JP2008096524A - 表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ER流体を利用した表示装置において、改善されたコントラストを有する表示装置を提供すること。
【解決手段】対向して配置される第一の基板2及び第二の基板3と、これらの基板の間に保持されるER流体5とを有する表示装置において、有色の絶縁性流体5bを用いてコントラストを高める。好ましくは、第一の基板2側に固体粒子5aを分極させてブリッジ形成させる第一の電界発生手段21と、第二の基板3側でブリッジ形成させる第二の電界発生手段31とを設ける。固体粒子5aは、第一の基板2又は第二の基板3に平行な面を形成するようにブリッジを形成する。
【選択図】図5

Description

本発明は、表示装置に関し、特に、エレクトロレオロジー流体を用いた表示装置に関する。
エレクトロレオロジー流体(Electrorheological Fluid、以下「ER流体」という。)とは、外部からの電界に応答して粘度や応力等のレオロジー的性質が変化する流体であり、クラッチ、バルブ、ダンパー、アクチュエータ等、様々な装置への応用が期待されている。
ER流体の典型的な構成は、固体粒子が絶縁性の液体に分散された構成であり、これに電圧が印加されるとこの方向に沿って固体粒子の鎖状構造体(以下「ブリッジ」という。)が複数形成され、このブリッジ間の引力により流体の粘性等のレオロジー的性質が変化することとなる。このブリッジが形成される機構は十分に解明されているとはいえないが次のように考えられている。すなわち、液体中に存在する水分の影響により固体粒子表面のイオン解離基が解離して電気二重層が形成される。一方、電圧が印加されることより形成される電界によりこの電気二重層が歪むことで固体粒子同士が電気的に引き合うこととなり、レオロジー的性質が変化する、と考えられている。
ところで、ER流体を表示装置に用いることも提案されている。例えば下記非特許文献1には、一対の電極間にER流体を挟み、電圧を印加した場合の光透過性と電圧を印加しない場合の光透過性の差とを利用して調光する調光素子が開示されている。また、同様の作用を利用した表示装置として、ER流体を挟む2枚の透明板の一方の片側面全面に透明電極を配置し、他方の透明板の片側面には枠状の透明電極を配置した表示装置も提案されている(特許文献1)。さらに特許文献2には、互いに向かい合う透明な一対の面の間にER流体を保持するセルが3層、積層されてなるカラー表示装置が開示されている。
ER流体を用いた表示装置としては、いわゆる反射型表示方式のものと、透過型表示方式のものとが各々構成し得る。一方、近年は紙のような読みやすさを備えた電子ペーパーと呼ばれる範疇の表示装置の開発が重視されている。反射型表示方式は、透過型表示方式に比べて使用場所の明るさに自動的に追従して読みやすい明るさを提供でき、また発光のための電力を必要としない点で省電力であるためどこでも使いやすく読みやすい電子ペーパー実現のために有利であるとされている。ER流体は表示材料として適切に用いることにより、優れた反射型表示装置を実現できる可能性があることから電子ペーパー実現のための候補材料としても有望であるとされている。
前記従来技術では、ER流体を挟んで向かい合う一対の電極間に電圧を印加して電界を生じさせて電界方向に沿ってER流体中の固体粒子にブリッジを形成させることで画像表示を行う状態(以下、「書き込み状態」と称する場合がある)とする。一方、画像を消去する場合は、電圧の印加を停止することで固体粒子を分散させる。
Journal of colloid and InterfaceScience、1996年、第177号、250〜256頁 特開2006−65248号公報 特開平8−129194号公報
ところで特許文献1による従来技術では、表示面の反対(底面)側に着色層を配置し、無色透明の絶縁性の液体中で固体粒子の挙動を変化させて表示を切り替えるため、高いコントラストが得られにくい。また、ER流体中の固体粒子を分散させて画像を消去するが、固体粒子の分散は主としてブラウン運動によるので、固体粒子を分散させて画像を消去するためにはある程度の時間がかかる。さらに、一旦、ブリッジを形成した固体粒子を完全に分散させることは困難であり、異なる画像を繰り返し表示させることが難しく、書き込み耐久性が良好でない。
