JP2006161897A - 転がり軸受 - Google Patents

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兼明 松本
Kenichi Iso
賢一 磯
Yujiro Toda
雄次郎 戸田
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Abstract

【課題】 高温、高速、高荷重下で使用される場合でも、水素を起因とした剥離を防止することができるとともに、長時間にわたって、高い導電性能を維持することが可能となり、かつ長寿命化を図ることができる転がり軸受を提供する。
【解決手段】 玉軸受1を、内輪11と外輪12との間に保持器13を介して複数の玉14が略等間隔で回動自在に保持して構成する。さらに、内輪11と外輪12とにわたって導電性シール15を設け、内輪11、外輪12、保持器13、玉14および導電性シール15で形成される空所Sに、潤滑基油および増ちょう剤を含む導電性グリースを封入してある。
【選択図】 図2

Description

本発明は、導電性シールと導電性グリースとを併用した転がり軸受に関し、特に、自動車の電装部品、エンジン補機であるオルタネータやアイドラプーリ、ウォーターポンプ、カーエアコン用プーリ、カーエアコン用電磁クラッチ等の軸受、および車輪用軸受、ガスヒートポンプ用電磁クラッチ、コンプレッサ用軸受、モータ軸受など、白色組織変化を伴った早期剥離が発生する箇所に使用することができ、剥離寿命の延長を図ることができる転がり軸受に関する。
一般に、転がり軸受は、水素を起因として白色組織変化を伴った剥離を発生させる問題があるため、その防止が新たな重要課題となっている。そして、水素を起因とする白色組織変化を伴った剥離を発生させるのは、潤滑剤中に水分が混入することが原因の一つであり、そのことが、転がり軸受の寿命を大きく低下させているとされている。
例えば、自動車に用いられる軸受の場合、雨水や路面からはね返る泥水に侵される可能性がある。また、ウォーターポンプは冷却水の浸入も考えられる。
しかも、高温、高速回転(3000〜20000rpm)下で使用される場合も多く、静電気が発生し易く、水の電気分解により水素が発生し易い。
この水素を起因として剥離が発生する(例えば、特許文献1参照)。
そこで、水素の発生を抑制することが白色組織変化を伴った剥離を防ぐ要因の一つであることから、水素の発生を抑制するために種々の技術が開発され、そのうちの一つとして、カーボンブラックを含有させた導電性グリースを内部に封入させた転がり軸受が知られている(例えば、特許文献2参照)。
前記特許文献2の転がり軸受である玉軸受40は、図4に示す構成とされている。
すなわち、玉軸受40は、内輪41と外輪42との間に保持器43を介して複数の転動体である玉44を略等間隔で回動自在に保持する構成となっている。そして、内輪41、外輪42、保持器43、および玉44とで形成される空所Sにカーボンブラックを含有させた所定量の導電性グリースが充填され、この導電性グリースはシール45で封止されている。また、シール45の材料については記載されていないが、一般的にシール材料として使用されるニトリルゴム等が用いられているものと考えられる。
したがって、玉軸受40の内輪41と外輪42とは、導電性グリースによってのみ通電状態を維持できるようになっている。
特許第2878749号公報 特開2002−195277号公報(第2頁、図1)
しかし、前記特許文献1のように導電性グリースを使用する場合、使用初期では、軌道輪、つまり内輪41、外輪42と玉44との間に導電性に優れたカーボンブラックが十分に存在するので、内輪41、外輪42と玉44との導電性が確保され、優れた導電性を示すものとなっている。ところが、時間の経過とともに、カーボンブラックが内輪41、外輪42と玉44との間から排除されたり、あるいはカーボンブラック粒子のチェーンストラクチャーの破壊などにより、経時的に導電性が低下することが考えられる。そのため、内輪41と外輪42との間に電位差が生じ、そこに生じた静電気により、浸入した水が電気分解を起こして水素の発生が促進され、白色組織変化が発生する虞がある。その結果、転がり軸受の寿命を短くする可能性がある。
本発明の目的は、高温、高速、高荷重下で使用される場合でも、水素を起因とした剥離を防止することができるとともに、長時間にわたって、高い導電性能を維持することが可能となり、かつ長寿命化を図ることができる転がり軸受を提供することにある。
1)本発明の転がり軸受は、内輪と外輪との間に保持器を介して複数の転動体が等間隔で回動自在に保持されるとともに、前記内輪と外輪とにわたって導電性シールが設けられ、かつ前記内輪、外輪、保持器、転動体および導電性シールで形成される空所に潤滑基油および増ちょう剤を含む導電性グリースが封入されていることを特徴とする。
