al、Ni、Ta等の無機系材料の薄膜やポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂等をカーボンブラック等で黒色着色したものが使用可能である。厚みは無機系材料の場合、100〜200nmが遮光機能としては適当であるが、成膜のスループット等を考慮して100〜130nmが用いられる。有機系材料の場合の厚みは2μm程度が好適である。平坦化層18の厚さは、ブラックマトリクスの膜厚の数倍が好適であるため、本実施例では2μm〜10μmが好適である。
10はITO(酸化インジウムスズ)等の透光性の第1の電極である。第1の電極10はストライプ状の電極で、その端部は外部接続部19となっている。外部接続部19は駆動回路などの外部回路との電気的接続を行う部分である。第1の電極10はITO以外に上述したように、IZO、FTO、酸化インジウム、酸化亜鉛、BSO等でもよい。第1の電極10のシート抵抗は300Ω以下のものが望ましい。
また、10のストライプ電極の代わりとして各画素電極をTFTのドレインに接続されたITO等の透光性の電極とすることも可能である。さらに、10のストライプ電極の代わりとして各画素をMIM素子の一方の金属電極と接続されたITO等の透光性の電極とすることも可能である。この場合外部接続部19はMIMの他方の金属電極と接続される。
11は透光性の第1の絶縁性防水膜である。第1の絶縁性防水膜11には、たとえばアクリル系材料である厚さ2μmのPC403(JSR社製)が用いられる。この材料は水分による化学変化がほとんど無く安定であり、透明性も高く本実施形態の絶縁性防水膜の材料としては好適である。
12は液晶シートであり、図示していないが液晶シート12は主反射波長が赤、緑、青と、各々異なるコレステリック液晶を含んだ3層の液晶層からなっており、含水材料であるゼラチンのバインダーの中に、液晶を含む液滴が分散されている。液晶シートの厚さは赤、緑、青の各層5μm、合計15μmである。用いられる液晶組成物は、観察面側から見て下層から上層へ順に、それぞれ670nm(赤)、550nm(緑)、470nm(青)に選択反射波長を有するコレステリック液晶であり、たとえばメルク社製ネマチック液晶BL006に、メルク社製カイラル材CB15およびR1011をそれぞれ適量添加して調製することができる。
13は透光性の第2の絶縁性防水膜で、膜厚および材料は第1の絶縁性防水膜11と同じである。
14は第2の電極で、本実施形態ではカーボンブラックを混入した銀ペーストを用いている。第2の電極としては本実施形態では光吸収性の黒色の銀ペーストを用いたが、光透過性のITO、酸化スズなどを用いることもできる。第2の電極14のシート抵抗も第1の電極10と同様に300Ω以下が望ましい。第2の電極14は端部で、第1の電極と同時に形成した外部電極16に接続されている。外部電極16は駆動回路などの外部回路ととの電気的接続を行う部分である。
15は保護層で、第2の電極17や第2の絶縁性防水膜16を水分や機械的な衝撃から保護するためのものであり、本実施形態では黒色のシリコーン系樹脂KE1802(信越化学社製)等を用いるが、それ以外にもKE1281(信越化学社製)などが使用可能である。保護層15として光吸収性の樹脂を用いるのは、ストライプ状になっている第2の電極14間の隙間を通過した光を吸収させるためである。第2の電極として光透過性の材料を用いた場合には、保護層として光吸収性の材料を使用するのは特に効果的である。保護層15は本実施形態では黒色のシリコーン系樹脂を用いたが、他の材料を用いてもよいし、絶縁性防水膜に用いる材料等を用いて形成してもよい。ただし、保護層15として光透過性の材料を用いた場合は、保護層の上部に、光吸収性の部材を形成することが望ましい。なお、光吸収性の電極や保護層は液晶表示素子の黒の反射率に影響を与えるので、反射率は10%以下であることが望ましい。
ブラックマトリクス17の反射率および透過率については、液晶シート12の非表示領域の反射率が10%程度になるので、非表示領域からの反射光を抑えるというブラックマトリクス17の効果を有効にするためには、ブラックマトリクス17の反射率は10%以下が望ましく、2%以下がさらに望ましい。ブラックマトリクス17の透過率は10%以下が望ましい。
次に、この液晶表示素子1の表示動作を説明する。本実施形態の液晶表示素子はコレステリック相を示す液晶の捩れを解くための第1の閾値電圧をVth1とすると、電圧Vth1を十分な時間印加した後に、電圧を第1の閾値電圧Vth1よりも小さい第2の閾値電圧Vth2以下に急に下げるとプレーナ状態になる。また、Vth2以上でVth1以下の電圧を十分な時間印加するとフォーカルコニック状態になる。この二つの状態は電圧印加を停止した後でも安定に維持される(メモリ性を有する)。また、Vth1〜Vth2間の電圧を印加することにより、プレーナ状態とフォーカルコニック状態とをミクロな状態で混在させることができ、中間調の表示、即ち、階調表示が可能である。
