JP2006156002A - 固体電解質電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 固体電解質電池において、初回充放電時に発生したガスを外部に抜けやすくしてガス発生に起因する種々の問題の発生を防止し、電池の耐久性を向上させうる手段を提供する。
【解決手段】 正極活物質層13、固体電解質層17、および負極活物質層15がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層19を有する固体電解質電池において、前記正極活物質層、前記固体電解質層、および前記負極活物質層の1つまたは2つ以上に中空糸100を含有させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、固体電解質電池に関する。特に本発明は、固体電解質電池の耐久性を向上させるための改良に関する。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極活物質等を正極集電体の両面に塗布した正極と、バインダを用いて負極活物質等を負極集電体の両面に塗布した負極とが、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している(例えば、特許文献1を参照)。
このリチウムイオン二次電池の初回充放電時には、電池要素を構成する電解質層や電極からガスが発生することが知られている。このガスは、電極の細孔内に吸着していた空気や、電極表面に被膜が形成される際の電解液の分解などが原因と考えられている。このガスをそのままにしておくと、電極の活物質の剥離等が起こり、充放電性能や電池寿命等の電池特性が低下する原因となる。このため、初回充放電後に一旦電池ケースの封を開け、発生したガスを電池ケースの外部へ逃がす必要がある。
従来のリチウムイオン二次電池では、それほど電極の面積も大きくないため、一旦電池ケースの封を開けるのみでも、発生したガスを電池ケースの外部に逃がすことは容易である。しかしながら、近年、電池性能を向上させる観点から、リチウムイオン電池は大型化する傾向にある。このため、電池ケースの封を開けるのみでは、初回充放電時に発生したガスを充分に電池ケースの外部に逃がすことができない場合がある。つまり、電池の大型化に伴い、発生したガスが電池要素の中心部に残留し、外部に逃げない場合がある。その結果、そのガスの存在により電池要素における電極活物質や電解質の剥離が発生し、電池性能が低下するという問題があった。特に、電池の出力密度を向上させる観点から開発が進められており、電池面積の大型化の傾向が著しいバイポーラ電池において、このような問題は顕著である。
ここで従来、電解質層に高分子電解質を用いた固体電解質電池において、発生したガスを外部へ逃がす目的で、電極の活物質層に両端に通じる直線状の溝を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2003−7345号公報 特開平11−86870号公報
しかしながら、前記文献2に記載のように電極の活物質層に溝を設ける形態によれば、電極の強度が不充分となり、電極に圧力をかけた場合には当該溝がつぶれてしまう虞がある。その結果、発生したガスを外部へ充分に逃がすことができなくなって電極が劣化し、電池性能が低下してしまうという問題がある。特に、単電池層の積層数がますます増大しているバイポーラ電池などにおいて、この問題は顕著である。
また、固体電解質電池においては、たとえガス抜きの目的で電極や固体電解質層中に空隙を設けても、それぞれの空隙が連結されて外部に通じていない限り、電池要素の内部において発生したガスは空隙中に留まるのみで外部に抜けにくいという問題がある。さらに、そもそも電極や固体電解質層にかような空隙を設けることは困難であり、その作業も煩雑である。
そこで、本発明の目的は、固体電解質電池において、初回充放電時に発生したガスを外部に抜けやすくしてガス発生に起因する種々の問題の発生を防止し、電池の耐久性を向上させうる手段を提供することである。
本発明は、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有する固体電解質電池であって、記正極活物質層、前記固体電解質層、および前記負極活物質層の1つまたは2つ以上が中空糸を含有する、固体電解質電池である。
本発明の固体電解質電池においては、電極または固体電解質層の少なくとも1つに中空糸が含有されている。このため、電池要素内で発生したガスが当該中空糸を介して分散し、または電池要素の外部に排出されうる。その結果、ガスの滞留に伴う種々の問題の発生が防止され、充放電性能や電池寿命等の電池特性が向上しうる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、以下の形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
(構成)
本発明は、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有する固体電解質電池であって、記正極活物質層、前記固体電解質層、および前記負極活物質層の1つまたは2つ以上が中空糸を含有する、固体電解質電池である。
図1は、バイポーラ型である、本実施形態の固体電解質電池の概要を示す断面図である。なお、本明細書においては、バイポーラ型のリチウムイオン二次電池(以下、「バイポーラ電池」とも称する)を例に挙げて詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はかような形態のみに制限されない。
