JP2006153196A - 部材の固定方法及び回転駆動部の固定方法 - Google Patents

部材の固定方法及び回転駆動部の固定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 接着面からはみ出さずに接着剤を充填し且つ部材同士を高精度に固定できる部材の固定方法及び回転駆動部の固定方法を提供する。
【解決手段】 本発明の部材及び回転駆動部の固定方法は、一方の部材(回転軸)3と他方の部材(歯車)5とを補助材7を介して接着固定する部材の固定方法であって、補助材7は一方の部材3との接着面及び他方の部材5との接着面を備え、補助材7の夫々の接着面には接着剤を収容する接着剤収容部13を設けるようにしている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、三次元空間上の一方の部材と他方の部材との位置関係を高精度に位置決め固定する部材の固定方法及び回転駆動部の固定方法に関する。
特許文献1には、感光体ドラム(回転体)の回転軸(一方の部材)の先端部の一定の範
囲に反応硬化性の接着剤で中間層を形成し、中間層の部分に歯車(他方の部材)の取付穴
を嵌合させ、回転軸を一定速度で回転しながら調整手段により回転軸に対する歯車の偏心
や傾きが少なくなるように、歯車の取付位置を調整している。そして歯車の取付位置を調
整した後は、接着剤に硬化エネルギーを与えて接着剤を硬化させ、回転体と歯車とを固定し
ている。
特開2004−60838号公報
しかし、特許文献1に記載の従来技術は、接着剤を回転体の接着面に直接充填するので、流動性のある接着剤の場合には狙いの塗布位置からずれてしまい、接着面からはみ出した接着剤が本来接着剤があってはいけない位置にはみ出したりするという問題がある。例えば、歯車伝達機構では歯車等、光学系部品では光路面等の部位へ接着剤がはみ出し、歯車や光学系部品の機能を阻害するという問題がある。また、接着剤の塗布分布や塗布面積がばらつくことにより、接着剤の硬化収縮による位置ずれ量が接着面の位置によってばらつき、部材同士の位置精度の確保が難しいという問題がある。
本発明は、接着面からはみ出さずに接着剤を充填し且つ部材同士を高精度に固定できる部材の固定方法及び回転駆動部の固定方法を得ることを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、一方の部材と他方の部材とを補助材を介して接着固定する部材の固定方法であって、補助材は一方の部材との接着面及び他方の部材との接着面を備え、補助材の夫々の接着面には接着剤を収容する接着剤収容部を設けてあることを特徴とする。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、補助材は部材との接着面から突出する条状突起を備え、条状突起に囲まれた領域に接着剤収容部を形成していることを特徴とする。
請求項3に記載された発明は、請求項2に記載された発明において、接着剤収容部の深さが中心部に向かうにつれて深くなっていることを特徴とする。
請求項4に記載された発明は、請求項3に記載された発明において、接着剤収容部の深さが外周側で緩やかな斜面となっており、内周側で急な斜面となっていることを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、条状突起は同心状になっており、条状突起によって接着剤収容部を複数の領域に分けていることを特徴とする。
請求項6に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、夫々の接着剤収容部には複数の種類の接着剤を充填しており、接着剤収容部の外周側に粘度の高い接着剤を充填し、接着剤収容部の中心側に粘度の低い接着剤を充填していることを特徴とする。
請求項7に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、夫々の接着剤収容部には複数の種類の接着剤を充填しており、接着剤収容部の中心側に粘度の高い接着剤を充填し、接着剤収容部の外周側に粘度の低い接着剤を充填していることを特徴とする。
