JP2006153897A - 真円度測定機能を有する自動寸法計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】真円度を測定することのできる自動寸法計測装置を提供する。
【解決手段】本発明の自動寸法計測装置は、真円度解析処理を行う管制部18を備えている。管制部18は、測定ヘッド16で測定したデータに基づいてワークを定寸加工するように研削盤制御装置14を制御するとともに、測定ヘッド16の測定データに基づいてワーク10の真円度を解析し、タッチパネル20に表示する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明の自動寸法計測装置は、真円度解析処理を行う管制部18を備えている。管制部18は、測定ヘッド16で測定したデータに基づいてワークを定寸加工するように研削盤制御装置14を制御するとともに、測定ヘッド16の測定データに基づいてワーク10の真円度を解析し、タッチパネル20に表示する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ワークの真円度を測定することができる真円度測定機能を有する自動寸法計測装置に関する。
自動寸法計測装置は、ワーク寸法を自動的に測定する装置であり、例えば、自動定寸装置や、自動検測装置がある。
自動定寸装置は、生産ライン等において、加工中にワーク寸法を測定し、リアルタイムで工作機械を制御する装置である。たとえば、円筒研削盤において加工中にワーク寸法を測定し、ワーク寸法が、あらかじめ設定した寸法に達すると、粗研から精研、精研からスパークアウト等の切り替え、あるいは砥石台の後退信号の出力等を行う。
ところで、従来、工作機械で加工したワークの真円度を測定する場合は、ワークの加工が終了した後に、ワークを一旦工作機械から取り外し、機外の真円度測定器に運んで測定することにより実施していた。
しかしながら、真円度測定器を用いたワークの測定には多大な時間を要するため、生産ライン等で順次加工されるワークの全てについては測定することができないという欠点があった。
一方、自動検測装置は、生産ライン等で工作機械による加工後にワークの寸法を測定し、その測定データに基づいてワークを選別したり、その測定データを工作機械にフィードバックして加工条件を補正したりする装置である。たとえば、旋盤等で加工されたワークの寸法を測定し、その測定寸法と公差とを比較してワークの合否判定を行い、NGワークを分類したり、また、その測定寸法を旋盤にフィードバックして刃先位置やワーク位置の補正をしたりする。
ところで、旋盤等の工作機械で加工されたワークを真円度測定しようとする場合、従来は自動検測装置とは別に設置された真円度測定機にワークを搬送して測定を実施していた。
しかしながら、真円度測定機によるワークの真円度測定には多大な時間を要するため、生産ライン等で順次加工されるワークの全てについては測定することができないという欠点があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、真円度を測定することのできる自動寸法計測装置を提供することを目的とする。
請求項1記載の発明は上記目的を達成するために、工作機械によるワークの加工中に、前記ワークの寸法を測定し、該ワークの寸法が、あらかじめ設定した寸法に達すると、前記工作機械に加工の停止を指示する自動寸法計測装置において、前記ワークの回転角度に対応する半径データを測定する半径データ測定手段と、前記半径データ測定手段で測定した半径データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された半径データに基づいて真円度解析を実行し、前記ワークの真円度を算出する真円度演算手段と、を備えていることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、インラインで使用される自動寸法計測装置、例えば自動定寸装置に真円度測定を行う機能が備えられているので、ワークを工作機械から外すことなく真円度の全数検査が可能になる。
請求項2記載の発明は上記目的を達成するために、工作機械による加工後にワークを回転駆動手段で回転させてその寸法を測定し、その測定データに基づいて前記ワークを選別、又は、その測定データを前記工作機械にフィードバックする自動寸法計測装置において、前記ワークの回転角度に対応する半径データを測定する半径データ測定手段と、前記半径データ測定手段で測定した半径データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された半径データに基づいて真円度解析を実行し、前記ワークの真円度を算出する真円度演算手段と、を備えていることを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、工作機械で加工されたワークを検測する自動寸法計測装置に真円度測定を行う機能が備えられているので、別途、真円度測定機でワークの真円度測定をする必要がなくなる。これにより、生産ライン等で順次加工される全てのワークに対して真円度測定を実施することができる。