図1に示す本実施形態のバイポーラ電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の電池要素21が、外装であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。
図1に示すように、本実施形態のバイポーラ電池10の電池要素21は、集電体11の一方の面に正極活物質層13が形成され他方の面に負極活物質層15が形成された複数のバイポーラ電極を有する。各バイポーラ電極は、固体電解質層17を介して積層されて電池要素21を形成する。この際、一のバイポーラ電極の正極活物質層13と前記一のバイポーラ電極に隣接する他のバイポーラ電極の負極活物質層15とが固体電解質層17を介して向き合うように、各バイポーラ電極および固体電解質層17が積層されている。
そして、隣接する正極活物質層13、固体電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。図2は、本実施形態のバイポーラ電池10の有する1つの単電池層19および前記単電池層19を挟持する2枚の集電体11からなる積層体の拡大断面模式図である。図2は、集電体11、正極活物質層13、固体電解質層17、負極活物質層15、および集電体11が、この順に積層された形態である。従って、バイポーラ電池10は、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。また、単電池層19の外周には、隣接する集電体11間を絶縁するための絶縁層31が設けられている。なお、電池要素21の最外層に位置する集電体(最外層集電体)(11a、11b)には、片面のみに、正極活物質層13(正極側最外層集電体11a)または負極活物質層15(負極側最外層集電体11b)のいずれか一方が形成されている。
さらに、図1に示すバイポーラ電池10では、正極側最外層集電体11aが延長されて正極タブ25とされ、外装であるラミネートシート29から導出している。一方、負極側最外層集電体11bが延長されて負極タブ27とされ、同様にラミネートシート29から導出している。
以下、本実施形態の特徴的な構成について、詳細に説明する。
図3は、本実施形態のバイポーラ電池10の固体電解質層の模式平面図である。
図2および図3に示すように、本実施形態のバイポーラ電池10は、固体電解質層17に中空糸100が含有される点に特徴を有する。詳細には、固体電解質層17は、従来の電池において固体電解質層17を構成するマトリックスポリマー(例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)など)、支持塩であるリチウム塩(LiPF、Li(CSO)Nなど)、重合開始剤(アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンジルジメチルケタール(BDK)など)に加えて、中空糸100を含有する点に特徴を有する。ただし、固体電解質層17における中空糸100以外の成分組成が、上記の形態に制限されるわけではない。
以下、本実施形態における中空糸100の好ましい形態について、詳細に説明する。
本明細書中、「中空糸」とは、内部に空洞を有するストロー状の糸を意味する。図4は、本発明において用いられる中空糸100を示す模式図である。
中空糸100の具体的な形態(サイズ、材質など)は特に制限されず、所望の電池性能やガス抜き性能を考慮して、適宜調整されうる。以下、本発明において用いられる中空糸100の形態の一例を説明する。
中空糸100の内径(中空糸の有する空洞の径、図4に示す長さL)は、特に制限されない。ただし、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは1〜30μmである。中空糸100の内径が小さすぎると、中空糸100を含有することによるガス抜き能が充分に確保されない虞がある。一方、中空糸100の内径が大きすぎると、場合によっては中空糸100の周囲に存在するポリマーなど(後述する第2実施形態のように中空糸100が電極中に含有される場合には、さらに電極活物質など)の成分が中空糸100の有する空洞中に保持されてしまい、また、ガス抜きの経路が分断されてしまう。その結果、電池性能が低下する虞がある。
中空糸100の長さ(図4に示す長さL)についても、特に制限はない。ただし、好ましくは10〜100000μm、より好ましくは100〜50000μm、さらに好ましくは500〜10000μmである。中空糸100が短すぎると、固体電解質層17の外部に通じる中空糸の割合が低下し、ガスが固体電解質層17の外部に充分に排出されない虞がある。また、中空糸100の周囲に存在するポリマーなどの成分が中空糸100の有する空洞中に保持されてしまう虞もある。一方、中空糸100が長すぎると、電極の形成が困難になる虞がある。
中空糸100を構成する材料も特に制限されないが、樹脂により中空糸100が構成されることが、柔軟性などの観点から好ましい。中空糸100を構成する樹脂としては、これらに制限されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、四フッ化ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、フェノール樹脂、フラン樹脂などが挙げられる。ただし、場合によっては樹脂以外の材料により中空糸100が構成されてもよく、例えば、セラミック、ガラスなどにより中空糸100が構成されてもよい。
