JP2006170064A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 エンジン冷却水を保温状態で一時的に蓄える蓄熱システムを用いて燃費の向上を図る。
【解決手段】 エンジンECUは、フューエルカット開始条件が成立すると(S100にてYES)、エンジンのフリクションである機械式ウォータポンプの負荷を下げるために、三方弁を全開にするステップ(S110)と、流量制御弁を全開にするステップ(S120)と、フューエルカットを実行するステップ(S140)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図2
【解決手段】 エンジンECUは、フューエルカット開始条件が成立すると(S100にてYES)、エンジンのフリクションである機械式ウォータポンプの負荷を下げるために、三方弁を全開にするステップ(S110)と、流量制御弁を全開にするステップ(S120)と、フューエルカットを実行するステップ(S140)とを含む、プログラムを実行する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、液媒体を保温状態で一時的に蓄える蓄熱システムを搭載した車両の制御装置に関し、特に、内燃機関に高温の液媒体を供給したり、内燃機関に低温の液媒体を供給したりして、内燃機関の温度を制御する車両の制御装置に関する。
自動車などに搭載される内燃機関が冷間状態で始動される場合には、吸気ポートや燃焼室等の壁面温度が低くなるため、燃料が霧化し難くなるとともに燃焼室の周縁部において消炎が発生し易くなり、始動性の低下や排気エミッションの悪化などが誘発される。
このような問題に対し、水冷式内燃機関において高温の冷却水を保温貯蔵する蓄熱装置を備え、内燃機関の始動時などに蓄熱装置に貯蔵されている冷却水を内燃機関へ供給することにより内燃機関の昇温を図り、以て始動性の向上や暖機の早期化を図る技術が提案されている。
たとえば、特開2003−184553号公報(特許文献1)に開示された蓄熱装置を備えた内燃機関は、内燃機関のシリンダヘッドに形成され、熱媒体が流通する熱媒体流通路と、熱媒体流通路を流れる熱媒体の一部を保温貯蔵する蓄熱装置と、蓄熱装置から熱媒体流通路へ熱媒体を導く第1の熱媒体通路と、熱媒体流通路から蓄熱装置へ熱媒体を導く第2の熱媒体通路と、第1の熱媒体通路と第2の熱媒体通路とを択一的に導通させる通路切換手段とを備える。
この蓄熱装置を備えた内燃機関によると、通路切換手段が第1の熱媒体通路を導通させることにより、蓄熱装置内に保温貯蔵されている高温の熱媒体が第1の熱媒体通路を介して直接的に熱媒体流通路へ供給されるとともに、通路切換手段が第2の熱媒体通路を導通させることにより、熱媒体流通路内の高温の熱媒体が第2の熱媒体通路を介して直接的に蓄熱装置へ供給される。このように熱媒体流通路と蓄熱装置との間で直接的に熱媒体の授受が行なわれると、蓄熱装置から熱媒体流通路へ熱媒体を供給する際の熱損失が最小限に抑制されるとともに、熱媒体流通路から蓄熱装置へ熱媒体を供給する際の熱損失も最小限に抑制される。この結果、熱媒体流通路内の熱媒体が持つ熱量が少ない場合であっても、その少ない熱量が効率良く蓄熱装置に蓄えられることになる。
また、このような蓄熱装置とは全く異なる観点で、地球温暖化の防止や省資源化の観点から、いわゆるフューエルカット制御が行なわれている。このフューエルカット制御は、燃費を向上させるために減速中に燃料の供給を停止する制御であって、走行性能や乗心地を損なわない範囲でエンジンに対する燃料の供給を可及的に少なくして燃費を向上させる制御である。具体的には、走行中にスロットルバルブが閉じられてエンジン回転数がフューエルカット回転数以上であると燃料の供給を停止する。またエンジン回転数が低下してその範囲の下限を規定している復帰回転数に達すると燃料の供給を再開する。なお、この復帰回転数はエンジンストールを生じさせず、またエンジンの安定した回転を維持する回転数に設定されている。なお、このフューエルカット制御中に、運転者によりアクセルペダルが踏まれると、フューエルカット制御は強制的に中断されて燃料がインジェクタから噴射されて、通常の運転状態に戻る。
