JP2006161610A - 内接歯車ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】内接歯車ポンプにおいて、高速回転におけるインナーロータとアウターロータによって構成されるセル内への流体の補給を十分に行い、キャビテーションの発生を防止すること。
【解決手段】吸入ポート2と吐出ポート3との間で且つ前記インナーロータ8とアウターロータ9によって形成されるセルSの容積が次第に増大する側に第1シールランド4aを有するハウジングAの前記吸入ポート2又は吸入口2aと軸受孔5との間に連通流路6を設けること。前記軸受孔5に軸支された駆動シャフト10内部を介して、インナーロータ8のボス孔と歯底部間に放射状に形成された複数の送出貫通路8dからセルS内に流体を補充可能にすること。前記軸受孔5箇所に形成された遮断部7にて吐出ポート3側に位置する送出貫通路8dが遮断されること。
【選択図】図1
【解決手段】吸入ポート2と吐出ポート3との間で且つ前記インナーロータ8とアウターロータ9によって形成されるセルSの容積が次第に増大する側に第1シールランド4aを有するハウジングAの前記吸入ポート2又は吸入口2aと軸受孔5との間に連通流路6を設けること。前記軸受孔5に軸支された駆動シャフト10内部を介して、インナーロータ8のボス孔と歯底部間に放射状に形成された複数の送出貫通路8dからセルS内に流体を補充可能にすること。前記軸受孔5箇所に形成された遮断部7にて吐出ポート3側に位置する送出貫通路8dが遮断されること。
【選択図】図1
Description
本発明は、高速回転におけるインナーロータとアウターロータによって構成されるセル内への流体の補給を十分に行い、キャビテーションの発生を防止することができる内接歯車ポンプに関する。
従来より、自動車等のエンジン潤滑系統に圧送するポンプとして、アウターロータとインナーロータよりなる内接歯車式オイルポンプ(トロコイドポンプ等)が多く使用されている。この種のポンプでは、オイルは、吸入口から、ポンプの吸入ポートへ流れ、そこで、アウターロータとインナーロータとによって構成されるセル(小空隙室)に吸い込まれ、セル内にオイルが充填され、そのセル内のオイルがオイルポンプの吐出ポートで吐き出され、吐出口からエンジン潤滑系統の各部に圧送される。
オイルポンプが高速回転になると、ロータも高速回転し、インナーロータとアウターロータによって構成されるセル内への流体の吸入が間に合わず、セル容積を十分に満たすように充填しきれない場合があり、セル内の流体に空洞(気泡)や隙間ができ、キャビテーションの問題が発生する。このようにロータの高速回転によって、セル内への流体の吸入が間に合わなくなって、キャビテーションが発生することを防止するための一例が特許文献1(特開平11−270467号)及び特許文献2(実公平5−36110号)に開示されている。
この特許文献1の技術内容は、アウターロータの外周からインナーロータ側へ吸い込む連通孔を回転方向に対して傾斜状に設けたものである。その連通孔によって、セル内へ流体を十分に吸入させ、キャビテーションの発生を防止しようとするものである。また、特許文献2(実公平5−36110号)に開示された技術内容は、インナーロータとアウターロータとセルが連通したものである。
特許文献1においては、開示内容を符号とともに記述すると、アウターロータ5に、回転方向に傾斜をつけた連通孔2を設けた構造においても、アウターロータ5の回転による遠心力によって、セル内のオイルが漏れるため、セル内の充填が十分でなく、回転が高速になるほどセル内のオイルの漏れ量が多くなり、キャビテーションの問題が発生する。また、遠心力によるセル内のオイル漏れを防止するためにアウターロータ5の連通孔2を更に鋭角な角度で傾斜をつけて設けた構造にした場合には、連通孔2の長さが長くなるので、吐出ポートと吸入ポートの連通を防ぐための吸入開始端1bが吸入口19を閉ざす様に大きくなるため、吸入口19から連通孔2への吸入量が少なくなり、セル内のオイルの充填が十分でなくなるため、同様にキャビテーションの問題が発生する。
次に、特許文献2においては、実公平5−36110ではアウターロータの連通路(吸入口)からセル(ポンプ室)にオイルを流入し、インナーロータの連通路(第1連通路)を介して、駆動シャフト(メイン駆動シャフト)のオイル通路へ吐出するものであり、セル内にオイルを十分に充填させるものでないことから、キャビテーションの課題を解決していない。本発明の目的は、オイルポンプが高速回転となってもセル内のオイルの充填を十分とし、キャビテーションの発生が防止できる内接歯車式オイルポンプ構造とする。