図4に示すように、中空糸100は、その表面に微細孔110を有することが好ましい。かような形態によれば、固体電解質層17の中空糸100の周囲において発生したガスが、中空糸100表面の微細孔110から中空糸100の有する空洞中に取り込まれ、当該空洞の内部を移動しうる。これにより、中空糸100の先端部が固体電解質層17の外部に通じている場合には、固体電解質層17の外部に通じた中空糸100の先端部(例えば、図3に示す120)から外部に排出されうる。また、中空糸100の先端部が固体電解質層17の外部に通じていない場合であっても、中空糸100の有する空洞中にガスが分散し、ガスが局所に滞留することによる電池要素21の劣化などの問題の発生が抑制されうる。従って、中空糸100は、その先端部が固体電解質層17の外部に通じるように当該電解質層中に含有されることが、効率的なガス排出の観点からは好ましいが、たとえ外部に通じないように含有された場合(例えば、図3に示す122を参照)であっても、本発明の作用効果を奏しうる。このことは、表面に微細孔110を有さない中空糸100が含有される場合であっても、同様である。
中空糸100がその表面に微細孔110を有する場合、微細孔110の直径(図4に示すL)は、特に制限されず、所望のガス抜き性能や中空糸100自体のサイズ、製造の容易さなどを考慮して、適宜設定されうる。ただし、微細孔110の直径は、好ましくは1〜500nm、より好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは10〜50nmである。微細孔110の直径が小さすぎると、ガスが微細孔を透過することが困難となり、充分なガス抜き性能が得られない虞がある。一方、微細孔110の直径が大きすぎると、固体電解質層17中に含まれるマトリックスポリマーなどの固体成分により微細孔110が塞がれてしまい、同様にガス抜き性能が低下してしまう虞がある。
中空糸100の外部表面積に占める微細孔形成部の面積比は、特に制限されないが、好ましくは5〜90%、より好ましくは20〜60%である。微細孔形成部の占める面積比が小さすぎると、充分なガス抜き性能が得られない虞がある。一方、微細孔形成部の占める面積比が大きすぎると、中空糸100を構成する壁の面積が相対的に減少する結果、中空糸100の強度が低下し、積層方向の圧力によって中空糸100の有する空洞がつぶれてしまう虞がある。なお、図4に示す形態において、微細孔110は中空糸100の表面に規則的に形成されているが、かような形態のみには制限されず、微細孔110が不規則に形成される形態もまた、採用されうる。
以上、中空糸100の有する好ましい形態について説明したが、固体電解質層17には、単一の中空糸100が含有されてもよく、異なる形態(サイズ、材質、表面の微細孔110の有無など)を有する複数の中空糸100が含有されてもよい。
固体電解質層17における中空糸100の含有量は、特に制限されず、他の成分の好ましい含有量を考慮して、適宜調整されうる。一例を挙げると、中空糸100の含有量は、固体電解質層17の全質量に対して、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%である。固体電解質層17における中空糸100の含有量が少なすぎると、中空糸100を含有させることによるガス抜き性能の向上効果が充分に得られない虞がある。一方、中空糸100の含有量が多すぎると、電解質中のイオンの拡散を阻害してしまう結果、電池の出力が低下する虞がある。
以下、本実施形態のバイポーラ電池10を構成する部材について簡単に説明するが、下記の形態のみに制限されることはなく、従来公知の形態が同様に採用されうる。
[集電体(最外層集電体を含む)]
集電体11および最外層集電体(11a、11b)は、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス(SUS)箔など、導電性の材料から構成される。最外層集電体以外の集電体の一般的な厚さは、1〜30μmである。ただし、この範囲を外れる厚さの集電体を用いてもよい。
集電体の大きさは、バイポーラ電池10の使用用途に応じて決定される。大型の電池に用いられる大型の電極を作製するのであれば、面積の大きな集電体が用いられる。小型の電極を作製するのであれば、面積の小さな集電体が用いられる。
[活物質層]
正極活物質層13は、正極活物質を含む。正極活物質としては、リチウム−遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物やLiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物が挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。
負極活物質層15は、負極活物質を含む。負極活物質としては、上記のリチウム遷移金属−複合酸化物や、カーボンが好ましい。カーボンとしては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛系炭素材料、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン等が挙げられる。
正極活物質層13および負極活物質層15には、必要であれば、その他の物質が含まれてもよい。例えば、バインダ、導電助剤、リチウム塩(支持電解質)、イオン伝導性ポリマー等が含まれうる。また、イオン伝導性ポリマーが含まれる場合には、前記ポリマーを重合させるための重合開始剤が含まれてもよい。
バインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、合成ゴム系バインダ等が挙げられる。
導電助剤とは、正極活物質層13または負極活物質層15の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、グラファイト、気相成長炭素繊維などが挙げられる。
