JP2006152572A - 場所打杭の杭頭処理方法及び杭頭処理用溝形成具 - Google Patents

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Abstract

【課題】場所打杭の杭頭処理を騒音や粉塵を発生することなく静穏な状態で、短時間で搬出しやすい大きさに杭頭を破砕撤去できるようにする。
【解決手段】コンクリートを打設後、コンクリートがまだ軟らかい間に溝形成具1を杭頭に押し込む。コンクリートがある程度固化したら溝形成具1を引き上げて溝4を形成し、この溝4に板ジャッキ6を設置し溝4の底部にクラック41を発生させ、余盛部を溝4で区切られた形状に分割してクレーンで撤去し、余盛部を撤去した杭頭部を形成する。
【選択図】図1

Description

この発明は、場所打コンクリート杭の杭頭処理方法及びそれに使用する溝形成具に関する。
場所打杭の施工においては、掘削泥水中のスライムがコンクリート打設と共に上昇し、打設コンクリートに混入して強度が低下した部分が形成される。この強度が低下した部分は、杭の構造体として使用できないので、コンクリートを余分に打設して余盛部を形成し、コンクリート固化後に余盛部を撤去すると共に鉄筋を露出させて上部構造物内に鉄筋を埋設できるようにしている。
従来の杭頭処理の方法は、余盛部に対応する部分の主鉄筋を発泡樹脂製のカバーで被覆してコンクリートとの縁を切って付着を阻止し、余盛部の打設コンクリートの固化後、ブレーカなどの衝撃工具で余盛部のコンクリートを破砕していた。
また、余盛部に横孔を形成して静的破砕剤を挿入し、静的破砕剤の膨張力で余盛部のコンクリートを破砕撤去したり、リング状、または、円弧状の板ジャッキを杭頭に水平に設置し、板ジャッキの膨張力で余盛部のコンクリートを破壊して解体することがおこなわれていた。
特許第2726241号公報
ブレーカなどの衝撃工具を使用して余盛部のハツリ作業をおこなうと、鉄筋に傷を付けることがあり、杭の強度が低下する恐れがあった。また、静的破砕剤を使用する場合でも、一旦固化した打設コンクリートに静的破砕剤を挿入する穴を杭体にドリルで形成しなければならず、騒音や粉塵が発生し、環境衛生上好ましくなかった。更に、静的破砕剤を使用した工法や板ジャッキを使用した工法の場合、杭頭面に凹凸ができて平面にならず、杭径が大きく杭頭処理によって撤去する部分の重量が大きい場合には、破砕した撤去コンクリートの現場からの搬出に大型のクレーンが必要であった。
そこで、この発明は、騒音や粉塵を発生することなく静穏な状態で、かつ、余分な段取りを必要とせずに搬出しやすい大きさに杭頭を破砕処理ができるようにするものである。
杭頭部に複数の溝を形成し、この溝に板ジャッキを挿入して圧力をかけて杭頭コンクリートを分割撤去するものである。
溝を形成するためには、仕切板を適宜の配列、例えば、放射状に配置した分割溝形成具をコンクリート打設後のコンクリートが軟らかい間に杭頭に押し込んで設置し、コンクリートが固化する前に溝形成具を撤去して杭頭に必要な溝を形成するものである。
この溝に板ジャッキを挿入し、板ジャッキを作動させて膨張させ、膨張力によって溝底部にクラックを発生させて余盛部を水平方向に破断し、溝の底部より上部を溝の形状に沿って分割破砕するものである。
したがって、従来のブレーカを使用した撤去工法と比較すると、本発明では騒音、振動が全く発生することがない。また、溝内に板ジャッキを挿入セットする作業は短時間ですみ、板ジャッキに作動流体によって圧力をかけると即座に膨張して杭頭部のコンクリートに膨張力を作用させて破壊するため、静的破砕剤を使用する場合のように、破砕剤の反応時間を考慮する必要がなく、破壊撤去の開始を自由に設定できると共に、作業開始後であっても中断が可能であるので、他の作業との連携の自由度が大きくなるのである。
板ジャッキを膨張させる作動流体に水が使用できるので、板ジャッキが破裂した場合でも水が噴出するだけであり、危険度が小さく、静的破砕剤のように保管場所を必要とせず、環境に悪影響を与えることがないという利点がある。更に、使用後の膨張した板ジャッキを、プレスによって平坦にして元の状態に戻すことができ、再使用することができるのでコストを軽減することができる。