一方、特許文献2の表示装置では、表面層を着色した固体粒子を用いるために固体粒子を小さくすることが難しくなる。このため、固体粒子の動きが遅くなったり、ER流体層を厚くして表示装置を大きくせざるを得ない場合が生じるといった問題もある。また、表面層を均一にコーティングすることは困難で、固体粒子の劣化も早くなる。
本発明は上記課題に対し、コントラストを改善し、固体粒子を大きくすることを回避して、応答特性及び書き込み耐性に優れた表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行った結果、ER流体の媒体を着色することで、コントラストを良好にし、固体粒子を肥大化させることによる不都合を防止して表示装置を軽薄化に寄与することを想到し、本発明を完成させた。さらに、ER流体を挟む一対の基板それぞれの面に平行な電界を発生させる一対の電極を2組(すなわち、第一の電極対と第二の電極対)設けることで、優れた応答特性及び書き込み耐性を実現することができることを想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一手段にかかる表示装置は、対向して配置される第一の基板及び第二の基板と、前記第一の基板と前記第二の基板との間に保持されるエレクトロレオロジー流体と、を有する表示装置であって、前記エレクトロレオロジー流体は、有色の絶縁性の液体中に固体粒子を含有していることを特徴とする。
また、この手段において、前記エレクトロレオロジー流体に電圧を印加することにより、前記固体粒子に前記第一の基板側でブリッジを形成させる第一の電界発生手段と、前記エレクトロレオロジー流体層に電圧を印加することにより、前記固体粒子に前記第二の基板側でブリッジを形成させる第二の電界発生手段と、をさらに有することも望ましい。
またさらにこの手段において、前記第一の電界発生手段は、前記第一の基板の片側面であって前記エレクトロレオロジー流体に面する内側面に設けられる一対の電極(第一の電極対)を有し、前記第二の電界発生手段は、前記第二の基板の片側面であって前記エレクトロレオロジー流体に面する内側面に設けられる一対の電極(第二の電極対)を有することも望ましい。
以上、本発明により、応答特性、書き込み耐性、及びコントラストに優れ、軽薄化が可能な表示装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例に限定されないことはいうまでもない。
図1は、本実施形態に係る表示装置(以下「本表示装置」という。)の構成の概略を示す図である。本表示装置1は、対向して配置される第一の基板2及び第二の基板3(以下、第一の基板2と第二の基板3とをあわせて「一対の基板」ともいう。)と、この一対の基板の間に挟まれたスペーサ4が切り抜かれて形成された表示セル11内に保持されたエレクトロレオロジー流体(ER流体)5と、を有する。図2は、図1において破線で囲った部分Wを拡大した図であり、表示セル11のひとつを示す外観斜視図である。図3は、図2の表示セル11の分解斜視図である。
本実施形態にかかる第一の基板2、第二の基板3としては、透明である限りにおいて特段に制限は無く、材質としては例えばガラス、及び合成樹脂(プラスチック)が挙げられる。プラスチックの材料も特に制限はないが、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の透明性を有するプラスチックを好適に採用することができる。本表示装置1はいわゆる反射型であり、第一の基板2又は第二の基板3の少なくとも一方が透明であればよい。
図1〜3に示すように、第一の基板2と第二の基板3との間には、両者間の距離を所望の厚さに保つためにスペーサ4が配置されている。本実施形態ではスペーサ4は複数の矩形の切抜き部41が形成された板状となっており、各切抜き部41にER流体5が充填されている。切り抜き部41は略正方形状であり、ER流体5が充填された各切抜き部41は本実施態様では表示セル(画素)11として機能する。なお図1では、説明の便宜のため表示セル11の間隔を広く描いている。