請求項8に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、夫々の接着剤収容部には複数の種類の接着剤を充填しており、接着剤収容部の外周側に硬化後のヤング率が高い接着剤を充填し、接着剤収容部の中心側に硬化後のヤング率の低い接着剤を充填していることを特徴とする。
請求項9に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、夫々の接着剤収容部には複数の種類の接着剤を充填しており、接着剤収容部の中心側に硬化後のヤング率が高い接着剤を充填し、接着剤収容部の外周側に硬化後のヤング率の低い接着剤を充填していることを特徴とする。
請求項10に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、部材又は補助材には接着剤収容部内に接着剤を充填する連通口が設けてあることを特徴とする。
請求項11に記載された発明は、請求項2又は10に記載の発明において、部材又は補助材には接着剤収容部内と大気とを連通する大気開放口を設けてあることを特徴とする。
請求項12に記載された発明は、一方の部材は像担持体の回転軸であり、他方の部材は回転軸に連動して回転する歯車であり、請求項1〜11の何れか一項に記載の固定方法により回転軸と歯車とを固定することを特徴とする。
請求項13に記載された発明は、請求項12に記載の発明において、回転軸の外周にはスリーブが設けられており、スリーブの外周面と補助材の一方の接着面とを接着しており、歯車と補助材の他方の接着面とを接着していることを特徴とする。
請求項14に記載された発明は、請求項13に記載の発明において、スリーブには回転軸の半径方向に突出するフランジが形成されており、フランジと歯車とは略同一平面上にあり、補助材の一方の接着面と他方の接着面とが略水平になっていることを特徴とする。
請求項15に記載された発明は、請求項12に記載の発明において、補助材は回転軸の周方向に間隔を開けて備えたことを特徴とする。
請求項16に記載された発明は、請求項12に記載の発明において、補助材は可視光線以下の短波長を透過する材質からなり、接着剤は光により架橋反応する材質であることを特徴とする。
請求項17に記載された発明は、請求項16に記載の発明において、歯車、回転軸及びスリーブは波長が可視光線以下の短波長を透過する材質からなることを特徴とする。
請求項18に記載された発明は、請求項12に記載の発明において、歯車の補助材が固定される位置に半径方向の案内溝が形成されており、補助材には案内溝に係合する突部が形成されており、歯車を回転軸に組付ける際に案内溝に突部を係合させて歯車の固定位置を調整していることを特徴とする。
請求項19に記載された発明は、請求項12に記載の発明において、回転駆動部には歯車の外周に当接する規制部材を設けており、歯車を規制部材で位置決めしてから補助材で回転軸と歯車とを接着固定することを特徴とする。
請求項20に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、接着剤収容部には単一の接着剤を充填しており、接着剤収容部の外周側が中心側よりも光照射量が多くなるようにしていることを特徴とする。
請求項21に記載された発明は、請求項2に記載の発明において、接着剤収容部には単一の接着剤を充填しており、接着剤収容部の中心側が外周側よりも光照射量が多くなるようにしていることを特徴とする。
本発明によれば、接着剤収容部内に接着剤が閉じ込められるため、流動性のある接着剤が狙いの塗布位置からずれてしまうのを防止すると共に、接着剤が接着面からはみ出すのを防止できる。また接着剤の塗布分布や塗布面積がばらつかないので、硬化収縮による位置ずれ方向もばらつきが小さく位置精度を高めることができる。
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1〜図5は本発明の第1実施の形態に係る回転駆動部の固定方法を説明している。