従来の板ジャッキ工法では、杭頭部を一体として撤去するため、搬出のために大型クレーンが必要となるが、この発明によれば、杭頭に溝を形成して現場から搬出しやすい大きさに小割にすることが、短時間に、容易にできるのである。
実施例1
図1に示すように、溝形成具1は、杭の断面形状にあわせた鉄製の円形の基板10と、その下面に、基板中心から半径方向に余盛部に応じた長さで杭の周縁に達する幅の鉄製の仕切板11を溶接したものである。仕切板11は、構築する杭の直径に応じ、仕切板11によって分割される余盛部の分割片が小型のクレーンで移動できる重量となるように適宜の枚数を選択する。図1のものは仕切板11で杭頭を4等分するものであり、十字状の配列である。図2に示すものは、12等分としたものである。仕切板11の厚さは、杭頭に形成した溝の幅が、板ジャッキ6を挿入することができるものであればよく、3〜5mmでよい。
また、コンクリートが付着しないように、適宜の表面処理、例えば、フッ素樹脂処理、アスファルト処理、グリース等の潤滑剤処理を施したり、仕切板自体の材質をコンクリートとの付着性が小さく、適宜の強度を有するものから選択することができる。
基板10の表面には、吊り上げ用の金具12が取り付けてあり、杭頭への設置の際、または、杭頭から撤去する際にクレーン等の引き上げ装置との連結に利用する。穴13は、溝形成具1が杭頭のコンクリートとの付着力で容易に抜き出せない場合に油圧ジャッキを取り付けるためのものである。
実施例2
図3に示すように、基板10の周縁部に杭筋を通過させるための鉄筋穴14を形成したものである。杭頭に設置する際に鉄筋の余長部を基板10の上に逃がすことができるので、仕切板11の高さを余盛部の高さに等しくすることができ、仕切板11の高さを実施例1に比較して小さくできるので、材料費の節約となる。鉄筋穴14は、鉄筋の数にあわせるものであるが、穴を連続させ、基板10の周縁に円形の溝を形成したものでもよい。また、仕切板11を1枚板とせず、板ジャッキ6が収容される幅の板を、間隔をおいて短冊状に固定したものでもよい。
実施例3
図4に示すように、仕切板11を基板10の下面に平行に固定したものである。図5に示すものは、仕切板11の幅を板ジャッキ6を収容できる幅とし、間隔をあけて短冊状の配置としたものである。
図6(1)に示すように、板ジャッキ6は、延性及び耐蝕性を有する金属板、例えばステンレス鋼板の一辺に注入口を形成し、2枚の同形の金属板を重ね合わせて注入口を残して周縁を溶接して袋状に形成したものであり、注入口には流体を供給するためのカップラー61が形成してある。金属板2枚分の厚さに相当する隙間があれば挿入することができるので、油圧ジャッキや機械式ジャッキのように、大きな設置空間を必要としないという利点があり、更に、注入する流体の圧力を上げたり、または、板の面積を大きくすることによってジャッキが発揮する力を自由に変更することができる薄型のジャッキである。
杭頭処理に使用する板ジャッキにおいては、撤去すべき余盛部の底部に集中的に力を加えて破壊すればよいのであるが、一般に使用されている図6(1)の板ジャッキは、膨張力のすべてがコンクリートの破壊に有効に使用されていないので、図6(2)に示すように、板ジャッキ6の膨張部を横長とし、カップラー61を延長させて杭頭から突出させたものを使用すると、板ジャッキ6の膨張力を破断すべき部分に集中的に作用させることができる。また、膨張部が比較的小さいので、膨張後にプレスして平坦な状態に戻す作業が容易であり、現場作業に適している。
施工例1
図7(1)に示すように、泥水工法で掘削した杭穴内の杭頭部の鉄筋2に縁切り用の発泡樹脂を被覆、または、円筒状の鉄筋保護具3を被せた鉄筋籠を挿入し、コンクリートを打設する。コンクリートを打設後、コンクリートがまだ軟らかい間に図1に示す仕切板11が十字状に配列された溝形成具1を金具12を利用してクレーンで吊り下げて杭頭部まで運び、仕切板11の位置あわせをおこない、打設コンクリート中に溝形成具1を押し込む。
打設コンクリートが固化を開始し、溝の形状が保持されるまでにコンクリートが固化したところで溝形成具1を引き上げ撤去して杭頭部に余盛部の底部に達する溝4を形成する。作業の都合で固化が進み、コンクリートが仕切板11に付着して引き抜きが困難になった場合には、基板10の穴13に油圧ジャッキを基板10の中心に対して対称に設置し、仕切板11とコンクリートの付着を解除して溝形成具1を引き抜く。