たとえば、特開2001−342878号公報(特許文献2)は、フューエルカット制御を実行することに伴うショックや振動などを防止する内燃機関の制御装置を開示する。この内燃機関の制御装置は、走行中に内燃機関に対する燃料の供給を停止するフューエルカット制御を行なう内燃機関の制御装置であって、フューエルカット制御の実行が判断された場合に、フューエルカット制御実行直前に、内燃機関から駆動輪までの動力系統における内燃機関から駆動輪に向けたトルクを低下方向に制御するフューエルカット直前制御手段と、フューエルカット制御が実行された場合に、フューエルカット制御実行直後に、内燃機関から駆動輪までの動力系統における内燃機関から駆動輪に向けたトルクを増大方向に制御するフューエルカット直後制御手段との少なくともいずれか一方の手段を備える。
この内燃機関の制御装置によると、走行中に内燃機関に対する燃料の供給を停止するフューエルカット制御を実行することが判断された場合、そのフューエルカット制御の実行の直前に、内燃機関から駆動輪に向けたトルクが低下させられる。その結果、フューエルカット制御を実行することに伴って内燃機関の出力トルクが低下する時点では、駆動輪に向けたトルクが既にある程度低下させられており、フューエルカット制御を実行することに伴うトルクの低下が生じた場合の駆動輪のトルクの変化幅が小さくなる。また、フューエルカット直後制御手段を備えている場合には、フューエルカット制御の実行の直後に動力系統における駆動輪に向けたトルクを増大させる制御が実行されるから、内燃機関の出力トルクの低下とフューエルカット直後制御手段によるトルクの増大とがトルクの変化量を相殺し、その結果、フューエルカット制御の実行に伴って内燃機関の出力トルクが低下しても駆動輪や動力系統でのトルクの変化幅が小さくなる。
特開2003−184553号公報
特開2001−342878号公報
しかしながら、特許文献1に開示された蓄熱装置を備えた内燃機関と、特許文献2に開示された車両のエンジン制御装置とは、全く別の目的でなされたものであるため、これらを関連付けることは困難である。また、たとえば、特許文献2に開示された内燃機関の制御装置においてフューエルカット時間をできるだけ長くして燃費を向上させるというための方策についての開示がない。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、液媒体を用いた内燃機関の冷却システムを制御して燃費の向上を図る、車両の制御装置を提供することである。さらに別の目的は、液媒体を保温状態で一時的に蓄える蓄熱システムを制御して燃費の向上を図る、蓄熱システムが搭載された車両の制御装置を提供することである。
第1の発明に係る車両の制御装置は、車両の状態が予め定められた条件を満足すると、内燃機関への燃料供給を停止するためのフューエルカットシステムを搭載した車両を制御する。この車両には、内燃機関に設けられた流路に液媒体を循環させるための循環手段が搭載される。循環手段は、内燃機関で駆動される液媒体用のポンプとポンプで流通される液媒体の管路を変更するための切換バルブとを含む。この制御装置は、フューエルカットについての予め定められた条件を満足するか否かを判断するための判断手段と、条件を満足すると判断されると、ポンプの負荷が小さくなるように、切換バルブを制御するための制御手段とを含む。
第1の発明によると、フューエルカット制御が実行され、内燃機関の回転数が低下しつつある状況においても、この車両に設けられた循環手段のポンプは内燃機関で駆動されるため、このポンプは内燃機関の負荷となり得るが、このときにポンプの負荷が小さくなるように切換バルブを制御して、管路の流体抵抗を小さくして、内燃機関の回転数低下を遅らせるようにする。このようにすると、フューエルカットされている時間が長くなり燃費を向上させることができる。その結果、液媒体を用いた内燃機関の冷却システムを制御して燃費の向上を図る、車両の制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る車両の制御装置は、車両の状態が予め定められた条件を満足すると、内燃機関への燃料供給を停止するためのフューエルカットシステムを搭載した車両を制御する。この車両には、内燃機関に設けられた流路を循環する液媒体の一部を保温貯蔵するための貯蔵手段と、貯蔵手段内の液媒体を内燃機関との間で循環させるための循環手段とが搭載される。循環手段は、内燃機関で駆動される液媒体用のポンプとポンプで流通される液媒体の管路を変更するための切換バルブとを含む。この制御装置は、フューエルカットについての予め定められた条件を満足するか否かを判断するための判断手段と、条件を満足すると判断されると、ポンプの負荷が小さくなるように、切換バルブを制御するための制御手段とを含む。