図4に示すように、本実施の形態に係る回転駆動部1は画像を担持して回転する感光体(回転体4)と、感光体4の回転軸(一方の部材3)に噛合う歯車(他方の部材5)とを備え、モータ(駆動源10)の駆動によりピニオン11を介して歯車5が回転して、感光体4が回転するようになっている。
図5に示すように、回転軸3と歯車5とを補助材7を介して固定している。補助材7は略L字状をしており、直交する一方の接合面7aと他方の接合面7bの2面にそれぞれ環状(条状)突起9a、9bがあり、この環状突起9a、9bで囲まれる領域を接着剤収容部13a、13bとしており、接着剤収容部13a、13bに接着剤6を充填して、補助材7と回転軸3、補助材7と歯車5とを夫々固定している。
また図5に示すように、歯車5の取付孔の径は回転軸3の径より大きく設けられており、回転軸3は直接歯車5に接触しないようになっている。このため、歯車5の偏心を回転軸3に影響を与えることなく偏心を取り除く補正が可能となる。
次に、本実施の形態に係る作用及び効果を説明する。回転軸3と歯車5とを補助材7を介して固定する場合には、後述の実施形態で詳述するが、予め歯車5と回転軸3とを位置決めし、補助材7の一方の接合面7aに設けた接着剤収容部13aに接着剤6を充填して、補助材7の一方の接合面7aと回転軸3とを固定し、補助材7の他方の接合面7bに設けた接着剤収容部13bに接着剤6を充填し、補助材7の他方の接合面7bと歯車5とを固定する。
本実施の形態では、補助材7の各接合面7a、7bに接着剤収容部13a、13bを夫々設けており、接着剤収容部13a、13b内に接着剤6が閉じ込められるため、流動性のある接着剤6が狙いの塗布位置からずれてしまうのを防止すると共に、本来接着剤6があってはいけない位置にはみ出すのを防止できる。また接着剤6の塗布分布や、塗布面積がばらつかず、硬化収縮による位置ずれ方向もばらつきが小さく、歯車5と回転軸3の位置精度を高めることができる。
更に、接着剤6の硬化進行過程において、接着剤6の塗布量や塗布位置のばらつきによって生じる硬化中の残留応力分布のばらつきを防ぐことができ、経時的な接合個所の位置ずれ挙動がばらつかず、残留応力の偏りによる界面剥離の誘発を防止できる。
環状突起9の高さで接着層の厚みが規制されるので、接着層の均一化による接合強度の均一化を図ることができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下の説明において、上述した第1実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することにより、その部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では上述の第1実施の形態と異なる点を主に説明する。図6から図8は本発明の第2実施の形態を示しており、図6は接着剤収容部の深さが中心部に向かうにつれて深くなっている状態を示す断面図、図7は接着剤収容部の外周側と内周側とで傾斜角度が異なる状態を示す断面図、図8は接着剤収容部を複数の領域に分けた状態を示す断面図である。
図6に示す実施例では、それぞれの接着剤収容部13a、13bの深さが中心部に向かうにつれて深くなるようにしている。図6に示す実施例では環状突起9a、9bに近い部分では硬化によって収縮する接着剤6の量が少なく、接着剤6が固化した場合に回転軸3と補助材7との位置及び歯車5と補助材7との位置がずれにくい。また、接着剤収容部13a、13bの中心部は外周部よりも深くなっており、硬化によって収縮する接着剤6の量も多くなるが、中心部は環状突起9a、9bによって閉塞されており、中心部には負圧が生じて吸着効果が得られるので、接着強度が向上する。
図7に示す実施例では、それぞれの接着剤収容部13a、13bの深さが外周側で緩やかな斜面となっており、内周側で急な斜面となっている。このように、接着剤収容部13