前記構成の転がり軸受によれば、内輪と外輪とにわたって導電性シールが設けられているので、軸受に発生する静電気を常時通電させて逃がすことができる。そのため、内外輪間の電位差がほとんどなくなり、仮に、内部に水が浸入したとしても、水分の電気分解を防止することができる。その結果、水素を起因とする白色組織変化を伴った剥離を防止でき、これにより、転がり軸受の長寿命化を図ることができる。
また、導電性グリースと導電性シールとを併用しているので、優れた導電性を示す導電性グリースの長所と長時間安定した導電性を示す導電性シールの長所を合わせ持つことができる。そのため、高温、高速、高荷重下で使用される場合でも、長時間、高い導電性能を維持することが可能となり、これにより、転がり軸受の長寿命化を図ることができる。
2)本発明の転がり軸受は、前記1)に記載した転がり軸受において、前記導電性シールが、導電性のゴム部材で補強部材を被覆して環状に形成されるとともに、前記導電性シールの外周固定部が前記外輪に固定され内周摺接部が前記内輪に摺接されていることを特徴とする。
前記構成の転がり軸受によれば、導電性シールが、導電性のゴム部材で補強部材を被覆して形成されているので、導電性シールの強度が確保され、その結果、長時間安定した導電性を維持することができる。
3)本発明の転がり軸受は、前記2)に記載した転がり軸受において、前記導電性のゴム部材が、ゴム材に導電性粒子と導電性繊維とを混入して構成されていることを特徴とする。
前記構成の転がり軸受によれば、導電性粒子同士の繋がりが導電性繊維で補強されるので、体積抵抗率を低下させることができる。
本発明の転がり軸受によれば、高温、高速、高荷重下で使用される場合でも、水素を起因とした剥離を防止することができるとともに、長時間にわたって、高い導電性能を維持することが可能となり、かつ長寿命化を図ることができる。
以下、本発明に係る転がり軸受の好適な実施の形態例を図面に基づいて説明する。
図1、図2には本実施形態の転がり軸受が示されており、図1は玉軸受1の断面図、図2は導電性シール15の取付け部分の拡大図である。
図1に示すように、玉軸受1は、内輪11と外輪12との間に保持器13を介して複数の転動体である玉14を略等間隔で回動自在に保持する構成となっている。そして、内輪11と外輪12とにわたって導電性シール15が設けられている。
また、内輪11、外輪12、玉14、保持器13および導電性シール15とで形成される空所Sには、潤滑基油および増ちょう剤を含み構成された導電性グリースが封入されている。
なお、本実施形態の転がり軸受としては玉軸受1が使用されているが、転がり軸受として、例えば、ころ軸受を用いてもよい。
[導電性シール]
前記導電性シール15は、玉軸受1の内輪11と外輪12とを同電位とするためのシールであり、図2に詳細を示すように、導電性のゴム19で補強部材としての芯金16を被覆して環状に形成されている。
導電性シール15の外周部は、断面略団扇形状に形成され、わずかに内側(玉14側)に向いており、導電性シール15を外輪12に固定する際の外周固定部15Aとなっている。また、導電性シール15の内周部の内側には、内周部の先端から外周部に向かって広くなる傾斜部が形成されており、この傾斜部は内輪11の、次に述べるテーパ部11Aと摺接する内周摺接部15Bとなっている。
これに対して、外輪12の内周外側面部には窪み状の外輪板溝12Aが形成されている。そして、この外輪板溝12Aには、ゴム19の弾性を利用して前記固定部15Aを嵌め込むことで、導電性シール15が外輪12に固定されるようになっている。
また、内輪11の外周外側面部には、前記空所Sから外側に向かって傾斜するテーパ部11Aが形成されている。そして、このテーパ部11Aには、前述のように摺接部15Bが摺接・係合されており、これにより、外輪12と内輪11とが、常時、電気的に通電されている。
導電性のゴム19は、任意のゴム材に、導電性粒子としてのカーボンブラックと導電性繊維22を所望量混入形成したものである。
ゴム材料としては、本実施形態では二トリルゴムを使用するが、一般的にシール材料として用いられるアクリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴムを使用してもよく、適宜その材料が選択可能である。
導電性粒子としては、本実施形態ではカーボンブラックを用いたが、これに替えてグラファイトやインジウム/スズ酸化物、アンチモン/スズ酸化物などの導電性金属酸化物を使用することができ、それらの材料が適宜選択可能である。
導電性繊維22としては、ステンレス繊維、炭素繊維(カーボンファイバー、カーボンチュウブ)、あるいはチタン酸カリウムにメッキした導電性繊維(例えば大塚化学社製)を使用することができる。
また、導電性繊維22の繊維の太さ、長さは任意のものを選択可能なものである。そして、本実施形態では、導電性繊維22として、太さが10μm、長さ200〜300μmのステンレス繊維が使用されている。
