JP2006161743A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エンジン冷却水を保温状態で一時的に蓄える蓄熱システムを用いて燃費の向上を図る。
【解決手段】 エンジンECUは、エンジン冷却水温を検知するステップ(S100)と、エンジン冷却水温が予め定められた範囲にない場合(S110にNO)またはエンジン冷却水温が予め定められた範囲にあってもエンジン冷却水温の時間変化率が予め定められた範囲にない場合(S110にてYES、S130にてNO)において、エンジン冷却水温低下要求があると(S150にてYES)エンジン冷却水温低下処理を実行するステップと、エンジン冷却水温上昇要求があると(S160にてYES)エンジン冷却水温上昇処理を実行するステップとを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図2
【解決手段】 エンジンECUは、エンジン冷却水温を検知するステップ(S100)と、エンジン冷却水温が予め定められた範囲にない場合(S110にNO)またはエンジン冷却水温が予め定められた範囲にあってもエンジン冷却水温の時間変化率が予め定められた範囲にない場合(S110にてYES、S130にてNO)において、エンジン冷却水温低下要求があると(S150にてYES)エンジン冷却水温低下処理を実行するステップと、エンジン冷却水温上昇要求があると(S160にてYES)エンジン冷却水温上昇処理を実行するステップとを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、液媒体を保温状態で一時的に蓄える蓄熱システムを搭載した車両の制御装置に関し、特に、内燃機関に高温の液媒体を供給したり、内燃機関に低温の液媒体を供給したりして、内燃機関の温度を制御する車両の制御装置に関する。
自動車などに搭載される内燃機関が冷間状態で始動される場合には、吸気ポートや燃焼室等の壁面温度が低くなるため、燃料が霧化し難くなるとともに燃焼室の周縁部において消炎が発生し易くなり、始動性の低下や排気エミッションの悪化などが誘発される。
このような問題に対し、水冷式内燃機関において高温の冷却水を保温貯蔵する蓄熱装置を備え、内燃機関の始動時などに蓄熱装置に貯蔵されている冷却水を内燃機関へ供給することにより内燃機関の昇温を図り、以て始動性の向上や暖機の早期化を図る技術が提案されている。
たとえば、特開2003−184553号公報(特許文献1)に開示された蓄熱装置を備えた内燃機関は、内燃機関のシリンダヘッドに形成され、熱媒体が流通する熱媒体流通路と、熱媒体流通路を流れる熱媒体の一部を保温貯蔵する蓄熱装置と、蓄熱装置から熱媒体流通路へ熱媒体を導く第1の熱媒体通路と、熱媒体流通路から蓄熱装置へ熱媒体を導く第2の熱媒体通路と、第1の熱媒体通路と第2の熱媒体通路とを択一的に導通させる通路切換手段とを備える。
この蓄熱装置を備えた内燃機関によると、通路切換手段が第1の熱媒体通路を導通させることにより、蓄熱装置内に保温貯蔵されている高温の熱媒体が第1の熱媒体通路を介して直接的に熱媒体流通路へ供給されるとともに、通路切換手段が第2の熱媒体通路を導通させることにより、熱媒体流通路内の高温の熱媒体が第2の熱媒体通路を介して直接的に蓄熱装置へ供給される。このように熱媒体流通路と蓄熱装置との間で直接的に熱媒体の授受が行なわれると、蓄熱装置から熱媒体流通路へ熱媒体を供給する際の熱損失が最小限に抑制されるとともに、熱媒体流通路から蓄熱装置へ熱媒体を供給する際の熱損失も最小限に抑制される。この結果、熱媒体流通路内の熱媒体が持つ熱量が少ない場合であっても、その少ない熱量が効率良く蓄熱装置に蓄えられることになる。
また、このような蓄熱装置とは全く異なる観点で、地球温暖化の防止や省資源化の観点から、交差点等において赤信号で車両が停車するとエンジンを自動的に停止させて、再び走行を始めようと運転者が操作すると(たとえばアクセルペダルを踏んだり、あるいはブレーキペダルの踏み込みを止めたり、シフトレバーを前進走行ポジションに切り替えるなどの操作を行なうと)、エンジンが再始動するアイドリングストップシステム(エコノミーランニングシステム、エンジンオートマチックストップアンドスタートシステムとも呼ばれる。以下、エコランシステムと記載する場合もある。)が実用化されている。このシステムにおいては、エンジンの再始動時には、車両に搭載された二次電池の電力を用いてモータジェネレータやスタータモータなどの電動機によりクランクシャフトを回転させてエンジンを再始動させる。