の深さが外周側で緩やかな斜面となっているので、接着剤6の毛管力が作用する領域が緩やかとなり、且つ接着層の厚みの変化も緩やかになるため、硬化収縮量の分布も緩やかになり、接着剤収容部内の接着強度の分布も緩やかになる。従って、外部からの衝撃荷重が掛かっても接着部分の界面で衝撃を緩やかに緩和させることができるので、界面剥離を防ぐ効果が期待できる。
図8に示す実施例では、環状突起9a、9bは同心円状になっており、環状突起9a、9bによって接着剤収容部13a、13bをそれぞれ複数の領域(13a-1、13a-2、13b-1、13b-2)に分けている。このように、接着剤収容部13が複数の領域に分かれているので、各環状突起(9a-1、9a-2、9b-1、9b-2)近傍の接着剤6は毛管力の作用により位置精度が向上し、また、それぞれの領域(13a-1、13a-2、13b-1、13b-2)で仮に外部からの衝撃荷重により界面剥離をしたとしても、多重構造によりその剥離進行を食い止める働きがある。更に、それぞれの領域(13a-1、13a-2、13b-1、13b-2)に異なる物性の接着剤6を塗り分ける事により、機能を複合的に得られる効果も期待できる。
次に図9〜図12を用いて第3実施の形態について説明する。第3実施の形態では接着剤収容部に複数の種類の接着剤を充填している。図9では接着剤収容部13の外周側に粘度の高い接着剤6bを充填し、接着剤収容部13の中心側に粘度の低い接着剤6aを充填している。このように、接着剤収容部13の外周側に粘度の高い接着剤6bを充填し、その内側には粘度の低い接着剤6aを充填することで、接合時に粘度の高い接着剤6bが内側の粘度の低い接着剤6aを囲い込み流出するのを防ぐ効果があると共に、粘度が高い接着剤6bが広がり切れない領域には粘度の低い接着剤6aは流動性が良く、隙間を埋める毛管力があるため、接着剤収容部13の全体に渡って接着剤6を充分に充填することができる。
図10では接着剤収容部13の中心側に粘度の高い接着剤6bを充填し、接着剤収容部13の外周側に粘度の低い接着剤6aを充填している。このように、接着剤収容部13の外周側に粘度の低い接着剤6aを充填し、その内側には粘度の高い接着剤6bを充填することで、接合時に粘度の高い接着剤6bが中央部にポッティングされており、その周囲を粘度の低い接着剤6aで満たしており、接合時にポッティングされた粘度の高い接着剤領域と、環状突起9の接触面隙間に毛管力が働き、接着剤収容部13内に接着剤6が万遍なく充填される。
図11では接着剤収容部13の外周側に硬化後のヤング率が高い接着剤6cを充填し、接着剤収容部13の中心側に硬化後のヤング率の低い接着剤6dを充填している。このように、接着剤収容部13の外周側に硬化後のヤング率が比較的高い接着剤6cを充填し、その内側にヤング率が低い接着剤6dを充填することで、接着硬化後に外部からの振動荷重がかかっても、環状突起9近傍での位置ズレを最小に抑えることができ、内側のヤング率の低い接着剤6dが緩衝材の役割を果たし、衝撃を緩和することにより接着面の界面剥離を防ぐ効果が得られる。
図12では接着剤収容部13の中心側に硬化後のヤング率が高い接着剤6cを充填し、接着剤収容部13の外周側に硬化後のヤング率の低い接着剤6dを充填している。このように、接着剤収容部13の内側にヤング率が比較的高い接着剤6cを充填し、その外側にヤング率が低い接着剤6dを充填することで、接着硬化後に外部からの振動荷重がかかっても、接着剤収容部13の中央でヤング率の高い接着剤6cで位置ズレを抑えることができ、環状突起9と部材の接着面とのはさまれたリング状の領域でヤング率の低い接着剤6dが衝撃を吸収することにより接着面の界面剥離を防ぐ効果が得られる。
次に図13〜図16を用いて第4実施の形態について説明する。図13は回転軸3又は歯車5に、接着剤収容部13に接着剤6を充填する連通口15を設けている状態を示す図、図14は補助材7に連通口15を設けた状態を示す図である。このように、回転軸3(又は歯車5)又は補助材7に連通口15を設けることで、予め回転軸3(又は歯車5)と補助材7とが設置された状態でも接着剤6を充填することができ、固定作業の効率が向上し且つ、接着剤6を予め接合面に塗布してから張り合わせるよりも接着剤6のはみ出しや、たれなどの事故を防ぐ効果が得られる。更に、接着剤6は必要十分な量を図示はしていない、接着剤充填装置(ディスペンサ)などにより量を必要最低限に管理することが可能となる。