以上説明したように本発明に係る真円度測定機能を有する自動寸法計測装置によれば、インラインで使用される自動寸法計測装置に真円度測定を行う機能を搭載し、自動寸法計測装置においてワークの真円度を測定できるようにしたため、ワークを工作機械から外すことなくインラインで真円度の測定を行うことができる。
また、本発明によれば、工作機械で加工されたワークを検測する自動寸法計測装置に真円度測定を行う機能が備えられているので、別途、真円度測定機でワークの真円度測定をする必要がなくなる。これにより、生産ライン等で順次加工される全てのワークに対して真円度測定を実施することができる。
以下添付図面に従って本発明に係る真円度測定機能を有する自動寸法計測装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明に係る自動寸法計測装置の第1の実施の形態を示す全体構成図であり、第1の実施の形態の自動寸法計測装置は、円筒研削盤に適用された自動定寸装置の例を示している。
円筒研削盤は、回転するワーク10に回転する砥石12を押し当ててワーク10の外周を研削する。ワーク10は、研削盤制御装置14によって回転速度が制御されており、また、砥石12は、研削盤制御装置14によって回転速度及びワーク10に対する送りが制御されている。
自動定寸装置は、図1、図2に示すように、ワーク10に装着される測定ヘッド16と、その測定ヘッド16から出力された測定データを解析する管制部18とから構成されている。
測定ヘッド16は、図1に示すように、一対のフィンガ16A、16Aを有している。フィンガ16A、16Aは、それぞれ測定ヘッド16本体内に設けられた支点を中心に揺動自在に支持されており、その先端部にはコンタクト16B、16Bが取り付けられている。コンタクト16B、16Bは、測定に際して、その先端部がワーク10の外周面に当接される。研削によりワーク10の寸法が変化すると、そのワーク10の寸法の変化に応じてフィンガ16A、16Aが揺動する。そして、そのフィンガ16A、16Aの変位が、測定ヘッド16本体内に設けられた差動トランスによって電気信号として検出され、管制部18に出力される。
一方、管制部18は、タッチパネル20、CPU24、メモリ28、整流回路30、ADコンバータ32及び入出力回路34を備えている。
前記測定ヘッド16から出力されたフィンガ16A、16Aの変位量を示す電気信号は、整流回路30で整流されたのち、ADコンバータ32に取り込まれてディジタル信号に変換される。そして、このディジタル信号に変換された測定データに基づいて、CPU24がワーク10の寸法を算出する。
また、CPU24は、その算出したワーク10の寸法が、あらかじめ設定した寸法に達したか否かの判定を行う。そして、その判定の結果、ワーク10の寸法が、あらかじめ設定した寸法に達したと判断した場合には、入出力回路(外部インターフェース)34を介して研削盤制御装置14に信号を出力する。研削盤制御装置14は、この信号に基づいてワーク10及び砥石12を制御する。
すなわち、図3に示すように、ワーク10の寸法が、あらかじめ設定した第1の取り代(図3中A)に達すると、CPU24から入出力回路34を介して研削盤制御装置14に第1の信号が出力される。研削盤制御装置14は、この第1の信号を入力することによって、ワーク10の加工を粗研から精研に切り替える。加工が進行し、ワーク10の寸法が、あらかじめ設定した第2の取り代(図3中B)に達すると、CPU24から入出力回路34を介して研削盤制御装置14に第2の信号(以下、『スパークアウト信号』という。)が出力される。研削盤制御装置14は、このスパークアウト信号を入力することによって、ワーク10の加工を精研からスパークアウトに切り替える。その後、ワーク10の寸法が、あらかじめ設定した第3の取り代(図3中C)に達すると、CPU24から入出力回路34を介して研削盤制御装置14に第3の信号(以下、『定寸信号』という。)が出力される。研削盤制御装置14は、この定寸信号が入力されることによって、砥石12をワーク10から後退し、加工を終了する。
なお、前記第1〜第3の取り代はメモリ28に記憶されており、オペレータが、あらかじめ加工開始前に管制部18のタッチパネル20から入力しておく。
以上のように、本実施の形態の自動定寸装置は自動定寸機能を備えている。そして、本実施の形態の自動定寸装置は、この自動定寸機能に加えてワーク10の真円度を測定する真円度測定機能も有している。真円度測定は、図5に示すフローチャートに従って次のように行われる。