リチウム塩(支持塩)としては、Li(CSON)、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。ここで、前記イオン伝導性ポリマーは、バイポーラ電池10の固体電解質層17において電解質として用いられるイオン伝導性ポリマーと同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
重合開始剤は、イオン伝導性ポリマーの架橋性基に作用して、架橋反応を進行させるために配合される。開始剤として作用させるための外的要因に応じて、光重合開始剤、熱重合開始剤などに分類される。重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)や、光重合開始剤であるベンジルジメチルケタール(BDK)等が挙げられる。
正極活物質層13および負極活物質層15中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、リチウムイオン二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。
[固体電解質層]
固体電解質層17を構成する電解質は、イオン伝導性ポリマー(マトリックスポリマー)から構成され、イオン伝導性を示すのであれば材料は限定されない。優れた機械的強度を発現させることが可能である点で、高分子電解質形成用の重合性ポリマーを熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合により架橋構造を形成することにより作製されるものが好適に用いられる。かかる高分子電解質により形成される固体電解質層では、液漏れの虞がほとんどないため、電池の信頼性が向上し、かつ簡易な構成で出力特性に優れたバイポーラ電池10が形成される。
固体電解質としては、ゲル電解質および固体高分子電解質が挙げられる。
ゲル電解質とは、一般的に、イオン伝導性を有する高分子電解質に、電解液を保持させたものをいう。なお、本願では、リチウムイオン伝導性を有しない高分子の骨格中に、同様の電解液を保持させたものも、高分子ゲル電解質に含まれるものとする。用いられる電解液(電解質塩および可塑剤)の種類等は特に制限されない。電解質塩としては、例えば、LiBF、LiPF、Li(SOCFN、Li(SO等のリチウム塩が例示される。また、可塑剤としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどのカーボネート類などが例示される。
また、固体電解質層を構成する電解質がゲル電解質である場合、前記電解質層は、高分子ゲル原料溶液を不織布などのセパレータに含浸させた後、上記の種々の方法を用いて重合することにより形成されたものであってもよい。セパレータを用いることにより、電解液の充填量を高めることができるとともに、電池内部の熱伝導性が確保される。
一方、固体高分子電解質としては、特に限定されないが、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系高分子には、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。また、これらの高分子は、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。本発明においては、電極特性をより向上させるために、固体高分子電解質が正極活物質層13および負極活物質層15の双方にも含まれることが好ましい。
なお、上述したように、本実施形態のバイポーラ電池10においては、固体電解質層17に中空糸100が含有される。固体電解質層17に含有される中空糸100の好ましい形態については、上記で説明した通りであるため、ここでは説明を省略する。
[絶縁層]
バイポーラ電池10においては、通常、各単電池層19の周囲に絶縁層31が設けられる。この絶縁層31は、電池内で隣り合う集電体11同士が接触したり、電池要素21における単電池層19の端部の僅かな不ぞろいなどによる短絡が起こるのを防止する目的で設けられる。かような絶縁層31の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質のバイポーラ電池10が提供されうる。
絶縁層31としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよく、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。
[タブ]
バイポーラ電池10においては、電池外部に電流を取り出す目的で、最外層集電体(11a、11b)に電気的に接続されたタブ(正極タブ25および負極タブ27)が外装の外部に取り出される。具体的には、正極用最外層集電体11aに電気的に接続された正極タブ25と、負極用最外層集電体11bに電気的に接続された負極タブ27とが、外装の外部に取り出される。
タブ(正極タブ25および負極タブ27)の材質は、特に制限されず、バイポーラ電池用のタブとして従来用いられている公知の材質が用いられうる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等が例示される。なお、正極端子25と負極端子27とでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。なお、本実施形態のように、最外層集電体(11a、11b)を延長することによりタブ(25、27)としてもよいし、別途準備したタブを最外層集電体に接続してもよい。
[外装]