第2の発明によると、フューエルカットは内燃機関の回転数が下限回転数を下回るとエンジンストールを防止するために燃料噴射を再開する。この車両に設けられた循環手段のポンプは内燃機関で駆動される。そのため、このポンプは内燃機関の負荷となり得る。そのため、ポンプの負荷が小さくなるように、切換バルブを制御して、管路の流体抵抗を小さくして、内燃機関の回転数低下を遅らせるようにする。このようにすると、フューエルカットされている時間が長くなり燃費を向上させることができる。その結果、液媒体を保温状態で一時的に蓄える蓄熱システムを用いて燃費の向上を図る、蓄熱システムが搭載された車両の制御装置を提供することができる。
第3の発明に係る車両の制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、制御手段は、管路における流体抵抗が小さくなるように、切換バルブを制御するための手段を含む。
第3の発明によると、管路の流体抵抗を小さくして、内燃機関の回転数低下を遅らせてフューエルカットされている時間を長くすることができる。これにより、燃費を向上させることができる。
第4の発明に係る車両の制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、管路には、内燃機関から受熱した液媒体を放熱するための放熱手段と、放熱手段を迂回するバイパス管路とがさらに設けられる。切換弁は、放熱手段およびバイパス管路の少なくともいずれかへ液媒体を流すように制御される。制御手段は、管路における流体抵抗が小さくなるように、液媒体を、放熱手段へ供給、バイパス管路へ供給、放熱手段およびバイパス管路へ供給のいずれかになるように、切換バルブを制御するための手段を含む。
第4の発明によると、より管路の流体抵抗が小さくなるように、放熱手段(ラジエータ)に液媒体を供給するか、放熱手段を迂回するバイパス管路に液媒体を供給するか、それらの双方に液媒体を供給するかが、切換バルブにより制御される。このため、管路の抵抗が小さくなり、内燃機関の回転数低下を遅らせてフューエルカットされている時間を長くすることができる。これにより、燃費を向上させることができる。
第5の発明に係る車両の制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、管路には、液媒体から熱を受けて、車両の車室内を暖房するための暖房手段が設けられる。制御手段は、管路における流体抵抗が小さくなるように、液媒体を暖房手段へ供給するように切換バルブを制御するための手段を含む。
第5の発明によると、より管路の流体抵抗が小さくなるように、暖房手段(ヒータコア)に液媒体を供給するように、切換バルブが制御される。このため、管路の抵抗が小さくなり、内燃機関の回転数低下を遅らせてフューエルカットされている時間を長くすることができる。これにより、燃費を向上させることができる。
第6の発明に係る車両の制御装置においては、第1または2の発明の構成に加えて、管路には、液媒体から熱を受けて、車両の車室内を暖房するための暖房手段が設けられる。制御手段は、管路における流体抵抗が小さくなるように、液媒体を暖房手段へ供給するように切換バルブを制御するための手段を含む。
第6の発明によると、車室内の温度調整のためのエアコンディショナのヒータコアである暖房手段に液媒体を供給するようにして、管路の流体抵抗をさらに小さくして、内燃機関の回転数低下を遅らせてフューエルカットされている時間を長くすることができる。これにより、燃費を向上させることができる。
第7の発明に係る車両の制御装置においては、第6の発明の構成に加えて、管路には、内燃機関から受熱した液媒体を放熱するための放熱手段がさらに設けられる。制御手段は、暖房の要求があるときには、内燃機関から受熱した液媒体を暖房手段へ供給するように切換バルブを制御するとともに、液媒体を放熱手段に供給しないように、循環手段を制御するための手段を含む。
第7の発明によると、液媒体の熱量を放出するための放熱手段(ラジエータ)に液媒体を供給するようにして、管路の流体抵抗をさらに小さくして、内燃機関の回転数低下を遅らせてフューエルカットされている時間を長くすることができる。これにより、燃費を向上させることができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本実施の形態に係る制御装置の制御対象である蓄熱システムの制御ブロック図を示す。
図1に示す蓄熱システムは、内燃機関(エンジン)を搭載した車両に適用される。なお、この車両は、エンジンのみを搭載した車両であってもよいし、エンジンとバッテリにより駆動されるモータとを搭載したハイブリッド車両のいずれであってもよい。
