JP2006154583A - 半透過型カラー液晶表示装置及びその製造方法 - Google Patents

半透過型カラー液晶表示装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】半透過型LCDの高品質化の実現。
【解決手段】画素電極200を備える第1基板100と共通電極320を備える第2基板300との間に、垂直配向型の液晶層400が封入され、各画素領域は反射領域220と透過領域210とを有し、液晶層400へ入射された光の位相差を制御する該液晶層の厚さ(ギャップ)dについて、反射領域220でのギャップdrが透過領域210でのギャップdtより小さくするギャップ調整部を第2基板側に備え、表示波長に応じて液晶層のギャップを最適化するために第1基板側の平坦化絶縁層38の厚さが調整されている。平坦化絶縁層38は、例えばハーフ露光により、1回の現像工程で、R,G,B画素で異なる厚さとできる。平坦化絶縁層38の反射領域に、反射層表面に光散乱用の凹凸形成用として形成される凹凸と、画素電極200とTFTを接続するコンタクトホールも上記ハーフ露光により同時に形成することもできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、各画素に反射領域と透過領域の両方が設けられた半透過型のカラー液晶表示装置に関する。
液晶表示装置(以下LCDという)は薄型で低消費電力であるという特徴を備え、現在、コンピュータモニターや、携帯情報機器などのモニターとして広く用いられている。このようなLCDは、一対の基板間に液晶が封入され、それぞれの基板に形成され電極によって間に位置する液晶の配向を制御することで表示を行うものであり、CRT(陰極線管)ディスプレイや、エレクトロルミネッセンス(以下、EL)ディスプレイ等と異なり、原理上自ら発光しないため、観察者に対して画像を表示するには光源を必要とする。
そこで、透過型LCDでは、各基板に形成する電極として透明電極を採用し、液晶表示パネルの後方や側方に光源を配置し、この光源光の透過量を液晶パネルで制御することで周囲が暗くても明るい表示ができる。しかし、常に光源を点灯させて表示を行うため、光源による電力消費が避けられないこと、また昼間の屋外のように外光が非常に強い環境下では、十分なコントラストが確保できないという特性がある。
一方、反射型LCDでは、太陽や室内灯等の外光を光源として採用し、液晶パネルに入射するこれらの周囲光を、非観察面側の基板に形成した反射電極によって反射する。そして、液晶層に入射し反射電極で反射された光の液晶パネルからの射出光量を画素ごとに制御することで表示を行う。このように反射型LCDは、光源として外光を採用するため、透過型LCDと異なり光源による電力消費がなく非常に低消費電力であり、また屋外など周囲が明るいと十分なコントラストが得られるが、逆に、外光がないと表示が見えないという特性がある。
そこで、最近、屋外でも見やすく、かつ暗いところでも観察の可能なディスプレイとして、例えば下記特許文献1や特許文献2に示されるように反射機能と光透過機能の両方を備えた半透過型LCDが提案がされ、着目されている。この半透過型LCDでは、一画素領域内に透過領域と反射領域を設けることで透過機能と反射機能の両立を図っている。
特開平11−101992号公報 特開2003−255399号公報
このように屋外での視認性と、暗い状況下での視認性を両立することができるため、例えば携帯型の情報機器などのディスプレイとして上記半透過型LCDを採用することは非常に有用である。
しかし、この携帯型情報機器などにおいて一層の低消費電力化と表示品質の向上が要求されており、そのためには駆動電圧を低く抑えつつ明るく、かつ色再現性の高い表示が必要となる。また、想定される観察状況が多様であるため、視野角が広いことも望まれる。
さらに、半透過型LCDでは、一画素内を透過領域と反射領域に分けて半透過性を実現するため、1画素当たりにおける透過特性、反射特性は、透過型LCDより低く、また反射型LCDより低くなるため、それぞれの表示領域(透過領域、反射領域)における表示品質を高めるには、いずれの領域においても一層高いコントラストと色再現性を実現することが必要となってくる。
しかし、半透過型LCDにおいては、まだ透過機構と反射機構を両立させるための構成の改良に留まっており、視野角の拡大やコントラストの向上等、表示品質の向上のための試みはまだ行われていない。
本発明は、半透過型LCDにおいて高い表示品質を実現することを目的とする。
本発明は上記のような半透過型LCDを実現することができ、以下のような特徴を備える。
即ち、複数の画素を備え、画素毎のパターンの第1電極を備える第1基板と、各画素共通の第2電極を備える第2基板との間に、垂直配向型の液晶が封入されたカラー液晶表示装置であって、各画素領域は、反射領域と透過領域とを有し、液晶層へ入射した光の位相差を制御する該液晶層の厚さで規定されるギャップは、前記各画素領域の反射領域において透過領域より小さく、かつ、前記複数の画素にそれぞれ割り当てられた表示色の波長に応じて異なる。
本発明の他の態様では、複数の画素を備え、画素毎のパターンの第1電極を備える第1基板と、各画素共通の第2電極を備える第2基板との間に、液晶が封入されたカラー液晶表示装置であって、各画素領域は、反射領域と透過領域とを有し、前記第2基板側には、液晶に入射した光の位相差を制御する該液晶層の厚さで規定されるギャップを、前記透過領域での該ギャップよりも小さくするためのギャップ調整部を少なくとも前記反射領域に有し、前記第1基板側の前記第1電極は、感光性材料を含む平坦化絶縁層の上方に形成され、前記平坦化絶縁層は、前記複数の画素にそれぞれ割り当てられた表示色の波長に応じて、2種類以上の異なる厚さを備え、前記表示色の波長に応じて前記ギャップが調整されている。
本発明の他の態様では、上記液晶表示装置において、前記複数の画素の各反射領域では、前記第1基板側ににおいて、少なくとも前記平坦化絶縁層の上方に反射層が形成され、かつ、前記反射層の表面で前記外光を散乱させるための凹凸が前記平坦化絶縁層に形成されている。