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、吸入ポートと軸受孔との間に設けられた連通流路と、前記軸受孔に軸支された駆動シャフト内部を介して、インナーロータのボス孔と歯底部間に放射状に形成された複数の送出貫通路からセル内に流体を補充可能にするとともに、前記軸受孔箇所に形成された遮断部にて吐出ポート側に位置する送出貫通路が遮断されてなる内接歯車ポンプとしたことにより、上記課題を解決したものである。
次に、請求項2の発明は、インナーロータと、アウターロータと、前記インナーロータを回転させる駆動シャフトと、ハウジングとからなり、前記インナーロータにはボス孔の内周側面と各歯底部との間を連通する送出貫通路が放射状に複数形成され、前記ハウジングの吸入ポートと軸受孔の内周側面との間に管路状の連通流路が形成され、且つ前記軸受孔箇所には遮断部が設けられ、前記駆動シャフトには、軸支側端面で開口を有する中空部が形成され、該中空部と連通する連通孔が直径方向に放射状に複数形成され、前記駆動シャフトとインナーロータのボス孔との間に円筒形状の空隙部が形成され、該空隙部に前記遮断部が挿入され、前記吐出ポート側の送出貫通路が遮断されてなる内接歯車ポンプとしたことにより、上記課題を解決したものである。
次に、請求項3の発明は、前述の構成において、前記遮断部は、前記インナーロータのボス孔に略内接する弧状面とした遮断壁部としてなる内接歯車ポンプとしたことにより、上記課題を解決したものである。また、請求項4の発明は、前述の構成において、前記遮断部の遮断壁部の下部には、前記インナーロータのボス孔に略内接する円弧状の案内座部が形成され、前記遮断壁部とともに円筒外周側部を構成してなる内接歯車ポンプとしたことにより上記課題を解決したものである。
また、請求項5の発明は、前述の構成において、前記遮断部の遮断壁部の上部に前記インナーロータのボスに略内接する頂部案内部が形成され、前記下部案内座部と頂部案内部との間には連通開口部が形成されてなる内接歯車ポンプとしたことにより、上記課題を解決したものである。次に、請求項6の発明は、前述の構成において、ポンプ作動時における前記吸入ポート側から容積が次第に増大して前記第1シールランドにて閉じられるセルと吐出ポートから容積が次第に減少し前記インナーロータの歯底部とアウターロータの歯先部同士が最も近接する状態のセルにそれぞれ連通する前記送出貫通路が前記遮断部によって遮断されてなる内接歯車ポンプとしたことにより、上記課題を解決したものである。
請求項7の発明は、前述の構成において、ポンプ作動時における前記吸入ポート側から容積が次第に増大して前記第1シールランドにて閉じられるセル及び前記吐出ポート側から容積が次第に減少してインナーロータの歯底部とアウターロータの歯先部同士が最も近接する状態のセルに位置するそれぞれの送出貫通路は、前記遮断部の外周円弧面により遮断されるとともに、遮断された前記送出貫通路に対応する前記連通孔は連通されてなる内接歯車ポンプとしたことにより、上記課題を解決したものである。
請求項1の発明は、インナーロータとアウターロータによって構成されるセルの内部に充填された流体(オイル等)を吸入ポート側から吐出ポート側に移送する際に、インナーロータとアウターロータとが高速回転のために、セル内への流体の充填が追いつかず、セル内の流体が十分に満たされない状態となるが、吸入ポートから連通流路,駆動シャフト及びインナーロータの送出貫通路を介して、セル内に不足した流体を補充してゆくことができる。
しかも、補充される流体は、インナーロータの駆動シャフトを通過してインナーロータの回転中心に送り込まれ、さらにインナーロータの送出貫通路からセル内に流体が補充できるものである。そして、流体には、常に駆動シャフト及びインナーロータの遠心力によって、インナーロータの外方に送りだす力が作用するので、セル内に流体を圧力を伴って確実に補充することができる。
さらに、前記インナーロータを支持する軸受孔には遮断部が設けられており、該遮断部は、前記吐出ポート側に位置するセルの送出貫通路のみを遮断するので、特に吐出ポート側からの流体の逆流を確実に防止し、ほとんど損失なく、流体のセル内への補充を行なうことができる。これによって、請求項1では、セル内に流体(オイル)を十分に充填することができ、キャビテーションが発生するといった問題がなくなる。また、キャビテーションが発生することがないため、回転数に応じた流量を確保することができるため、従来のキャビテーションによる流量の低減及びエロージョンの問題もなくなる。