管制部18は、研削盤制御装置14にスパークアウト信号を出力すると(ステップS10)、測定ヘッド16からワーク10の回転角度に対応する測定データのサンプリングを開始する(ステップS11)。そして、そのサンプリングデータを所定時間おきにメモリ28に記憶する(ステップS12)。
上述したように、加工が進行してワーク10の寸法が、あらかじめ設定した第3の取り代(図3C)に達すると、管制部18から研削盤制御装置14に定寸信号が出力される(ステップS13)。
ここで、定寸信号を出力した管制部18は、定寸加工直後の真円度の測定を行う必要があるか否かを判定する(ステップS14)。そして、必要があると判断した場合には、定寸加工直後の測定データを所定時間サンプリングし、そのサンプリングデータをメモリ28に記憶する(ステップS15)。
一方、定寸加工直後の真円度の測定を行う必要がないと判断した場合には、定寸加工直前のサンプリングデータに基づいて真円度解析処理を実行する。すなわち、まず、定寸信号を出力する直前にサンプリングした1回転分の測定データのフィルタ処理を行い、そのフィルタ処理されたデータからワーク10の各回転角度に対応する半径を算出する。そして、その算出結果を、図4に示すように、タッチパネル20の表示画面上に形成された極座標表示部20Aに極座標表示する。また、これと同時に、得られたワーク10の半径の最大値と最小値の差を求め真円度を算出し、その算出結果をタッチパネル20の表示画面上に形成されたP−P値表示部20Bに表示する(ステップS16)。
また、定寸加工直後の真円度の測定を行う場合は、定寸加工直後にサンプリングした1回転分の測定データに基づいて真円度解析処理を実行する。すなわち、まず、定寸加工直後にサンプリングした測定データのフィルタ処理を行い、そのフィルタ処理されたデータからワーク10の各回転角度に対応する半径を算出する。そして、その算出結果を、図4に示したタッチパネル20の表示画面上に形成された極座標表示部20Aに極座標表示する。また、これと同時に、得られたワーク10の半径の最大値と最小値の差を求め真円度を算出し、その算出結果をタッチパネル20の表示画面上に形成されたP−P値表示部20Bに表示する(ステップS16)。
以上のように、本実施の形態の自動定寸装置によれば、定寸加工直前又は定寸加工直後に真円度測定を行うこともできる。このように、定寸加工直前に真円度測定を行うことにより、サイクルタイムに影響しないでワーク10を更に効率よく処理することができる。
なお、定寸加工直前に真円度測定を実施するか、定寸加工直後に真円度測定を実施するかは、オペレータがタッチパネル20等から入力して設定する。この際、設定はワーク10の加工開始前にあらかじめ行っておいてもよいし、加工中又は加工後に選択して設定するようにしてもよい。
ところで、上述したように本実施の形態の自動定寸装置では、インラインでワーク10の真円度を測定することができるが、この測定データを利用して、加工したワーク10の真円度の良否を判定することもできる。すなわち、管制部18は、前記のごとく真円度解析して算出した真円度を、設定した真円度の上限値と比較し、上限値を越えていなければ、図4に示すように、極座標表示と共にタッチパネル20の表示画面上に形成された判定部20Cに『OK』と表示する。そして、算出した真円度が上限値を越えていれば、前記判定部20Cに『NG』と表示する。
このように本実施の形態の自動定寸装置によれば、インラインでワーク10の真円度の良否も判定することができる。なお、このように判定した結果を必要に応じて外部の機器に出力するようにしてもよい。これにより、不良品をラインから除去する等の処理を行うことができる。
なお、真円度の上限値の設定は、オペレータがタッチパネル20等から入力して行う。この際、設定はワーク10の加工開始前にあらかじめ行っておいてもよいし、加工中又は加工後に行ってもよい。
また、フィルタ処理したワーク10の半径データを高速フーリエ変換して各周波数成分に分けて解析し(以下、『FFT解析』という)、その結果を図6に示すように、タッチパネル20上にパワースペクトル表示するようにしてもよい。これにより、インラインで真円度の不良の原因を成分分析することができる。一般的に真円度では楕円、三角など低次の山成分における振幅が大きいために、びびりとされる20山、30山の振幅を消してしまうが、FFT解析を使用すれば、各山数における振幅が明確になるため、びびりと特定した山数の振幅成分に対して解析ができる点が有効である。
さらに、FFT解析して得られた特定周波数の振幅と、設定した当該周波数の振幅の上限値とを比較して、ワーク10の真円度の良否及び研削条件の良否を自動で判定するようにしてもよい。すなわち、管制部18は、FFT解析の結果得られた特定周波数の振幅と、設定した当該周波数の振幅の上限値とを比較する。そして、図7(a)、(b)に示すように、FFT解析の結果得られた特定周波数の振幅が、設定した上限値を越えていなければ、タッチパネル20の表示画面上に形成されたFFT解析結果判定部Dに『OK』と表示し、算出した真円度が上限値を越えていれば、前記FFT解析結果判定部20Dに『NG』と表示する。