本発明の他の態様では、上記液晶表示装置において、前記平坦化絶縁層と前記第1基板との間には、前記複数の画素のそれぞれを制御するための対応する薄膜トランジスタが形成され、該薄膜トランジスタの上方を覆って前記平坦化絶縁層が形成されており、該平坦化絶縁層は、単層構造で前記複数の画素に共通で形成され、かつ、前記割り当てられた表示色の波長の異なる画素において異なる厚さを有し、前記複数の画素の各反射領域において凹凸を有し、さらに、前記平坦化絶縁層の上方に形成された前記第1電極と対応する前記薄膜トランジスタとを接続するコンタクトホールが、前記平坦化絶縁層を貫通して形成されている。
本発明の他の態様では、上記液晶表示装置の製造方法であって、前記薄膜トランジスタの形成後、該薄膜トランジスタの上方を覆って感光性平坦化絶縁材料を塗布し、少なくとも1回の露光工程と、単一の現像工程と、を経て、前記表示色の波長の異なる画素領域で厚さが異なり、前記複数の画素の各反射領域で前記凹凸を有し、かつ、前記コンタクトホールが形成された前記平坦化絶縁層を形成する。
本発明の他の態様では、上記製造方法であって、前記露光工程は、露光量に応じた開口を備えたハーフ露光用マスクを用いて1回で行う。あるいは、他の態様において、前記露光工程は、前記複数の画素のそれぞれの前記反射領域に光散乱用の凹凸を形成するためのマスクを用いて露光する工程と、前記平坦化絶縁層を前記表示色の波長の異なる画素毎において異なる厚さとするためのマスクを用いて露光する工程と、を有する。
本発明の他の態様では、上記製造方法において、前記平坦化絶縁層を貫通する前記コンタクトホールの形成領域に対しては、前記2回の露光工程の両方で露光する。
以上説明した本発明では、半透過型LCDにおいてその色再現性、視野角の拡大、コントラスト、応答速度の向上等を図ることができ、表示品質の高いLCDを実現することができる。
即ち、半透過型LCDにおいて、垂直配向型の液晶を採用することで、例えばよく知られたTN(Twisted Nematic)液晶などと比較してその応答性を高め、かつ高コントラストの表示を実現することができる。また、垂直配向型の液晶では、プレチルトをつけた上で配向制御がなされる上記TN液晶などと比べ、液晶の配向を基板平面に対して平行か垂直に制御するため、原理的に視覚依存性が低く、TN液晶に比較してその視野角を拡大することができる。
また、入射光が2回通過する反射領域と、1回しか通過しない透過領域とでは液晶層中でのトータル光路長が異なるが、ギャップ調整部を設けることで、反射領域と透過領域とで、それぞれ最適な液晶層の厚さ(セルギャップ)を得ることができる。よって、反射領域でも透過領域でも色つきなどがなく、かつ最適な反射率、透過率を実現でき、明るくかつ色再現性の良い表示が可能となる。
さらに、本発明では、表示色の波長に応じてセルギャップを調整しており、このギャップ調整は、第1基板側の平坦化絶縁層の厚さを制御することで行っている。通常、n種の膜厚(段差)を作製しようとした場合、n回の段差作製工程(露光、現像工程)が必要となるが、本発明では、例えばハーフ露光などを採用し、複数回の現像工程を実行することなく、1回の現像により、画素毎及び画素内で任意にギャップをコントロールすることを可能としている。このようにR、G、B各色など波長の異なる画素において、それぞれ最適なセルギャップを形成することで、印加電圧−透過率特性の波長依存性を緩和し、できるだけ低く、かつ同一電圧を異なる表示色の画素に印加した場合でも同等でかつ高い透過率を得ることができ、高輝度で色再現性の高い液晶表示装置を得ることが可能となる。また波長依存性を低減することができるので、各画素の駆動条件を等しくすることができ、駆動回路側の処理負担を減らすことができる。
また、反射領域と透過領域とのギャップの最適化について、ギャップ調整部を第2基板側に形成することにより、第1基板側に薄膜トランジスタ等を形成する場合にも、第1基板側は各画素共通の工程で形成することができ、多くの構成を備え、トータルの製造時間が長くなる第1基板の製造と並行して、その間に第1基板と比較すると簡易な構成の第2基板側にギャップ調整部を形成しておけば良く、製造効率を向上させることができる。
以下、図面を用いて本発明の好適な実施の形態(以下実施形態という)について説明する。
図1は、本実施形態に係る半透過型LCDとして、半透過型アクティブマトリクスLCDを用いた場合の概略断面構成を示している。本実施形態に係る半透過LCDは、互いの対向面側に第1電極200、第2電極320が形成された第1及び第2基板を、間に液晶層400を挟んで貼り合わせて構成されるとともに、各画素領域内には透過領域210と反射領域220とが形成されている。図2は、第1基板100側に形成されるTFT、画素電極200、平坦化絶縁層38等の1画素内でのより具体的な断面構成を示している。
液晶層400には、負の誘電率異方性を備えた垂直配向型の液晶が採用され、かつ、1画素領域内を複数の配向領域に分割するための配向制御部500(配向分割部)が第2基板側又は第1基板側に設けられている。配向制御部500は、電極不在による窓や、突起や傾斜、これらの組み合わせにより構成できる。図1に示す例では、液晶層400に向かって突出する突起部510、傾斜部520、隣接する画素電極200の間隙によって構成される電極不在部などによって構成している。図1において、突起部510に変えてその位置に各画素共通で形成された第2電極320の電極不在窓を形成しても良い。また、この電極不在部と突起部510と電極不在窓とを同じ位置に重ねて設けても良い。
第1及び第2基板100,300には、ガラスなどの透明基板が用いられている。第1基板100側には、第1電極として、画素毎に個別のパターンのITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)などの透明導電性金属酸化物が用いられた画素電極200が形成されている。また、この画素電極200と第1基板100との間には、スイッチ素子として薄膜トランジスタ(TFT)が形成され、画素電極200に接続されている。画素電極200を覆う第1基板100の全面には垂直配向型の配向膜260が形成されており、この配向膜260には、例えばポリイミドなどが用いられ、本実施形態では、ラビングレスタイプを採用しており、液晶の初期配向(電圧非印加状態での配向)を膜の平面方向に対して垂直に配向させる。さらに、1つの画素領域内、即ち、1つの画素電極200の形成領域内には、上記透明の電極のみからなる透明領域210と、上記透明電極の下層に反射層(反射膜又は反射電極)44が形成された反射領域220が設けられている。