次に、請求項2の発明によって、前記インナーロータにはボス孔の内周側面と各歯底部との間を連通する送出貫通路が放射状に複数形成されたことにより、セル内への流体の補充を効率良く行なうことができ、さらに、前記ハウジングの吸入ポートと軸受孔の内周側面との間に管路状の連通流路が形成され、前記軸受孔箇所には遮断部が設けられ、駆動シャフトとインナーロータのボス孔との間に円筒形状の空隙部が形成され、該空隙部に前記遮断部が挿入され、前記吐出ポート側の送出貫通路を遮断する構成により、オイルポンプのサイズを大きくすることなく、キャビテーション防止機能を付加することができる。
次に、請求項3の発明によって、遮断部の構造を極めて簡単なものにすることができ、且つ前記インナーロータのボス孔に略内接する弧状面を有しているので、前記遮断部は、インナーロータの回転案内の機能を有することができる。次に、請求項4の発明は、前記遮断部は、前記遮断壁部の下部に、円弧状の案内座部を形成し、前記遮断壁部とともに円筒外周側部を構成したもので、この円筒外周部が、インナーロータのボス孔に略内接するようにしたことにより、インナーロータをより一層安定した状態で回転させることができ、インナーロータの軸ずれや、倒れを防止することができる。次に、請求項5の発明は、前記遮断壁部の上部に頂部案内部を形成し、この頂部案内部と前記案内座部の2つによって、インナーロータのボス孔に内接するようにして、回転案内の機能を有することができる。また、頂部案内部と案内座部との間に連通開口部が形成されているので、常時安定した流体の供給を行なうことができる。
次に、請求項6の発明は、次第に容積が増加する過程において、流体の補充を必要とするセルにのみ無駄なく流体を補充することができ、ポンプ効率をより一層良好なものにできる。次に、請求項7の発明によって、非遮断状態の連通孔の数が、非遮断状態の送出貫通路の数よりも常時、多くなり、これによって空隙部内には、常に流体の流入が多くなり、流体の補充を必要とするセル内に効率良く補充することができるものである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の内接歯車ポンプは、図1(A)に示すように、主にハウジングA,インナーロータ8、アウターロータ9及び駆動シャフト10とから構成されている。前記ハウジングAは、図1(B)に示すように、ハウジング本体A1 とカバーA2 とから構成されている。さらに、ハウジング本体A1 は、図2(A)に示すように、ロータ室1、吸入ポート2、吐出ポート3,連通流路6及び遮断部7から構成されている。前記ロータ室1には、図1(A),(B)に示すように、トロコイド歯形のインナーロータ8及びアウターロータ9が内装されている。前記ロータ室1には、吸入ポート2と吐出ポート3とが形成されている。前記吸入ポート2及び吐出ポート3は、ロータ室1の中心に対して左右対称となる位置に形成される。その吸入ポート2には吸入口2aが形成され、吐出ポート3に吐出口3aがそれぞれ形成され、前記吸入口2a及び吐出口3aがハウジングAの外部の機器に接続される。
この吸入ポート2と吐出ポート3との間には、両ポートを仕切る間仕切り部が形成されている。この間仕切り部は、平坦面に形成され、シールランド4と称する。該シールランド4は、ロータ室1の中心に対して上下に2つ形成され、図2(A)に示すように、第1シールランド4aと第2シールランド4bとが存在する。第1シールランド4aは、吸入ポート2の終端と吐出ポート3の始端との間に位置しており、インナーロータ8とアウターロータ9によって構成されるセルSが吸入ポート2から吐出ポート3に向かう通路となり、この第1シールランド4aと前記カバーA2 によって、第1シールランド4a上に位置するセルSを閉鎖空間とするものである。この第1シールランド4a箇所を通過する(インナーロータ8とアウターロータ9によって形成される)セルSは、その容積が次第に増大する。また、第2シールランド4bは、吐出ポート3の終端と吸入ポート2の始端との間に位置する部位であり、吐出ポート3と吸入ポート2との間を仕切るものである。