たとえば、特開2003−201882号公報(特許文献2)は、所定の停止条件または復帰条件に基づいて、エンジンを停止状態と運転状態とに自動的に変更する自動停止・復帰制御を行なうことが可能であり、エンジンの動力により駆動される冷却装置により、エンジンを冷却することの可能な車両のエンジン制御装置において、所定値以上の車速で所定時間以上連続して車両が走行する連続高速走行が行なわれたか否かを判断する走行状態判断手段と、連続高速走行が行なわれたことが判断されてから停止条件が成立した場合は、エンジンの自動停止制御を禁止する自動停止禁止手段とを備える。
この車両のエンジン制御装置によると、車両の連続高速走行が行なわれたことが判断されてから停止条件が成立した場合は、エンジンの停止制御が禁止される。したがって、冷却装置の機能の低下が抑制される。その結果、エンジンの温度上昇を抑制することができる。
特開2003−184553号公報
特開2003−201882号公報
しかしながら、特許文献1に開示された蓄熱装置を備えた内燃機関と、特許文献2に開示された車両のエンジン制御装置とは、全く別の目的でなされたものであるため、これらを関連付けることは困難である。また、たとえば、特許文献2に開示された車両のエンジン制御装置においてエンジンの停止時間をできるだけ長くして燃費を向上させるというための方策についての開示がない。
特に、冷却水温を制御するために複数の温度センサを備えて、エンジンの温度について制御してアイドリングストップ条件を満足しようとしても、エンジン冷却水温を検知するセンサの位置と、蓄熱装置に蓄えられた保温状態の冷却水(冷水、温水)の温度センサの位置とが異なるので、温度変化に遅れ時間が発生してフィードバック制御が良好でない場合がある。すなわち、フィードバック制御の結果、オーバーシュートやアンダーシュートが発生することがある。このような場合において、オーバーシュートやアンダーシュートが発生したタイミングがアイドリングストップ条件の判断時に合致すると、アイドリングストップされないで、燃費が向上しない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、液媒体を保温状態で一時的に蓄える蓄熱システムを用いて内燃機関の温度安定性を高めて燃費の向上を図る、蓄熱システムが搭載された車両の制御装置を提供することである。
第1の発明に係る車両の制御装置は、内燃機関に設けられた流路を循環する液媒体の一部を保温貯蔵するための貯蔵手段と、貯蔵手段内の液媒体を内燃機関との間で循環させるための循環手段とが搭載された車両を制御する。この制御装置は、内燃機関の温度を検知するための手段と、貯蔵手段における液媒体の温度を検知するための手段と、検知された内燃機関の温度および液媒体の温度に基づいて、内燃機関の温度が予め定められた範囲内に収まるように、貯蔵手段内の液媒体の内燃機関への供給および供給の停止を行なうように、循環手段を制御するための制御手段とを含む。
第1の発明によると、たとえば、アイドリングストップが許可されるためには、内燃機関の温度(内燃機関を冷却する液媒体の温度)が予め定められた下限値よりも高く上限値よりも低いことが求められる。すなわち、内燃機関の温度が予め定められた範囲内に収まっていないとアイドリングストップが許可されない。これは、上限値よりも高いと内燃機関により駆動される液媒体循環ポンプが停止してオーバーヒートの要因となり、下限値よりも低いとドライバビリティの悪化やエミッションの悪化の要因となるためである。そのため、制御手段は、内燃機関の温度がその上限値よりも高いと貯蔵手段内の低温の液媒体を内燃機関に供給するように循環手段を制御して内燃機関の温度を低下せしめて、内燃機関の温度がその下限値よりも低いと貯蔵手段内の高温の液媒体を内燃機関に供給するように循環手段を制御して内燃機関の温度を上昇せしめて、内燃機関の温度を予め定められた範囲内に収める。このときに、検知された内燃機関の温度および液媒体の温度に基づいて、たとえばオーバーシュートやアンダーシュートが発生しないように到達する内燃機関の温度を予測する。このようにして、温度安定性を高めることができ、オーバーシュートやアンダーシュートが発生することによるアイドリングストップの条件不成立を回避することができる。たとえば、アイドリングストップ条件が満足されると車両の一時的な停止時に内燃機関が停止されて燃費を向上させることができる。また、内燃機関の温度安定性が高まると、内燃機関の潤滑油の温度安定性も高まり、ピストンとシリンダとの間の摺動抵抗を低減できるとともに、十分な油圧を確保することができ、燃費を向上させることができる。その結果、液媒体を保温状態で一時的に蓄える蓄熱システムを用いて内燃機関の温度安定性を高めて燃費の向上を図る、蓄熱システムが搭載された車両の制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、制御手段は、検知された温度に基づいて、到達する内燃機関の温度を予測して、内燃機関の温度が予め定められた範囲内に収まるように、循環手段を制御するための手段を含む。