バイポーラ電池10においては、使用時の外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、電池要素21は、好ましくはラミネートシート29などの外装内に収容される。外装としては特に制限されず、従来公知の外装が用いられうる。自動車の熱源から効率よく熱を伝え、電池内部を迅速に電池動作温度まで加熱しうる点で、好ましくは、熱伝導性に優れた高分子−金属複合ラミネートシート等が用いられうる。
(製造方法)
続いて、本実施形態のバイポーラ電池10の製造方法について説明する。
本実施形態のバイポーラ電池10を製造する際には、まず、集電体11の一方の面に正極活物質層13を形成し、他方の面に負極活物質層15を形成して、バイポーラ電極を作製する。最外層集電体については、正極側最外層集電体11aの一方の面に正極活物質層13のみを形成し、負極側最外層集電体11bの一方の面に負極活物質層15のみを形成する。
次に、バイポーラ電極に形成された正極活物質層13が固体電解質層17を介して他のバイポーラ電極に形成された負極活物質層15と向き合う向きに、上記で作製したバイポーラ電極と固体電解質層17とを積層する。この際、積層体の最上面および最下面には、活物質が形成されていない面が露出するように最外層集電体(11a、11b)を積層する。また、固体電解質層17としては、中空糸100を含有するものを用いる。
従来のバイポーラ電池に用いられる固体電解質層17は、例えば固体高分子電解質を含む固体電解質層17の場合、固体高分子電解質、重合開始剤、および支持塩を適当な溶媒に添加してスラリーを調製し、このスラリーを塗布し、乾燥および重合させることによって、製造されうる。また、ゲル電解質を含む固体電解質層17の場合、さらに可塑剤を含むスラリーを調製し、乾燥および重合により所望の硬度とすることによって、製造されうる。本発明の固体電解質電池の固体電解質層17は、電解質を含むスラリー中に所望の量の中空糸を添加すること以外は、上記と同様の手法を用いて製造されうる。従って、スラリーの調製、塗布、乾燥、および重合等の条件については、電池製造の分野において従来公知の知見が適宜参照されうる。
なお、スラリー中に添加する中空糸としては、市販の商品を購入して用いてもよいし、自ら製造することが可能な場合には、自ら製造したものを用いてもよい。自ら中空糸を製造する際には、例えば、中空紡糸口金を用いて樹脂を紡糸し、得られた中空繊維を延伸させるといった手法が採用されうる。
電池要素21の積層中には、正極活物質層13、電解質層17および負極活物質層15からなる単電池層19を包囲するように、隣接する集電体11の間に絶縁層31を挟み込む。積層後、積層体の縁部をホットプレスして絶縁層31を集電体11と熱融着させることにより、積層された状態のバイポーラ電池の電池要素21が完成する。
その後、正極タブ25および負極タブ27を最外層集電体(11a、11b)に接合し、正極タブ25および負極タブ27が導出するように電池要素21をラミネートシート29により封止する。最外層集電体とタブとを接合する手法は特に制限されず従来公知の溶接方法などが用いられうる。溶接方法としては、例えば、超音波溶接、スポット溶接などが例示される。なかでも、低温での接合が可能であることから、超音波溶接が好ましく用いられる。
ラミネートシート29は、例えば、ヒートシール、インパルスシール、超音波融着、高周波融着などによって、封止されうる。
以上の工程により、複数の単電池層19を有する本実施形態のバイポーラ電池10が完成する。なお、固体電解質層17がゲル電解質を含む場合、固体電解質層17への電解液の注入は、絶縁層31のホットプレス前に行ってもよいし、ホットプレス後に行ってもよい。
(作用)
次に、本実施形態のバイポーラ電池の作用について説明する。
本実施形態のバイポーラ電池の電池としての作用については、一般的なバイポーラ電池の作用と同様であるため、ここでは説明を省略する。以下では、固体電解質層17に中空糸100が含有されることに基づく作用について、主に説明する。
本実施形態のバイポーラ電池10においては、固体電解質層17に、中空糸100が含有されている。これにより、当該電池の充放電時、特に初回の充放電時に固体電解質層17から発生するガスが前記中空糸100を介して移動し、分散しうる。このため、発生したガスが固体電解質層17の一部に滞留してしまう虞が低減する。場合によっては、中空糸100を介して移動したガスが電池要素21の外部に排出されうる。また、中空糸100がその表面に微細孔110を有していると、発生したガスの移動がスムーズに行われる。以上のことから、ガスの滞留に伴う固体電解質層17の厚さの変化や固体電解質層17のイオン伝導性の低下といった問題の発生が防止される。その結果、耐久性に優れるバイポーラ電池が提供されうる。
(第2実施形態)
第2実施形態のバイポーラ電池は、上記の第1実施形態と比較して、固体電解質層17に代えて正極活物質層13および負極活物質層15の双方に中空糸100が含有される点が異なるのみであり、その他の構成は上記の第1実施形態と同様である。従って、第1実施形態と同一の部材には同一の参照番号を付し、第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。このことは、後述する他の形態についても同様である。
図5は、本実施形態のバイポーラ電池10の有する1つの単電池層19および前記単電池層19を挟持する2枚の集電体11からなる積層体の拡大断面模式図である。図5に示す形態においても、集電体11、正極活物質層13、固体電解質層17、負極活物質層15、および集電体11が、この順に積層されている。そして、固体電解質層17には中空糸100が含有されず、正極活物質層13および負極活物質層15に中空糸100が含有されている。なお、正極活物質層13および負極活物質層15に含有される中空糸100のそれぞれの形態は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態のバイポーラ電池を製造する際には、活物質層に中空糸100が含有された電極(正極および負極)を用いる。活物質層に中空糸100が含有された電極を自ら製造する場合には、活物質、イオン伝導性ポリマーなどを適当な溶媒に添加して活物質スラリーを調製する際に、中空糸100を同時に添加して、得られたスラリーを集電体の表面に塗布すればよい。