前記ロータ室1に形成された軸受孔5には、図2(A)乃至(D)に示すように、遮断部7が形成されている。その軸受孔5は、後述する駆動シャフト10を回転自在に軸支する部位であるとともに、該駆動シャフト10に流体を送り込む部位である。該遮断部7は、後述するインナーロータ8と駆動シャフト10との間に形成される円筒形状の空隙部Tに挿入する部位である。
その遮断部7には、複数の実施形態が存在し、その第1実施形態では、図2(B),(C)に示すように、弧状壁面として形成された遮断壁部7aから構成されたものであり、円弧状の壁板形状をなしている。すなわち、この遮断部7の平面形状は、略扇形状とした円弧状を形成するものである〔図2(A)参照〕。その遮断部7は、その内面側を内周円弧面7a1 と称する。また外周側を外周円弧面7a2 と称する。その遮断壁部7aの内周円弧面7a1 の曲率半径と、前記軸受孔5の半径とは略同一であり、前記内周円弧面7a1 には、駆動シャフト10が内接するようになっている。また、前記遮断部7の外周円弧面7a2 の曲率半径と、後述するインナーロータ8のボス孔8cの半径は、略同一であり、外周円弧面7a2 が前記ボス孔8cに内接するようになっている。前記遮断壁部7aは、円筒形状の前記空隙部T内に挿入され、インナーロータ8の回転動作の案内及び駆動シャフト10の軸受けとしての役目をなすものである。
次に、この遮断部7の第2実施形態は、図5(A),(B)に示すように、前述の第1実施形態の構成において、前記遮断壁部7aの下部で且つ前記ロータ室1の底面より突出するようにして、弧状の案内座部7bが形成されている。該案内座部7bは、前記遮断壁部7aとともに中空円筒状部を構成するものである。この遮断壁部7aと案内座部7bとにより構成される中空円筒状部は、前記インナーロータ8のボス孔8cに略内接するようにして前記空隙部Tに挿入され、前記インナーロータ8の回転案内をするとともに、そのインナーロータ8の軸振れや、倒れを防止する。この案内座部7bによる軸受け構成は、構造が簡単であり、安価に製造することができる。このように、前記遮断壁部7aと案内座部7bとは、前記インナーロータ8の回転動作の案内及び駆動シャフト10の軸受けとしての役目をなすものである。
次に、この遮断部7の第3実施形態は、図6(A),(B)に示すように、前述の第2実施形態の構成において、遮断壁部7aの上部に前記インナーロータ8のボス孔8cに略内接する頂部案内部7cが形成され、前記案内座部7bと頂部案内部7cとの間には連通開口部7dが形成されたものである。その頂部案内部7cと遮断壁部7aとによる円筒部と、前記案内座部7bと遮断壁部7aとによる円筒部は、直径が等しい。すなわち、この実施形態の遮断部7は、中空円筒形状をなし、その軸方向の中間箇所に略方形状の窓形状に形成された連通開口部7dが形成されたものである。
このように、遮断壁部7a,案内座部7b及び頂部案内部7cによって円筒形状とした遮断部7が前記円筒形状の空隙部T内に挿入され、前記インナーロータ8の回転動作の案内及び駆動シャフト10の軸受けとしての役目をなすものである〔図5(B),図6(B)参照〕。特に、図6(B)に示すように、前記遮断壁部7a,案内座部7b及び頂部案内部7cとにより構成される中空円筒状部は、特に安定した回転案内をすることができ、前記インナーロータ8を軸振れや、倒れを防止することができる。前記連通開口部7dは、後述するインナーロータ8と駆動シャフト10との間で流体を流通させる部位となる。
前記吸入ポート2と、軸受孔5の内周側面との間には、図2に示すように、管路状の連通流路6が形成されている。該連通流路6は、吸入ポート2側に位置する吸込み口6aは、前記吸入ポート2の底部に形成されている。その連通流路6の吐出口6bは、前記軸受孔5の内周面に位置している。そして、図1(B),図4(B)に示すように、前記吸入ポート2側に流入する流体が前記連通流路6の吸込み口6aから入って、吐出口6bから軸受孔5内に送り込まれるように連通された構造となっている。
前記インナーロータ8は、図3(A),(B)に示すように、その歯の凸の部分を歯先部8aとし、凹の部分を歯底部8bと称する。そのインナーロータ8は、ボス孔8cの内周側と各歯底部8b,8b,…との間を連通する送出貫通路8dが放射状に複数形成されている。そのインナーロータ8の中心には、ボス孔8cが形成されている。そのボス孔8cには、後述する駆動シャフト10が挿入される〔図3(D)参照〕。また、アウターロータ9は、中心に向かって凸の部分を歯先部9aとし、凹の部分を歯底部9bと称する。