第2の発明によると、内燃機関の温度と貯蔵手段内の液媒体の温度との差およびエンジンの熱容量等に基づいて、到達温度を予測して、予め定められた適正温度の範囲から逸脱するオーバーシュートやアンダーシュートが発生しないようにすることができる。
第3の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、制御手段は、検知された温度の時間変化率に基づいて、到達する内燃機関の温度を予測して、内燃機関の温度が予め定められた範囲内に収まるように、循環手段を制御するための手段を含む。
第3の発明によると、内燃機関の温度の変化率に基づいて、到達温度を予測して、予め定められた適正温度の範囲から逸脱するオーバーシュートやアンダーシュートが発生しないように、貯蔵手段から内燃機関に供給する冷水や温水の量を算出することができる。
第4の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、貯蔵手段には、内燃機関よりも低温の液媒体が貯蔵される。制御手段は、低温の液媒体を内燃機関に供給することにより、内燃機関の温度が予め定められた範囲の上限温度よりも低くなるように、循環手段を制御するための手段を含む。
第4の発明によると、貯蔵手段には、内燃機関よりも低温の液媒体が貯蔵されており、この液媒体を用いて内燃機関の温度を低下させることができる。制御手段は、内燃機関の温度が適正範囲の上限値よりも高くなることが予測されると、貯蔵手段内の低温の液媒体を内燃機関に供給するように循環手段を制御して内燃機関の温度を低下せしめて、適正範囲から逸脱しないようにすることができる。
第5の発明に係る車両の制御装置においては、第4の発明の構成に加えて、車両には、液媒体を放熱するための放熱手段がさらに搭載される。制御手段は、貯蔵手段内の液媒体を内燃機関に供給するように、循環手段を制御するとともに、液媒体を放熱手段に供給するように循環手段を制御するための手段を含む。
第5の発明によると、放熱手段により液媒体の熱量が放出されて液媒体の温度が低下するので、より効率的に内燃機関の温度を低下させることができる。
第6の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜3のいずれかの発明の構成に加えて、貯蔵手段には、内燃機関よりも高温の液媒体が貯蔵される。制御手段は、高温の液媒体を内燃機関に供給することにより、内燃機関の温度が予め定められた範囲の下限温度よりも高くなるように、循環手段を制御するための手段を含む。
第6の発明によると、貯蔵手段には、内燃機関よりも高温の液媒体が貯蔵されており、この液媒体を用いて内燃機関の温度を上昇させることができる。制御手段は、内燃機関の温度が適正範囲の下限値よりも低くなることが予測されると、貯蔵手段内の高温の液媒体を内燃機関に供給するように循環手段を制御して内燃機関の温度を上昇せしめて、適正範囲から逸脱しないようにすることができる。
第7の発明に係る車両の制御装置においては、第6の発明の構成に加えて、車両には、液媒体を放熱するための放熱手段がさらに搭載される。制御手段は、貯蔵手段内の液媒体を内燃機関に供給するように、循環手段を制御するとともに、液媒体を放熱手段に供給しないように、循環手段を制御するための手段を含む。
第7の発明によると、放熱手段により液媒体の熱量が放出されないで液媒体の温度が低下しないので、より効率的に内燃機関の温度を上昇させることができる。
第8の発明に係る車両の制御装置においては、第1〜7のいずれかの発明の構成に加えて、循環手段は、電動式のポンプを含み、制御手段は、ポンプへ印加される電力値を制御するための手段を含む。