図15は回転軸3又は歯車5に、接着剤収容部13内と大気とを連通する大気開放口17を設けている状態を示す図、図16は補助材7に大気開放口17を設けた状態を示す図である。このように、回転軸3(又は歯車5)又は補助材7に接着剤収容部13内と大気とを連通する大気開放口17を設けているので、回転軸3(又は歯車5)と補助材7とを固定したときに接着剤収容部13内に気泡が閉じ込められることを防ぐことができ、接着剤収容部13内の空間よりも多めに接着剤6が塗布された場合でも、大気開放口17が接着剤6を誘導して吐き出させるドレインとして機能するため、固定作業の効率が向上すると共に接着剤6のはみ出しがあっても、大気開放口17から問題のない領域に吐き出し誘導することにより事故を防ぐことができる。
次に図17及び図18を用いて第5実施の形態について説明する。図17では回転軸3の外周にスリーブ19をピン21固定しており、スリーブ19の外周面19aと補助材7の一方の接着面7aとを接着しており、歯車5と補助材7の他方の接着面7bとを接着している。このように、スリーブ19の外周面19aと補助材7の一方の接着面7aとを接着しており、歯車5の接着面5aと補助材7の他方の接着面7bとを接着しているので、接着面積を広くとることができ、非接触部位(界面の浮き上がり)も無く接続できることから接着強度を向上させることができる。
また、補助材7の一方の接着面7aと他方の接着面7bとは互いに垂直になっており、
回転軸3に対して歯車5が相対的に移動しても、常に補助材7の双方の面が接触することが可能であるため、接着面の信頼性を確保することができる。
図18に示す実施例ではスリーブ19に回転軸3の半径方向に突出するフランジ23を形成しており、フランジ23と歯車5とは略同一平面上にあり、補助材7の一方の接着面7aと他方の接着面7bとを略水平にしている。このように、スリーブ19にフランジ23を設けることで、補助材7を板状に成形でき、略L字状に形成する場合に比べて補助材7の加工が容易である。
次に図19〜図21を用いて第6実施の形態について説明する。図19〜図21に示すように、補助材7は回転軸3の周方向に間隔を開けて複数備えている。図19に示す実施例では回転軸3に対して円筒状のスリーブ19を取り付けており、補助材7もスリーブとの接着面7aが曲面になっている。また、図20及び図21に示す実施例では回転軸3に対して矩形状のスリーブ19を取り付けており、補助材7もスリーブ19との接着面7aが平担面になっている。このように、補助材7を複数に分割してあるので、それ自身の部品の嵌め合い精度を要求しなくとも、補助材7と、歯車5又は回転軸3との間、或いは補助材7とスリーブ19との間に隙間を作ることなく密着して接合することが可能となる。
次に図22を用いて第7実施の形態について説明する。図22に示すように、歯車5の補助材7が固定される位置に半径方向の案内溝25が形成されており、補助材7には案内溝25に係合する突部27が形成されており、歯車5を回転軸3に組付ける際に案内溝25に突部27を係合させて歯車5の固定位置を調整している。特にギヤのトルクが掛かる回転方向に接点を向けるように補助材7を配置すると、補助材7のギヤ接触面での弾性応力はこの接点により低減されるため、界面剥離を低減させる作用がある。図示では回転中心を±Yと±Xの座標で示しており、この方向にスリーブ19と、歯車5の案内溝25を配置すれば、双方の位置合わせが完了した後でも、補助材7の位置を±Yと±Xに移動させることにより、上述の接点を設ける配置に接地させることができる。
次に図23及び図24を用いて第8実施の形態について説明する。歯車5と回転軸3との位置あわせ方法は、基準中心から少なくとも3方向に等間隔の規制部材29を配置し、それらに接して位置決めされる歯車5と、上記基準中心に同軸上に配置されるように予め位置決め手段31により位置決めされる回転軸3とを相対的に固定状態にし、その後双方に接触させるように配置した補助材7によりで回転軸3と歯車5とを接着固定している。