また、この車両にはフューエルカットシステムが搭載されている。フューエルカットシステムは、エンジンがアイドリング状態にある減速中にエンジン回転数がフューエルカット回転数以上であると燃料の供給を停止して燃費の向上を図る。フューエルカットによりエンジン回転数が低下して(たとえば後述する機械式ウォータポンプや駆動輪の転がり抵抗がフリクションとなって回転数が低下して)、フューエルカットの下限を規定している復帰回転数に達するとエンジンストールを回避するために燃料の供給を再開する。
図1に示すように、この蓄熱システムは、シリンダヘッド(以下、ヘッドと記載する。)100およびシリンダブロック110に設けられた冷却水流路を流れる冷却水の一部を蓄熱タンク310に保温して貯蔵しておいて、その冷却水を必要に応じて蓄熱タンク310からヘッド100やシリンダブロック110に供給する。ヘッド100およびシリンダブロック110とラジエータ400またはラジエータバイパス通路410との間において、機械式ウォータポンプ200により冷却水が循環される。ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410のいずれを通るかについては、流量制御弁430により制御される。なお、機械式ウォータポンプ200には、ベルトを介して、エンジンのクランクシャフトから駆動力が伝達される。そのため、機械式ウォータポンプ200は、エンジンのフリクションとなる。
蓄熱タンク310からヘッド100およびシリンダブロック110への冷却水の供給は電動式ウォータポンプ300により行なわれる。電動式ウォータポンプ300を駆動することにより、蓄熱タンク310内の冷却水(温水であったり冷水であったりする)が三方弁610を介してヘッド100、シリンダブロック110、ヒータコア500等に供給される。三方弁610は、全閉状態、全開状態(ポートA、ポートBおよびポートCを連通状態)、ポートAとポートBとを連通状態、ポートAとポートCとを連通状態、ポートBとポートCとを連通状態の5通りの状態を実現することができる。
また、この蓄熱システムの温度センサとして、ヘッド100の冷却水出口側に設けられたエンジン冷却水温度センサ120と、蓄熱タンク310の出口側に設けられた蓄熱タンク出口温度センサ320と、ラジエータ400の出口に設けられたラジエータ出口水温センサ420とが設けられる。これらの温度センサからの信号は、エンジンECU(Electronic Control Unit)1000に入力される。
また、エンジンECU1000は、電動式ウォータポンプ300、三方弁610、流量制御弁430を制御する。流量制御弁430は、制御デューティを変更することにより、ラジエータ400に流通する冷却水の流量およびラジエータバイパス通路410を流通する冷却水の流量を制御することができる。このとき、流量制御弁430は、ラジエータ400のみに、ラジエータバイパス通路410のみに、ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410に、冷却水を流すことができる。流量制御弁430は、エンジンECU1000から全開指令信号を受信すると、冷却水の全量をラジエータ400に流すように、流量を制御する。また、流量制御弁430は、エンジンECU1000から全閉指令信号を受信すると、冷却水の全量をラジエータバイパス通路410に流すように、流量を制御する。さらに、流量制御弁430は、エンジンECU1000から指令信号を受信して、冷却水の一部をラジエータ400に流して、残りの冷却水をラジエータバイパス通路410に流すように流量を制御することもできる。
また、エンジンECU1000は、電動式ウォータポンプ300を駆動するモータの制御デューティを変更することにより、モータの回転数を制御して、電動式ウォータポンプ300の吐出量を制御することができる。また、この制御は、電動式ウォータポンプ300のモータの電圧を可変とすることにより行なってもよい。また、電動式ウォータポンプ300のモータの通電時間を変更することにより、電動式ウォータポンプ300の駆動時間を制御して、電動式ウォータポンプ300から吐出される総冷却水量を制御するようにしてもよい。
図2を参照して、図1のエンジンECU1000で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す。)100にて、エンジンECU1000は、フューエルカット開始条件が成立したか否かを判断する。たとえば、アクセルペダルが踏まれておらず、エンジン回転数NEが予め定められたフューエルカット復帰回転数よりも高い場合には、フューエルカット開始条件が成立したと判断される。フューエルカット開始条件が成立すると(S100にてYES)、処理はS110へ移される。もしそうでないと(S100にてNO)、処理はS100へ戻されてフューエルカット開始条件が成立するまで待つ。
