JP2006159898A - 射出発泡成形方法および射出発泡成形用金型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可動金型2を固定金型1の側へ移動させることにより、固定金型1および可動金型2のキャビティ外部における互いに向き合う一対の対向面の少なくとも一方に配置されたシール部材6と、他方の対向面または該対向面に配置されたシール部材とを接触させて、キャビティ3をガスシール状態とし、その後、シール部材6を圧縮しながら可動金型2を固定金型1の側へさらに移動させることにより、ガスシール状態を維持しながらキャビティ3の容積を小さくし、これにより、大気圧を超える圧までキャビティ3内を昇圧し、昇圧したキャビティ3内に熱可塑性樹脂を射出する。
【選択図】図1
Description
ビティに対するカウンタプレッシャ用のガスの供給と排出を行う方法が知られている。しかしこのような金型では、パーティング部の間隔は溶融樹脂の漏れ出しを防止するため狭くなっており、キャビティへのガス給排気に際してガスがパーティング部を通過する時の流動抵抗が大きく、ガスの給排気の高速化には限界がある。
本発明は、発泡成形において成形体表面に発生するスワールマークの発生を防止し、短い成形サイクルで、かつ低コストで外観良好な射出発泡成形体を製造可能な射出発泡成形方法および射出発泡成形用金型を提供することを目的としている。
可動金型を固定金型の側へ移動させることにより、固定金型および可動金型のキャビティ外部における互いに向き合う一対の対向面の少なくとも一方に配置されたシール部材と、他方の対向面または該対向面に配置されたシール部材とを接触させて、キャビティをガスシール状態とし、
その後、シール部材を圧縮しながら可動金型を固定金型の側へさらに移動させることにより、ガスシール状態を維持しながらキャビティの容積を小さくし、これにより、大気圧を超える圧までキャビティ内を昇圧し、
昇圧したキャビティ内に熱可塑性樹脂を射出することを特徴とする。
その後、前記可動金型を前記固定金型から離れる側へ移動させてキャビティ容積を拡大し、これによりキャビティ内の熱可塑性樹脂を発泡させることを特徴とする。
い時間で行うことができる。
前記シール部材を圧縮しながら可動金型を固定金型の側へ移動させることにより、キャビティ内のガス圧を0.05MPa以上まで昇圧することが好ましい。
前記シール部材を圧縮しながら可動金型を固定金型の側へ移動させることにより、キャビティ内のガス圧を、物理発泡剤の供給圧に対して5%以上の圧力まで昇圧することが好ましい。
前記固定金型および前記可動金型にはそれぞれ、キャビティ外部に、互いに向き合う一対の対向面が設けられ、
前記一対の対向面の少なくとも一方には、シール部材が配置され、
可動金型を固定金型の側へ移動させて、前記一方の対向面に配置されたシール部材と、前記他方の対向面または該対向面に配置されたシール部材とが接触することにより、キャビティがガスシール状態とされ、
シール部材を圧縮しながら可動金型を固定金型の側へさらに移動させることにより、ガスシール状態を維持しながらキャビティの容積が小さくなり、これにより、大気圧を超える圧までキャビティ内が昇圧されることを特徴とする。
キャビティ内に熱可塑性樹脂を充填するときのキャビティ厚みが0.7〜2.5mmであることが好ましい。
このように、キャビティの周囲をシェアエッジ構造とした金型を使用することで、キャビティへのガスの給排気が成形品の全周で行えるため、キャビティ内のガスを高速に昇圧、減圧することが可能となる。したがって、スワールマークのない外観良好な射出発泡成形体を短い成形サイクルで製造することができる。
また本発明によれば、キャビティ内のガス圧を昇圧した際に、一方の対向面に配置されたシール部材が、他方の対向面または該対向面に配置されたシール部材に対して全周で密着するので、エア漏れすることがない。さらに、気密を保つためのシール部材の磨耗が抑制される。
シール部材6によるガスシール部と、シェアエッジ4との間には、固定金型1の内部から外部に至るガス流路5が連通し、固定金型1の外部において、ガス流路5にはバルブ8が配置されている。
本実施形態の射出発泡成形金型による成形工程を、図3および図4を参照しながら説明する。固定金型1と可動金型2が離間した図3(a)の状態から、可動金型1を固定金型2の側へ移動させて、可動金型1の対向面に配置されたシール部材6と、固定金型2の対向面に配置されたシール部材6とを互いに接触させる。これにより、図3(b)に示したように、キャビティ3がガスシール状態とされる。
本発明において成形用に用いられる樹脂は、熱可塑性であれば特に制限はないが、ポリオレフィン樹脂が好ましく、特にポリプロピレン樹脂が好ましい。
せる。化学発泡剤は通常、マスターバッチ形式でペレット状原料とブレンドし、加熱により発生したガスを可塑化した樹脂と混練し、樹脂中に溶解させて用いる。
本発明において、固定金型および可動金型にはそれぞれ、キャビティの外部、より具体的にはシェアエッジの外周側に、互いに向き合う一対の対向面が設けられ、この対向面のうち少なくとも一方には、ガスシール部を構成するシール部材が配置される。このシール部材は、両方の対向面のそれぞれに配置することが好ましい。