液晶層400の透過率は、液晶分子の長軸方向と短軸方向との屈折率の差Δnと、液晶層の厚さ(ギャップ)dとの積Δnd、及び入射波長λの関数で表され、同一電圧を印加した場合であっても、波長λが長いほど透過率が低くなる。つまり、R,G,Bの各画素において、液晶層400への印加電圧に対する透過率特性は、R(630nm),G(550nm),B(460nm)光に対して相違する。従って、R,G,Bのいずれについても最大の透過率を得て、適切な白を表示するには、色毎に印加電圧を変更しなければならない。しかし、低消費電力化の観点から最大透過率を得るための印加電圧は低く、かつR,G,Bでできるだけ近いことが望ましい。
このようにR,G,Bいずれの画素においても、最大の透過率をほぼ同一でできるだけ低い印加電圧で実現するには、セルギャップをdred>dgreen>dblueとする必要がある。そこで、本実施形態では、第1基板100側に、それぞれ波長の異なるR,G,B用の画素で、その液晶層の厚さ(ギャップ)を最適値とするためのギャップ調整部を設けている。このR,G,B用のギャップ調整部としては、図1及び図2に示されるように、画素電極200及び反射層44の下に形成される平坦化絶縁層38を利用しており、この平坦化絶縁層38の厚さをR,G,B毎に変えている。より具体的には、図1及び図3に示すように、平坦化絶縁層38は、R画素領域で最も薄く、B画素領域で最も厚く形成している。なお、R,G,Bの全てにおいて互いに液晶層の厚さdが異なるように平坦化絶縁層の厚さを変えなくとも、LCDの特性に応じて、例えばG用及びB用の画素領域では平坦化絶縁層の厚さ、つまり液晶層の厚さを同じとし、R用のみ他の2色と異なる厚さとしても良いし、B用のみdを変えても良い。このR,G,B画素毎に平坦化絶縁層38の厚さを変更する形成方法については後述する。いずれにしてもR,G,Bでギャップを最適化することで、正面観察時だけでなく、斜め方向から見た場合にも色ずれを最小限に抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、各画素の中の反射領域に相当する位置において、平坦化絶縁層38の表面に凹凸を形成している。この平坦化絶縁層38の凹凸は、平坦化絶縁層38の上に形成される反射層44に引き継がれ、反射層44の表面で反射される外光を散乱させ、反射光の視認性を改善している。反射層44の液晶側の表面が完全な鏡面であると、観察側の像の写り込みや、反射領域のぎらつきなどが発生し、表示品質の低下を招く。これに対し、平坦化絶縁層38の表面に形成した凹凸により反射層44の表面に周期的に又はランダムに凹凸を形成することで、入射光を適度に散乱させ、反射領域での表示品質の向上を図ることができる。
以上に説明したような第1基板100と、間に液晶層400を挟んで貼り合わされた第2基板300には、その液晶との対向面側に、ここでは、いずれも同じ厚さのR,G,Bのカラーフィルタ330r、330g、330bが対応する所定位置に形成されている。なお、各カラーフィルタ330r、330g、330bの間隙(画素領域の間隙)には、画素間での光漏れを防ぐための遮光層(ここでは黒色カラーフィルタ)330BMが設けられている。なお、平坦化絶縁層38に周期的なピッチで凹凸を形成する場合には、このブラックマトリクス330BM等とで干渉縞を発生しない周期とすることが必要である。
カラーフィルタ330r、330g、330bの上(液晶層側)には、各画素の反射領域220に対向する領域においてその液晶層の厚さ(セルギャップ)drを透過領域210での液晶層の厚さ(セルギャップ)dtより小さい所望の値(dr<dt)とするために、光透過性材料よりなるギャップ調整部340が形成されている。
上記ギャップ調整部340を含む第2基板300の全面を覆うように、第2電極として、各画素に対して共通の電極(共通電極)320が形成されている。この共通電極320は、上記画素電極200と同様に、ITOやIZOなどの透明導電性金属酸化物を用いて形成することができる。
第2電極320の上には、1画素領域内において液晶の配向方向を分割して配向方向の異なる領域を複数形成する配向制御部500として突起部510を形成している。この突起部510は、液晶層400に向かって突起しており、導電性であっても絶縁性であっても良いが、ここでは、絶縁性の例えばアクリル系の樹脂などを所望パターンに形成して形成することができる。また、突起部510は、各画素領域内の透過領域210にも、反射領域220にもそれぞれ形成されている。
上記突起部510及び共通電極320を覆って、第1基板側と同様、垂直配向型で、かつラビングレスタイプの配向膜260が形成されている。上述のように配向膜260は、その膜平面方向に対して垂直な方向に液晶を配向させるが、突起部510を覆う位置では、突起部510の形状を反映した斜面が形成される。従って、突起部510の形成位置では、これを覆う配向膜260の斜面に対し、液晶が垂直な方向に配向されることとなり、この突起部510を境に液晶の配向方向が分割される。また、本実施形態では、第2基板側に設けられた上記ギャップ調整部340の側面をテーパ形状として傾斜させ、この斜面の上方を覆う配向膜260にも斜面を形成し、この斜面においても、液晶が斜面に垂直な方向に制御され、配向制御部500として機能している。
以上のように、本実施形態では、第2基板側には、ギャップ調整部340を設け、光の透過率を実質的に制御する液晶層400の厚さ(セルギャップ)dを、透過領域210と反射領域220とで異なる所望のギャップとしている。これは、入射光が液晶層400を1回通過する透過領域210と、2回通過する反射領域220とで、それぞれ最適な透過率、反射率を得るために要求される液晶層の厚さdが異なるためである。
即ち、透過領域210ではLCD背面側(図1で第1基板100側)に設けられる光源600から液晶層400を透過し第2基板300側から外部に射出される光量(透過率)を制御することで表示が行われ、反射領域220ではLCDの観察側から液晶層400に入射した光を画素電極200の形成領域内に設けた反射膜などによって反射させ、再び液晶層400を透過して第2基板側から観察側に射出する光の量(LCDの反射率)を制御することで表示が行われ、光の液晶層の透過回数が異なる。つまり、反射領域220では、光が液晶層400を2回通過するので、そのセルギャップdrは、透過領域210のセルギャップdtよりも小さくする必要がある。