なお、図7の例では、判定範囲の山数(周波数)3〜8の成分の振幅の上限値が5μmと設定され、判定範囲の山数15〜25の成分の振幅の上限値が3μmと設定されている。そして、山数3〜8の成分の振幅の測定結果が8.0μmであったため、FFT解析結果判定部20Dには『NG』と表示され、山数15〜25の成分の振幅の測定結果が2.0μmであったため、FFT解析結果判定部20Dには『OK』と表示されている。
このようにしてインラインでワーク10の真円度の良否及び研削条件の良否を自動で判定することができる。なお、このように判定した結果を必要に応じて外部の機器に出力するようにしてもよい。これにより、不良品をラインから除去する等の処理を施すことができる。
なお、振幅の上限値の設定は、オペレータがタッチパネル20等から入力して行う。この際、設定はワーク10の加工開始前にあらかじめ行っておいてもよいし、加工中又は加工後に行ってもよい。
また、本実施の形態では、周波数解析手段は、半径データを高速フーリエ変換解析するようにしているが、他の解析方法を使用してもよい。
図8は、第2の実施の形態の自動寸法計測装置を示す全体構成図であり、図1に示した第1の実施の形態の自動寸法計測装置と同一又は類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
第1の実施の形態の自動寸法計測装置に対する第2の実施の形態の自動寸法計測装置の相違点は、測定ヘッド40を設けた点である。測定ヘッド40は、フィンガ40Aを有し、このフィンガ40Aは、測定ヘッド40本体内に設けられた支点を中心に揺動自在に支持されている。フィンガ40Aの先端部にはコンタクト40Bが取り付けられ、このコンタクト40Bの先端部が、測定に際して、ワーク10の外周面に当接される。研削によりワーク10の寸法が変化すると、そのワーク10の寸法の変化に応じてフィンガ40Aが揺動する。そして、そのフィンガ40Aの変位が、測定ヘッド40本体内に設けられた差動トランスによって電気信号として検出され、管制部18に出力される。
図9に示すように、管制部18は、研削盤制御装置14にスパークアウト信号を出力すると(ステップS20)、測定ヘッド16及び測定ヘッド40からワーク10の回転角度に対応する測定データのサンプリングを開始する(ステップS21)。そして、そのサンプリングデータを所定時間おきにメモリ28に記憶する(ステップS22)。
上述したように、加工が進行してワーク10の寸法が、あらかじめ設定した第3の取り代に達すると、管制部18から研削盤制御装置14に定寸信号が出力される(ステップS23)。
ここで、定寸信号を出力した管制部18は、定寸加工直後の真円度の測定を行う必要があるか否かを判定する(ステップS24)。そして、必要があると判断した場合には、定寸加工直後の測定データを所定時間サンプリングし、そのサンプリングデータをメモリ28に記憶する(ステップS25)。
また、定寸加工直後の真円度の測定を行う必要がないと判断した場合には、定寸加工直前のサンプリングデータ、即ち、定寸信号を出力する直前にサンプリングした1回転分の測定データに基づいて以下の処理を行う。
次いで、メモリ28に記憶されたデータ、又は、定寸加工直前のサンプリングデータのフィルタリング処理を行う(ステップ26)。フィルタリング処理は、例えば、ユーザによって所定のカットオフ値に設定され、短波長のノイズ成分や、解析に必要な波長域以外の帯域等を除去する処理である。そして、フィルタリング処理後、測定ヘッド16で測定した測定データからワーク10の軸心を検出し、測定データの偏心補正を行う。(ステップS27)。
次いで、測定ヘッド16及び測定ヘッド40で測定した測定データのサンプリングを用いて、ワーク10の回転誤差を除去する(ステップ28)。ワーク10の回転誤差は、後に詳説する3点法に基づいて行う。これにより、ワーク10の触れに伴う、ワーク10の軸の回転誤差が除去される。
次にワーク10の中心と同軸の内接円と外接円との半径差を求め、真円度を算出する(ステップ29)。そして、ワーク10の各回転角に対応する半径の算出結果を、タッチパネル20の表示画面上に形成された極座標表示部20Aに極座標表示する。これと同時に、真円度の算出結果をタッチパネル20の表示画面上に形成されたP−P値表示部20Bに表示する(ステップS30)。
次に、ワーク回転誤差を除去する3点法の測定原理について説明する。
図10に示すように、ワークの周囲に三つの測定ヘッドA、B、Cを設置し、この測定ヘッドAとB、測定ヘッドAとCのなす角をそれぞれφ、τとする。また、三つの測定ヘッドA、B、Cの軸の交点をOとし、この交点Oが被測定物の回転中心の近傍にあるとする。さらに、交点Oを原点とし、測定ヘッドAとY軸が一致するように直交座標系XYをとる。そして、円周上の基点Pから時計方向にθをとり、平均半径r0 を基準とした形状の半径方向の誤差をr(θ)とする。基点Pを測定ヘッドAの測定点から始めて反時計方向にθ回転した時、測定ヘッドA、B、Cの変位出力はそれぞれ、