具体的には、液晶表示素子1の第1の電極10および第2の電極14間にパルス幅5ms、電圧180Vのパルス電圧を印加すると液晶相はプレーナ相を示し3層の液晶層はそれぞれ670nm、550nm、470nmの光を反射する。したがって、液晶表示素子1を基板9の側から観察すると、白色を示す。次に、第1および第2の電極間にパルス幅5ms、電圧95Vのパルス電圧を印加すると、液晶相はフォーカルコニック相を示し、基板1側から入射した光は液晶シート12を透過し、第2の電極14および保護層15で吸収される。したがって、基板1側から観察すると液晶表示素子1は黒色を示す。
図2はブラックマトリクス17を形成する領域を説明するための図で、液晶表示素子1の平面図である。図中、20の領域は、第1の電極10と第2の電極14とが重なり合っている部分に囲まれた領域であり、本発明ではアクティブ領域と呼び、電極への電圧の印加により液晶液滴の配向状態を変化させ、情報を表示するのに用いられる。ただし、アクティブ領域の中にも2つの領域があり、一方は第1の電極10と第2の電極とが重なり合って、液晶の配向を書き換えることができる領域(以下、画素領域と呼ぶ)であり、他方は、ストライプ状態の第1の電極10間の領域および、第2の電極14間の領域で、液晶シート12が二つの電極(第1の電極10および第2の電極14)に挟まれていないため、液晶液滴の配向状態を電極への電圧の印加では切り替えることができず、情報の表示に用いることはできない領域(以下、画素間領域と呼ぶ)である。21の領域は本発明では不活性領域と呼び、液晶シート12が存在している領域であって、アクティブエリアの外側に位置し、第1の電極10または第2の電極14かしか存在していない領域、およびそのどちらも存在していない領域である。この領域は液晶シート12が存在するにもかかわらず、液晶シート12が二つの電極(第1の電極10および第2の電極14)に挟まれていないため、電極への電圧の印加では液晶液滴の配向状態を切り替えることができない領域である。
ここで、ブラックマトリクスを用いていない従来技術の液晶表示素子を考えてみると、不活性領域21および画素間領域は、情報の表示には用いられない非表示領域であるので、これらの領域の反射率はできるだけ低い方が、液晶表示素子1のコントラストを高くするためには有効である。しかしながら、上述したようにこの領域の液晶液滴のヘリカル軸の配向は、液晶表示素子1の製造工程ではランダムになってしまうため、入射光を反射する液晶液滴も存在して液晶表示素子1のコントラストを低くすることになってしまう。
このように、従来技術による液晶表示素子でコントラストが低下するのは、非表示領域からの反射があるためで、この問題を解決するためには非表示領域に入射する光を遮断するのが最も効果的である。
本実施形態の説明に戻って、本発明は、上述した非表示領域を含む領域に対向する部分に遮光層を設けることにより、コレステリック液晶を含む液滴を有した液晶シートを用いた液晶表示素子に特有の、非表示領域からの選択反射による反射光がコントラストを低下させるという問題を解決しようとするものである。したがって、前記遮光層は光を遮断すると共に、反射率が低いことも望ましい。
図3(a)は、液晶表示素子1の平面図にブラックマトリクス17を書き込んだもので、図3(b)は図3(a)のC部拡大図である。ブラックマトリクス17は不活性領域21および画素間領域を含み、それより少し広い部分に対向する領域に形成されている。不活性領域21付近ではブラックマトリクス17は不活性領域21よりも広く、防水絶縁層13の少し外側の領域にまで形成されている。これは、液晶表示素子1をアクティブ領域20を囲む部分に開口部を持つ枠に入れて機器に取り付ける場合、その開口部分が防水絶縁層13の大きさであっても、開口部の周辺までブラックマトリクス17が覆うようにするためである。もし、枠の開口部がもっと小さいものであればそれに併せてブラックマトリクス17の領域を狭めることも可能であるし、枠の開口部がもっと大きなものであれば、ブラックマトリクス17の領域はもっと広げる必要がある。
アクティブ領域20では、ブラックマトリクス17は画素間領域以外にも、図3(b)の22で示したように画素領域の一部(個々の画素領域の内、周辺の部分)も含んでいる。この理由は以下の通りである。