そこで、図1に示すように、所望の厚さのギャップ調整部340を第2基板側のカラーフィルタ330の上層の反射領域220にのみ設けることで、上記dr<dtを達成している。例えば、ギャップ調整部340を設けない透過領域210で最適な透過率が得られるように液晶層の厚さdを決め、反射領域220に所望の厚さのギャップ調整部340を選択的に形成すればよい。ここで、ギャップ調整部340は、光透過性であって所望の厚さに形成することができれば特に限定されないが、例えば、平坦化絶縁層などとしても用いられるアクリル系の樹脂などを採用し、その画素内の端面が基板に向かって広がる順テーパとなるように形成されている。
反射領域と透過領域との上記のようなギャップ調整に加え、本実施形態では、上述のように第1基板側の平坦化絶縁層38の厚さの制御により、R,G,B毎にセルギャップを最適化している。つまり、本実施形態では、R画素用、G画素用、B画素用で、それぞれ透過領域、反射領域のギャップを代えており、1つのパネル内に、図1に示すように、dtr(R透過領域用ギャップ)、drr(R反射領域用ギャップ)、dtg(G透過領域用ギャップ)、drg(G反射領域用ギャップ)、dtb(B透過領域用ギャップ)、drb(B反射領域用ギャップ)の合計6種類のギャップを形成している。また、R,G,Bで平坦化絶縁層38の厚さを変えるのと同時に、反射領域では選択的に反射層での散乱用の凹凸(IDE:Inner Diffusion Electrode)を形成するための凹凸を形成し、かつ、この平坦化絶縁層38を貫通して形成されるコンタクトホールも同時に形成している(詳しくは後述する)。
以上のような構成の半透過型LCDにおいて、第1基板100の外側(光源600側)には、広波長帯域円偏光板110が設けられており、この広帯域円偏光板110は、直線偏光板(第1偏光板)112と、λ/4位相板差及びλ/2位相板差の2枚の位相差板111を備える。
第2基板300の外側(観察側)には、同様に直線偏光板(第2偏光板)112と、λ/4位相板及びλ/2位相板の組み合わせとからなる広帯域円偏光板110が設けられ、また、光学補償板として負の屈折率異方性を有する位相差板310が設けられている。一例として、第1基板側の直線偏光板112の偏光軸は基準に対し45°に配置され、第1基板側のλ/4板(110)の遅相軸は90°、第2基板側のλ/4板(110)の遅相軸は180°、第2基板側の直線偏光板112の軸は135°を満たすように配置されている。
光源600から射出され第1基板100側の直線偏光板112を透過した該偏光板112の偏光軸に沿った方向の直線偏光は、第1のλ/4板110においてその位相差がλ/4ずらされることで円偏光となる。ここで、本実施形態では、少なくとも波長の異なるR,G,Bのいずれの成分に対しても確実に円偏光として、液晶セルでの光の利用効率(透過率)を高めるために、λ/4位相板とλ/2位相板の両方を用いて広波長帯域λ/4板110としている。得られた円偏光は、透過領域210において画素電極210を透過して液晶層400に入射される。
本実施形態に係る半透過型LCDでは、液晶層400には、上述のように、負の誘電率異方性(Δε<0)をもつ垂直配向型液晶を用いており、また垂直配向型の配向膜260を用いている。よって、電圧非印加状態では、配向膜260の平面方向に垂直な方向にそれぞれ配向し、印加電圧が大きくなるにつれ、液晶の長軸方向が画素電極200と共通電極320の間に形成される電界に対して平行(基板の平面方向に平行)となるように傾く。液晶層400に電圧が印加されていない場合には、液晶層400で偏光状態が変化せず、円偏光のまま第2基板300に到達し、第2の位相差板110で円偏光が解消され、直線偏光となる。このとき第2の位相差板110からの直線偏光の方向と直交するように第2偏光板112が配置してあるので、この直線偏光は、第1偏光板112と直交方向の透過軸(偏光軸)の第2偏光板112を透過することができず、表示は黒となる。
液晶層400に電圧が印加されると、入射された円偏光に対して液晶層400が位相差を発生させ、例えば逆回りの円偏光や、楕円偏光、直線偏光となり、得られた光に対して第2のλ/4板110で更にλ/4位相がずらされることで、直線偏光(第2偏光板の透過軸と平行)、楕円偏光や円偏光となり、これらの偏光は第2偏光板112の偏光軸に沿った成分を有しており、その成分に応じた量の光がこの第2偏光板112から観察側に向けて射出させ、表示(白又は中間調)として認識される。
なお、位相差板310は、ネガティブリターダ(負の屈折率異方性板)であり、液晶層の中央領域と配向膜260との微妙な配向状態の違いを補償する逆の光学異方性を持ち、この位相差板310を透過することで、色つきが解消され、また意図しないプレチルト(配向膜260付近での液晶の吸着による固定化等による)などによる表示の反転や色つきなどを解消でき、結果として視野角を向上させることを可能としている。なお、このネガティブリターダ(310)と上記λ/4板112に代えて、これら両方の機能を備えた1枚の2軸位相差板を採用しても良く、これによりLCDの薄型化及び透過率の向上を図ることが可能となる。
以下、図3〜図5を更に参照して、平坦化絶縁層を含む第1基板側のより詳細な構成及び製造方法を説明する。本実施形態のLCDは、上述のように各画素に薄膜トランジスタ(TFT)を備えるいわゆるアクティブマトリクス型LCDであり、図1及び図2に示すように、第1基板100側に形成された画素電極200と基板100との間にTFTを形成している。また1画素領域内にできる限り効率的に透過領域210及び反射領域220を配置し、特に透過領域210での開口率を低下させないという目的から、透過型LCDであっても通常遮光領域に形成するTFTは、これを設けても開口率に影響を及ぼさない反射領域220に配置されている。