SA (θ)=r(θ)+y(θ) …(1)
SB (θ)=r(θ−φ)+y(θ)cos φ−x(θ)sin φ …(2)
SC (θ)=r(θ−τ)+y(θ)cos τ−x(θ)sin τ …(3)
で表される。ここで、y(θ)、x(θ)はそれぞれ回転誤差のX成分、Y成分を表している。式(1)、式(2)、式(3)から回転誤差項を除去すると、差動出力S(θ)は、以下の式で表される。
SA (θ)=r(θ)+y(θ) …(1)
SB (θ)=r(θ−φ)+y(θ)cos φ−x(θ)sin φ …(2)
SC (θ)=r(θ−τ)+y(θ)cos τ−x(θ)sin τ …(3)
で表される。ここで、y(θ)、x(θ)はそれぞれ回転誤差のX成分、Y成分を表している。式(1)、式(2)、式(3)から回転誤差項を除去すると、差動出力S(θ)は、以下の式で表される。
S(θ)=SA (θ)+aSB (θ)+bSC (θ)
=r(θ)+ar(θ−φ)+br(θ−τ) …(4)
ただし、a=−sin τ/sin (τ−φ)、b=sin φ/sin (τ−φ)
この式(4)は、ワーク10の回転誤差成分とワーク10の形状成分とを完全に分離し、ワーク10の回転誤差成分を除去している。したがって、式(4)でS(θ)を算出すると、ワーク10の形状を正確に求めることができる。
=r(θ)+ar(θ−φ)+br(θ−τ) …(4)
ただし、a=−sin τ/sin (τ−φ)、b=sin φ/sin (τ−φ)
この式(4)は、ワーク10の回転誤差成分とワーク10の形状成分とを完全に分離し、ワーク10の回転誤差成分を除去している。したがって、式(4)でS(θ)を算出すると、ワーク10の形状を正確に求めることができる。
このように、本実施の形態の自動寸法計測装置は、測定ヘッド16と測定ヘッド40とによってワーク10の寸法を3点で測定し、3点法によってデータを補正するようにしたので、ワーク10の形状を正確に求めることができ、精度良く真円度を求めることができる。
図11は、本発明に係る自動寸法計測装置の第3の実施の形態を示す全体構成図であり、第3の実施の形態の自動寸法計測装置は、旋盤に適用された自動検測装置の例を示している。
旋盤112は、回転するワーク110にバイトを当接させてワーク110の内周部や外周部を切削する工作機械である。この旋盤112において、ワーク110は図示しない主軸に設けられたチャックに保持されており、該主軸に連結された図示しないモータを駆動することにより回転する。ここで、ワーク110は、その回転速度が旋盤制御装置114に制御されており、また、バイトは、その送りが旋盤制御装置114によって制御されている。
一方、自動検測装置は、旋盤112による加工後にワーク110の寸法を測定してワーク110の選別を行うとともに、その測定した寸法を旋盤112にフィードバックして加工条件の補正を行う。この自動検測装置は、図11及び図12に示すように、ワーク110に装着される測定ヘッド116と、その測定ヘッド116から出力された測定データを解析する管制部118とから構成されている。
前記測定ヘッド116は、一対のフィンガ116A、116Aを備えている。フィンガ116A、116Aは、それぞれ測定ヘッド116本体内に設けられた支点を中心に揺動自在に支持されており、その先端部にはコンタクト116B、116Bが取り付けられている。測定に際して、コンタクト116B、116Bは回転するワーク110の内周面又は外周面に当接され、このときのフィンガ116A、116Aの変位量が測定ヘッド116本体内に設けられた差動トランスによって電気信号として検出されて管制部118に出力される。
前記管制部118は、主としてタッチパネル120、CPU124、メモリ128、整流回路130、ADコンバータ132及び入出力回路134から構成されている。前記測定ヘッド116から出力されたフィンガ116A、116Aの変位量を示す電気信号は、整流回路130で整流されたのち、ADコンバータ132に取り込まれてディジタル信号に変換される。そして、このディジタル信号に変換された測定データに基づいてCPU124がワーク110の寸法を算出する。CPU124は算出したワーク110の寸法(測定寸法)と公差とを比較してワーク110の合否判定を行い、NGワークを分類する。また、これと同時に入出力回路134を介して旋盤制御装置114に測定寸法を出力する。旋盤制御装置114は、この測定寸法に基づいて旋盤112の刃先位置やワーク位置等の補正を行う。