スペーサ4の材質は特に限定されず有機物、又は無機物のどちらの材料を用いてもよいが、ER流体5に印加される電界を弱めない程度に絶縁性を有していることが望ましい。具体的には、有機物としてポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン等の合成樹脂が挙げられる。無機物系のスペーサ4の材料としては、SiO等が挙げられる。スペーサ4の形状は本実施形態では板状であるが、一対の基板間の距離を所望の厚さに保つことができる限りにおいて特段に制限はなく、例えば、球状スペーサ、柱状のスペーサであってもよい。また、スペーサ4の厚さは、印加する電圧等によって適宜調整が可能であるが、概ね100μm〜5mm程度であることが好ましい。さらに、後述するようにシリコーン流体をスペーサ4として用いてもよい。
スペーサ4の切り抜き部41内部にはER流体5が充填され、これにより第一の基板2と第二の基板3との間にER流体層が形成されている。ER流体5は、電圧を印加して電界を生じさせることでレオロジー特性が変化する流動体であれば特段に制限されるものではないが、固体粒子5aとこの固体粒子5aを分散させる媒体として絶縁性の液体5bとを含む(後述する図4〜6参照)。
本表示装置1では固体粒子5aを分散させる絶縁性の液体5bとして有色のものを用いる。ここで、本明細書において「有色」とは、無色透明以外で、且つ、白色以外を意味し、黒、及び灰色を含むものとする。絶縁性の液体5bは有色不透明であっても有色透明であってもよい。
固体粒子5aは、絶縁性の液体5b中で電界に反応して移動し、電界方向にブリッジを形成できる粒子であれば特に限定されない。固体粒子5aの具体例としては、シリカ、セルロース、でんぷん、酸化チタン、二酸化チタン、水酸化チタン等を挙げられる。更には、例えば「工業材料(1994年、第142巻、第三号、104〜106頁)」に掲載されているような無機・有機複合粒子も用いることができる。
固体粒子5aはそれ自体がある特定の波長の光を吸収して色を有するように見えるものでもよいが、本表示装置1では絶縁性の液体5bが有色とされていることから、固体粒子5aは光を反射して白く見えるものを用いることが好ましい。光を反射して白く見える個体粒子5aとしては、酸化チタン、酸化ケイ素等があり、特に酸化チタンは光をよく反射するため、コントラストを向上させるため、好適に用いることができる。また、固体粒子5aの表面に金属をコーティングしてより光を反射するようにしてもよい。
固体粒子5aは、電圧が印加されて電界が形成された場合に速やかに液体5b中を移動して電界方向に沿ったブリッジを形成できることが好ましく、固体粒子の大きさは特段限定されるわけではないが、概ね5μm〜20μmの範囲内にあることが好ましい。
絶縁性の液体5bも特に限定されないが、例えば、フッ素系不活性液体、脂肪族飽和炭化水素、シリコーンオイル、流動パラフィン等を好適に用いることができる。絶縁性の液体5bとして有色のものを用いれば着色する必要はないが、上記例示に係る物質のように無色透明である場合は染料や顔料等の着色剤で着色する。
着色剤は、特に限定されるものではないが絶縁性の液体5bの電気的特性を変化させないよう、絶縁性のものを用いることが好ましい。また、着色剤が液体5b中で塊状になると固体粒子5aの挙動に影響を与えるおそれがあるため、液体5bへの溶解性に優れるものを用いることが好ましく、例えば色材が溶媒に溶けている染料の方が顔料より好ましい。着色する色としては、赤、青、緑、及び黒のいずれかとすることが典型的である。着色剤の具体例としては、赤系の染料としてコンゴーレッド、青系の染料としてフタロシアニンブルー、オイルブルー、緑系の染料としてフタロシアニングリーン、及び黒系の染料としてアニリン・ブラック等が挙げられる。着色剤の濃度は、0.001〜0.5重量%とすることが好ましい。
図4〜図6は、第一の電界及び第二の電界を発生させることによる画像の書き込み及び消去状態を説明するための図であり、表示セル11のひとつを図2のA−A´線方向で切断した場合の断面模式図である。