第8の発明によると、内燃機関の到達温度を予測して、予め定められた適正温度の範囲から逸脱するオーバーシュートやアンダーシュートが発生しないように、貯蔵手段から内燃機関に供給する冷水や温水の量を算出して、その量だけが内燃機関に供給されるように電動ポンプを作動させる。これにより、内燃機関の温度を適正範囲から逸脱しないようにすることができる。なお、ポンプへ印加される電力値を制御するとは、電圧値や電流値を制御すること、電力印加時間を制御すること、制御デューティを変化させること等を含む。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置の制御対象である蓄熱システムの制御ブロック図を示す。
図1に示す蓄熱システムは、内燃機関(エンジン)を搭載した車両に適用される。なお、この車両は、エンジンのみを搭載した車両であってもよいし、エンジンとバッテリにより駆動されるモータとを搭載したハイブリッド車両のいずれであってもよい。
図1に示すように、この蓄熱システムは、シリンダヘッド(以下、ヘッドと記載する。)100およびシリンダブロック110に設けられた冷却水流路を流れる冷却水の一部を蓄熱タンク310に保温して貯蔵しておいて、その冷却水を必要に応じて蓄熱タンク310からヘッド100やシリンダブロック110に供給する。ヘッド100およびシリンダブロック110とラジエータ400またはラジエータバイパス通路410との間において、機械式ウォータポンプ200により冷却水が循環される。ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410のいずれを通るかについては、流量制御弁430により制御される。
蓄熱タンク310からヘッド100およびシリンダブロック110への冷却水の供給は電動式ウォータポンプ300により行なわれる。電動式ウォータポンプ300を駆動することにより、蓄熱タンク310内の冷却水(温水であったり冷水であったりする)が三方弁610を介してヘッド100、シリンダブロック110、ヒータコア500等に供給される。三方弁610は、全閉状態、全開状態(ポートA、ポートBおよびポートCを連通状態)、ポートAとポートBとを連通状態、ポートAとポートCとを連通状態、ポートBとポートCとを連通状態の5通りの状態を実現することができる。
また、この蓄熱システムの温度センサとして、ヘッド100の冷却水出口側に設けられたエンジン冷却水温度センサ120と、蓄熱タンク310の出口側に設けられた蓄熱タンク出口温度センサ320と、ラジエータ400の出口に設けられたラジエータ出口水温センサ420とが設けられる。これらの温度センサからの信号は、エンジンECU(Electronic Control Unit)1000に入力される。
また、エンジンECU1000は、電動式ウォータポンプ300、三方弁610、流量制御弁430を制御する。流量制御弁430は、制御デューティを変更することにより、ラジエータ400に流通する冷却水の流量およびラジエータバイパス通路410を流通する冷却水の流量を制御することができる。このとき、流量制御弁430は、ラジエータ400のみに、ラジエータバイパス通路410のみに、ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410に、冷却水を流すことができる。流量制御弁430は、エンジンECU1000から全開指令信号を受信すると、冷却水の全量をラジエータ400に流すように、流量を制御する。また、流量制御弁430は、エンジンECU1000から全閉指令信号を受信すると、冷却水の全量をラジエータバイパス通路410に流すように、流量を制御する。さらに、流量制御弁430は、エンジンECU1000から指令信号を受信して、冷却水の一部をラジエータ400に流して、残りの冷却水をラジエータバイパス通路410に流すように流量を制御することもできる。
また、エンジンECU1000は、電動式ウォータポンプ300を駆動するモータの制御デューティを変更することにより、モータの回転数を制御して、電動式ウォータポンプ300の吐出量を制御することができる。また、この制御は、電動式ウォータポンプ300のモータの電圧を可変とすることにより行なってもよい。また、電動式ウォータポンプ300のモータの通電時間を変更することにより、電動式ウォータポンプ300の駆動時間を制御して、電動式ウォータポンプ300から吐出される総冷却水量を制御するようにしてもよい。
図2を参照して、図1のエンジンECU1000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、エンジンECU1000は、エンジン冷却水温THW(1)を検知する。このとき、エンジン冷却水温THW(1)は、エンジン冷却水温センサ120からエンジンECU1000に入力された信号に基づいて、検知される。