このように互いの位置関係を理想的に把持させた上で接合させることにより回転軸3を基準に歯車5は偏心を抑えた状態で組み立てることができる。特にカラーの画像形成装置の感光体や、転写ベルト、ドラムなどに用いることにより色間のずれ量が低減できて良好な画像を形成することができるようになる。
次に接着剤の接着方式について説明する。接着の方式には有機系の熱硬化性接着剤(ユリア系、フェノール系、エポキシ系)や、熱可塑性接着剤(酢酸ビニル系、ポリオエチレン系)などがあり、エラストマ系接着剤では(クロロプレーンゴム系、二トリルゴム系、シリコーン系)などがある。また、無機系ではセメント類、ケイ酸ソーダ類、セラミックス系などもあげられるが、特に歯車5の使用環境に応じた温湿度、ガス雰囲気や、負荷トルク、衝撃、振動、時間、外乱電磁波(電磁波、光)や、歯車5、スリーブ19、回転軸3の材質等を考慮した上で接着剤や、接着方式を選択する必要がある。また、接着に類似した接合方式として溶着であっても良い。
また、補助材7の材質は可視光線(波長:400〜800nm)以下の短波長を透過する材質であり、接着剤6は光により架橋反応する材質である。接着方式がUV(紫外線)又はEB(電子線)により架橋反応を起こす方式の場合であって、特に可視光線(波長:400〜800nm)を透過し、更に紫外線波長帯域である(波長:200〜400nm)のすべての帯域か或いはその帯域内の一部帯域で透過できる材料で構成した補助材7であれば、上述した工法により予め位置決めされた状態から接合する場合には硬化中、硬化後の接合状態を観察しやすく、生産性が向上すると共に、接着時間の管理を照射する光のエネルギーで強弱加減ができる。また、光の配光分布を工夫することにより、接着界面の硬化歪をうまく緩和することができるなど、接着の自由度が確保できる。尚、光硬化型の接着剤を用いるのは、熱硬化型の接着剤では温度分布を細かに設定することが難しく、界面で硬化収縮が生じると界面に残留応力が生じて剥離する可能性もあり、また可視光線で透過しないとその接着状態を観察することもできないため、工程内や市場でのトラブルに対応できないからである。
歯車5、回転軸3及びスリーブ19は可視光線を透過し、更に紫外線波長帯域のすべての帯域か或いはその帯域内の一部帯域で透過できる材質であれば、接着方式をUV(紫外線)または、EB(電子線)により架橋反応を起こすポリマーによる接着方式で接着ができ、上述した補助材7と同様の効果が得られる。
接着剤の硬化(架橋)前の粘度について、粘度が低い方が補助材7の接着面と、相手部材との間に毛管力が作用し、均一な膜厚になろうとして自発的に被接合ワーク同士が吸着(密着)し合う力が作用し、接着層の膜厚が薄くなり、このことが硬化収縮による位置関係のずれ低減させる働きとして作用する。その意味では、硬化(架橋)前の接着剤の粘度を50000mPa・S以下(好ましくは25000mPa・S以下)のものが好ましいが、硬化後の接強度、硬化収縮率、界面隔離性、耐ヒートサイクル性、温度依存性、経時変化、硬化紫外線波長感度等を考慮した上で接着剤の選択が必要である。接着剤の硬化方法は、紫外線硬化型などの光に反応して硬化(架橋)するもの以外に、嫌気性の接着剤を用いても良い。
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。上述の実施形態では、歯車伝達機構に限定したが、例えばタイミングベルトの歯付きプーリや、スチールベルトなどの平ベルト駆動に用いられる平ベルトプーリ等の固定方法としても有効である。
また、歯車部品材料として潤滑性の良い樹脂成型材料と、回転トルクに対して変形を受けにくい剛性の高い材料(例えば金属製のスリーブ)を組み合わせることで、偏心量を低減した高精度な歯車機構を製作することができる。
また、歯車部品材料として潤滑性の良い樹脂成型材料と、回転トルクに対して変形を受けにくい剛性の高い材料(例えば金属製のスリーブ)を組み合わせることで、偏心量を低減した高精度な歯車機構を製作することができる。