図3〜図6に示すように、各表示セル11には第一の基板2の片側表面、具体的にはER流体と接する面(以下、「内側面」2a)に沿って第一の電極対を構成する電極21aと電極21bとが設けられている。本実施形態においては、同一構成の一対の電極の一方をプラス側に接続して第一の電極対の一方の電極21aとして使用し、他方をマイナス側に接続して第一の電極対の他方の電極21bとして使用している。第一の電極対の電極21a及び21bは、正方形の切り抜き部41の互いに向かい合う一対の辺に沿ってほぼ平行に配置されている。両電極21a、21bの間は、本実施形態ではこれらの電極21a、21bに平行な長辺を有する略長方形状をなす。固体粒子5aは、後述する電界発生時において第一の基板2の内側面2aのこの矩形状部分に集まってブリッジを形成する。第一の電極対の電極21aと電極21bとは、第一の電源26を有する回路配線25で接続され、第一の電界発生手段21を構成している。
図5は、回路配線25の途中に設けられた第一のスイッチS1を入れることにより、第一の電極対の電極21aと電極21bとの間に電界を発生させた状態を示す図である。第一の電源26から電圧を加えることで、第一の電極対の電極21aと電極21bとの間に電界が形成される。これにより、電圧を印加していない状態(図4に示す状態)において分散状態であった固体粒子5aは、図5に示すように、第一の基板2側に分極してブリッジを形成する。より詳細には、固体粒子5aは、第一の基板2の内側面2aであって第一の電極対の一方である電極21aと他方である電極21bとの間の長方形状の部分を覆う面をなすようにブリッジを形成する。
同様に、第二の基板3の片側表面であってER流体と接する面(以下、「内側面」3a)に沿って第二の電極対を構成する電極31aと電極31bとが設けられている。第二の電極対の電極31aと電極31bは、第一の電極対の電極21a、21bと同様の構成である。第二の電極対の電極31a及び電極31bは、正方形の切り抜き部41の互いに向かい合う一対の辺に沿ってほぼ平行に配置されている。両電極31a、31bの間は、本実施形態ではこれらの電極31a、31bに平行に延びる長辺を有する略長方形状をなす。第二の電極対の電極31aと電極31bとは、第二の電源36を有する回路配線35で接続され、第二の電界発生手段31を構成している。
図6は、回路配線35の途中に設けられた第二のスイッチS2を入れることにより、第二の電極対の電極31aと電極31bとの間に電界を発生させた状態を示す図である。第二の電源36から電圧を加えることで、第二の電極対の電極31aと電極31bとの間に電界が形成される。これにより、図6に示すように、固体粒子5aは第二の基板3側に分極し、第二の基板3の内側面3aであって第二の電極対の電極31aと電極31bとの間の長方形状の部分を覆う面をなすようにブリッジを形成する。
このように、本表示装置1では画像の書き込みを行う場合は、第一の電極対を構成する電極21aと電極21bとの間に電界を発生させ、第一の基板2内側面2aに沿って固体粒子5aを集めてブリッジを形成させる。これにより、基板2内側面2aに対向する面であって表示面となる基板2の外側面2bから表示セル11に照射される光は、ブリッジを形成した固体粒子5aに反射される。したがって、基板の外側面2bを表示面として表示セル11を見る観察者Xには、表示セル11は反射のために白く見える。
一方、第一のスイッチS1を切り第一の電源26からの電圧印加を停止すると、第一の電極対を構成する電極21aと電極21bとの間での電界形成が停止される。このため、第一の基板2内側面2aに沿って形成されたブリッジは消滅し、第一の基板2に沿って起こっていた反射もなくなる。ここで、第一のスイッチS1を切ると同時に、第二のスイッチS2を入れて第二の電源36から電圧を印加すれば、第二の電極対を構成する電極31aと電極31bとの間に電界が生じる。この場合は、第二の基板3内側面3aに沿って固体粒子5aが集まりブリッジを形成する。したがって有色の絶縁性の液体5bが見えるようになり、絶縁性の液体5bの色が観察者Xに視認される。
前述のように従来は絶縁性の液体は無色透明であったが、本表示装置1では、絶縁性の液体5bを有色としているため、固体粒子5aを着色する必要がなく、固体粒子5aの流径を小さくできる。流径の小さな固体粒子5aは液体5b中で速やかに移動できるため、本表示装置1は応答特性が改善される。