TFTとしては、トップゲート型を採用しており、また、能動層20としてアモルファスシリコン(a−Si)をレーザアニールで多結晶化して得た多結晶シリコン(p−Si)を用いている。もちろん、TFTは、トップゲート型p−Siに限定されるものではなく、ボトムゲート型でもよいし、能動層にa−Siが採用されていてもよい。TFTの能動層20のソース・ドレイン領域20s、20dにドープされる不純物は、n導電型、p導電型のいずれでもよいが、本実施形態ではリンなどのn導電型不純物をドープし、n−ch型のTFTを採用している。
TFTの能動層20はゲート絶縁膜30に覆われ、ゲート絶縁膜30上にCrやMoなどの高融点金属材料からなり、ゲートラインを兼用するゲート電極32が形成されている。そして、このゲート電極32形成後、このゲート電極32をマスクとして能動層20に上記不純物がドープされてソース及びドレイン領域20s、20d、そして不純物がドープされないチャネル領域20cが形成される。
なお、各画素のTFTと液晶を駆動する画素電極200との間には、一定期間液晶に該画素電極200が印加すべき電圧を保持するための保持容量が接続されており、図1,図2に示すように、この保持容量は、TFTの能動層を構成するp−Si層を第1容量電極として用い、p−Si層を覆うゲート絶縁膜の上に上記ゲート電極と同一の材料を用いて同時に形成された電極層を第2保持容量電極32csとして用い、第1容量電極と第2容量電極32csとがゲート絶縁膜を挟んで対向する領域に構成されている。この保持容量も開口率を減少させないようにTFTと同様、反射領域内に配置している。
次に、TFT110全体及び上記保持容量を覆って、例えば下層側からSiO2/SiN等の積層構造からなる層間絶縁膜34が形成され、この層間絶縁膜34にコンタクトホールを形成した後、電極材料が形成され、このコンタクトホールを介してそれぞれ上記p−Si能動層20のソース領域20sに接続されたソース電極40とドレイン領域20dに接続されたドレイン電極36が形成される。なお、本実施形態では、ドレイン電極36は、各TFT110に表示内容に応じたデータ信号を供給するデータラインを兼用している。一方、ソース電極40は、後述するように画素電極である第1電極200に接続される。なお、ドレイン電極36及びソース電極40はいずれも高導電性でパターニングの容易な例えばAlなどが用いられている。
ソース電極40及びドレイン電極36の形成後、基板全面を覆って平坦化絶縁層38を形成する。平坦化絶縁層38は、例えばネガ型の感光材料を含むアクリル樹脂などを用いて形成しており、その形成手順は図4に示すようにまず基板全面に例えば平坦化絶縁層材料を0.5〜5μm(例えば、2.7μm)の厚さに塗布し(S1)、その後、温度70℃〜120℃(例えば、102℃)でプリべークする(S2)。
次にハーフ露光を行う(S3)。この露光では、いわゆるハーフ(ハーフトーン)露光マスクを用いて、複数の異なる強度での露光を行う。ハーフ露光マスクは、目的とする領域に対する露光量に応じて開口量が異なる。開口量は、例えば金属製マスクに形成されたピンホール径の大きさや、スリットの幅によって調整する。
図5は、単一の露光処理で必要な全ての露光を完成させるために用いるハーフ露光マスクを概念的に示している。図5において、縦軸はマスクの開口量であり、下ほどその開口量が大きいことを示しており、R用、G用、B用の位置でマスクは開口量がR用,G用,B用の順に開口量が大きくなっている。これは、B領域用の透過領域におけるマスク開口率を0%とすると、G領域用の透過領域のマスクの開口量が10%、R領域用の開口率は30%等に設定されている。また、上述のように、R,G,Bいずれの画素でも反射領域では、それぞれ反射層での散乱用の凹凸を形成するために、開口量が所望のピッチで増減するように構成されている。また、平坦化絶縁層38の上に形成される画素電極200とTFTを接続するためのコンタクトホール形成領域では、平坦化絶縁層38を貫通して該ホールを形成する必要があるため、開口量は最大に設定されている。このようなハーフ露光マスクを上記プリベークの施された平坦化絶縁層38の前に配置し、露光光源を発光させ1回の露光を行う。なお、光源の発光強度は一定でよく、25〜500mJ(例えば200mJ)の強度とする。また、R,G,Bの各画素で、反射領域と透過領域とは、基本的には、上述のように第2基板側に形成されたギャップ調整部340により液晶層のギャップを調整することができる。しかし、R,G,B毎に反射領域と透過領域で、平坦化絶縁層38の厚さにより、更にギャップを調整してもよい。図1の例のように、各画素の反射領域に選択的に設けたギャップ調整部340の厚さをR,G,Bで等しく設定した場合には(R,G,Bで変更しても良いが)、平坦化絶縁層38の厚さを調整することでR,G,Bの各透過領域と反射領域とで液晶層のギャップを調整する。この場合に、平坦化絶縁層38の厚さの調整は、上記ハーフ露光マスクの開口量をR,G,B毎だけでなく、各色の反射領域と透過領域とで変えることで容易に実現できる。もちろん、上記散乱用の凹凸を反射領域に形成する場合にはその分も考慮してマスク開口量を決め、凹凸を形成しない場合には、R,G,B毎と、それぞれの透過領域と反射領域との液晶層の目的ギャップに応じてマスク開口量を決める。
ハーフ露光工程は、単一マスクを用いる方法に限らず、複数のハーフ露光マスクを用いて実行しても良い。図6は、2回の露光により平坦化絶縁層38の厚さと表面形状及びコンタクトホールを形成する場合に採用可能な2つのハーフ露光マスクの組み合わせを示している。図5の単一のハーフ露光マスクとの違いは、マスク1は、R,G,B全画素共通の開口パターンであり、反射領域の凹凸のための開口と、コンタクトホール領域のための開口を備えることである。このコンタクトホール領域のための開口は、図5のマスクと異なり、平坦化絶縁層38の全厚さを半分程度除去するのに必要な開口量に設定されている。マスク2は、R,G,Bの各画素でそれぞれ平坦化絶縁層38の厚さを変えるためのマスクで、R,G,Bの各領域でそれぞれ開口量がR、G、Bの順に大きく設定されている。また、コンタクトホール領域では、マスク1と同様に全画素同じで、平坦化絶縁層38の全厚さを半分程度除去するのに必要な開口量に設定されている。