ゴム材料に混入される導電性粒子と導電性繊維22の総量は、好ましくはゴム材料100重量部に対して20〜120重量部とされ、本実施形態では80重量部とされている。
導電性粒子と導電性繊維22の総量が20重量部より少ないと、十分な導電性を得ることができず、120重量部以上含有すると、ゴム19の十分な弾性が得られなくなる。
以上のように、任意のゴム材を、導電性粒子であるカーボンブラックと導電性繊維22とを所望量混入した導電性ゴム19により被覆して導電性ゴムシール15を形成したため、カーボンブラック同士の繋がりが導電性繊維22で補強され、その結果、電気絶縁抵抗の大きさを表す体積抵抗率を0.1〜1Ω・cm程度に低下できる。
[導電性グリース]
(基油)
導電性グリースを組成する基油は特に限定されず、通常潤滑油の基油として使用されている油はすべて使用することができる。
好ましくは、低温流動性不足による低温起動時の異音発生や、高温で油膜が形成され難いために起こる焼付きを避けるために40℃における動粘度が、好ましくは10〜400mm/sec、より好ましくは20〜250mm/sec、さらに好ましくは40〜150mm/secである基油が望ましい。
具体例としては、鉱油系、合成油系または天然油系の潤滑油などが挙げられる。
鉱油系の潤滑油としては、鉱油を減圧蒸留、油剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、硫酸洗浄、白土精製、水素化精製等を適宜組み合わせて精製したものを用いることができる。
合成油系の潤滑油としては、炭化水素系油、芳香族系油、エステル系油、エーテル系油等が挙げられる。
炭化水素系油としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、ポリブテン、ポリイソブチレン、1-デセンオリゴマー、1-デセンとエチレンコオリゴマーなどのポリ-α-オレフィン、またはこれらの水素化物などが挙げられる。
芳香族系油としては、モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、などのアルキルベンゼン、あるいは、モノアルキルアフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレンなどのアルキルナフタレンなどが挙げられる。
エステル系油としては、ジブチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジトリデシルグルタレート、メチル・アセチルシノレート、などのジエステル油、あるいは、トリオクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、テトラオクチルピロメリテートなどの芳香族エステル油、さらには、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールベラルゴネート、などのポリオールエステル油、さらにはまた、多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合脂肪酸とのオリゴエステルであるコンプレックスエステル油などが挙げられる。
前記エーテル系油としては、ポリエチレングリーコール、ポリプロピレングリーコール、ポリエチレングリーコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、などのポリグリコール、あるいは、モノアルキルトリフェニルエーテル、アルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテルなどのフェニルエーテル油などが挙げられる。
その他の合成潤滑基油としては、トリクレジルフォスフェート、シリコーン油、パーフルオロアルキルエーテルなどが挙げられる。
天然油系の潤滑基油としては、牛脂、豚脂、大豆油、菜種油、米ぬか油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、などの油脂系油、またはこれらの水素化物が挙げられる。
これらの基油は、単独または混合物として用いることができ、前述した好ましい動粘度に調整される。
(増ちょう剤)
導電性グリースを組成する増ちょう剤は、ゲル構造を形成し、前記基油をゲル構造中に保持する能力があれば、特に制約はない。例えば、Li、Na等からなる金属石鹸、Li、Na、Ba、Ca等から選択される複合金属石鹸類、ベントン、シリカゲル、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物等の非石鹸類を適宜選択して使用できる。しかし、グリースの耐熱性を考慮すると、ウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物、または、これらの混合物が好ましい。
このウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ウレタン化合物としては、具体的には、ジウレア化合物、トリウレア化合物、テトラウレア化合物、ポリウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物が挙げられ、これらの中でも、ジウレア化合物、ウレア・ウレタン化合物、ジウレタン化合物またはこれらの混合物がより好ましい。耐熱性、音響性を考慮すると、さらに好ましくは、ジウレア化合物を配合することが望ましい。
(導電性物質)
導電性グリースを組成する導電性物質は、導電性の良好な物質なら液体でも固体でもよく、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが使用され、特にカーボンブラックを用いることが好ましい。
(添加剤)
導電性グリースに摩耗防止効果のある摩耗防止剤、極圧剤、油性剤のうち少なくとも一つを加えると、軸受損傷を抑え、安定した導電性寿命をグリースに付与することができ、剥離寿命を延長することができる。そして、導電性の経時的な低下をさらに長期にわたって抑えるためには、摩耗防止剤と油性剤とを併用することが好ましい。特に、摩耗防止剤としては、亜リン酸エステル、油性剤として、カルボン酸無水物を用いた場合は、導電性の経時的な低下を抑える効果が特に優れている。また、自動車電装品のように、高温で使用され、かつ水の浸入のおそれがある場合は、酸化防止剤、防錆剤を加えることで、グリースの劣化を抑制することが可能である。
(濃度)
導電性物質の好ましい添加量は、グリース全量に対して、0.1〜10重量%である。添加量がこれより少ないと、十分な導電性を有することができず、これより多く含有するとグリースが硬化し、焼付き寿命が低下するおそれがあるため好ましくない。
導電性を確実にし、さらに焼付き寿命の低下を考慮するなら、グリース全量に対して各々0.5〜5重量%が望ましい。また、導電性物質添加後のグリースちょう度が、NLGINo.1〜No.3であることが、より望ましい。
(製法)
本発明の転がり軸受用グリース組成物を調整する方法には特に制約はない。しかし、一般的には、基油中で増ちょう剤を反応させて得られる。導電性物質は、得られたグリース組成物に所定量を配合することが好ましい。ただし、ニーダやロールミル等で導電性物質を添加した後、十分攪拌し、均一分散させる必要がある。この処理を行うときは、加熱するものも有効である。なお、上記製法において、摩耗防止剤や酸化防止剤等の添加剤は、導電性物質と同等に添加することが工程上好ましい。
以上の本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、内輪11と外輪12とにわたって導電性シール15が設けられているので、玉軸受1に発生する静電気を常時通電させて逃がすことができる。そのため、内輪11、外輪12間の電位差がほとんどなくなり、仮に、内部に水が浸入したとしても、水分の電気分解を防止することができる。その結果、水素を起因とする白色組織変化を伴った剥離を防止でき、これにより、玉軸受1の長寿命化を図ることができる。
また、玉軸受1が導電性グリースと導電性シール15とを併用しているので、優れた導電性を示す導電性グリースの長所と長時間安定した導電性を示す導電性シール15の長所を合わせ持つことができる。そのため、高温、高速、高荷重下で使用される場合でも、長時間、高い導電性能を維持することが可能となり、これにより、玉軸受1の長寿命化を図ることができる。
さらに、導電性シール15が、導電性のゴム部材19で芯金16を被覆して形成されているので、導電性シール15の強度が確保され、長時間安定した導電性を維持することができる。
また、導電性のゴム部材19が、任意のゴム材にカーボンブラックとステンレス繊維22とを混入して構成されており、カーボンブラック同士の繋がりがステンレス繊維22で補強されるので、体積抵抗率を低下させることができる。
また、任意のゴム材に対するカーボンブラックと導電性繊維との総量は、ゴム材料100重量部に対して80重量部とされているので、導電性シール15が、十分な導電性を有し、かつ十分な弾性を有するものとなる。
次に、本実施形態の実施例を説明する。
以下に、実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
玉軸受1を、内輪11と外輪12との間に、保持器13によって複数個の玉14を回動自在に案内支持させて組み込み、内輪11と外輪12との間に導電性ゴムシール15を設けて構成する。そして、内輪11、外輪12、玉14、保持器13および導電性ゴムシール15とで形成される空所Sには導電性グリースを封入してある。
導電性ゴムシール15の玉軸受1への取付けは、外輪12の外輪板溝20に対して、導電性ゴムシール15を、その弾性を利用して固定部15Aを嵌合固定し、摺接部15Bは、内輪11に形成されたテーパ部11Aと摺接させることによって、内外輪間を電気的に通電するようにした。