丸紐、チューブ状、カマボコ型などのように、断面形状が円または半円であると、圧縮幅が大きく、シールストロークを長く取ることができる。
上記した双方の利点を生かすためには、片側が丸状であり、その反対側が角状であるシール部材を用いることが好ましい。
本発明では、キャビティ内のガス圧を昇圧した後、射出動作によりキャビティ内に溶融樹脂が充填されていくに伴い、キャビティ内のガス圧がさらに昇圧を始めるが、そのキャビティ内ガスはシェアエッジを通して外周に設けられた図5,図6のガス流路5aに流出する構造となっているため、実質的なキャビティ圧の上昇は抑制され、高速の射出成形で問題となるようなヤケは発生しない。なお、ヤケとは、昇圧により温度が過度に上昇し、樹脂が炭化等の熱変性を起すことを言う。すなわち、樹脂充填時において、キャビティ内のガスはシェアエッジを通ってキャビティ周囲に配置したガス流路5aをバッファとして排気されるので、ガスの抜けが良くなり、キャビティ内ガスの圧縮に伴うヤケ、および、発泡成形で問題となり易い成形品表面のアバタを防止することができる。
に好ましくは、溶融樹脂の充填完了時からキャビティ容積の拡大を開始する時点までの間に圧力開放が行われる。
また、炭酸ガス、窒素ガス等の物理発泡剤を使用する系においては、ガス注入圧力の5%以上、好ましくは5〜50%、さらに好ましくは10〜40%の範囲が外観の良い領域である。
省エネルギー、排ガス規制のもと自動車分野では外観良好で軽量な成形品が求められており、発泡成形工法による射出成形部品も出始めているが、外観に関してはまだ改良が必要である。一方で、カウンタプレッシャ工法は工程の増加を伴うため、成形サイクルが長くなり、秒単位でのサイクル短縮が求められる自動車分野には採用が難しい。しかし本発明によれば、従来のカウンタプレッシャ工法で問題となるサイクル時間の増加が無く、あるいは増加を最小にすることが可能であり、外観良好で軽量な発泡成形品が得られるため、発泡成形工法のさらなる拡大が期待できる。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
キャビティサイズが800×500mmである図1に示した金型を用意した。この金型は、ガスシール部の入れ子部材の厚みによりキャビティの厚さを変更できる構造であり、所定の厚みの入れ子部材を、断面が円形状のゴム製O−リングを挟んで可動金型へ固定することにより、金型を完全に閉じた状態でのキャビティの厚さが1.5mmとなるように調節した。
定した。
[比較例1]
キャビティ内にガス圧力を付加しないで(キャビティ内ガス圧力=0MPa)射出成形を実施したところ、スワールマークが成形品表面に発生し、また、成形品表面の一部にアバタ(成形品表面の凹凸)の発生が見られた。成形条件およびその結果を表1に示した。[参考例1]
キャビティ内のガス圧力を0.9MPaと高くした以外は、実施例1と同様にして射出成形を行った。キャビティ圧が物理発泡剤の圧力1.5MPaに対して好ましい範囲より高いため、発泡成形品表面にアバタや発泡不良が発生しているが、スワールマークは無いことが確認された。成形条件およびその結果を表1に示した。
[参考例2]
発泡剤の供給圧力とキャビティ内のガス圧力は実施例1と同じとし、キャビティ内への溶融樹脂の射出が完了した後もキャビティ内の圧力を保っておき、可動型を移動させてキャビティ容積を拡大する工程の途中で脱圧力を開始した。排気を開始するタイミングが好ましい範囲より遅いため、発泡成形品表面にアバタや発泡不良が発生したが、スワールマークは無いことが確認された。成形条件およびその結果を表1に示した。
発泡剤として、炭酸水素ナトリウムとクエン酸系の熱分解型化学発泡剤を使用した以外は実施例1と同様にして射出成形を行った。化学発泡剤は、マスターバッチ形式で材料に3部添加・混合し、供給を行った。
[比較例2]
キャビティ内にガス圧力を付加しないで(キャビティ内ガス圧力=0MPa)射出成形を実施したところ、成形品表面の平面性は出ていたが、表面にスワールマークが発生していた。成形条件およびその結果を表2に示した。
[参考例3]
キャビティ内のガス圧力を0.9MPaと高くした以外は、実施例2と同様にして射出成形を行った。キャビティ圧が好ましい範囲より高いため、発泡成形品表面にアバタや発泡不良が発生しているが、スワールマークは無いことが確認された。成形条件およびその結果を表2に示した。
2 可動金型
3 キャビティ
4 シェアエッジ
5 ガス流路
5a ガス流路
6 シール部材
7 バルブ
8 入れ子部材
9 スライドコア
10 熱可塑性樹脂
11 O−リング
Claims (13)
- 固定金型と可動金型により形成されるキャビティ内に、可塑化され発泡ガスが溶解した熱可塑性樹脂を充填した後、可動金型を移動してキャビティ容積を拡大し、発泡樹脂成形体を得る射出発泡成形方法であって、
可動金型を固定金型の側へ移動させることにより、固定金型および可動金型のキャビティ外部における互いに向き合う一対の対向面の少なくとも一方に配置されたシール部材と、他方の対向面または該対向面に配置されたシール部材とを接触させて、キャビティをガスシール状態とし、