そのインナーロータ8は、図1(A)に示すように、歯数においてアウターロータ9よりも一つ以上少なく、インナーロータ8が一回転すると、アウターロータ9は歯数比分遅れて回転する関係となる。そのインナーロータ8とアウターロータ9とが噛み合い、インナーロータ8の歯先部8aがアウターロータ9の歯底部9bに挿入し、またアウターロータ9の歯先部9aがインナーロータ8の歯底部8bに挿入して噛み合うものである。
そして、これらの動作によりインナーロータ8とアウターロータ9との間には、図1(A),図4(A)に示すように、仕切られた複数のセルS,S,…が形成され、回転するインナーロータ8とアウターロータ9により前記吸入ポート2側でそのセルSが次第に容積を増加しつつ吸入ポート2から流体を吸入し、また吐出ポート3側でセルSが次第に容積を減少させつつ、吐出ポート3から流体の吐出を行う。
その駆動シャフト10は、図3(C),(D)に示すように、主軸部10aと支持軸部10bとから構成される。その主軸部10aは、前記インナーロータ8のボス孔8cに圧入等により挿入固定され、インナーロータ8に回転を伝達する部分である。また支持軸部10bは、前記主軸部10aよりも、直径が小さく形成され、前記ハウジングAの軸受孔5に回転自在に挿入される。具体的には、前記支持軸部10bが、前記遮断部7の遮断壁部7aに内接しつつ、前記主軸部10aと支持軸部10bとの段差部が前記遮断部7の頂部に当接するものである。その駆動シャフト10の支持軸部10bには、その軸方向端面に開口10c1 を有する中空部10cが軸方向に形成されている。
その中空部10cの形成された箇所には、支持軸部10bの内方と外方とを連通する連通孔10dが直径方向に放射状に複数形成されている。その駆動シャフト10とインナーロータ8のボス孔8cとの間に形成された前記円筒形状の空隙部Tに前記遮断部7が挿入される。そして、駆動シャフト10とともに前記インナーロータ8が回転し、吐出ポート3側おいて、前記連通孔10dと送出貫通路8dとの間に遮断部7が挟まれるようにして介在され、前記連通孔10dと送出貫通路8dとの間における流体の流通が遮断される〔図4(A),(B)参照〕。
前述の構成は、遮断部7によって、前記吐出ポート3側におけるセルSに連通する連通孔10dと送出貫通路8dのみを遮断するものである。なお、駆動シャフト10の中空部10cの連通孔10dの数は、インナーロータ8の歯底部8bにある送出貫通路8dの位置に合わせて形成配置されることが好適である。また、送出貫通路8dや連通孔10dは、丸孔以外にも長孔にしてもよく、その形状に関しては限られることはない。
次に、本発明の作動について説明する。図7は、本発明において、流体がセルSに補充される工程を示している。そのオイル等の流体は、吸入口2aから、吸入ポート2内ヘ流れ、そこで、インナーロータ8とアウターロータ9との回転によって、相互の歯により構成されたセルSに吸い込まれ、該セルS内に流体(オイル)が充填される。この動作とともに、その吸入ポート2のオイルが連通流路6を介して、駆動シャフト10の中空部10cに吸い込まれる。その中空部10c内を流体が通過して、さらに、連通孔10dからインナーロータ8の送出貫通路8dへ流体を送り出し、該送出貫通路8dから差圧及び遠心力によってセルS内に流体を補充する。
また、前記吐出ポート3側においては、図4(A),(B)に示すように、前記遮断部7によって、送出貫通路8dが遮断され、セルS内への補充用の流体が吐出ポート3側に漏れ出さないようにして、補充用オイルを有効にセルS内へ補充することができる。前記遮断部7による流体の遮断範囲については、具体的に、前記セルSが前記吸入ポート2から吐出ポート3に向かって容積が次第に増加して、前記第1シールランド4aによって、閉じられるセルSから前記吐出ポート3を通過し、さらに該吐出ポート3から吸入ポート2に向かって前記インナーロータ8の歯底部8bとアウターロータ9の歯先部9aが最も近接する位置まで前記吐出ポート3を覆うように延びている。前記遮断部7の遮断範囲を上述のようにすることで、図7(A)乃至(C)に示すように、前記吐出ポート3側のセルS1 から流体が逆流して、インナーロータ8の送出貫通路8dへ侵入することを防止する。ここで前記セルS1 とは、前記吐出ポート3から吸入ポート2に向かって前記インナーロータ8の歯底部8bとアウターロータ9の歯先部9aが近接する状態にあるセルのことである。