入射光がすべて液晶表示素子1の表面に垂直に入ってくるのであれば、ブラックマトリクス17は画素間領域に対向する領域だけに形成しておけば十分である。しかし、一般には入射光には液晶表示素子1の表面に垂直でない成分も含まれているため、個々の画素領域の内の周辺部に斜めに入射した光が画素間領域に到達してしまい、画素間領域からの反射光として液晶表示素子1のコントラストを低下させる要因になる可能性がある。そのため、この斜め入射の光を遮光するためブラックマトリクスは画素間領域より少し広く形成してある。この少し広くする程度は、液晶シート12とブラックマトリクス17間の距離、つまり本実施形態の場合は平坦化層18と同程度が好適である。
本実施形態では、ブラックマトリクス17を画素領域の一部に対向する領域にも形成したが、そのために液晶表示素子1の開口率が減少することになっている。したがって、開口率を減少させることが望ましくない場合は、ブラックマトリクス17は画素間領域のみに対向する領域に形成しても良い。
図4および図5を用いて第1の実施形態に係る液晶表示素子1の製造プロセスを説明する。
図4(a)は基板9の上にブラックマトリクス17を全面に形成したところを示す。基板9としてはPES等のフィルム基板を用い、スパッタリング法などを用いて、Cr、Al、Ni、Ta等の無機系材料の薄膜を100〜130nm形成する。このとき、反射率を低減するために、それらの材料の酸化膜または窒化膜などを積層しても良い。
図4(b)はブラックマトリクス17を、フォトリソグラフィー法を用いてパターンニングした図である。
図4(c)はその上に、平坦化層18として紫外線硬化型のアクリル系樹脂の層を形成した図である。平坦化層18の厚さは2μm〜10μmが好適である。
図4(d)は、平坦化層18の上に第1の電極10としてITO等による透光性の導電性薄膜をDCスパッタリング法などにより形成したところを示す。
図4(e)は、上記の導電性薄膜を、フォトリソグラフィー法を用いてパターンニングした図である。このとき第1の電極10と同時に外部電極16も形成されている。
図5(a)は、その上に第1の絶縁性防水膜11として、アクリル系、ウレタン系、メタクリル系、ビニルエステル系、エポキシ系、イミド系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ポリ塩化ビニル系などの高分子膜を0.1μm〜2μm程度形成した図である。絶縁性防水膜11としてはこれらの材料以外には、上述したように無機膜または有機材料と無機材料の複合膜でも良い。パターンニングはフレキソ印刷法などにより行う。
図5(b)は、上記の第1の絶縁性防水膜11の上部に液晶シート12を形成したところを示す。液晶シート12は3層の液晶層からなる液晶シートで、たとえば次のようにして形成する。
まず、3種類(3色分)の液晶層塗布液を準備する。写真用ゼラチンをイオン交換水に対して8質量%添加し、室温で攪拌した後、30分放置してゼラチンを十分に膨潤させ、次いで、温度を42℃に上げて、ゼラチンを溶解させる。この溶液に、界面活性剤としてアルキルナフタレンスルホン酸を10質量%含むイソプロピルアルコールを水に対して12質量%添加した後、上述したコレステリック液晶組成物3種類をそれぞれ水に対して12質量%添加する。この混合溶液を42℃に保ったまま櫛歯式分散機にて攪拌し、平均分散粒径が5μmの液晶層塗布液を3種類得る。
この3種類の液晶層塗布液を例えば特開2003−170097号公報に記載の重層塗布装置に供給し、下層から(すなわち、素子が完成した後に観察面となる側から)青、緑、赤の順に積層されるように塗布する。塗布厚さは、乾燥後の赤、緑、青の各層が5μmになるように調整する。乾燥工程の条件はたとえば、100℃、30分である。液晶シート12のパターンニング方法については、パターンを有したマスクを基板9の上に保持しておき、その上から上述した重層塗布を行い、その後マスクを取り除くという方法等が利用可能である。
図5(c)は、上記の液晶シート12の上部に第2の絶縁性防水膜13を形成したところを示す。第2の絶縁性防水膜13の材料及び形成方法は第1の絶縁性防水膜11と同様である。
図5(d)は、上記の第2の絶縁性防水膜16の上部に第2の電極14を形成したところを示す。第2の電極14は材料としては上述したカーボンブラックが混入された銀ペースト等を用い、静電誘導方式のインクジェット法等を用いてストライプ状に形成する。
図5(e)は、第2の電極14の上部に、保護層15として粘着材付の黒色PETフィルム等を貼り付ける。