上記のような構成を有することにより、本実施形態のバイポーラ電池10は、上記の第1実施形態のバイポーラ電池と同様の作用および効果を示す。すなわち、充放電時に正極活物質層13および負極活物質層15において発生したガスは、上述したように中空糸100を介して分散され、場合によっては電池要素21の外部へと排出される。これにより、ガスの滞留に伴う電極活物質層の厚さの変化や容量の低下といった問題の発生が防止される。その結果、耐久性に優れるバイポーラ電池が提供されうる。
(第3実施形態)
第3実施形態のバイポーラ電池は、上記の第1および第2実施形態と比較して、固体電解質層17、正極活物質層13および負極活物質層15のすべてに中空糸100が含有される点が異なるのみであり、その他の構成は上記の第1および第2実施形態と同様である。
図6は、本実施形態のバイポーラ電池10の有する1つの単電池層19および前記単電池層19を挟持する2枚の集電体11からなる積層体の拡大断面模式図である。図6に示す形態においても、集電体11、正極活物質層13、固体電解質層17、負極活物質層15、および集電体11が、この順に積層されている。そして、固体電解質層17、正極活物質層13および負極活物質層15のすべてに中空糸100が含有されている。なお、上記の第2実施形態と同様に、固体電解質層17、正極活物質層13および負極活物質層15に含有される中空糸100のそれぞれの形態は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記のような構成を有することにより、本実施形態のバイポーラ電池10は、上記の第1および第2実施形態のバイポーラ電池と同様の作用および効果を示す。すなわち、充放電時に固体電解質層17、正極活物質層13または負極活物質層15において発生したガスは、上述したように中空糸100を介して分散され、場合によっては電池要素21の外部へと排出される。これにより、ガスの滞留に伴う種々の問題の発生が防止される。その結果、耐久性に優れるバイポーラ電池が提供されうる。
(第4実施形態)
第4実施形態のバイポーラ電池は、上記の第1実施形態と比較して、固体電解質層17が中空糸100からなるセパレータを有する点が異なるのみであり、その他の構成は上記の第1実施形態と同様である。
図7は、本実施形態のバイポーラ電池10の有する1つの単電池層19および前記単電池層19を挟持する2枚の集電体11からなる積層体の拡大断面模式図である。図7に示す形態においても、集電体11、正極活物質層13、固体電解質層17、負極活物質層15、および集電体11が、この順に積層されている。本実施形態は、固体電解質層17が、中空糸100からなるセパレータ130を有する点に特徴を有する。なお、中空糸100からなるセパレータ130を構成する材料としては、中空糸100を用いて織られた織布のほか、中空糸製の不織布などが用いられてもよい。
中空糸100からなるセパレータ130としては、市販の商品を購入して用いてもよいし、自ら製造可能であれば自ら製造したものを用いてもよい。中空糸100からなるセパレータ130を自ら製造する際には、例えば、中空糸100を従来公知の織機を用いて織ることにより、中空糸100製の織布からなるセパレータ130が得られる。また、セパレータ130として中空糸100製の不織布を採用する場合には、不織布の製造について従来公知の湿式法または乾式法によって中空糸100製の不織布を製造すればよい。
上記のような構成を有することにより、本実施形態のバイポーラ電池10は、上記の第1実施形態のバイポーラ電池と同様の作用および効果を示す。また、セパレータを用いることから、電解液の充填量を高めることができるとともに、電池内部の熱伝導性が確保されうる。さらに、バイポーラ電池10の製造もより簡便となる。
(第5実施形態)
第5実施形態では、上記の第1〜第4実施形態のバイポーラ電池を複数個、並列および/または直列に接続して、組電池を構成する。
図8は、本実施形態の組電池を示す斜視図である。
図8に示すように、組電池40は、上記の第1〜第4実施形態のいずれかに記載のバイポーラ電池が複数個接続されることにより構成される。各バイポーラ電池10の正極タブ25および負極タブ27がバスバーを用いて接続されることにより、各バイポーラ電池10が接続されている。組電池40の一の側面には、組電池40全体の電極として、電極ターミナル(42、43)が設けられている。
組電池40を構成する複数個のバイポーラ電池10を接続する際の接続方法は特に制限されず、従来公知の手法が適宜採用されうる。例えば、超音波溶接、スポット溶接などの溶接を用いる手法や、リベット、カシメなどを用いて固定する手法が採用されうる。かような接続方法によれば、組電池40の長期信頼性が向上しうる。
本実施形態の組電池40によれば、上記の第1〜第4実施形態のバイポーラ電池10を用いて組電池化することにより、高容量および/または高出力の電池が提供されうる。しかも、組電池40を構成する個々のバイポーラ電池10が耐久性に優れることから、本実施形態の組電池40によれば、耐久性に優れる組電池もまた、提供されうる。
なお、組電池40を構成するバイポーラ電池10の接続は、複数個全て並列に接続してもよく、また、複数個全て直列に接続してもよく、さらに、直列接続と並列接続とを組み合わせてもよい。