マスク1を平坦化絶縁層の形成された基板の前に位置合わせし、光源を発光させて露光し、次に、このマスク1をマスク2に代え光源を発光させて露光を行うことで露光工程を終了する。なお、マスク1による露光とマスク2による露光はどちらを先に行っても良い。また、更に上記のような多数のハーフ露光マスクや、あるいは、ハーフ露光マスクと通常のマスク(開口領域と遮蔽領域)とを互いに複数枚積層し、一回の露光工程によって図4に示す平坦化絶縁層の露光工程S3を終了しても良い。なお、コンタクトホール領域に対する露光については、図6に示すように、複数のマスクを用いる場合に、複数の各マスクにおける平坦化絶縁層への露光強度、即ち複数のマスクの開口量をいずれのマスクでも等しくすることで、マスク1枚当たりの露光時間及び露光強度をいずれのマスク使用時も等しく最短とすることができ、露光時間の短縮を図ることが可能となる。但し、複数のハーフ露光マスクを用いる場合であっても、その内のいずれか1つにおいて、平坦化絶縁層を貫通するコンタクトホールを形成するに足りる開口量のパターンとし、他のマスクではコンタクトホール領域を遮蔽するパターンとしてもよい。
以上のように、単一又は複数のハーフ露光マスクを用いて露光を行った後、現像を行う(S4)。現像工程は、露光を複数のマスクを用い複数回実行した場合であっても1回で良い。現像は、一例として、用いる現像液は、0.05%〜5%の濃度のTMAH(teramethyl ammonium hydroxide)溶液(例えば0.2%濃度)を用い、現像時間は、20〜120sec(例えば60sec)とする。なお、現像後のポストベースは行わない。
現像終了後には、ブリーチングを行う(S5)。このブリーチングは、例えば低圧水銀ランプを使用し、基板に短波長UV光(254nm〜185nm)を照射することで実行する。ブリーチングの強度は、200mJ〜5000mJ(例えば2000mJ)とする。ブリーチング後には、平坦化絶縁層の焼成を行う(S6)。具体的には、まず、メルトベークを80℃〜180℃の温度で1〜20min(例えば、120℃、8min)実行し、続けて焼成ベークを140℃から300℃の温度で15〜180minの時間(例えば220℃、1時間)実行する。
以上のようにして、平坦化絶縁層38は、R,G,B各画素において所望の厚さとなり、また反射領域には凹凸が形成され、かつ、この平坦化絶縁層38のソース電極40の形成領域に平坦化絶縁層38を貫通するコンタクトホールが形成される。
平坦化絶縁層38の成膜後には、開口されたコンタクトホール領域に接続用金属層42を形成し、コンタクトホールの底面に露出したソース電極40とこの金属層42とを接続する。ソース電極40としてAlなどが用いられている場合に、金属層42としてはMo等の金属材料を採用することで、ソース電極40とこの金属層42との接続は良好なオーミックコンタクトとなる。なお、ソース電極40は、省略することも可能であり、この場合、金属層42は、TFT110のシリコン能動層20と接することとなるが、Mo等の金属は、このような半導体材料との間でオーミックコンタクトを確立することができる。
接続用金属層42の積層・パターニング後、基板全面に、反射層用のAl−Nd合金や、Alなど、反射特性に優れた反射材料層が蒸着やスパッタリングなどによって積層する。積層されたこの反射材料層は、金属層42及び後に形成される画素電極200とTFTとのコンタクトを妨げないように、TFTのソース領域付近(金属層42の形成領域)からエッチング除去し、また同時に透過領域210に残存しないようにエッチング除去し、平坦化絶縁層38の表面に凹凸の形成された反射領域に選択的に反射層44を形成する。平坦化絶縁層38の凹凸は、反射層44の上面に引き継がれるのに十分な高低差を備え、反射層44の上面には光散乱用の凹凸が形成されている。なお、TFT(特にチャネル領域20c)に光が照射されてリーク電流が発生することを防止し、かつ反射可能な領域(つまり表示領域)をできるだけ広くするために、反射層44は、図2のように、TFT110のチャネル上方領域にも積極的に形成することが好ましい。
反射層44のパターニングに際し、上記Mo等からなる金属層42は、十分な厚さ(例えば0.2μm)を備え、かつエッチング液に対して十分な耐性を備える。従って、金属層42上の反射層44をエッチング除去した後もこの金属層42は完全に除去されずにコンタクトホール内に残存することができる。また、多くの場合、ソース電極40等には、反射層44と同様な材料(Al等)から構成されるため、上記金属層42が存在しないと、ソース電極40が反射層44のエッチング液に浸食されて断線等が発生してしまう。しかし、本実施形態のように金属層42を設けることで、反射層44のパターニングに耐えて、ソース電極40との良好な電気的接続を維持することができる。
次に、スパッタリングによって反射層44を含む基板全面を覆うように透明導電層を積層する。このとき、上述のようにAlなどからなる反射層44の表面は、絶縁性の自然酸化膜で覆われるが、Mo等の高融点金属は、スパッタリング雰囲気に晒されても表面は酸化されない。従って、コンタクト領域において露出した金属層42は、この金属層42の上に積層される画素電極用の透明導電層との間でオーミックコンタクトすることができる。なお、透明導電層は、成膜後、画素毎に独立し、かつ1画素領域内では反射領域と透過領域で共通し、さらに例えば図7に示すように細長い6角形の形状にパターニングされ、これにより画素電極200が得られる。また、この画素電極200がパターニング形成された後には、基板全面を覆うようにポリイミドなどからなる配向膜260が形成され第1基板側が完成する。後は、図1に示すようなR,G,Bのカラーフィルタ、共通電極320、ギャップ調整部340及び突起部510(510r、510t)そして、これらを覆って配向膜260まで形成した第2基板300と、該第1基板100とを一定の間隔離して基板の周辺部分で貼り合わせ、基板間に液晶を封入することでLCDを得る。
次に、本実施形態に係る半透過型LCDの各画素の平面構成例を図7及び図8を参照して説明する。図7の例では、画素毎に個別の画素電極200は、画面の垂直走査方向(図7における上下方向)に細長い6角形のパターンを備える。また、長手方向における2つの上辺を含む図中斜線で囲んだ四角形(図では菱形又は正方形)に反射領域220が設けられ、6角形の画素電極200の残りの概略矢羽根形状の領域が透過領域210である。反射領域220では、図1に示すように、第2基板300側にギャップ調整部340が設けられ、また、第1基板100側には、散乱用の凹凸が形成されている。もちろん、平坦化絶縁層の厚さを調整することにより、R,G,Bで反射領域及び透過領域のいずれのギャップも各波長で最適な距離に設定されている。