S110にて、エンジンECU1000は、エンジン冷却水温の適正水温領域における低温側しきい値<エンジン冷却水温THW(1)<高温側しきい値であるか否かを判断する。このエンジン冷却水温の適正水温領域とは、アイドリングストップが許可されるエンジン冷却水の温度範囲であったり、エンジンオイルによる摺動抵抗が低い範囲であったりする。エンジン冷却水温の適正水温領域における低温側しきい値<エンジン冷却水温THW(1)<高温側しきい値であると(S110にてYES)、処理はS120へ移される。もしそうでないと(S110にてNO)、処理はS140へ移される。
S120にて、エンジンECU1000は、エンジン冷却水温THW(1)の時間変化率dTHW(1)/dtを算出する。S130にて、エンジンECU1000は、エンジン冷却水温の適正水温領域に対応する温度低下側しきい値(変化率)<エンジン冷却水温THWの時間変化率dTHW(1)/dt<温度上昇側しきい値(変化率)であるか否かを判断する。このエンジン冷却水温の適正水温領域に対応するしきい値(変化率)とは、適正水温領域内に収めることができる温度変化率である。この温度変化率は、現在のエンジン冷却水温THW(1)が相当の時間が経過した場合であっても適正水温領域から逸脱しない変化率に設定されている。温度低下側しきい値(変化率)<エンジン冷却水温THWの時間変化率dTHW(1)/dt<温度上昇側しきい値(変化率)であると(S130にてYES)、この処理は終了する。もしそうでないと(S130にてNO)、処理はS140へ移される。
S140にて、エンジンECU1000は、蓄熱タンク水温THW(2)を検知する。このとき、蓄熱タンク水温THW(2)は、蓄熱タンク出口水温センサ320からエンジンECU1000に入力された信号に基づいて検知される。
S150にて、エンジンECU1000は、エンジン冷却水温THW(1)を低下させる要求があるか否かを判断する。このとき、エンジン冷却水温THW(1)がエンジン冷却水温の適正水温領域における高温側しきい値以上である場合にはエンジン冷却水温が高すぎるとしてエンジン冷却水温THW(1)を低下させる要求があると判断される。また、エンジン冷却水温THWの時間変化率dTHW(1)/dtがエンジン冷却水温の適正水温領域に対応する温度上昇側しきい値(変化率)以上である場合にはエンジン冷却水温の上昇傾向が大きすぎるとしてエンジン冷却水温THW(1)を低下させる要求があると判断される。エンジン冷却水温THW(1)を低下させる要求があると判断されると(S150にてYES)、処理は図3のS170へ移される。もしそうでないと(S150にてNO)、処理はS160へ移される。
S160にて、エンジンECU1000は、エンジン冷却水温THW(1)を上昇させる要求があるか否かを判断する。このとき、エンジン冷却水温THW(1)がエンジン冷却水温の適正水温領域における低温側しきい値以下である場合にはエンジン冷却水温が低すぎるとしてエンジン冷却水温THW(1)を上昇させる要求があると判断される。また、エンジン冷却水温THWの時間変化率dTHW(1)/dtがエンジン冷却水温の適正水温領域に対応する温度低下側しきい値(変化率)以下である場合にはエンジン冷却水温の低下傾向が大きすぎるとしてエンジン冷却水温THW(1)を上昇させる要求があると判断される。エンジン冷却水温THW(1)を上昇させる要求があると判断されると(S160にてYES)、処理は図4のS210へ移される。もしそうでないと(S160にてNO)、この処理は終了する。
S170にて、エンジンECU1000は、蓄熱タンク水温THW(2)<エンジン冷却水温THW(1)−α(α>0)であるか否かを判断する。すなわち、エンジン冷却水温THW(1)から予め定められた正の値αを引いた値よりも蓄熱タンク水温THW(2)が低い(蓄熱タンク310内の冷却水がエンジン冷却水温よりα分よりもさらに低い)か否かが判断される。蓄熱タンク水温THW(2)<エンジン冷却水温THW(1)−αであると(S170にてYES)、処理はS180へ移される。もしそうでないと(S170にてNO)、この処理は終了する。
S180にて、エンジンECU1000は、エンジン冷却水温THW(1)および蓄熱タンク水温THW(2)に基づいて、適正水温領域保持のためのエンジン冷却水温低下用供給水量Q(1)を算出する。このとき、エンジン冷却水温THW(1)と蓄熱タンク水温THW(2)との差およびエンジンの熱容量等に基づいて、到達温度を予測して、適正水温領域下限しきい値から逸脱するアンダーシュートが発生しないようにエンジン冷却水温低下用供給水量Q(1)が算出される。また、エンジン冷却水温THW(1)の時間変化率であるdTHW(1)/dtに基づいて、到達温度を予測して、適正水温領域下限しきい値から逸脱するアンダーシュートが発生しないようにエンジン冷却水温低下用供給水量Q(1)が算出される。