本実施形態ではブラックマトリクス17は基板9の液晶シート12側に形成したが、これは、ブラックマトリクスが液晶シートにできるだけ近接している方が、非表示領域に入射する基板に垂直でない光を効果的に遮光できるからである。もし、液晶表示素子の解像度が粗く、基板の厚さが電極のピッチに対して問題にならない大きさであれば、ブラックマトリクスを基板の液晶シートとは反対の側に形成することもできる。
以下に、第1の実施形態で用いたブラックマトリクスの評価実験とその結果、ならびに従来技術による液晶表示素子のコントラストの評価実験とその結果を示す。
(実験例1)
本実験は第1の実施形態で用いたブラックマトリクスの評価実験およびその結果を示す。この実験はブラックマトリクスの効果を評価するための実験であり、実験に用いた液晶表示素子の構成は第1の実施形態とは異なる。
本実験は第1の実施形態で用いたブラックマトリクスの評価実験およびその結果を示す。この実験はブラックマトリクスの効果を評価するための実験であり、実験に用いた液晶表示素子の構成は第1の実施形態とは異なる。
十分に洗浄を行ったPES基板上に、スパッタリング法にてCr膜を約110nm成膜した。成膜後フォトリソグラフィー法にてピッチ200μm、線幅20μmの格子状のブラックマトリクスを形成した。ブラックマトリクスの反射率は光学濃度(OD値)2.5であった。形成されたブラックマトリクス上にアクリル系紫外線硬化型樹脂からなる透明な平坦化層を約2μmの厚さでスクリーン印刷法によりコーティングして、紫外線照射して硬化させた。上記平坦化層の上に厚さ約130nmのITO膜をDCスパッタリングにより成膜した。得られたITO膜をフォトリソグラフィー法にて、ピッチ200μm、線幅190μmにパターンニングしてストライプ状の第1の電極を作製した。なおブラックマトリクスと第1の電極との位置合わせは、第1の電極のパターンの無い部分が、ブラックマトリクスのパターンのある部分に対向するようにした。その上に、5質量%のゼラチン水溶液中に8質量%の液晶組成物(詳しくは後述する)と界面活性剤としてトリイソプロピルナフタレンスルホン酸ナトリウム10質量%を30分攪拌して分散させた分散物をバーコート塗布し、加熱乾燥(80℃、30分)させて液晶シートを得た。なお液晶シートの厚みは10μmとした。液晶シート上にカーボンブラックで黒色に着色した光吸収層を形成し、続いて銀ペーストを第1の電極に交差させて、ピッチ200μm、線幅190μmのストライプ状に塗布し第2の電極とした。ブラックマトリクスと第2の電極との位置合わせは、第2の電極のパターンの無い部分が、ブラックマトリクスのパターンのある部分に対向するようにした。
液晶組成物は選択反射波長が550nmに調整されており、ネマチック液晶BL006(メルク株式会社製)にカイラル材CB15(メルク株式会社製)を14質量%とカイラル材R1011(メルク株式会社製)を5.4質量%添加して作製した。
上記素子に幅5ms、電圧150Vのパルス電圧を印加すると素子は緑色を呈し、反射率Y値は35%を示した。また上記素子に幅5ms、電圧80Vのパルス電圧を印加すると素子は黒色に変化しY値は3.5%を示し、コントラスト比(Y値比)は10であった。
(実験例2)
本実験は、従来技術で制作したブラックマトリクスを有していない液晶表示素子の評価実験およびその結果である。
本実験は、従来技術で制作したブラックマトリクスを有していない液晶表示素子の評価実験およびその結果である。
十分に洗浄を行ったPES基板上にスパッタリング法にてITO膜を130nm成膜したのち、フォトリソ法にてパターニングし、ピッチ200μm、線幅190μmのストライプ状の透明電極を得た。その後、実験例1と同様に液晶シート、光吸収層および裏面電極を形成した。上記素子に幅5ms、電圧150Vのパルス電圧を印加すると素子は緑色を呈し、Y値は38%を示した。また上記素子に幅5ms、電圧80Vのパルス電圧を印加すると素子は黒色に変化し、Y値は6.5%を示しコントラスト比(Y値比)は5.8であった。
上述の実験例1および2は、本発明によれば、液晶表示素子のコントラストを効果的に改善することが可能なことを示している。
液晶シートを有した液晶表示素子では、不活性領域および画素間領域における液晶液滴の配向は、液晶表示素子の製造工程においても、また完成後においても、ヘリカル軸を液晶表示素子面に平行な方向へ配向制御することは不可能である。したがって、従来技術による液晶表示装置では、不活性領域および画素間領域の非表示領域では入射光の一部が選択反射され、この光が液晶表示素子のコントラストを低下させることになっていした。しかし、本発明によれば、液晶表示素子の非表示領域への入射光および非表示領域で選択反射されて観察面へ戻る光を遮光層により減衰させることができる。また、遮光層自身の反射率も低く遮光層に反射して観察面へ戻る光も少ない。したがって、本発明により、コレステリック液晶を含む液滴を有した液晶シートを用いた液晶表示素子のコントラストを改善することが可能になった。
