JP2006156433A - 磁心及びこれを用いた電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 キュリー温度が異なるフェライト磁性材料で構成し、第1のフェライト磁性材料はキュリー温度が100℃以上のフェライト磁性材料であり、第2のフェライト磁性材料はキュリー温度が−40℃未満のフェライト磁性材料であって、第1のフェライト磁性材料と第2のフェライト磁性材料を一体的に成形し、しかる後、一体焼結して、第1のフェライト磁性材料と第2のフェライト磁性材料を直接接合し、第2のフェライト磁性材料をそのキュリー温度以上の温度範囲で磁気ギャップ材として用いた。
【選択図】 図1
Description
一般に、前記磁気ギャップは空隙として形成されるが、磁気ギャップの間隔がインダクタンス素子の特性に影響を与える。そこで特許文献1のインダクタンス素子では、図5に示すようにU字型磁心6の両磁脚7,8に巻線9,10を巻装し、前記磁脚7,8の開放端間にI字状磁心11がギャップスペーサ13を介してギャップ12を形成するように配置し、磁気ギャップ寸法のばらつき要因を少なくしている。
しかしながら、このようなインダクタンス素子では、磁気ギャップ12を紙材などからなるギャップスペーサ13を用い接着剤14で結合し、または接着剤14だけで結合するため、組立時に、ギャップスペーサ13を配置する手間や、磁気ギャップ12を埋める接着剤14が乾燥硬化するまでに時間がかかる。また硬化までの間、U字状磁心6とI字状磁心11とを保持することが必要であり生産性に劣るものであった。また、多くの接着剤を磁気ギャップに介在させると、膨潤等の経時変化により磁気ギャップ寸法に影響を及ぼしインダクタンス値が変化する問題もあった
この磁心は、フェライト層(磁性体層)と、アルミナを主成分とするセラミック層(非磁性層)と、前記フェライト層と前記セラミック層との間に存在し、FeとAlとが相反する傾斜組成を有する傾斜組成層を備え、前記非磁性層を磁気ギャップとしたものである。前記フェライト層は、例えばMn−Zn系、Ni−Zn系、Ni−Cu−Zn系、Mg−Zn系フェライト等が用いられる。そして前記非磁性層を構成するアルミナを所定の厚みを有するシート状にして供することで、磁気ギャップを精度良く形成できる。また、前記傾斜組成層はフェライト層及びセラミック層を構成する成分を含有することで、焼成収縮率、収縮挙動の異なる前記フェライト層と前記セラミック層との中間層として機能し、層間の接合を容易としている。
本発明においては、前記第1のフェライト磁性材料と、前記第2のフェライト磁性材料の収縮率の差を−4%〜+4%とするのが好ましい。収縮率の差が前記範囲外であると、内部応力が著しく、クラック等の欠陥が生じ易くなり好ましくない。
また、TMA(熱機械的分析法)における第1及び第2のフェライト磁性材料の収縮開始温度が700℃以上であり、第1のフェライト磁性材料の収縮開始温度と第2のフェライト磁性材料の収縮開始温度との差が−150℃〜200℃の範囲にあり、1000℃〜1100℃の間の収縮曲線の傾きの差を0%〜30%とするのが好ましい。この場合も前記範囲外であると内部応力が著しく、クラック等の欠陥が生じ易くなり好ましくない。
本発明の磁心に用いる第1のフェライト磁性材料は、Fe2O3、ZnO、MnOを主成分とし、Fe2O3:53mol%、ZnO:7mol%、MnO:40mol%と副成分として、前記主成分に対してCo3O4:0.2wt%添加したものである。その初透磁率μiは1900であり、キュリー温度Tcは220℃である。
なお、第1のフェライト磁性材料はキュリー温度が100℃以上であるフェライト磁性材料であれば、特に限定されるものでは無い。電子部品用の磁心として要求される磁気特性(初透磁率、損失、品質係数等)に応じて、その組成は適宜選定され得るものである。