また、電界発生手段21、31を第一の基板2、及び第二の基板3それぞれに設けることにより、対向する一対の基板2、3のそれぞれの側に固体粒子5aを分極させる。これにより固体粒子5aは第一の基板2又は第二の基板3のどちらかの内側面に沿ってブリッジを形成するため、コントラストをより高めることができる。すなわち、第一の基板又は第二の基板のいずれか一方の外側面に沿って反射板を配置する従来の反射型表示装置(図12参照)では、固体粒子により光が反射される状態(すなわち反射板の色は見えずに固体粒子の反射光、例えば白色が見える状態)でも十分な反射率が得られない。これは、従来の反射型表示装置では光の反射はブラウン運動により散らばった固体粒子の反射で行われるために、固体粒子の隙間から抜ける光も多いためと推察される。これに対し本発明では、固体粒子が第一の基板2又は第二の基板3のどちらかに沿ってブリッジを形成して面状に広がるため、十分な反射率が得られ、コントラストが改善される。
また、表示切替えの際には、一端ブリッジを形成した固体粒子5aを電界によって反対側の基板側に強制的に移動させることができる。したがって、ブラウン運動を利用してER流体5の層全体に固体粒子5aを再分散させて表示切替えを行う従来技術に比し、応答特性がより改善され、書き込み耐性も向上する。
また、従来技術では図11に示すように第一の基板2と第二の基板3とが向かい合う方向と同じ方向で向かい合う一対の電極D、D´を配置していた。そして、これら電極間D、D´を結ぶ回路配線Cの途中に設けた電源Vから電気を供給してER流体に電圧を印加していた。このため、固体粒子5aは表示面となる基板2、3の面に対して垂直に並んでブリッジを形成する。
なお、図11の表示装置1´は透過型であり、第一の基板2及び第二の基板3は、本発明に係る表示装置1の第一の基板2及び第二の基板3と同様、透明で、電極D、D´はこれら透明な基板2、3の一方の面に設けられた透明電極である。このような透過型の表示装置1´はバックライトを要する一方、従来技術によりバックライトの不要な反射型の表示装置を構成する場合、表示面となる基板(例えば第一の基板2)と反対側にある基板(第2の基板3)の外側面(すなわち、ER流体と接さない側の面)に沿って反射板Rを配置する必要がある(図12参照)。
このため、従来技術によればバックライトの不要な反射型の表示装置を構成するためには、反射板Rが必要になることに加え、上述したとおり反射率も十分でない。これに対し、本発明によれば反射板Rを配置することなく、バックライトの不要な反射型の表示装置を構成でき、上述したとおり固体粒子5aは表示面となる基板2、3の面に沿って並ぶため、反射面が大きくコントラストも改善される。
このような表示装置は、次のような手順で作成できる。まず、ガラス板等の透明な絶縁性材料で作られた一対の基板を用意する。それぞれの基板の片側表面には、透明導電膜等で電極を形成する。電極対を構成する一対の電極は同じ材料で形成することができ、例えば透明性と導電性を備える透明導電膜等で形成される。具体的には、酸化インジウムにスズを添加した酸化インジウム・スズ(ITO)膜、酸化亜鉛に酸化アルミニウムや酸化ガリウムを添加した膜、酸化スズに酸化アンチモンやフッ素を添加した膜等を材料とし、これらを基板の片側表面に膜状に蒸着させて電極を形成できる。
一対の基板は、電極が形成された面同士が向かい合うように配置し、間に表示セルとなる複数の切込み部等を設けたスペーサを介して互いに接合して一体化する。この際、切込み部内にER流体を注入する。ER流体は、表示セルとなる切込み部内に空気が存在しないように注入する。このようにしてER流体が水密的に封入された一対の基板は、電極に電圧をかける電源と接続し、電圧印加により表示を行う表示装置となす。
図7及び図8は、本表示装置1についての電源配線の一例を示す。図7は、第一の基板2における配線構造の等価回路を示す図であり、図8は、第二の基板3における配線構造の等価回路を示す図である。
第一の基板2及び第二の基板3はそれぞれ、他方の基板と向かい合う側(内側)の面2a、3aに、複数の走査配線66及び複数の信号配線65、これら走査配線と信号配線のそれぞれが交差して形成されるセルのそれぞれに設けられる複数のトランジスタ67、及び1サイクルの走査期間中に電圧を保持する蓄積容量68を有する。この例では、一つの表示セル11内に設けられる一電極対の一方の電極21a(又は31a)にはトランジスタを介してプラス電源が接続され、他方の電極21b(又は31b)はグランド接続されている。このように構成することにより、電極21aと電極21b(又は電極31aと電極31b)とに接続されたトランジスタ67をOn−Offすることにより、第一の基板2(又は第二の基板3)に沿って電界を発生させたり、電界発生を停止させたりできる。また、上記複数の走査配線及び複数の信号配線は、基板の周辺部に形成される周辺回路、別のテープ基板などに配置されるドライバ回路と接続することで制御できる。