S110にて、エンジンECU1000は、三方弁610に全開指令信号(ポートA、ポートBおよびポートCを連通状態とする信号)を出力する。これにより、三方弁610は、最も流体抵抗が小さい全開状態になる。
S120にて、エンジンECU1000は、流量制御弁430に全開指令信号を出力する。これにより、流量制御弁430により冷却水は、流体抵抗のより少ないラジエータ400に流される。なお、ラジエータバイパス通路410の方がより流体抵抗が小さい場合には、エンジンECU1000は、流量制御弁430に全閉指令信号を出力して、流量制御弁430により冷却水をバイパス通路410に流すようにしてもよい。さらに、可能であれば、さらに流体抵抗が小さくなるように、ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410の両方に冷却水が流れるように流量制御弁430を制御してもよい。
S140にて、エンジンECU1000は、フューエルカット指令をエンジン燃料噴射装置に出力する。これにより、エンジンの燃料噴射弁からの燃料噴射が休止する。
S150にて、エンジンECU1000は、フューエルカット復帰条件が成立したか否かを判断する。たとえば、アクセルペダルが踏まれたり、エンジン回転数NEが予め定められたフューエルカット復帰回転数よりも低くなったりすると、フューエルカット復帰条件が成立したと判断される。フューエルカット復帰条件が成立すると(S150にてYES)、処理はS160へ移される。もしそうでないと(S150にてNO)、処理はS150へ戻されてフューエルカット復帰条件が成立するまで待つ。このとき、フューエルカットが継続して行なわれる。
S160にて、エンジンECU1000は、フューエルカット復帰指令をエンジン燃料噴射装置に出力する。これにより、エンジンの燃料噴射弁からの燃料噴射が再開する。また、このとき、三方弁610、流量制御弁430および電動式ウォータポンプ300は、フューエルカット開始前の状態に戻すようにしてもよい。
なお、S120とS140との間で、電動ウォータポンプを駆動させるS130という処理を加えるようにしてもよい。このような処理をすると、さらに機械式ウォータポンプ200の負荷が減少する(ただし、電気的負荷が上昇するので、双方を勘案して処理の可否が判断される)。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る蓄熱システムの制御装置の動作について説明する。
車両の走行中に、運転者がアクセルペダルを戻して、車両が減速していて、エンジン回転数が比較的高いと、フューエルカット開始条件が満足される(S100にてYES)。フューエルカット開始条件が満足されると(S100にてYES)、三方弁610が全開状態とされて三方弁610における流体抵抗が低減される(S110)。また、流量制御弁430に全開指令信号を出力され、冷却水は流体抵抗のより少ないラジエータ400に流される。
このようにすると、エンジンのフリクションである機械式ウォータポンプ200の負荷が低減される。これは、冷却水管路内の流体抵抗が小さくなるためである。エンジンのフューエルカット中には、燃料が供給されないので、エンジン回転数NEは次第に低下する。特に、エンジンのフリクションが大きいとより早くエンジン回転数NEが低下してしまい、フューエルカット復帰回転数を下回るとフューエルカットから復帰する。
図3に示すように、従来は、冷却水管路の流体抵抗が大きく、機械式ウォータポンプ200の負荷が大きくエンジンのフリクションが大きいので、一点鎖線で示すように、フューエルカット中により早くエンジン回転数が低下していた。時刻t(1)でフューエルカット復帰回転数を下回りフューエルカットから復帰していた。
本発明においては、機械式ウォータポンプ200の負荷を小さくしてエンジンのフリクションを小さくしたので、実線で示すように、フューエルカット中にエンジン回転数が低下しにくくなっている。時刻t(2)でフューエルカット復帰回転数を下回りフューエルカットから復帰している。すなわち、従来に比較してΔt(t(2)−t(1))だけフューエルカット時間を長くすることができる。
以上のようにして、本実施の形態に係る蓄熱システムおよびその制御装置であるエンジンECUによると、エンジンのフューエルカット中において、冷却水管路の流体抵抗を低下させることにより、エンジンのフリクションである機械式ウォータポンプの負荷を下げることができる。これによりフューエルカット中であってもエンジン回転数の低下を抑制して、フューエルカット時間を延ばすことができ、燃費を向上させることができる。