1 液晶表示素子
9 基板
10 第1の電極
11 第1の絶縁性防水膜
12 液晶シート
13 第2の絶縁性防水膜
14 第2の電極
15 保護層
17 ブラックマトリクス
18 平坦化層
9 基板
10 第1の電極
11 第1の絶縁性防水膜
12 液晶シート
13 第2の絶縁性防水膜
14 第2の電極
15 保護層
17 ブラックマトリクス
18 平坦化層
Claims (9)
- 透明な第1の電極が設けられた基板、室温でコレステリック相を示す液晶材料を含む液滴およびバインダーを含有する前記基板上に形成された平面状の液晶シート、ならびに前記液晶シート上に形成された第2の電極を有する液晶表示素子において、前記第1の電極または第2の電極の形成されていない領域および第1の電極も第2の電極も形成されていない領域を合わせた非表示領域を含む領域に対向する領域に遮光層を有することを特徴とする液晶表示素子。
- 前記遮光層は反射率が10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 前記第1の電極および第2の電極の少なくとも一方は画素に対応して複数設けられ、前記遮光層は第1の電極の電極間の非表示領域および第2の電極の電極間の非表示領域を含む領域に対向する領域に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示素子。
- 前記遮光層は前記液晶表示素子の表示動作が行われるアクティブエリアの外側の不活性領域を含む領域に対向する領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液晶表示素子。
- 前記コレステリック相を示す液晶材料は、可視光領域のうち少なくとも一部分の領域の波長を有する光を選択反射することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶表示素子。
- 前記遮光層は、前記コレステリック相を示す液晶材料の選択反射波長を含む波長域において透過率が10%以下であることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
- 前記バインダーは高分子材料を含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液晶表示素子。
- 前記バインダーはゼラチンを含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液晶表示素子。
- 請求項1乃至8の何れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法において、
フォトリソグラフィー法を用いて遮光層を形成する工程を含むことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004352560A JP2006162841A (ja) | 2004-12-06 | 2004-12-06 | 液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004352560A JP2006162841A (ja) | 2004-12-06 | 2004-12-06 | 液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006162841A true JP2006162841A (ja) | 2006-06-22 |
Family
ID=36664954
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004352560A Pending JP2006162841A (ja) | 2004-12-06 | 2004-12-06 | 液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006162841A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102073164A (zh) * | 2011-01-17 | 2011-05-25 | 大连东方科脉电子有限公司 | 胆甾型液晶电子纸 |
CN102162952A (zh) * | 2011-04-29 | 2011-08-24 | 大连东方科脉电子有限公司 | 全彩色胆甾型液晶电子纸 |