第2基板側のギャップ調整層340の端面は、図1に示すように第2基板300側に向かって広がるテーパ形状を有し、画素内においてギャップ調整層340の端部は、図7に示すように、六角形の画素電極200の2つの上辺とほぼ線対称となる四角形の反射領域220の下側の2辺に沿った位置に配置されている。また、四角形の反射領域220の水平走査方向(図面上の左右方向)で対向する頂点間を結んで該反射領域220を水平走査方向に上下に分割するように、第2基板300の上には、断面が3角形の突起部510rが形成されている。
上述したように、第1基板100側及び第2基板300側の液晶との接触面は、垂直配向膜260で覆われているため、画素電極200と共通電極320との間に電圧が印加されていない状態では、液晶の長軸方向(液晶ダイレクタ)が垂直配向膜260の平面方向に対して垂直に配向される。よって、第2基板300側では、突起部510及びギャップ調整部340の斜面の上で、これらの斜面を引き継いで液晶との対向面側に形成される配向膜260の斜面に対し、液晶ダイレクタ410が垂直に配向する。このため反射領域220を上下に分断する位置の突起部510rを境に液晶の配向方角(配向方位)が互いに180°異なる領域が形成される。
矢羽根形状の透過領域210では、垂直走査方向に細長い六角形の画素電極200を垂直走査方向に沿って左右(水平走査方向)に等分する位置(矢羽根の芯に相当する部分)において、共通電極320の上に突起部510tを形成している(図1参照)。このため、透過領域210においても第2基板300に形成された突起部510tを境に、液晶ダイレクタ410の配向方向(配向方位)が、互いに180°異なる向きに分割されている。
また、上述のように配向制御部500は、上記突起や斜面だけでなく、電極不在領域530も用いることができ、図7の例では、第1基板100側に複数配置される画素電極200の互いの隙間部分を配向制御のための電極不在部として用いている。電極不在部による配向分割は、画素電極200と共通電極320との間に電圧を印加し始めたときの弱電界の傾きを利用している。この弱電界下で発生する電気力線は、電極不在部の端部、つまり、電極の端から、電極不在部の中央に向かって広がるように斜めに傾く。そして、負の誘電率異方性を有する液晶の短軸が、この斜めの電気力線に沿うように配向していくので、液晶への印加電圧の上昇に追従して液晶分子が初期の垂直配向状態から倒れていく方角が斜め電界によって規定される。
図7に示すような6角形の画素電極200では、その画素電極200の端部、つまり少なくとも6辺の電極不在部530を備える。従って、液晶ダイレクタ410は、上記突起部510(510r、510t)及び斜面520と、画素電極200の周囲の電極不在部530の作用により、1画素領域内において、反射領域220で少なくとも2つ配向領域、透過領域210で、上記反射領域220の2領域のいずれとも異なる配向方位の2つの配向領域、つまり、合計4つの互いに異なる配向方向を持つ領域が形成され、優先視野角を4つの異なる方向とでき、1画素当たりの視野角を拡大することが可能となっている。
なお、液晶ダイレクタ410は、上記突起部510の延在方向及び電極(電極不在部)のエッジの延在方向に対して、その平面成分(配向方角)が直交するように制御される。従って、上記4つの配向領域についても、その1領域内において液晶の配向方角は完全には同一でない。例えば、図7において、透過領域210の垂直走査方向における中央位置では、該垂直走査方向に沿って延びる突起部510t及び画素電極200のエッジに対して液晶ダイレクタ410は、垂直な方角に配向する。一方、透過領域210の例えば反射領域220との境界では、ギャップ調整部340による傾斜(突起部)520と、透過領域210の突起部510tとが90度より大きい角度で交差しており、この交差付近の液晶の配向方角は、突起部510の延在方向に直交する方向から、ギャップ調整部340による傾斜部520に近づくにつれ、この傾斜部520の延在方向に直交する方向に変化する。しかし、一配向領域内においては、後述するように、液晶の配向方角の位置による変化度合い(又は最大角度)が小さくなるように配向制御部500の延在方向を設定することにより、一配向領域内の不定の位置に、液晶の配向方角の異なる領域の境界(ディスクリネーションライン)が発生することを防止することが可能となっている。
画素電極200のパターン及び電極不在部や突起或いは傾斜などからなる配向制御部500は図7に示すような形状には限られず、図8のような形状でも良い。例えば図8(a)に示すように、画素電極200は四角形(図では矩形)とし、その中の四角形の領域を反射領域220とし(残りは透過領域210)、配向制御部500は(電極不在部や突起などからなる)、2つのY字の一方を上下逆にして2つを連結したようなパターンとすることが可能である。また、図8(b)に示すように、画素電極200を四角形とし、配向制御部500は、1画素領域の中心付近で交差するX字状のパターンとしても良い。また、図8(c)のように、画素電極200の外形は四角形で、配向制御部500は、画素領域内の垂直走査方向の中央付近を頂点として折れ曲がる複数のV字状のパターン形状としてもよい。もちろん、V字状の配向制御部500の配置は、図8(c)に示す配置に限らず、更に多くのV字状制御部を設けても良いし、V字の頂点位置は、垂直走査方向の中心からずれていても良い。
本発明の実施形態に係る垂直配向型半透過LCDの概略断面構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る半透過LCDの1画素当たりの第1基板側の概略断面構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る平坦化絶縁層の完成状態を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る平坦化絶縁層の形成手順を説明する図である。 平坦化絶縁層を形成するためのハーフ露光マスクの機能を説明する図である。 図3に示す平坦化絶縁層を形成するための他のハーフ露光マスクの機能を説明する図である。 本発明の実施形態に係る半透過型LCDの1画素の概略平面構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る半透過型LCDの1画素の他の概略平面構成を示す図である。