上述の第3実施形態では接着剤収容部13の内周側と外周側でヤング率の異なる樹脂剤を用いたが、接着剤収容部13に単一の接着剤を充填し、接着剤収容部13の外周側と中心側との間で光照射量を変えることで、外周側と中心側との間でヤング率を変えるようにしても良い。例えば、外周側が中心側よりもヤング率を大きくする場合には、接着剤収容部13の外周側では接着剤が完全に硬化するように紫外線を照射し、接着剤収容部13の内周側では接着剤の硬化率が約60%以上になるよう紫外線を照射する。尚、硬化率は紫外線を照射する照射時間や光量の大小によって変えることができる。また、接着剤の硬化率が約60%以上であれば接着剤の流動性がなくなって、部材同士の接着機能を充分に得られる。このように、接着剤収容部13の外周側と中心側との間で光照射量を変えることで、2種類の接着剤を用いることなく1種類の接着剤を用いて硬化後のヤング率を外周側と内周側とで変えることができると共に、外周側と内周側との間で連続的な光量分布となるよう照射することで、ヤング率も外周側と内周側との間で連続的な分布とすることができ、ヤング率の異なる2つの樹脂剤を用いる場合のように、2つの樹脂剤の境界面で生じる界面歪を分散することができる。
第1実施の形態に係る回転駆動部の固定方法の要部を説明する断面図である。 図1の補助材を示す斜視図である。 第1実施の形態を説明する図であり、回転駆動部を示す概略図である。 図3に示す歯車部分を示す正面図である。 図3に示す回転軸と歯車との固定状態を示す断面図である。 接着剤収容部深さが中心部に向かうにつれて深くなっている状態を示す断面図である。 接着剤収容部の外周側と内周側とで傾斜角度が異なる状態を示す断面図である。 接着剤収容部を複数の領域に分けた状態を示す断面図である。 接着剤収容部の外周側に粘度の高い接着剤を充填し、中心側に粘度の低い接着剤を充填した状態を示す断面図である。 接着剤収容部の外周側に粘度の低い接着剤を充填し、中心側に粘度の高い接着剤を充填した状態を示す断面図である。 接着剤収容部の外周側に硬化後のヤング率が高い接着剤を充填し、中心側に硬化後のヤング率の低い接着剤を充填している状態を示す断面図である。 接着剤収容部の外周側に硬化後のヤング率が低い接着剤を充填し、中心側に硬化後のヤング率の高い接着剤を充填している状態を示す断面図である。 回転軸又は歯車に、接着剤収容部に接着剤を充填する連通口を設けた状態を示す断面図である。 補助材に連通口を設けた状態を示す断面図である。 回転軸又は歯車に、接着剤収容部内と大気とを連通する大気開放口を設けた状態を示す断面図である。 補助材に大気開放口を設けた状態を示す断面図である。 回転軸の外周にスリーブを固定した状態を示す断面図である。 回転軸の外周にフランジ付きのスリーブを固定した状態を示す断面図である。 第6実施の形態に係る回転駆動部の固定方法を示す図であり、補助材を複数備えた状態の回転駆動部を示す斜視図である。 図19に示す回転駆動部の変形例であり、スリーブ及び補助財の接着面の形状を曲面にした状態を示す斜視図である。 図19に示す回転駆動部の平面図である。 第7実施の形態に係る回転駆動部の固定方法を示す平面図である。 第8実施の形態に係る回転駆動部の固定方法を示す斜視図である。 図23に示す回転駆動部の平面図である。
符号の説明
1 回転駆動部
3 回転軸(一方の部材)
5 歯車(他方の部材)
6 接着剤
7 補助材
9 環状突起(条状突起)
13 接着剤収容部
15 連通口
17 大気開放口
19 スリーブ
23 フランジ
25 案内溝
27 突部
29 規制部材

Claims (21)

  1. 一方の部材と他方の部材とを補助材を介して接着固定する部材の固定方法であって、補助材は一方の部材との接着面及び他方の部材との接着面を備え、補助材の夫々の接着面には接着剤を収容する接着剤収容部を設けてあることを特徴とする部材の固定方法。
  2. 補助材は部材との接着面から突出する条状突起を備え、条状突起に囲まれた領域に接着剤収容部を形成していることを特徴とする請求項1に記載の部材の固定方法。