以上説明したように本実施の形態の自動検測装置は旋盤112で加工されたワーク110の寸法を測定してワーク110の選別を行うとともに、その測定寸法を旋盤112にフィードバックして加工条件の補正を行う。そして、本実施の形態の自動検測装置は、上記の自動検測機能に加えてワーク110の真円度を測定する真円度測定機能を有している。この真円度測定は、図13に示すフローチャートに従って次のように行われる。
旋盤112によるワーク110の加工が終了すると(ステップS110)、管制部118は、旋盤制御装置114に回転開始信号を出力する。旋盤制御装置114は、この信号に基づいてワーク110を所定の角速度で回転させる(ステップS111)。
次に、管制部118は、測定ヘッド116からワーク110の各回転角度に対応する測定データのサンプリングを開始する(ステップS112)。そして、そのサンプリングデータを所定時間おきにメモリ128に記憶する(ステップS113)。
サンプリングはワーク1回転分行い(ステップS114)、その後、管制部118は、そのサンプリングデータに基づいて真円度解析処理を実行する。
すなわち、まず、サンプリングしたワーク1回転分の測定データのフィルタ処理を行う。次いで、そのフィルタ処理されたデータからワーク110の各回転角度に対応する半径を算出する。そして、図14に示すように、その算出結果をタッチパネル120の表示画面上の極座標表示部120Aに極座標表示する。また、これと同時に得られたワーク110の半径の最大値と最小値の差を求め真円度を算出する。そして、その算出結果をタッチパネル120の表示画面上のP−P値表示部120Bに表示する(ステップS115)。
以上により真円度測定は終了し、管制部118は旋盤制御装置114に回転停止信号を出力してワーク110の回転を停止させる(ステップS116)。
以上のように本実施の形態の自動検測装置によれば、自動検測機能に加えて真円度測定機能が備えられている。これにより、加工後にワーク110を別途真円度測定機に搬送してワーク110の真円度測定を行う必要がなくなり、生産ライン等で順次加工されるワーク全ての真円度測定を行うことができる。
ところで、上述したように本実施の形態の自動検測装置ではワーク110の真円度測定を行うことができるが、この真円度測定データを利用して加工したワーク110の真円度の良否の判定を行うこともできる。すなわち、管制部118は、前記のごとく真円度解析を実行して得られた真円度をオペレータが設定した真円度の上限値と比較する。そして、上限値を越えていなければ、図14に示すようにタッチパネル120の表示画面上の判定部120Cに『OK』と表示する。一方、得られた真円度が上限値を越えていれば、前記判定部120Cに『NG』と表示する。
このように本実施の形態の自動検測装置によれば、ワーク110の真円度の良否も判定することができる。なお、このように判定した結果を必要に応じて外部の機器に出力するようにしてもよい。これにより、不良品をラインから除去する等の処理を行うことができる。
なお、真円度の上限値の設定はオペレータがタッチパネル120等から入力して行う。この際、設定は測定開始前にあらかじめ行っておいてもよいし、測定中あるいは測定後に行ってもよい。
また、フィルタ処理したワーク110の半径データを高速フーリエ変換して各周波数成分に分けて解析し(以下、『FFT解析』という)、その結果を図15に示すようにタッチパネル120上にパワースペクトル表示するようにしてもよい。これにより真円度の不良の原因を成分分析することができる。一般的に真円度では楕円、三角など低次の山成分における振幅が大きいために、びびりとされる20山、30山の振幅を消してしまうが、FFT解析を使用すれば、各山数における振幅が明確になるため、びびりと特定した山数の振幅成分に対して解析ができる点が有効である。
さらに、FFT解析して得られた特定周波数の振幅と、設定した当該周波数の振幅の上限値とを比較して、ワーク110の真円度の良否及び研削条件の良否を自動で判定するようにしてもよい。すなわち、管制部118は、FFT解析の結果得られた特定周波数の振幅と、オペレータが設定した当該周波数の振幅の上限値とを比較する。そして、図16(a)、(b)に示すように、FFT解析の結果得られた特定周波数の振幅が前記上限値を越えていなければ、タッチパネル120の表示画面上のFFT解析結果判定部120Dに『OK』と表示する。一方、FFT解析の結果得られた特定周波数の振幅が前記上限値を越えていれば、前記FFT解析結果判定部120Dに『NG』と表示する。
なお、図16の例では判定範囲の山数(周波数)3〜8の成分の振幅の上限値が5μmと設定され、判定範囲の山数15〜25の成分の振幅の上限値が3μmと設定されている。そして、山数3〜8の成分の振幅の測定結果は8.0μmであったため、FFT解析結果判定部120Dには『NG』と表示され、山数15〜25の成分の振幅の測定結果は2.0μmであったため、FFT解析結果判定部120Dには『OK』と表示されている。