S190にて、エンジンECU1000は、蓄熱タンク310からエンジンに流量Q(1)の冷却水(冷水)を供給するように電動式ウォータポンプ300に制御指令信号を出力する。このときの制御指令信号は、流量Q(1)の冷却水(冷水)を供給することができるものであれば特に限定されない。
S200にて、エンジンECU1000は、流量制御弁430を全開にするような指令信号(全開指令信号)を出力する。流量制御弁430は、この全開指令信号を受信すると冷却水の全量がラジエータ420に流れるように制御する。その後、この処理は終了する。
S210にて、エンジンECU1000は、蓄熱タンク水温THW(2)>エンジン冷却水温THW(1)+β(β>0)であるか否かを判断する。すなわち、エンジン冷却水温THW(1)から予め定められた正の値βを加えた値よりも蓄熱タンク水温THW(2)が高い(蓄熱タンク310内の冷却水がエンジン冷却水温よりβ分よりもさらに高い)か否かが判断される。蓄熱タンク水温THW(2)>エンジン冷却水温THW(1)+βであると(S210にてYES)、処理はS220へ移される。もしそうでないと(S210にてNO)、この処理は終了する。
S220にて、エンジンECU1000は、エンジン冷却水温THW(1)および蓄熱タンク水温THW(2)に基づいて、適正水温領域保持のためのエンジン冷却水温上昇用供給水量Q(2)を算出する。このとき、エンジン冷却水温THW(1)と蓄熱タンク水温THW(2)との差およびエンジンの熱容量等に基づいて、到達温度を予測して、適正水温領域上限しきい値から逸脱するオーバーシュートが発生しないようにエンジン冷却水温上昇用供給水量Q(2)が算出される。また、エンジン冷却水温THW(1)の時間変化率であるdTHW(1)/dtに基づいて、到達温度を予測して、適正水温領域上限しきい値から逸脱するオーバーシュートが発生しないようにエンジン冷却水温上昇用供給水量Q(2)が算出される。
S230にて、エンジンECU1000は、蓄熱タンク310からエンジンに流量Q(2)の冷却水(温水)を供給するように電動式ウォータポンプ300に制御指令信号を出力する。このときの制御指令信号は、流量Q(2)の冷却水(温水)を供給することができるものであれば特に限定されない。
S240にて、エンジンECU1000は、流量制御弁430を全閉にするような指令信号(全閉指令信号)を出力する。流量制御弁430は、この全閉指令信号を受信すると冷却水の全量がラジエータバイパス通路410に流れるように制御する。その後、この処理は終了する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る蓄熱システムの動作について説明する。
上述した蓄熱システムを搭載した車両が走行中に、アイドリングストップが許可されて燃費が向上されるためや、適正な粘性の潤滑油による摺動抵抗の低減により燃費が向上されるためには、エンジン冷却水温が適正な範囲内になければならない。エンジン冷却水温THW(1)が検知され(S100)、エンジン冷却水温の適正水温領域における低温側しきい値<エンジン冷却水温THW(1)<高温側しきい値でない場合(S110にてNO)には、エンジン冷却水温低下処理(S170〜S200)やエンジン冷却水温上昇処理(S210〜S240)が行なわれる。すなわち、エンジン冷却水温が適正水温領域内にないので、エンジン冷却水温THW(1)が適正水温領域内になるように処理される。
エンジン冷却水温の適正水温領域における低温側しきい値<エンジン冷却水温THW(1)<高温側しきい値であっても(S110にてYES)、エンジン冷却水温の適正水温領域に対応する温度低下側しきい値(変化率)<エンジン冷却水温THWの時間変化率dTHW(1)/dt<温度上昇側しきい値(変化率)でないと、エンジン冷却水温低下処理(S170〜S200)やエンジン冷却水温上昇処理(S210〜S240)が行なわれる。すなわち、エンジン冷却水温が適正水温領域内にあっても、温度変化率がしきい値の範囲内にないので、エンジン冷却水温THW(1)が適正水温領域から逸脱しないように処理される。
<エンジン冷却水温低下処理>