なお、車両の車室内の温度調整のためのエアコンディショナからの暖房要求があるときには、ヒータコア500に冷却水が流れるように三方弁610が制御される。また、このようなヒータコアで500での熱交換(車室内の暖房)の必要がある場合には、エンジンからの熱を、ヒータコア500で、より受けることができるように、流量制御弁430を制御してラジエータ400で放熱しないように(ラジエータバイパス通路410に冷却水を流すように)してもよい。
<変形例>
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。本変形例は、図1に示した制御ブロックとは異なり、電動式ウォータポンプ300、蓄熱タンク310および三方弁610を有さない。なお、フューエルカットシステムを搭載している点は同じである。
以下、本発明の実施の形態の変形例について説明する。本変形例は、図1に示した制御ブロックとは異なり、電動式ウォータポンプ300、蓄熱タンク310および三方弁610を有さない。なお、フューエルカットシステムを搭載している点は同じである。
図4に示すように、変形例に係るシステムは、ヘッド100およびシリンダブロック110に設けられた冷却水流路を流れる冷却水を、ラジエータ400またはラジエータバイパス通路410との間において、機械式ウォータポンプ200により冷却水が循環させる。ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410のいずれを通るかについては、流量制御弁430により制御される。なお、機械式ウォータポンプ200には、ベルトを介して、エンジンのクランクシャフトから駆動力が伝達される。そのため、機械式ウォータポンプ200は、エンジンのフリクションとなる。
そのため、エンジンのフリクションを低減させたい場合(フューエルカット時間を延ばすことができ、燃費を向上させる場合)、冷却水の管路抵抗を低減させるために、流量制御弁430が制御される。このとき、ラジエータ400に冷却水を供給、ラジエータバイパス通路410に冷却水を供給、ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410の双方に冷却水を供給の中で、最も管路抵抗が小さくなるように流量制御弁430が制御される。通常は、流量制御弁430への制御デューティを変更して、ラジエータ400およびラジエータバイパス通路410に、冷却水を流すようにして管路抵抗を低減させる。
また、本変形例に係るシステムは、ヘッド100およびシリンダブロック110に設けられた冷却水流路を流れる冷却水を、ラジエータ400またはラジエータバイパス通路410およびヒータコア500との間において、機械式ウォータポンプ200により冷却水が循環させる。ヒータコア500に冷却水を供給するか否かは、ヒータバルブ620により制御される。すなわち、ヒータバルブ620を全開にするとヒータコア500へ冷却水が供給され、ヒータバルブ620を全閉にするとヒータコア500へ冷却水が供給されない。エンジンのフリクションを低減させたい場合(フューエルカット時間を延ばすことができ、燃費を向上させる場合)、冷却水の管路抵抗を低減させるために、ヒータバルブ620が全開にされてヒータコア500へ冷却水が供給される。
なお、このヒータバルブ620は、エンジンECU1000が車室内の暖房要求があるか否かに基づいて制御されるようにしてもよい。暖房要求があると、ヒータバルブ620が全開にされてヒータコア500へ冷却水が供給する。このとき、管路抵抗が低減するので、エンジンのフリクションを低減させることができ、フューエルカット時間を延ばすことができる。さらに、このような場合には、ヒータコア500により高温の冷却水を供給するために、流量制御弁430を制御してラジエータ400で放熱しないように(ラジエータバイパス通路410に冷却水を流すように)してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 シリンダヘッド、110 シリンダブロック、120 エンジン冷却水温度センサ、200 機械式ウォータポンプ、300 電動式ウォータポンプ、310 蓄熱タンク、320 蓄熱タンク出口温度センサ、400 ラジエータ、410 ラジエータバイパス通路、420 ラジエータ出口水温センサ、430 流量制御弁、500 ヒータコア、610 三方弁、620 ヒータバルブ、1000 エンジンECU。
Claims (7)