以上のようにしてワーク110の真円度の良否及び加工条件の良否を自動で判定することができる。なお、このように判定した結果を必要に応じて外部の機器に出力するようにしてもよい。これにより、不良品をラインから除去する等の処理を施すことができる。
なお、振幅の上限値の設定は、オペレータがタッチパネル120等から入力して行う。この際、設定は測定開始前にあらかじめ行っておいてもよいし、測定中あるいは測定後に行ってもよい。
また、本実施の形態では、周波数解析手段は半径データを高速フーリエ変換解析するようにしているが、他の解析方法を使用してもよい。
さらに、本実施の形態では、ワーク110を旋盤112の主軸に設けられたチャックに保持した状態でワーク110を測定するようにしているが(機内測定)、旋盤112とは別の回転駆動手段にワーク110を保持させて測定するようにしてもよい(機外測定)。すなわち、ワーク110を旋盤112で加工したのち、当該旋盤112のチャックからワーク110を取り外し、旋盤112とは別の回転駆動手段のチャックに取り付ける。そして、同様にワーク110を軸芯回りに回転させて、本実施の形態の自動検測装置で検測と真円度測定を実施するようにしてもよい。このとき旋盤112から取り外したワーク110を回転駆動手段のチャックに取り付ける際に、ワーク110の中心が回転駆動手段の回転中心からズレて取り付けられる場合があるので、この場合は偏心補正を行う。すなわち、サンプリングしたワーク1回転分の測定データのフィルタ処理を行ったのち、測定データからワーク110の軸芯を検出して偏心量(回転駆動手段の回転中心に対するワーク110の軸芯のズレ量)を算出し、測定データの偏心補正を行う。そして、その偏心補正した測定データからワーク110の各回転角度に対応する半径を算出して、その算出結果をタッチパネル120の表示画面上の極座標表示部120Aに極座標表示する。
なお、上述した実施の形態のように機内測定を実施することにより、加工されたワーク110を別途機外の検測装置に搬送する必要がなくなり、効率よくワーク110を加工処理することができる。また、芯ズレの発生がないので、加工されたワーク110を精度よく測定することができる。
また、上記の実施の形態では、本発明に係る自動検測装置を旋盤に適用した例で説明しているが、他の工作機械にも適用することができる。
図17は、第4の実施の形態の自動寸法計測装置を示す全体構成図であり、図11に示した第3の実施の形態の自動寸法計測装置と同一又は類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
第3の実施の形態の自動寸法計測装置に対する第4の実施の形態の自動寸法計測装置の相違点は、測定ヘッド140を設けた点である。測定ヘッド140は、フィンガ140Aを有し、このフィンガ140Aは、測定ヘッド140本体内に設けられた支点を中心に揺動自在に支持されている。フィンガ140Aの先端部にはコンタクト140Bが取り付けられ、このコンタクト140Bの先端部が、測定に際して、ワーク110の外周面に当接される。研削によりワーク110の寸法が変化すると、そのワーク110の寸法の変化に応じてフィンガ140Aが揺動する。そして、そのフィンガ140Aの変位が、測定ヘッド140本体内に設けられた差動トランスによって電気信号として検出され、管制部118に出力される。
図18に示すように、管制部118は、旋盤112によるワーク110の加工が終了すると(ステップS120)、管制部118は、旋盤制御装置114に回転開始信号を出力する。旋盤制御装置114は、この信号に基づいてワーク110を所定の角速度で回転させる(ステップS121)。
次に、管制部118は、測定ヘッド116及び測定ヘッド140からワーク110の各回転角度に対応する測定データのサンプリングを開始する(ステップS122)。そして、そのサンプリングデータを所定時間おきにメモリ128に記憶する(ステップS123)。
サンプリングはワーク1回転分行い(ステップS124)、その後、管制部118は、そのサンプリングデータに基づいて真円度解析処理を実行する。
すなわち、まず、サンプリングしたワーク1回転分の測定データのフィルタリング処理を行う(ステップS125)。フィルタリング処理は、例えば、ユーザによって所定のカットオフ値に設定され、短波長のノイズ成分や、解析に必要な波長域以外の帯域等を除去する処理である。
次いで、測定ヘッド116で測定した測定データからワーク110の軸心を検出し、測定データの偏心補正を行う(ステップS126)。
次いで、測定ヘッド116及び測定ヘッド140で測定した測定データのサンプリングを用い、3点法に基づいてワーク回転誤差を除去する(ステップ127)。これにより、ワーク10の回転誤差成分が除去されるので、ワーク10の形状を正確に求めることができる。
次にワーク10の中心と同軸の内接円と外接円との半径差を求め、真円度を算出する(ステップ128)。そして、ワーク110の各回転角に対応する半径の算出結果を、タッチパネル120の表示画面上に形成された極座標表示部120Aに極座標表示する。これと同時に、真円度の算出結果をタッチパネル120の表示画面上に形成されたP−P値表示部120Bに表示する(ステップS129)。