エンジン冷却水温THW(1)がエンジン冷却水温の適正水温領域における高温側しきい値以上である場合にはエンジン冷却水温が高すぎるとして、また、エンジン冷却水温THWの時間変化率dTHW(1)/dtがエンジン冷却水温の適正水温領域に対応する温度上昇側しきい値(変化率)以上である場合にはエンジン冷却水温の上昇傾向が大きすぎるとして、エンジン冷却水温THW(1)を低下させるように処理される。
エンジン冷却水温THW(1)がエンジン冷却水温の適正水温領域における高温側しきい値以上である場合にはエンジン冷却水温が高すぎるとして、また、エンジン冷却水温THWの時間変化率dTHW(1)/dtがエンジン冷却水温の適正水温領域に対応する温度上昇側しきい値(変化率)以上である場合にはエンジン冷却水温の上昇傾向が大きすぎるとして、エンジン冷却水温THW(1)を低下させるように処理される。
エンジン冷却水温THW(1)に対して、蓄熱タンク水温THW(2)が十分に低いと(S170にてYES)、蓄熱タンク310内の冷却水(冷水)を用いてエンジン冷却水温THW(1)を低下させることができる。このとき、エンジン冷却水温THW(1)自体やその時間変化率に基づいてエンジン冷却水温THW(1)の到達温度が予測されて、アンダーシュートが発生しないようなエンジン冷却水温低下用供給水量Q(1)が算出される。
図5に、このような動作の状態を示す。図5に示すように、従来においては一点鎖線で示すように、エンジン冷却水温低下処理において、エンジン冷却水温が適正水温範囲(たとえばアイドリングストップの許可温度範囲)を下回ってしまうアンダーシュートが発生していた。このときに、アイドリングストップの条件が判断されると、アイドリングストップが許可されなかった。一方、本発明に係る制御装置においては、実線で示すように、エンジン冷却水温低下処理における過度の温度低下を回避できアンダーシュートを発生させることがない。
なお、蓄熱タンク310から流量Q(1)だけエンジンに冷却水(冷水)が供給されるとともに、ラジエータ420に冷却水が流される(S190、S200)。ラジエータ420において冷却水が放熱され、エンジン冷却水THW(1)を、より効率的に低下させることができる。
<エンジン冷却水温上昇処理>
エンジン冷却水温THW(1)がエンジン冷却水温の適正水温領域における低温側しきい値以下である場合にはエンジン冷却水温が低すぎるとして、また、エンジン冷却水温THWの時間変化率dTHW(1)/dtがエンジン冷却水温の適正水温領域に対応する温度低下側しきい値(変化率)以下である場合にはエンジン冷却水温の低下傾向が大きすぎるとして、エンジン冷却水温THW(1)を上昇させるように処理される。
エンジン冷却水温THW(1)がエンジン冷却水温の適正水温領域における低温側しきい値以下である場合にはエンジン冷却水温が低すぎるとして、また、エンジン冷却水温THWの時間変化率dTHW(1)/dtがエンジン冷却水温の適正水温領域に対応する温度低下側しきい値(変化率)以下である場合にはエンジン冷却水温の低下傾向が大きすぎるとして、エンジン冷却水温THW(1)を上昇させるように処理される。
エンジン冷却水温THW(1)に対して、蓄熱タンク水温THW(2)が十分に高いと(S210にてYES)、蓄熱タンク310内の冷却水(温水)を用いてエンジン冷却水温THW(1)を上昇させることができる。このとき、エンジン冷却水温THW(1)自体やその時間変化率に基づいてエンジン冷却水温THW(1)の到達温度が予測されて、オーバーシュートが発生しないようなエンジン冷却水温上昇用供給水量Q(2)が算出される。
図5に、このような動作の状態を示す。図5に示すように、従来においては一点鎖線で示すように、エンジン冷却水温上昇処理において、エンジン冷却水温が適正水温範囲(たとえばアイドリングストップの許可温度範囲)を上回ってしまうオーバーシュートが発生していた。このときに、アイドリングストップの条件が判断されると、アイドリングストップが許可されなかった。一方、本発明に係る制御装置においては、実線で示すように、エンジン冷却水温上昇処理における過度の温度上昇を回避できオーバーシュートを発生させることがない。