次に、前記遮断部7の内周円弧面7a1 の送出貫通路8dに対する遮断範囲を、図8(A)に示すように、前記外周円弧面7a2 の連通孔10dに対する遮断範囲よりも小さく設定する実施形態が存在する。この実施形態は、前記遮断部7の円周方向の長さにおいて、前記内周円弧面7a1 が外周円弧面7a2 よりも小さく形成されたものであって、前記インナーロータ8に形成された複数の送出貫通路8d,8d,…の遮断される個数が、前記外周円弧面7a2 によって遮断される前記駆動シャフト10に形成された複数の連通孔10d,10d,…よりも少なくなるように設定されるものである。これは、インナーロータ8とアウターロータ9の回転する角度によって、上記のようなことが生じるようにしたものである。すなわち、前記遮断部7の外周円弧面7a2 によって遮断される連通孔10d,10d,…の数を3個とした場合に、前記内周円弧面7a1 によって遮断される送出貫通路8d,8d,…の数を1個(又は2個)となるようにするものである。
換言すると、図8(B)に示すように、非遮断状態の連通孔10dの数が、非遮断状態の送出貫通路8dの数よりも多くなる場合が生じるようにしている。これによって、前記空隙部T内には、流体の流入が常に多くなり、前記吸入ポート2側のセルS内に効率良く補充することができる。このような、設定となる遮断部7は、その遮断壁部7aの円周方向における両端面が遮断部7の曲率中心に向かって傾斜状に形成されるものである。そして、インナーロータ8とアウターロータ9とが高速回転になることによって、セルS内に吸入された吸引力とシャフトの回転による遠心力に伴って、流体はインナーロータ8の送出貫通路8dから外方に吹き飛ばされ、セルS内へ圧力を有して吐き出される。また、セルS内の流体が送出貫通路8dを通して逆流することも防止でき、ひいてはポンプ効率を更に一層高めることができる。
このように、インナーロータ8とアウターロータ9とが高速回転になることで、セル内への流体の吸入が間に合わず、十分に充填しきれない場合であっても、図4(A)に示すように、インナーロータ8の送出貫通路8dからセルS内へオイルが補充される。これによって、吸入ポート2から吐出ポート3に向かうセルS内には、運転中,常時流体が充填されることになる。よって、キャビテーション発生を防止することができる。そのため、キャビテーションが発生することがないため、図9に示す回転数と流量の特性おいて、回転数に応じた流量を確保することができ、従来のキャビテーションによる流量の低減となるような問題も無くなり、また、キャビテーションによるエロージョンも無くすことができる。
本発明のロータの歯形は、トロコイド歯形に限られるものではなく、あらゆる内接式の歯車ポンプに採用することが可能である。そして、本発明の構成をセル連通歯形に適用すれば、さらに高効率の内接歯車ポンプを提供することができる。また、本発明の構成は、クレセントタイプのオイルポンプにも応用することができる。
A…ハウジング、2…吸入ポート、3…吐出ポート、5…軸受孔、6…連通流路、
7…遮断部、7a…遮断壁部、7a2 …外周円弧面、7b…案内座部
7c…頂部案内部、7d…連通開口部、8…インナーロータ、8c…ボス孔、
8b…歯底部、8d…送出貫通路、9…アウターロータ、10…駆動シャフト、
10c…中空部、10d…連通孔、S…セル、T…空隙部。
7…遮断部、7a…遮断壁部、7a2 …外周円弧面、7b…案内座部
7c…頂部案内部、7d…連通開口部、8…インナーロータ、8c…ボス孔、
8b…歯底部、8d…送出貫通路、9…アウターロータ、10…駆動シャフト、
10c…中空部、10d…連通孔、S…セル、T…空隙部。
Claims (7)
- 吸入ポートと吐出ポートとの間で且つ前記インナーロータとアウターロータによって形成されるセルの容積が次第に増大する側に第1シールランドを有するハウジングの前記吸入ポート又は吸入口と軸受孔との間に設けられた連通流路と、前記軸受孔に軸支された駆動シャフト内部を介して、インナーロータのボス孔と歯底部間に放射状に形成された複数の送出貫通路からセル内に流体を補充可能にするとともに、前記軸受孔箇所に形成された遮断部にて吐出ポート側に位置する送出貫通路が遮断されてなることを特徴とする内接歯車ポンプ。