(第6実施形態)
第6実施形態では、上記の第1〜第4実施形態のバイポーラ電池10、または第5実施形態の組電池40をモータ駆動用電源として搭載して、車両を構成する。バイポーラ電池10または組電池40をモータ用電源として用いる車両としては、例えば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などの、車輪をモータによって駆動する自動車が挙げられる。
参考までに、図9に、組電池40を搭載する自動車50の概略図を示す。自動車50に搭載される組電池40は、上記で説明したような特性を有する。このため、組電池40を搭載する自動車50は耐久性に優れ、長期間にわたって使用した後であっても充分な出力を提供しうる。
以上のように、本発明の幾つかの好適な実施形態について示したが、本発明は、以上の実施形態に限られるものではなく、当業者によって種々の変更、省略、および追加が可能である。例えば、以上の説明ではバイポーラ型のリチウムイオン二次電池(バイポーラ電池)を例に挙げて説明したが、本発明の固体電解質電池の技術的範囲がバイポーラ電池のみに制限されることはなく、例えば、バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池であってもよい。参考までに、図10に、バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池60の概要を示す断面図を示す。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
実施例1
<負極の作製>
負極活物質である膨張黒鉛(平均粒子径:10μm)(100質量部)、イオン伝導性ポリマーであるポリエチレンオキシド(PEO)(250質量部)、導電助剤である気相成長炭素繊維(繊維径:100nm、繊維長:20μm)(50質量部)、支持塩(リチウム塩)であるLiN(SO(BETI)(125質量部)、熱重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(1.25質量部)、およびスラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(500質量部)、中空糸(直径:20μm、長さ:約1mm)(10質量部)を混合し、充分に撹拌して、負極活物質スラリーを調製した。
上記で調製した負極活物質スラリーを、負極集電体としてのニッケル箔(厚さ:20μm)上にコーターにより塗布し、乾燥させた後、120℃にて5時間真空重合させて、負極を作製した。この際、集電体上に形成された活物質層の厚さは、30μmであった。次いで、得られた負極をポンチを用いて15mmφに打ち抜き、試験用負極とした。なお、得られた試験用負極に含まれる負極活物質(膨張黒鉛)の質量は10mgであった。
<正極の作製>
正極活物質であるマンガン酸リチウム(平均粒子径:10μm)(200質量部)、イオン伝導性ポリマーであるポリエチレンオキシド(PEO)(250質量部)、剥離防止剤である気相成長炭素繊維(繊維径:150nm、繊維長:20μm)(50質量部)、支持塩(リチウム塩)であるLi(SON(LiBETI)(125質量部)、熱重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(1.25質量部)、およびスラリー粘度調整溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)(500質量部)を混合し、充分に撹拌して、正極活物質スラリーを調製した。
上記で調製した正極活物質スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚さ:20μm)上にコーターにより塗布し、乾燥させた後、120℃にて5時間真空重合させて、正極を作製した。この際、集電体上に形成された活物質層の厚さは、30μmであった。次いで、得られた負極をポンチを用いて15mmφに打ち抜き、試験用正極とした。なお、得られた試験用正極に含まれる正極活物質(マンガン酸リチウム)の質量は16mgであった。
<固体電解質層の作製>
固体電解質層を構成する電解質であるポリエチレンオキシド(250質量部)、支持塩(リチウム塩)であるLiN(SO(BETI)(125質量部)、および光重合開始剤であるベンジルジメチルケタール(BDK)(1.25質量部)を混合し、スラリー粘度調製溶媒であるN−メチル−2−ピロリドンを適量添加して、充分に撹拌した。その後、紫外線を照射することによって電解質を重合させ、ポンチを用いて18mmφに打ち抜くことにより、電解質層を作製した。
<試験用セルの作製>
上記で作製した試験用負極、電解質層、および試験用正極を、電極の活物質層と固体電解質層とが向き合うようにこの順に積層し、正極集電体および負極集電体にそれぞれ電流取り出し用端子を接続した。次いで、電流取り出し用端子が外部に露出するように電池要素をアルミニウム製のラミネートフィルム中に入れ、真空に封止して、試験用セルを作製した。
<試験用セルの電池特性の評価>
上記で作製した試験用セルを用いて、以下の手法により、初回放電時の放電容量、充放電サイクル10回経過後の放電容量、および0.2C充放電時の放電容量を測定した。
本実施例の充放電試験では、0.1Cの定電流で4.1V(vs.Li/Li)の電圧まで充電し、10分休止後、0.1Cの定電流で3.0V(vs.Li/Li)の電圧まで放電し、10分休止するという一連の操作を1サイクルとした。なお、「1C」とは、その電流値で1時間充電すると、ちょうどその電池が満充電(100%充電)状態になる電流値をいう。例えば、2Cは1Cの2倍の電流値であり、30分で電池を満充電状態とすることができる。