なお、本実施態様では、第一の電極対の一方の電極21aと第二の電極対の一方の電極31aとはスペーサ4を挟んで対向し、第一の電極対の他方の電極21bと第二の電極の他方の電極31bともスペーサ4を挟んで対向している。しかし、電極対の一方の電極21a、31a同士、及び電極対の他方の電極21b、31b同士は必ずしも対向する必要はない。このように本実施形態に係る表示装置は、上記構成を採用する限りにおいて様々な態様で構成できる。
図9は、本発明の他の実施形態に係る表示装置10の製造途中を示す。この表示装置10では、ER流体として赤系、青系、及び青系の3種類を用い、さらに板状スペーサに代えて絶縁性のシール剤を用いた点で前記実施形態に係る表示装置1と異なる。具体的には、第一の基板2及び第二の基板3の間に、これら基板の周縁に沿って枠状にシール剤Jを塗布し、さらにシール剤Jで枠内を複数の列に仕切る。このようにシール剤により仕切られた列には赤色に着色した絶縁性の液体、青色に着色した絶縁性の液体、及び緑色に着色した絶縁性の液体をそれぞれ含むER流体の列を繰り返し並列に配置する。この例では、赤色絶縁性液体を含む赤色表示セル列11R、青色絶縁性液体を含む青色表示セル列11B、及び緑色絶縁性液体を含む緑色表示セル列11Gを繰り返し並列配置することで、フルカラー表示を可能としている。なおER流体は、シール剤で構成した枠の一部に切れ目を形成し、この切れ目を注入口Iとして注入することができる。
[実施例]
以下、上記実施形態の実施例について具体的に説明する。本実施例では、わかりやすくするために一表示セルの表示装置12について作成し、評価した。実施例で作成した一表示セルの表示装置12を図10に示す。
まず、基板として、10mm×10mmのガラス基板(厚さ1mm)2枚を用い、3mm×3mmの矩形の切抜き部41を有する厚さ3mmのシリコーンゴム製のスペーサ4を挟み込み、この切抜き部41に染料で青色に着色したER流体5を流し込んで一体化してER流体5を密封した。ER流体としては、絶縁性の液体としてシリコーンオイル(TSF451−10(登録商標)、GE東芝シリコーン製)を約284g、固体粒子として水酸化チタン粒子約16gを含む流体を用いた。
シリコーンオイルは、透明のものを、濃度97%の青色染料(Oil Blue N、Aldrich Chem製)で染料濃度が0.04重量%となるように着色して用いた。また、水酸化チタン粒子の平均粒径は15μmであった。
一対のガラス基板は、互いに向かい合う面(内側面)にITOを蒸着し、中央部分をエッチングして幅3mmの長方形状の部分を形成した。この表示装置12では、ITOを蒸着した部分のうち、長方形状部分を境にした一方の側は一対の電極の一方、他方の側は一対の電極の他方として機能し、長方形状部分に電界が形成される。(以下、長方形状部分を「電界形成部」と称する場合がある)。実施例では図10に示すように、第一の電極対及び第二の電極対の一方の電極21b及び電極31bを接地するとともに、第一の電極対及び第二の電極対の他方の電極21a及び電極31aのどちらか一方に電圧を印加する回路構成とした。
上記の表示装置12に対し、直流電源を用いて750V/mmで電圧を印加し、第一の基板2の内側面2a又は第二の基板3の内側面3aの電界形成部分に交互に電界を生じさせた。第一の基板2の内側面2a側に電界を発生させた場合を「前面反射状態」、第二の基板3の内側面3a側に電界を発生させた場合を「後面反射状態」として、第一の基板2外側面を表示面として、表示装置12の反射濃度をそれぞれの状態について測定(Macbeth社製RD−914を使用)した。なお、「後面反射状態」であっても、絶縁性の液体5bが有色不透明の場合や、有色透明であっても着色剤の濃度が高い場合には入射した光が第二の基板3の内側面3aの位置まで届かないケースもある。このため、「後面反射状態」とは必ずしも入射光が第二の基板3の内側面3aに反射される状態を意味するものではないが、ここでは第二の基板3の内側面3aに電界を発生させて粒子5aにブリッジ形成させる状態を「後面反射状態」と称するものとする。