- インナーロータと、アウターロータと、前記インナーロータを回転させる駆動シャフトと、アウターロータと、前記インナーロータを回転させる駆動シャフトと、吸入ポートと吐出ポートとの間で且つ前記インナーロータとアウターロータによって形成されるセルの容積が次第に増大する側に第1シールランドを有するハウジングとからなり、前記インナーロータにはボス孔の内周側面と各歯底部との間を連通する送出貫通路が放射状に複数形成され、前記ハウジングの吸入ポートと軸受孔の内周側面との間に管路状の連通流路が形成され、且つ前記軸受孔箇所には遮断部が設けられ、前記駆動シャフトには、軸支側端面で開口を有する中空部が形成され、該中空部と連通する連通孔が直径方向に放射状に複数形成され、前記駆動シャフトとインナーロータのボス孔との間に円筒形状の空隙部が形成され、該空隙部に前記遮断部が挿入され、前記吐出ポート側の送出貫通路が遮断されてなることを特徴とする内接歯車ポンプ。
- 請求項1又は2において、前記遮断部は、前記インナーロータのボス孔に略内接する弧状面とした遮断壁部としてなることを特徴とする内接歯車ポンプ。
- 請求項3において、前記遮断部の遮断壁部の下部には、前記インナーロータのボス孔に略内接する円弧状の案内座部が形成され、前記遮断壁部とともに円筒外周側部を構成してなることを特徴とする内接歯車ポンプ。
- 請求項4において、前記遮断部の遮断壁部の上部には、前記インナーロータのボス孔に略内接する頂部案内部が形成され、前記下部案内座部と頂部案内部との間には連通開口部が形成されてなることを特徴とする内接歯車ポンプ。
- 請求項1,2,3,4又は5に記載のいずれか1項において、ポンプ作動時における前記吸入ポート側から容積が次第に増大して前記第1シールランドにて閉じられるセルと吐出ポートから容積が次第に減少し前記インナーロータの歯底部とアウターロータの歯先部同士が最も近接する状態のセルにそれぞれ連通する前記送出貫通路が前記遮断部によって遮断されてなることを特徴とする内接歯車ポンプ。
- 請求項1,2,3,4又は5に記載のいずれか1項において、ポンプ作動時における前記吸入ポート側から容積が次第に増大して前記第1シールランドにて閉じられるセル及び前記吐出ポート側から容積が次第に減少してインナーロータの歯底部とアウターロータの歯先部同士が最も近接する状態のセルに位置するそれぞれの送出貫通路は、前記遮断部の外周円弧面により遮断されるとともに、遮断された前記送出貫通路に対応する前記連通孔は連通されてなることを特徴とする内接歯車ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004351743A JP2006161610A (ja) | 2004-12-03 | 2004-12-03 | 内接歯車ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004351743A JP2006161610A (ja) | 2004-12-03 | 2004-12-03 | 内接歯車ポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006161610A true JP2006161610A (ja) | 2006-06-22 |
Family
ID=36663916
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004351743A Pending JP2006161610A (ja) | 2004-12-03 | 2004-12-03 | 内接歯車ポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2006161610A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103291613A (zh) * | 2013-06-14 | 2013-09-11 | 襄阳绿控电气科技有限公司 | 一种电动汽车用电动助力转向泵 |
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2004
- 2004-12-03 JP JP2004351743A patent/JP2006161610A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103291613A (zh) * | 2013-06-14 | 2013-09-11 | 襄阳绿控电气科技有限公司 | 一种电动汽车用电动助力转向泵 |
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