他の第2のフェライト磁性材料として、Fe2O3:53mol%、ZnO:44mol%、CuO:3mol%のCu−Zn系フェライト磁性材料も例示される。この材料のキュリー温度もまた−40℃未満である。
第1のフェライト磁性材料の作製手順を説明する。焼結後、前記組成となるように素原料を所定量秤量し、これに水及び分散剤を加えてアトライターにて混合して、乾燥後、大気中850℃で1.5時間仮焼し、この仮焼後の原料に水、分散剤を加えてアトライターで粉砕してスラリーを作製した。これに、バインダーを加えてスプレードライヤーで乾燥し、造粒粉とした。
比較例として第1のフェライト磁性材料と、厚みが150μmのAl2O3を用い、前記実施例と同様の方法で磁心を作製した。得られた磁心を切断し、顕微鏡で断面を観察したところ、僅かではあるがAl2O3層から第1のフェライト磁性材料の層は至るクラックが発生していた。
実施例1と同様にて得られた磁心(第2のフェライト磁性材料はMn−Zn系を用いた)から、長さ30mm、幅5mm、厚み3mmのI字状磁心1を切り出した。ここで磁心中央に位置する磁気ギャップの間隔は200μmとしている。さらに2つの磁脚3、4を繋ぐ連結部を備えたU字状磁心2を準備し、前記連接部6にコイルボビンを配置した。前記コイルボビン5には線径0.5mmφの線材が10回巻き回されている。前記I字状磁心1をU字状磁心2の磁脚3、4と実質的に空隙無く当接するように橋架けして配置して、樹脂粘着テープによりテーピング固定として本実施例に係るインダクタンス素子を構成した。なお、前記U字状磁心2は、2つの磁脚3、4を繋ぐ連結部が30mm、幅5mm、厚み3mmで、連結部からの立設する磁脚の高さが2.5mmであり、I字状磁心1を構成する第1のフェライト磁性材料を用いて形成されている。
比較例として、磁気ギャップを設けないI字状磁心を用いて同様に直流重畳特性を測定した。本実施例によれば、比較例と比較し優れた直流重畳特性を発揮することがわかる。第2のフェライト磁性材料と直接接合される第1のフェライト磁性材料の収縮率や収縮挙動を近似させることで、前記第2のフェライト磁性材料で構成される磁気ギャップの間隔を広く出来るため、電子部品が使用される電流範囲でインダクタンス値の変化が実質的にない、優れた直流重畳特性を得ることが出来た。
2 U字状磁心
3、4 磁脚
5 コイルボビン
6 連接部
Claims (4)
- キュリー温度が異なるフェライト磁性材料で構成され、第1のフェライト磁性材料はキュリー温度が100℃以上のフェライト磁性材料であり、第2のフェライト磁性材料はキュリー温度が−40℃未満のフェライト磁性材料であって、
前記第1のフェライト磁性材料と前記第2のフェライト磁性材料を一体的に成形し、しかる後、一体焼結して、前記第1のフェライト磁性材料と前記第2のフェライト磁性材料を直接接合し、もって前記第2のフェライト磁性材料をそのキュリー温度以上の温度範囲で磁気ギャップ材として用いたことを特徴とする磁心。 - 前記第1のフェライト磁性材料と前記第2のフェライト磁性材料との収縮率の差が−4%〜+4%であることを特徴とする請求項1に記載の磁心。
- TMA分析における第1及び第2のフェライト磁性材料の収縮開始温度が700℃以上であり、第1のフェライト磁性材料の収縮開始温度と第2のフェライト磁性材料の収縮開始温度との差が−150℃〜100℃の範囲にあり、1000℃〜1100℃の間の収縮曲線の傾きの差が0%〜30%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁心。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の磁心を用いて構成され、前記磁心に巻線を巻設し、あるいは巻線を巻設した他の磁心と組み合わせて構成したことを特徴とする電子部品。
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