- 車両の状態が予め定められた条件を満足すると、前記内燃機関への燃料供給を停止するためのフューエルカットシステムを搭載した車両の制御装置であって、前記車両には、前記内燃機関に設けられた流路に液媒体を循環させるための循環手段が搭載され、前記循環手段は、前記内燃機関で駆動される前記液媒体用のポンプと前記ポンプで流通される液媒体の管路を変更するための切換バルブとを含み、
前記制御装置は、
前記フューエルカットについての予め定められた条件を満足するか否かを判断するための判断手段と、
前記条件を満足すると判断されると、前記ポンプの負荷が小さくなるように、前記切換バルブを制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。 - 車両の状態が予め定められた条件を満足すると、前記内燃機関への燃料供給を停止するためのフューエルカットシステムを搭載した車両の制御装置であって、前記車両には、前記内燃機関に設けられた流路を循環する液媒体の一部を保温貯蔵するための貯蔵手段と、前記貯蔵手段内の液媒体を前記内燃機関との間で循環させるための循環手段とが搭載され、前記循環手段は、前記内燃機関で駆動される前記液媒体用のポンプと前記ポンプで流通される液媒体の管路を変更するための切換バルブとを含み、
前記制御装置は、
前記フューエルカットについての予め定められた条件を満足するか否かを判断するための判断手段と、
前記条件を満足すると判断されると、前記ポンプの負荷が小さくなるように、前記切換バルブを制御するための制御手段とを含む、車両の制御装置。 - 前記制御手段は、前記管路における流体抵抗が小さくなるように、前記切換バルブを制御するための手段を含む、請求項1または2に記載の車両の制御装置。
- 前記管路には、前記内燃機関から受熱した液媒体を放熱するための放熱手段と、前記放熱手段を迂回するバイパス管路とがさらに設けられ、前記切換弁は、前記放熱手段および前記バイパス管路の少なくともいずれかへ前記液媒体を流すように制御され、
前記制御手段は、前記管路における流体抵抗が小さくなるように、前記液媒体を、前記放熱手段へ供給、前記バイパス管路へ供給、前記放熱手段および前記バイパス管路へ供給のいずれかになるように、前記切換バルブを制御するための手段を含む、請求項1または2に記載の車両の制御装置。 - 前記管路には、前記液媒体から熱を受けて、前記車両の車室内を暖房するための暖房手段が設けられ、
前記制御手段は、前記管路における流体抵抗が小さくなるように、前記液媒体を前記暖房手段へ供給するように前記切換バルブを制御するための手段を含む、請求項1または2に記載の車両の制御装置。 - 前記管路には、前記液媒体から熱を受けて、前記車両の車室内を暖房するための暖房手段が設けられ、
前記制御手段は、前記暖房の要求があるときには、前記内燃機関から受熱した液媒体を前記暖房手段へ供給するように前記切換バルブを制御するための手段を含む、請求項1または2に記載の車両の制御装置。 - 前記管路には、前記内燃機関から受熱した液媒体を放熱するための放熱手段がさらに設けられ、
前記制御手段は、前記暖房の要求があるときには、前記内燃機関から受熱した液媒体を前記暖房手段へ供給するように前記切換バルブを制御するとともに、前記液媒体を前記放熱手段に供給しないように、前記循環手段を制御するための手段を含む、請求項6に記載の車両の制御装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2004363222A JP2006170064A (ja) | 2004-12-15 | 2004-12-15 | 車両の制御装置 |
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JP2004363222A JP2006170064A (ja) | 2004-12-15 | 2004-12-15 | 車両の制御装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR102192901B1 (ko) * | 2019-06-26 | 2020-12-18 | 인지컨트롤스 주식회사 | 차량용 냉각수 제어 모듈장치 및 그 제어 방법 |
CN114233459A (zh) * | 2021-11-08 | 2022-03-25 | 潍柴动力股份有限公司 | 发动机冷却系统及控制方法 |
-
2004
- 2004-12-15 JP JP2004363222A patent/JP2006170064A/ja not_active Withdrawn
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