なお、蓄熱タンク310から流量Q(2)だけエンジンに冷却水(温水)が供給されるとともに、ラジエータバイパス通路410に冷却水が流される(S230、S240)。ラジエータ420において冷却水が放熱されず、エンジン冷却水THW(1)を、より効率的に上昇させることができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る蓄熱システムおよびその制御装置であるエンジンECUによると、エンジン冷却水温が適正温度範囲の上限値よりも高いと蓄熱タンク内の冷水をエンジンに流量Q(1)だけ供給するようにしてエンジン冷却水温を低下せしめて、エンジン冷却水温が適正温度範囲の下限値よりも低いと蓄熱タンク内の温水をエンジンに流量Q(2)だけ供給するようにしてエンジン冷却水温を上昇せしめる。このときに、検知されたエンジン冷却水温やその時間変化率等に基づいて、適正温度範囲からのオーバーシュートやアンダーシュートが発生しないように到達する内燃機関の温度を予測して供給流量Q(1)やQ(2)を算出する。このようにして、温度安定性を高めることができ、たとえば、アイドリングストップの条件不成立を回避することができたり、エンジンの潤滑油の温度安定性も高まり摺動抵抗を低減できたりして、燃費を向上させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 シリンダヘッド、110 シリンダブロック、120 エンジン冷却水温度センサ、200 機械式ウォータポンプ、300 電動式ウォータポンプ、310 蓄熱タンク、320 蓄熱タンク出口温度センサ、400 ラジエータ、410 ラジエータバイパス通路、420 ラジエータ出口水温センサ、430 流量制御弁、500 ヒータコア、610 三方弁、1000 エンジンECU。
Claims (8)
- 内燃機関に設けられた流路を循環する液媒体の一部を保温貯蔵するための貯蔵手段と、前記貯蔵手段内の液媒体を前記内燃機関との間で循環させるための循環手段とが搭載された車両の制御装置であって、
前記内燃機関の温度を検知するための手段と、
前記貯蔵手段における液媒体の温度を検知するための手段と、
前記検知された内燃機関の温度および前記液媒体の温度に基づいて、前記内燃機関の温度が予め定められた範囲内に収まるように、前記貯蔵手段内の液媒体の前記内燃機関への供給および前記供給の停止を行なうように、前記循環手段を制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。 - 前記制御手段は、前記検知された温度に基づいて、到達する内燃機関の温度を予測して、前記内燃機関の温度が予め定められた範囲内に収まるように、前記循環手段を制御するための手段を含む、請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記制御手段は、前記検知された温度の時間変化率に基づいて、到達する内燃機関の温度を予測して、前記内燃機関の温度が予め定められた範囲内に収まるように、前記循環手段を制御するための手段を含む、請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記貯蔵手段には、前記内燃機関よりも低温の液媒体が貯蔵され、
前記制御手段は、前記低温の液媒体を前記内燃機関に供給することにより、前記内燃機関の温度が前記予め定められた範囲の上限温度よりも低くなるように、前記循環手段を制御するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。 - 前記車両には、前記液媒体を放熱するための放熱手段がさらに搭載され、
前記制御手段は、前記貯蔵手段内の液媒体を前記内燃機関に供給するように、前記循環手段を制御するとともに、前記液媒体を前記放熱手段に供給するように前記循環手段を制御するための手段を含む、請求項4に記載の車両の制御装置。 - 前記貯蔵手段には、前記内燃機関よりも高温の液媒体が貯蔵され、
前記制御手段は、前記高温の液媒体を前記内燃機関に供給することにより、前記内燃機関の温度が前記予め定められた範囲の下限温度よりも高くなるように、前記循環手段を制御するための手段を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の車両の制御装置。 - 前記車両には、前記液媒体を放熱するための放熱手段がさらに搭載され、
前記制御手段は、前記貯蔵手段内の液媒体を前記内燃機関に供給するように、前記循環手段を制御するとともに、前記液媒体を前記放熱手段に供給しないように、前記循環手段を制御するための手段を含む、請求項6に記載の車両の制御装置。 - 前記循環手段は、電動式のポンプを含み、
前記制御手段は、前記ポンプへ印加される電力値を制御するための手段を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の車両の制御装置。
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