符号の説明
20 能動層(p−Si層)、30 ゲート絶縁膜、32 ゲート電極(ゲートライン)、34 層間絶縁膜、36 ドレイン電極(データライン)、38 平坦化絶縁層、40 ソース電極、42 接続用金属層、44 反射層、100 第1基板、110 広帯域円偏光板、200 画素電極、210 透過領域、220 反射領域、260 配向膜、300 第2基板、310 負の屈折率異方性板(負の光学補償板)、320 共通電極、330 カラーフィルタ、340 ギャップ調整部、400 液晶層、410 液晶ダイレクタ、500 配向制御部、510,510t,510r 突起部、520 ギャップ調整部の斜面(傾斜部)、600 光源。

Claims (9)

  1. 複数の画素を備え、画素毎のパターンの第1電極を備える第1基板と、各画素共通の第2電極を備える第2基板との間に、垂直配向型の液晶が封入されたカラー液晶表示装置であって、
    各画素領域は、反射領域と透過領域とを有し、
    液晶層へ入射した光の位相差を制御する該液晶層の厚さで規定されるギャップは、前記各画素領域の反射領域において透過領域より小さく、かつ、前記複数の画素にそれぞれ割り当てられた表示色の波長に応じて異なることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置。
  2. 請求項1に記載の半透過型カラー液晶表示装置において、
    前記反射領域では、前記第1基板側に外光を反射するための反射層を備え、該反射層は、前記第1基板上に形成された平坦化絶縁層の上方に形成され、該平坦化絶縁層には、前記反射層の表面で前記外光を散乱させるための凹凸が形成されていることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置。
  3. 複数の画素を備え、画素毎のパターンの第1電極を備える第1基板と、各画素共通の第2電極を備える第2基板との間に、液晶が封入されたカラー液晶表示装置であって、
    各画素領域は、反射領域と透過領域とを有し、
    前記第2基板側には、液晶層に入射した光の位相差を制御する該液晶層の厚さで規定されるギャップを、前記透過領域での該ギャップよりも小さくするためのギャップ調整部を少なくとも前記反射領域に有し、
    前記第1基板側の前記第1電極は、感光性材料を含む平坦化絶縁層の上方に形成され、前記平坦化絶縁層は、前記複数の画素にそれぞれ割り当てられた表示色の波長に応じて、2種類以上の異なる厚さを備え、前記表示色の波長に応じて前記ギャップが調整されていることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置。
  4. 請求項3に記載の半透過型カラー液晶表示装置において、
    前記複数の画素の各反射領域では、
    前記第1基板側において、少なくとも前記平坦化絶縁層の上方に反射層が形成され、かつ、前記反射層の表面で前記外光を散乱させるための凹凸が前記平坦化絶縁層に形成されていることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置。
  5. 請求項3に記載の半透過型カラー液晶表示装置において、
    前記平坦化絶縁層と前記第1基板との間には、前記複数の画素のそれぞれを制御するための対応する薄膜トランジスタが形成され、該薄膜トランジスタの上方を覆って前記平坦化絶縁層が形成されており、
    該平坦化絶縁層は、単層構造で前記複数の画素に共通で形成され、かつ、前記割り当てられた表示色の波長の異なる画素において異なる厚さを有し、前記複数の画素の各反射領域において凹凸を有し、さらに、前記平坦化絶縁層の上方に形成された前記第1電極と対応する前記薄膜トランジスタとを接続するコンタクトホールが、前記平坦化絶縁層を貫通して形成されていることを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置。
  6. 請求項5に記載の半透過型カラー液晶表示装置の製造方法であって、
    前記薄膜トランジスタの形成後、該薄膜トランジスタの上方を覆って感光性平坦化絶縁材料を塗布し、
    少なくとも1回の露光工程と、
    単一の現像工程と、を経て、
    前記表示色の波長の異なる画素領域で厚さが異なり、前記複数の画素の各反射領域で前記凹凸を有し、かつ、前記コンタクトホールが形成された前記平坦化絶縁層を形成することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置の製造方法。
  7. 請求項6に記載の半透過型カラー液晶表示装置の製造方法において、
    前記露光工程は、露光量に応じた開口を備えたハーフ露光用マスクを用いて1回で行うことを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置の製造方法。
  8. 請求項6に記載の半透過型カラー液晶表示装置の製造方法において、
    前記露光工程は、前記複数の画素のそれぞれの前記反射領域に光散乱用の凹凸を形成するためのマスクを用いて露光する工程と、前記平坦化絶縁層を前記表示色の波長の異なる画素毎において異なる厚さとするためのマスクを用いて露光する工程と、を有することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置の製造方法。
  9. 請求項8に記載の半透過型カラー液晶表示装置において、
    前記平坦化絶縁層を貫通する前記コンタクトホールの形成領域に対しては、前記2回の露光工程の両方で露光することを特徴とする半透過型カラー液晶表示装置の製造方法。
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