  3. 接着剤収容部の深さが中心部に向かうにつれて深くなっていることを特徴とする請求項2に記載の部材の固定方法。
  4. 接着剤収容部の深さが外周側で緩やかな斜面となっており、内周側で急な斜面となっていることを特徴とする請求項3に記載の部材の固定方法。
  5. 条状突起は同心状になっており、条状突起によって接着剤収容部を複数の領域に分けていることを特徴とする請求項2に記載の部材の固定方法。
  6. 夫々の接着剤収容部には複数の種類の接着剤を充填しており、接着剤収容部の外周側に粘度の高い接着剤を充填し、接着剤収容部の中心側に粘度の低い接着剤を充填していることを特徴とする請求項2に記載の部材の固定方法。
  7. 夫々の接着剤収容部には複数の種類の接着剤を充填しており、接着剤収容部の中心側に粘度の高い接着剤を充填し、接着剤収容部の外周側に粘度の低い接着剤を充填していることを特徴とする請求項2に記載の部材の固定方法。
  8. 夫々の接着剤収容部には複数の種類の接着剤を充填しており、接着剤収容部の外周側に硬化後のヤング率が高い接着剤を充填し、接着剤収容部の中心側に硬化後のヤング率の低い接着剤を充填していることを特徴とする請求項2に記載の部材の固定方法。
  9. 夫々の接着剤収容部には複数の種類の接着剤を充填しており、接着剤収容部の中心側に硬化後のヤング率が高い接着剤を充填し、接着剤収容部の外周側に硬化後のヤング率の低い接着剤を充填していることを特徴とする請求項2に記載の部材の固定方法。
  10. 部材又は補助材には接着剤収容部内に接着剤を充填する連通口が設けてあることを特徴とする請求項2に記載の部材の固定方法。
  11. 部材又は補助材には収容部内と大気とを連通する大気開放口を設けてあることを特徴とする請求項2又は10に記載の部材の固定方法。
  12. 一方の部材は像担持体の回転軸であり、他方の部材は回転軸に連動して回転する歯車であり、請求項1〜11の何れか一項に記載の固定方法により回転軸と歯車とを固定することを特徴とする回転駆動部の固定方法。
  13. 回転軸の外周にはスリーブが設けられており、スリーブの外周面と補助材の一方の接着面とを接着しており、歯車と補助材の他方の接着面とを接着していることを特徴とする請求項12に記載の回転駆動部の固定方法。
  14. スリーブには回転軸の半径方向に突出するフランジが形成されており、フランジと歯車とは略同一平面上にあり、補助材の一方の接着面と他方の接着面とが略水平になっていることを特徴とする請求項13に記載の回転駆動部の固定方法。
  15. 補助材は回転軸の周方向に間隔を開けて備えたことを特徴とする請求項12に記載の回転駆動部の固定方法。
  16. 補助材は波長が可視光線以下の短波長を透過する材質からなり、接着剤は光により架橋反応する材質であることを特徴とする請求項13に記載の回転駆動部の固定方法。
  17. 歯車、回転軸及びスリーブは波長が可視光線以下の短波長を透過する材質からなることを特徴とする請求項16に記載の回転駆動部の固定方法。
  18. 歯車の補助材が固定される位置に半径方向の案内溝が形成されており、補助材には案内溝に係合する突部が形成されており、歯車を回転軸に組付ける際に案内溝に突部を係合させて歯車の固定位置を調整していることを特徴とする請求項12に記載の回転駆動部の固定方法。
  19. 回転駆動部には歯車の外周に当接する規制部材を設けており、歯車を規制部材で位置決めしてから補助材で回転軸と歯車とを接着固定することを特徴とする請求項12に記載の回転駆動部の固定方法。
  20. 接着剤収容部には単一の接着剤を充填しており、接着剤収容部の外周側が中心側よりも光照射量が多くなるようにしていることを特徴とする請求項2に記載の部材の固定方法。
  21. 接着剤収容部には単一の接着剤を充填しており、接着剤収容部の中心側が外周側よりも光照射量が多くなるようにしていることを特徴とする請求項2に記載の部材の固定方法。
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