その後、シール部材を圧縮しながら可動金型を固定金型の側へさらに移動させることにより、ガスシール状態を維持しながらキャビティの容積を小さくし、これにより、大気圧を超える圧までキャビティ内を昇圧し、
昇圧したキャビティ内に熱可塑性樹脂を射出することを特徴とする射出発泡成形方法。 - 大気圧を超える圧まで昇圧した前記キャビティ内に熱可塑性樹脂を射出する途中または射出した後に、キャビティ内のガス圧を開放し、
その後、前記可動金型を前記固定金型から離れる側へ移動させてキャビティ容積を拡大し、これによりキャビティ内の熱可塑性樹脂を発泡させることを特徴とする請求項1に記載の射出発泡成形方法。 - 凹部を凸部に嵌合させてこれらの内部でキャビティを形成し、凹部と凸部とを嵌合部で摺動させることにより前記キャビティの容積を変化させるシェアエッジ構造を有する固定金型および可動金型を用いることを特徴とする請求項1に記載の射出発泡成形方法。
- 一対の前記対向面の少なくとも一方に配置されたシール部材と、他方の対向面または該対向面に配置されたシール部材とを互いに接触させた後、前記シール部材によるガスシール部と、前記シェアエッジ構造の嵌合部との間に連通するガス流路からキャビティ内へガスを供給し、これによりキャビティ空間を昇圧することを特徴とする請求項3に記載の射出発泡成形方法。
- 大気圧を超える圧まで昇圧した前記キャビティ空間に熱可塑性樹脂を射出する途中、または射出した後に、前記シール部材によるガスシール部と、前記シェアエッジ構造の嵌合部との間に連通するガス流路からキャビティ内のガスを排出することにより、該キャビティ内のガス圧を開放することを特徴とする請求項3に記載の射出発泡成形方法。
- 熱可塑性樹脂の発泡剤として化学発泡剤を用いると共に、
前記シール部材を圧縮しながら可動金型を固定金型の側へ移動させることにより、キャビティ内のガス圧を0.05MPa以上まで昇圧することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の射出発泡成形方法。 - 熱可塑性樹脂の発泡剤として物理発泡剤を用いると共に、
前記シール部材を圧縮しながら可動金型を固定金型の側へ移動させることにより、キャビティ内のガス圧を、物理発泡剤の供給圧に対して5%以上の圧力まで昇圧することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の射出発泡成形方法。 - 固定金型と可動金型により形成されるキャビティ内に、可塑化され発泡ガスが溶解した熱可塑性樹脂を充填した後、可動金型を移動してキャビティ容積を拡大し、発泡樹脂成形体を得る射出発泡成形金型であって、
前記固定金型および前記可動金型にはそれぞれ、キャビティ外部に、互いに向き合う一対の対向面が設けられ、
前記一対の対向面の少なくとも一方には、シール部材が配置され、
可動金型を固定金型の側へ移動させて、前記一方の対向面に配置されたシール部材と、前記他方の対向面または該対向面に配置されたシール部材とが接触することにより、キャビティがガスシール状態とされ、
シール部材を圧縮しながら可動金型を固定金型の側へさらに移動させることにより、ガスシール状態を維持しながらキャビティの容積が小さくなり、これにより、大気圧を超える圧までキャビティ内が昇圧されることを特徴とする射出発泡成形用金型。 - 前記固定金型および前記可動金型は、凹部を凸部に嵌合させてこれらの内部でキャビティを形成し、凹部と凸部とを嵌合部で摺動させることにより前記キャビティの容積を変化させるシェアエッジ構造を有することを特徴とする請求項8に記載の射出発泡成形用金型。
- 前記一方の対向面に配置されたシール部材と、前記他方の対向面または該対向面に配置されたシール部材とが接触する最大のキャビティ厚みが2〜8mmであり、
キャビティ内に熱可塑性樹脂を充填するときのキャビティ厚みが0.7〜2.5mmであることを特徴とする請求項9に記載の射出発泡成形用金型。 - 前記シール部材によるガスシール部と、前記シェアエッジ構造の嵌合部との間に連通する給排気用のガス流路が設けられていることを特徴とする請求項9または10に記載の射出発泡成形用金型。
- 前記シール部材によるガスシール部と、前記シェアエッジ構造の嵌合部との間における空間に面して配置され、一定方向への摺動により当該空間の容積を気密に変化させるスライドコアを備え、
前記スライドコアの移動によって、シール状態となったキャビティ内のガス圧力を昇圧可能であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の射出発泡成形用金型。 - 前記固定金型および前記可動金型のうち一方は、
金型本体と、
該金型本体に着脱可能であり、その厚みによってキャビティ厚みが規定され、一方の面が前記対向面となる入れ子部材と、を備えることを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載の射出発泡成形用金型。
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