まず、初回放電時の放電容量を測定した。その結果を下記の表1に示す。
次いで、ラミネートフィルムに穴を開けて初回充放電時に発生したガスをセルの外部へ逃がし、その後、再度真空に封止した。
続いて、上記の充放電サイクルをさらに9回繰り返し、10回目の放電時の放電容量を測定した。その結果を下記の表1に示す。
さらに、上記の操作の終了後、0.2Cの定電流で上記と同様に充放電を行い、放電時の放電容量を測定した。その結果を下記の表1に示す。
<実施例2>
負極に代えて正極に中空糸(10質量部)を含有させたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、試験用セルを作製し、電池特性の評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
<実施例3>
負極に加えて正極にも中空糸(10質量部)を含有させたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、試験用セルを作製し、電池特性の評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
<実施例4>
負極に代えて固体電解質層に中空糸(10質量部)を含有させたこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、試験用セルを作製し、電池特性の評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
<実施例5>
電解質層を作製する際に、中空糸(直径:20μm)からなる織布(厚さ:40μm)をセパレータとして用いたこと以外は、上記の実施例3と同様の手法により、試験用セルを作製し、電池特性の評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
なお、中空糸からなる織布の製造は、中空糸をそのまま用い、織機にかけることによって行った。
<比較例>
負極に中空糸を含有させなかったこと以外は、上記の実施例1と同様の手法により、試験用セルを作製し、電池特性の評価を行った。その結果を下記の表1に示す。
Figure 2006156002
<電極活物質層または電解質層に含有された中空糸によって生じる効果>
各実施例と比較例との比較から、電極活物質層または電解質層に中空糸を含有させることによって、初回充放電時に電池要素中において発生したガスが外部に抜けやすくなり、充放電サイクル経過後の電池の容量が高い値に維持されることがわかる。また、電解質層が中空糸からなるセパレータを有すると、容量がより一層高い値に維持されることがわかる。
第1実施形態の固体電解質電池の概要を示す断面図である。 第1実施形態のバイポーラ電池の有する1つの単電池層および前記単電池層を挟持する2枚の集電体からなる積層体の拡大断面模式図である。 第1実施形態のバイポーラ電池の固体電解質層の模式平面図である。 本発明において用いられる中空糸を示す模式図である。 第2実施形態のバイポーラ電池の有する1つの単電池層および前記単電池層を挟持する2枚の集電体からなる積層体の拡大断面模式図である。 第3実施形態のバイポーラ電池の有する1つの単電池層および前記単電池層を挟持する2枚の集電体からなる積層体の拡大断面模式図である。 第4実施形態のバイポーラ電池の有する1つの単電池層および前記単電池層を挟持する2枚の集電体からなる積層体の拡大断面模式図である。 第5実施形態の組電池を示す斜視図である。 第5実施形態の組電池を搭載する第6実施形態の自動車の概略図である。 バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池である固体電解質電池の概要を示す断面図である。
符号の説明
10 バイポーラ電池、
11 集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 固体電解質層、
19 単電池層、
21 電池要素、
25 正極タブ、
27 負極タブ、
29 ラミネートシート、
31 絶縁層、
33 正極集電体、
35 負極集電体、
40 組電池、
42、43 電極ターミナル、
50 自動車、
60 バイポーラ型でないリチウムイオン二次電池、
100 中空糸、
110 微細孔、
120 固体電解質層の外部に通じた中空糸の先端部、
122 固体電解質層の外部に通じていない中空糸の先端部、
130 中空糸からなるセパレータ。

Claims (5)

  1. 正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層がこの順に積層されてなる少なくとも1つの単電池層を有する固体電解質電池であって、
    前記正極活物質層、前記固体電解質層、および前記負極活物質層の1つまたは2つ以上が中空糸を含有する、固体電解質電池。
  2. 前記正極活物質層、前記固体電解質層、および前記負極活物質層の全てが中空糸を含有する、請求項1に記載の固体電解質電池。
  3. 前記固体電解質層が、中空糸からなるセパレータを有する、請求項1または2に記載の固体電解質電池。
  4. 前記中空糸が、その表面に直径1〜500nmの微細孔を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質電池。
  5. 前記固体電解質層を構成する電解質がゲル電解質または固体高分子電解質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体電解質電池。
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