以上により真円度測定は終了し、管制部118は旋盤制御装置114に回転停止信号を出力してワーク110の回転を停止させる(ステップS130)。
このように、本実施の形態の自動寸法計測装置は、測定ヘッド16と測定ヘッド40とによってワーク10の寸法を3点で測定し、3点法によってデータを補正するようにしたので、ワーク10の形状を正確に求めることができ、精度の良い真円度を求めることができる。
10…ワーク、12…砥石、14…研削盤制御装置、16…測定ヘッド、18…管制部、20…タッチパネル、40…測定ヘッド
Claims (10)
- 工作機械によるワークの加工中に、前記ワークの寸法を測定し、該ワークの寸法が、あらかじめ設定した寸法に達すると、前記工作機械に加工の停止を指示する自動寸法計測装置において、
前記ワークの回転角度に対応する半径データを測定する半径データ測定手段と、
前記半径データ測定手段で測定した半径データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された半径データに基づいて真円度解析を実行し、前記ワークの真円度を算出する真円度演算手段と、
を備えていることを特徴とする真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。 - 工作機械による加工後にワークを回転駆動手段で回転させてその寸法を測定し、その測定データに基づいて前記ワークを選別、又は、その測定データを前記工作機械にフィードバックする自動寸法計測装置において、
前記ワークの回転角度に対応する半径データを測定する半径データ測定手段と、
前記半径データ測定手段で測定した半径データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された半径データに基づいて真円度解析を実行し、前記ワークの真円度を算出する真円度演算手段と、
を備えていることを特徴とする真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。 - 前記真円度演算手段は、前記ワークの加工終了直前に前記記憶手段に記憶された半径データに基づいて真円度解析を実行し、前記ワークの真円度を算出することを特徴とする請求項1記載の真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。
- 前記真円度演算手段は、前記ワークの加工終了直後に前記記憶手段に記憶された半径データに基づいて真円度解析を実行し、前記ワークの真円度を算出することを特徴とする請求項1記載の真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。
- 前記自動寸法計測装置は、前記記憶手段に記憶された半径データに基づいて前記回転駆動手段の回転中心又は工作機器の主軸の回転中心に対する前記ワークの軸芯の偏心量を算出し、補正する補正手段を備えていることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。
- 前記自動寸法計測装置は、前記真円度演算手段による演算値と、設定された上限値とを比較し、前記演算値が前記上限値を越えている場合は、前記ワークを不良品と判定する判定手段を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。
- 前記真円度演算手段は、所定の周波数領域を抽出するフィルタ処理手段を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。
- 前記真円度演算手段は、前記記憶手段に記憶された半径データを周波数解析する周波数解析手段を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。
- 前記周波数解析手段は、前記記憶手段に記憶された半径データを高速フーリエ変換解析することを特徴とする請求項8記載の真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。
- 前記半径データ測定手段は、前記ワークの寸法を3点以上で測定し、該半径データ測定手段で測定した3点以上の測定値を用いてワークの回転誤差を除去演算する除去演算手段を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8又は9記載の真円度測定機能を有する自動寸法計測装置。
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2006
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