導電性ゴムシール15は、芯金16を補強材にして導電性ゴム19で覆って形成されたものであり、導電性ゴム19は、ニトリルゴムにカーボンブラックと導電性繊維であるステンレス繊維をゴム材料100重量部に対して80重量部混入して加硫成形したものである。そして、ステンレス繊維は太さ10μm、長さ300μmのものを使用した。また、シールリップ部に導電性グリースを塗布すれば、より導電性を維持できる。
(急加減速試験)
剥離寿命を、エンジンを用いてオルタネータに組み込んだ軸受を急加減速させることで評価した。すなわち、導電性シールを使用し、表1に示す組成にて調製された試験グリース組成物を2.5g封入した単列深溝玉軸受(内径φ17mm、外径φ47mm、幅14mm)をオルタネータに組み込み、エンジン回転数1000〜6000rpm(軸受回転数2400〜13300rpm)の繰り返し、室温雰囲気下、プーリ荷重1560Nの条件で、軸受を連続回転させ、2000時間を目標に試験を行った。また、軸受外輪転送面に剥離が生じて振動が発生したとき、あるいは剥離が発生しない場合には2000時間経過した時点で試験を終了した。また、試験終了後、軸受内部の組織変化の有無について目視による観察も行った。また、試験は各10例行い、下記式により、剥離発生確率および組織変化発生確率をそれぞれ算出した。
剥離発生確率=(剥離発生数/試験数)×100
組織変化発生確率=(組織変化発生数/試験数)×100
Figure 2006161897
(剥離寿命試験)
試験条件は上記急加減速試験の方法と同様であるが、侵入した水の影響を見るため、グリース全量を100%として水を5%混入させたグリースを封入して剥離試験を行った。
(500時間後の組織変化)
上記試験を500時間で打ち切り、組織変化の有無を目視で確認した。
図3には急加減速試験による結果が示されている。この図3によれば、導電性グリースと導電性シールとを併用することにより、剥離発生率および組織変化発生率が低く、優れた結果が得られている。
これに対して、導電性グリースとニトリルゴムのシールとを使用した転がり軸受では、剥離発生率および組織変化発生率が高い発生しやすいものとなっている。
また、剥離寿命試験および500時間後の組織変化については、本発明の導電性シールを使用した方がニトリルゴムシールに比べて、はるかに優れた結果を示した。
なお、本発明に係る転がり軸受は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、前記実施形態では、導電性ゴムシール15の全体形状は、外輪板溝12Aに嵌合する断面略団扇形状の固定部15Aと、内輪11のテーパ部11Aに摺接する摺接部15Bとを有する形状となっているが、これらの形状は特に限定されない。
また、導電性ゴムシール15の取付けに際して、シール15の内周部に固定部を形成して内輪11に固定し、外周部に摺接部を形成して外輪12に摺接するようにしてもよい。要は、内輪11、外輪12間にわたって設けられ、両者11,12の間を通電状態にできる形状であればよい。
また、前記実施形態では、導電性ゴムシール15を、導電性のゴム19で芯金16を被覆して環状に形成しているが、これに限らず、必ずしも芯金16を設けなくてもよい。
本発明に係る転がり軸受の一実施形態を示す断面図である。 前記実施形態の導電性シールと内輪、外輪との取り付け状態を拡大して示す部分縦断面図である。 実施例で求められたカーボンブラックの添加量と剥離発生率および組織変化発生確率との関係を示すグラフである。 従来の転がり軸受を示す縦断面図である。
符号の説明
1 転がり軸受
11 内輪
11A テーパ部
12 外輪
12A 外輪板溝
13 転動体である玉
15 導電性シール
15A 外周固定部
15A 内周摺接部
19 導電性ゴム
22 導電性繊維

Claims (3)

  1. 内輪と外輪との間に保持器を介して複数の転動体が等間隔で回動自在に保持されるとともに、前記内輪と外輪とにわたって導電性シールが設けられ、かつ前記内輪、外輪、保持器、転動体および導電性シールで形成される空所に潤滑基油および増ちょう剤を含む導電性グリースが封入されていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記導電性シールが、導電性のゴム部材で補強部材を被覆して環状に形成されるとともに、前記導電性シールの外周固定部が前記外輪に固定され内周摺接部が前記内輪に摺接されていることを特徴とする請求項1に記載した転がり軸受。
  3. 前記導電性のゴム部材が、ゴム材に導電性粒子と導電性繊維とを混入して構成されていることを特徴とする請求項2に記載した転がり軸受。
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