測定の結果、前面反射状態における表示装置12の反射濃度は0.96、後面反射状態における表示装置12の反射濃度は1.98で、両者の間には1.02の反射濃度差が得られた。
[比較例]
比較例として、絶縁性の流体を着色せずに用いた実験を行った。比較例では図11の従来例の表示装置1´に反射板を設けることにより、図12に示す反射型表示装置1”とした。具体的には、一対の基板のそれぞれの片側面の全面にITOを蒸着して、一対の基板が向かい合う方向で向かい合う電極D、D´を設けた。これにより、比較例では実施例と直交する方向、すなわち基板の面に直交する方向に電界が形成されるようにした。また、比較例では第二の基板3の外側面に接して青色の着色反射板Rを配置した。その他の条件は実施例と同様にして、電圧を印加することにより反射板Rに光が反射して戻る状態(以下、便宜上「反射状態」称する)と、電圧を印加せずに固体粒子が分散して光が固体粒子によって反射される状態(以下、便宜上「散乱状態」と称する)とにおける反射濃度を測定した。
比較例では、反射状態の反射濃度は0.85、分散状態の反射濃度は1.41で、反射状態と分散状態との反射濃度差は0.56であった。また、実施例では、スイッチを切り替えることにより直ちに反射状態と分散状態とを切り替えることができたが、比較例では反射状態から分散状態に移行するまでに、実施例に比して約1秒の遅れがあった。
以上、本実施例に係る表示装置は、改善されたコントラスト及び応答特性を有することが確認された。
本発明は、種々の表示装置に適用が可能であり、限定されるわけではないが、例えば、パソコン、携帯電話やモバイル端末などのディスプレイ装置、電子ペーパー等に適用可能である。
一実施形態に係る表示装置の全体構成の概略を示す図。 前記実施形態に係る表示装置の一つの表示セルの拡大図。 前記表示セルの分解斜視図。 無電界状態での前記表示セルのA−A´線断面模式図。 電圧印加状態での前記表示セルのA−A´線断面模式図。 電圧印加状態での前記表示セルのA−A´線断面模式図。 前記実施形態に係る表示装置の一方の基板の配線例を示す図。 前記実施形態に係る表示装置の他方の基板の配線例を示す図。 別の実施形態に係る表示装置の製造途中の状態を示す図。 実施例で作成した一表示セルの表示装置の構成を示す図。 従来例に係る表示装置を示す図。 比較例に係る表示装置を示す図。
符号の説明
1、10、12 表示装置
2 第一の基板
3 第二の基板
4 スペーサ
5 ER流体
5a 固体粒子
5b 有色の絶縁性の液体
41 切抜き部
21 第一の電界発生手段
21a 電極(第一の電極対の一方)
21b 電極(第一の電極対の他方)
31 第二の電界発生手段
31a 電極(第二の電極対の一方)
31b 電極(第二の電極対の他方)

Claims (3)

  1. 対向して配置される第一の基板及び第二の基板と、
    前記第一の基板と前記第二の基板との間に保持されるエレクトロレオロジー流体と、を有する表示装置であって、
    前記エレクトロレオロジー流体は、有色の絶縁性の液体中に固体粒子を含有している表示装置。
  2. 前記エレクトロレオロジー流体に電圧を印加することにより、前記固体粒子に前記第一の基板側でブリッジを形成させる第一の電界発生手段と、
    前記エレクトロレオロジー流体層に電圧を印加することにより、前記固体粒子に前記第二の基板側でブリッジを形成させる第二の電界発生手段と、をさらに有する請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記第一の電界発生手段は、前記第一の基板の片側面であって前記エレクトロレオロジー流体に面する内側面に設けられる第一の電極対を有し、
    前記第二の電界発生手段は、前記第二の基板の片側面であって前記エレクトロレオロジー流体に面する内側面に設けられる第二の電極対を有する請求項1又は2に記載の表示装置。
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