CN102591087A (zh) * | 2012-03-14 | 2012-07-18 | 大连东方科脉电子有限公司 | 一种三维混色电子纸 |
US20220004103A1 (en) * | 2018-11-16 | 2022-01-06 | Lam Research Corporation | Bubble defect reduction |
-
2004
- 2004-12-06 JP JP2004352560A patent/JP2006162841A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102073164A (zh) * | 2011-01-17 | 2011-05-25 | 大连东方科脉电子有限公司 | 胆甾型液晶电子纸 |
WO2012097600A1 (zh) * | 2011-01-17 | 2012-07-26 | 大连东方科脉电子有限公司 | 胆甾型液晶电子纸 |
CN102162952A (zh) * | 2011-04-29 | 2011-08-24 | 大连东方科脉电子有限公司 | 全彩色胆甾型液晶电子纸 |
WO2012146025A1 (zh) * | 2011-04-29 | 2012-11-01 | 大连东方科脉电子有限公司 | 全彩色胆甾型液晶电子纸 |
CN102591087A (zh) * | 2012-03-14 | 2012-07-18 | 大连东方科脉电子有限公司 | 一种三维混色电子纸 |
CN102591087B (zh) * | 2012-03-14 | 2014-12-31 | 大连东方科脉电子有限公司 | 一种三维混色电子纸 |
US20220004103A1 (en) * | 2018-11-16 | 2022-01-06 | Lam Research Corporation | Bubble defect reduction |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2002544565A (ja) | カラー液晶ディスプレイのアクティブ基材およびその製法 | |
JP2009075229A (ja) | 表示媒体及びその製造方法、並びに、その製造装置 | |
CN102466929A (zh) | 液晶显示装置及液晶显示装置的制造方法 | |
JP4300396B2 (ja) | 表示素子の製造方法及び表示素子 | |
JP2001172634A (ja) | 液晶組成物及び該組成物を用いた液晶光変調素子 | |
JP2006162841A (ja) | 液晶表示素子および液晶表示素子の製造方法 | |
US7333166B2 (en) | Matrix display through thermal treatment | |
JP2006064806A (ja) | 表示媒体 | |
JP2001075083A (ja) | 反射型液晶表示装置およびその製造方法 | |
JP2009122537A (ja) | 液晶表示媒体の駆動方法および駆動装置、並びに液晶表示媒体 | |
US7834942B2 (en) | Image writing/display device and image writing/display method | |
JP2008065129A (ja) | 液晶表示素子 | |
JP2008096524A (ja) | 表示装置 | |
JP2006045376A (ja) | 表示媒体 | |
JPH0740097B2 (ja) | カイラルスメクチック液晶素子の製造方法 | |
JP2000267063A (ja) | 表示素子およびその駆動方法 | |
US9019446B2 (en) | Liquid crystal display device and manufacturing method thereof | |
JP4929649B2 (ja) | 光変調素子の製造方法 | |
JP2006133644A (ja) | 液晶表示素子及び液晶表示装置 | |
JP4683556B2 (ja) | 反射型表示素子、及びこれを用いた電気機器 | |
JP2007078791A (ja) | 液晶表示素子及び液晶表示素子の製造方法 | |
JP4692150B2 (ja) | 光変調素子及び光変調素子の製造方法 | |
JPH09127509A (ja) | 液晶表示素子及びその製造方法 | |
US20100123840A1 (en) | Liquid crystal display device | |
JP4608885B2 (ja) | 液晶表示素子及びその製造方法 |