図7(2)に示すように、杭頭部に形成された十字状の溝4に、図6に示す板ジャッキ6を設置し、高圧ホースを板ジャッキ6のカップラー61に接続して高圧水を供給する。板ジャッキ6が溝4の内部溝に拘束されながら膨張し、図8(1)に示すように、溝4の底部にクラック41を発生させ、余盛部は溝4で区切られた形状に分割されるので分割片をクレーンで撤去し、図8(2)に示すように、余盛部を撤去した杭頭部が完成する。分割片を撤去しやすくするために、溝形成具1の設置の際に杭頭にアンカーを有する金具を埋設してコンクリートを固化させ、この金具をクレーンによるコンクリート分割片の運搬に利用する。
施工例2
図9に示すように、杭径が1500mmを超える大径杭の場合、図2に示す仕切板11を放射状に配置して杭頭を12等分するようにした溝形成具1を施工例1と同様にコンクリート打設後の杭頭に押し込み、形成した溝4に板ジャッキ6を設置して杭頭を撤去するものである。杭径が大きくても杭頭のコンクリート分割片が小さいので、小型のクレーンでコンクリート片を撤去することが可能である。
施工例3
図10に示すように、図3に示す溝形成具1を使用して杭頭処理用の溝を形成するものであり、鉄筋穴14に鉄筋2を通して溝形成具1を杭頭に設置して、杭頭に溝4を形成するものである。
施工例4
図11に示すように、余盛部の底部の鉄筋籠の外側に円弧状のスペーサー7を杭の外周縁に複数設置してコンクリートを打設し、余盛部撤去の際にスペーサー7にスライドハンマーを取り付けて衝撃を与えてスペーサー7を引き抜き、杭の外周に水平溝を形成してから板ジャッキを6作動させることにより、溝の底部から水平溝に達するクラックが入りやすいようにして余盛部を分割片に割りやすくするものである。
図12に示すように、矩形のスペーサー7を杭の半径方向に放射状に設置してコンクリートを打設し、コンクリート固化後にスペーサー7に衝撃を与えて引き抜いて杭の外周に断続する水平溝を形成することによっても同様に余盛部が分割しやすくなる。
以上のように、本発明は、騒音を発することなく場所打杭の余盛部を適宜の大きさに分割して短時間で、杭頭をほぼ平面の状態に撤去することができるので、杭径が1mを超える大きな場合であっても小型のクレーンで余盛部を撤去できる。
また、板ジャッキを使用するものであるので、撤去作業を途中で中断することができ、作業の自由度が大きなものとなるので、他の作業との連携が自由である。
実施例1の溝形成具の斜視図。 実施例1の溝形成具の変形例の斜視図。 実施例2の溝形成具の斜視図。 実施例3の溝形成具の斜視図。 実施例3の溝形成具の変形例の斜視図。 板ジャッキの正面図。 施工例1の杭頭処理の工程説明図。 施工例1の杭頭処理の工程説明図。 施工例2の杭頭処理の工程説明図。 施工例3の杭頭処理の工程説明図。 施工例4の円弧状スペーサーを杭外周に設置する方法の断面図。 矩形スペーサーを杭の半径方向に設置する方法の平面図。
符号の説明
1 溝形成具
10 基板
11 仕切板
2 鉄筋
3 鉄筋保護具
4 溝
41 クラック
6 板ジャッキ
7 スペーサー

Claims (6)

  1. コンクリート打設後の杭頭部に溝形成具を押し込んで複数の溝を形成し、この溝に板ジャッキを挿入して圧力をかけて杭頭コンクリートを撤去する杭頭処理方法。
  2. 請求項1において、杭外周縁にスペーサーを設置してコンクリートを打設し、スペーサーを引き抜いて外周に溝を形成し、板ジャッキを作動させる杭頭処理方法。
  3. 円形の基板と、この基板の下面に複数の仕切板が固定してある溝形成具。
  4. 請求項3において、仕切板が放射状に配置してある溝形成具。
  5. 請求項3において、基板に鉄筋を通過させる鉄筋穴が形成してある溝形成具。
  6. 請求項3〜5のいずれかにおいて、仕切板が間隔をおいて短冊状に取り付けてある溝形成具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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